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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない X18
審判 全部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効としない X18
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない X18
審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない X18
管理番号 1280134 
審判番号 無効2012-890082 
総通号数 167 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-11-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-09-21 
確定日 2013-09-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第5079261号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5079261号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成19年1月11日に登録出願、同年5月31日に登録査定がされ、第18類「かばん金具,がま口口金,蹄鉄,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同年9月21日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人の引用する登録商標は、次のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。
1 登録第1674723号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、昭和55年1月31日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和59年4月20日に設定登録されたものである。その後、平成6年及び同16年に商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、同16年4月28日に第25類「被服」を含む商標登録原簿に記載のとおりの商品に指定商品の書換の登録がされたものである。
2 登録第1674726号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、昭和55年1月31日に登録出願、第22類「はき物、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和59年4月20日に設定登録されたものである。その後、平成6年及び同16年に商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、同17年1月26日に第25類「履物」を含む商標登録原簿に記載のとおりの商品に指定商品の書換の登録がされたものである。
3 登録第1748973号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、昭和55年1月31日に登録出願、第21類「かばん類、袋物」を指定商品として、昭和60年2月27日に設定登録されたものである。その後、平成7年及び同17年に商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、同17年2月9日に第18類「かばん類,袋物」を含む商標登録原簿に記載のとおりの商品に指定商品の書換の登録がされたものである。
4 登録第4716647号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成14年7月24日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を含む商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同15年10月10日に設定登録されたものである。
5 登録第4587151号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成13年10月22日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を含む商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同14年7月19日に設定登録され、その後、平成24年に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
6 登録第2481345号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成2年7月26日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、平成4年11月30日に設定登録されたものである。その後、平成14年及び同24年に商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、同14年10月23日に第25類「被服」を含む商標登録原簿に記載のとおりの商品に指定商品の書換の登録がされたものである。
7 登録第2520162号商標(以下「引用商標7」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成2年7月26日に登録出願、第21類「かばん類、袋物、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成5年3月31日に設定登録されたものである。その後、平成15年及び同25年に商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、同16年6月30日に第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」を含む商標登録原簿に記載のとおりの商品に指定商品の書換の登録がされたものである。
8 登録第184834号商標(以下「引用商標8」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、大正15年2月5日に登録出願、第36類「被服、手巾、釦鈕及装身用『ピン』ノ類」を指定商品として、同年9月17日に設定登録されたものである。その後、6回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、平成19年3月22日に第25類「被服(頭から冠る防虫網・あみ笠・すげ笠・ナイトキャップを除く。),運動用特殊衣服,マラソン足袋,地下足袋」を含む商標登録原簿に記載のとおりの商品に指定商品の書換の登録がされたものである。

第3 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1ないし同第31号証を提出している。
2 請求の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第8号、第10号、第11号及び第15号に該当するものであるから、同法第46条第1項に基づき無効とされるべきものである。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標に生じる称呼は「ミズノ」、「ミズノファームエフアール」、「ファームエムエフアール、「ミズノカブシキガイシャ」であると考えられる。ここで本件商標は「MIZUNO」及び「FURMFR.」の表記が横長長方形の枠内に位置している。枠外に小さく表記された「水野株式会社」から称呼が生じることもあるが、実際の商取引においては横長長方形の枠内の語が優先されると考えられる。横長長方形の枠内には「MIZUNO」の文字が比較的大きく、その下段に「FURMFR.」の文字は小さく表記されている。したがって、本件商標から生じる称呼は横長長方形の枠内に最も大きく表記された「MIZUNO」部分から生じると考えられる「ミズノ」である。
一方、引用商標1ないし5、引用商標8からはその文字より「ミズノ」の称呼が生じる。引用商標6及び7はその構成上、付記的に「THE WORLD OF SPORTS」の文字が描かれているが、その主要部分は「MIZUNO」部分にあり、ここから生じる称呼は「ミズノ」となる。
よって、本件商標及び引用商標から生じる称呼は共に「ミズノ」ということになり、両者は、称呼上同一又は類似の商標である。
なお、本件商標は、前記のとおりその主要部分において欧文字の「MIZUNO」を大きく上段に、欧文字の「FURMFR.」を比較的小さく下段に二段書きした構成である。ここで、「MIZUNO」部分が需要者の間に広く認識された他人の登録商標であれば、本件商標はその他人の登録商標と類似するものであるということが「商標審査基準」に記載されている(甲10)。(引用商標1ないし4、引用商標6及び7は、請求人のスポーツ関連商品の商標として需要者の間に広く認識されている。)
本件商標と引用商標とは、「ミズノ」の称呼を共通にする類似の商標であり、かつその指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標1ないし4は、請求人が昭和55年より、請求人の主要な商品であるスポーツシューズ、スポーツウエア、スポーツバッグなどを中心に使用し続け、現在に至っている。
引用商標を使用し、宣伝広告してきた例は甲第11ないし第29号証のとおりである。
請求人の販売するスポーツシューズ及びスポーツウエアは、陸上競技、テニス、野球、サッカー、ゴルフなどの分野で活躍する有名選手に使用され、また、これら選手が使用する商品に引用商標を付して宣伝広告し、また請求人を表す会社名として広く世界的に表示してきたものであるから、少なくとも、スポーツグッズ全般、スポーツウエア全般、スポーツシューズ全般、スポーツバッグ全般の取引者、需要者間では、引用商標1ないし4、引用商標6及び7は、著名である。
第18類、第25類及び第28類における著名性は、「日本有名商標集」(甲30)に記載されていることからも確認できる。本件商標出願当時における請求人の商品売上高は有価証券報告書(甲31)のとおりである。
したがって、本件商標の指定商品に本件商標が使用されると、取引者、需要者は、これらの商品は請求人が供給する商品であるかのように誤認し、商品の出所について混同するおそれがある。
(3)商標法第4条第1項第8号該当性について
請求人の名称は美津濃株式会社である。そして、請求人が長年販売する商品に商標として使用してきたことによって、アルファベット「MIZUNO」は請求人の略称としてスポーツグッズ全般、スポーツウエア全般、スポーツシューズ全般、スポーツバッグ全般の需要者の間に著名である(甲10ないし29、甲30及び31)。
本件商標は、請求人の著名な略称である「MIZUNO」を含む商標である。
したがって、本件商標は、第18類及び第25類の指定商品全てにおいて商標法第4条第1項第8号に該当するものである。
(4)商標法第4条第1項10号該当性について
請求人が長年商標として使用してきたことによって、アルファベット「MIZUNO」は、請求人の略称として本件商標の出願時及び登録時の両時において、スポーツグッズ全般、スポーツウエア全般、スポーツシューズ全般、スポーツバッグ全般を商品とするブランド名として需要者の間に広く認識されている。第18類、第25類及び第28類における周知性は、「日本有名商標集」(甲30)に記載されていることからも確認できる。
本件商標の指定商品は、スポーツグッズ全般,スポーツウエア全般,スポーツシューズ全般,スポーツバッグ全般の商品と同一又は類似の範囲に該当する商品を指定商品とするものである。
したがって、本件商標は、第18類の「かばん類,袋物」及び25類の「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」において、商標法第4条第1項第10号に該当するものである。
(5)むすび
結論として、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第11号及び同第15号に違反してされたものであるから、無効とすべきものである。
3 本件商標に対する暫定的な見解に係る反論
請求人は、平成25年5月13日付け審理事項通知書に対し、同月31日付け口頭審理陳述要領書において、以下のとおり主張した。
(1)本件商標について
ア 本件商標の称呼について
審理事項通知書に記載された、「1 本件商標に対する暫定的な見解(以下「暫定的な見解」という。)(1)本件商標について」の段落1において、『本件商標は、その構成中に横長の長方形の枠を設け、その枠内の上段に「MIZUNO」の欧文字と、その下段に上段の該欧文字に比してやや小さく「FURMFR.」の欧文字及び記号を上下二段に表し、(後略)』と認定されているが、その前提に立つのであれば、本件商標が、文字サイズが異なる文字列で構成される点からも、「MIZUNO」から「ミズノ」、及び、「FURMFR.」から「エフユーアアルエムエフアアル」の称呼をそれぞれ生ずるのは自明と考える。
さらには、同段落2に、『しかして、本件商標の枠内に表された「MIZUNO」の欧文字は、一般には「水野」の氏を想起させるものであって、「水野」の文字をローマ字表記したものと理解されるものであるが、』とあり、さらに、『本件商標は、その構成中に、例え枠外に位置しているといえども「水野株式会社」の文字も併記されており、本件商標のかかる構成からすれば、「MIZUNO」の欧文字は、該「水野株式会社」の称号の略称である「水野」をローマ字で表したものとみるのが自然である。』と認定されるのであれば、本件商標から「ミズノ」の称呼を生ずることは自然であり、妥当と考える。
上記のほか、請求人は、本件商標の構成中に横長の長方形の枠内の上段の「MIZUNO」の欧文字と、その下段の「FURMFR.」の欧文字及び記号を上下二段に表わされる文字について、該「MIZUNO」から称呼「ミズノ」を生ずることが前記のとおり自然であることに対し、該「FURMFR.」が明らかに造語であり、特定の称呼を生じさせない点を考慮すれば、上下二段全体の構成で「ミズノエフユーアアルエムエフアアル」との称呼自体冗長であり、よどみなく発音できるとも疑問に感じる。
よって、同段落3に、『本件商標は、その枠内にまとまりよく表された「MIZUNO」及び「FURMFR.」の欧文字部分に相応して、「ミズノエフユーアアルエムエフアアル」の称呼を生じ、特定の観念を生じないというべきものである。』との認定されていることは到底認められない。
以上の事から、本件商標から、「ミズノ」、「エフユーアアルエムエフアアル」の称呼をそれぞれ生ずるものと考える。
イ 本件商標の観念について
暫定的な見解(1)段落3に、『してみると、本件商標は、その枠内にまとまりよく表された「MIZUNO」及び「FURMFR.」の欧文字部分に相応して、「ミズノエフユーアアルエムエフアアル」の称呼を生じ、特定の観念を生じないというべきものである。』と認定されているが、本件商標が、「ミズノ」と「エフユーアアルエムエフアアル」とそれぞれの称呼を生ずるものであるから、枠内上段の欧文字「MIZUNO」から観念を生ずる。
さらに、『また、枠外の「水野株式会社」の文字部分については、該文字に相応して「ミズノカブシキガイシャ」の称呼を生じ、商号としての「水野株式会社」の観念を生じるものである。』と認定されているが、本来、特許庁の「商標の審査基準」の第3条第1項第4号で示される、ありふれた氏とされる「水野」、と同号でありふれた名称とされる「株式会社」を結合してなることから、「水野株式会社」の語自体に商標としての識別力(性)はなく、付記的事項として扱うことが相当である。
(2)引用商標の周知著名性について
暫定的な見解に異論はない。
(3)引用商標について
暫定的な見解として、『「MIZUNOのロゴ」及び「美津濃」の周知著名性は、前記(2)のとおりであり、「MIZUNOのロゴ」若しくはこれを含む構成からなる引用商標1ないし7及び「美津濃」の漢字を表してなる引用商標8は、いずれも請求人の著名な略称である「美津濃」に通ずるものであって、これらより「ミズノ」の称呼を生じ、また、「請求人の美津濃ブランド」の観念を有するということができるものである。』とされている。
しかしながら、請求人は、『引用商標1ないし7及び「美津濃」の漢字を表してなる引用商標8は、いずれも請求人の著名な略称である漢字「美津濃」のみならず、欧文字「MIZUNO」、片仮名「ミズノ」に通ずるものであって、これらより「ミズノ」の称呼を生じ、また、「請求人の美津濃ブランド」、「請求人のMIZUNOブランド」、「請求人のミズノブランド」の観念を有するということができるものである。』と思料する。
このことは、「FAMOUS TRADEMARKS IN JAPAN 有名商標集」(甲30)の請求人の引用商標記載欄に請求人の社名表記として、「MIZUNO KABUSHIKI KAISYA」、「MIZUNO CORPORATION」の記載があること、さらには、「請求人発行の製品カタログ」(甲14ないし27)に、「ミズノ製品についてのお問い合わせ・ご相談は?」、「ミズノお客様商品相談センター-MUSIC」、「MIZUNO USER SERVICE INFORMATION CENTER」、「MIZUNO・インターネット情報は-http://www.mizuno.co.jp/」、「発行 TP ミズノ株式会社」、「MIZUNO INTERNATIONAL」、「MIZUNO SWIM COLLECTION」、「MIZUNO CROSSTIC」、「MIZUNO BASIC」等の記載があり、引用商標は、欧文字「MIZUNO」、片仮名「ミズノ」とともに使用されている実情からも、取引者・需要者においても、前記引用商標が「ミズノ」の称呼を生じ、また、「請求人のMIZUNOブランド」、「請求人のミズノブランド」との観念を生じさせることは周知の事実であるものと確信する。
(4)商標法第4条第1項第11号該当性について
暫定的な見解として、『本件商標と引用商標とを比較すると、本件商標からは、「ミズノエフユーアアルエムエフアアル」又は「ミズノカブシキガイシャ」の称呼を生じるのに対し、引用商標からは「ミズノ」の称呼が生じるものであるから、両者は、称呼上において、語頭から始まる「ミ」「ズ」「ノ」の音を共通にするとしても、その後に続く「エフユーアアルエムエフアアル」又は「カブシキガイシャ」の音の有無において顕著な差異を有するので、時と所を異にして観察しても互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である。また、本件商標の外観と引用商標の外観とを比較すると、両者は、外観上において、顕著な差異を有するので、時と所を異にして観察しても互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である。特定の観念を生じないというべきものである。さらに、本件商標からは「水野株式会社」の観念が生じるのに対し、引用商標からは「請求人の美津濃ブランド」の観念が生じるものであるから、本件商標と引用商標とは、観念上非類似の商標である。
しかしながら、請求人が主張するとおり、本件商標中の「MIZUNO」は、二段書きされ、かつその文字サイズが異なる最大サイズで記載されている点、欧文字「MIZUNO」が「ミズノ」の称呼を自然と生じさせるのに対して、「FURMFR.」よりは特定の称呼は生じ得ず、「MIZUNO」と「FURMFR.」とを一連に称呼するのは不自然である点、さらには、前記本件商標の欧文字「MIZUNO」部分より、著名と認定されている請求人の引用商標から「MIZUNOブランド」、「請求人のミズノブランド」との観念を生じさせる点を鑑みれば、本件商標よりは、その欧文字部分「MIZUNO」より「ミズノ」の称呼、請求人のブランド観念が生じる、と言うべきものであり、したがって、本件商標と、引用商標1?7とは、称呼、観念が互いに共通する類似の商標というべきものである。
(5)商標法第4条第1項第10号及び同第15号該当性について
暫定的な見解として、『本件商標と引用商標とは、前記(4)のとおり、別異の商標というべきものであるから、請求人の使用する引用商標が著名性を有するとしても、被請求人が、本件商標をその指定商品に使用した場合、取引者・需要者において、その商品が請求人あるいは請求人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じるおそれはないものである。』とされている。
しかしながら、請求人は、前記(3)及び(4)に記載のとおり、引用商標の著名性、ならびに、請求人の永年の使用の実情を勘案すれば、欧文字「MIZUNO」から請求人の「美津濃ブランド」、「MIZUNOブランド」、「ミズノブランド」を想起するものであり、本件商標をその指定商品に使用した場合、取引者・需要者において、その商品が請求人あるいは請求人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じるおそれが生じるものと考える。よって、本件商標は、引用商標1ないし7との関係において、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当するものと思料する。
(6)商標法第4条第1項第8号該当性について
暫定的な見解として、『請求人の名称は、美津濃株式会社であり、その略称である「美津濃」は、前記(2)のとおり、請求人の著名な略称ということができるものである。これに対し、本件商標は、前記(1)のとおり、その構成中に「MIZUNO」の欧文字及び「水野株式会社」の文字が併記されている構成からすれば、該「MIZUNO」の欧文字は、請求人の略称である「水野」のみを想起させるものであって、請求人の著名な略称である「美津濃」を想起、連想させるとはいえないものである。』とされている。
しかしながら、請求人は、前記(3)及び(4)に記載のとおり、引用商標の著名性、ならびに、請求人の永年の使用の実情を勘案すれば、請求人の名称「美津濃株式会社」から、暫定的な見解に示される『本件商標を構成する「MIZUNO」の欧文字は、請求人の略称である「水野」のみを想起させるものであって、請求人の著名な略称である「美津濃」を想起、連想させるとはいえないものである。』は誤りであると考える。よって、本件商標は、引用商標1ないし7との関係において、商標法第4条第1項第8号に該当するものと思料する。

第4 被請求人の主張
被請求人は、請求人の提出に係る平成25年5月31日付け口頭審理陳述要領書に対し、同年6月13日付け口頭審理陳述要領書において、以下のとおり主張した。
1 本件商標について
(1)本件商標の称呼について
請求人は、請求人陳述要領書において、「本件商標のその構成中の欧文字部分である『MIZUNO』から『ミズノ』、及び、『FURMFR.』から『エフユーアアルエムエフアアル』の称呼をそれぞれ生ずるものと考える。」と述べ、その理由として、「本件商標が、文字サイズが異なる文字列で構成される点」や、「上下二段全体の構成で『ミズノエフユーアアルエムエフアアル』との称呼自体冗長であり、よどみなく発音できるとも疑問に感じる」こと等を指摘する。
しかしながら、本件商標中の一般的な書体の「MIZUNO」という欧文字は、暫定的な見解(1)段落2に記載されているとおり、「一般には『水野』の氏を想起させるものであって、『水野』の文字をローマ文字表記したものと理解されるもの」であり、また、本件商標の構成からすれば「『水野株式会社』の商号の略称の『水野』をローマ文字で表したものとみるのが自然」である。そして、特許庁商標課編「商標審査基準」にも明記されているとおり、ありふれた氏又は名称を仮名又はローマ字で表示したときは、原則として商標法第3条第1項第4号に該当するものと考えられる。そうすると、「水野」というありふれた氏のローマ字表記である本件商標中の「MIZUNO」の欧文字は、そもそも単独では自他商品識別力及び独占適応性を有しておらず、かかる文字部分からは出所識別標識としての「ミズノ」の称呼及び日本人の名前(氏)といった観念は生じ得ない。
よって、本件商標の「MIZUNO」の欧文字部分のみから出所識別標識としての「ミズノ」の称呼は生じず、本件商標の「MIZUNO」及び「FURMFR.」の欧文字部分に相応して「ミズノエフユーアアルエムエフアアル」の称呼を生ずる。
なお、本件商標は被請求人の毛皮製品に使用されているので、本件商標中の「FUR」という欧文字が「毛皮」を意味する語であることを認識した取引者・需要者は、本件商標の欧文字部分を「ミズノファーエムエフアアル」と称呼するかもしれない。
(2)本件商標の観念について
請求人は、請求人陳述要領書において、本件商標の「枠内上段の欧文字『MIZUNO』から観念を生ずるものと考える」と述べる。
しかしながら、被請求人は、上述のとおり「水野」というありふれた氏のローマ字表記である「MIZUNO」の文字部分から出所識別標識としての観念(日本人の名前といった観念)は生じないと考える。また、本件商標中の「MIZUNO」の欧文字は一般的な書体で表記されており、請求人の引用商標1ないし7(MIZUNOのロゴ)のように語頭の「M」がモノグラム化された特徴を有するものではなく、さらに本件商標は「美津濃」の文字を含むものではないから、「請求人の美津濃ブランド」といった観念も生じない。
また、請求人は、本件商標中の「ありふれた氏とされる『水野』、と同号でありふれた名称とされる『株式会社』を結合してなることから、『水野株式会社』の語自体に商標としての識別力(性)は無い」旨主張する。
請求人のかかる主張は、「水野」がありふれた氏であることを前提とするものであるから、「水野」というありふれた氏のローマ字表記である本件商標中の「MIZUNO」の欧文字は、単独では識別力を有していないという被請求人の上記主張を裏付けるものといえる。
被請求人は、本件商標全体が「MIZUNO FURMFR. 印の水野株式会社」と一体的に認識される可能性があり、また、本件商標中の「水野株式会社」の文字部分は「MIZUNO」の欧文字が「水野」のローマ字表記であることを明確にする等の役割を担っているため、「水野株式会社」の文字部分を看過し得ないものと考える。
2 引用商標の周知著名性について
被請求人も暫定的見解(2)に異議はない。
3 引用商標について
請求人は、請求人陳述要領書において、「引用商標1ないし7及び『美津濃』の漢字を表してなる引用商標8は、・・(中略)・・『請求人の美津濃ブランド』、『請求人のMIZUNOブランド』、『請求人のミズノブランド』の観念を有する」旨主張する。
しかしながら、「請求人の美津濃ブランド」、「請求人のMIZUNOブランド」及び「請求人のミズノブランド」という観念は、単に文字表記の違いに過ぎず、いずれも「請求人のブランド」という実質的に同一の観念を指していると考えられるので、かかる請求人の主張には意味がない。
4 商標法第4条第1項第11号該当性について
請求人は、請求人陳述要領書において、「本件商標中の『MIZUNO』は、二段書きされ、かつその文字サイズが異なる最大サイズで記載されている点、欧文字『MIZUNO』が『ミズノ』の称呼を自然と生じさせるのに対して、『FURMFR.』よりは特定の称呼は生じ得ず、『MIZUNO』と『FURMFR.』とを一連に称呼するのは不自然である点、・・(中略)・・請求人の引用商標から『MIZUNOブランド』、『請求人のミズノブランド』との観念を生じさせる点を鑑みれば、本件商標よりは、その欧文字部分『MIZUNO』より『ミズノ』の称呼、請求人のブランド(との)観念が生じる、と言うべき」であると主張する。
しかしながら、そもそも「水野」というありふれた氏を一般的な書体のローマ字で表記した本件商標の「MIZUNO」の欧文字部分のみから、出所識別標識としての「ミズノ」という称呼は生じないと考えるのが自然である。また、周知著名な請求人の引用商標から「請求人のブランド」という観念が生ずるとしても、本件商標中の「MIZUNO」の欧文字は一般的な書体で表記されており、請求人の引用商標のように語頭の「M」がモノグラム化されたものではなく、さらに本件商標は「美津濃」の文字を含んでいないから、本件商標から「請求人のブランド」という観念は生じない。
よって、被請求人は、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても類似するものではなく、別異の商標であると考える。なお、上記で述べたように、本件商標は、その欧文字部分より「ミズノファーエムエフアアル」という称呼を生じさせる可能性もある。
5 商標法第4条第1項第10号及び同第15号該当性について
請求人は、請求人陳述要領書において、「引用商標の著名性、ならびに、請求人の永年の使用の実情を勘案すれば、欧文字『MIZUNO』から請求人の『美津濃ブランド』、『MIZUNOブランド』、『ミズノブランド』を想起するものであり、本件商標をその指定商品に使用した場合、・・(中略)・・商品の出所について混同を生じるおそれが生じるものと考える。」旨述べる。
しかしながら、本件商標と引用商標とは、そもそも別異の商標というべきものである。また、周知著名性が認められる請求人の商標は、あくまで語頭の「M」がモノグラム化された特徴を有するMIZUNOのロゴ(引用商標1ないし7)及び「美津濃」の文字(引用商標8)であって、一般的な書体の「MIZUNO」の欧文字ではない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当しないものである。
6 商標法第4条第1項第8号該当性について
請求人は、請求人陳述要領書において、引用商標の著名性、ならびに、請求人の永年の使用の実情を勘案すれば、審理事項通知書1(6)の暫定的な見解は誤りである旨主張する。
しかしながら、周知著名性が認められる請求人の略称は、あくまで漢字で表記された「美津濃」の文字であって、一般的な書体の「MIZUNO」の欧文字ではない。また、本件商標の構成からすれば、本件商標中の一般的な書体の「MIZUNO」の欧文字は、被請求人の略称である「水野」のみを想起させるものといえる。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しないことが明らかである。
7 以上により、請求人の主張は、いずれも失当であり、本件審判の請求は成り立たない。

第5 当審の判断
1 引用商標の周知著名性について
引用商標1ないし7は、前記第2のとおり、語頭の「M」様のアルファベット文字をかなりモノグラム化し、更にこれに続く「I」「Z」「U」「N」「O」のアルファベット文字においても「U」「N」の文字を一筆書き風に一体化した特徴を有する構成(以下、この態様の構成を「MIZUNOロゴ」という。)若しくはこれを含む構成からなるものである。
また、引用商標8は、「美津濃」の漢字をゴシック体で縦書きしてなる構成からなるものである。
そして、甲各号証によれば、MIZUNOロゴや「美津濃」の文字は、請求人が長年運動用特殊被服や運動用特殊靴に使用した結果、本件商標の登録出願時には、既に請求人の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたということができるものであり、その状態は、本件商標の登録査定時においても継続していたと認められるものである。
2 引用商標について
引用商標は、前記1のとおり、いずれも著名な商標であるMIZUNOロゴ又はこれを含むもの若しくは「美津濃」であるから、これより「ミズノ」の称呼を生じ、また、「請求人の美津濃ブランド」の観念を生ずるものである。
3 本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、横長長方形の枠内の上段に「MIZUNO」の欧文字と、その下段に上段の「MIZUNO」の欧文字に比してやや小さく「FURMFR.」の欧文字及びピリオド記号を表し、さらに、枠外の下には小さく「水野株式会社」の文字を併記した構成からなるものである。
そして、本件商標は、その枠内に表された「MIZUNO」の欧文字から、一般には「水野」の氏を想起させるところ、これに加え、例え枠外に位置しているといえども被請求人の商号である「水野株式会社」の文字も併記されているものである。
しかして、該「水野株式会社」の文字部分は、ありふれた氏である「水野」の文字と「株式会社」からなるものであり、それ自体、商標としての自他商品・役務の識別標識としての機能がないか、弱いというものであったとしても、本件商標のかかる構成においては、上記「MIZUNO」の欧文字を特定する役割を果たし、そうとすれば、該「MIZUNO」の欧文字は、上記商号の略称である「水野」をローマ文字で表したものとみるのが自然である。
したがって、本件商標は、その構成中、「MIZUNO」の欧文字から「水野株式会社の略称としての水野」の観念を、また、「水野株式会社」の文字から「水野株式会社」の観念を生ずるものであって、該「MIZUNO」の欧文字から請求人の略称である「美津濃」を想起することはない。
また、枠内の「FURMFR.」の文字部分については、辞書類に採録がなく、また、該語が広く使用され、取引者、需要者に知られている事情も認められないことから、特定の意味を有しない造語からなるものと理解されるものである。
してみると、本件商標は、その枠内の「MIZUNO」及び「FURMFR.」の欧文字部分に相応して、「ミズノエフユーアアルエムエフアアル」の称呼を生じるほか、該称呼が冗長であり、かつ、「MIZUNO」の欧文字部分が大きく表されていることから、さらに、「ミズノ」「エフユーアアルエムエフアアル」の称呼をも生じる余地はあるといえる。また、枠外の「水野株式会社」の文字部分から「ミズノカブシキガイシャ」の称呼をも生じる余地はある。
したがって、本件商標は、「ミズノエフユーアアルエムエフアアル」「ミズノ」「エフユーアアルエムエフアアル」又は「ミズノカブシキガイシャ」の称呼を生じ、「水野株式会社の略称としての水野」又は「水野株式会社」の観念を生じるものである。
4 商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標と引用商標との類否についてみると、両者は、前記第1及び2のとおり、それぞれの構成から、外観上、明らかな差異を有するものである。
次に、称呼の点からみると、両者は、前記2及び3で示したとおり、本件商標の構成中の「MIZUNO」の欧文字から「ミズノ」の称呼を生ずる場合があり、「ミズノ」の称呼を生ずる引用商標と本件商標とは、「ミズノ」の称呼を共通にする場合がある。しかし、その余の称呼の比較においては、その音構成などにおいて著しい差異を有するものであるから、称呼上相紛れるおそれのないものである。
さらに、観念の点からみると、本件商標は、「水野株式会社の略称としての水野」「水野株式会社」の観念を生ずるのに対し、引用商標は、「請求人の美津濃ブランド」の観念を生じるものであるから、両者は、観念上、紛れるおそれはない。
この点、請求人は、引用商標とともに、一般的な書体の「MIZUNO」の欧文字や「ミズノ」の片仮名も使用された結果、引用商標から「請求人のMIZUNOブランド」、「請求人のミズノブランド」の観念をも生じさせる点を鑑みれば、本件商標の欧文字部分「MIZUNO」より、「ミズノ」の称呼、請求人のブランド観念が生じ、したがって、本件商標と引用商標1ないし7とは、称呼、観念が互いに共通する類似の商標である旨主張する。
しかしながら、「MIZUNO」の欧文字に「水野株式会社」の文字が併記された本件商標の構成においては、該「MIZUNO」の欧文字のみをもって観念を認定すべきではなく、「水野株式会社」の文字をも併せ認識した上で、該「MIZUNO」の欧文字から「水野株式会社の略称としての水野」の観念を生ずると認定したものであって、たとえ引用商標から「MIZUNOブランド」、「請求人のミズノブランド」との観念を生じるとしたとしても、上述したとおり、両者は観念上相紛れるおそれがないものであるから、請求人の上記主張は採用することができない。
そうとすると、本件商標と引用商標とは、称呼において共通する場合があるとしても、その外観及び観念の点において相紛れるおそれがなく、非類似の商標である。
したがって、本件商標は、その指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似するものであるとしても、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでない。
5 商標法第4条第1項第10号の該当性について
本件商標と引用商標とは、前記4においてした判断のとおり、非類似の商
標であって、十分に区別し得る別異の商標といえるから、引用商標が請求人の業務に係る運動用特殊被服や運動用特殊靴を表示するものとして、その取引者、需要者の間において相当程度知られ、かつ、本件商標の指定商品が引用商標の使用に係る商品と同一又は類似するものであるとしても、本件商標が商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものということはできない。
6 商標法第4条第1項第15号該当性について
たとえ引用商標が本件商標の登録出願時において、請求人の業務に係る運動用特殊被服や運動用特殊靴を表示するものとして、その取引者、需要者の間において広く認識されていたとしても、前記4においてした判断のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であって、十分に区別し得る別異の商標といえるものである。
また、本件商標は、その構成中に、「MIZUNO」の欧文字を有しているとしても、これと商標権者の商号である「水野株式会社」の文字が併記されている構成からすれば、該「MIZUNO」の欧文字から請求人の美津濃ブランドの著名性にフリーライドするような意図をもって採択したとは認められず、さらに、ほかに商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとすべき特段の事情も見いだせないものである。
してみれば、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
7 商標法第4条第1項第8号の該当性について
本件商標は、前記3のとおり、その構成中の「MIZUNO」の欧文字部
分に注目したとしても、該文字が請求人の略称として観念されない以上、請求人の著名な略称を表したものということができない。
してみれば、本件商標の構成文字から「MIZUNO」の欧文字部分のみが殊更に分離、抽出され、請求人の略称を表すものとして認識されるとはいうことができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものではない。
8 結論
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (別掲)
本件商標


引用商標1ないし4


引用商標5


引用商標6及び7


引用商標8


審理終結日 2013-02-22 
結審通知日 2013-02-27 
審決日 2013-08-21 
出願番号 商願2007-1283(T2007-1283) 
審決分類 T 1 11・ 271- Y (X18)
T 1 11・ 26- Y (X18)
T 1 11・ 25- Y (X18)
T 1 11・ 23- Y (X18)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 久保田 正文 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 井出 英一郎
田中 亨子
登録日 2007-09-21 
登録番号 商標登録第5079261号(T5079261) 
商標の称呼 ミズノファームエフアアル、ミズノファーエムエフアアル、ミズノ、ファームエフアアル、ファーエムエフアアル 
代理人 安彦 元 
代理人 駒崎 健 
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