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審決分類 審判 全部無効 審理一般(別表) 審決却下 Z31
審判 全部無効  審決却下 Z31
管理番号 1284316 
審判番号 無効2013-890022 
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2013-03-23 
確定日 2014-01-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4323578号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求を却下する。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
登録第4323578号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、平成10年4月10日に登録出願、第31類「いちご」を指定商品として、平成11年10月8日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
(1)請求人について
本件無効審判に先立ち、本件商標は、既に取消審判(取消2010-300840)(以下「先の審判」という。)及びその審決取消を求めて知財高裁で審決取消請求事件(平成23年(行ケ)10243号)(以下「先の裁判」という。)が行われ、その請求人及び知財高裁の事件での被告星野博子は、本件請求人の妻である。
その関係で本件請求人は、先の審判及び先の裁判において、助言等協力した者である。先の裁判では補助参加人として、裁判に参加し、また、現在、本件商標は、不正使用(取消2012-300729)、不使用(取消2012-300897)で本件請求人により、取消審判を請求中である。
これら一連の審判、裁判を通じて請求人は、本件商標の商標法第46条違反及び無効事由としての同法74条違反を立証するに足る証拠を入手したので、ここに無効審判を請求するものである。
請求人は、警告状(先の審判甲4、先の裁判甲54)を貰っているし、また、あることないこと特許庁に告げ口され(別件、取消2012-300897の答弁書)、請求人らの商標登録出願中の3件の商標登録が危うい状態にある。そのうち、商願2009-49396と商願2009-92480については、共同出願者として請求人を加えるよう手続補正を行なっている。
これにより、請求人は、本件商標の無効を請求する請求人適格を有する。
(2)商標法第46条にある絶対的理由による無効
本件商標は、その登録が商標法第3条に違反してされたものである。これは、同法第46条による絶対的無効理由にあたる。
また、被請求人らは登録商標以外の商標の使用をする場合において、その商標に商標登録表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為をおこなっており、これは商標法第74条第1項第1号違反に該当する。現時点においてもこの違法は放置されているので違法の重大明白さによる無効の判断がなされるべきである。
ア 商標法第3条違反
(ア)本件商標が登録されたときは、既に奈良県において「大和桃苺(やまとももいちご)」の別称でイチゴ品種「あかねっ娘」が販売されていた。
請求人は、「大和桃苺」について、先の裁判で被告側補助参加人陳述書(追加その2:丙12)で「その生産が開始されたのは、徳島県の『ももいちご/百壱五』と同じぐらいの時期です。どちらが先であったかというのは、今となっては証明する手段がありません。ですが、おそらく、次の点から奈良県の『大和桃苺』の方が早かったのではないかと思われます。」と述べたが、これを裏付ける証拠として、「目指せ!ペジフルさん記事」(甲2)に、「元々は愛知県産で、奈良が許諾権を購入して栽培、『大和ももいちご』として奈良で流通していましたが、その後、徳島も許諾権を購入して商標登録を先に取得し、奈良に改名を迫ったため今では『大和ももいちご』ではなく『あかねっ娘』という名前でももいちごを売っています。」とある。
また、先の裁判での被請求人提出の証拠(先の裁判甲88)に「奈良県ではあかねっ娘といわれている苺は元々、愛知県で開発されて徳島県と奈良県が許諾権を購入して数年ほど前に徳島県が『もも苺』で先に商標登録を取り、奈良県でも元々『大和もも苺』で流通しておりましたが徳島県から似ていると告訴され、やむなく現在の『あかねっ娘』として流通しています。」とある。
甲第3号証は、鯛炭農園のホームページの「大和桃苺」の記事(2003.3.8)である。写真には「大和桃苺」が写っており、記事には「鯛炭農園で直接買ってきました」とある。大和桃苺の包装セロファンに「苺生産プロ連合会」と書かれていることから、「大和桃苺」を栽培していた複数の生産者が当初存在し、佐名河内ももいちご部会のような、生産者集団を形成していたことがうかがえる。
目指せ!ベジフルさん記事(甲2)は、大阪の青果市場のブログ記事であるから、これが、周辺の農産物の生産事情に精通している者により書かれたことは確かであり、記載内容からも奈良県で「大和桃苺」がイチゴ品種「あかねっ娘」に付けられ、普通に流通していたことが立証される。
被請求人が本件商標を出願した時点では、奈良県ではイチゴ品種「あかねっ娘」が栽培されており、「大和桃苺」の名称でイチゴが販売されていたのである。
「大和桃苺」の「大和」は、奈良県地域を表す地方名であるから、識別性を有する要部が「桃苺」である。
先に奈良県でイチゴが「桃苺」と称されて一般的に(普通に)販売されていたときに、徳島県でイチゴに「ももいちご」と名付け、商標登録をうけたのだから、商標法第3条第1項第2号に違反して登録されたことは明らかである。
(イ)また、先の裁判の判決文によると、「客観的にみても、本件商標において漢数字である『百壱五』の部分は、『ひゃくいちご』のほか『ももいちご』とも一応読み得るものであり」と漢数字「百壱五」を「ももいちご」と読み得ると判断している。この判断に従えば、本件商標「百壱五」は、「100g当り101.5円」とか、「1箱当り101.5匁」といった数量を表すものでもあり得るから、商標法第3条第1項第3号違反に一応該当し、同法第46条の無効が一応成り立つ。
加えて、この高裁判断に従えば、本件商標「百壱五」は、一応そうと読み得るルビが振られているにすぎないから、単なる数字の羅列であるともいえる。そうであるなら、商品番号や生産者番号等とも見なせる(甲4)から、商標法第3条第1項第5号違反に一応該当し、同法第46条の無効が一応成り立つ。
イ 商標法第74条違反
商標登録を拒絶された商願平6-103776号商標に対し、本件商標「百壱五」の商標登録願番号である「平成10年商標登録願第30450号」を表示することは、商標法第74条第1項第1号に違反した行為であり、極めて悪質な使用態様に他ならない。
贈答用化粧箱側面にある赤筆文字「ももいちご」の表示(甲1)が商願平6-103776号商標と同一であることは、その書体や形状から明らかである。
先の審判と先の裁判でも赤筆文字「ももいちご」を本件商標「百壱五」の使用とは、みなしていない。
よって、贈答用化粧箱側面の「登録第4323578号/平成10年商標登録願第30450号」の二段併記(甲1)が商標登録表示又はこれと紛らわしい表示に当たるのは、明らかである。
被請求人らは、登録商標以外の商標の使用をする場合において、その商標に商標登録表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為をおこなったのであるからこれは、商標法第74条違反にあたる。
星野博子が上告受理申立て理由書(本件甲5)で主張しているように、そもそも、先の取消審判でこの商標法第74条違反の違法の確認が行なわれていれば、丸徳商品タグにおける本件商標の使用態様は、贈答用化粧箱側面の使用態様に近く、悪質であると判断されたものである。
そうなれば、丸徳商品タグの使用をもって本件商標「百壱五」の使用と認めることは、悪質な商標の使用態様を保護することになるのだから、これを本件商標「百壱五」の使用と認めないとの判断がなされた可能性が高い。
今回は次のウのとおり、無効理由の一つなのだから、この商標法第74条における「使用をする場合」の範囲(ここでいう「使用をする場合」とはどういうものか、なにをもって「使用をする場合」というのか、書体の同一まで含んだところのものか、観念上の同一があれば使用と見なせるのか、などといったところ)を確定させ、違法の確認がなされるべきである。
(3)商標法第46条にある絶対的理由によらない、違法が重大明白なことによる無効
行政処分は、たとえ違法があったとしても、それが正式に取消されるまでは有効である。しかし、違法の程度があまりにひどく、誰が見ても違法という場合には、そもそも効力は発生しなかったと考えるべきであり、このような処分は「無効」である。
例えば、「スピード」という商標を商品区分第5類の薬剤に使用したいと願い出、登録した商標権者Aがいたとする。Aが「麻薬」に「スピード」と商標表示しその販売を続けていた場合、「スピード」という商標登録は維持されるべきであろうか。
考えるまでもなく、そのような登録は、即、無効である。商標法が、その第1条で需要者保護を謳っている以上、それに反するものが認められないのは、もちろんのことである。また、第5類の薬剤に麻薬が含まれるとも思えないから、Aは、登録申請時に虚偽申請を行なったことになる。
本件の場合、赤筆文字「ももいちご」(甲1)が、非登録商標であり、これに本件商標登録表示と紛らわしい表示がされていることも明らかであり、商標法第74条第1項第1号違反である。これは、例で示した、麻薬及び向精神薬取締法の罰則が情状の場合で罰金300万円、商標法第74条第1項第1号違反が300万円であるから同じくらい重大な違法である。
違法が重大かつ明白であるから、本件商標は、即、無効である。
甲第6号証に「百壱五」訂正シールの写真がある。漢字「百壱五」に平仮名で「ももいちご」とルビがふってある。この訂正シールは贈答用化粧箱の「商標登録表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為」を訂正し、本件商標を表示する為のものである。
訂正とは何らかの誤りを修正する為の行為である。「商標登録表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為」を覆うように貼られていることから、誤りが商標法第74条違反であることは明らかである。
甲第7号証は先の審判及び裁判で、被請求人が通常使用権者であると主張するアイスクリーム屋「ともだ」のネットショップのものである。甲第7号証の贈答用化粧箱の写真が訂正前のものであることから、現時点でも、なお、通常使用権者による違法が放置されている。これは忌忌しき事態である。
無効審判には、無秩序で不安定な違法状態を解消する治癒の目的もあるのだから、速やかにこれがなされるべきである。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
(1)事実関係
被請求人は、徳島市農業協同組合(以下「JA徳島市」という。)の佐那河内支所(徳島県名東郡佐那河内村)の組合員であり、佐那河内村産のイチゴ(以下、商標と区別するため「ももいちご商品」という。)を生産している。被請求人及びJA徳島市の他の組合員が生産したももいちご商品には、平仮名「ももいちご」の商標(甲1の贈答用化粧箱に示す商標。以下、本件商標と区別するため「ももいちご商標」という。)を使用して、平成5年より販売を開始している。
該ももいちご商品について、平成21年(行ケ)第10318号知財高裁判決(乙1)では、「ももいちご」は、...JA徳島市と栽培協定を結んだ徳島県佐那河内村の特定の農家において生産されているイチゴのブランド名である。」と認定される。
なお、本件商標登録の名義人が被請求人個人となっている理由は、JA徳島市佐那河内支所や、同文所内に設立されJA徳島市組合員で構成された「ももいちご部会」では法人格を有しないため、これら団体名義での商標登録が不可能であったためである。このため、同部会の中心メンバーであった被請求人の名義で、本件商標を取得した。よって、本件商標の使用及び管理は、被請求人本人も含めた、ももいちご部会の組合員及びJA徳島市が中心となって行っている(以下、これらを集合的に「被請求人ら」という)。
(2)商標法第3条第1項第2号違反
請求人は、「本件商標が登録されたときは、既に奈良県において「大和桃苺の別称でイチゴ品種『あかねっ娘』が販売されていた。」から、商標法第3条第1項第2号違反に該当すると主張するが、事実誤認である。
まず、大和桃苺は、被請求人らの周知商標「ももいちご」に化体した信用に便乗しようとした模倣品であり、被請求人らの警告を受けて該商標「大和桃苺」の使用は中止されている。すなわち、被請求人らが先に「ももいちご」ブランドの商品販売を開始し、周知となった後に、該「ももいちご」ブランドを模倣したのが「大和桃苺」なのであって、被請求人らが「大和桃苺」を模倣したのでない。請求人は時系列を誤解、ないしは意図的に取り違えている。また、大和桃苺が被請求人よりも先に販売されたという証拠も提出されていない。
さらに、請求人の主張するような背景が商標法第3条第1項第2号違反に該当するとの法的根拠もない。すなわち、「大和桃苺」がイチゴの名称として慣用されているという事実はないし、そもそも請求人はそのような主張自体を行っておらず、商標法第3条第1項第2号の制度趣旨を理解した上での主張であるとは到底思われない。
また請求人が自ら事実関係の調査を行った節が伺えず、単にインターネット上の信憑性の疑わしい情報のみに依拠して、日付等を確認することなく(あるいは無視して)自説を展開しているにすぎず、書証による裏付けのない独断である。また、このような事実と無関係に、商標法第3条第1項第2号違反とする違法性の論理自体が体を成していない。
(3)商標法第3条第1項第3号違反
さらに請求人は商標法第3条第1項第3号違反にも言及しているが、裁判所が「『ももいちご』」と読み得ると判断している」のに、「この判断に従えば、本件商標『百壱五』は、『100g当たり101.5円』とか、...数値を表すものでもあり得る」等と支離滅裂な主張を展開しており、失当という外ない。
(4)商標法第74条第1項第1号違反
これについては、そもそも無効理由を構成しないことから、本件の審理において認められるものでない。よって、このような不適法な主張を含む審判請求は、不適法な請求として却下されるべきである。
なお、該主張の根拠となる事実は、審判請求書6頁における「商標登録が拒絶された不登録商標であるところの、商願平6-103776号商標‥を本件商標『百壱五』であるかのように見せかけ『平成10年商標登録願第30450号』と紛らわしい表示をすること」と思われるところ、被請求人らがそのような行為をした事実は無く、いずれにしても失当である。請求人は、拒絶された商標を使用することが違法であるかのように誤解している節があり、ここでも商標の使用に関する法律概念を正しく理解していないことは明白である。
(5)商標法に規定のない、違法が重大明白なことによる無効
また請求人は併せて、違法が重大明白なことによる無効理由にも言及しているが、上記商標法第74条第1項第1号違反の主張との違いが不明である。いずれにしても、商標法に規定が無く、無効理由でないので、論ずる必要がない。
(6)権利濫用
無効審判の請求が、専ら被請求人らを害することを目的としていると認められる場合には、該請求は権利濫用として認められない。
本件においては、上述のとおり、請求人らは、被請求人らの商標である「ももいちご」、及び姉妹品である「さくらももいちご」を模倣した「桃苺」、「桜桃苺」を、被請求人らに無断で使用し、かつ権利取得(乙2?乙4)を画策している。
また、請求人自身が、本件商標に関する先の審決取消訴訟(乙5)における証人尋問に際して、遅くとも出願の時点では被請求人らのももいちご商標の存在を知っていたことを認めており、未登録周知商標であるももいちご商標の存在を知った上で、これが未登録であることを奇貨として商標登録出願を行ったものであり、不正の目的が存在することは明白である。
加えて、請求人に対し、自身の商標登録出願「桃苺」に際しては、片仮名「トーマイ」の文字のみで商標登録出願すればいいではないかと問うたところ、請求人は「それでは意味が無い、『桃苺』が欲しい」と、該商標に固執する姿勢を見せ、未登録周知商標である「ももいちご」に化体した信用に只乗りないしはこれを奪おうとする意図を明確にした。
また、現時点においても請求人らは自身のホームページにおいて「桃苺」をイチゴに使用することを止めていない。このような状況において、請求人らが「桃苺」を付したイチゴを販売する行為を放置することは、被請求人らが長年にわたって築いてきた信頼を毀損するのみならず、需要者においても品質誤認を生じ、品質上問題のある商品を誤って購入する等の不利益を被ることは明白であり、被請求人らとしては到底放置しておくことができない。
被請求人らはこのような実情に鑑み、請求人らの上記3件の商標登録出願に対して、それぞれ情報提供を行い、かつ本件商標及び被請求人らの有する周知商標の侵害、毀損行為の中止を求める警告状の送付を行った。
一方、請求人らは、不使用取消審判(1回目)を請求し、知財高裁で取り消された後は最高裁の上告まで試み、これが不成功に終わるや(取消2010-300840号)、今度は不正使用取消審判を請求し、さらには2回目の不使用取消審判を請求した。この内、不正使用取消審判については棄却審決(一部却下)が下されたが(取消2012-300729)、請求人は知財高裁に控訴した(平成25年(行ケ)10120号)。また2回目の不使用取消審判については、特許庁で係属中である。このような状況で、請求人らは本件無効審判を請求しており、都合4回目の審判請求となる。
同一の商標に対して都合4回も審判請求を行うこということ自体が異常な事態と言えるが、その内容は毎回同じ主張の繰り返しであり、一事不再理に該当する虞もある。この点を措くとしても、新たな事実の追加も無いのに中身のない審判請求を4回繰り返すという尋常ならざる事例が、依然として権利濫用に当たらないとするのであれば、おそらく「権利濫用」なる事例は現実社会に存在し得ないと言えるのではないか。
被請求人は、請求人らによる言われ無き審判請求によって本来不要な費用負担及び法律書面の確認作業等の余分な労働を過度に強いられている。被請求人が高齢であることも、このような金銭的、肉体的、精神的苦痛を大きくしている。高齢者いじめではないのか。
さらに請求人は不使用取消審判(乙5、乙6)で敗れた後、不正使用取消審判を請求し、さらに該不正使用取消審判請求が決着しないうちに、再度不使用取消審判を請求している(取消2012-300897:平成24年11月25日提出)。これらの審判は、前提となる商標の使用の有無が相互に矛盾するので、請求人の主張は信義誠実の法則に反し、禁反言に該当する。
このような状況にかんがみれば、請求人が被請求人を害することを目的として本請求を行っていることは明々白々であり、本件審判請求は権利濫用に該当する。
(7)むすび
以上のとおり、本件審判請求は成り立たない。本件については過去の審判事件及びその控訴事件も含めて既に議論は尽くされていると思われる上、結論も明白であるから、速やかなる答弁の趣旨の通りの審決を求める次第である。

4 当審の判断
(1)請求人は、本件商標の無効を請求する当事者適格を有すると主張し、具体的な無効の理由として、本件商標が商標法第3条第1項第2号、同第3号及び同第5号に該当すること、本件商標の使用が商標法第74条第1項第1号に違反する使用であること、さらにその違法が重大明白であることを理由に本件商標登録の無効を主張しているので、以下、検討する。
(2)商標法第3条第1項第2号、同第3号及び同第5号について
商標法は、第46条第1項に「商標登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その商標登録を無効にすることについて審判を請求することができる。」として、その第1号に「商標登録が第3条の規定に違反してされたとき」について規定されているが、商標登録が第3条の規定に違反してされた場合であっても、その商標登録に係る同法第46条第1項の審判は、商標権の設定の登録の日から5年を経過した後は、請求することができない(商標法第47条第1項)。
そこで、本件審判請求についてみるに、本件商標は前記1のとおり、平成11年10月8日に設定登録されたものであるが、本件審判請求は、平成25年3月23日に請求されたものであり、本件商標権の設定登録日から5年以上経過してなされているものである。
したがって、本件商標が、商標法第3条第1項第2号、同第3号及び同第5号に該当することを理由とする審判請求については、 商標法第47条第1項に規定する設定登録の日から5年の除斥期間の要件を具備しないものであって、その期間経過後にした不適法なものである。
(3)請求人の主張する「商標法第74条違反」及び「違法が重大明白なことによる無効」について
商標法第46条第1項各号に掲げられた無効理由は、限定的列挙であって、これらに該当しない限り無効審判により商標登録が無効にされることはあり得ない、いいかえれば、商標登録の当然無効ということはない(特許庁編 工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第19版〕」参照)。このようにいわゆる例示的列挙規定ではなく、制限列挙規定であるのは、一度、対世的に排他的独占権としての商標権を付与した以上、権利者の権利義務の変動効果を生じさせるには、法律の根拠を必要とするという原則(行政法における法律留保の原則)が働いていることによるものである(特許庁審判部編 審判便覧51-01 参照)。
請求人は、本件商標について「商標法第74条第1項第1号に違反であること」を理由にその無効性を主張しているが、上記請求人の主張する理由は、商標法第46条第1項に規定されているものではない。
また、請求人は、本件商標の登録に重大な違法があると主張しているが、具体的には、商標法第74条第1項第1号に違反し、その違反が重大な違法であると主張するものである。そして、商標登録の無効審判において、いわゆる当然無効を理由にその登録を無効とすることはできないし、上記具体的な理由については既に述べたとおりである。
したがって、請求人による、商標法第74条第1項第1号に違反したとの請求及び本件商標について重大な違法があるとの請求は、いずれも不適法な審判の請求である。
(4)以上のとおり、請求人が本件商標登録が無効であるとして主張する理由は、いずれも不適法であって、その補正をすることができないものであるから、商標法第56条で準用する特許法第135条の規定により、却下すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標



審理終結日 2013-06-20 
結審通知日 2013-06-25 
審決日 2013-07-09 
出願番号 商願平10-30450 
審決分類 T 1 11・ 0- X (Z31)
T 1 11・ 09- X (Z31)
最終処分 審決却下 
前審関与審査官 齋藤 貴博内藤 順子 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 谷村 浩幸
小川 きみえ
登録日 1999-10-08 
登録番号 商標登録第4323578号(T4323578) 
商標の称呼 モモイチゴ、ヒャクイチゴ 
代理人 豊栖 康弘 
代理人 豊栖 康司 
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