• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効としない X45
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない X45
審判 全部無効 観念類似 無効としない X45
管理番号 1280116 
審判番号 無効2012-890065 
総通号数 167 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-11-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-08-01 
確定日 2013-06-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第5459489号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5459489号商標(以下「本件商標」という。)は、「ユニヴァーサル法律事務所」の文字を標準文字で表してなり、平成20年6月17日に登録出願、第45類「訴訟事件その他に関する法律事務」を指定役務として、同23年11月28日に登録査定、同年12月22日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第20号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標の登録は、以下の理由により、商標法第4条第1項第11号又は同項第15号に違反してされたものであるから、無効とされるべきである。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 引用商標
請求人が引用する登録第3122326号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張し、平成4年9月30日に登録出願、第42類「工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務」を指定役務とし、特例商標として、同8年2月29日に設定登録され、その後、同18年1月31日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである(甲第2号証)。
イ 引用商標の使用
(ア)請求人が、西ドイツ国の特許事務所あてに、日本国特許庁への特許出願の手続をした旨を報告した1975年8月13日付け書簡のレターヘッドには、引用商標と同一の表示とともに、「UNIVERSAL PATENT BUREAU」の文字が住所等とともに表示されている事実を証明する(甲第4号証)。
(イ)請求人が、西ドイツ国の特許事務所あてに、日本国特許庁への特許出願の手続をした旨を報告した1975年11月25日付け書簡のレターヘッドには、引用商標と同一の表示とともに、「UNIVERSAL PATENT BUREAU」の文字が住所等とともに表示されている事実を証明する(甲第5号証)。
(ウ)請求人が、米国の特許事務所あてに、日本国特許庁への特許出願の手続をした旨を報告した1976年3月22日付け書簡のレターヘッドには、引用商標と同一の表示とともに、「UNIVERSAL PATENT BUREAU」の文字が住所等とともに表示されている事実を証明する(甲第6号証)。
(エ)請求人が、イタリー国の特許事務所あてに、日本国特許庁への特許出願のための必要な書類を受け取った旨を報告した1976年8月17日付け書簡のレターヘッドには、引用商標と同一の表示とともに、「UNIVERSAL PATENT BUREAU」の文字が住所等とともに表示されている事実を証明する(甲第7号証)。
(オ)請求人が、英国の特許事務所あてに、日本国特許庁への特許出願の手続をした旨を報告した1977年2月10日付け書簡のレターヘッドには、引用商標と同一の表示とともに、「UNIVERSAL PATENT BUREAU」の文字が住所等とともに表示されている事実を証明する(甲第8号証)。
(カ)請求人が、英国の特許事務所あてに、日本国特許庁への特許出願のための必要な書類を受け取った旨を報告した1977年7月25日付け書簡のレターヘッドには、引用商標と同一の表示とともに、「UNIVERSAL PATENT BUREAU」の文字が住所等とともに表示されている事実を証明する(甲第9号証)。
(キ)請求人が、スウェーデン国の特許事務所あてに、日本国特許庁への特許出願のための必要な書類を受け取った旨を報告した1977年11月7日付け書簡のレターヘッドには、引用商標と同一の表示とともに、「UNIVERSAL PATENT BUREAU」の文字が住所等とともに表示されている事実を証明する(甲第10号証)。
(ク)請求人が、英国の特許事務所あてに、日本国特許庁への特許出願の手続をした旨を報告した1978年1月4日付け書簡のレターヘッドには、引用商標と同一の表示とともに、「UNIVERSAL PATENT BUREAU」の文字が住所等とともに表示されている事実を証明する(甲第11号証)。
(ケ)請求人が、米国の特許事務所あてに、日本国特許庁への特許出願のための必要な書類を受け取った旨を報告した1980年11月11日付け書簡のレターヘッドには、引用商標と同一の表示とともに、「UNIVERSAL PATENT BUREAU」の文字が住所等とともに表示されている事実を証明する(甲第12号証)。
(コ)請求人が、米国の特許事務所あてに、PCT出願に基づく翻訳文を作成して特許庁に提出した旨を報告した1995年4月27日付け書簡のレターヘッドには、引用商標と同一の表示とともに、「UNIVERSAL PATENT BUREAU」の文字が住所等とともに表示されている事実を証明する(甲第13号証)。
(サ)請求人が、ドイツ国の特許事務所あてに、日本国特許庁への特許出願の手続をした旨を報告した2004年4月6日付け書簡のレターヘッドには、引用商標と同一の表示と「Since 1967」の表示とともに、「UNIVERSAL PATENT BUREAU」の文字が住所等とともに表示されている事実を証明する(甲第14号証)。
(シ)請求人が、英国の特許事務所あてに、日本国特許庁への審査請求書を提出した旨を報告した2005年5月20日付け書簡のレターヘッドには、引用商標と同一の表示と「Since 1967」の表示とともに、「UNIVERSAL PATENT BUREAU」の文字が住所等とともに表示されている事実を証明する(甲第15号証)。
(ス)請求人が、英国の特許事務所から特許出願についての審査請求の依頼を受けたので、2005年6月12日にその請求書を提出した旨を報告した2004年9月1日付け書簡のレターヘッドには、引用商標と同一の表示と「Since 1967」の表示とともに、「UNIVERSAL PATENT BUREAU」の文字が住所等とともに表示されている事実を証明する(甲第16号証)。
(セ)請求人が、スイス国の特許事務所に、意匠登録出願が登録査定となった旨を報告した2008年6月4日付け書簡のレターヘッドには、引用商標と同一の表示と「Since 1967」の表示とともに、「UNIVERSAL PATENT BUREAU」の文字が住所等とともに表示されている事実を証明する(甲第17号証)。
(ソ)請求人が、ドイツ国の特許事務所あてに、日本国特許庁への商標登録出願をした旨を報告した2007年5月11日付け書簡のレターヘッドには、引用商標と同一の表示と「Since 1967」の表示とともに、「UNIVERSAL PATENT BUREAU」の文字が住所等とともに表示される事実を証明する(甲第18号証)。
(タ)請求人が、ドイツ国の特許事務所あてに、日本国特許庁への特許出願をした旨を報告した2007年10月31日付け書簡のレターヘッドには、引用商標と同一の表示と「Since 1967」の表示とともに、「UNIVERSAL PATENT BUREAU」の文字が住所等とともに表示されている事実を証明する(甲第19号証)。
(チ)請求人が、ドイツ国の特許事務所あてに、日本国特許庁への特許出願をした旨を報告した2008年5月7日付け書簡のレターヘッドには、引用商標と同一の表示と「Since 1967」の表示とともに、「UNIVERSAL PATENT BUREAU」の文字が住所等とともに表示されている事実を証明する(甲第20号証)。
ウ 本件商標と引用商標との対比
(ア)本件商標と引用商標との対比
本件商標は、標準文字で表された「ユニヴァーサル」と「法律事務所」の結合からなる商標であるところ、「ユニヴァーサル」は、英語「Universal」に相当し、その意味(観念)が「万国の」とか「全世界の」であることは、平均的日本人であれば承知している単語である。また、「法律事務所」は、その指定役務の固有名詞であるから、本件商標の要部は「ユニヴァーサル」であり、この文字が自他役務を識別することができる表示である。
そうすると、上記「ユニヴァーサル」の文字は、そのとおりに称呼する語である。
他方、引用商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであるから、「万国の」や「全世界の」を意味する「ユニヴァーサル」と称呼するものであることは明らかである。
(イ)本件商標と甲第4号証ないし甲第20号証との対比
請求人は、自己の特許事務所を意味する英語名の「UNIVERSAL PATENT BUREAU」を記載したレターヘッドに、「Since 1967」と記載しているように、1960年(昭和35年)7月に弁理士登録し、ほかの事務所に勤続した後、1967年(昭和42年)10月に独立して以来、ブランドマークとして引用商標を一貫して使用し、国内外の特許等関係業務を行って今日に至っている(甲第4号証ないし甲第20号証)。その間、知的財産権に関する訴訟事件も多く取り扱っているから、今後、本件商標のごときものが役務の商標として使用されると、この分野に関係する需要者は、当該役務について出所の誤認混同をおこすおそれが十分ある。
エ 本件商標の指定役務と引用商標の指定役務との対比
(ア)弁理士法について
本件審判に関連する業務規定を挙げる。
a 弁理士は、他人の求めに応じ、特許、実用新案、意匠若しくは商標又は国際出願若しくは国際登録出願に関する特許庁における手続及び特許、実用新案、意匠又は商標に関する異議申立て又は裁定に関する経済産業大臣に対する手続についての代理並びにこれらの手続に係る事項に関する鑑定その他の事務を行うことを業とする(第4条第1項)。
b 弁理士は、前項に規定する業務のほか、他人の求めに応じ、次に掲げる事務を行うことを業とすることができる(第4条第2項)。
(a)<省略>
(b)特許、実用新案、意匠、商標、回路配置若しくは特定不正競争に関する事件又は著作物(著作権法第2条第1項第1号に規定する著作物をいう。以下同じ。)に関する権利に関する事件の裁判外紛争解決手続(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律第1条に規定する裁判外紛争解決手続をいう。以下、この号において同じ。)であって、これらの事件の裁判外紛争解決手続の業務を公正かつ適確に行うことができると認められる団体として経済産業大臣が指定するものが行うものについての代理。
c 弁理士は、前2項に規定する業務のほか、弁理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、特許、実用新案、意匠、商標、回路配置若しくは著作物に関する権利若しくは技術上の秘密の売買契約、通常実施権の許諾に関する契約その他の契約の締結の代理若しくは媒介を行い、若しくはこれらに関する相談に応じ、又は外国の行政官庁若しくはこれに準ずる機関に対する特許、実用新案、意匠若しくは商標に関する権利に関する手続(日本国内に住所又は居所(法人にあっては、営業所)を有する者が行うものに限る。)に関する資料の作成その他の事務を行うことを業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない(第4条第3項)。
d 弁理士は、特許、実用新案、意匠若しくは商標、国際出願若しくは国際登録出願、回路配置又は特定不正競争に関する事項について、裁判所において、補佐人として、当事者又は訴訟代理人とともに出頭し、陳述又は尋問をすることができる(第5条第1項)。
前項の陳述及び尋問は、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。ただし、当事者又は訴訟代理人が同項の陳述を直ちに取り消し、又は更正したときは、この限りでない(同条第2項)。
e 弁理士は、特許法第178条第1項、実用新案法第47条第1項、意匠法第59条第1項又は商標法第63条第1項に規定する訴訟に関して訴訟代理人となることができる(第6条)。
f 弁理士は、第15条の2第1項に規定する特定侵害訴訟代理業務試験に合格し、かつ、第27条の3第1項の規定によりその旨の付記を受けたときは、特定侵害訴訟に関して、弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限り、その訴訟代理人となることができる(第6条の2第1項)。
前項の規定により訴訟代理人となった弁理士が期日に出頭するときは、弁護士とともに出頭しなければならない(同条第2項)。
前項の規定にかかわらず、弁理士は、裁判所が相当と認めるときは、単独で出頭することができる(同条第3項)。
(イ)上記規定のうち、第5条は、特許権等の侵害訴訟事件において補佐人として、第6条は、審決取消請求訴訟事件において訴訟代理人として、第6条の2は、付記を条件に特定侵害訴訟事件において訴訟代理人としての資格を有し、「訴訟事件その他に関する法律事務」を業務として行うことができることを規定するものである。そして、これらの法律事務は、引用商標の指定役務中の「その他の事務」に含まれるものと解することができる。
そうすると、本件商標の指定役務と引用商標1の指定役務は、少なくとも工業所有権(知的財産権)の法律事務に関する限り、同一又は類似する役務といわねばならない。
したがって、本件商標は、引用商標に類似する商標であると判断せざるを得ないのである。
のみならず、弁護士は、弁理士法第7条の規定により、弁理士としての業務を行うことができることも、併せて考慮しなければならないのである。
オ 請求人の所有に係る登録商標
引用商標の商標権者である請求人は、商標を「ユニバーサル特許法律事務所」(標準文字で表してなるもの)とし、指定役務を第45類「知的財産権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務,訴訟事件その他に関する法律事務,登記又は供託に関する手続の代理,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,外国における知的財産権に関する手続の仲介又は事務,知的財産権に関する助言又は指導,知的財産権に関する情報提供,知的財産権に関する先行調査及び助言並びに情報の提供,知的財産権のライセンス契約の仲介」とする商標登録第5490272号の商標権者でもある(甲第3号証)。
請求人が上記商標登録に係る登録出願をした理由は、同人が平成19年12月18日に弁護士登録をし、弁護士資格を取得したからである(登録第36444号・第一東京弁護士会所属)。
カ むすび
以上の理由により、本件商標は、引用商標と商標及び指定役務において類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する商標として、同法第46条第1項第1号により、無効とされるべきものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
仮に本件商標が引用商標と類似しないとしても、請求人の所有に係る商標登録第5490272号の由来を考慮すれば、本件商標は、他人(請求人)の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標といえるものであるから、商標法第4条第1項第15号に該当する商標として、同法第46条第1項第1号により、無効とされるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)引用商標及び請求人について
ア 被請求人は、引用商標について、平成8年2月29日に登録された登録された直後から、浜田俊之が代表取締役を務める株式会社ユニバーサルパテントビューロー(以下「ユニバーサルパテントビューロー」という。)がそのシンボルマークとして使用していたものであり、また、請求人が経営する「ユニバーサル特許事務所」なるものは一度も存在したことがない旨主張する。
しかしながら、「ユニバーサル特許事務所」の日本語名を英訳したのが「Universal Patent Bureau」であり、請求人は、引用商標を一貫して使用してきている。
イ 被請求人は、本件商標よりも後に出願された商標登録第5490272号の存在を理由に本件商標の無効を主張するのは失当である旨主張する。
しかしながら、当該商標登録を引用したのは、その商標権者が引用商標の商標権者と同一であるからこそ、引用商標と類似する商標であっても登録された事実を証明するためであり、本件審判の請求は、引用商標及び当該商標登録の商標権者である請求人自身によりなされているものである。
ウ 被請求人は、請求人が発行した外国特許事務所あてに使用する書簡のレターヘッド(甲第4号証ないし甲第20号証)について、これはすべて弁理士業務に関するものであるから、請求人が同社の提携弁理士として業務を行っていたことを証するものにすぎない旨主張する。
しかしながら、上記レターヘッド上には、請求人が商標として使用している引用商標が表示されている。
エ 本件において重要なのは、請求人がどの商標を使用していたかではなく、本件商標が請求人の所有に係る引用商標と類似するか否かである。
(2)商標の類似性について
被請求人は、本件商標に係る審決取消請求事件(知財高裁平成23年(行ケ)第10131号。以下「本件訴訟」という。)の判決においては、被告(請求人)の主張を排斥しているから、確定判決の争点を蒸し返すもので失当である旨主張する。
しかしながら、上記判決は、出願商標(本件商標)と引用商標中の標章部分についての類否判断をしているだけであり、その指定役務の類似性については言及せず、判断していない。
本件商標と引用商標の主要部は、「ユニヴァーサル」と称呼される文字であり、共通の意味を有するものといえるから、両商標は、外観は異なるものの、称呼及び観念において明らかに類似するものといわなければならない。
(3)役務の類似性について
ア 被請求人は、弁理士は一定の場合に訴訟代理人となることができるが、その範囲等には大きな制限があり、一般的には補佐人として制約された一定の訴訟行為を行えるにすぎない旨主張する。
しかしながら、弁理士が訴訟代理人として訴訟に関与できるのは、一定の条件の下であるといっても、その限りにおいては、法廷で弁護士と同等の権限を有するのである。
イ 被請求人は、訴訟事件の代理を超えて工業所有権に関する事務に関与する弁護士は、いかなる案件でも扱う一部の巨大法律事務所を除いて、法律事務所の名称に「法律特許事務所」とか「特許法律事務所」とかのように、「特許」の文字を挿入している事務所に所属しているのが一般である旨主張する。
しかしながら、技術内容の理解が不可欠である特許や実用新案と異なり、物品の形状や模様を保護する意匠や、商品・役務の識別標識である商標について、弁護士自身が意匠登録出願したり、商標登録出願したりする事案は少なくない。被請求人が訴訟代理以外に「工業所有権に関する手続きの代理または鑑定その他の事務」を行ったことがないというのは、単に個人的な事情にほかならない。
なお、請求人が事務所名を「浜田国際法律事務所」から「ユニバーサル特許法律事務所」に変更したのは、先述のとおり、商標登録第5490272号に係る「ユニバーサル特許法律事務所」が商標登録されたのを機会に、対外国名称と対国内名称とを統一したというのが一番の理由であるが、そのほかに弁護士の資格を有する請求人以外に、弁理士の資格を有する者が同事務所に参加することになったことによるものである。
ウ 以上のとおり、取引の実情を考慮しても、本件商標の指定役務と引用商標の指定役務とは、類似するものである。
(4)混同のおそれについて
ア 商標法において、登録商標の使用権は明確に認められているのであるから、商標権者と商標使用者が異なっていても何ら問題はない。特に本件の場合は、請求人、浜田国際特許商標事務所(現在のユニバーサル特許法律事務所)及びユニバーサルパテントビューローは、すべて表裏一体をなすものであるから、なおさらのことである。
イ 本件商標と引用商標とは、ともに「ユニヴァーサル」ないし「ユニバーサル」の称呼が生じる類似商標であることは明らかである。
被請求人は、弁護士と弁理士とはそれぞれの業務において棲み分けられている旨主張するが、実質的に重なり合う部分があり、1人の弁護士で弁理士業もしている者が少なくないのは周知の事実であるから、本件商標と引用商標とは、混同のおそれが十分あり得るというべきである。
また、引用商標を構成する「UNIVERSAL」の文字も、主に対外国向け商標として、1967年(昭和42年)の事務所創立以来、請求人が継続的に一貫して使用してきたものであり、少なくとも弁護士業務や弁理士業務においては、この名称は独創性を有するものといえるから、その役務の遂行において混同のおそれを生じさせるものである。
(5)むすび
以上のとおりであるから、本件商標は、引用商標との間で類似するもの又は他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがあるものといえるから、商標法第4条第1項第11号又は同項第15号に該当する商標として、無効とされるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号
(1)引用商標及び請求人について
ア 引用商標が請求人の経営する「UNIVERSAL PATENT BUREAU」(ユニバーサル特許事務所)のシンボルマークであるとの主張について
引用商標は、請求人が登録出願したものではあるが、平成8年2月29日に登録された直後から、浜田俊之が代表取締役を務めるユニバーサルパテントビューローがそのシンボルマークとして使用していたものであり(乙第1号証及び乙第2号証)、そもそも、請求人が経営する「ユニバーサル特許事務所」なるものは一度も存在したことがない(乙第3号証)。また、引用商標の商標権は、ユニバーサルパテントビューローに譲渡され(平成14年8月23日移転登録)、同日以降、請求人は、引用商標の商標権者でもない(乙第4号証)。請求人が引用商標の商標権を回復したのは、平成22年12月28日であり(乙第4号証)、本件商標の登録出願(平成20年6月17日)よりも2年6か月も後である。
イ 請求人が商標登録第5490272号の商標権者であるとの主張について
商標登録第5490272号に係る登録出願は、本件商標の後願であるから(甲第1号証及び甲第3号証)、当該商標登録の存在を理由に本件商標の無効を主張するのは失当である。
請求人は、昭和35年7月に弁理士登録をし、昭和42年10月の独立後は「浜田国際特許商標事務所」を経営していた(乙第3号証)が、平成19年12月18日に弁護士登録をした(乙第6号証)際に届け出た法律事務所の名称は「浜田国際法律事務所」であって、平成23年4月1日時点でもこの名称を使用していた(乙第6号証)。その後、「浜田国際法律特許事務所」の名称を使用するようになった(乙第3号証及び乙第6号証)。請求人が商標登録第5490272号に係る登録商標を使用するようになったのは、平成24年6月1日からであり、請求人が経営していた事務所の名称は、それまでは一貫して本件商標とは全く類似しないものであった。
他方、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)は、平成4年4月に弁護士登録をした弁護士であり(乙第10号証)、平成10年9月以来、「ユニヴァーサル法律事務所」を経営し、平成20年1月にこれを法人化して「弁護士法人ユニヴァーサル法律事務所」の代表弁護士を務めている(乙第7号証)。
ところが、平成20年6月、請求人は、ユニバーサルパテントビューローの代理人として、本件商標権者に対し、上記法律事務所の名称の使用が引用商標並びに「ユニバーサル パテント ビューロー」及び「UNIVERSAL PATENT BUREAU」の各文字を2段に併記した登録商標(乙第5号証)に抵触するとして、同名称の使用中止を求めてきた(乙第2号証)。そこで、本件商標権者は、同月、本件商標の登録出願をした(甲第1号証)ところ、請求人は、平成21年8月、商標登録第5490272号に係る登録出願をした(甲第3号証)。
このように、請求人は、本件商標と類似する商標を使用していなかったにもかかわらず、商標登録第5490272号に係る登録商標を使用したくなったために、ユニバーサルパテントビューローの商標権を口実として、本件商標権者が長年使用していた本件商標の排除を企てたものである。
ウ 外国の特許事務所あてに送ったレターヘッドに引用商標が表示されているとの主張について
請求人が送ったレターヘッドは、いずれも外国の特許事務所あてのものであり、その内容も特許庁への出願等の手続を行ったことを報告するものであるから、すべて弁理士の業務に関するものである。また、上述のとおり、引用商標及び商標登録第5490272号に係る登録商標は、ユニバーサルパテントビューローが使用していたものである。こうした事実に照らせば、上記レターヘッドは、請求人が同社の提携弁理士として業務を行っていたことを証するものにすぎない。
エ 小括
以上のとおり、引用商標は、ユニバーサルパテントビューローがその指定役務を行うために使用していたものであり、請求人が同社と無関係に引用商標を使用していた事実は存在しない。請求人は、平成24年6月1日までは、本件商標と類似する商標を使用していなかったのである。
(2)商標の類似性について
ア 本件商標の要部が「ユニヴァーサル」であるとの主張について
請求人は、本件商標の要部は「ユニヴァーサル」であり、この文字により自他役務が識別されると主張する。
しかしながら、本件訴訟の判決(乙第8号証)は、上記主張と同様の被告(請求人)の主張を排斥している。本件審判は、既に確定している上記判決の争点を蒸し返すものであって、請求人の上記主張は失当である。
イ 本件商標の要部「ユニヴァーサル」が引用商標の観念、称呼と同じであるとの主張について
請求人は、上記アの主張を前提に、本件商標中の「ユニヴァーサル」の部分は、引用商標の観念、称呼と共通する旨主張する。
しかしながら、商標の類否は外観、観念、称呼等の全体観察が原則であって(最高裁第1小法廷昭和38年12月5日判決、最高裁第3小法廷昭和43年2月27日判決等)、本件商標と引用商標は、外観において著しく異なり、称呼において一部共通するものの、類似するとまではいえず、観念において相違する(乙第8号証)。
したがって、請求人の上記主張も失当である。
ウ 小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標とは類似しない。
(3)役務の類似性について
ア 上述のとおり、本件商標は、引用商標とは類似しないから、指定役務の類否を論じるまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当する余地はない。
イ 本件商標の指定役務は、第45類「訴訟事件その他に関する法律事務」であり、これは工業所有権に関する法律を含む法律事務全般を含むから、引用商標の指定役務である「工業所有権に関する手続きの代理又は鑑定その他の事務」とも一応は重なっている。しかしながら、前者は弁護士が提供する役務を予定しており、後者は弁理士が提供する役務を予定している。そして、両指定役務が重なるのは、弁護士の扱える事務が法律事務全般にわたり、「弁護士は、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。」(弁護士法第3条第2項)とされているからである。
しかるところ、税理士が提供する役務すなわち税務相談や税務代理も法律事務に含まれるからこそ上記弁護士法の規定が存するにもかかわらず、「税務相談・税務代理」は第36類に属し、その類似群コードも「36J01」とされていて、第45類の「訴訟事件その他に関する法律事務」の類似群コード「42R01」とは異なっている。これは、取引の実情において、一般の法律事務と税務相談・税務代理が、別の主体が提供する別の役務として扱われているからにほかならない。こうしたことからすれば、弁護士が提供する法律事務と、弁理士が提供するのが常態となっている「工業所有権に関する手続きの代理又は鑑定その他の事務」とについても、単に類似群コード等が同一であるという形式的、画一的判断によるのではなく、取引の実情において、同一の主体が提供する同一の事務として扱われているか否かを実質的に判断する必要がある。
ウ 弁護士が工業所有権に関する手続き等に関与するのは、主に工業所有権に係る訴訟事件の代理であり、弁護士が特許出願等の行政手続の代理や鑑定その他の事務を行うことはほとんどない。これに対し、弁理士は、一定の場合に訴訟代理人となることができるが、その範囲等には大きな制限があり(弁理士法第6条及び第6条の2)、一般的には補佐人として制約された一定の訴訟行為を行えるにすぎない(同法第5条)。
また、訴訟事件の代理を超えて工業所有権に関する事務に関与する弁護士は、いかなる案件でも扱う一部の巨大法律事務所を除いて、法律事務所の名称に、「法律特許事務所」や「特許法律事務所」のように、「特許」の文字を挿入している事務所に所属しているのが一般である。こうした名称の事務所や巨大法律事務所に所属する弁護士のみが、訴訟代理以外の「工業所有権に関する手続きの代理又は鑑定その他の事務」をも扱っているというのが実情である。そして、それ以外の一般の法律事務所に所属する弁護士は訴訟代理を除いて工業所有権に関する事務を扱わないというのが、弁護士業界における常態となっている。
すなわち、取引の実情においては、上記一部の法律事務所に所属する弁護士を除いて、「工業所有権に関する手続きの代理又は鑑定その他の事務」のうち、弁護士が扱う事務は訴訟代理、その他の事務を扱うのは弁理士という棲み分けができているのである。
エ こうしたことから、取引者・需要者も、工業所有権に係る訴訟代理については、事務所の名称に「特許」の文字がない法律事務所に所属する弁護士に委任することはあっても、工業所有権に関するその他の事務をそうした弁護士に委任することはほとんどないというのが、取引の実情である。すなわち、取引者・需要者は、一般の弁護士が提供する役務と弁理士が提供する役務の実質的な違いを十分に判断できるのである。
本件商標権者は、平成10年9月8日から「ユニヴァーサル法律事務所」の名称の法律事務所を経営しているが、今日に至るまで、この名称を引用商標と誤認して「工業所有権に関する手続きの代理又は鑑定その他の事務」に関する相談又は依頼があったことはない。それどころか、本件商標権者は、弁護士登録をしてから今日までの20年以上にわたって、訴訟代理以外に「工業所有権に関する手続きの代理又は鑑定その他の事務」に関する依頼を受けたことがない(乙第10号証)。このことは、本件商標権者が本件商標の出願や不服審判の手続を当初から弁理士に依頼している事実からも明らかである。本件審判において、被請求人代理人に弁護士が就任したのも、本件訴訟を受任した延長線上のものであって、同代理人弁護士が過去に特許庁への出願や審判事件を代理したことは一度もない。
オ 小括
以上の実情に照らして、両指定役務の類似性を実質的に判断するならば、両役務は、密接な関係にあり、抽象的には一部重なる部分はあるものの、その重なる部分についても、取引の実情においては、原則として、訴訟代理は弁護士、その他の事務は弁理士というように棲み分けがなされている。そして、例外的に弁護士が訴訟代理以外の事務を行う場合でも、取引者・需要者は、当該弁護士が所属する法律事務所の名称等によって、そのことを認識、判断できている。
したがって、弁護士が提供する「訴訟事件その他に関する法律事務」と、通常は弁理士が提供する「工業所有権に関する手続きの代理又は鑑定その他の事務」とは、仮に同一又は類似の商標が使用された場合でも、同一主体が提供する役務であると誤認混同されるおそれはないから、本件商標の指定役務と引用商標の指定役務は類似しないと判断されるべきである。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)請求人は、昭和42年から引用商標をブランドマークとして使用し、知的財産に関する訴訟事件も多く取り扱っているから、その分野の需要者が出所の誤認混同を起こすおそれがあると主張する。
しかしながら、かかる主張に理由がないことは、以下に述べるとおり明白である。
なお、引用商標をブランドマークとして使用していたのは、上述のとおり、ユニバーサルパテントビューローであって、請求人ではない。請求人の上記主張は、その前提において事実に反するものである。
(2)混同のおそれ
ア 最高裁第3小法廷平成12年7月11日判決は、「混同を生ずるおそれ」の有無について、(a)当該商標と他人の表示との類似性の程度、(b)他人の表示の周知著名性及び独創性の程度、(c)当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度、(d)商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情等を挙げ、これらに照らして、「当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである。」と判示している。
イ 本件において、(a)については、上記1(2)で述べたとおり、本件商標と引用商標は、外観において著しく異なり、称呼において一部共通するものの、類似するとまではいえず、観念において相違する(乙第8号証)。
また、本件において、(c)及び(d)については、上記1(3)で述べたとおり、本件商標の指定役務と引用商標の指定役務は、密接な関係にあり、抽象的には一部重なる部分はあるものの、その重なる部分についても、取引の実情においては、原則として、訴訟代理は弁護士、その他の事務は弁理士というように棲み分けがなされており、役務が一部重なる部分について取引者・需要者が共通するものの、かかる取引者・需要者も、上記棲み分けを認識しているから、訴訟代理以外の工業所有権に関する事務を一般の弁護士に委任することはほとんどない。
さらに、本件において、(b)については、引用商標に周知著名性があると認められる事実は皆無であり、また、本件商標のうち引用商標と共通するのは、「ユニヴァーサル」部分の称呼のみであるが、この称呼を生じさせる引用商標中の「Universal」の表示は、日本人にとってありふれた英単語であって、独創性は認められない。
したがって、本件商標が引用商標の役務と混同されるおそれはない。
3 むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求は、成り立つ余地がない。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標と引用商標との対比
ア 外観について
(ア)本件商標
本件商標は、「ユニヴァーサル法律事務所」の文字を標準文字で表してなるものである。
(イ)引用商標
引用商標は、別掲のとおり、図形及び文字から構成されている。引用商標は、上方には円が表記され、下方には帯様の図形が表記され、帯様図形の中央には、「Universal」の欧文字が筆記体で記載され、これらの組み合わせからなる商標である。
上方の円は、中心点を通り、直交する縦横の直線が、縦方向には、最上端と最下端において、それぞれ1点に収束する8本の曲線が、横方向には、上側半円部では、中央から左右に向かって、互いに交わることなく、なだらかに上昇する4本の曲線が、下側半円部では、中央から左右に向かって、互いに交わることなく、なだらかに下降する4本の曲線が、描かれている。球体(立体)を模写したように描かれているが、上側半円部は、立体を上方から下方に目視したような斜視図的な表現がされているのに対して、下側半円部は、立体を下方から上方に目視したような斜視図的な表現がされており、特異な描かれ方がされている。手毬、地球、惑星等の星、天体、児童公園の遊戯具(回転ジャングルジム)、ユニバーサルスタジオのユニグローブを模したような図形等、何を対象として描いたかを一義的に特定することはできない図柄であるといえる。
下方の帯様図形は、中央から左右に、曲線を描きながら延伸し、中途において、なだらかに中央に向けて、奧方向かつ中央方向に屈曲し、さらに左右両翼に延伸するように描かれ、最端部は、中央がくびれた、くさび形状を呈している。帯様図形は、上方の円と比較して、横の長さは、約2倍に表記され、また、上方の円の最下端部を覆い被せるように、重ねて描かれている。帯様図形は、立体を上方から下方に目視したような斜視図的な表現がされているのに対して、上方の円の下側半円部が、球(立体)を下方から上方に目視したような斜視図的な表現がされていることと対比すると、看者の視点が定まらない点において、特異な描かれ方がされているといえる。
帯様図形の中央には、「Universal」の欧文字が、やや右に傾けた、必ずしも、読みやすいとはいえない筆記書体で、横一直線に表記されている。帯様図形が、看者に対して遠近感を抱かせる手法で、風になびいているように描かれている点と対比すると、横一直線に表記された文字と帯様図形とは、調和しないため、文字が帯様図形の上に描かれているように見ることができず、この点でも、特異な描かれ方がされているとの印象を与える。
(ウ)以上のとおりであり、本件商標は、「ユニヴァーサル法律事務所」との文字からなるのに対して、引用商標は、上記のような図形と文字との組合せからなり、外観において著しく異なる。
イ 観念、称呼について
(ア)本件商標
本件商標は、「ユニヴァーサル」の片仮名と「法律事務所」の漢字とにより構成されているが、標準文字からなる「ユニヴァーサル法律事務所」の各文字は、同一の大きさで、等間隔にまとまりよく配列されていること、片仮名部分と漢字部分との間に切れ目がないこと、本件商標中の「ユニヴァーサル」は、「普遍的な、全世界の」等の意味を有する一般的な語であって、格別に強い印象を与える名称とはいえないこと、また、本件商標中の「法律事務所」は、弁護士の事務所を称するものと規定され(弁護士法第20条)、日本弁護士連合会の法律事務所等の名称等に関する規程第3条において、弁護士はその法律事務所に名称を付するときは事務所名称中に「法律事務所」の文字を用いなければならないとされていること、したがって、「ユニヴァーサル」のみの表記によって、弁護士としての業務を行うことは、通常は想定されないこと等に照らすならば、需要者、取引者において、本件商標中の「ユニヴァーサル」との部分のみによって、指定役務の出所が識別されることは、通常はないものと解するのが相当である。
したがって、本件商標は、「ユニヴァーサルホウリツジムショ」の称呼が生じ、また、「全世界の、普遍的な」等の意味を有する「ユニヴァーサル」という語を名称の一部として有する法律事務所との観念を生じると認められる。
(イ)引用商標
引用商標は、その上方の円図形からは、手毬、地球、星、天体、球などの観念、下方の帯様図形からは、帯、リボン等の観念、文字部分からは、「全世界の、普遍的な」等の観念を生じ得る余地があるが、必ずしも、一義的に確定できるものではない。また、引用商標から、法律事務所であるとの観念は生じない。引用商標の図形からは、看る者によって、上記各観念に対応する称呼を生じる余地があり、また、文字部分から「ユニバーサル」の称呼を生じる余地があるが、必ずしも、一義的に確定できるものではない。
(ウ)以上のとおりであり、本件商標と引用商標とは、称呼において一部共通にするものの、類似するとまではいえず、観念において相違する。
ウ 上記によれば、本件商標と引用商標とは、外観において著しく異なり、観念において相違し、称呼において一部共通するものの、取引の実情を考慮するならば、類似するとはいえない。
したがって、本件商標と引用商標の類否について、外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、具体的な取引状況に基づいて全体的に考察すると、本件商標と引用商標が、役務における出所の誤認混同を生じるおそれはなく、両商標は、類似しない。
(2)甲第4号証ないし甲第20号証に表示された商標について
甲第4号証ないし甲第20号証に表示された商標は、引用商標と同一の構成よりなるものであるから、上記(1)で認定した本件商標と引用商標との類否判断と同様の理由により、本件商標とは、類似しない商標というべきである。
(3)請求人の所有に係る商標登録第5490272号について
請求人の所有に係る商標登録第5490272号に係る登録商標は、「ユニバーサル特許法律事務所」の文字を標準文字で表してなり、平成21年8月25日に登録出願、第45類「知的財産権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務,訴訟事件その他に関する法律事務,登記又は供託に関する手続の代理,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,外国における知的財産権に関する手続の仲介又は事務,知的財産権に関する助言又は指導,知的財産権に関する情報提供,知的財産権に関する先行調査及び助言並びに情報の提供,知的財産権のライセンス契約の仲介」を指定役務として、同24年4月27日に設定登録されたものであるところ、請求人の主張を総合しても、請求人が、本件において、該登録商標を引用する具体的な理由は、必ずしも明らかでない。
仮に上記登録商標を引用して、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当する旨主張しているのであれば、該登録商標の登録出願日は、本件商標の登録出願日(平成20年6月17日)より後であることは明らかであるから、該登録商標の存在をもって、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとする請求人の主張は、失当である。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
請求人は、本件商標が引用商標と類似しないとしても、請求人の所有に係る商標登録第5490272号の由来を考慮すれば、本件商標は、請求人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標といえるものであるから、商標法第4条第1項第15号に該当する商標である旨主張する。
しかしながら、請求人の主張する商標登録第5490272号の由来は、同人が、平成19年12月18日に弁護士登録をし、弁護士資格を取得したから、該商標登録に係る登録出願をしたというものと解されるものの、本件商標が該商標登録に係る登録商標との間において、出所の混同を生じさせるおそれがある商標であることについての具体的理由は明らかではない。のみならず、引用商標及び該商標登録に係る登録商標が、請求人の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の登録出願日(平成20年6月17日)及びその審決日(平成23年11月28日)の時点において、我が国の工業所有権に関する手続の代理ないし訴訟事件その他に関する法律事務等の分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる証拠の提出はない。
なお、請求人は、1975年(昭和50年)8月から2008年(平成20年)5月までの諸外国の特許事務所にあてた特許出願の手続等に関する報告を記載した書簡(甲第4号証ないし甲第20号証)を提出し、これらの書簡には、一貫して引用商標が表示されているから、本件商標がその指定役務について使用された場合、該役務が請求人の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じるおそれがある旨主張するが、本件商標と引用商標とが非類似の商標であることは上記認定のとおりであり、また、甲第4号証ないし甲第20号証のみをもってしては、引用商標が、本件商標の登録出願日及びその審決日の時点において、我が国の工業所有権に関する手続の代理ないし訴訟事件その他に関する法律事務等の分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
その他、本件商標が、請求人の業務に係る役務と混同を生じさせるおそれのある商標であることを客観的に裏付ける証拠は見いだせない。
したがって、本件商標は、これをその指定役務について使用しても、該役務が請求人又は請求人と営業上何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれがある商標ということができないから、商標法第4条第1項第15号に該当するものと認めることはできない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項第1号により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
引用商標(登録第3122326号商標)


審理終結日 2013-03-05 
結審通知日 2013-03-07 
審決日 2013-03-19 
出願番号 商願2008-47888(T2008-47888) 
審決分類 T 1 11・ 263- Y (X45)
T 1 11・ 271- Y (X45)
T 1 11・ 262- Y (X45)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 田中 幸一 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 酒井 福造
田中 敬規
登録日 2011-12-22 
登録番号 商標登録第5459489号(T5459489) 
商標の称呼 ユニバーサルホーリツジムショ、ユニバーサル 
代理人 小泉 伸 
代理人 若井 広光 
代理人 牛田 竜太 
代理人 市川 朗子 
代理人 北澤 一浩 
代理人 牛木 理一 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ