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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y0105
管理番号 1284214 
審判番号 取消2012-300787 
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-10-09 
確定日 2014-01-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第4928737号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4928737号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
登録第4928737号商標(以下「本件商標」という。)は、「INFINITY」の文字を横書きしてなり、平成14年2月6日に登録出願、第1類「遺伝性危険因子の同定に用いられる試験用化学品キット,その他の化学品」及び第5類「病気の診断・予見・予知及び治療ための臨床用・実験用・医療用・化学用として用いられ且つ治療方法の選択に利用されるゲノム・蛋白質的の特徴を判断する診断用化学剤並びに試験キット,治療の効能・経過を評価するための化学剤並びに試験キット,抽出物・分析物・核酸・蛋白質・ポリペプチド・抗体でなる臨床用・医学実験用に用いられる診断用化学剤,循環器系・呼吸器系・内分泌系・神経系・心臓血管系・消化器系・腫瘍系・免疫系・肺系・筋骨格系・リンパ性系・胃腸系・骨神経系・泌尿器系・腎臓系・感染症・新陳代謝系・中枢神経系疾患の治療並びに診断に用いられる薬剤,病気の診断・予見・予知及び治療のための臨床用・実験用・医療用・化学用として用いられ且つ治療方法の選択に利用されるゲノム・蛋白質の特徴を判断する診断用薬剤並びに薬剤キット,治療の効能・経過を評価するための薬剤並びに薬剤キット,遺伝性危険因子の同定に用いられる薬剤キット,抽出物・核酸・蛋白質・ポリペプチド・抗体でなる臨床用・医学実験用に用いられる診断用薬剤,その他の薬剤」を指定商品として、同18年2月17日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成24年10月23日にされたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第5号証を提出した。
(1)請求の理由
請求人の調査によれば、本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも、その指定商品について使用した事実がなく、また、それについての正当事由も存在しない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づき取り消されるべきものである。
(2)弁駁の理由
ア 被請求人が自認するとおり、本件商標が付された製品が、日本の市場で販売されておらず、日本国内における商取引の対象である商品が存在しない以上、商標法第2条第3項第1号及び第2号の「使用」に該当する行為が行われていないことは明らかである。
被請求人は、製品ラベルの見本として乙第1号証及び乙第2号証を挙げているが、いずれも日本国内における使用の証拠としては不適格である。IPI-504(乙1)は静脈注射、IPI-940(乙2)は経口により人体に投与する医薬品であることは、被請求人ウェブサイトの記載からも明らかであり(甲1ないし甲4)、このような医薬品の日本国内における販売等においては、薬事法第50条に基づき、製造販売業者等の事項を当然ながら日本語にて表示することが必須である(甲5)。そのような薬事法上の規定に基づかない製品ラベル(乙1及び乙2)は、日本国内における商取引の対象である商品に登録商標を付す行為等の証拠としては不適格であり、商標法第2条第3項第1号及び第2号の「使用」に該当する行為であるとする被請求人主張は失当である。
イ 被請求人は、日本での広告宣伝活動を行っている旨主張しているが、証拠の裏づけを欠くものである。乙第3号証、乙第4号証及び乙第6号証は、いずれも2013年(平成25年)1月の日付であり、本件審判の請求の登録が2012年(同24年)10月19日(審決注:同登録は同月23日)にされたものであることから、商標法第50条第2項の「審判の請求の登録前3年以内」(以下、「要証期間内」という。)の使用を証明する証拠としては不適格である。また、これらについて対応する日本語資料さえ準備されていないという事実は、日本での積極的な広告宣伝活動を行っているという被請求人の主張と相反する。乙第5号証は、単なる名刺の写しであり、指定商品との関連も不明な上、要証期間内に日本国内において頒布されたことの証明もされていない。
以上に述べたとおり、乙第3号証ないし同第6号証は、日本国内における商取引の対象である商品に関する広告等に登録商標を付す行為等の証拠としては不適格であり、商標法第2条第3項第8号の「使用」に該当する行為であるとする被請求人主張は失当である。
以上の理由から、被請求人は、本件商標を指定商品に使用していることについて、何ら証明をしていない。
ウ 本件商標は、平成18年2月17日に登録され、本件審判の請求の登録まで、約6年8ヶ月経過していることからすれば、被請求人主張の「広告宣伝活動を積極的に」行う時間は十分にあったはずである。それにもかかわらず、日本国内における指定商品についての登録商標の使用に関する具体的な証拠は一切示されておらず、本件商標に日本国内における使用による信頼の蓄積があるとは全く思われない。
商標法第50条の立法趣旨として、商標法上の保護は、商標の使用によって蓄積された信用に対して与えられるのが本来的な姿であり、保護すべき信用が発生していない不使用商標の存在は、商標使用希望者の商標の選択の余地を狭めることにもなるから、請求を待ってそのような商標を取り消すというものである。本件商標には保護すべき業務上の信用が発生していることを示す具体的な証拠も示されておらず、同条の趣旨に照らしても、取り消されるべきものである。

3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第6号証を提出、その後、平成25年7月16日に追加の使用証拠として、乙第7号証ないし乙第9号証を提出した。
(1)本件商標の指定商品は、試験用化学品キット及び薬剤等である。被請求人は、多くの薬剤等を製造しているが、そのうちのいくつかは臨床試験段階であり、市場での販売が許可されていないものもある。本件商標の付された製品は、現在のところ、日本の市場では販売されていないが、日本で当該製品の販売を開始するため、いくつかの日本の企業と話し合いを進めているところである。
(2)乙第1号証及び乙第2号証は、実際に製品に付されているラベルの見本であり、乙第3号証及び乙第4号証は、日本で数多くの企業とライセンス契約交渉を行った際に使用した製品の広告用資料及び被請求人の企業紹介のパンフレットである。また、乙第5号証は、日本で製品の宣伝広告活動を行った際に用いた社長及び副社長の名刺の写しであり、乙第6号証は、被請求人が発表した2013年度(平成25年度)のプレスリリースである。これらにおいて、「Infinity」は、被請求人の名称の一部でもあり、マスコミ向けに製品の開発計画や新製品の発表を行う際にも商標として使用されている。
(3)乙第7号証は、2012年(平成24年)4月から日本において日本企業と契約交渉を行う際に使用されている製品の広告用資料である。また、乙第8号証は、同年1月から行われた、被請求人副社長と日本企業A社との間での日本における製品の開発及び販売戦略についての電子書簡の写しであり、乙第9号証は、被請求人と日本企業B社との間で2009年(平成21年)に結ばれた秘密開示契約書の写しである。
(4)被請求人は、日本での販売開始に向けて、現在、日本の提携企業を探している最中であり、日本での製品の宣伝広告活動を積極的に行っている。これらの行為は、商標法第2条第3項に掲げる標章についての「使用」行為であると考える。具体的には、商品の包装に標章を付する行為及び商品の包装に標章を付したものを譲渡若しくは引渡しのために展示する行為(同項第1号)及び商品に関する広告若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布する行為(同項第8号)に該当すると考える。
(5)以上に詳述したように、被請求人は、本件商標を日本国において要証期間内に使用をしているので、請求人が主張する取消理由は理由がない。

4 当審の判断
被請求人は、本件商標の付された製品は、日本の市場では販売されていないが、日本での当該製品の販売を開始するため、日本での製品の宣伝広告活動を行っている旨主張しているところ、以下検討する。
(1)被請求人提出の証拠(訳を含む。)及び答弁の趣旨からすると、以下の事実が認められる。
ア 被請求人が「商品のラベル見本」とする乙第1号証は、第1行目に「Protocol:IPI-504-06」、第2行目に「IPI-504,844.5mg for Injection(retaspimycin hydrochloride)」の英語表示、下部に「被請求人の名称」の英語表示(Infinity Pharmaceuticals,Inc.以下同じ。)及び最下部左側に別掲に示す標章(以下「使用商標」という。)が表示されている。なお、時期を明示する表示等はみあたらない。
イ 被請求人が「商品のラベル見本」とする乙第2号証は、第1行目に「1.14.4.2.Investigational Drug Label」、第2行目に「1.14.4.2.1.Drug Product-Bottles」の数字と英語が表示され、下部の四角形輪郭内に、「IPI-940 Powder for Oral Suspension 1g」等の英語表示のほか、「被請求人の名称」の英語表示及び最下部左側に使用商標が表示されている。なお、時期を明示する表示等はみあたらない。
ウ 被請求人が「製品の広告用資料」とする乙第3号証は、英語で作成されたものであるところ、これには、表題と認められる「完全に統合されたバイオ医薬品会社の構築(被請求人提出の訳、英語表示省略、以下同じ。)」「2013年1月」を意味する英語表示のほか、「フェーズ1 血液悪性腫瘍における試用」「75mg BIDの投与量での良好な耐久性 フェーズ1 ヘム悪性腫瘍での試用」を意味する英語表示の項目等が掲載されている。そして、表紙及び項目毎に、使用商標が表示されている。
エ 被請求人が「企業紹介のパンフレット」とする乙第4号証は、英語で作成されたものであるところ、1枚目には、左最上部に使用商標が表示され、右最上部には「被請求人名称」の英語表示と「2013年1月」を意味する英語表示があるほか、「治療のターゲットと製品候補」を意味する英語表示等が掲載されている。
オ 被請求人が「名刺の写し」とする乙第5号証は、2枚の名刺が示され、その1枚目には、「ジュリアン・・・」及び「プレジデント、リサーチ&ディベロップメント」、2枚目には「ジョシュ・・・」「バイスプレジデント」及び「ビジネス&コーポレートディベロップメント」と片仮名で表示され、それぞれの上部には、使用商標が表示されている。なお、時期を示す表示等はみあたらない。
カ 被請求人が「2013年度プレスリリース」とする乙第6号証は、英語で作成されたものであるところ、表題として「インフィニティは2013年度の目標と財務ガイダンスを提供」を意味する英語が表示され、1枚目の左上部に、使用商標が表示され、連絡先の欄に「被請求人の名称」の英語表示が記載されている。
キ 被請求人が、2012年(平成24年)4月から日本において日本企業と契約交渉を行う際に使用している製品の広告用資料とする乙第7号証は、英語で作成されたものであるところ、1枚目の左最上部に使用商標が表示され、右最上部には「被請求人名称」の英語表示と「2012年4月」を意味する英語表示がある。そして、「治療のターゲット及び製品候補」として、「ヘッジホッグ-癌の進行及び再発の理解並びに攻撃の新手法」の見出しのもと、「・・・ヘッジホッグ経路の悪性活性は多様な癌の原因になります。当社はサリデジブ(saridegib)(IPI-926)であるスムーズンド(Smoothened)(Smo)を抑制する口腔分子を開発しています。・・・サリデジブは、現在、明確な生物学的仮説を探求している二つの第二相試験で評価されています。一方は、転移性あるいは局部進行性の手術不可能な軟骨肉腫患者であり、他方は、骨随線維症患者です・・・」の記載、「Hsp90-癌発症タンパク質の安定性を低下させるためのシャペロンタンパク質の利用」の見出しのもと、「・・・我社は、レタスピマイシン塩酸塩(HCI)(IPI-504)を開発しています。・・・」の記載及び「P13K-癌及び炎症疾患と戦うための重要な細胞機能」の見出しのもと、「・・・我社はIPI-145を開発しています。・・・2012年の前半に、我社は健康な成人対象者におけるIPI-145の第一相試験を成功裏に完了しました。」の記載があり、続いて「発見プラットフォーム」の見出しと説明が記載されている。
2枚目には、「悪性疾患の治療方法を変えるという我社の情熱に限界はない」の見出しに続いて、「我社独自の個人所有意識文化」及び「戦略的強力」の見出し及び各説明が記載され、同頁右下には、被請求人の英語名称ならびに、本件商標に係る商標登録原簿に記載されている被請求人住所の英語表記と認められる住所が記載されている。
ク 2012年(平成24年)1月に、被請求人副社長は、日本における製品の開発に関連する事項(秘密開示契約など)について、日本企業A社の担当者と電子メールを交換した(乙8)。なお、乙第9号証の「秘密開示契約書」には、被請求人が、2009年(平成21年)12月に、上記A社の前身である日本企業B社と秘密開示契約を結んでいた旨記載されている。
(2)上記(1)に基づいて、次のとおり判断する。
ア 使用商標の使用時期について
使用商標が表示されている乙各号証のうち、乙7号証は、「April 2012」(平成24年4月)の表示から、要証期間内(平成21年10月23日?同24年10月22日)のものと認められる。
他方、その他の乙各号証は、その使用時期が把握できないもの(乙1、乙2及び乙5)又は要証期間内より後のもの(乙3、乙4及び乙6)であることから、これらをもって、使用商標の要証期間内での使用証明がされたということはできない。
イ 使用商標について
本件商標は、「無限大」を意味する英語である「INFINITY」の文字を横書きにしてなるものであるのに対し、使用商標は、別掲のとおり、「InfInIty」(審決注:4文字目と6文字目の「I」は「n」及び「t」の文字と同じ大きさである。以下同じ。)の文字の下にリボン状の図形と小さく「PHARMCEUTICALS」の文字を配したものである。そして、使用商標において、「InfInIty」の文字とその余の文字及び図形とは、その構成態様からして明らかに分離して看取される態様であることから、顕著に表された「InfInIty」の文字部分が独立して認識されるというのが相当である。
そうすると、使用商標における「InfInIty」の文字と本件商標とは、同一綴りの欧文字からなり、「インフィニティ」の称呼及び「無限大」の観念を共通にするものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認め得るものである。
ウ 商標の使用者、使用商品及び使用場所について
(ア)要証期間内のものと認められる乙第7号証の2枚目の右下には、被請求人の英語名称及び住所が記載されていることから、当該号証は、被請求人の作成によるものと認められる。
また、上記(1)キのとおりの乙第7号証の記載からすると、当該号証は、被請求人が、癌の治療薬について臨床試験の段階にあることを説明する資料と推認できる。そして、癌の治療薬は、本件商標の指定商品の範ちゅうに属するものと認められるが、これらは、いまだ臨床試験の段階であって市場において取引されているものではない。
(イ)薬のラベル(乙1及び乙2)は全て英語表記であり、日本における医薬品の表示は「邦文により記載すること。」(甲5)とされていることからすると、当該ラベルが、日本国内で販売される薬について使用していることを証明するものとはいえない。また、当該薬のラベルは、上記アのとおり、使用時期を示す記載がなく、要証期間内の使用を証明するものでもない。
エ 小括
商標法第50条の適用上、「商品」というためには、市場において独立して商取引の対象として流通に供される物でなければならず、また、「商品についての登録商標の使用」があったというためには、当該商品の識別表示として同法第2条第3項、第4項所定の行為がされることを要するものと解されるところ(平成12年(行ケ)109号参照)、上記アないしウからすると、被請求人が、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、臨床試験の段階にある薬剤に関する資料に付していることは確認できるものの、被請求人は、本件商標を付した商品(薬剤)が、日本の市場において商取引の対象として流通に供されていることを証明してはいないから、被請求人提出の乙各号証をもって、商標法第2条第3項にいう「使用」と認めることはできない。
他に、要証期間内において、本件商標の日本国内における使用事実に関する証拠の提出はなく、また、不使用の正当理由に係る主張及び立証もない。
(3)まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件取消請求に係る指定商品のいずれかについて使用をしていることを証明していないものであり、また、被請求人は、使用していないことについて正当な理由があったことを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第2項の規定により、取消しを免れないものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲





審理終結日 2013-08-16 
結審通知日 2013-08-20 
審決日 2013-09-02 
出願番号 商願2002-8380(T2002-8380) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y0105)
最終処分 成立 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 大森 健司
村上 照美
登録日 2006-02-17 
登録番号 商標登録第4928737号(T4928737) 
商標の称呼 インフィニティ 
代理人 高橋 俊一 
代理人 岩崎 幸邦 
代理人 三好 秀和 
代理人 特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所 
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