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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900081 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X09
管理番号 1282420 
異議申立番号 異議2012-685007 
総通号数 169 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-01-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-04-16 
確定日 2013-09-25 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1072563号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1072563号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第1072563号商標(以下「本件商標」という。)は、「GILLETTE」の欧文字を横書きしてなり、2011年(平成23年)2月11日に国際商標登録出願、第9類「Accumulators,electric;accumulators,electric,for vehicles;batteries for pocketlamps;batteries,electric;battery boxes;plates for batteries;chargers for electric batteries;batteries;AA batteries.」を指定商品として、平成23年9月26日に登録査定、同24年1月27日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む。)を提出している。
1 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)本件商標と、申立人に係る「GILLETTE」若しくは「Gillette」の文字からなる又は該文字と図形や「Fusion」、「Champions」等の文字との結合からなる商標(甲第2号証)とは、「GILLETTE」の文字を共通にするものであるから、同一又は類似の商標であって、出所の混同を生じる程度に相紛らわしいものである。
(2)申立人は、1901年に米国で創立された世界最大のグルーミング製品メーカーであり、我が国においても、1944年に「ジレット ジャパン インコーポレーテッド」を設立し、1968年から本格的な営業を開始している(甲第3号証)。申立人は、2005年にプロクターアンドギャンブル(P&G)に合併された経緯はあるものの、創立以来、1903年に世界初のT字型替刃式の安全カミソリを発明したのを始め、その後も新たな機能を搭載したカミソリ製品やその替刃、プレシェーブ等の製造、販売をしている(甲第4号証)。
また、申立人は、米国及び我が国のみならず、世界規模で広く事業展開をしている(甲第5号証)。
さらに、申立人は、事業広告活動の一環として、特に2003年以降、プロサッカー選手やプロ野球選手といったアスリート等の著名人とタイアップして広告を行っている(甲第6号証)。
以上の事情に鑑みれば、本件商標の国際登録日である2011年2月11日以前から、申立人が世界的に周知・著名な企業であり、かつ、「GILLETTE」又は「Gillette」の文字等からなる商標が我が国の需要者間において広く知られた周知・著名なものとして認知されているといえる。
(3)本件商標の指定商品は、前記第1のとおりであって、申立人の業務に係るカミソリ製品やその替刃、プレシェーブ等の商品と必ずしも競争関係にある商品とはいえないようにも思えるが、申立人は、もともと米国の大手電池メーカーである「デュラセル」の親会社であって,電池の製造会社としても認知されている(甲第9号証の1及び2)。そして、近年のカミソリ製品には、電池を利用して用いられるものが多く存在している(甲第10号証)。
(4)上記(1)ないし(3)を総合勘案すれば、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する一般の需要者は、著名である「GILLETTE」又は「Gillette」の文字等からなる商標を容易に連想し、該商品が申立人の製造、販売に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じるおそれがあることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
2 商標法第4条第1項第19号該当性について
申立人の業務に係る「GILLETTE」又は「Gillette」の文字等からなる商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願前から、我が国及び米国を始めとする諸外国において、周知・著名な商標であったから、本件商標の商標権者は、その登録出願前から、該周知・著名な商標を知っていたものと推認できる。
そうすると、本件商標は、引用商標に化体した業務上の信用にフリーライドする意図又はその信用を希釈化する意図、すなわち、不正の目的をもって登録出願されたものとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
3 商標法第4条第1項第8号該当性について
申立人である「THE GILLETTE COMPANY」は、上記1のとおり、我が国のみならず、世界各国で事業展開をする世界的に周知・著名な企業であるところ、該商号のうち、「THE」は、英語の定冠詞として、また、「COMPANY」は、会社の性格を表す英語として、いずれも我が国においてよく知られ、日常の取引において省略して用いられることは明らかであるから、「GILLETTE」が申立人の商号の著名な略称であることは明確である。そして、本件商標の商標権者は、申立人の承諾を得ていない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
第3 本件商標に対する取消理由
当審において、平成25年1月29日付けで商標権者に対し通知した取消理由は、要旨以下のとおりである。
1 引用商標
申立人は、申立人の業務に係る商品「かみそり及びその関連商品」について使用する、「ジレット」の文字からなる商標(以下「引用商標1」という。)、別掲1のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標2」という。)及び別掲2のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標3」という。)を引用している(以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)。
2 引用商標の使用等について
(1)申立人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人は、1901年に米国でキング・キャンプ・ジレット氏により創立されたものであって、2005年にプロクターアンドギャンブルに合併された経緯はあるものの、その創立以来、1世紀にわたり、世界最大のグルーミングメーカーとして事業展開しており、我が国においても、1944年に「ジレット ジャパン インコーポレーテッド」を設立し、1968年から本格的な営業を開始している。また、申立人は、米国及び我が国のみならず、カナダ、メキシコ、グアテマラ、フランス、ドイツ、クロアチア、中国、ブラジル、オーストラリア、南アフリカ等においても事業を展開している(甲第3号証ないし甲第5号証)。申立人は、上記合併前から、自己の電池事業部門として「デュラセル(Duracell)」(世界最大手のアルカリ乾電池ブランド)を有している(甲第9号証の1及び3)。
イ 申立人は、1903年に世界初のT字型替刃式の安全カミソリを発明したのを始め、その後も新たな機能を搭載したカミソリ製品やその替刃、プレシェーブ等を製造、販売しており、その中には、乾電池を用いた電動式のものも含まれている(甲第3号証、甲第4号証、甲第7号証の2及び3、甲第10号証の1ないし3)。
ウ 申立人は、自己の製品を広告宣伝するにあたり、2003年以降、プロサッカー選手やプロ野球選手といったアスリートや芸能関係の著名人とタイアップした手法を用いている。また、申立人の製品及びそのパッケージや広告においては、引用商標が需要者の目に付きやすい態様で使用されている(甲第4号証及び甲第6号証の1ないし6)。
(2)当審において、職権をもって調査したところ、引用商標と綴りを同じくする「Gillette」及び「ジレット」の語について、以下の事実が認められる。
ア 各種辞典類
(ア)「コンサイスカタカナ語辞典 第4版」(株式会社三省堂発行)に、「ジレット」の見出し語の下、「安全かみそりの商標名.発明者,米国のキング-ジレット[King Camp ?,1855-1932]の名にちなむ.1901年の発明.」との記載がある。
(イ)「小学館 ランダムハウス英和大辞典 第2版」(株式会社小学館発行)に、「Gillette」の見出し語の下、「ジレット. 1 King Camp,(1855-1932):米国の実業家;安全かみそりを発明.(中略)5 米国の剃刀(かみそり)・化粧用品・筆記具製造会社.」との記載がある。
(ウ)「ジーニアス英和大辞典」(株式会社大修館書店発行)に、「Gillette」の見出し語の下、「ジレット<1 King Camp ? 1855-1932;米国の発明家・実業家;安全かみそりを発明.・・・3(商標)米国のひげそり用品会社>.」との記載がある。
(エ)「研究社 新英和大辞典」(株式会社研究社発行)に、「Gillette」の見出し語の下、「1〔商標〕ジレット(米国 The Gillette社製の安全かみそり・替え刃).」及び「King Camp ジレット(1855-1932;米国の発明家;安全かみそりを考案).」との記載がある。
イ 新聞記事
(ア)1992年(平成4年)8月12日付け「日本経済新聞」(朝刊、10頁)に、「ジレット会長兼CEOゼーエン氏??高品質でシェア拡大(ワールドビジネスマン)」の見出しの下、「The Gillette Company 本社 米国ボストン市 日本窓口 ジレット・ジャパン・インコーポレイテッド・・・同社の製品は世界的に知名度の高いカミソリの『ジレット』だけでなく電気カミソリの『ブラウン』や修正液の『リキッドペーパー』も有名。・・・カミソリは北米をはじめとする世界各国で高いシェアを誇る。今後はロシアや東欧、中国などこれからの成長が見込まれる市場で積極展開する。」との記載がある。
(イ)1994年(平成6年)10月18日付け「日経流通新聞」(7頁)に、「セブンイレブン、米ジレット社と提携??文具を低価格で販売」の見出しの下、「セブン-イレブン・ジャパンは米国の大手かみそり・文具メーカーであるジレット(マサチューセッツ州)とオリジナル文具の開発・販売で提携した。第一弾として十八日からジレット傘下の『パーカー』の筆記具を通常より四割安い価格で販売する。」との記載がある。
(ウ)1996年(平成8年)9月13日付け「日本経済新聞」(朝刊、11頁)に、「米ジレット、電池最大手買収」の見出しの下、「米ジレットは十二日、乾電池で米国内最大の販売シェアを持つデュラセル・インターナショナルを総額七十億ドルで買収すると発表した。主力のカミソリや電気シェーバーで世界的な販売網を誇るジレットの製品群にデュラセルの高性能乾電池を加えることで、消費財市場での競争力を一段と高める狙い。買収により、ジレットは年間売上高九十億ドルを超える日用雑貨の複合メーカーとなる。」との記載がある。
(エ)1997年(平成9年)7月13日付け「日経産業新聞」(8頁)に、「ジレット・ジャパン、残量一目で分かる乾電池??日本にも投入」の見出しの下、「ジレット・ジャパン・インコーポレイテッド(東京・港、リチャード・L・ギルフォイル社長)はエネルギー残量が分かるアルカリ乾電池『デュラセル パワーチェック』を八月一日に発売する。・・・北米と欧州での売れ行きが好調なため、日本にも投入する。」との記載がある。
(オ)1998年(平成10年)3月4日付け「日経産業新聞」(19頁)に、「会社概要??ザ・ジレット・カンパニー(外資ここを攻める)」の見出しの下、「ザ・ジレット・カンパニー ひげそり用品、文房具、トイレタリー用品など日用品を幅広く扱う多国籍企業。中でもひげそり関連では欧米主要各国の替え刃市場で最低でもシェアが六〇%(金額ベース)を超え、他社を圧倒している。」との記載がある。
(カ)1999年(平成11年)10月7日付け「産経新聞」(東京朝刊、12頁)に、「【情報ひろば】軽量の耳式体温計」の見出しの下、「ブラウン・ジレット・ジャパン(横浜市)は1秒で測れる耳式体温計『ブラウン サーモスキャンIRT3020』を発売した。・・・電池寿命も延び、1000回まで使える。」との記載がある。
(キ)2000年(平成12年)9月19日付け「日本工業新聞」(27頁)に、「米ジレット 日本の歯ブラシ市場参入 全米で人気の『オーラルB』初年度12万本販売」の見出しの下、「かみそりの大手メーカー、米ジレットは革新的な歯ブラシを開発したのを機に、日本の一般向け歯ブラシ市場に本格参入する。これまで日本では歯科医向けなど限定的に製品を供給していたが、十月から日本法人のブラウン ジレット ジャパン(社長・ディットマー・フィアブーヘン氏、横浜市中区、TEL・045・681・7953)を通じ、スーパーを中心とした量販店での販売に乗り出す。・・・ブラウン ジレット ジャパンはジレットと電気かみそりなどの世界的メーカーである独ブラウンの日本法人。ブラウンはジレットのグループ会社。」との記載がある。
(ク)2002年(平成14年)5月23日付け「日本工業新聞」(18頁)に、「W杯ビッグビジネスの勝算:(11)Gillette 9大会連続の“切れ味”」の見出しの下、「ジレットとサッカーのワールドカップ(W杯)の結びつきは古く、一九七〇年から公式スポンサーとして大会運営をサポートしている。今回で九大会連続となる。昨年、創業百周年を迎えたジレットは、世界初の『T字型使い捨て安全かみそり』を中心に巨大化。電気製品のブラウン(ドイツ)や、乾電池のデュラセル(米)も傘下に置く一大グループを形成している。日本にも全額出資の子会社『ブラウン・ジレット・ジャパン』があり、今大会の日本会場は、この日本法人の担当だ。」との記載がある。
(ケ)2003年(平成15年)12月1日付け「産経新聞」(大阪夕刊、10頁)に、「電動歯ブラシ 乾電池で手軽に 高性能 今年中に普及率倍増!?」の見出しの下、「本格的な電動歯ブラシはかつて一本一万円前後と高価格で一般家庭への普及はいまひとつだった。しかし最近は比較的低価格ながら手磨きに比べ短時間で効率的に磨ける高性能の電動歯ブラシが相次いで売り出されている。各製品とも電源に乾電池を使って手軽さを打ち出し、『歯ブラシ全体の中で電動の普及率はかつての7-8%台から今年中に15%まで伸びる』(サンスター)との声も出ている。ジレット・ジャパン(横浜市)は十月に『ブラウン オーラルB クロスアクションパワー』(オープン価格、参考価格九百八十円)を発売。」との記載がある。
(コ)2003年(平成15年)12月8日付け「日経産業新聞」(7頁)に、「米ジレット、デジカメ用電池(情報プラス)」の見出しの下、「米ひげそり最大手のジレットはデジタルカメラ用角形リチウム一次電池『デュラセルCP1』を二十日に発売する。ニコンのデジカメ『COOLPIX3700』に対応、専用の二次電池と比べ撮影可能枚数を五十枚多い二百五十枚にできる。」との記載がある。
(サ)2005年(平成17年)7月25日付け「読売新聞」(東京朝刊、6頁)に、「毎秒数百回の振動で深ぞり 男性用安全カミソリ発売へ/ジレットジャパン」の見出しの下、「ジレットジャパンは、男性用安全カミソリ『エムスリーパワー ボルテージ』を9月1日に発売する。内蔵の小型モーターが毎秒数百回の微小な振動を起こすことで、深ぞりできるという。単4アルカリ乾電池1本付き。」との記載がある。
(シ)2005年(平成17年)7月31日付け「産経新聞」(大阪朝刊、5頁)に、「電動カミソリ T字形 小回り魅力 若者ひげ人気背景に」の見出しの下、「T字形カミソリの人気がじわじわと高まっている。若者の間にひげを伸ばすスタイルが定着し、生え際を整えるのに便利だからだ。なめらかなそり心地を実現したモーター内蔵T字形カミソリも登場するなど、ユーザーも拡大している。・・・ジレットジャパンインクでは昨秋、超小型モーター内蔵T字形カミソリ『M3パワー』(千八百九十円)を発売した。毎秒数百回の微小波動を起こしてひげを立たせ、深ぞりをさらに強化した。」との記載がある。
(ス)2006年(平成18年)6月24日付け「FujiSankei Business i.」(19頁)に、「【トレンド商品研究】フジテレビ商品研究所 ジレットのバイブシェーバー」の見出しの下、「女性にとってムダ毛の気になる季節になってきた。シェービング市場でシェア世界一を誇るジレットは、『ヴィーナス』シリーズで女性用かみそり市場を牽引してきたが、今年2月、日本初の振動しながら剃るボディー用バイブシェーバー『ヴィーナス ヴィブランス』を新発売。」との記載がある。
(セ)2008年(平成20年)6月23日付け「FujiSankei Business i.」(22頁)に、「【これが定番】ジレット 安全カミソリ 『基本の追求』が進化生む」の見出しの下、「1903年、替え刃式・T字型のカミソリが米国で生まれた。世界初の安全カミソリとされるこの商品は、すぐに大人気となり、翌年には25万本を売った。発明したキング・C・ジレットは、安全カミソリメーカーのジレットの創業者だ。会社は昨年、米P&G傘下に入ったが、世界のトップブランドとして健在。この間、72年の2枚刃タイプ、76年の使い捨てタイプなど、多くの革新的な製品を生み出してきた。先進国の大半で50%を超える圧倒的なシェアを握り、最大市場の米国で80%以上、ロシアに至っては90%以上に達する。」との記載がある。
(ソ)2008年(平成20年)7月7日付け「日経MJ(流通新聞)」(2頁)に、「女性用かみそり??ヴィーナス ブリーズ首位(店頭商品浮き沈み)」の見出しの下、「P&Gが二月に発売した『ジレット ヴィーナス ブリーズ ホルダー』が九週連続で首位に立っている。」との記載がある。
(タ)2010年(平成22年)7月5日付け「FujiSankei Business i.」(16頁)に、「【安全から快適へ?カミソリ、100年の進化?】(4)」の見出しの下、「自由化直後の65年、シックの日本市場でのシェアは5%以下にすぎなかった。だが70年には25%、80年には70%まで高まり、独走状態を築き上げた。これに対し、ジレットの65年のシェアは9%強でシックを上回っていたが、70年には8%とむしろシェアを落とし、その後もシックとの差は縮まらなかった。・・・ただ、ジレットも2000年代に入って急速に追い上げ、シックとの差は縮まっている。P&Gによると、替え刃を含む昨年末時点のシェアはシック54%に対し、ジレット40%、シックの1強時代は終わり、シックとジレットの2強時代に入りつつあるといっていい。」との記載がある。
(3)上記(1)及び(2)の事実によれば、引用商標は、本件商標の登録出願時には、既に申立人の業務に係る商品「かみそり及びその関連商品」を表示するものとして、諸外国はもとより、我が国の取引者、需要者の間においても広く認識されていたものと認められ、その状態は、本件商標の登録査定時においても継続していたものと認められる。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知性
引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「かみそり及びその関連商品」を表示するものとして、我が国の取引者、需要者間において、広く認識されていたことは、上記2(3)においてした認定、判断のとおりである。
(2)本件商標と引用商標との類否
本件商標は、前記第1のとおり、「GILLETTE」の欧文字を横書きしてなるものであるところ、該文字は、その構成文字の一部について大文字と小文字との差異があるものの、すべての綴り字を引用商標2及び引用商標3と同じくするものであるから、これに上記引用商標の周知性を考慮すれば、本件商標は、その構成文字に相応して、「ジレット」の称呼を生じ、申立人の業務に係る商品「かみそり及びその関連商品」の商標としての「Gillette」又は「ジレット」の観念を生ずるというべきものである。
他方、引用商標は、それぞれ「ジレット」又は「Gillette」の文字からなるものであって、上記のとおり、我が国において周知のものであるから、これより、「ジレット」の称呼を生じ、申立人の業務に係る商品「かみそり及びその関連商品」の商標としての「Gillette」又は「ジレット」の観念を生ずるものである。
そうすると、本件商標と引用商標1とは、外観上、類似するものであって、かつ、「ジレット」の称呼及び申立人の業務に係る商品「かみそり及びその関連商品」の商標としての「Gillette」又は「ジレット」の観念を同一とするものであるから、本件商標と引用商標とは、極めて近似した印象を与える類似の程度の高いものである。
(3)本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との関連性
申立人は、「かみそり及びその関連商品」を主力とする企業であって、諸外国におけるそのシェアは極めて高く、我が国におけるシェアも上位を占めるものである。
また、申立人の関連会社においては、乾電池、文房具、トイレタリー用品等の日用品を広く取り扱っているところである。
以上のような申立人及びその関連会社における事業展開に照らせば、本件商標に係る指定商品は、申立人又はその関連会社が現に行っている事業分野に属するものを含むばかりでなく、その多角経営の一環として、進出する蓋然性が高い事業分野に属するものとみるのが相当である。
(4)小括
上記したところによれば、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、申立人が自己の業務に係る商品「かみそり及びその関連商品」について使用するものとして広く認識されている引用商標を連想、想起し、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
4 むすび
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
第4 商標権者の意見
商標権者は、前記第3の取消理由に対し、指定した期間内に何ら意見を述べるところがない。
第5 当審の判断
本件商標についてした先の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】


異議決定日 2013-05-22 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (X09)
最終処分 取消  
前審関与審査官 大井手 正雄 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 酒井 福造
田中 敬規
登録日 2011-02-11 
権利者 Obshchestvo s ogranichennoy otvetstvennost´yu´´Shest´banok´´
商標の称呼 ジレット、ギレッテ、ギレット、ジレッテ 
代理人 青木 博通 
代理人 中田 和博 
代理人 柳生 征男 

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