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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X30
管理番号 1280121 
審判番号 取消2012-300953 
総通号数 167 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-11-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-12-11 
確定日 2013-09-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第2094891号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2094891号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2094891号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に表示したとおり、「あじろ」の平仮名と「味代」の漢字とを縦書きしてなり、昭和61年7月14日に登録出願、第30類「せんべい、あられ」を指定商品として、同63年11月30日に設定登録、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、また、指定商品については、平成21年4月8日に第30類「せんべい,あられ」とする指定商品の書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成25年1月4日にされている。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由、答弁に対する弁駁及び口頭審理における陳述を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
(1)取消事由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)取消原因
被請求人は、甲第1号証に記載されているとおり、少なくとも平成19年12月1日以前には業務を廃業している。
また、被請求人は、甲第3号証の1(訴状)及び、甲第3号証の2において、自己の使用事実を証明する取引資料等を種々提出しているが、これらのほとんどの資料は昭和から平成に入って数年程度のものまでばかりである。最も現在に近い資料(甲第3号証の2末頁:訴状に添付された甲第20号証の2菓子食品新報)には本審判請求に係る登録商標「味代\あじろ」は記載されていない。また、係る掲載紙の発行は平成21年の1月であり、現在からは既に約4年近い前の掲載である。
そして、甲第3号証の1(訴状)において、商標法第38条第1項及び第2項のいずれの規定に基づいた損害額の主張もないのは、自己が3年以上不使用であることから、不法行為(民法709条)の時効(3年)を認識しているものと思量される。
以上より、本件商標の指定商品中、第30類「全指定商品」については、商標法第50条第1項の規定により登録が取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)答弁の理由(1)への弁駁
ア 被請求人は、答弁書において、「透明のビニール袋に袋詰めされた小魚せんべいが、被請求人の商品として販売されている事実を証明する写真であり、正面略中央に登録商標『あじろ\味代』が付され、裏面右下部にある製造者の欄には被請求人の『マルウ製菓株式会社』が記載されている。」と述べ、乙第2号証が、本件商標に係る指定商品中、第30類「せんべい,あられ」(以下「本件指定商品」という。)に本件商標の使用事実を証明する写真であることを主張している。
確かに、乙第2号証の写真には、ビニール袋の内容物として小魚の形状をしたせんべいが袋詰めされている状態が写し出されており、当該袋の正面略中央には本件商標が表示されている。また、裏面右下部の製造者の欄には被請求人の「マルウ製菓株式会社」が記載されている。
したがって、乙第2号証が、係る商品の販売事実、及び被請求人による本件商標の使用の事実が過去にあったことを証明する写真であることは認める。
しかしながら、乙第2号証は、撮影年月日も撮影場所も不明な写真である。本件商標の使用の事実を立証する写真であると主張するのであれば、使用時期との関係で証明できるものでなければならず、例えば、平成22年度並びに平成23年度の農協祭におけるブース等で販売されていた場面を写したものなどを提出すべきである。
また、被請求人は、「裏面右下部にある製造者の欄には被請求人の『マルウ製菓株式会社』が記載されている。」旨を主張している。
しかし、これらの表記によって、係る商品が存在していたことの事実、本件商標の使用者、商品の出所を証明はできても、係る商品等が流通した時期を特定できるものではない。係る裏面の表示事項を主張するのであれば、被請求人は食品取扱事業者であるのだから、当然に賞味期限の記載もあることを認識しているはずである。乙第2号証の写真では、小魚の形状のせんべいが袋詰めされていることから、この時点で賞味期限は印刷等されているはずである。乙第2号証の裏面に記載された表記によると、写真が見え難くはっきりしないものの、「・・・下部に記載」と読み取れる。ところが、乙第2号証では、下部が写されておらず、写真に現されている商品がいつ頃存在していたものなのか不明である。
なお、平成12年3月より以前から平成15年6月までの間、被請求人の依頼を受けて、漢字の「味代」に、平仮名の「あじろ」を含む商標を表示したビニール袋を被請求人に供給していた株式会社誠和によれば、平成15年6月以降には、係る商標を付した透明袋の注文はなくなり、印刷のない無地の透明袋が数ヶ月に一度の割合で2500枚入り一箱を受注するのみとなり、平成19年2月1日に最後の透明袋を納品し、同年4月27日にその代金を受け取った後は、一切連絡が途絶えたという(甲第4号証)。
以上より、乙第2号証によっては、本件商標が使用されていた時期を何ら特定することはできないものであり、商標法第50条第2項に規定する使用事実を証明する証拠であるという被請求人の主張は失当である。
イ 被請求人は、答弁書において、「被請求人は、乙第2号証に示す商品を製造し、乙第3号証の1ないし4に示すように、平成22年度並びに平成23年度の農協祭において、販売を行った。係る農協祭の開催日程や開催案内、開催要項等については、乙第5号証の1ないし5に示すとおりである。」と述べ、本件指定商品に本件商標を使用した事実を主張している。
しかしながら、乙第3号証の1から4の証明書は明らかに不自然である。農協が主催する年に一度のフェスティバル等において、各ブースでどのような商品を取り扱うか、商品種別などを把握することは当然であるとしても、幾種もの商品が混在する中で、各商品毎に付された商標がどのようなものであったかまで把握することは考え難く、況してや、その商標に振り仮名の表記が存在していたかどうか、それがどのような態様であったかなどまで把握していたとは到底考えることはできない。そして、乙第5号証の1及び2の「とちぎアグリフェスタ参加申込書」の記載を見ても「出展の内容」の欄には「せんべい、あられ、菓子の販売」又は「米菓、菓子の販売」と記載されているのみであり、出展された商品等の中に小魚の形状をしたせんべいが存在したかどうかも不明である。
また、被請求人と請求人とが争っている訴訟における、請求人の訴訟代理人弁護士(宇都宮中央法律事務所)がJAしもつけA氏及び下野農業協同組合B氏に事実を再確認した上で、取り付けた証明書の写し(甲第5号証及び甲第6号証)を得ることができた。
係る甲第5号証によれば、乙第3号証の1及び乙第3号証の2の証明を行った証明者は「米菓を販売したことを証明する趣旨で作成したものであり、米菓の標章がどのようなものであったかまでは把握しておりません。」と述べており、被請求人が農協祭で使用した商標の態様どころか、出展した商品が米菓であった程度の把握状態であり、本件指定商品に本件商標を使用した証明にはならない。
係る甲6号証によれば、乙第3号証の3及び乙第3号証の4を作成した証明者は、「私は、本当は同社が平成22年度と23年度の農協際に出店したかどうか把握しておりません。」と、出展の事実さえ把握していなかった旨を述べている。
そしてさらに「私は、同社より強く証明書の作成を依頼されたため、お断りすることができず、証明書に記名押印してしまいましたが、同社は、平成17年から18年ころに農協祭に出店したことはあったと記憶しているものの、平成22年度及び23年度の農協祭に出店したかどうかは分かりません。なお、私は、同社が販売する米菓の標章(パッケージに記載されている商品名を表す文言やその体裁)も把握しておらず、証明書にある「あじろ\味代」という表記についても、これが何を意味するのか分かりません。」と、証明書への記名押印が、断れないほど強く迫られたことにより、やむなくしてしまったものであることが明らかとなった。
したがって、乙第3号証の1ないし4は、本件指定商品に本件商標を使用したことを証明する証拠にはならない。
ウ 被請求人は、答弁書において、「また、被請求人は、乙第4号証に示すように、登録商標『あじろ\味代』として大缶詰めされた小魚せんべいについて、平成23年から平成24年にかけて販売を行った。」と、乙第4号証に基づいて使用事実の証明を主張している。
しかし、乙第4号証に係る伝票の平仮名部分の「あじろ」は記載欄の枠からほとんどはみ出しており、一般的に考えても、このような運送伝票の表記に、振り仮名まで振るのは不自然である。そこで、請求人の訴訟代理人弁護士から、運送会社に対し、弁護士法第23条の2に基づき、当該送り状の「品名・記事」欄の記載を照会したところ、同社より、甲第7号証の写しを得た。
係る甲第7号証には、乙第4号証に表されている平仮名の「あじろ」部分は存在していない。即ち、乙第4号証は加筆により捏造されたものである。このような不当な証拠に基づき取消を容易に免れ得ることは、商標法第50条第2項の規定において、挙証責任を商標権者側に負わせた趣旨を没却することに他ならないものと解され、決して許される行為ではなく、当然に証拠として採用されるものではない。
さらに付言するならば、被請求人は、第30類「せんべい、あられ、その他本類に属する商品」を指定商品とする登録商標「味代」(登録第728837号)の商標権者でもあり、「味代」が付された商品であった可能性もあり、いずれにせよ乙第4号証に基づく主張は失当である。
エ 被請求人は、答弁書において、「工場を閉鎖して以降については、乙第6号証に示すように、小魚せんべいの製造設備を備える『せんべい屋A』に当該小魚せんべいの製造を依頼し、それを袋詰め若しくは大缶詰めして、登録商標『あじろ\味代』を付して被請求人の商品として販売を行っていた。」と乙第6号証に基づき、本件指定商品に本件商標を使用していたことを主張している。
しかしながら、乙第6号証は、その裏付けとなる取引関係書類が一切提出されておらず、商標法第50条第2項の立証責任を果たせる信憑性に欠けるものと言わざるを得ない。被請求人が主張するように平成19年以後から取引があったのであれば、最近の取引なのであるから、主観的事情が入る余地のない証拠として、せんべい屋Aとの間での取引伝票、注文書、納品書などの客観的な使用事実証明をすべきである。
(2)結論
以上説明したように、被請求人が使用の事実を立証するために提出した証拠には、証拠として不十分なもの、担造されたもの、証明者の本意に反して強要して作成されたものなどであり、いずれも商標法第50条第2項の立証責任を果たせる信憑性を有しないものなどである。
3 口頭審理(平成25年7月17日付け口頭審理陳述要領書)における陳述
(1)被請求人の「答弁の理由の補足」に対する反論
被請求人は、口頭審理陳述要領書の(1)において、商標法第2条第3項第1号並びに第2号の使用行為に該当する旨を「第4 2(1)ア」で主張し、乙第9号証及び乙第10号証を提出して、「第4 2(1)イ」の「せんべい屋B」との取引があったことを証明しようとし、乙第11号証の1及び第11号証の2の提出により「第4 2(1)ウ」の「せんべい屋A」との取引があったことを証明しようとし、乙第12号証の1から乙第13号証の2の提出により「第4 2(1)エ」の農協祭における販売の事実を立証しようとしている。
この点について、被請求人と「せんべい屋B」との間で取引があったこと、被請求人と「せんべい屋A」との間で取引があったこと、及び農協祭において被請求人が出展した事実については認める。
しかしながら、以下の理由により、「第4 2(1)イないしエ」のいずれの立証によっても、登録商標の使用義務について規定する商標法第50条第2項の挙証責任を果たすものとはいえず、被請求人が主張する「第4 2(1)ア」の商標法第2条第3項第1号並びに第2号の使用行為には該当せず、取消を免れないものと思料する。
先ず、本件商標は、段併記商標であり、平仮名の段と、漢字の段の部分が通常称呼しえず、また、観念不一致な関係であることから、社会通念上同一の商標といえるためには、二段から構成される平仮名部分と漢字部分の両方が表されている態様で使用している事実を客観的に証明しなければ、商標法第50条第2項の挙証責任を果たせるものとはいえない。
また、被請求人のように、段併記である本件商標の他に、当該登録商標の漢字部分のみの登録商標「味代」(登録第728837号)や、当該登録商標の平仮名部分のみの登録商標「あじろ」(登録第5462487号)についても商標権を有する場合においては、使用している商標が漢字のみや、平仮名のみの使用態様ではなく、平仮名の「あじろ」が漢字の「味代」と段併記の態様で使用している、或いは使用していたことを、明確、具体的、且つ客観的に立証しなければならないものといえる。
この度、被請求人から提出された乙第9号証によれば、平成23年7月から平成24年4月迄、乙第10号証に写されている写真のような商標の使用態様で、缶詰の小魚せんべいを被請求人から購入していた旨の証明書が提出されている。
しかしながら、乙第10号証の缶に付された賞味期限は「13.10.29」となっており、焼き煎餅の賞味期限が150日程度であることからすると、今年(2013年)の5月から6月辺りに製造されたものといえ、そうすると、乙第10号証そのものに写っている缶に貼られたラベルに表示されている商標の使用は、本件審判請求前の使用に該当するものでないことは明らかであり、最近貼られたものである。そして、係るラベルと同じ態様で平成23年7月から平成24年4月迄使用されていたと言い切るには証拠として不十分である。
なぜなら、上述のとおり、被請求人は「あじろ\味代」の登録商標の他に、漢字のみの登録商標「味代」についても商標権を有しており、平仮名の「あじろ」を含んでいない「味代」を使用していたことも十分に考えられるからである。
また、係る期間はちょうど、乙第4号証の取引伝票と同時期であり、係る伝票の記載は漢字のみの「味代」であったものであるから、三つの登録商標を保有している商標権者が、その使用について証明する場合、平仮名部分と漢字部分とが組み合わされている態様で使用されていることを、客観的に判断できる程度の証拠の提出が必用であると考えられる。
この点についての立証は乙第9号証のみですることになると思われるが、乙第9号証の証明者は被請求人と営業上の商取引関係にあったものであるから、特別な契約当事者間であり、被請求人と当該証明者との間で、どのようにも書類作成ができるため、証拠としての信憑性は低いと考えられる。
ましてや、被請求人は、乙第4号証の加筆のみならず、請求人が取消事件弁駁書にて提出した甲第5号証及び甲第6号証のとおり、乙第3号証の1から第3号証の4の証明書についても農協関係者に記載を強要したという不正な証拠の提出もなされた経緯があり、さらに信憑性が疑われるものといわざるを得ない。
また、乙第10号証に写されている大缶についても、その中身が小魚の形をした一口サイズの煎餅が入ったもので、販売予定品なのか、仮にそうだとして、では、どこに発注して製造させた煎餅であるのか甚だ疑問である。なぜなら被請求人は、区画整理により工場を閉鎖し、「せんべい屋A」も平成24年2月29日に営業許可が期限満了により終了しており、現在、同住所には煎餅を製造する施設設備も既に消失している(甲第8号証)からである。背面底部に貼られている食品表示法に基づくラベルシールは、乙第14号で主張するように在庫があれば容易に乙第10号証の写真は撮影可能であり、大缶の表面に貼られた表示は、一缶2万円以上もする商品とは思えないくらいに簡略なもので、乙第2号証と比較すると商標としてはゴシック体の味家のない態様であって、乙第10号証の撮影のためだけにコピー機で作ったラベルを貼り付けて用意されたもののように見受けられる。
「第4 2(1)エ」の農協際においては、乙第13号証の1及び2の提出がされたが、そもそも出展自体があったことは認めている。
また、係る出展において煎餅の販売をしたことについても同様に認めている。
しかし、農協の組合員である個人(C氏)から提出された証明書(乙第12号証の1及び乙第12号証の2)については証拠としての信憑性にかけるといわざるを得ない。
何故なら、係る証明書の作成者が、被請求人の登録商標の使用について、公平かつ客観的に判断ができる人物であるのか組合員である以外は何らの説明もの使用を立証できるとするならば、不使用商標を取消しから免れることは極めて容易なものとなり、商標法第50条不使用取消審判は有名無実なものとなってしまうし、ましてや、乙第3号証の1から乙第3号証の4の証明書が、会場となったJAの代表者へ書面記載の強要をした事実が明らかになった後において(甲第5号証及び甲第6号証)、さらに強要しやすい沢山の組合構成員の中から、たった一人の証明書を取得しても、被請求人からの人的証明については信憑性が得られないものと解される。
(2)被請求人の「取消事件弁駁書に対して」に対する反論
ア 「第4 2(2)ア 乙第2号証について」は、異論はない。
イ 「第4 2(2)イ 甲第4号証について」は、平成15年6月以降「あじろ\味代」の印刷した透明袋の発注がなくなっていたことから、審判請求までの約9年間も在庫があるとは想定できず、不使用である根拠となり得ると判断したものである。しかし、この点については、乙第14号証の提出により、在庫が残っていたものであることを確認した。
ウ 「第4 2(2)ウ その他」については上記(1)で述べたとおりである。

第3 第1回口頭審理調書の要旨(陳述の要領)
請求人
1 平成25年7月17日付け口頭審理陳述要領書5頁第1行の「乙第28号証の2から乙第28号証の5の証明書」を「乙第3号証の1から乙第3号証の4の証明書」と訂正する。
2 請求の趣旨及び理由は、審判請求書、平成25年4月22日付け取消事件弁駁書及び平成25年7月17日付け口頭審理陳述要領書に記載のとおり陳述。
3 乙第4号証、乙第10号証、乙第11号証の1、乙第11号証の2、乙第13号証の1、乙第13号証の2及び乙第14号証の原本を確認した。
4 乙第4号証の運送会社の送り状(4枚とも)の「品名・記事」欄の「味代」の上には平仮名の「あじろ」の文字が無いものとして取り扱うことに同意する。
5 乙第10号証の右下の写真にある商品名等の表示は、必ず付さなければならない。
被請求人
1 答弁の趣旨及び理由は、平成25年3月4日付け審判事件答弁書及び平成25年6月28日付け口頭審理陳述要領書に記載のとおり陳述。
2 甲第7号証の原本を確認した。
3 請求人の陳述1による訂正を認める。
4 乙第4号証の運送会社の送り状(4枚とも)の「品名・記事」欄の「味代」の上に平仮名の「あじろ」の文字を付け加えた。
5 乙第4号証の運送会社の送り状(4枚とも)の「品名・記事」欄の「味代」の上には平仮名の「あじろ」の文字が無いものとして取り扱うことに同意する。
6 乙第4号証の運送会社の送り状(4枚とも)の「品名・記事」欄及び売上伝票の「品名」欄に記載の「大缶」とは、「一斗缶」のことである。
7 乙第11号証の2による平成24年3月1日に「せんべい屋A」から納品を受けた商品と乙第4号証中の平成24年4月19日に「せんべい屋B」へ送っている商品は、同じ商品である。
審判長
1 被請求人が提出した平成25年6月28日付け口頭審理陳述要領書に添付された乙第8号証ないし乙第13号証号を以下のとおりに訂正する。
乙第8号証を乙第9号証
乙第9号証を乙第10号証
乙第10号証の1を乙第11号証の1
乙第10号証の2を乙第11号証の2
乙第11号証の1を乙第12号証の1
乙第11号証の2を乙第12号証の2
乙第12号証の1を乙第13号証の1
乙第12号証の2を乙第13号証の2
乙第13号証を乙第14号証
2 乙第4号証の運送会社の送り状(4枚とも)の「品名・記事」欄の「味代」の上には平仮名の「あじろ」の文字が無いものとして取り扱う。

第4 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由及び口頭審理における陳述を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第13号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、被請求人は、答弁書及び平成25年6月28日付け口頭審理陳述要領書において、それぞれ別の証拠に乙第8号証を付与しているので、乙第8号証ないし乙第13号証は、「上記第3 第1回口頭審理調書の要旨 審判長1」に記載のとおり、乙第9号証ないし乙第14号証に訂正された。
1 答弁の理由
(1)登録商標を使用していることの事実
乙第2号証は、透明のビニール袋に袋詰めされた小魚せんべいが、被請求人の商品として販売されている事実を証明する写真であり、正面略中央に登録商標「あじろ/味代」が付され、裏面右下部にある製造者の欄には被請求人の「マルウ製菓株式会社」が記載されている。
被請求人は、乙第2号証に示す商品を製造し、乙第3号証の1ないし4に示すように、平成22年度並びに平成23年度の農協祭において、販売を行った。係る農協祭の開催日程や開催案内、開催要項等については、乙第5号証の1ないし5に示すとおりである。
また、被請求人は、乙第4号証に示すように、登録商標「あじろ/味代」として大缶詰めされた小魚せんべいについて、平成23年から平成24年にかけて販売を行った。
以上より、被請求人による登録商標「あじろ/味代」の使用事実は明らかであり、よって本件審判請求は成り立たないことは明白である。
(2)本件審判請求の理由に対する反論
被請求人が直近3年以内において継続して登録商標を使用していることは、乙第3号証ないし乙第6号証からも明らかである。
2 口頭審理(平成25年6月28日付け口頭審理陳述要領書)における陳述
(1)答弁の理由の補足
ア 被請求人の商標使用が商標法上何れの行為に該当するかについて
被請求人による本件商標の使用行為は、商標法第2条第3項第1号及び第2号の行為に該当するものである。
イ 「せんべい屋B」との取引について
乙第9号証は、「せんべい屋B」が、登録商標「あじろ/味代」を表記した缶に詰められた小魚せんべいについて、遅くとも平成23年7月から平成24年4月にかけて、被請求人から購入したことを証する証明書である。
また、缶への登録商標「あじろ/味代」の表記態様については、乙第10号証に示すとおりであり、このことは乙第9号証で「せんべい屋B」も認めるところである。
答弁書において、乙第4号証として、被請求人と「せんべい屋B」との間で行われた取引伝票の写しを提出した。これに対し請求人は、甲第7号証に基づき、「あじろ」との平仮名が加筆されていることについて指摘しているが、この点につき被請求人に異論はない。ただし、当該取引伝票は、あくまで被請求人と「せんべい屋B」との間に取引関係が存在したことを証明するものであり、使用商標について証明するものではない。
ウ 「せんべい屋A」との取引について
答弁書において、乙第6号証として、被請求人が「せんべい屋A」に小魚せんべいの製造を依頼したことを証する証明書を提出した。今回の口頭審理においては、その証明書を裏付ける証拠として、領収書・納品書・請求書の原本(一部)を持参し、乙第11号証の1及び乙第11号証の2としてその写しを提出する。
エ 農協祭における販売について
答弁書において、乙第3号証の1ないし4として、被請求人が平成22年度並びに平成23年度の農協祭において、乙第2号証に示す透明のビニール袋に袋詰めされた小魚せんべいの販売を行ったことを証する証明書を提出した。しかしながら、請求人により甲第5号証及び甲第6号証が提出されたため、証明書に記名・捺印されたA氏及びB氏の証言そのものが、何れも信憑性に欠けるものとなってしまった。そこで、実際に農協祭に出向いて被請求人の商品を購入したC氏の証明書を、乙第12号証の1及び乙第12号証の2として今回提出する。C氏は、組合員としてJAしもつけの農協祭に毎年参加しており、乙第12号証の1及び乙第12号証の2に示すように、平成22年度及び平成23年度とも被請求人の商品を購入している。
答弁書において、乙第5号証の1ないし5として、被請求人が平成22年度並びに平成23年度の農協祭に参加・出店したこと証する資料を提出した。係る乙第5号証の1ないし5を裏付けるべく、当該農協祭での商品販売に係る支払明細を証する資料の写しについて、乙第12号証の1及び乙第12号証の2として提出する。
(2)取消事件弁駁書に対して
ア 乙第2号証について
乙第2号証は、本件商標の使用態様を示す写真であって、他の証拠と組み合せて被請求人の使用事実を証明しようとするものであり、この写真のみで使用事実を主張するものではない。
イ 甲第4号証について
請求人は、取消事件弁駁書と併せて甲第4号証を提出しているが、係る甲第4号証により請求人が何を主張したいのか、不明である。
なお包装袋については、在庫に余裕があれば発注しないのは当然であり、乙第14号証に示すように、被請求人は現在も多くの在庫を有し、必要に応じて該在庫の中から使用しているものである。
ウ その他
その余の取消事件弁駁書における請求人の主張・論調に対しては、反論に値しないか、あるいは、上記(1)答弁の理由の補足において述べたとおりである。

第5 当審の判断
1 被請求人(商標権者)は、商標権者が過去3年以内において、指定商品中、「小魚せんべい」についての登録商標の使用をしていたことは明らかであるとして、乙第1号証ないし乙第14号証(枝番号を含む。ただし、枝番号のすべてを引用する場合は、その枝番号を省略する。)を提出しているところ、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、被請求人の履歴事項全部証明書である。
(2)乙第2号証は、撮影日の表示がない被請求人の商品の写真であるところ、表面には、「登録商標/あじろ/味代(マルの中にRの文字)」、「MARUU」及び「あじろは登録商標です。」等の記載があり、裏面には、「商品名/あじろ/味代(マルの中にRの文字)」、「名称 米菓」及び「製造者 マルウ製菓株式会社」等の記載がある。
(3)乙第3号証の1及び2は、JAしもつけA氏が被請求人へ宛てた平成25年2月7日付けの証明書であるところ、乙第3号証の1には、「当社は『あじろ/味代』の表記がされている透明のビニール袋に入れた小魚せんべいを、貴社の製造・販売する商品として、平成22年度農協祭において、販売したことに相違ありません。以上、証明します。」の記載があり、また、乙第3号証の2には、「当社は『あじろ/味代』の表記がされている透明のビニール袋に入れた小魚せんべいを、貴社の製造・販売する商品として、平成23年度農協祭において、販売したことに相違ありません。以上、証明します。」の記載がある。
乙第3号証の3及び4は、下野農業協同組合B氏が被請求人へ宛てた証明書(証明日は平成25年のみ印字してあり、月日は空欄となっている。)であるところ、乙第3号証の3には、「当社は『あじろ/味代』の表記がされている透明のビニール袋に入れた小魚せんべいを、貴社の製造・販売する商品として、平成22年度農協祭において、販売したことに相違ありません。以上、証明します。」の記載があり、また、乙第3号証の4には、「当社は『あじろ/味代』の表記がされている透明のビニール袋に入れた小魚せんべいを、貴社の製造・販売する商品として、平成23年度農協祭において、販売したことに相違ありません。以上、証明します。」の記載がある。
(4)乙第4号証は、平成23年7月19日、同年12月15日、平成24年2月22日及び同年4月19日付けで被請求人からせんべい屋Bへ宛てた運送会社の送り状及び売上伝票であるところ、送り状の「品名・記事」欄には、「大缶味代2.5K10缶」の表示があり、「味代」の上には、「あじろ」の表示がある。
そして、被請求人は、乙第4号証の運送会社の送り状(4枚とも)の「品名・記事」欄の「味代」の上に平仮名の「あじろ」の文字を付け加えた(第1回口頭審理調書の要旨 被請求人4)ことを認めている。
また、平成23年7月19日、同年12月15日及び平成24年4月19日付け売上伝票(1葉目、2葉目及び4葉目)の「品名」欄には、「大缶味代(あじろ)(審決注:「(あじろ)」の一部が共通コード欄にかかって記載されている。)」の表示がある。
さらに、平成24年2月22日付け売上伝票(3葉目)の「品名」欄には、「あじろ/大缶味代(審決注:「味代」の上には、乙第4号証の送り状と同様に、「あじろ」の一部が品名欄の外にかかって記載されている。)」の表示がある。
(5)乙第5号証1ないし5は、平成22年及び平成23年に開催された農協祭の開催案内及び一覧表である。
(6)乙第6号証は、「せんべい屋A」が被請求人へ宛てた証明書(証明日は平成25年のみ印字してあり、月日は空欄となっている。)であるところ、「当社は、当社が製造した小魚せんべいが、『あじろ/味代』を表記した透明のビニール袋に袋詰めされた貴社商品として販売されること、および、『あじろ/味代』として大缶詰めされた貴社商品として販売されることを知った上で、係る小魚せんべいを平成19年12月?平成24年1月まで製造し、貴社に提供していたことに相違ありません。」の記載がある。
(7)乙第7号証は、被請求人が原告となり、請求人を被告とする商標権妨害排除請求事件における文書提出命令の申立書である。
(8)乙第8号証は、上記商標権妨害排除請求事件の答弁書である。
(9)乙第9号証は、「せんべい屋B」が被請求人へ宛てた平成25年6月22日付けの証明書であるところ、「当社は、『あじろ/味代』と表記した缶に詰められた小魚せんべい[審判;取消2012-300953の乙第10号証]を、遅くとも平成23年7月から平成24年4月迄、貴社から購入していたことに相違ありません。」の記載がある。
(10)乙第10号証は、一斗缶の側面を撮影した撮影日の表示がない4葉の写真であるところ、上2葉の写真には、「あじろ」及び「味代」を縦書きし、「2.5K」を横書きしたシールが貼付されている。また、下2葉の写真には、ラベルが貼付されており、右下の写真には、「賞味期限/’13.10.29」、「商品名/あじろ/味代(マルの中にRの文字)」、「名称 米菓」及び「製造者 マルウ製菓株式会社」等の表示が確認できる。
(11)乙第11号証の1及び2は、「せんべい屋A」が被請求人へ宛てた平成24年2月17日付け及び同年3月1日付けの領収証、納品書及び請求書であるところ、領収証には、「品代」の記載があり、納品書及び請求書には、「品名」の欄に「さかなせんべい」の記載があるものの、いずれの書類にも本件商標の記載はない。
(12)乙第12号証の1及び2は、C氏が被請求人へ宛てた平成25年6月22日付けの証明書であるところ、乙第12号証の1には、「『あじろ/味代』の表記がされている透明のビニール袋に入れた小魚せんべいが、貴社の製造・販売する商品として、平成22年度JAしもつけの農協祭において、販売されていたことに相違ありません。そして私は、上記農協祭において、上記貴社商品を入手したことに相違ありません。以上、証明します。」の記載があり、また、乙第12号証の2には、「『あじろ/味代』の表記がされている透明のビニール袋に入れた小魚せんべいが、貴社の製造・販売する商品として、平成23年度JAしもつけの農協祭において、販売されていたことに相違ありません。そして私は、上記農協祭において、上記貴社商品を入手したことに相違ありません。以上、証明します。」の記載がある。
(13)乙第13号証の1及び2は、「JA全農とちぎ」から被請求人へ宛てた平成22年12月22日付け及び平成23年12月26日付けの支払明細であるところ、本件指定商品及び使用商標の記載はない。
(14)乙第14号証は、包装在庫を本件審判の請求の登録後の2013年6月9日付けで撮影した2葉の写真である。
2 請求人は、甲第1号証ないし甲第8号証(枝番号を含む。)を提出しているところ、以下の事実が認められる。
(1)甲第5号証は、JAしもつけA氏が宇都宮中央法律事務所へ宛てた平成25年4月5日付けの証明書であるところ、「当センターがマルウ製菓株式会社宛に発行した、平成25年2月7日付の『証明書』2通についてですが、当センターは、マルウ製菓株式会社が、平成22年度及び23年度の農協祭において、米菓を販売したことを証明する趣旨で作成したものであり、マルウ製菓株式会社が販売した米菓の標章(パッケージに記載されている商品名を表す文言やその体裁)がどのようなものであったかまでは把握しておりません。また、『あじろ/味代』という表記についても、これが何を意味するのか当センターとしては把握しておりません。」の記載がある。
(2)甲第6号証は、下野農業協同組合B氏が宇都宮中央法律事務所へ宛てた平成25年4月11日付けの証明書であるところ、「私がマルウ製菓株式会社宛に発行した、『証明書』2通(日付は平成25年のみ印字してあり月日は空欄です)についてですが、私は、本当は、同社が平成22年度及び23年度の農協祭に出店したかどうか把握しておりません。私は、同社より強く証明書の作成を依頼されたため、お断りすることができず、証明書に記名押印してしまいましたが、同社は、平成17年から18年ころに農協祭に出店したことはあったと記憶しているものの、平成22年度及び23年度の農協祭に出店したかどうかは分かりません。なお、私は、同社が販売する米菓の標章(パッケージに記載されている商品名を表す文言やその体裁)も把握しておらず、証明書にある『あじろ/味代』という表記についても、これが何を意味するのか分かりません。」の記載がある。
(3)甲第7号証は、栃木県弁護士会会長が会員に宛てた平成25年4月10日付けの通知書であるところ、「貴殿から『弁護士法第23条の2に基づき』報告請求の申出のあった件について、別紙1の照会につき、別紙2のとおり回答があったので通知する。」の記載があり、別紙2は、平成23年7月19日、同年12月15日、平成24年2月22日及び同年4月19日付けで被請求人からせんべい屋Bへ宛てた運送会社の送り状であるところ、送り状の「品名・記事」欄には、「大缶味代2.5K10缶」の表示があり、「味代」の上には、「あじろ」の表示がない。
3 使用商標の使用者、使用商品及び使用時期について
(1)乙第3号証及び乙第12号証について
上記1及び2の認定事実並びに第1回口頭審理調書の要旨によれば、被請求人が農協祭に出展したことが認められる。
しかしながら、甲第5号証によれば、「・・・平成25年2月7日付の『証明書』2通についてですが、当センターは、マルウ製菓株式会社が、平成22年度及び23年度の農協祭において、米菓を販売したことを証明する趣旨で作成されたものであり、マルウ製菓株式会社が販売した米菓の標章・・・がどのようなものであったかまでは把握しておりません。また、『あじろ/味代』という表記についても、これが何を意味するのか当センターとしては把握しておりません。」の記載があることから、JAしもつけA氏の証明書(乙3の1及び2)は、被請求人(商標権者)の使用する商標(以下、「使用商標」という。)の記載については根拠に基づかないで作成されたものと認められる。
甲第6号証によれば、「私は、本当は、同社(被請求人)が平成22年度及び23年度の農協祭に出店したかどうか把握しておりません。・・・なお、私は、同社が販売する米菓の標章・・・も把握しておらず、証明書にある『あじろ/味代』という表記についても、これが何を意味するのか分かりません。」の記載があることから、下野農業協同組合B氏の証明書(乙3の3及び4)は、全く根拠に基づかないで作成されたものと認められる。
C氏の証明書(乙12の1及び2)は、上記A氏やB氏の証明書(乙3の1ないし4)の証明内容に「そして私は、上記農協祭において、上記貴社商品を入手したことに相違ありません。」の一文が追加された証明書であり、あらかじめ印刷された書類に証明者が署名押印したものであって、2年から3年前の同氏の記憶に基づいて作成されたものであることから、証明の根拠がないものと認められる。
(2)乙第4号証について
上記1及び2の認定事実並びに第1回口頭審理調書の要旨によれば、被請求人は、乙第4号証の運送会社の送り状(4枚とも)の「品名・記事」欄の「味代」の上に平仮名の「あじろ」の文字を付け加えた(第1回口頭審理調書の要旨 被請求人4)ことを陳述している。
請求人及び被請求人は、乙第4号証の運送会社の送り状(4枚とも)の「品名・記事」欄の「味代」の上には平仮名の「あじろ」の文字が無いものとして取り扱うことに同意する(第1回口頭審理調書の要旨 請求人4及び被請求人5)と陳述している。
被請求人が平成24年3月1日に「せんべい屋A」から納品を受けた商品は、請求に係る指定商品中「せんべい」の範ちゅうに属する「さかなせんべい」と認められる(乙第11号証の2)。
乙第11号証の2による平成24年3月1日に「せんべい屋A」から納品を受けた商品と乙第4号証中の平成24年4月19日に「せんべい屋B」へ送っている商品は、同じ商品である(第1回口頭審理調書の要旨 被請求人7)と陳述している。
そして、乙第4号証の送り状と売上伝票は、平成24年4月19日付けで作成され、同一商品の取引があったものと認められる。
しかしながら、同日付で作成され、同一商品の取引を表す、送り状と売上伝票に、「味代」と「あじろ/味代」という異なる商品名が記載されるということは、一般に考え難いものである。
また、上記1(4)のとおり、乙第4号証の売上伝票には、「(あじろ)」の一部が共通コード欄にかかって記載されており、また、同号証の送り状と同様に、「あじろ」の一部が品名欄の外にかかって記載されているが、格別長くない商品名を記入欄からはみだして記載することも一般に考え難いものである。
してみれば、被請求人が「味代」の上に平仮名の「あじろ」の文字を付け加えたことを認めた乙第4号証の送り状と同様に、同号証の売上伝票の「(あじろ)」又は「あじろ」も後で付け加えた可能性を否定できないから、売上伝票の証拠力は低いものといわざるを得ない。
(3)その他の証拠について
上記1及び2の認定事実並びに第1回口頭審理調書の要旨によれば、被請求人(商標権者)は、平成24年3月1日に「せんべい屋A」から納品を受けた商品「さかなせんべい」10缶(乙11)を、本件審判の請求の登録前3年以内である平成24年4月19日に全量「せんべい屋B」へ送っていることが認められる(甲7、乙4及び第1回口頭審理調書の要旨 被請求人7)。
しかしながら、「あじろ/味代」の商標を付した「小魚せんべい」の取引について証明する「せんべい屋A」の証明書(乙6)及び「せんべい屋B」の証明書(乙9)は、あらかじめ印刷された書類に証明者が署名押印したものであって、証明の根拠がないものと認められる。
缶の写真(乙10)は、賞味期限が2013年10月29日となっていることから、本件審判の請求の登録後のものであって、本件商標の使用を客観的に証明するものではない。
そして、上記の証拠以外に本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人(商標権者)が請求に係る指定商品「せんべい,あられ」について、本件商標の使用を証明する客観的な証拠の提出はない。
4 使用商標について
本件商標は、別掲に表示したとおり、「あじろ」の平仮名及び「味代」の漢字を縦書きしてなるものであるところ、「あじろ」の平仮名部分は本件商標の称呼を特定したものと認められるから、「アジロ」の称呼のみを生じ、特段の観念を生じないものというのが相当である。
そして、両当事者は、乙第4号証の運送会社の送り状(4枚とも)の「品名・記事」欄の「味代」の上には平仮名の「あじろ」の文字が無いものとして取り扱うことに同意する(第1回口頭審理調書の要旨 請求人4及び被請求人5)と陳述している。
さらに、上記3(2)のとおり、乙第4号証の売上伝票の「(あじろ)」又は「あじろ」は、後で付け加えた可能性を否定できないから、売上伝票の証拠力は低いものといわざるを得ず、これをもって本件商標の使用と認めることはできない。
そうとすると、乙第4号証の送り状及び売上伝票に表示された使用商標は、「味代」の漢字のみを書してなるものであると認めるのが相当である。
そして、使用商標の構成中、「味」の漢字を「アジ」又は「ミ」と称呼することはあっても「ア」とは称呼しないこと、また、「代」の漢字を「シロ」又は「ヨ」と称呼することはあっても「ロ」とは称呼しないことから、使用商標は、「アジシロ」、「アジヨ」、「ミヨ」の称呼が生ずるとしても、「アジロ」の称呼を生じないものというのが自然である。
また、使用商標は、特段の観念を生じないものというのが相当である。
してみれば、本件商標と使用商標とは、外観において平仮名の「あじろ」の有無の相違があり、本件商標から生ずる「アジロ」の称呼と使用商標から生ずる「アジシロ」、「アジヨ」、「ミヨ」の称呼は相違するものであり、同一の観念も生じないものであるから、社会通念上同一の商標とはいえない。
5 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、請求に係る指定商品について、本件商標を使用した事実を証明し得なかったものといわなければならない。
また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品について使用していなかったことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、これを取り消すものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標



審決日 2013-08-19 
出願番号 商願昭61-73876 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (X30)
最終処分 成立 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 前山 るり子
大森 健司
登録日 1988-11-30 
登録番号 商標登録第2094891号(T2094891) 
商標の称呼 アジロ 
代理人 福田 信雄 
代理人 上吉原 宏 
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