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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900128 審決 商標
異議2013900100 審決 商標
異議2013900123 審決 商標
異議2013900145 審決 商標
異議2012900296 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W42
審判 全部申立て  登録を維持 W42
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審判 全部申立て  登録を維持 W42
審判 全部申立て  登録を維持 W42
審判 全部申立て  登録を維持 W42
管理番号 1279032 
異議申立番号 異議2013-900088 
総通号数 166 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-10-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-04-01 
確定日 2013-09-13 
異議申立件数
事件の表示 登録第5546321号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5546321号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5546321号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成24年7月17日に登録出願、第42類「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計」を指定役務として、同年12月5日に登録査定、同月28日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由
(1)引用商標
ア 商願2007-88793(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 CAT(標準文字)
出願日 平成19年8月14日
指定商品(平成25年7月1日付け手続補正書提出後) 平成23年 6月20日付け手続補正書及び平成25年7月1日付け手続補正書 に記載された第9類、第35類、第37類、第39類、第40類及 び第42類に属する商品及び役務
イ 商願2007-88795(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 別掲2のとおり
出願日 平成19年8月14日
指定商品(平成25年7月1日付け手続補正書提出後) 平成23年 6月17日付け手続補正書及び平成25年7月1日付け手続補正書 に記載された第7類、第9類、第12類、第35類、第37類、第 39類、第40類及び第42類に属する商品及び役務
ウ 登録第4138519号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成 別掲2のとおり
出願日 昭和64年1月5日
登録日 平成10年4月24日
指定商品(指定商品の書換登録後) 第9類に属する商標登録原簿に 記載の商品
エ 登録第5588584号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成 別掲3のとおり
出願日 平成19年10月4日
登録日 平成25年6月7日
指定商品 第4類、第7類、第9類、第12類及び第17類に属する 商標登録原簿に記載の商品
なお、引用商標1ないし引用商標4をまとめて「引用商標」という。
(2)商標法第8条第1項及び同法第4条第1項第11号に該当することについて
ア 引用商標の周知著名性
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、1925年に米国で設立され、1963年に日本法人であるキャタピラー三菱株式会社を設立し、1986年に新キャタピラー三菱株式会社を設立し、2008年に社名をキャタピラージャパン株式会社(以下、その前身会社を含めて「キャタピラージャパン」という。)に変更し、現在に至る80年以上の歴史を有する会社である(甲3)。
申立人は、世界で建設機械や鉱山機械等の製造及び販売を行っているが、1949年以来、メインマークとして「CAT」が商品・役務に使用されており、ドメイン名も「cat.com」として登録されている(甲4?甲8)。そして、商標「CAT」(引用商標)は、建設機械の業界のみならず、一般需要者の間にも広く浸透している。
また、申立人は、キャタピラージャパンを通じ、日本における販売活動及び広告宣伝活動を大々的に行い、引用商標を継続的に使用してきた。そして、申立人が,建設機械業界のみならず、一般需要者をも対象にした広告宣伝を行っている(甲15?甲20)。これらの長期的かつ広範囲に及ぶ使用をみれば、引用商標は、日本において需要者の間に広く認識されるに至っているといっても過言ではない。
イ 本件商標と引用商標の類似性
本件商標は、外観上、「Cat」「キャット」の部分が全体から分離抽出されると考えるのが自然であり、また、「Smart」部分は、本件指定役務との関係において、「高性能の、コンピュータを用いた、コンピュータ化された、ハイテクの」の意味を有すると解され、識別力が弱いと考えられる。加えて、引用商標「CAT」は、周知・著名商標であり、係る周知・著名商標を一部に含む商標においては、かかる周知・著名商標と一致する部分が要部を形成する。よって、本件商標からは「キャット」の称呼が生ずるものであり、「Cat」「キャット」部分が分離抽出されてしかるべきであるから、本件商標は、引用商標と類似する商標である。
ウ 指定商品及び指定役務の同一性又は類似性
本件商標の指定役務は、引用商標の指定商品及び指定役務に抵触している。
エ 小括
以上により、本件商標は、商標法第8条第1項及び同法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号
前述のとおり、引用商標は、申立人が建設機械や鉱山機械等に永年使用し、本件商標の出願日前には、需要者の間に広く認識されるに至っており、本件商標はこれと類似する。
また、近年、建機遠隔管理システムを使用して建設機械に関する様々な情報をインターネットを通じてオフィスや外出先などで管理できるシステムが提供され(甲32)、本件商標の指定役務と引用商標が使用されている商品・役務との関連性は極めて高い。
そのため、 本件商標がその指定役務に使用された場合、申立人の商品・役務と出所の混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号
前述のとおり、引用商標は、申立人が建設機械や鉱山機械等に永年使用し、本件商標の出願日前には、日本又は外国で周知・著名となっている。
引用商標が周知・著名となった後に出願され、それと類似する本件商標は、引用商標に化体した顧客吸引力に便乗したものであり、不正の目的がある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第8号
「CAT」は、申立人のドメイン名であり、ニューヨーク証券取引所でも「CAT」と指標されている。永年にわたる使用により,申立人の略称として需要者の間に広く認識されるに至っている。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第7号
引用商標と類似する本件商標が使用されると、引用商標が有する顧客吸引力が損なわれ、商標のもつ品質保証機能及び出所表示機能が弱化されることになる。これは、公正な取引秩序を害するおそれがあり、商標制度の根幹に反することである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

3 当審の判断
(1)申立人の使用する商標及び略称の著名性について
ア 申立人の提出する甲第3号証ないし甲第7号証、甲第15号証ないし甲第27号証及び甲第29号証によれば、申立人が1925年に設立され、我が国においては、キャタピラージャパン(キャタピラー三菱株式会社)が1963年に設立され、同社がブルドーザ、油圧ショベル、ホイールローダなどの商品を取扱い、その商品名に「CAT」商標を使用してきたこと及び当該商品に別掲2のとおりの構成からなる商標を表示し、さらに当該商品についてTV広告や駅、電車等での広告等の宣伝広告を行ってきたことが認められる。
しかしながら、提出された証拠には、本件商標の出願後に印刷されたウェブサイトや広告宣伝物が多く、また、当該商品の我が国における販売台数・販売高、宣伝広告の量(宣伝の回数、カタログの作成時期、頒布状況等)等は不明であり、かつ、本件商標の出願時前のTVCM(甲20の1)、新聞広告(甲20の2)、駅構内広告(甲20の3)は、いずれも別掲2のとおりの商標が付されている、ショベルカー等や帽子・シャツを身につけた人物を映し出し、「CATERPILLAR」の名の下に広告しているものであるから、これらの証拠をもって、引用商標が、申立人及びキャタピラージャパン(以下、両者をまとめて「申立人」という場合がある。)が建設機械等に使用する商標として、本件商標の出願時及び登録査定時に需要者の間に相当程度認識されていたものということはできるとしても、需要者の間に広く認識されていたとまではいうことができない。なお、申立人の業務に係る建設機械等は、専門的な分野に使用する商品であり、日本全国に販売網を有し(甲19、甲5)、長年にわたって、販売し、広告宣伝を行っていることが一定程度認められることから、建設機械等の需要者の間に広く認識されていると仮に認めることができるとしても、建設機械などの需要者を除く一般需要者の間に広く認識されていたものということはできない。
この点について、申立人は、インターネットにおいて、ベルト、サングラス、時計、おもちゃ等多岐にわたる商品に引用商標を付して販売し(甲9)、引用商標は、建設業界のみならず、一般の需要者の間にも広く浸透していると主張しているが、甲第9号証は、英語で記載されたウェブサイトであって、また、これらの商品について我が国における販売の事実等は不明であるから、申立人の上記主張は採用できない。
イ また、申立人は、「CAT」は、申立人のホームページのドメイン名であり、ニューヨーク証券取引所の指標とされているものであって、長年にわたる使用により、申立人の略称として著名であると主張しているので、この点について検討するに、申立人の提出した証拠から、申立人が「CAT.COM」のドメイン名を使用し、ニューヨーク証券取引所において申立人について「CAT」を指標として使用していることが推認されるとしても(甲4、甲29の1)、提出された証拠には、「CAT」が申立人の略称として具体的に使用されているものではないから、「CAT」が申立人の略称として著名であるとは認められない。
(2)商標法第8条第1項及び同法第4条第1項第11号について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、上段に「SmartCat」の欧文字を手書き風にし、先頭の「S」の文字の先端を下方に少し伸ばして配置し、当該先端部分の右側に「スマートキャット」の片仮名をやや小さな文字で横書きしてなるものであり、構成全体がまとまりよく表されているばかりでなく、「SmartCat」及び「スマートキャット」の各文字もそれぞれ、まとまりよく一体に表されているものである。
また、これより生ずる「スマートキャット」の文字もよどみなく称呼し得るものである。
そして、構成中の「Smart」「スマート」は、「1)からだつきやものの形が細くすらりとした恰好がよいさま。2)身なりや動作などが洗練されて粋なさま。」の意味を有する語として、「cat」「キャット」は、「猫」を意味する語として(以上、広辞苑第6版)、いずれも親しまれた語であり、構成全体として「スマートな猫」の意味合いを認識させるものである。
なお、この点について、申立人は「Smart」は、指定役務との関係において、使用されることが多いものであり(甲30)、「高性能の、コンピュータを用いた、コンピュータ化された、ハイテクの」の意味合いを理解させるから、本件商標の要部は、「Cat」「キャット」の部分であると主張しているが、「Smart」は、我が国において広く使用されている語であるといえるものの、申立人説示の具体的な意味合いを直ちに認識させるものとはいえないし、「Cat」も「猫」を意味する語として広く知られ、本件商標は構成全体として「スマートな猫」の意味合いを容易に理解させるものであることからすると、本件商標において、「CAT」「キャット」の部分が要部として認識されるものとはいうことができない。
以上によれば、本件商標の「SmartCat」及び「スマートキャット」の各文字は、それぞれ一体不可分のものとして認識され、「スマートキャット」の称呼及び「スマートな猫」の観念を生ずるものと認められる。
イ 引用商標について
引用商標は、いずれも「CAT」の文字を書してなるものであるから、「キャット」の称呼を生じ、「猫」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標とは、それぞれ、前記ア及びイのとおりの構成よりなるから、いずれも外観上明らかに区別できるものである。
また、本件商標から生ずる「スマートキャット」の称呼と引用商標から生ずる「キャット」の称呼を比較するに、「スマート」の音の有無において顕著な差異を有するものであるから、これらをそれぞれ称呼しても相紛れるおそれはないものである。
さらに、本件商標は、「スマートな猫」の観念を生ずるのに対し、引用商標は、「猫」の観念を生ずるから、観念上も両者は区別できるものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第8条第1項及び同法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、引用商標とは前記(2)のとおり、非類似の商標であり、また、引用商標が仮に我が国においてその需要者の間に広く認識されていたものといえるとしても建設機械の分野にとどまり、「CAT」の文字自体は、「猫」を意味する語であって、その独創性も高いものではない。
そして、引用商標が使用されている建設機械と本件商標の指定役務との関連性について、申立人は、建設機械遠隔管理システムを使用して建設機械に関する様々な情報をインターネットを通じてオフィスや外出先などで管理できるシステムが提供されている(甲32)と述べているが、引用商標に係る建設機械等の商品と本件指定役務とは、用途が異なり、また商品の製造販売と役務の提供が同一の事業者により行われているものでないから、両者の関連性は高いとはいえない。
よって、これらを総合して考慮するならば、本件商標をその指定役務について使用しても、これに接する需要者、取引者が引用商標を連想、想起するようなことはないというべきであり、該役務が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について誤認混同を生ずるおそれもないと判断できる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものということはできない。
(4)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、引用商標とは前記(2)のとおり、非類似の商標であり、さらに、本件商標が引用商標の顧客吸引力にただ乗りしたり、不当に利用するなど、不正の目的をもって使用するものであることを具体的に示す証拠は一切見当たらない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものということはできない。
(5)商標法第4条第1項第8号について
前記(1)のとおり、「CAT」が、申立人の略称として本件商標の登録出願前より著名な略称であったとは認められない。
そうすると、本件商標は、他人の著名な略称を含む商標とはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものということはできない。
(6)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、前記(3)のとおり、これをその指定役務に使用しても、引用商標に係る商品とその出所について混同を生ずるおそれがないものであり、その顧客吸引力が損なわれるとはいえないから、本件商標をその指定役務に使用することが公正な取引秩序を害するものということもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものということはできない。
(7)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第11号、同第15号、同第19号及び同法第8条第1項のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標


2 引用商標2及び3


3 引用商標4


異議決定日 2013-09-05 
出願番号 商願2012-57584(T2012-57584) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W42)
T 1 651・ 22- Y (W42)
T 1 651・ 271- Y (W42)
T 1 651・ 4- Y (W42)
T 1 651・ 23- Y (W42)
T 1 651・ 262- Y (W42)
最終処分 維持  
前審関与審査官 橋本 浩子 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 小川 きみえ
内藤 順子
登録日 2012-12-28 
登録番号 商標登録第5546321号(T5546321) 
権利者 リードシステム株式会社
商標の称呼 スマートキャット、スマート、キャット、シイエイテイ 
代理人 長島 瑞希 
代理人 中山 健一 

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