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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2011890023 審決 商標
無効2011890101 審決 商標
無効2012890070 審決 商標
無効2014890025 審決 商標
不服200919186 審決 商標

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審決分類 審判 一部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y30
審判 一部無効 商品(役務)の類否 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y30
管理番号 1283298 
審判番号 無効2013-890034 
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2013-05-15 
確定日 2013-12-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第5281591号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5281591号商標の指定商品中、第30類「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5281591号商標(以下「本件商標」という。)は、「麹の力」の文字を標準文字により表してなり、平成18年9月7日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,酒かす,ホイップクリーム用安定剤」のほか、第29類、第31類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同21年10月8日に登録査定、同年11月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 引用商標
請求人が引用する登録第4604460号商標(以下「引用商標」という。)は、「糀の力」の文字を標準文字により表してなり、平成14年1月28日に登録出願、第5類「栄養補給飲用薬剤,滋養強壮ドリンク剤」、第30類「菓子及びパン」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」を指定商品として平成14年9月13日に設定登録され、その後、同24年4月10日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第4号証を提出している。
1 無効理由の要点
本件商標は、引用商標と類似する商標であって、本件商標の指定商品中「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」は、引用商標の指定商品中「菓子及びパン」に類似する商品である。
したがって、本件商標は、上記指定商品について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されているものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録が無効とされるべきものである。
2 詳細な無効理由
(1)商標の類似性
本件商標は、標準文字にて「麹の力」と書してなるのに対して、引用商標も同じく標準文字にて「糀の力」と書してなるものである。
ここで、両商標の相違点である「麹」と「糀」との漢字について、漢字辞典の「麹」の項目には、「こうじ。米・麦・豆などを蒸して、まるくにぎっておき、こうじ菌を繁殖させたもの。酒・しょうゆ・みそをつくるのに用いる。」とあり、それに続けて「『こうじ』は『糀』とも書く。」との記載がある。これに対して「糀」の項目には「こうじ。米・麦・豆・ぬかなどを蒸し、コウジ菌を混入し、繁殖させたもの。酒・醤油などの醸造に用いる。」と記載されており(甲第1号証)、「麹」と「糀」とは観念及び称呼の点において、ほぼ同一である。
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、観念及び称呼の点においてほぼ同一であり、外観においても同一とまではいえないが、「麹」と「糀」の文字は画数の多い漢字という点で共通した印象を与え、それに続く「の力」の部分は共通であるから、外観上の印象も近似するものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、その観念及び称呼を共通にし、外観上の印象も近似するものであるから、全体として類似商標と解すべきものである。
(2)指定商品の類似性
本件商標の指定商品中、第30類の「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」は、以下のとおり、引用商標の指定商品中の第30類「菓子及びパン」に類似する。
本件商標の指定商品中の「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」は、いずれも基本的には小麦粉を原料とするパン生地を使用するものであり、食パンにハムなどを挟んだものが「サンドイッチ」であり、バンズといわれる丸パンにハンバーグを挟んだものが「ハンバーガー」というように、その原材料や料理・調理方法からみても基本的には類似する商品であるといえる。
次に、一般需要者がそれら商品を購入する際の取引の実情からみても、一般的な「パン屋、ベーカリー」といわれる店舗において、例えば「サンドイッチ」や「ピザ」、「ホットドッグ」等はごく普通に同じ陳列棚に配されるし、「ミートパイ」についてもパイ生地を使用した菓子パン(例えばアップルパイなど)を取り扱う「パン屋、ベーカリー」においては同じく取り扱われているという実情がある(甲第2号証)。
以上のとおり、本件商標の指定商品中、第30類の「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」は、引用商標の指定商品中の第30類「菓子及びパン」に類似する。
(3)類似商品・役務審査基準〔国際分類第10版対応〕
上記のとおり、「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」と「菓子及びパン」とは、その原材料や料理・調理方法・商品提供の場所・提供の態様・取扱業者等のいずれにおいても類似するものであるが、この事実は、特許庁商標課編による類似商品・役務審査基準[国際分類第10版対応]において裏付けられるものである。
類似商品・役務審査基準〔国際分類第10版対応〕は、平成24年1月1日に施行されたものであるが、平成18年2月の産業構造審議会知的財産政策部会報告書「商標制度の在り方について」等においても、当時の「類似商品・役務審査基準」について経済の実態や取引の実情に合致したものに変更すべきとの要請もあり、「商品及び役務の類否関係を経済の実態や取引の実情に合致したものに変更」されたものである(甲第3号証)。
この類似商品・役務審査基準[国際分類第10版対応]においては、第30類の「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」の各商品について、互いに類似する商品であることが明記されている(甲第4号証)。
このように、「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」と「菓子及びパン」との類似性が明記された類似商品・役務審査基準の施行は、平成24年1月1日ではあるものの、平成18年の時点から既に当時の類似商品・役務審査基準の経済の実態や取引の実情への不適合が指摘されており、本件商標の登録日である平成21年11月20日の時点において、上記各商品はいずれも互いに類似するものであったといえる。
(4)除斥期間
本件商標の登録日は、平成21年11月20日であるから、商標法第47条第1項除斥期間の定めは問題とならない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、その登録時点(平成21年11月20日)において、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されているものであるから、同法第46条第1項第1号により無効とされるべきものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出している。
1 請求人の主張について
(1)請求人は、本件商標の指定商品中、第30類の「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」は、引用商標の指定商品中、第30類の「菓子及びパン」に類似すると主張し、その理由として、「食パン、バンズ」と「サンドイッチ、ハンバーガー」との原材料が共に小麦粉であり、原材料からみても基本的に類似していると主張しているが、この請求人の主張は失当である。
「食パン、バンズ」の原材料は、小麦粉であるが、「サンドイッチ、ハンバーガー」の原材料は、食パン、バンズである。
平成21年11月20日の時点において、「類似商品・役務審査基準」における「パン」には、「食パン、バンズ」のほか、「あんぱん、クリームパン、ジャムパン」等の菓子パンが含まれているところ、「食パン、バンズ」は消費者庁が告示しているパン類品質表示基準(乙第1号証)における「食パン」に相当し、「あんぱん、クリームパン、ジャムパン」等の菓子パンは、同基準における「菓子パン」に相当し、「サンドイッチ、ハンバーガー、ホットドッグ」は、「その他のパン」に相当するものであり、パン類の品質表示上も明確に区別されている。
実際、市場で販売されている「食パン、バンズ」の袋には商品名として「食パン」と、「あんぱん、クリームパン、ジャムパン」等の菓子パンの袋には商品名として「菓子パン」と、「サンドイッチ、ハンバーガー、ホットドッグ」の袋には商品名として「調理パン、惣菜パン」と、それぞれ表示されており、市場でも別の種類のパンとして明確に区別されている。
請求人は、これらのパンが同じ陳列棚に配されていると主張しているが、コンビニエンスストアやスーパー等において、「食パン」、「菓子パン」、「調理パン又は惣菜パン」は、明確に区別して陳列されており、あんぱんとクリームパンとの間にサンドイッチやホットドッグが配置されていることはなく、また、サンドイッチやホットドッグの間に食パンが配置されていることもない。
また、需要者側からみても、食パンは、ご飯の代わりに、惣菜等の副食物と一緒に主食として食すものであり、菓子パンは、その名のとおり、朝昼晩の三食以外の時にデザートとして食すものであり、惣菜パンや調理パンは、惣菜等の副食物なしに、それ自体を食事として食するものであるため、用途が異なる。
(2)「肉まんじゅう」については、通常店舗では、蒸し器に入れられて販売されているので、食パンや菓子パン等とは明確に区別して販売されており、需要者も明確に区別して購入をしていると考えられる。
(3)「ミートパイ」は、ひき肉の具を包んで焼いたパイであり、「アップルパイ」は、リンゴの果肉を包んで焼いたパイであるところ、「アップルパイ」をデザートとして食す需要者はいても、「ミートパイ」をデザートとして食す需要者はおらず、「ミートパイ」は、惣菜として売られ、惣菜として買われるものであり、食パンや菓子パン等とは、明確に区別されていると考えられる。
(4)上記のように、「サンドイッチ、肉まんじゅう、ハンバーガー、ピザ、ホットドッグ、ミートパイ」と「菓子及びパン」とは、消費者庁が告示しているパン類品質表示基準も明確に区別され、市場においても、異なる種類の商品として商品名(食パン、菓子パン、惣菜パン・調理パン)が表示され、さらに、同じ陳列棚に並べられることがあったとしても、明確に区別して並べられているものであり、需要者も、主食として食すものか、デザートとして食すものか、食事として食すものかを明確に区別して異なる目的を持って購入していると考えられる。
よって、平成21年11月20日の時点において、「サンドイッチ、肉まんじゅう、ハンバーガー、ピザ、ホットドッグ、ミートパイ」と「菓子及びパン」とは、「類似商品・役務審査基準」に記載されているように非類似の商品であると確信する。
2 類似商品・役務審査基準について
特許庁が公表している商標審査基準における「九、4条1項11号(先願に係る他人の登録商標)11」には、「商品の類否を判断するに際しては、次の基準を総合的に考慮するものとする。この場合には、原則として、類似商品・役務審査基準によるものとする。」と記載されている。
請求人は、単に「サンドイッチ、肉まんじゅう、ハンバーガー、ピザ、ホットドッグ、ミートパイ」と「菓子及びパン」とが、平成21年11日20日の時点において類似しているものであったと主張しているだけであり、実際に、平成21年11日20日の時点においてこれらの商品が類似していたことを裏付ける証拠が何ら提出されていない。甲第2号証についても日付が不明である。
「類似商品・役務審査基準」による商品等の類似は推定の扱いであるので、取引の実際における商品の取り扱いなどを立証して、その基準の扱いを覆すことは可能であるが、「類似商品・役務審査基準」は、取引きの実情に基づいて行政庁である特許庁が定めたものであり、長い間同基準に基づいて特許庁において類否判断の運用がなされ、出願人側からも尊重されているので、単なる請求人の主張のみで、同基準の類否判断が変わることは権利の安定性の面からみても好ましくないと思料する。
3 まとめ
以上説明したように、請求人の主張は失当であり、「サンドイッチ、肉まんじゅう、ハンバーガー、ピザ、ホットドッグ、ミートパイ」と「菓子及びパン」とは類似するものではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効にすべきものではない。

第5 当審の判断
1 本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、「麹の力」の文字からなり、引用商標は、「糀の力」からなるものであるから、両商標からは、いずれも「コウジノチカラ」の称呼を生ずることは明らかである。
そして、本件商標と引用商標とは、外観上、「麹」と「糀」の文字とを異にするのみであり、しかも、「麹」及び「糀」の文字は、いずれも、「こうじ菌を繁殖させたもので、酒、醤油などを醸造するために用いられる。」を意味する語(甲第1号証)として知られているものであって、同義といえるものであるから、本件商標と引用商標とは同様の観念を想起させるものというべきである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念を共通にする類似の商標である。
なお、本件商標と引用商標とが類似するものであることについては、被請求人は争っていない。
2 指定商品の類似性について
(1)請求人は、本件商標の指定商品中の第30類「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」と引用商標の指定商品中の第30類「菓子及びパン」とは類似する商品である旨主張するので、この点について検討する。
(2)ところで、「指定商品が類似のものであるかどうかは、商品自体が取引上誤認混同の虞があるかどうかにより判定すべきものではなく、それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認される虞があると認められる関係にある場合には、たとえ、商品自体が互に誤認混同を生ずる虞がないものであつても、・・・類似の商品にあたると解するのが相当である。」(最高裁昭和33年(オ)第1104号、昭和36年6月27日第三小法廷判決参照)とされている。
(3)これを本件についてみるに、本件商標の指定商品中の「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」は、請求人が主張するように、いずれも基本的には小麦粉を原料とするパン生地を使用するものであることは周知の事実である。
これら個々の商品については、例えば、岩波書店発行「広辞苑第6版」によれば、「サンドイッチ」は、「(イギリスの政治家サンドイッチ伯(4世1718?1792)の創案という)薄く切ったパンの間にハム・卵・野菜などを挟んだ食物」、「肉まんじゅう」は、「肉などを入れた饅頭。中華饅頭。」、「ハンバーガー」は、「ハンバーグステーキを丸いパンに挟んだもの。バーガー。」、「ピザ」は、「発酵させた小麦粉の生地を薄くのばし、トマトソースや野菜・魚介・チーズなどさまざまな具をのせ、焼いた食物。ピザパイ。ピッツァ。」、「ホットドッグ」は、「温めた細長いロールパンに切り目を入れ、芥子などを塗り、熱いソーセージを挟んだ食物」、「ミートパイ」は、「挽肉入りの具を包み込んで焼いたパイ」とそれぞれ説明されているように、いずれも親しまれた食物であって、日常一般に食されるものといえる。
他方、引用商標の指定商品中の第30類「菓子及びパン」については、前掲「広辞苑第6版」によれば、「菓子」は、「(「菓」はくだものの意)常食のほかに食する嗜好品。昔は多く果実であったが、今は多く米・小麦の粉、餅などに砂糖・餡などを加え、種々の形に作ったものをいう。和菓子と洋菓子とに大別。これに対し果実を水菓子という。」、「パン」は、「小麦粉(またはライ麦その他の穀粉)を主材料とし、これに水とイーストなどを加えてこね、発酵させてから焼き上げた食品。」とそれぞれ説明されているように、やはり、いずれも親しまれた食物であって、日常一般に食されるものといえる。
そして、昨今は、需要者の洋食化や嗜好の多様化などにより、肉まんじゅう、ピザ、ミートパイや菓子パンを含むパンなどを常食としたり、おやつとして食するなど、いずれも、老若男女によって日常一般に食されるものであり、例えば、山崎製パン株式会社などの製パン会社が食パン、菓子パン、洋菓子等と共にサンドイッチや中華まん(肉まんじゅう)を製造販売していることが認められる。
また、例えば、ヴィドフランス(http://www.viedefrance.co.jp/)やスワンベーカリー(http://www.swanbakery.jp/)などの「パン屋、ベーカリー」といわれるような店舗では、「サンドイッチ、肉まんじゅう、ハンバーガー、ピザ、ホットドッグ、ミートパイ」と「あんぱん、クリームパン、ジャムパン、食パン、バンズ」等のパン類とが同一店舗において取り扱われ販売されているといえる。
そうすると、「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」と「菓子及びパン」とは、生産部門、販売部門が一致することが多く、用途や需要者の範囲も一致するものといえる。
かかる事情の下に、引用商標と類似する本件商標がその指定商品中「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」について使用された場合、これに接する取引者、需要者は、該商品が引用商標を使用した「菓子及びパン」と同一の営業主によって製造又は販売されたものであるかのように、商品の出所について誤認混同するおそれがあるものというべきである。
上記のような取引の実情を考慮して検討すれば、本件商標の登録査定時において、本件商標の指定商品中の第30類「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」と引用商標の指定商品中の第30類「菓子及びパン」とは、類似するものといわざるを得ない。
3 類似商品・役務審査基準について
本件商標は、平成18年9月7日に登録出願され、同21年10月8日に登録査定されたものであって、本件商標の登録出願時には、同14年1月1日に発効の「標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関するニース協定」に基づく国際分類「第8版」を履行するために一部改正された商標法施行令別表及び同法施行規則別表が施行され、これらの改正に対応した「類似商品・役務審査基準」(国際分類第8版対応)が運用されていた。
上記類似商品・役務審査基準によれば、第30類に属する「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」と「菓子及びパン」とは非類似の商品として例示されていた。
その後、上記国際分類は、第9版の改訂を経て、改訂第10版が平成24年1月1日に発効し、それに対応して商標法施行令別表及び同法施行規則別表の一部改正が行われ、「類似商品・役務審査基準」も国際分類第10版対応として変更され同日から運用されている。そして、国際分類第10版対応の「類似商品・役務審査基準」では、上記「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」と「菓子及びパン」とは類似する商品として例示されている。
上記「類似商品・役務審査基準」(国際分類第10版対応)での変更は、
平成18年2月の産業構造審議会知的財産政策部会報告書「商標制度の在り方について」において、「類似商品・役務審査基準」を経済の実態や取引の実情に合致したものに変更すべきと要請されたことにもよるとされている(甲第3号証)。
そして、上述のように、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」と「菓子及びパン」とは非類似の商品として例示されていたとしても、上記2で述べたとおり、両商品の製造場所及び販売場所の同一性並びに需要者の同一性などの実情からすれば、類似の商品であったというべきであり、上記「類似商品・役務審査基準」の変更経緯をも合わせ考慮すると、本件商標の登録査定時において、「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」と「菓子及びパン」とは、類似する商品として取り扱うのが相当であったといわざるを得ない。
4 むすび
以上のとおりであるから、本件商標は、その指定商品中、第30類「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであり、同法第46条第1項の規定に基づき、上記指定商品についての登録を無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-10-30 
結審通知日 2013-11-01 
審決日 2013-11-14 
出願番号 商願2006-83487(T2006-83487) 
審決分類 T 1 12・ 26- Z (Y30)
T 1 12・ 264- Z (Y30)
最終処分 成立  
前審関与審査官 保坂 金彦 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 田中 亨子
手塚 義明
登録日 2009-11-20 
登録番号 商標登録第5281591号(T5281591) 
商標の称呼 コージノチカラ、チカラ 
代理人 浜野 孝雄 
代理人 特許業務法人共生国際特許事務所 

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