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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900296 審決 商標
異議2013900090 審決 商標
異議2013900123 審決 商標
異議2013900082 審決 商標
異議2013900110 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W35
審判 全部申立て  登録を維持 W35
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審判 全部申立て  登録を維持 W35
審判 全部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1280174 
異議申立番号 異議2013-900119 
総通号数 167 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-11-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-04-26 
確定日 2013-10-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5553169号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5553169号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
登録第5553169号商標(以下「本件商標」という。)は、「Kindal」の欧文字を標準文字で表してなり、平成24年7月26日に登録出願、第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ズボンつり・バンド・ベルトの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,財布の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,眼鏡及び時計の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,指輪・ネックレス・ペンダント・イヤリング・ピアス・ブレスレットの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,頭飾品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,経営に関する助言,商品の販売に関する情報の提供」を指定役務として、同年12月21日に登録査定、同25年1月25日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標及び商標登録出願は、以下のとおりである。
なお、これらをまとめていうときは、単に「引用商標」という場合がある。
(1)登録第5374697号商標(以下「引用商標1」という。)は、「KINDLE」の欧文字を標準文字で表してなり、2009年6月26日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成21年6月30日に登録出願、第35類、第38類、第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同22年12月10日に設定登録されたものである。
(2)商願2012-72678号(以下「引用商標2」という。)は、「キンドル」の片仮名を標準文字で表してなり、第9類、第35類、第38類、第41類、第42類及び第45類に属する願書に記載のとおり商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成24年9月7日に登録出願、その後、その指定商品及び指定役務中、第9類に属する指定商品については、同25年5月24日付け手続補正書をもって、該手続補正書に記載のとおりの商品に補正されたものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号、同項第15号若しくは同項第19号又は同法第8条第1項に該当するから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとし、その申立ての具体的理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第17号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項について
ア 称呼について
本件商標は、欧文字「Kindal」を標準文字で表してなるところ、該文字は、辞書等には記載されていない造語と考えられるもの(甲第4号証及び甲第5号証)であり、このように欧文字からなる造語の場合、我が国で最も馴染みのある外国語である英語風に称呼されることが通常であるので、その構成文字に相応して、「キンドル」の称呼が自然に生ずると考えるのが相当である。
他方、引用商標1は、欧文字「KINDLE」を標準文字で表してなるところ、該文字は、本来、「<火・物を>もやす、(たき)つける、火をつける」等の意を有する英単語であり、「キンドル」と称呼されるものであり、また、引用商標2は、片仮名「キンドル」を標準文字で表してなるものであるから、「キンドル」と称呼されるものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼上、同一の称呼と考えるのが相当である。
ところで、本件商標は、その構成中、「dal」の文字部分が「ダル」と称呼されると考える余地もあるが、その場合であっても、本件商標と引用商標とは、第1音、第2音及び第4音が共通し、「ダ」と「ド」の音が相違するにすぎない。そして、相違する「ダ」と「ド」の音は、前者の母音「a」が中舌母音、後者の母音「o」が後舌母音と相違するものの、「ダ」の前音が「ン」であり、また、「ダ」に続く「ル」が語尾にあっても比較的明瞭に発音される弾音で、その母音「u」が後舌母音であるため、「ダ」の母音「a」は、後舌寄りに母音「o」に近似して調音され、「ダ」の音が「ル」の音に吸収されるかのように短い音として称呼されることとなる。
そうとすると、本件商標から「キンダル」の称呼を生ずるとした場合、その称呼と引用商標から生ずる「キンドル」の称呼とは、第3音の「ダ」、「ド」に続く第4音「ル」が弾音であって、語尾に位置するとしても明瞭に発音されるため、「ダ」及び「ド」の音が後続する「ル」の音に吸収されるかのように明瞭には発音されず、母音「a」と「o」との調音方法が相似することとあいまって、極めて近似したものとして聴取されるから、識別することは容易ではない。
イ 観念について
本件商標と引用商標との観念についてみると、本件商標が、造語であって、特定の観念を生じないものであるため、引用商標から生ずる「<火・物を>もやす、(たき)つける、火をつける」の観念とは比較し得ないから、観念上の差異が両商標の称呼上の同一性ないし類似性に影響を及ぼすものではない。
ウ 外観について
(ア)本件商標と引用商標1との対比
本件商標と引用商標1とは、「KIND(Kind)」及び「L(l)」の文字を含む6文字構成からなる点で共通する。また、相違する「a」又は「E」の文字は、5文字目又は6文字目(語尾)に位置するという点で異なるものの、6文字の構成中、5文字が同じ順序で表されていることから、上記相違によって、両商標を峻別することができるとは決していえない。
してみれば、本件商標と引用商標1とは、称呼及び外観において相紛らわしい点が存し、観念においても比較することができないのであるから、両商標が類似することは明らかである。
(イ)本件商標と引用商標2との対比
本件商標と引用商標2とは、外観上、前者が欧文字で構成されるのに対し、後者は片仮名で構成される点で異なるが、両商標から生ずる称呼が同一であるか、又は極めて近似していることからすれば、かかる外観における相違が称呼の同一性(類似性)に影響を及ぼすとは考えられない。
してみれば、本件商標と引用商標2とは、称呼の同一性(類似性)を凌駕するほどの相違が、観念又は外観において存在するとはいうことができないから、両商標が類似することは明らかである。
エ 指定役務について
本件商標の指定役務は、引用商標1の指定役務中の第35類に属する役務並びに引用商標2の指定商品及び指定役務中の第35類に属する役務に類似する。
オ 小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標1と類似の商標であって、その指定役務と類似する役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当することは明らかであり、また、本件商標は、引用商標2と類似の商標であって、その指定役務と類似する役務について使用をするものであり、引用商標2の出願日後に商標登録出願されたものであるから、商標法第8条第1項に該当することは明らかである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の著名性について
(ア)引用商標は、申立人がその知的財産を管理するアマゾン・ドットコム社が製造、販売、提供する電子書籍リーダーとそのソフトウェア及び電子書籍関連サービスに用いられるブランドである(甲第7号証及び甲第8号証)。
電子書籍リーダー「KINDLE」は、2007年11月19日にアメリカ合衆国で販売が開始され、2009年10月19日には、海外においても販売が開始された。2010年8月25日に販売が開始された「KINDLE」第三世代モデルからは、日本語等の表示に対応し、日本語ファイル名のテキストファイルやPDFファイルの表示、英和辞典等の利用が可能となった。
我が国においても、ここ数年タブレットPCの普及により、需要者の関心が書籍から電子書籍へ移っており、様々な電子書籍リーダーが発売される中、アマゾン・ジャパンも、本件商標が出願・登録された2012年には、電子書籍リーダー「Kindle Fire HD」、「Kindle Fire」、「Kindle Paperwhite」の予約販売を開始し、該「Kindle」製品用の電子書籍を販売する「Kindleストア」をオープンし(甲第9号証及び甲第10号証)、大きな注目を集めた。
2011年第4四半期(10-12月)には、アマゾン・ドットコム社による「Kindle Fire」の販売台数が600万台になったとされ、話題になっており(甲第11号証)、また、我が国においても、2012年12月18日の発売以来、好調に販売台数を伸ばし、2013年2月7日は、早くも、アマゾン・ジャパン社が運営するオンラインストア「amazon.co.jp」で取り扱われる商品の中で最も売れている商品となった(甲第12号証及び甲第13号証)。
(イ)オンラインストア「amazon.co.jp」は、2000年のオープン以来、事実上1社が独占的に提供するオンラインストアとしては最大規模を誇るインターネット販売サービスを提供している。同オンラインストアでは、現在、5,000万種類を超える和書、洋書、CD、DVD、ソフトウェア、ゲーム、家電&カメラ、ホーム&キッチン、おもちゃ&ホビー、スポーツ&アウトドア、ヘルス&ビューティー、コスメ、時計、ベビー&マタニティ、アパレル&ファッション雑貨、食品&飲料、ジュエリー、文房具、オフィス関連商品、DIY・工具、カー&バイク用品、楽器、ペット用品等、数多くの商品を取り扱っており(甲第14号証)、アマゾン・ジャパンの国内売上高は、2010年に約50億ドル(約4,800億円)、2011年に約66億ドル(約6,300億円)、2012年に約78億ドル(約7,500億円)であって、その売上規模は、小売業全体でも10位前後に位置している(甲第15号証及び甲第16号証)。
なお、アマゾン・ドットコム社の2012年における全世界での売上は、610億9,300万ドル(約5兆8,000億円)であり、我が国の売上は、全体の12.77%を占めている(甲第17号証)。
(ウ)上記のとおり、オンラインストア「amazon.co.jp」において、発売から約2ヵ月で、同サイトにおいて最も売られた商品となった「Kindle」は、アマゾン・ドットコム社及びその関連会社を示すブランド「AMAZON(アマゾン)」と双璧をなす程、需要者の間に極めて広く浸透したブランドといっても過言ではない。
イ 商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標と引用商標とが類似することは、上記(1)のとおりである。
そして、アマゾン・ジャパン社が運営するオンラインストア「amazon.co.jp」が、我が国で最も大きく、かつ、人気のあるオンラインストアの一つであり、該オンラインストアにおいて、本件に係る小売等役務が提供されていることに鑑みれば、本件商標に接する需要者は、これがあたかもアマゾン・ドットコム社ないしアマゾン・ジャパン社と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であると誤認し、商品又は役務の出所について混同するおそれがあると考えるのが相当である。
なお、2012年12月の発売をかねてから待望されていた「Kindle」は、本件商標が登録出願された2012年7月26日には、既に著名となっていたということができ、また、「amazon.co.jp」での各種「Kindle」の販売が現在まで継続されていることに鑑みれば、本件商標の登録査定がされた2012年12月26日(審決注:2012年12月21日の語記と思われる。)の時点において、引用商標の著名性を否定すべき特段の事情は存在しない。
以上を総合すれば、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当することは、明らかである。
(3)商標法第4条第1項第19号について
申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当する旨申し立てているものの、その具体的理由については、何ら明らかにしていない。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項該当性について
ア 引用商標2について
本件商標は、前記1のとおり、平成24年7月26日に登録出願され、その後、同年12月21日に登録査定、同25年1月25日に設定登録されたものである。
他方、引用商標2は、前記2(2)のとおり、平成24年9月7日に登録出願されたものであり、現在、審査に継続しているものである。
してみれば、引用商標2は、本件商標の登録出願日の後に登録出願されたものであるから、これをもって、本件商標が商標法第8条第1項に該当すると認めることはできず、また、同法第4条第1項第11号に該当すると認めることもできない。
イ 本件商標と引用商標1との類否について
(ア)本件商標は、前記1のとおり、「Kindal」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、辞書類に載録された成語とは認められず、また、特定の意味合いを有する語として一般に慣れ親しまれたものとも認められないことからすれば、特定の観念を生ずることのない造語の一種として看取、理解されるとみるのが相当である。
そうとすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「キンダル」の称呼を生ずるものであり、また、特定の観念を生ずることのないものと認められる。
(イ)引用商標1は、前記2(1)のとおり、「KINDLE」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、「キンドル」の読み及び「<火・物を>もやす、(たき)つける、火をつける」の意味を有する英語である(甲第4号証)。
してみれば、引用商標1は、その構成文字に相応して、「キンドル」の称呼及び「<火・物を>もやす、(たき)つける、火をつける」の観念を生ずるものと認められる。
(ウ)本件商標と引用商標1との類否について検討するに、両商標は、上記のとおり、いずれも比較的短い6文字からなるものであって、5文字目における「a」と「L」との差異、6文字目における「l」と「E」との差異を有するものであるから、看者をして、外観上、容易にその差異を認識し、見分けることができるものといえる。
また、本件商標から生ずる「キンダル」の称呼と引用商標1から生ずる「キンドル」の称呼とを比較すると、両称呼は、いずれも4音からなるものであって、3音目において、「ダ」と「ド」の音の差異を有するものであるところ、該差異音は、前者が有声歯茎破裂音の子音「d」と大開き母音「a」との結合した音、後者が有声歯茎破裂音の子音「d」と半開き母音「o」との結合した音であり、その位置するところとあいまって、比較的似通った音として聴取され得るものであることからすれば、両称呼のそれぞれを一連に称呼するときは、称呼上、互いに近似したものとして認識されるといえる。
さらに、本件商標は特定の観念を生ずることのないものであるのに対し、引用商標1は「<火・物を>もやす、(たき)つける、火をつける」の観念を生ずるものであるから、観念上、両商標が相紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と引用商標1とは、称呼において近似したものとして認識され得るものの、外観及び観念において相紛れるおそれのないものであるから、これらを総合考慮すれば、両商標は、非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、その指定役務が引用商標1の指定役務と類似するものであるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標と引用商標1とは、たとえ引用商標1が本件商標の登録出願時において、申立人の業務に係る電子書籍リーダー等を表示するものとして、需要者の間において広く認識されていたとしても、上記(1)においてした判断によれば、非類似の商標であって、十分に区別し得る別異の商標といえるものであり、申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても、ほかに役務の出所について混同を生ずるおそれがあるとすべき特段の事情も見いだし得ないものである。
してみれば、本件商標をその指定役務について使用しても、これに接する需要者は、これが申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
申立人は、前記3(3)のとおり、本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当する旨申し立てているものの、その具体的理由については、何ら明らかにしていない。そして、申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても、本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当すると認めるに足る事実は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号並びに同法第8条第1項のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2013-10-04 
出願番号 商願2012-60533(T2012-60533) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W35)
T 1 651・ 4- Y (W35)
T 1 651・ 262- Y (W35)
T 1 651・ 271- Y (W35)
T 1 651・ 263- Y (W35)
T 1 651・ 222- Y (W35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 榎本 政実榊 亜耶人 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 梶原 良子
田中 敬規
登録日 2013-01-25 
登録番号 商標登録第5553169号(T5553169) 
権利者 有限会社カインドオル
商標の称呼 キンダル、カインダル 
代理人 城山 康文 
代理人 永岡 愛 
代理人 橘 和之 
代理人 岩瀬 吉和 
代理人 北口 貴大 

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