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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X03
管理番号 1278887 
審判番号 無効2012-890106 
総通号数 166 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-10-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-12-11 
確定日 2013-08-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第5437798号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5437798号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第5437798号商標(以下「本件商標」という。)は、「Lush Repair」の欧文字及び「ラッシュリペア」の片仮名を上下二段に横書きしてなり、平成23年4月15日に登録出願、第3類「化粧品,せっけん類,香料類,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤」を指定商品として、同年8月22日に登録査定、同年9月9日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が引用する登録第4479169号商標(以下「引用商標1」という。)は、「LUSH」の欧文字を横書きしてなり、平成8年12月6日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、平成13年6月1日に設定登録されたものである。その後、同年9月13日に指定商品「香料類」について、放棄による商標権の登録の一部抹消の登録がされている。
同じく、登録第5013148号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ラッシュ」の片仮名を横書きしてなり、平成18年6月1日に登録出願、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品」を指定商品として、同年11月15日に登録査定、同年12月22日に設定登録されたものである。
なお、引用商標1及び2を併せて、「引用商標」という場合がある。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第124号証を提出した。
1 無効事由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。
2 無効原因
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 称呼及び外観について
「Repair」は、英語で「修理、修繕」等を意味し、国語辞書大辞林に掲載されるほど一般的に使用されている(甲第4号証)。また、インターネットで「リペア修理」を検索すると、400万件以上の該当があり、「修理」の意を表すために「リペア」を用いている記載が多数見受けられる(甲第5号証及び同第6号証)。特に石けん類や化粧品の分野では「ダメージの補修・修復」等の効果・効能を謳った製品に数多く使用されている言葉である。
(ア)LUX Super Damage Repair/ラックス スーパーダメージリペア・・・髪のダメージや、枝毛、切れ毛になりやすい毛先も効果的に集中補修(甲第7号証)
(イ)ナプラ ケアテクトHB・・・ダメージケア リペアタイプ(甲第8号証)
(ウ)ローズミルクリペアシャンプー/Rose Milk Repair Shampoo・・・ダメージを受けた髪をなめらかに整えます(甲第9号証)
(エ)プレディア タラソ リペア シャンプー/Predia THALASSO repair shampoo・・・傷んだ髪をいたわりながらなめらかに洗い上げます(甲第10号証)
(オ)MOISTURE SKIN REPAIR Rice Power Extract CREAM/モイスチュア スキンリペア クリーム・・皮膚の水分保持能を改善する薬用保湿クリームです(甲第11号証)
(カ)Arouge WHITE whitening repair cream/アルージェ ホワイトニング リペアクリーム・・・寝ている間にダメージをケア(甲第12号証)
(キ)ダメージケアPROEXクイックオイルリペアトリートメント・・・ロレアル独自の毛髪補修成分セメントセラミドを3倍配合(甲第13号証)
(ク)WELLA REPAIR TREATMENT/ウェラトーン ハイテック リペアトリートメント・・・ヘアカラー前の髪を補修し・・・(甲第14号証)
(ケ)ハーバル リペアトリートメント・・・傷んだ髪の繊維の隙間に、橋を架けるようにして潤いと柔軟性を補います(甲第15号証)
以上のように「リペア」又は「Repair」は、化粧品等について、補修・修復用製品を意味するものとして使用されている。
平成24年6月14日異議決定(甲第16号証)は、「『ダメージリペアシャンプー』、『リペアトリートメント』、『リペアソープ』、『リペアクリーム』、『リペアローション』、『Repair Shampoo』、『REPAIR TREATMENT』、『MOISTURE SKIN REPAIR CREAM』、『Repair Soap』等の如く、商品を示す他の文字と共に用いられて」いることから「『Repair』及び『リペア』の文字が直ちに商品の品質、効能等を表示するものとして認識し理解されるというべきではなく、全体として、一体不可分のものとして認識し把握されるとみるのが自然である。」と述べている。しかし、例に挙げられた「シャンプー」、「トリートメント」、「ソープ」、「クリーム」、「ローション」、「Shampoo」、「TREATMENT」、「CREAM」、「Soap」はいずれも我が国において日常的に使用されている商品名であり、例に挙げられた名称は、ダメージ補修・修復を目的とした商品、すなわち、「ダメージ補修・修復用シャンプー」、「補修・修復用トリートメント」、「補修・修復用石けん」、「補修・修復用クリーム」、「補修・修復用ローション」、「保湿用肌用補修・修復クリーム」等の効能を表した一般名称として使用されていると認識される。
過去の審決例においても「Repair(リペア)」が修復する効果を謳う商品についてその商品の名称や効果・効能の説明として使用されていることが示されている(平成23年4月6日審決-甲第17号証)。
ところで、後記(2)のとおり、引用商標は広く知られた商標であり、本件商標の上段の「Repair」の部分は、指定商品との関係では効能を表示する部分として認識され、商品の出所識別標識としての機能がないことを考えれば、「Lush」部分が自他商品識別標識であると需要者が捉えるのが自然である。つまり、需要者は本件商標から「Lushの補修・修復用商品」を観念すると考えられる。
本件商標下段の「ラッシュリペア」部分についても、片仮名で一連に表記されているものの、「リペア」が一般的に使用されていることから、上記と同様に、需要者は「ラッシュの補修・修復用商品」を観念すると考えられる。
本件商標の構成中、上記に記載のとおり「Repair」又は「リペア」部分は指定商品との関係では効能を表示する部分として認識される。すると、自他識別力のある部分である「Lush」又は「ラッシュ」から「ラッシュ」の称呼を生じる。引用商標はいずれも「ラッシュ」の称呼を生じる。
また、本件商標の要部である「Lush」と引用商標とは外観が類似する。
イ 指定商品の同一性
本件商標の指定商品のうち、石けん類及び化粧品は、引用商標の指定商品と同一であることは明らかである。
ウ 本件商標と引用商標の類似性
「簡易、迅速をたっとぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、1個の商標から2個以上の称呼及び観念が生ずることがあるのは、経験則の教えるところである」(昭和38年12月5日最高裁判所判決-甲第18号証)とされるうえ、本件商標は分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。これは本件商標の上段が「Lush Repair」と分離して表記されていることや被請求人の販売会社であるタマリス株式会社(甲第19号証)の商品紹介ページ及び商品のインターネット掲載ページ(甲第20号証ないし同第22号証)に「ラッシュ リペア」と分離して表記されていることからも明らかである。特に、甲第20号証は、一般名称である“Repair Treatment”の商品群に、“Airy repair”、“Lush repair”、“Emolient repair”及び“Full repair”の4つのリペア商品を掲載している。Repairが補修・修復用の意味として使用されていることは明らかであり、4つの商品を識別するのは、それぞれ、“Airy”、“Lush”、“Emolient”及び“Full”の4語である。
さらに、「Lush」又は「ラッシュ」は請求人の商標として次の(2)記載のとおり、広く認識されている上、本件商標は「Lush」又は「ラッシュ」部分と「Repair」又は「リペア」部分を結合した商標であるところ、結合商標は特許庁の第4条第1項第11号の審査基準においても、「その結合の強弱の程度を考慮する」こととされており、「(6)指定商品について需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字等を結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているものを含め、原則として、その他人の登録商標と類似するものとする。」と記載されている(甲第23号証)。過去の審決例においても「外観について、その構成全体の対比においては相違するものであるが、その出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分について、欧文字部分の文字の綴り等が共通しており、近似した印象を与えるといい得る」とされた例もある(平成23年10月25日審決-甲第24号証)。
つまり、本件商標と引用商標とは、称呼が共通し、外観が紛らわしい類似商標であるといえる。
(2)商標法第4条第1項第10号について
ア 請求人について
請求人は、英国 ビーエイチ 15 1 エイビー ドーセット プール ハイ ストリート 29に所在するラッシュ リミテッド(甲第25号証)に引用商標について通常使用権を許諾し、ラッシュ リミテッドが株式会社ラッシュジャパン(以下「ラッシュジャパン」という。)に通常使用権を再許諾している。
イ ラッシュについて
ラッシュ リミテッドは、ヘアケア・スキンケアのリテールビジネスを行うことを目的として、1994年(平成6年)に英国において設立され、1995年(平成7年)に英国プール市にラッシュ第一号店を開店した(甲第26号証)。現在は、世界49ケ国、約800店舗を展開している(甲第27号証)。
ラッシュジャパンは、平成10年10月1日に設立され、同11年3月4日に、「ラッシュ」及び「LUSH」の標章を付したスキンケア、ボディケア、ヘアケア、浴用化粧品等の商品を販売するラッシュの日本第一号店を東京都目黒区自由が丘に開店した。その後、全国に店舗数を増やし、本件商標の出願日前には店舗数を143店とし、現在は、152店舗を展開している(甲第28号証及び同第29号証)。「ラッシュ」及び「LUSH」の標章を付した商品の売上は、平成21年6月期で118億円、同22年6月期で123億円、同23年6月期で120億円を計上しており(甲第30号証)、株式会社富士経済による同21年のボディケア市場の分析においても、「ライフスタイル提案型ブランド」の代表として「ラッシュ」が取り上げられている(甲第31号証)。
また、平成22年11月27日の日経MJには、SNS(交流サイト)のミクシイにラッシュのコミュニティーがあり、最大の「ラッシュ・ラブ」は11万人が登録していることや、ラッシュジャパンの発行するフリーペーパー「ラッシュタイムズ」が年5回、120万部発行されていること、「ラッシュ」及び「LUSH」の標章を付したラッシュ商品のファン層が厚いこと等を示す記事が掲載されている(甲第32号証)。
さらに、ラッシュ商品やその店舗は、雑誌、新聞、インターネット、テレビ、ラジオ等で多数紹介されており、平成22年1月から同23年3月までの間だけでも1,134件の記事等が掲載されている(甲第33号証)。また、その内容はラッシュ商品の紹介やラッシュ商品愛用者の感想だけでなく、ラッシュジャパンの社会的活動にも及んでおり、「ラッシュ」の名称は広く知られたものとなっている(甲第34号証ないし同第123号証)。
以上のとおり、引用商標と同一及び類似の標章は、本件商標の出願前に日本について請求人が使用許諾しているラッシュジャパンの商品を示すものとして需要者間で広く認識された商標になっている。
ウ 本件商標が引用商標に類似し、その使用される商品が同一であることは上記(1)に記載のとおりである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)に記載したとおり、本件商標と引用商標は類似しており、引用商標は、上記(2)イに記載したとおり、ラッシュジャパンが使用する商標として周知となっていること、被請求人とラッシュジャパンとはいずれも石けん類、化粧品に係る商品を製造・販売していること、本件商標と引用商標の指定商品は一部同一で、その他の商品についても取引者及び需要者が共通していることからも、本件商標の商品は、ラッシュジャパンの商品と誤認される可能性が大きい。
特に、ラッシュジャパンの商品は、「LUSH TIMES」に掲載のように多岐に及び(甲第124号証)、需要者は本件商標が付された商品を見て、ラッシュジャパンの新製品と見誤るおそれがあり、出所の混同を生じるおそれがあるというべきである。
3 むすび
以上のとおり、本件商標登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。

第4 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第27号証を提出した。
1 請求人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効にすべきである旨主張している。
しかし、かかる請求人の主張は、以下に述べるように理由がないものである。
なお、本件商標については、請求人提出の甲第16号証「異議2011-900407号の異議決定の写し」から明らかなとおり、本件審判請求書と同じ「理由」及び「証拠」の下に請求人より「商標登録異議の申立て」がなされるも、「本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。」旨の異議決定が平成24年6月14日付けでなされている。
2 商標法第4条第1項第11号に該当するとの主張について
本件商標と引用商標とは、指定商品を同じくするも、称呼、観念及び外観のそれぞれの点において全く相異する非類似の商標である。
(1)称呼について
本件商標からは「ラッシュリペア」の、引用商標からは「ラッシュ」の自然的称呼を各々生じるものである。
ところで、請求人は、「Repair」「リペア」の文字は「ダメージの補修や修復」等の品質・効能を表示するものであるから、本件商標の要部は「Lush」「ラッシュ」の文字にあり、単に「ラッシュ」の称呼を生じる旨主張している。
しかし、本件商標は、以下の理由により「ラッシュリペア」と一気一連によどみなく称呼されるとするのが極めて自然、かつ、妥当である。
即ち、先ず、本件商標は上記第1に記載のとおり、「Lush Repair」の欧文字と「ラッシュリペア」の片仮名とが上下二段に左横書きされた構成よりなるものであって、本件商標を構成する欧文字及び片仮名は同書体・同大に外観上まとまりよく一体不可分に結合された結合商標である。
次に、本件商標を構成する「Lush Repair」「ラッシュリペア」からは、「緑豊かな修復」「青々とした修復」の如き独特の観念を生じるものである。
さらに、石けん類や化粧品分野における商品の取引社会においては、修理や修復、あるいは修繕等の意味を有する「Repair」「リペア」の文字であっても、これと他の「自他商品識別力を有する文字」とが一体に結合した場合には、結合商標と認定され、結合する他の「自他商品識別力を有する文字」よりなる商標とは非類似のものとして現に登録され、有効に存続しているものである。
かかる判断の妥当性の一例として、以下の商標が、互いに非類似商標として併存登録されている。
ア 「ACTIVE」(登録第1930673号)(乙第1号証)と「ACTIVE REPAIR/アクティブリペア」(登録第4790252号)(乙第2号証)
イ 「スキャン/SCAN」(登録第2153113号)(乙第3号証)と「ScanRepair」(登録第4853383号)(乙第4号証)
ウ 「PRO」(登録第4074685号)(乙第5号証)と「prorepair」(登録第5370810号)(乙第6号証)
エ 「ゴルデン/GOLDEN」(登録第3369524号)(乙第7号証)と「ゴールデンリペア/GOLDEN REPAIR」(登録第5071915号)(乙第8号証)
オ 「VITAL」(登録第4193995号)(乙第9号証)と「VITAL REPAIR」(登録第5318849号)(乙第10号証)
カ 「multi/マルチ」(登録第4219448号)(乙第11号証)と「マルチリペア/MULTIREPAIR」(登録第5045999号)(乙第12号証)
キ 「SIGNS/サインズ」(登録第4490381号)(乙第13号証)と「SIGNSREPAIR/サインズリペア」(登録第5044414号)(乙第14号証)
ク 「ドラマティック/DRAMATIC」(登録第4492454号)(乙第15号証)と「Dramatic Repair/ドラマティックリペア」(登録第4980552号)(乙第16号証)
ケ 「ダイヤモンド/DIAMOND」(登録第4598377号)(乙第17号証)と「ダイヤモンドリペア/DIAMONDREPAIR」(登録第4958349号)(乙第18号証)
もし仮に、請求人主張の如く、「?Repair」「?リペア」の構成文字からなる商標中、「Repair」「リペア」の文字は単に「修理、修復、修繕」等の品質・効能を表示するにすぎないものであるから、商標の要部は他の文字にあるとするなら、併存登録は生じないはずである。
しかし、これらの商標が各々現に登録され、有効に存続する事実は、取りも直さず被請求人主張の妥当性を充分に首肯し得るものである。
さらに付言すれば、異議2007-900265号商標決定公報(乙第27号証)には、「『ラッシュデライト/LUSH DELIGHT』商標は、その構成文字中に『喜ぶ、歓喜』等の記述的印象を与える『デライト/DELIGHT』の文字を有するとしても、その全体構成をもって一体不可分からなる造語商標として認識し把握されるものである。このため、『LUSH』商標及び『ラッシュ』商標とは称呼上非類似の商標である。」旨記載されており、かかる事例からも被請求人主張の妥当性を首肯し得るものである。
してみれば、本件商標は一体不可分に結合された結合商標であり、「ラッシュリペア」と一気一連に称呼されるとするのが極めて自然、かつ、妥当であり、単に「ラッシュ」の称呼を生じるにすぎない引用商標とは称呼上、詳述するまでもなく非類似の商標であること、明らかである。
(2)外観について
上記第1及び第2に記載のとおりの構成よりなる本件商標と引用商標とは、外観上、詳述するまでもなく全く相異するものである。
(3)観念について
本件商標は、その構成文字からして「緑豊かな修復」「青々とした修復」等の如き特有の観念を有するもので、単に「緑が豊か」「青々とした」の如く観念を生じるにすぎない引用商標とは観念上、詳述するまでもなく全く相異するものである。
以上の次第で、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のそれぞれの点において相異する非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではないこと、明らかである。
3 商標法第4条第1項第10号に該当するとの主張について
たとえ引用商標が周知であったとしても、本件商標と引用商標とは、前示の如く全く非類似の商標であって、両者は十分に識別し得る別異の商標である。
したがって、他の要件について詳述するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号の規定に該当するものではないこと、明らかである。
4 商標法第4条第1項第15号に該当するとの主張について
本件商標と引用商標とは、前示の如く全く非類似の商標であって両者は十分に識別し得る別異の商標である。
してみれば、たとえ引用商標が周知であったとしても、本件商標をその指定商品に使用した場合においても、これに接する取引者・需要者が直ちに引用商標を連想・想起せしめるとはとても思えないものであって、その出所について混同を生じるおそれはないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に該当するものではないこと、明らかである。
5 むすび
以上の次第で、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号のいずれの規定にも違反して登録されたものでないこと明らかである。

第5 当審の判断
1 標章「LUSH」、同「ラッシュ」及び別掲に示す標章の周知性について
請求人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下の(1)ないし(7)が認められる。
(1)請求人は、英国法人ラッシュリミテッドに引用商標の通常使用権を許諾している。ラッシュリミテッドは、ヘアケア・スキンケアのリテールビジネスを行う目的で、1994年(平成6年)に設立され、1995年(平成7年)にラッシュ第1号店を英国プール市に開店した。現在、世界49カ国、約800店舗を展開している。
平成10年10月に、日本においてラッシュリミテッドの子会社であるラッシュジャパンが設立された(甲第25号証ないし同第27号証、同第30号証)。
(2)ラッシュジャパンは、平成11年3月、スキンケア用、ボデイケア用、ヘアケア用及び浴用化粧品等の商品を販売する日本における第1号店を東京都目黒区自由が丘に開店して以来、順次、北海道から九州までのほぼ日本全国(一部の県を除く。)に亘り店舗を展開し、本件商標の出願前の同23年3月現在で143店舗、その後、152店舗を展開するに至っている(甲第28号証及び同第29号証)。
なお、ラッシュジャパンの店舗においては、別掲に示す標章(以下「別掲標章」という。)を、店舗表示(店舗名)として使用していることが窺い知れる(甲第70号証、同第104号証)。
(3)「Begin(ビギン)」「MAQUIA(マキア)」「LEON(レオン)」「bea’s up(ビーズアップ)」「PS(ピーエス)」「オレンジページ」「日経MJ」「フジサンケイ ビジネス アイ」「saita(サイタ)」「an・an(アンアン)」「non・no(ノンノ)」ほか、本件商標の出願前の発行に係ると認められる多数の雑誌や複数の新聞には、ラッシュリミテッドあるいはラッシュジャパンに係る商品の紹介記事及び商品の現物写真が継続的に掲載されている(甲第34号証ないし同第123号証)。
そこには、せっけんをはじめ、バスボム(入浴剤)、ボディソープ、スキンケアジェル、リップクリーム、胸元専用クリーム、ヘアークリーム、ボディローション、スクラブ、化粧水ほかの商品についての紹介がされている。
(4)上記(3)の商品の紹介記事においては、引用商標又は「LUSH」に「ラッシュ」の文字を小さく併記した表示をもって、ラッシュリミテッドあるいはラッシュジャパンに係る商品が紹介されている。そして、これら雑誌等に掲載された商品現物の写真をみると、一部を除き、ほとんどの商品の包装(容器)には、「LUSH」の文字が顕著に表された別掲標章が表示されていることが認められる。
(5)ラッシュジャパンの売上は、平成21年6月決算で118億4千7百万円、同22年6月決算で122億7千万円、同23年6月決算で119億8千5百万円であるとされている(甲第30号証)。
(6)株式会社富士経済による平成21年の化粧品国内市場の調査報告によれば、同21年におけるメイクアップの市場は4,781億円、ボディケアの市場は1,121億円であったが、同22年の見込みは、それぞれ4,589億円、1,107億円とされている。そして、平成21年におけるボディケアの市場では、「『ラッシュ』(ラッシュジャパン)などの“ライフスタイル提案型ブランド”が好調を維持し、・・・」とされている(甲第31号証)。
(7)日経MJ(平成22年11月19日刊)には、「ラッシュが重視するのがウェブのダイレクトコミュニケーション。雑誌などのマス媒体を使った広告宣伝は一切せず、・・・。」との記事があり、また、「情報発信では創業以来発行するフリーペーパー『ラッシュタイムズ』が重要なツール。季節の商品紹介・・・様々な特集を盛り込んだ30ページほどの新聞で、・・・。現在は年5回、120万部の発行。ファンの中にはコレクターもいる。」と記載されている(甲第32号証)。
以上を総合してみると、標章「LUSH」、同「ラッシュ」及び別掲標章(以下まとめて「使用商標」という。)は、「ラッシュ」の称呼と共に、本件商標の出願時、我が国において、ラッシュジャパンの取扱いに係る商品を表示する商標として、あるいは、同商品を取り扱う店舗名として、需要者の間で広く認識され周知なものとなっていたと認め得るものである。そして、その周知性は、本件商標の登録査定時にも継続していたと優に推認し得るものである。
2 本件商標と使用商標の類似性の程度
本件商標は、上記第1に記載のとおり、「Lush Repair」の欧文字及び「ラッシュリペア」の片仮名を上下二段に横書きしてなるところ、上段の欧文字部分をみると、「Lush」と「Repair」の間に空白があり、「L」と「R」が大文字であることも相俟って、視覚上、両文字から構成されているものと容易に看取し得るものであり、また、下段の片仮名は、前記欧文字の表音として自然なものである。
そして、「Lush」は、「青々とした。みずみずしい」等の意味を有する英語ではあるけれども、我が国においては、前記意味合いの語として一般に親しまれたものとは認め難いものである一方、「Repair」は、「修復・修理」等の意味を有する英語として親しまれた語であるところ、これらの両欧文字が結合することで、一体的な観念を形成しているとも認められないから、当該標章が常に不可分一体にのみ看取されるとはいえないものである。
さらに、「Repair」の文字は、「(髪や肌の)修復」を意味する効能(品質)表示として、化粧品等について、「・・・Damage Repair ?毛先まで集中ダメージ補修?」との使用例(甲第7号証)が認められ、また、「リペア」が、「リペアトリートメント」「リペアタイプ」「リペアシャンプー」「リペアクリーム」等として用いられている実情(甲第8号証ないし同第15号証)があることを併せみれば、当該「Repair」の文字部分は、商品の効能(品質)表示として理解され、識別性が弱いものというのが相当である。
しかして、本件商標前半部の「Lush」は、視覚上分離独立して看取され得るものである上、使用商標と欧文字綴りを共通にしているものである。
してみれば、本件商標は、その構成中に周知な使用商標と同一性のある標章を含むといい得るものであり、かつ、商品の効能(品質)表示と理解され得る文字「Repair」との組合せであることから、本件商標と使用商標の間には関連付けて看取される要素があり、類似性の程度が低いとはいえないものである。
3 商品の関連性及び需要者の共通性等
使用商標は、上記1のとおり、主に、せっけんや、スキンケア用、ボデイケア用、ヘアケア用及び浴用化粧品に使用されているものである。また、マスカラ、香水などについても使用されているものである(甲第124号証)。
これに対し、本件商標の指定商品には、前記商品と同一又は類似の商品(せっけん類、化粧品)が含まれており、また、その余の指定商品も、前記使用に係る商品とは用途及び需要者等を共通にする商品といえるものである。
してみると、本件商標の指定商品と使用商標が使用されている商品とは、同一又は類似のものを含む関連性の程度が極めて高いものといえる。
4 出所混同のおそれについて
上記1ないし3で述べた使用商標の周知性の程度、本件商標と使用商標の類似性の程度、本件商標の指定商品と使用商標の使用に係る商品の関連性及び需要者の共通性等を総合勘案してみると、本件商標をその指定商品に使用する場合、これに接する需要者は、その構成中の「Lush」の文字及び「ラッシュ」の文字に着目し、かかる部分より、使用商標あるいはラッシュジャパンを想起し連想するというのが相当であるから、当該商品がラッシュジャパン又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く誤信し、本件商標の出願時及び登録査定時において、商品の出所について混同するおそれがあったと判断されるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
5 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その余の無効理由について論及するまでもなく、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(店舗及び商品に表示された標章:色彩は原本参照)



審理終結日 2013-06-06 
結審通知日 2013-06-10 
審決日 2013-06-24 
出願番号 商願2011-26584(T2011-26584) 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (X03)
最終処分 成立 
前審関与審査官 中束 としえ鹿児島 直人 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 村上 照美
大森 健司
登録日 2011-09-09 
登録番号 商標登録第5437798号(T5437798) 
商標の称呼 ラッシュリペア、ラッシュ、リペア 
代理人 中島 正 
代理人 佐藤 恒雄 
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