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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X30
管理番号 1283239 
審判番号 無効2012-890032 
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-03-27 
確定日 2013-12-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第5227427号商標の商標登録無効審判事件について平成24年10月12日にした審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成24年(行ケ)第10403号 平成25年3月28日判決言渡)があり、同判決が確定したので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 登録第5227427号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5227427号商標(以下「本件商標」という。)は、「ボロニアジャパン」の片仮名を標準文字で表してなり、平成20年7月11日に登録出願、第30類「菓子及びパン」及び第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、同21年4月10日に登録査定、同年5月1日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第33号証を提出し、その後上申書により追加の証拠として甲第34号証ないし甲第106号証を提出した。
2 請求の理由
(1)引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由として引用する登録第4724156号商標(以下「引用商標」という。)は、「BOLONIYA」の欧文字と「ボロニヤ」の片仮名を二段に横書きしてなり、平成8年5月28日に登録出願、第30類に属する「菓子及びパン」のほか商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同15年11月7日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(2)商標法第4条第1項第11号に該当する理由
ア 引用商標の著名性
(ア)引用商標の使用開始時期
請求人は、1979年(昭和54年)に京都の祇園においてパンの製造・販売店「ボロニヤ・BOLONIYA」をオープンし(甲4)、その後、1989年(平成元年)にデニッシュ食パンを発売したところ、全国的に一大ブームを巻き起こす程のヒットとなり、引用商標は、請求人並びにその関連会社である株式会社東京ボロニヤ(以下、まとめて「請求人等」という。株式会社東京ボロニヤの代表者は、請求人代表者の夫でありデニッシュ食パンの開発者である濱田満氏。)が製造・販売するデニッシュ食パンの商標として全国的に周知・著名となった。
引用商標の使用開始時期については、甲第4号証ないし甲第7号証により証明する。
(イ)引用商標の由来
請求人は、創業当初よりハム類の販売を手がけていたところ、京都祇園においてパンの製造販売を始めるにあたり、もともとはソーセージの商標であった「ボロニヤ」をパン屋の屋号として採択した経緯がある(甲8、甲9)。このことは、「パンシェルジュ検定」を実施するホームメイド協会監修の同検定公式テキストにおいて、デニッシュ食パンの考案者が「京都祇園ボロニヤ」と明記されていることからもみて取ることができる(甲10)。
(ウ)引用商標の周知・著名性
請求人が開発したデニッシュ食パンは、そのジャンルの先駆け的存在であり、バターをたっぷり使いパイの様に何層にも折り重ねられているのが特徴で、そのバターの風味とふんわりまろやかな食感で人気を博し、評判が口コミで広がるにつれて雑誌の記事等で採り上げられることも多くなり、焼き上げるそばから売り切れる程の超ヒット商品となった。例えば、雑誌「サンデー毎日」では、「ボロニヤのデニッシュ食パン」の発案者として、上述の濱田満氏のカラー記事が掲載された(甲11)ほか、需要者のアンケート結果に基づくグルメムックやランキング雑誌に取り上げられているのを始め(甲12、甲13)、全国的に評判の商品として、請求人等の製造・販売にかかるデニッシュ食パンが引用商標と共に度々雑誌等で紹介されている(甲14?甲24)。その後もテレビ番組の「おいしいパン屋さん」特集で取り上げられるなど(甲25)、現在までその周知・著名性は継続している。
イ 本件商標と引用商標の類似性
(ア)称呼上の類似
本件商標は、「ボロニアジャパン」の片仮名からなり、その構成中「ジャパン」の文字は、「日本」を表す語としてよく知られているものであり、取引者、需要者によっては、「ボロニア」の文字と「ジャパン」の文字を組み合わせてなる商標と認識、把握する者も少なからずいるとみるのが自然である。
そして、「ジャパン」の文字は、多数の者が様々な商品や役務について使用する(甲26)、いわゆる「ウィークマーク」であって、十分な自他商品・役務識別機能を発揮し得ない文字とみるべきである。加えて、「ジャパン」「JAPAN」及び「日本」といった我が国を表す文字は、食品の分野では、原材料等の産地表示としても一般的に用いられるものであるため、本質的な自他商品・役務識別力についても、極めて弱いものといわざるを得ない。
そうとすると、本件商標に接する取引者、需要者は、「ボロニア」の文字に着目し、該部分をもって自他商品・役務の識別標識としてとらえ、該部分により取引に当たることもあり得るとみるのが相当であって、本件商標は、「ボロニア」の文字部分に相応して、「ボロニア」の称呼をも生じるとみるべきである。
一方、引用商標は、欧文字「BOLONIYA」と片仮名「ボロニヤ」を二段に配した構成からなるため、その構成に即して「ボロニヤ」の称呼が生じる。
そこで、本件商標と引用商標の称呼を対比すると、本件商標から生じる称呼「ボロニア」と、引用商標から生じる称呼「ボロニヤ」は、末尾に「ア」と「ヤ」の差異を有するものの、その差異音にしても母音(a)を共通にする近似した音であって、聴別し難い末尾に位置しているため、両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合には、全体の語調、語感が近似し、彼此聴き誤るおそれのあるものである。
(イ)外観上の類似
上記のとおり、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標を構成する「ボロニア」の文字に着目し、該部分により取引に当たることもあり得るとみるのが相当であるところ、かかる「ボロニア」の文字は、引用商標を構成する「ボロニヤ」の文字部分と3文字が共通するものであるから、両商標は外観上も相紛らわしく、看者をして近似した印象を与えるものである。
(ウ)小活
以上より、本件商標と引用商標は、観念を対比するまでもなく、称呼において類似し、また、外観上も近似した印象を与えるものであるから、引用商標の周知・著名性も含めて総合的に勘案すれば、両商標は彼此相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。また、本件商標の指定商品及び指定役務は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号に該当する理由
ア 引用商標と本件商標との混同について
上記(2)ア、イのとおりの引用商標の著名性と、本件商標と引用商標との類似性、及びそれぞれの指定商品・役務の類似性を考慮すれば、被請求人が本件商標をその指定商品・役務に使用した場合、請求人の業務に係る商品・役務と混同を生じるおそれがあることは明らかである。このことは、現に、請求人の需要者等から被請求人との関係について問い合わせをしばしば受けることからもみて取ることができる。
例えば、「最近ボロニアジャパンというお店を見掛けますが関係あるのでしょうか」との問い合わせや(甲27)、「楽天ショップにボロニアジャパン…というお店がボロニヤのパンを売っていますが、御社とは全部違うのでしょうか?皆、同じように見えるのですが?」との問い合わせ(甲28)、「当店ボロニヤさんとボロニアジャパンさんは全く関係のないのでしょうか?知らずに何度かボロニアジャパンさんでパンを購入しています。」との問い合わせ(甲29)、「確認しましたら偽物でした。参考までに…京都
祇園ボロニア Japan Tokyo…」との情報提供(甲30)など、枚挙にいとまがない程である。
なお、平成23年10月21日付け通告書にて、本件商標の使用権者であって商品「デニッシュ食パン」等に本件商標を使用している株式会社ボロニアジャパン(甲31)に対し、引用商標に係る商標権を尊重し、本件商標の使用を中止するよう要請を行ったところであるが(甲32)、同社より本件商標の使用中止要請には応じられない旨の回答を受けたため、今般、本件商標に対する無効審判を請求した次第である。
イ 小活
以上より、両商標の近似性や本件商標の周知・著名性、指定商品・役務の類似性、現実に需要者等の間で出所の混同が生じている事実等を勘案すれば、被請求人が、本件商標をその指定商品・役務について使用した場合、出所について混同するおそれがあるのは明白である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当する理由
ア 被請求人は、請求人との間で締結した平成11年4月30日付け基本合意書(甲33)にあるとおり、請求人の了解のもと、「ボロニヤ」を使用してデニッシュ食パンの製造・販売を行う株式会社ボロニヤの設立に参加し、同社の承認を得て、ライセンシーとしてデニッシュ食パンの製造・販売を行っていたものであるが、平成10年3月1日から支払われるべきロイヤリティが支払われず、同11年5月1日をもってその関係が解消されたものである(基本合意書:第1条及び第4条)。
提携関係が解消された以上、請求人が引き続き「ボロニヤ」やこれに類似する商標を使用すると、その出所につき混同が生じることは明らかであるため、請求人は、被請求人及びその関係会社等が「ボロニヤ」またはこれに類似する商標等の使用を廃止・破棄することと、今後もかかる「ボロニヤ」やこれに類似する商標等の使用(第三者への許諾を含む)を行わないことの誓約を求め(基本合意書:第4条)、被請求人はこれに応じ、合意に至ったものである。
それにもかかわらず、被請求人は、「ボロニヤ」に類似する本件商標を無断で出願及び登録を行い、これを前述の株式会社ボロニアジャパンに使用させているのであるから、かかる被請求人の行為は、当該基本合意書の趣旨及び文言に反するものであって、当事者間のみならず、「ボロニヤ」に化体した信用を信じて商品を購入する取引者、需要者の期待も裏切る行為であり、決して認容されるものではない。
かかる被請求人の行為は、社会通念上商道徳に反するものであり、公正な商取引秩序を乱すおそれがあるばかりでなく、ひいては、公の秩序を害するおそれがあるものというべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
イ 上記のとおり、被請求人は、当事者として株式会社ボロニヤの設立に参画していたのであるから、引用商標の周知性についても十分に知悉していたはずであり、これに類似する本件商標を使用することで、取引者、需要者の間に混乱を引き起こすであろうことは十二分に理解していたはずであるにもかかわらず、あえて周知・著名な引用商標に類似する本件商標を登録出願し、他人に使用させる行為は、周知・著名な引用商標の有する指標力の稀釈化(いわゆるダイリューション)を招くおそれがあることに加え、引用商標に化体した信用や名声、顧客吸引力を利用するフリーライド等の不正の目的をもってなされたものにほかならないため、取引上の信義則に反するというべきである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
3 結語
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号、同第7号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項第1号により無効とされるべきものである。

第3 被請求人の主張
1 答弁の趣旨
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
2 答弁の理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 外観について
本件商標は、「ボロニアジャパン」の片仮名8文字が横方向に連続して配されてなることから、これに接する取引者、需要者は、本件商標を全体的にとらえて一体的に把握するというのが通常である。
一方、引用商標は、「BOLONIYA」の欧文字を上段に、「ボロニヤ」の片仮名を下段にそれぞれ表示してなるものであり、これに接する取引者、需要者は外観上一定間隔をあけて上下に配された各語を、それぞれ別個にとらえ、「BOLONIYA」並びに「ボロニヤ」と把握するものである。 してみれば、引用商標は「BOLONIYA」の欧文字部分を有し、さらには、本件商標の一部分をなす「ジャパン」の表示と対比されるものが外観上実在していないことから、外観において本件商標とは著しく相違するものである。
イ 称呼について
本件商標は「ボロニアジャパン」という称呼を生じるのに対して、引用商標は「ボロニヤ」の称呼を生じるものである。
そうすると、引用商標は、称呼される全体の音数が本件商標と3音も相違し、本件商標において相対的に強く称呼される「ジャパン」に相応する称呼が一切生じ得ず、さらには、引用商標「ボロニヤ」の称呼の音調に高低がはっきり生じる一方で、本件商標の一部である「ボロニア(ジャ)」の称呼には音調の高低が殆ど生じないことから、両者は、聴者に与える称呼の全体的印象が著しく相違するものである。
ウ 観念について
本件商標は、一体的な外観をなし、一連の称呼を生じるものであるため、部分的に離反して特定の観念が生じるものではない。
一方、引用商標は、我が国においても広く知られているイタリアの都市の名称「ボロニヤ(Bologna)」を容易に把握、連想させ得るものであるから、そのような観念を生じるものである。
してみれば、本件商標は、特定の観念が生じないものであるのに対し、引用商標は「イタリアの都市の名称」という特定の観念が生じるものであるから、両者は観念において著しく相違するものである。
エ 小活
以上のように、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念の各要素において明らかに相違するため、これらを総合的に考察すれば、本件商標と引用商標とは類似する関係にはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
周知性の判断時について
商標法第4条第1項第15号は、少なくとも本件商標の登録出願時及び登録査定時のそれぞれの時点において、請求人の使用する商標が一定以上の周知性を備えていることを要件とする(商標法第4条第3項)。しかしながら、請求人が提出した甲第9号証ないし甲第25号証によって、上記の時点における同甲号証により特定される商標(以下「請求人使用商標」という。)の周知性を立証することはできない。
甲第9号証及び甲第11号証ないし甲第23号証は、本件商標が登録査定を受けた時点から10年近く前に発行等されたものであるから、これらの甲各号証の存在により、仮に、請求人使用商標が一定の周知性を有していたとしても、これらによって立証される事実はあくまでも本件商標が登録査定を受けた時点から10年近く前の時期における周知性であり、少なくとも本件商標の登録出願時及び登録査定時において請求人使用商標は周知ではなかった。また、これらの証拠により、請求人使用商標の周知性を証明することは、量的・質的に極めて乏しく、これら甲各号証が発行された当時においても請求人使用商標が周知であったと立証することはできず、「誰の」使用する商標として「どの」商標が周知なのかについて、一貫性がなく、はっきりとしない。
甲第10号証、甲第24号証及び甲第25号証は、本件商標の登録査定時よりも後の時点で登場したものであり、しかも、甲第25号証では何らかの番組がテレビにて実際に放送されたという事実を確認することができない。
したがって、請求人使用商標は甲第9号証ないし甲第25号証によって周知であるという主張には理由がないものである。
イ 混同に係る証明事実について
甲第27号証ないし甲第30号証として、Eメール文章の印刷物が示されているが、当該印刷物の件数はわずか4件であり、また、このようなEメールは、意図的に作出することが極めて容易なものであることから、証拠資料として認定できるものではない。
したがって、これら甲各号証により、本件商標と引用商標との間に混同が生じていると証明することはできない。
ウ 他の商標登録無効審判(無効2004-89064)について
本件商標が登録出願される前の時期に審理された他の無効審判において、既に、請求人使用商標の周知性は平成16年(2004年)2月16日という時点において否定されていた(乙2)にもかかわらず、本件の商標登録無効審判では、その時点の前後はおろか、平成11年(1999年)7月以降から本件商標の設定登録日までの間を発行日とする証拠資料を何ら一切提出していない。
したがって、乙第2号証を参照しつつ甲第9号証及び甲第11号証ないし甲第23号証の発行日等を確認すれば、請求人使用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において周知であったとは認めることができない。
エ その他
株式会社東京ボロニヤの閉鎖事項全部証明書(乙3)によれば、引用商標の周知性をけん引する役割を担うはずの株式会社東京ボロニヤは、平成20年10月29日の時点で破産手続が開始されている。
そうすると、請求人使用商標を使用した事業は、1999年以降から衰弱の一途をたどり、本件商標が登録出願された頃には、請求人使用商標の周知性を議論できないほど、相当に弱体化していたことが推認され、請求人使用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において周知であったとは認めることができない。
オ 小活
以上のように、本件商標は、請求人に係る商品と混同を生じるおそれはなく、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
(3)商標法第4条第1項第7号について
ア 社会的妥当性を欠くような行為について
本件商標は、自己の業務に係る適切な範囲の指定商品及び指定役務を指定した上で、正当に登録出願されたものであり、拒絶理由通知書に示された引用商標を含む拒絶理由に対して、意見書の提出を行った結果、商標登録されるに至っている(乙1)。
つまり、引用商標が既に商標登録されていた段階で、被請求人は、本件商標を登録出願したのであって、他人が優先的な使用権原を有するものと認められる商標をそっくりそのまま「先回りして」登録出願したのではない。
したがって、被請求人による本件商標の登録出願の行為に、何一つといって社会的妥当性を欠くような行為が存しないことは明らかである。
ちなみに、請求人が提出する甲第31号証によっても明らかなように、被請求人は、ライセンシーである株式会社ボロニアジャパンとともに、登録商標である本件商標を、その指定商品及び指定役務に対応する具体的商品等に使用する一方で、請求人に対して自己が保有する本件商標に係る商標権を行使した事実は一切ない。このような登録商標の使用行為になぜ、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するような公益的無効理由である「公序良俗違反」が生じるのか到底理解することができない。
イ 基本合意書について
請求人は、甲第33号証の基本合意書を示したうえで、本件商標についての一連の行為が同号証に示された内容の趣旨及び文言に反するものであるから、公序良俗違反に該当すると主張している。
しかしながら、甲第33号証における契約事項は、株式会社三創が「ボロニヤ」やこれに類似する商標等を使用しないというものであって、上記したとおり、本件商標は引用商標と非類似の商標であることから、その前提を欠いているものである。しかも、甲第33号証は、基本合意書の複製物であると認められるところ、この基本合意書は、6者の当事者間においてなされた基本合意を証するものである。したがって、当該基本合意書に関する解釈等に齟齬が生じたとしても、その解釈等の齟齬は私的問題として6者の当事者間においてのみ生じるものであって、私的問題を著しく逸脱するほどの信義則に反する行為等が客観的に存在しない限り、当事者以外の第三者にまで広く波及し社会公共の利益を損ねるという商標法第4条第1項第7号の公益的な問題が生じるものではない。
上記したとおり、被請求人は、基本合意書に反する行為等を一切行っておらず、被請求人の行為について、商標法第4条第1項第7号に関わる問題は存在しない。
ウ 小活
以上のように、本件商標は、商標それ自体が、公の秩序又は善良の風俗を害するものではないことは明らかであり、また、本件商標の登録出願の経緯に何ら社会的妥当性を欠くものはないため、商標法第4条第1項第7号に違反するものではない。
(4)商標法第4条第1項第19号について
上記したとおり、請求人使用商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者、取引者の間に広く認識されている商標ではなく、また、本件商標は、請求人使用商標と同一又は類似関係にはない。
そして、本件商標は、自己の業務に係る適切な範囲の指定商品及び指定役務を指定した上で登録出願し、商標登録されたものであり、請求人使用商標と同一又は類似の商標が、我が国で登録されていないことを奇貨として登録出願したのではないことは明らかである。
また、請求人使用商標は、上記したとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、何ら周知性を備えていないものであるから、本件商標が登録されたことによって、請求人使用商標の出所表示機能が稀釈化したり、請求人使用商標の名声等が毀損されたりということは、生じ得ないものである。しかも、被請求人は、請求人に対して自己が保有する本件商標に係る商標権を行使したという事実は一切ない。
したがって、本件商標は、「不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。)をもって使用するもの」という要件を満たすものではなく、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものではない。
(5)結語
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号、同第7号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、その商標登録が無効であるとする請求人の主張は、いずれも根拠のないものである。
第4 当審の判断
1 引用商標の著名性について
請求人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
(1)引用商標について
ア 請求人は、昭和40年に、食料品の販売及びこれに附帯する一切の業務を目的として設立された(甲3)。
イ 請求人は、昭和54年に京都市の祇園においてパンの製造・販売店「ボロニヤ・BOLONIYA」をオープンした。請求人は、元々はソーセージの名称「ボロニヤソーセージ」に用いられていた「ボロニヤ」をパン屋の屋号として採択し、屋号を「京都祇園ボロニヤ」と称した(甲4、甲8、甲9)。
ウ 請求人代表者の夫である濱田満氏は、平成元年頃デニッシュ食パンを考案し、「BOLONIYA」又は「ボロニヤ」という商標を付したデニッシュ食パン(以下「請求人商品」という。)の発売を開始した(甲4、甲9、甲10)。
エ 請求人商品は、デニッシュ食パンの先駆けであり、バターをたっぷり使いパイのように何層にも折り重ねられているのが特徴で、そのバターの風味とふんわりまろやかな食感で人気を博し、評判が口コミで広がって、請求人は、平成5年頃には、行列のできる店として評判になった(甲15、甲19)。
オ 請求人は、平成8年5月28日、「BOLONIYA」の欧文字と「ボロニヤ」の片仮名を二段に横書きしてなり、第30類「菓子及びパン」を含む商品を指定商品とする引用商標について商標登録出願し、平成15年11月7日、設定登録を受けた(甲2)。
カ 請求人及び請求人商品については、「ぴあ 関西版」(平成7年10月3日号。甲14)において、「京都の人気モノ」としてボロニヤ錦店のデニッシュパンについて、「ウワサがウワサを呼び今や大評判のデニッシュ食パン」と紹介され、「町かどのうまいもん in 京都」(京都新聞社、平成8年9月発行。甲12)では、「BOLONIYA(ぼろにや)」が需要者のアンケート結果に基づき選び出され、「デニッシュ食パンは店頭に並べたそばからどんどん売れていく人気商品」と紹介され、雑誌「サンデー毎日」(平成9年5月11日・18日合併号。甲11)では、「平成の究極のパンとして巷の評判を集めているのがボロニヤのデニッシュ食パンである。」と紹介され、ランキング雑誌「ぴあ ランキン’グルメ」(ぴあ、平成9年8月発行。甲13)では、パン部門において「BOLONIYA東京本店」が第4位にランキングされて「デニッシュ食パン」が取り上げられ、「焼きたてパンの店 in 京都」(京都新聞社、平成10年9月発行。甲15)では、「ボロニヤ 古川町本店」が「今や日本全国にその名を響かせるデニッシュ食パン。その本家本元がここ、ボロニヤである。」などと紹介された。請求人及び請求人商品は、その他、「元祖『デニッシュ食パン』」「全国で評判のパン」「おいしいパン屋さん」「おいしいパン屋のこだわりパン」「並んでも食べたい限定パン」「ボロニヤは…デニッシュ食パンが大人気」などと、雑誌の記事等でも度々採り上げられた(甲16?甲23)。
キ 請求人の専務取締役であった濱田豊氏らは、請求人商品の販路の拡大と「BOLONIYA」「ボロニヤ」の一元的管理を目指して、平成9年、株式会社ボロニヤを設立し、被請求人を始めとする各社とフランチャイズ契約を締結した。請求人商品を販売する店舗(工場を含む。)は、平成10年8月時点で、北海道10店舗、新潟県5店舗、関東地方28店舗、東海地方13店舗、関西地方23店舗、四国6店舗、中国地方4店舗、九州66店舗の、合計155に上った。その中には、大丸、東武、阪急、高島屋、そごう及び銀座プランタン等の百貨店や、JR及び私鉄の駅などの店舗もあった(甲33、甲44、甲90?甲93、甲95)。
ク 濱田満氏は、平成10年、株式会社東京ボロニヤを設立し、東京での販売を行った(乙3)。
(2)その後の状況
ア 株式会社ボロニヤは、経営陣の折り合いが悪く、まもなく事業活動はほぼ不可能となり、フランチャイズ契約も徐々に解消されていった(甲33、甲90)。
イ 請求人の平成15年9月1日から平成16年8月31日までの第39期の売上げは1億4200万円余、同年9月1日から平成17年8月31日までの第40期の売上げは1億6500万円余、同年9月1日から平成18年8月31日までの第41期の売上げは1億3100万円余であった。また、請求人は、同年からインターネットによる販売を行うようになり、同年9月1日から平成19年8月31日までの第42期の売上げは1億800万円余(ネット売上高は不明)、同年9月1日から平成20年8月31日までの第43期の売上げは9900万円余(うちネット売上高730万円余)、同年9月1日から平成21年8月31日までの第44期の売上げは1億1000万円余(うちネット売上高1370万円余)、同年9月1日から平成22年8月31日までの第45期の売上げは1億2500万円余(うちネット売上高2580万円余)、同年9月1日から平成23年8月31日までの第46期の売上げは1億4900万円余(うちネット売上高3450万円余)、同年9月1日から平成24年8月31日までの第47期の売上げは1億7100万円余(うちネット売上高4660万円余)であった(甲42、甲95、甲101、甲102)。
ウ 株式会社ボロニヤは、平成20年6月30日解散し、同年9月30日に清算結了した。また、株式会社東京ボロニヤは、同年10月29日に破産手続が開始され、平成21年1月29日、破産手続廃止の決定が確定した(乙3、甲91)。
エ 請求人の平成21年頃の店舗は、京都本店のほか、関西地方19店舗、中国地方2店舗、東海地方1店舗及び新潟県7店舗であるが、請求人においては、平成18年からウェブサイトにおける直販を始めたほか、 平成20年から「ヤフージャパン」の販売サイト、平成22年から「楽天市場」の販売サイトに出店し、その他「bidders」、「Amazon」 などにも出店し、インターネット上の通信販売が中心になってきた。そして、いわゆる「お取り寄せ」ブームなどの影響もあり、平成24年にはインターネット(楽天市場)におけるデニッシュパンの売上げランキングで第1位を獲得した(甲38、甲45?甲51、甲95、甲102?甲106)。
オ 請求人及び請求人商品については、最近も、「パンシェルジュ検定2級公式テキスト」(ホームメイド協会監修、平成22年6月発行。甲10)において、デニッシュ食パンの考案者が「京都祇園ボロニヤ」であり、「伝説のパン」として話題を呼んだと紹介され、「絶品!大人の定番パン」(同年12月号。甲24)において、京都祇園ボロニヤ本店が「元祖デニッシュ食パンの老舗」として紹介され、ABC朝日放送「おはよう朝日です」(平成23年9月29日放送。甲25、甲37)において、請求人商品が採り上げられ、テレビ金沢「となりのテレ金ちゃん」(平成24年11月21日放送。甲39)において、「京都祇園ボロニヤの元祖デニッシュ」として請求人商品がデニッシュランキングの人気ナンバーワンの商品として採り上げられ、「2012年ヒット商品ランキング」(平成25年1月。甲40)でも、「デニッシュ食パンの本家本元」の「京都祇園ボロニヤ本店」がネット通販で話題の商品を紹介する「噂のグルメをお取り寄せ」と題する雑誌記事に紹介されたりしている。
(3)被請求人の本件商標の使用状況
ア 被請求人は、株式会社ボロニヤの発起人であり、被請求人の代表者織田氏は、平成9年当時、株式会社ボロニヤの取締役であって、「ボロニヤ」の名称を使用して請求人のパンの販売事業に関与していた(甲33)。
イ 請求人と被請求人は、平成11年4月30日、被請求人が「BOLONIYA」「ボロニヤ」ブランドによるパンの販売事業から撤退するに当たり、以下の内容の基本合意書を締結した(甲33)。
(ア)織田氏は、株式会社ボロニヤの取締役を辞任する。
(イ)被請求人は、既に使用している「ボロニヤ」又は類似の名称、商号、商標、商品名、ロゴ等の使用を平成11年5月1日までに廃止する。
(ウ) 被請求人又は織田氏は、デニッシュ食パンの製造または販売に関し、「ボロニヤ」と同一又は類似の名称、商号、商標、商品名、ロゴ等を自身が使用しないのみならず、第三者をして使用させることもしない。
ウ 被請求人は、平成20年7月11日、本件商標登録出願をした(甲1)。
エ 被請求人は、「BOLONIA.JP」というドメインネームを取得し、「BOLONIAJAPAN」(ボロニアジャパン)というウェブサイトにおいて「京都祇園生まれのデニッシュ食パン」と記載した上で、デニッシュパン等を販売している。また、被請求人は、楽天市場でも、「BOLONIAJAPAN」について「京都祇園生まれのデニッシュ食パン」「京都祇園ボロニア ジャパン」「BOLONIAデニッシュ」などと記載した上で、デニッシュパン等を販売している。(甲64、甲65、甲67?甲69、甲100)。
オ 被請求人のレシートにおいては、「BOLONIA」と大きく記載され、その下に小さく「JAPAN」と記載されている(甲63)。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、当該商標をその指定商品又は指定役務に使用したときに、当該商品又は役務が他人の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれがある商標のみならず、当該商品又は役務が上記他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれがある商標が含まれる。そして、上記の「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品又は指定役務と他人の業務に係る商品又は役務との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品又は役務の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品又は指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきものである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第三小法廷判決・民集54巻6号1848頁)。
(2)混同を生ずるおそれの有無
ア 商標の類似性の程度
(ア)本件商標は、「ボロニアジャパン」の片仮名からなり、「ボロニア」と「ジャパン」からなる結合商標である。
本件商標の構成中「ジャパン」の部分は、我が国の国名「日本」を表す語であって、日本と何らかの関係性がある会社や商品であることを示すために、商号や商標の一部に含めることが広く一般的に行われており(甲53、甲54)、自他商品の出所識別力は乏しく、出所識別標識として支配的な印象を与えるものではない。
他方、本件商標の構成中「ボロニア」の部分は、イタリアの地方・都市名であり、ボロニア地方が起源とされている「ボロニアソーセージ」(ボロニヤソーセージ)が知られている(甲72?甲75)。
本件商標を構成する「ボロニア」及び「ジャパン」は、上記のとおりいずれもよく知られた概念であり、簡易迅速性を重んずる取引の実際においては、その一部分のみによって簡略に表記ないし称呼されることもあり得るものである。
(イ)後記イのとおり、「BOLONIYA」又は「ボロニヤ」の表示は、請求人又は請求人商品を示すものとして一定の周知性を有している。なお、請求人の「BOLONIYA」又は「ボロニヤ」は、「ボロニヤソーセージ」の「ボロニヤ」に由来するものであり、イタリアの地方・都市名である(甲8、甲9)。
(ウ)そうすると、本件商標「ボロニアジャパン」を、指定商品のうち「パン」に使用した場合は、「ボロニアジャパン」のみならず、「ボロニア」という称呼・観念も生じることもあり得る。そして、その場合には、請求人又は請求人商品を示すものとして周知な「BOLONIYA」又は「ボロニヤ」と類似性を有するものということができる。
イ 「BOLONIYA」及び「ボロニヤ」の周知著名性及び独創性の程度
(ア)前記1(1)認定のとおり、「BOLONIYA」又は「ボロニヤ」の表示は、請求人が元々はソーセージの名称「ボロニヤソーセージ」に用いられていた「ボロニヤ」をパン屋の屋号として採択したものである。そして、「ボロニヤソーセージ」の「ボロニヤ」は、イタリアの地方・都市名であって、これをソーセージではなくパンに用いる場合には、独創性がないとはいえない。
(イ)前記1(1)認定の事実を総合すれば、平成10年頃までには、請求人及びそのフランチャイジーが製造販売するデニッシュ食パンは、「元祖デニッシュ食パン」などとして、全国的に周知となったことが認められる。そして、請求人商品には、「BOLONIYA」又は「ボロニヤ」の表示が使用されていたものであり、「BOLONIYA」又は「ボロニヤ」の表示は、当時、請求人又は請求人商品を示すものとして周知性を有していたものと認められる。
前記1(2)認定のとおり、その後、株式会社ボロニヤによるフランチャイズ契約が解消された結果、店舗数が減少し、株式会社ボロニヤの清算や株式会社東京ボロニヤの破産等があって売上げが低下した時期もあったが、請求人は、平成20年9月以降、毎年1億円以上の売上げを上げ、平成22年頃からは再び「伝説のパン」「京都祇園ボロニヤの元祖デニッシュ」などとして雑誌等にも採り上げられ、インターネット販売等でも売上げランキング1位を獲得するなど、「BOLONIYA」又は「ボロニヤ」の表示は、近時も、請求人又は請求人商品を示すものとして周知性を有しているものと認められる。
そして、「BOLONIYA」又は「ボロニヤ」の表示が、一旦、請求人又は請求人商品を示すものとして周知性を獲得し、近時も周知性を有していることに照らすと、特段の事情がない限り、その間の期間においても、周知性が継続していたものと推認されるところ、店舗数が減少し売上げが低下した時期もあったものの、インターネットによる通信販売等もあって請求人の売上げ自体が大幅に減少したものでもないから、本件商標の登録出願の時点及び登録査定の時点においても、一定の周知性があったものと認められる。
ウ 商品の関連性
本件指定商品等には、「パン」が含まれ、請求人を示す表示として周知性のある「BOLONIYA」又は「ボロニヤ」の「デニッシュ食パン」を包含するものである。よって、請求人商品と本件商標の指定商品は、取引者及び需要者が共通する。
エ 本件商標の使用態様と取引の実情
前記1(3)のとおり、被請求人は、「BOLONIA.JP」というドメインネームを取得して、「BOLONIAJAPAN」(ボロニアジャパン)というウェブサイトにおいて「京都祇園生まれのデニッシュ食パン」と記載した上で、デニッシュパン等を販売し、「楽天市場」でも、「BOLONIAJAPAN」について「京都祇園生まれのデニッシュ食パン」「京都祇園ボロニア ジャパン」「BOLONIAデニッシュ」などと記載した上で、デニッシュパン等を販売しており、被請求人のレシートにおいては、「BOLONIA」と大きく記載され、その下に小さく「JAPAN」と記載されている。
なお、本件商標の指定商品が日常的に消費される性質の商品であることや、その需要者が特別な専門的知識経験を有しない一般大衆であることからすると、これを購入するに際して払われる注意力はさほど高いものでない。
上記のような被請求人の本件商標の使用態様及び需要者の注意力の程度に照らすと、被請求人が本件商標を指定商品に使用した場合、これに接した需要者は、かつて周知性を有していた「京都祇園ボロニヤの元祖デニッシュ」や現在も一定の周知性を有する「BOLONIYA」又は「ボロニヤ」の表示を連想する可能性がある。
オ まとめ
上記のとおり、(ア)本件商標を、指定商品のうち「パン」に使用した場合は、請求人又は請求人商品を示すものとして周知な「BOLONIYA」又は「ボロニヤ」と類似性を有すること(上記ア)、(イ)「BOLONIYA」又は「ボロニヤ」の表示は、独創性が高いとはいえないものの、「デニッシュ食パン」の分野では、請求人又は請求人商品を示すものとして一定の周知性を有していること(上記イ)、(ウ)本件商標の指定商品は、「デニッシュ食パン」を包含するから、請求人商品と取引者及び需要者が共通すること(上記ウ)、及び(エ)被請求人の本件商標の使用態様及び需要者の注意力等に照らし、被請求人が本件商標を指定商品に使用した場合、これに接した需要者が、「BOLONIYA」又は「ボロニヤ」の表示を連想する可能性があること(上記エ)を総合的に判断すれば、本件商標を、指定商品のうち「パン」に使用した場合は、これに接した取引者及び需要者に対し、請求人の使用に係る「BOLONIYA」又は「ボロニヤ」の表示を連想させて、当該商品が請求人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信され、商品の出所につき誤認を生じさせるとともに、請求人の表示の持つ顧客吸引力へのただ乗り(いわゆるフリーライド)やその希釈化(いわゆるダイリューション)を招くという結果を生じかねない。
そうすると、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にいう「混同を生ずるおそれがある商標」に当たると解するのが相当である。
3 結語
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項15号に違反してされたものであるから、他の理由について判断するまでもなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-10-23 
結審通知日 2013-10-25 
審決日 2013-11-07 
出願番号 商願2008-56931(T2008-56931) 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (X30)
最終処分 成立 
前審関与審査官 大森 健司藤田 和美 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 村上 照美
浦辺 淑絵
登録日 2009-05-01 
登録番号 商標登録第5227427号(T5227427) 
商標の称呼 ボロニアジャパン、ボロニア 
代理人 田中 健治 
代理人 齊藤 整 
代理人 下元 高文 
代理人 宮澤 岳志 
代理人 赤澤 一博 
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