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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X11
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X11
管理番号 1278969 
審判番号 不服2012-9691 
総通号数 166 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-05-25 
確定日 2013-08-29 
事件の表示 商願2010-41409拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成からなり、第11類「洗面所用手乾燥装置」を指定商品とし、平成22年5月26日に立体商標として登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、本体の上部に開口部がある『洗面所手乾燥装置』を容易に認識させる立体的形状からなるところ、本願指定商品を取り扱う業界において、出願人以外の者が取り扱う類似の形状からなる商品が流通している実情が認められることからすれば、本願商標の立体的形状は、『洗面所手乾燥装置』の機能又は美感を発揮させるための商品の一形態を表示するにすぎないものであり、同種商品が一般的に採用し得る範囲内にとどまるものというのが相当である。そうとすると、本願商標をその指定商品に使用しても、取引者、需要者は、単に商品の一形態を表示するにすぎないものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を有しないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、出願人が提出した証拠をみても、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するものとはいえない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲(1)のとおり、縦長の四角柱の上部を、中央が高く、左右の両端がやや低くなるように曲線状にカットし、その上端を手前側と奥側の2つの壁で構成するように該四角柱の3分の2程の高さまで切り取った開口部を有するものであって、該開口部は、該四角柱の両側面まで貫通しており、該開口部の奥側の壁の内側上部に横長の土手状の突起部が付加されたような立体的形状のみからなるところ、請求人(出願人)が提出した甲各号証によれば、該立体的形状は、本願の指定商品である「洗面所手乾燥装置」(以下「本件商品」ともいう。)として、請求人が2005年に発売開始した商品の形状に近似したものである。
また、原審の拒絶査定に示されたインターネット情報(別掲(2)参照)の内容に照らせば、本件商品を取り扱う業界において、上方からぬれた手を差し入れるための開口部を有した商品が、今日においては、例えば、日立産機システム、TOTO、INAX、Panasonic等の各社から販売されており、各商品上部の開口部が本件商品の形状と類型のものとして一般的に採用されているといえる。
そうとすれば、本願商標に係る立体的形状は、その指定商品を取り扱う業界において、一般に用いられる商品の形状を表示してなるにすぎず、その取引者、需要者をして、商品の出所を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
なお、請求人は、「本願商標は、従来のハンドドライヤーにおいて採用されていた立体的形状に、単に特徴的な変更、装飾を施したにとどまるものではなく、立体的形状全体が根本的に異なるものであるから、自他商品を識別し得る商標としての特徴を充分に備えたものである。」旨主張する。
しかしながら、上記のとおり、今日においては、上部から手を差し入れるための開口部を有した「洗面所手乾燥装置」が一般的に採用されていることからすれば、その形状は、その商品の機能又は美感を発揮するための商品の一形態を表示するにすぎず、一般的に採用し得る形状であるというのが相当であるから、この主張は、採用できない。
したがって、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性について
請求人(出願人)は、「本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるとしても、長期にわたる使用等の結果、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品等であることを認識することができるに至ったものであるから、同条第2項の要件を具備するものである。」旨主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第19号証(枝番を含む。)を提出している(以下において、枝番のすべてを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)。
ア 使用に係る商標について
請求人(出願人)の提出に係る甲各号証によれば、本件商品は、従来、本体下部に送風口が設けられ、送風口の下にぬれた手を差し入れて乾かす形状が一般的であったところ、1993年に、請求人が本体上部の開口部にぬれた手を差し入れる形状の本件商品を発売したことが認められる。
その後、請求人は、本願商標に係る商品において、異なる形状のモデルを多数発売しているが、本願商標の立体的形状は、請求人が「スリムタイプ」と称する商品のうち、2005年に発売した型式「JT-SB116GN」及び「JT-SB216GSN」とする商品に近似していることが認められる。
そして、請求人の提供する本件商品を掲載したカタログである甲第5号証の39などによれば、「JT-SB116GN」及び「JT-SB216GSN」(以下「本願商標に近似する商品」という。)は、商品上部の奥側の壁に、「MITSUBISHI」や「ジェットタオル」の文字及びロゴと思しき図形等が付されていることが認められる。
また、請求人は、請求人の本件商品に関する記事の掲載状況や広告宣伝の実績を明らかにするものとして、甲第11号証、甲第15号証ないし甲第17号証等を提出しているが、その中には、本願商標の立体的形状とは形状が異なる商品に関するものを多数含んでおり、本願商標に近似する商品を紹介するものは、甲第11号証の15、同35、同36及び同40(以上、新聞・雑誌の記事)、甲第16号証の11(請求人の本件商品の開発状況を紹介するTV番組)並びに甲第17号証の267ないし同270、同282ないし同284、同324ないし同356及び同359ないし同363(以上、新聞・雑誌の広告)のみと認められるところ、そのすべてにおいて、「ジェットタオル」、「MITSUBISHI」、「三菱電機」等の文字が用いられており、本願商標に近似する商品は、常にこれらの文字や図形が付されて取引に資されているものであることが認められる。
そこで、使用に係る商標について検討するに、本体上部に開口部を有する本件商品は、手を本体下部に差し入れる形状と異なり、手を商品の本体上部に差し入れる方式による請求人が開発した新しい形状の商品であり、この形状の商品は、1993年度ないし1999年度までは、請求人が100%のマーケットシェアを占めていたが、同業他社の参入後の2010年度時点においては、50%をやや超える程度であることが認められる(甲第2号証の2)。
また、甲第1号証の1、甲第4号証、甲第5号証等によれば、請求人が「スリムタイプ」と称する各商品は、モデルごとに商品の高さ、奥行きなどが異なることに加え、本願商標に近似する商品のみにおいて、開口部上面が両端にかけて曲線状となっているなど、全体形状において顕著な相違がみられ、かつ、甲第11号証の41の第2葉に示された絵図からも明らかなように、開口部を構成する手前側と奥側の壁の上端の高さや形状が各モデルにおいて異なることから、側面から見た開口部の形状についても相違がみられる。
そして、本願商標に近似する商品は、今日においても販売が継続されていることはうかがわれるものの、甲各号証からは、同商品のみの販売数量が明らかではないことに加え、2011年9月作成のカタログ(甲第5号証の42)において、「受注対応品」と記載されていることからすれば、2010年に、デザインが異なる後継機種が発売された後は、販売数量が減少しているものと推認される。
また、請求人が提出した本件商品に関する新聞・雑誌の記事、テレビ番組、新聞・雑誌等の広告のうち、本願商標に近似する商品のものは、ほぼすべてが2005年及び2006年のものであるところ、本願商標に近似する商品の両側面の開口が請求人の商品の特徴である旨言及しているものは、請求人の社員が本件商品を説明している2007年11月27日に「家電Watch」のウェブサイトに掲載されたインターネット記事(甲第11号証の40)のみである。
してみれば、本願商標の立体形状と同一の形状が、1993年の本体上部に開口部を有する本件商品の発売以降、一貫して維持されているとはいえないものであって、本願商標に近似する商品の両側面の開口という特徴を強調するような大規模な広告宣伝が長期間にわたって行われてはいないことに加え、該商品の販売数量も明らかではないことから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとは認め難い。
イ 請求人が実施したアンケート調査について
(ア)請求人は、本願商標を構成する立体的形状の市場における認知度を明らかにする旨主張して、2012年7月5日ないし9日に、調査統計会社を通じてインターネット上で実施したアンケート調査の結果(甲第19号証)を提出している。
それによれば、上述の期間に、アンケート調査に協力するために調査統計会社に登録している者を本件商品の需要者、取引者であると想定される「製造業におけるトイレ設備・手洗い設備に関する業務に従事している者、トイレ・手洗い設備の選定・提案・購入・設置・管理などに係わっている者」に絞り込むスクリーニング調査(全4問)とそれにより需要者、取引者とされた者466人に対し、本願商標と同様の立体的形状についての認識を問う本調査(全10問)を行っている。
(イ)そして、以下の結果が得られたとしている。
(a)本願商標と同様の立体的形状の商品の用途を自由に回答させる本調査の第2問においては、全466回答中の386人(82%)が、「洗面所用手乾燥装置」を認識しているとの回答を得、該形状から想起される商品の製造者を自由に回答させる第5問においては、全466回答者中、258人(55.3%)が「わからない」、109人(23.3%)が「TOTO」、73人(15.6%)が「三菱(請求人)」の回答を得、同様の質問について本件商品を製造する8社からなる選択肢を用意した第6問においては、212人(45.9%)が「TOTO」、105人(22.7%)が「三菱(請求人)」、70人(15.2%)が「INAX」、25人(5.4%)が「ダイソン」、21人(4.6%)が「日立」、14人(3%)が「Panasonic」、10人(2.1%)が「東京エレクトロン」、5人(1.1%)が「コイト電工」を想起したという回答を得た。
(b)請求人は、第5問及び第6問の回答には、勘にもとづいたような実質的な根拠がないものが含まれており、回答者中に本願の指定商品の実質的な取引者、需要者以外の者が相当程度含まれていたと考え、全466回答を更に商品に接した経験や記憶に基づくものとされる128回答に絞り込み、その結果、第6問の回答者128人中、実質的な取引者、需要者といえる68人(53.1%)が「三菱(請求人)」、26人(20.3%)が「TOTO」、12人(9.4%)が「INAX」、10人(7.8%)が「ダイソン」、5人(3.9%)が「Panasonic」、4人(3.1%)が「日立」、2人(1.6%)が「コイト電工」、1人(0.6%)が「東京エレクトロン」を想起したという回答が得られたとしている。さらに、これに加えて第6問の選択肢に含まれている「INAX」及び「日立」に対し、請求人が本願商標に近似する商品をOEM供給していることに鑑みれば、両社を想起した者の回答も、商品の出所を請求人であると認識したものといえることから、「三菱(請求人)」、「INAX」及び「日立」と回答している需要者、取引者の合計である約65%の者が、本願商標と同様の立体的形状の商品を請求人の業務に係るものと認識していると主張している。
(ウ)しかしながら、本願商標と同様の立体的形状から商品の用途を自由に回答させる第2問において、82%の者(386人)が、該形状から「洗面所用手乾燥装置」であることを認識できるのに対し、該商品の製造者を自由回答で問う第5問において、請求人の商品と答えているのは、わずか15.6%の者(73人)にすぎず、該商品の製造者を選択肢から選ぶ第6問においても、請求人を選択した者は、22.7%の者(105人)にとどまることからすれば、本件商品の一般的な需要者は、その立体的形状のみから商品の用途を理解できるとしても、具体的な商品の出所までを認識できる者は少ないというのが相当である。
また、請求人は、本調査の回答を、更に本件商品の購入経験等のある者に限定し、これが実質的な需要者等であると主張しているが、スクリーニング調査において、製造業におけるトイレ設備・手洗い設備に関する業務に従事している者、トイレ・手洗い設備の選定・提案・購入・設置・管理などに係わっている者に絞り込んだものであることからすれば、実質的な根拠がないとしても回答から除外すべき必要性は認め難く、全466回答を本件商品の一般的な需要者、取引者の回答とみなすことが自然であって、回答を本件商品の購入経験者等に絞り込めば、数値が上がることは当然の結果であるから、絞り込み後の128回答における請求人と回答した53.1%の者の認識度も、さほど高いものとはいい難い。
さらに、請求人は、絞り込み後の128回答の評価において、請求人は、「INAX」及び「日立」に対しても、本願商標に近似する商品をOEM供給していることから、「INAX」及び「日立」の回答をも含め、回答者中の約65%の者が本願商標から請求人を想起したといえる旨主張しているが、そもそもOEMとは、「相手先ブランド名製造」であり、本願商標と近似する商品が、複数の事業者名で販売されていることにほかならず、需要者は、上部及び両側面の開口部がある商品を複数の事業者が販売していると理解することはあるとしても、そのすべてが請求人の商品であると必ずしも認識するとはいい難く、本願商標の立体的形状は、請求人の業務に係る商品の出所を表すものとは認め難い。
してみれば、請求人が実施した調査結果により、本願商標の立体的形状のみをもって本件商品であることが認識されているとされる請求人の主張は、採用することができない。
ウ その他、請求人の提出に係る証拠を総合してみても、「MITSUBISHI」や「ジェットタオル」の文字等を含まない立体的形状のみからなる本願商標が、使用された結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとは認められない。
したがって、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するものであるとする請求人の主張は、採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものでないとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本願商標


(2)拒絶査定において示されたインターネット情報
ア 日立産機システム
「ハンドドライヤー:JB-10SHA[Slim Type]」
http://www.hitachi-ies.co.jp/products/fan/handdry/jb10sha.htm
イ TOTO
「クリーンドライ 高速両面タイプ100V使用 TYC420W」
http://www.toto.co.jp/products/public/p00007/01.htm
ウ INAX
「INAX ハンドドライヤー KS-550A/KS-551B」
http://www.suisainet.jp/shopdetail/006006000004/order/
エ Panasonic
「パワードライ FJ-T13V1」
http://ctlg.panasonic.jp/product/lineup.do?pg=03&scd=00001251

審理終結日 2013-06-14 
結審通知日 2013-06-25 
審決日 2013-07-18 
出願番号 商願2010-41409(T2010-41409) 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (X11)
T 1 8・ 13- Z (X11)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 原田 信彦中島 光冨澤 美加 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 手塚 義明
山田 和彦
代理人 加藤 恒 
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