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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z24
管理番号 1285619 
審判番号 取消2012-300760 
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-04-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-09-27 
確定日 2014-03-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第4485298号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4485298号商標(以下「本件商標」という。)は,「Morris & Co.」の欧文字を横書きしてなり,平成12年7月3日に登録出願され,第24類「布製身の回り品,織物製テーブルナプキン,ふきん,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製いすカバー,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,シャワーカーテン,テーブル掛け,どん帳,織物製トイレットシートカバー,遺体覆い,経かたびら,黒白幕,紅白幕,ビリヤードクロス,のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同13年6月22日に設定登録され,その後,同23年2月1日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
なお,本件審判の請求の登録は平成24年10月16日になされている。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法50条1項により,本件商標の指定商品中の第24類「布製身の回り品,織物製テーブルナプキン,ふきん,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製いすカバー,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,シャワーカーテン,テーブル掛け,どん帳,織物製トイレットシートカバー,遺体覆い,経かたびら,黒白幕,紅白幕,ビリヤードクロス,のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」の登録を取消す。審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め,審判請求書,弁駁書,口頭審理陳述要領書(口頭審理における陳述を含む。)及び上申書において,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲1ないし8(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,継続して3年以上,日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても,前記の指定商品について使用された事実がないから,商標法50条1項の規定により,その登録は取り消されるべきものである。
2 弁ばく
被請求人が提出した証拠(乙1?13)は,特定の商標の使用事実を証明するために必要な「商標の表示」,「商標が使用された商品の内容」,「商標が使用された時期」を客観的に示すものということはできないから,被請求人の答弁は,登録商標が指定商品に対して,本件審判の予告登録された平成24年10月16日前3年以内に使用されたことを証明するに足るものとはいえない。
(1)商標の使用主体について
被請求人が通常使用権者であると主張する株式会社ブレーントラスト(以下「ブレーントラスト」ということがある。)と,乙3の商標使用権設定書によって通常使用権者と認められた「株式会社ブレーントラスト(港区西麻布4-16-13第28森ビル)が,同一法人であるか否かについて疑義がある。
請求書(乙1の2ほか)に記載された主体は,ブレーントラストと株式会社ブレーントラスト・コーポレーション(以下「BTコーポレーション」ということがある。)であるが,当該請求書に記載された主体と,名称(商号),住所(本店)が共通するもので,法人登記簿上確認でき,かつ,現在効力を有する会社は,平成24年4月1日にBTコーポレーションから商号変更した株式会社ブレーントラスト(港区白金4-7-19)」(甲3)であり,これは,通常使用権設定書の後に設立されたものであるから,被請求人の主張には矛盾がある。
(2)使用商標,使用商品等について
ア 美術館・博物館における展示会のパンフレット(乙1の1ほか)には,本件商標が指定商品に使用された情報は何ら含まれていない。
イ 商標のラベルの写真(乙2)自体では,これがいつのものであるかを特定することはできない。また,販売された商品の写真(乙1の4ほか)からは,本件商標の表示,商品の内容及び商標の使用者の表示を視認することができず,それぞれの写真の撮影年月日の表示もない。
ウ 前記のとおり,被請求人が通常使用権者であると主張するブレーントラストと商標使用権設定書(乙3)に記載のブレーントラストが同一法人であるか否かについて疑義がある。
エ 各美術館・博物館に対する請求書(乙1の2ほか)には,本件商標及び具体的な商品名の表示はない。
オ 請求書に形式的に関連付け提出されたリスト(乙1の2ほか)(以下「明細リスト」ということがある。)には,「発行者」と「発行日」がそろって表示されたものはなく,請求書と明細リストの対応関係が不明確であり,各リストの様式やこれに含まれる情報の対応関係に不統一なもの等が含まれる。このようなリストは,商標法2条3項8号にいう「取引書類」に該当するものと認められるべきではない。
これらを考慮すると,明細リストは,商標の使用証拠として提出するために,事後的に再構成されたものと印象を与えるといわざるを得ない。
カ 納品伝票(乙1の3ほか)は,ブレーントラストが発行したものではなく,ブレーントラストによる登録商標の使用事実を示す書類に該当するものではない。
過去の審判事件における納品伝票は,全て印字されていたが,本件で提出された納品伝票は,全てが手書きされており,全納品伝票をそのような非効率的な方法へ変更することは不自然であり,また,納品伝票には,商品コードが表示されているにも拘わらず,商品の種類に加えて,本件商標に対応する文字列を全ての商品項目において省略することなく表示している点も前記変更と相俟って不自然であり,さらに,納品伝票の発行日付と通し番号の関係性も不自然な点が見受けられる。
3 口頭審理陳述要領書
(1)商標の使用主体について
ブレーントラストとBTコーポレーションは,法的に別人格であり,商標使用権設定書は,被請求人がブレーントラストに対し,再使用許諾権を与えたものと理解することはできないから,ブレーントラストとBTコーポレーションの間で仮に組織上の関連性が認められた場合でも,BTコーポレーションに通常使用権があるとはいえず,また,被請求人からBTコーポレーションが商標権の使用許諾を受けた事実も見当たらないので,当該会社は,本件商標の使用に関しては無権限である。
また,各乙をみると,請求書の発行者がBTコーポレーションあるにもかかわらず,ア)振込口座又は押印がブレーントラストの社印であるもの,イ)パンフレットの企画協力欄にブレーントラストの社名が記載されいるものなどの齟齬が生じており,両者の間に業務の混同が見られる。
その状況からすると,被請求人が主張する各取引が仮にあったとしても,各取引の全てについて,その主体がBTコーポレーションであった合理的可能性が否定できない。
被請求人が主張するとおり,BTコーポレーションは,ブレーントラストの営業活動を継続する目的で設立され,ブレーントラストは,純粋な資産管理会社になることとなっていたところ,ブレーントラストの取締役でもあった柴田順一(以下「順一氏」という。)が,BTコーポレーションの代表取締役に就任している(乙12)。
この点,順一氏がBTコーポレーションの代表取締役として請求している乙10の2には,ブレーントラストの社印が押されている。順一氏は,当該請求がBTコーポレーションの仕事であるにもかかわらず,ブレーントラストの仕事と混同し,ブレーントラストの社印を押してしまったものである。このことから,美術館等における商品の販売業務はいずれも順一氏が担当していた可能性が大きい。
また,被請求人は,平成24年4月1日の社名変更と共に,通常使用権者が行っていた営業を完全に移行した旨を主張するところ,乙6の2の請求書が発行されたのは平成24年4月1日以降であるから,当該請求書の発行者は,本件別会社(審決注:BTコーポレーションから名称変更した「株式会社ブレーントラスト」,以下「ブレーントラスト2」ということがある。)である。
しかるに,上述のとおり,ブレーントラスト2は,本件商標の使用権を取得していない。乙6の関係では,本件商標を使用する権限がないにもかかわらず,事実上使用していたということになる。
このように,無権限者たるブレーントラスト2が本件商標を何の躊躇もなく使用していることに加え,要証期間内にも,本件商標の使用権限のないBTコーポレーションによる請求書が作成されていること(乙5の2ほか)から考えると,BTコーポレーションが設立された後の本件商標に関する業務は,全て順一氏が行っていた。すなわち,各乙において,ブレーントラストと記載されていても,それは,BTコーポレーションの代表取締役たる順一氏が,同社を代表して為した行為である可能性が高いというべきである。
したがって,ブレーントラストという記載は表示だけで,実際は,BTコーポレーションが本件商標を使用していたことが明らかであり,BTコーポレーションにより仮に商標が使用されていたとしても,これは通常使用権者による本件商標の使用とはいえない。
(2)本件商標の使用の事実の立証について
被請求人の提出したパンフレット,請求書,納品伝票及び写真を単独で検討しても,ブレーントラストによる本件商標の使用の事実を認定できない。また,上記証拠間に明確な関連性を見出すことは困難である。
したがって,上記の証拠は,単独の証拠では立証できない部分を,相互に補完しあう関係にもない。
(3)結論
以上のとおり,各乙では,展示会にて商品を販売したのか,販売したとしても本件商標が付されていたのか,第24類ないし第25類に該当する指定商品であったのか,いずれも不明である。さらに,被請求人の主張自体,本件商標が付された商品が通常使用権者から各美術館に販売されていたことを本件商標の使用であると主張するのか,各美術館に対する通常使用権者の行為は単なる販売委託であったと主張するのか不明であり,被請求人が,誰の誰に対するどのような行為をもって本件商標の使用と主張しているかは必ずしも明らかではない。
また,仮に本件商標の付された指定商品が販売されたとしても,その販売主体が通常使用権を許諾されたブレーントラストではなく,ブレーントラスト2であった可能性があるという,合理的な疑いが残る。
したがって,商標法50条2項の要件事実である,通常使用権者による本件商標の使用の事実が立証されたとは到底評価できないから,同条1項の適用により,本件商標は,直ちに取り消されなければならない。
4 上申書
(1)被請求人の主張する本件商標の使用態様について
被請求人は,口頭審理において,本件商標の使用態様は,ブレーントラストから各美術館等に引き渡した際に各指定商品に本件商標が付されたことであると主張したが,ブレーントラストと各美術館等との取引を示す証拠は乙1の2等の請求書及び添付の明細リストしか存在しない。
そして,請求書と明細リストの一体性は認定できない上に,明細リスト自体,証拠価値がない。
したがって,被請求人の主張は失当である。
(2)念のため,第2回口頭審理において審判長が言及した,1)ブレーントラストから各美術館等へ指定商品に本件商標を付して引き渡し,2)その商品を本件商標を付した状態で各美術館等が展示して販売し,3)その販売実績に基づいてブレーントラストから各美術館等へ請求するという一連の流れについて,検討する。
ア ブレーントラストが各美術館等へ指定商品に本件商標を付して引き渡したとする点について
被請求人は,第2回口頭審理において,請求書(乙1の2ほか)の原本を提示したものの,それらには明細リストが添付されていなかった。
この点,被請求人は,明細リストも請求書と共に保管していると釈明したが,請求書と明細リストを一体として提出しているにもかかわらず,口頭審理においてわざわざ重要な証拠である明細リストを除く一方,重要性が低い請求書のみを原本提出するのは,あまりにも不自然である。
したがって,明細リストは請求書とは一体のものとして保管されていなかったと考えるのが自然であるし,乙1の2等と異なる状態で原本提出された以上,乙1の2等で示されているような,請求書と明細リストが一体の状態で美術館等に交付されたという事実を認定することはできない。
よって,明細リストが各美術館等に交付されたことを当然の前提とすることは許されず,明細リストに指定商品が記載され,その表の上部に本件商標が記載されていたとしても,ブレーントラストから各美術館に対する関係で,その記載どおりに,本件商標が指定商品について使用されたと推認することも許されない。
イ 各美術館等が展示販売した指定商品に本件商標が付されていたとする点について
被請求人は,写真(乙1の4ほか)に,テーブルクロス,クッションカバー及びハンカチが本件商標を付されて販売されている様子が撮影されていると主張するが,いずれの写真にも,テーブルクロスないしクッションカバーであると判別でき,かつ,本件商標が付されていることが明確に分かるものは撮影されていない。
また,ハンカチについては,ハンカチである旨の表示があり,かつ本件商標が付されていることが明確に判別できる写真は一切存在しない。
この点,第2回口頭審理において,審判長から乙1の4写真Cにはハンカチに本件商標が付されている様子がわかる旨の指摘があったが,同写真には,被写体の商品がハンカチである旨の表示はなく,単に被請求人がハンカチであると後から付箋で指示説明をしているだけである。
そして,被請求人の指示説明には,信用性が全くない。
したがって,同写真の商品も,ハンカチかバンダナかは不明であり,ハンカチに本件商標が付されていた事実は立証されていない。
ウ 写真と請求書ないしリストとの関連性について
乙12の4の写真Dを見ると,被請求人の中央下部の指示説明では「ハンカチ」とされている商品について,値札の商品名には「タオルハンカチ」と表示されている。かつ,値段は1050円と表示されているが,これは,乙12の2の明細リスト4ページのタオルハンカチの値段と一致している。
したがって,被請求人がハンカチであると指示説明している当該商品は,ハンカチではなくタオルハンカチであることは明らかである。
そこで,乙12の2の明細リスト4ページのタオルハンカチ欄を見ると,本件商標が付される対象の商品ではない。つまり,明細リストと写真の表示は一致していないのである。
また,被請求人は,第2回口頭審理において,ブレーントラストから美術館等に引き渡す際に付されていた本件商標を,美術館側の判断で外すことがある等と主張した。
このように,被請求人から提出されている明細リストと写真は,明細リストでは本件商標が付されたとされる商品に,販売時には付されておらず,逆に明細リストでは本件商標が付されていないとされる商品に,販売時には付されているという両方の意味において,連続性・関連性がないのである。
同様のことは,乙6の4の写真Dの中段に写っている商品にもいえることである。
つまり,ブレーントラストは,「William Morris」の商標を用いる商品として出荷しているにもかかわらず,河口湖美術館は,独自の判断で本件商標を付して販売しているのである。
このことは,各美術館等が本件商標を使用するか否かを独自に判断していたことを示すと同時に,乙2に表れている2つの商標について,本件商標の使用権者たるブレーントラストにおいて,その区別と使い分けに関する基準も,各美術館等に対する指示もなく,自他識別機能が全く果たされていなかったことをも示している。
(3)商標法50条の「使用」の事実の存否について
ア 上述のとおり,1)請求書と明細リストの一体性が認められない。2)写真は本件商標が指定商品に付されて販売されていた様子は撮影されていない。3)明細リストと写真には,本件商標を付すべき商品か,付さない商品かという点について,全く連続性・関連性が認められない。
したがって,被請求人が提出した証拠からは,上記1)?3)の関連性を全く読み取ることができないから,同証拠から商標法50条の「使用」の事実を推認することもできない。
イ 上記のタオルハンカチの例から,ブレーントラストには本件商標を付する意図がないにもかかわらず,各美術館等が自己の判断で本件商標を付しているとの事実が明らかとなった。
一方,被請求人は,第2回口頭審理において,ブレーントラストが本件商標を付しているにもかかわらず,各美術館等が自己の判断でこれを外すことがあることも認めた。
とすれば,本件商標を指定商品に付するかどうかは,ブレーントラストではなく各美術館側で判断していることになり,本件商標を使用しているのは,ブレーントラストではなく各美術館等であるというべきである。
そして,各美術館等が本件商標の使用権を有しているという主張は被請求人からなされていない。
よって,各美術館等による本件商標の使用は,無権利者による使用ということになり,商標法50条の「使用」には該当しない。
ウ 本件の立証にあたっては乙1の4等の写真が最も重要であるといえる。
しかるに,被請求人は,乙12の4の写真Dには,明らかにタオルハンカチが写っているにもかかわらず,これをハンカチであると指示説明した。
乙12の2の明細リストによれば,ハンカチには本件商標が付されており,タオルハンカチには付されていないのであるから,本件商標の自他商品識別力により区別されるべき両商品について,被請求人は誤った説明をしたのである。
これは,単なる誤りではなく,被請求人やブレーントラストが,どの商品に本件商標を付するのか,あるいはどの商品が指定商品なのかについて,何ら意識していなかったことの表れであるといえる。
なぜならば,上述のとおり,ブレーントラストがどのような形で商品を引き渡したにせよ,各美術館等が独自の判断で本件商標を付するかどうかを決定していたのであるから,被請求人やブレーントラストが本件商標の有無について意識する必要がないからである。
つまり,写真に付された被請求人によるずさんな指示説明は,本件商標について無関心な被請求人の説明には全体として信用性がないことを示すとともに,本件商標を真に使用していたのはブレーントラストではなく,各美術館等であることも明らかにしているのである。
エ 乙6の2の明細リストによれば,キッチンミトンは「William Morris」の商標が付されるべき商品であるにもかかわらず,乙6の4の写真Dを見ると,本件商標が付されている。
このことから,ブレーントラストの意思によって,本件商標を付すべき商品と「William Morris」の商標を付すべき商品との区別さえできていなかったことがわかる。そして,被請求人からは,どのような基準に基づいてどの商標を付し,または付さないのか,各美術館等に対して指示をしていたことの主張立証もない。
とすれば,各商品に本件商標ないし「William Morris」の商標を付して販売していたのは各美術館等であると解さざるを得ないし,ブレーントラストとの関係においては,本件商標の自他識別機能は全く果たされていなかったというべきである。
オ 本件で問題になっている商品は,形式的にはブレーントラストから各美術館等に引き渡されたこととされているが,実際には,ブルーミング中西から直接各美術館等に引き渡され,各美術館等が販売している(平成25年5月20日被請求人口頭審理陳述要領書3ページ9?13行目)。
したがって,使用権者たるブレーントラストによる本件商標の使用といえるには,上記で述べた1),2),3)の行為が連続的に一貫して行われ,その全てにブレーントラストが主導的に関与していることが少なくとも必要であるといえる。
しかるに,上記で述べたとおり,ブレーントラストは,商品の具体的な引渡しに全く関与していない上に,実際の販売行為を行う各美術館に対し,どの商品にどの商標を付するのかについて指示しておらず,実際に各美術館等で販売された際の商標の表示と明細リストの記載との間に食い違いがあるにもかかわらず,漫然と明細リストを作成し,本件商品を使用したなどと考えているのである。
もし,このような状態でもブレーントラストが本件商標を使用したといえるのであれば,卸売業者や小売業者がその在庫品を取引する限り,ブレーントラストが何ら関与せずとも本件商標を使用していることになり,商標法50条の趣旨に明らかに反する。
つまり,同条の趣旨に照らすと,被請求人が主張しているようなブレーントラストの関与程度では,到底同条の「使用」とはいえないのである。
カ 商標法2条3項2号では,商品に標章を付した場合と共に,「商品の包装に標章を付したもの」を引き渡した時に使用を認める。商品に標章を付した状態であれば,その商品から当該標章がはずれたり,改変されたりする可能性はないから,これと並列して規定されている「商品の包装に標章を付したもの」とは,権利者が標章を付した後,誰もそれを着脱ないし改変しないことが当然の前提であると解するべきである。
しかし,本件では,そもそも写真に撮影されている状態でブレーントラストが各美術館に引き渡したのか自体が不明である上に,各美術館等が独自の判断で商品の包装を解き,本件商標を外すことができ,さらには,本来本件商標が付されていない商品に本件商標を付したり,別の商標を付したりすることもできたのである。
とすれば,ブレーントラストが付した商品の包装の本件商標を,各美術館等が着脱ないし改変していたのであるから,そもそも商標法2条3項2号の定める使用に該当しないと解される。
キ 以上のように,被請求人が主張するブレーントラストの行為は,ブレーントラストが各美術館等に本件商品を付した指定商品を引き渡し,それを各美術館等において販売し,その収益を請求するという一連の行為の各過程において,本件商標が付されていたかという観点における連続性がない。
また,本件商標と「William Morris」と本件商標の区別がブレーントラストによって何らなされておらず,これらの商標をどの商品に付するかは各美術館等が独自の判断で決定していた。
本件は,上記2つのよく似た商標が存在すると共に,別件である取消2012-300761事件の指定商品たるバンダナと,本件の指定商品であるハンカチは,外観が非常に酷似している等の事情から,使用権者たるブレーントラストが本件商標を指定商品に付して使用したことがより厳格に立証されなければならないと解される。
しかるに,被請求人の主張立証は,本件商標をブレーントラストが使用したこと,あるいは間違いなく本件商標を指定商品に付したこと,といった論点に関する主張が全く不十分であることに加え,本件商標の対象商品であるハンカチと,そうではないタオルハンカチを間違えて指示説明するなど前提における誤りも存在する。
したがって,上記のような被請求人の主張立証では,商標法50条の「使用」を認めることなど到底できないことは明らかである。
ク 結論
以上から,被請求人の提出した証拠では,本件商標が指定商品に付されて使用された事実は全く立証されていないし,仮に使用されていたとしても,その使用者は,使用権者であるブレーントラストではなく,無権利者たる各美術館である。さらに,被請求人が本件において主張したブレーントラストの行為は,本件商標の出所表示機能が全く果たされておらず,商標法2条3項2号には該当しない。
(3)むすび
したがって,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標の使用をした事実を証明していない。また,被請求人は,本件商標を請求に係る指定商品に使用していなかったことについて,正当な理由があることも明らかにしていない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求め,答弁書,口頭審理陳述要領書(口頭審理における陳述を含む。)及び上申書において,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙1ないし17(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
本件商標は,通常使用権者であるブレーントラストが,河口湖美術館におけるウイリアム・モリス展のほかの展覧会において,本件審判請求にかかる指定商品中の「ハンカチ」「テーブル掛け(テーブルクロス)」「布団カバー(クッションカバー)」について予告登録前3年以内に使用していた。
被請求人は,当該事実を立証するため,展覧会のパンフレット(乙1の1ほか),ブレーントラストが各美術館に宛てた請求書の写し(乙1の2ほか),ブルーミング中西株式会社がブレーントラストに宛てた納品書(納品伝票)の写し(乙1の3ほか),販売された商品の写真(乙1の1?4ほか)並びに同商品が付されたラベルの写真(乙2),使用権許諾設定書の写し(乙3)を提出する。
これらの書類から明らかなように,本件商標の通常使用権者が取引書類に本件商標を付して頒布したと言えるから,本件商標は通常使用権者によって商標法2条3項8号の本件商標の使用がされていたことが明らかである。
また,本件商標が付された商品が通常使用権者から各美術館に販売されていたこと(このことは各美術館で当該商品が販売されていることから経験則上明らかである。)から,商標法2条3項2号の使用がされていたとも言える。
2 口頭審理陳述要領書
(1)ブレーントラストが通常使用権者であるか否かについて
履歴事項全部証明書(乙16)から明らかなように,ブレーントラストは,昭和48年4月4日に設立され,その本店所在地を「港区西麻布四丁目16番13号第28森ビル」とある。この住所は,商標使用権設定書のブレーントラストの住所と一致する。
ブレーントラストは,平成16年8月20日に,本店住所を「港区白金4丁目7番19号」に移転した。この住所は,乙1並びに乙5ないし15の請求書に記載された住所と一致する。
したがって,ブレーントラストが本件商標の通常使用権者であり,かつ,同社によって本件商標が使用されていたことは明らかである。
通常使用権者(ブレーントラスト)は,同社の子会社として,平成20年12月1日にBTコーポレーションを営業販社として設立し,その後,通常使用権者は,平成24年4月1日に株式会社ブレーントラストHDに社名変更し,BTコーポレーションは,ハブ式会社ブレーントラストに社名変更した。このことから,甲3の履歴事項全部証明書は通常使用権者の子会社のものであることがわかる。
請求書において,通常使用権者とその子会社であるBTコーポレーションとが混在するのは,顧客の契約関係や個々の取引事情に応じ,営業も徐々にブレーントラストからBTコーポレーションに移行する必要があり,ブレーントラストとBTコーポレーションとが要証期間内に共に営業活動を行うことになり,両者の名前で請求書が作成される状況が生じた。
(2)乙2に表示された2種類のラベルについて
通常使用権者は,「Styring Arts Crafts」を一番上位の商標として,その下に「WILLIAM MORRIS」と本件商標を位置されているため,時として,本件商標がない場合があった。
(3)ブルーミング中西からブレーントラストに納品された商品と展示会で展示・販売した商品の関係
ブレーントラストからブルーミング中西への発注に基づき,本件商標を付した商品は,ブルーミング中西から直接美術館に納品された。このとき納品された商品は,ブレーントラストが全量買い取っており,一方,美術館等での販売は委託で行われるため,ブレーントラスト又はBTコーポレーションから美術館への請求は,実販売量に基づいていた。販売会期終了時の余剰品は,ブレーントラスト又はBTコーポレーションに返品後,在庫品としてストックされ,次以降の販売会場に納品される商品の一部として販売されることになっていた。
これらの在庫品が納品される場合には,ブルーミング中西から新たな納品書は発行されないので,一販売会期ごとの納品書記載の納品数と請求書記載の総納品数は,必ずしも一致しない。
3 上申書
(1)本上申書とともに,その中で問題の商品の付箋で示した写真を証拠説明書に添付し提出する。なお,これらの商品は,販売するにあたり,美術館側で包装から出して陳列することもあるので,写真には本件商標が付されていないものもある。
(2)乙2は,本件商標が表示されたラベルの態様を理解しやすくするために提出されたもので,特に,この証拠自体によって本件商標の使用を直接表示するものではない。
(3)請求書の発行手順は以下のとおりである。
ア 使用権者から注文を受けたブルーミング中西は本件商標が付された商品を直接美術館に送る。これらの商品は,使用許諾者によって購入された。
イ 美術館は,一般の小売店とは異なり,商品の詳細な販売を記録する帳簿の類はなく,売れ残った商品を使用権者に返品する。
ウ 使用権者は,返品された商品を数え,これと納品した商品からその数を引くことによって実際に売れた商品を算出し,この数量をコンピュータで各請求書添付の商品の販売数量の表(リスト)を作成した上で予め美術館に送り,美術館に確認を得た上で,正式に請求書に添付して美術館に請求している。そのため,販売数量の表には,「総納品数」「終了時残」「売上数」が表示されている。

第4 当審の判断
1 通常使用権者について
被請求人は,本件商標は通常使用権者であるブレーントラストにより使用されている旨主張するところ,その通常使用権者による使用について,当事者間に争いがあるので,この点について検討する。
(1)事実認定
被請求人の提出した各乙及び主張によれば,以下の事実が認められる。
ア 被請求人は,平成13年9月27日に,港区西麻布4-16-13第28森ビル所在のブレーントラストとの間で,本件商標につき使用許諾期間を商標の登録有効期間と同一とする通常使用権許諾契約を締結した(乙3)。
イ ブレーントラストは,昭和48年4月4日に本店所在地を「港区西麻布四丁目16番13号第28森ビル」とし,代表取締役を柴田昌彦として設立され,平成16年8月20日に,「港区白金4丁目7番19号」に移転,その後,平成24年4月1日に,株式会社ブレーントラストHDに商号変更がなされている(乙16)。
ウ 請求人が本件商標の使用者であると主張するBTコーポレーションは,平成20年12月1日に本店住所を「港区白金4丁目7番19号」とし,代表取締役を「柴田順一」として設立され,その後,平成24年4月1日に,株式会社ブレーントラストに商号変更がなされている(乙17,甲3)。
エ 被請求人の主張によれば,BTコーポレーションは,ブレーントラストの100%子会社で営業販社として設立され,その後,通常使用権者であるブレーントラストが行っていた営業がBTコーポレーションに完全に移行されたことから,平成24年4月1日にブレーントラストが資金管理会社となり,株式会社ブレーントラストHDに商号変更,BTコーポレーションは,株式会社ブレーントラストに商号変更したとある。
しかし,被請求人は,BTコーポレーション及びこれが商号変更した株式会社ブレーントラストが通常使用権者であるとの主張はしていない。
(2)判断
以上からすると,通常使用権許諾契約書に記載のブレーントラストは,昭和48年4月4日に設立されたブレーントラストと同一人と認められるから,その契約締結後のブレーントラスト及びこれが商号変更した株式会社ブレーントラストHDは,本件商標の通常使用権者とみることができる。
そして,これを本件の提出書類についてみると,審判の請求の登録前3年から平成24年3月31日までの取引きが確認できる請求書・納品書に記載されたブレーントラストは,本件商標の通常使用権者とみることができる。
また,両当事者は,口頭審理において,この点に関して異論がないことを認めた。
(3)請求人の主張について
請求人は,請求書・納品書に記載のブレーントラストは表示だけで,実際は,BTコーポレーションが本件商標を使用していたことが明らかであり,BTコーポレーションにより仮に商標が使用されていたとしても,これは通常使用権者による本件商標の使用とはいえない旨主張する。
確かに,BTコーポレーションは,ブレーントラストの営業販社として設立されたことから,同社がブレーントラストの行っていた事業と同じ事業を行っていたことが推認される。また,請求書には,BTコーポレーション発行のものが混在する上,BTコーポレーション発行の請求であるにもかかわらず,その振込先や社印がブレーントラストであるなどの混乱がみられる。
しかし,ブレーントラストが実在する以上,発行者,振込先,社印が適正に標された請求書におけるブレーントラストの取引を,BTコーポレーションが行った取引であると認定するのは困難であるから,この点に関する請求人の主張は採用することができない。
2 通常使用権者による本件商標の使用の有無について
以下,ブレーントラストが本件商標の通常使用権者であることを前提に,その使用の有無について検討する。
(1)事実認定
被請求人の提出した各乙及び主張によれば,以下の事実が認められる。
ア 2010年6月19日から9月5日までの間に河口湖美術館において開催された「ウィリアム・モリス展」のほか,2009年10月から2012年11月までの間に,11箇所の美術館等において,英国のデザイナー「ウイリアム・モリス」に関する展覧会が開催され,そのいずれにも,ブレーントラスト(一部にブレーントラスト2が含まれる。)が企画協力として参画している(乙1の1ほかのパンフレット)。
イ 河口湖美術館において開催された「ウィリアム・モリス展」の初日に,当該美術館内に出展作品をモチーフとした商品が陳列された(乙1の4のA-2ないしF-2の写真(2010年6月17・18日撮影))。このことから,その展覧会の開催期間に,河口湖美術館において,出展作品をモチーフとした商品が展示・販売されたことが推認し得る。
そして,その商品のうちのクッションカバーの包装袋に,「MORRIS & Co.」(ただし,「&」は装飾的な字体であり,「Co.」のうち「o」は「C」の右側上半分に記載され,「o」の真下に「.」が付されている。)との標章(以下「使用商標」という。)が付されている。
なお,クッションカバーの写真には,品名は明記されていないが,その形状,「サイズ約45cm×45cm」,「¥3,000」の表示から,これがクッションカバーであることが推認し得る(乙1の4のF-2)。
ウ ブレーントラストは,平成22年9月16日付け請求書により,「ウイリアムモリス展」で販売された図鑑及びグッズ(商品)の代金2,278,185円を,振り込み期限を平成22年10月末日とし,河口湖美術館に請求した(乙1の2の請求書及び明細リスト)。
そして,その明細リストによれば,グッズ(商品)には,商品区分を「Styling Arts Crafts/Morris&Co.」とし,店頭価格を3000円とするクッションカバー3種(Z9すいかずら,Z10セランダイン,Z11ぶどう)39枚が含まれる。
また,その明細リストには,「分類区分」ごとの内訳が表にまとめられており,「商品区分」「No.」「品名」「店頭販売価格」「税種」「総納品数」「モリス展終了時残」「売上数」「販売掛率」「請求金額」欄が設けられ,取り扱い商品ごとに,それぞれの欄に必要事項が記載されている。
エ 平成22年6月25日,7月1・8・12・21・26日,8月5・18日に,ブルーミング中西が,ブレーントラストに,納品伝票の品名欄に記された商品を納品した(乙1の3の納品伝票)。
そして,平成22年6月25日付けの納品伝票には,品名を「Morris&Co.Z9クッションカバーすいかずら」,「Morris&Co.Z10クッションカバーセランダイン」「Morris&Co.Z11クッションカバーぶどう」とする「クッションカバー」が含まれる。
オ 被請求人によれば,河口湖美術館を含む美術館等での一般顧客への販売は委託で行われ,使用商標を付した商品は,ブレーントラストからブルーミング中西への発注に基づき,ブルーミング中西から直接美術館に納品される。このとき納品された商品は,ブレーントラストが全量買い取り,ブレーントラスト又はBTコーポレーションから美術館等への請求は,実販売量に基づいたもので,余剰品は,ブレーントラスト又はBTコーポレーションに返品されるとある。
以上を総合すれば,2010年6月19日から9月5日までの間に河口湖美術館において開催された「ウィリアム・モリス展」において,ブレーントラストがブルーミング中西に発注し,河口湖美術館に納品させた使用商標を付したクッションカバー(39枚)が顧客に販売され,ブレーントラストは,その展覧会の会期終了後の平成22年9月16日に,そのクッションカバーについて,販売掛率に相当する金額を河口湖美術館に請求し,その請求から振り込み期日である平成22年10月末日までの間に,河口湖美術館がその金額を所定の口座に振り込んだことが推認し得る。
そして,その振り込みをもって,使用商標を表示したクッションカバーがブレーントラストから河口湖美術館に販売(譲渡)されたといえる。
(2)判断
前記1のとおり,ブレーントラストは,本件商標の通常使用権者である。
そして,本件商標は,「Morris & Co.」と標準文字により表してなるところ,使用商標は,「Morris & Co.」のうち,「Morris」の部分が大文字で表記され,「&」に装飾的な字体が用いられ,「Co.」のうち「o」が「C」の右側上半分に記載され,「o」の真下に「.」が付されている点において異なるが,両商標において使用されている欧文字等は,大文字か小文字か,あるいはデザイン化されているかどうかの違いはあるものの同一であり,いずれからも「モリスアンドカンパニー」の称呼が生じ,「モリス商会」ないしは「モリス会社」との観念が生じるものと認められるから,使用されている文字の共通性や,称呼及び観念の同一性に照らすと,両者は商標法50条1項にいう「社会通念上同一と認められる商標」というべきものであり,クッションカバーは,本件審判の請求に係る指定商品に含まれるものである。
また,使用商標を表示したクッションカバーがブレーントラストから河口湖美術館に販売(譲渡)されたのは,本件審判の請求前3年以内(平成22年9月16日から10月末日までの間)である。
したがって,通常使用権者であるブレーントラストは,本件審判の請求前3年以内に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件商標の指定商品について使用したということができる。
そして,通常使用権者による上記行為は,「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し,引き渡し,・・・する行為」(商標法2条3項2号)に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は,「明細リストは,請求書との対応関係が不明確であり,各リストの様式や情報の対応関係に不統一なもの等が含まれるから,このようなリストは,商標法2条3項8号にいう『取引書類』に該当しない。被請求人が口頭審理において,請求書のみを原本提出するのはあまりにも不自然であり,明細リストは請求書とは一体のものとして保管されていなかったと考えるのが自然である」旨主張する。
請求人の主張のとおり,請求書及び明細リストのみをもって,商標法2条3項8号にいう使用を認めることはできない。また,被請求人が口頭審理において,明細リストの原本を持参しなかったことから,提出された明細書リストの実質的証拠力は原本のそれよりも低下することも否めない。
しかし,明細リストは,その合計金額と請求書の請求金額が一致する。また,例えば,クッションカーバーについて,明細リストと納品伝票の記載事項及び写真における表示事項を対比すると,納品伝票との関係においては,商品No.,品名,分類区分が一致し,写真との関係においては,商品名,使用商標,価格が一致する。
さらに,請求書と明細リストの同じ箇所にホッチキス(登録商標)の痕が確認できることから,ブレーントラストにおいては,明細リストは請求書と一体のものとして保管され,共に使用されていたと推認し得る。
そして,「販売した数量について各請求書添付の商品の販売数量の表(リスト)を作成した上で予め美術館に送り,美術館に確認を得た上で,正式に請求書に添付して美術館に請求している。」とする明細リストの使用方法に関する請求人の釈明に不自然なところはない。
これらの状況から,合議体が明細リストをブレーントラストが美術館等に商品を販売したことを立証する証拠の一として採用することに誤りはない。
したがって,この点についての請求人の主張は採用することはできない。
イ 請求人は,「乙1の4ほかの写真には,本件商標が指定商品に付されて販売されている様子は撮影されていないこと,タオルハンカチとキッチンミトンにおいて,本件商標と『William Morris』の使用実態と説明に齟齬があることなどから,ブレーントラストにおいては,本件商標と『William Morris』の区別と使い分けに関する基準も各美術館等に対する指示もなく,各美術館等が独自の判断で本件商標を付するかどうかを決定していたとして,本件商標を真に使用していたのはブレーントラストではなく各美術館等である」旨主張する。
確かに,被請求人は,ブレーントラストの取り扱い商品の表示された使用商標と「William Morris」の使い分けについて,明快な説明をしていないし,実際に河口湖美術館で展示・販売された商品に被請求人の主張と異なる品名表示がなされていたものが存在する。
しかし,乙1の4ほかの写真において,クッションカバーの包装袋に使用商標が表示され,また,明細リストの商品名と,商品の納品者であるブルーミング中西作成の納品伝票の商品名に「Morris&Co.」が表示されていることが確認でき,これらの証拠に疑義が認められないことからすれば,当該商品の包装袋は,使用商標が付された状態でブルーミング中西から河口湖美術館に納品されたとみるのが自然である。
したがって,この点に関する請求人の主張も採用することはできない。
4 むすび
以上のとおりであるから,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,通常使用権者が本件請求に係る指定商品中の「クッションカバー」について,本件商標の使用をしていたことを証明したと認め得るところである。
したがって,本件商標の登録は,その指定商品中の第24類「全指定商品」について,商標法50条の規定により,取り消すべきでない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-09-30 
結審通知日 2013-10-02 
審決日 2013-10-24 
出願番号 商願2000-73850(T2000-73850) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z24)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 小林 裕子井岡 賢一 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 前山 るり子
渡邉 健司
登録日 2001-06-22 
登録番号 商標登録第4485298号(T4485298) 
商標の称呼 モーリスアンドカンパニー、モリスアンドカンパニー、モーリスアンドシイオオ、モリスアンドシイオオ、モーリス、モリス 
代理人 青木 篤 
代理人 田島 壽 
復代理人 浅村 昌弘 
代理人 特許業務法人浅村特許事務所 
復代理人 安武 洋一郎 
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