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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201220726 審決 商標
異議2012900360 審決 商標

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審決分類 審判 判定 審理一般(別表) 属さない(申立て成立) Y30
管理番号 1280179 
判定請求番号 判定2013-600014 
総通号数 167 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標判定公報 
発行日 2013-11-29 
種別 判定 
判定請求日 2013-05-02 
確定日 2013-08-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第649513号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 請求人が使用するイ号標章は、登録第649513号商標の商標権の効力の範囲に属しない。
理由 1 本件商標
本件登録第649513号商標(以下「本件商標」という。)は、「砂丘」の文字を縦書きしてなり、昭和37年3月5日に登録出願、第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同39年8月5日に設定登録され、その後、同50年12月9日、同59年11月26日、平成6年9月29日及び同16年8月10日の4回にわたって商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同17年6月22日に指定商品を第30類「穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす」のほか、第29類及び第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
2 イ号標章
請求人が商品「巻き寿司」について使用する標章として示したイ号標章は、別掲に表示されているとおりの「砂丘巻き」の文字からなるものである。
3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の判定を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)判定請求の必要性
被請求人は、本件商標の商標権者であって、請求人がイ号標章を使用していること(甲第1号証)について、請求人に対し、平成24年10月16日に本件商標の商標権を侵害する旨の警告を発した(甲第2号証)。
その後、請求人と被請求人とは、イ号標章が本件商標の商標権を侵害するか否かにつき書面でのやりとりを続けたが、問題の解決に至らなかったので、該問題を解決するために本件判定を求めるものである。
(2)イ号標章の説明
請求人は、平成21年10月頃からイ号標章を付した商品「巻き寿司」(以下「本件商品」という。)を製造し、道の駅を始めとする鳥取市内の特産物取扱所で継続的に販売していた(甲第3号証ないし甲第6号証)。
また、請求人は、不定期的に鳥取の名特産品を取り上げた鳥取市内の百貨店の催しに、本件商品を出品していた(甲第7号証)。
なお、イ号標章は、本件商品に鳥取砂丘の名産品であるラッキョウ、砂地で栽培される長いもといった具材を使用していることに由来する。
(3)イ号標章が本件商標の商標権の効力の範囲に属しないとの説明
本件商標は、「砂丘」の文字からなるものであるが、「砂丘」の文字がその構成部分をなす「鳥取砂丘」は、我が国最大級の海岸砂丘であり、独自の地形や起伏に富んだ景観で知られ、固有の砂丘植物が自生する貴重な自然を有する地域であって、昭和30年に国の天然記念物、同38年に山陰海岸国立公園の特別保護地区に指定され、鳥取県内屈指の観光名所として知られている(甲第8号証及び甲第9号証)。
そして、鳥取地方において、「砂丘」は、鳥取砂丘の略称、鳥取砂丘が位置する鳥取市福部町湯山地域として一般に認識されている。例えば、鳥取砂丘の付近には、鳥取警察署「砂丘駐在所」(甲第10号証)や「砂丘トンネル」(甲第11号証)などが存在し、鳥取砂丘の名産品であるラッキョウは、「砂丘らっきょう」として親しまれている(甲第12号証)。
したがって、鳥取砂丘及び該砂丘が存在する鳥取市内において生産され販売される商品について、その容器、包装などに「砂丘」の名を冠することは、その産地、販売地を表示するものとして普通に行われ得るというべきである。そして、上述したとおり、本件商品は、鳥取砂丘の名産品であるラッキョウをその具材として使用しており、イ号標章は、商品の産地、販売地を表示している。
また、請求人は、本件商品を鳥取市内の特産物、土産物を取り扱う販売所で販売していること、「砂丘」の文字が単に通常用いられる程度の態様で表示されているにすぎないこと、イ号標章が記載されているラベルの背景には、鳥取砂丘の「風紋」の写真が取り入れられていること(甲第1号証)からすれば、需要者をしてイ号標章が産地、販売地表示として認識されていたことは明白である。
したがって、イ号標章が商品の産地、販売地を表示する標章であり、商標法第26条第1項第2号に該当し、商標権の効力は及ばず、イ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属さないというべきである。
4 被請求人の答弁
被請求人は、請求人が本件商品について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するとの判定を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。
(1)本件商標の効力について
本件商標は、「砂丘」の文字を縦書きしてなるものであり(乙第1号証)、普通に読み下して「サキュウ」の称呼を生じるものである。
しかして、「砂丘」とは、「風の運搬した砂が堆積してできた小さな丘」の意味(観念)を有する(乙第2号証)ものであって、更に短く要約すれば、「砂の丘」の観念を有するものといい得る。
そして、この「砂丘」は、我が国において、その地勢の特徴から、主に海岸部において形成されることが多く、全国各地で存在することが知られている。
乙第3号証は、ウェブページ「都道府県市区町村」中の「地名コレクション『砂丘』」に関するページの抜粋写しであって、日本全国の「砂丘」と称される地名を収集紹介しているものであり、その収集方針は、十分に周到であり妥当と思われるものであって、その収集結果は、信頼の置けるものである。
そして、乙第3号証の記載から、「砂丘」は、我が国において全国各地に大小さまざまな規模のものが多く存在しており、「砂丘」の文字は、それら「砂の丘」を一般的に指称するために使用される名詞である。
また、一般名ではなく、特定地域に存在する砂丘の名称を表示する場合には、「地名+砂丘」の構成として表示されることが通例であって、このことは、乙第3号証の記載をみても明らかであり、この中に、単に「砂丘」という表示のみで特定の地域の砂丘を示す例は、見いだし得ない。
よって、単なる「砂丘」の文字は、特定の地域の特定の場所を指す地名表示といい得る文字ではない。
請求人は、「砂丘」が「鳥取砂丘」の略称であると主張しているが、乙第3号証においては、該砂丘は、「鳥取砂丘」又は「鳥取大砂丘」と明記されており、また、請求人の提出する甲第3号証ないし甲第6号証、甲第8号証及び甲第9号証においても、「鳥取砂丘」と明記されているから、この地域の「砂の丘」の地名は、「鳥取砂丘」又は「鳥取大砂丘」として認識され、称されている証である。
なお、「砂丘駐在所」(甲第10号証)及び「砂丘トンネル」(甲第11号証)の存在が示されているが、いずれも近年において任意に付けた愛称というべきものであって、「砂丘」のみの文字が地名として普通に使用されている証となるものではない。
したがって、「砂丘」の文字は、前記のように数多くある砂丘のひとつである「鳥取砂丘」の略称として普通に使用されているという事実はなく、請求人の地名であるとの主張に理由がない。
また、「砂丘」の文字を構成の要部とする多くの登録商標例(乙第4号証ないし乙第8号証)があり、これらは、「砂丘」の文字が特定地域の地名表示として認定されているものではないことを示すものである。
請求人は、甲第12号証にて「砂丘らっきょう」の例を示しているが、該登録例は、乙第6号証に示すとおり、地域団体商標として登録されたものではなく、普通に登録出願された登録商標であって、「砂丘」が地名表示であることの証拠とはなり得ないものである。
以上に示すとおり、本件商標の「砂丘」の文字は、指定商品の産地又は販売地を表示するものではなく、商標法第26条第1項第2号の効力の制限を受けるものではない。
(2)イ号標章と本件商標との類否について
イ号標章は、「砂丘巻き」の文字からなるものであって、この構成中の「巻き」の文字は、巻いてなる商品においては、その形状を表示するために普通に使用される文字である。
特に、イ号標章の本件商品においては、「海苔巻き」、「鉄火巻き」、「きゅうり巻き」及び「かんぴょう巻き」などの例からわかるとおり、「巻き」の文字は、海苔で巻いた寿司であることを示すために一般的に使用される接尾語である。
すなわち、本件商品においては、「巻き」の接尾語は、その形状を示すものであって、商標の要部を構成しない文字というべきものである。
そうすると、イ号標章の識別のための主要部は、「巻き」を省いた「砂丘」にあるというべきものであり、このことから、イ号標章からは、全体の文字からの「サキュウマキ」の称呼のほかに、「サキュウ」の称呼をも生じるものであって、本件商標とは、称呼が類似するといわなければならず、「砂丘」の要部が一致するところから、「砂の丘」の観念も一致又は類似するといわなければならない。
また、本件商標に係る指定商品中の「すし」は、イ号標章の本件商品と明らかに類似する商品である。
(3)むすび
したがって、イ号標章は、本件商標と類似し、本件商標に係る指定商品に類似する商品に使用するものであるから、イ号標章の使用は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する。
5 当審の判断
(1)本件商標について
本件商標は、前記1に記載のとおり、「砂丘」の文字を縦書きしてなるところ、「砂丘」の文字は、「風のために吹き寄せられた砂のつくる小丘。」の意味を有する(広辞苑第六版)又は「風の運搬した砂が堆積してできた小さな丘」の意味を有する語(乙第2号証)として広く一般に慣れ親しまれているものといえるから、該文字に相応して「サキュウ」の称呼、「砂丘」の観念を生じる。
(2)イ号標章について
イ号標章は、別掲に表示されているとおりの「砂丘巻き」の文字からなるところ、その構成文字が同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で書されており、外観上一体に表示されているものであって、該文字は、辞書類に載録のない語であり、特定の意味を有する語として一般に親しまれているとはいい難いことからすると、一種の造語として把握、認識されるというのが相当である。
してみれば、イ号標章は、「砂丘巻き」の構成文字に相応して、「サキュウマキ」の称呼を生じるものといえ、該称呼は、格別冗長とはいえず、一気一連に称呼し得るものであり、特定の観念を生じることのないものである。
(3)本件商標とイ号標章との類否について
本件商標に係る指定商品中、第30類「ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ」は、本件商品と販売部門、材料、需要者などを同一にする同一又は類似の商品といい得るものである。
そして、本件商標は、前記(1)のとおり、「砂丘」の文字を縦書きしてなるのに対し、イ号標章は、「砂丘巻き」の文字からなるものであるから、外観において、相違するものである。
次に、称呼についてみるに、本件商標から生じる「サキュウ」の称呼とイ号標章から生じる「サキュウマキ」の称呼とは、その音構成が明らかに異なるものであるから、容易に聴別し得るものである。
さらに、本件商標は、「砂丘」の観念が生じるのに対し、イ号標章は、特定の観念を生じないから、両商標は、観念上、相紛れるおそれはない。
その他、本件商標とイ号標章とを類似するものとすべき特段の理由は、見いだせない。
したがって、本件商標の指定商品には、本件商品と同一又は類似する商品を含むものであるとしても、本件商標は、イ号標章と外観、称呼及び観念において類似するとはいえない。
(4)被請求人の主張について
被請求人は、本件商品において、「海苔巻き」、「鉄火巻き」、「きゅうり巻き」及び「かんぴょう巻き」などの例から、「巻き」の文字は、海苔で巻いた寿司であることを示すために一般的に使用される接尾語であるから、イ号標章の識別のための主要部は、「巻き」を省いた「砂丘」にあると主張する。
しかしながら、「巻き」の文字は、「巻くこと。巻いたもの。」の意味を有し(広辞苑第六版)、「海苔巻き」、「鉄火巻き」、「きゅうり巻き」及び「かんぴょう巻き」などのように、一般に原材料を表す語と結合する接尾語として使用されて、一体のものとして認識されているものといえ、また、原材料とはいえない語と結合した、例えば、「鳴門巻」や「恵方巻」においても、一体のものとして認識されているといえる。
そうすると、イ号標章は、他に、構成中の「砂丘」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせないから、被請求人の主張を採用することができない。
(5)請求人の主張について
請求人は、「砂丘」の文字が「鳥取砂丘」の略称であり、本件商品は、鳥取砂丘の名産品であるラッキョウをその具材としており、イ号標章は、商品の産地、販売地を表示している旨主張する。
しかしながら、「砂丘」の文字についてみると、該文字は、上記のとおり、「風のために吹き寄せられた砂のつくる小丘。」の意味を有する語として広く一般に慣れ親しまれているといえる。
そして、鳥取砂丘は、我が国において、観光地として広く知られていると認められるとしても、請求人の提出する観光案内など(甲第3号証ないし甲第6号証、甲第8号証及び甲第9号証)においても、「鳥取砂丘」と明記されており、鳥取市内における砂丘駐在所及び砂丘トンネル(甲第10号証及び甲第11号証)と称されていることをもって、鳥取砂丘が単に「砂丘」と広く一般に略称されているとは認め難いものであることに加え、例えば、「海岸砂丘」が「日本海側にいくつか大規模なものがみられる。」との記載(広辞苑第六版)から、我が国においては、主に海岸部において砂丘が形成されることが多く、その中には、「石狩砂丘」や「庄内砂丘」と称され、各地に存在しているものが認められる(乙第3号証)ことからすると、「砂丘」の文字は、必ずしも「鳥取砂丘」のみを表したものと認識されるとはいえない。
また、鳥取砂丘の名産品がラッキョウであって、本件商品がラッキョウを具材としているとしても、イ号標章は、「砂丘巻き」の文字からなるものであって、該文字が特定の産地や販売地を表示するものとはいい難い。
そうとすると、イ号標章が商品の産地、販売地を表示する旨の請求人の主張は、採用することができない。
(6)むすび
したがって、本件商標とイ号標章は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似するということはできないから、商品「巻き寿司」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものである。
よって、結論のとおり判定する。
別掲 【別記】

判定日 2013-08-22 
出願番号 商願昭37-6126 
審決分類 T 1 2・ 0- ZA (Y30)
最終処分 成立 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 山田 和彦
原田 信彦
登録日 1964-08-05 
登録番号 商標登録第649513号(T649513) 
商標の称呼 サキュウ 
代理人 藤田 典彦 
代理人 駒井 重忠 
代理人 今田 慶太 
代理人 藤田 邦彦 
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