• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900065 審決 商標
異議2013900080 審決 商標
異議2013900038 審決 商標
異議2013900025 審決 商標
異議2013900053 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X33
審判 全部申立て  登録を維持 X33
審判 全部申立て  登録を維持 X33
審判 全部申立て  登録を維持 X33
管理番号 1277974 
異議申立番号 異議2012-685013 
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-07-24 
確定日 2013-07-01 
異議申立件数
事件の表示 国際商標登録第1086557号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際商標登録第1086557号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第1086557号商標(以下「本件商標」という。)は、「TAYLORS WAKEFIELD」の欧文字を書してなり、2011年3月31日にオーストラリア国においてした商標登録出願に基づくパリ条約第4条による優先権を主張し、2011年(平成23年)6月17日に国際商標登録出願され、第33類「Wines,excluding fortified wines.」を指定商品として、平成24年2月9日に登録査定、同年5月11日に設定登録がされたものである。
2 引用商標
登録第4343263号商標(以下「引用商標」という。)
商標の構成 「TAYLOR’S」(標準文字)
出願日 平成10年12月3日
登録日 平成11年12月10日
指定商品 第33類「甘口ぶどう酒その他の果実酒」
3 登録異議の申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第11号に該当する点について
本件商標の欧文字「TAYLORS WAKEFIELD」は、2つの単語からなるものであり、これらの単語には、一字分の空白があり、しかも全体で16文字からなり極めて冗長であるから、これらの単語が常に一体として認識される必然性はない。
また、「TAYLORS」と「WAKEFIELD」は、この2つの語全体から特定の観念を認識させる可能性は低い。
さらに、「TAYLORS」の語が、視覚上強く訴え、それのみで印象に残りやすい前部に位置している。また、「WAKEFIELD」は、英国の州都の地名であるから(甲38)、これが商品の産地・販売地と考えられ、上記「TAYLORS」の語と比較すると商標としての識別力は弱い。また、ワイン(業界)の場合、自己の製品中の種類を特定する目的で、ハウスマークに他の語を付して使用することがしばしば行われているから、本件商標についても「TAYLORS」の文字がハウスマーク的に認識されて、この語のみをもって商品、ワインの出所が特定されて認識、称呼され取引されることが決して少なくないと考えられる。
さらに、本件商標の全体称呼「テイラーズウェイクフィールド」は、全体で10音(長音を数えれば12音)からなり、極度に冗長であるから、本件商標が常に一体として称呼されるというには無理がある。
したがって、取引上、本件商標は、その構成中、上記「TAYLORS」の文字のみによって、「テイラーズ」とも称呼される場合も決して少なくないといえる。
これに対し、引用商標は、「TAYLOR’S」の欧文字からなるものであるから、「テイラーズ」の称呼を生じることは明らかである。
したがって、本件商標と引用商標は、少なくとも「テイラーズ」の称呼において、類似の商標である。
さらに、本件商標中の「TAYLORS」と引用商標を構成する「TAYLOR’S」とは、「’」の有無の相違にすぎないから、両商標は外観においても類似の商標である。
したがって、本件商標と引用商標は、外観・称呼において類似するので、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号又は同第15号に該当する点について
ア 引用商標の周知・著名性について
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の「TAYLOR’S」(ブランド)ポートワインは、その輸出先の多くの外国のみならず、我が国でも少なくとも、本件商標の指定商品であるワインの業界、その取引者・需要者にとっては、本件商標の出願日以前から周知・著名な商標である。
申立人は、1692年操業の歴史のあるメーカーであり、引用商標「TAYLOR’S」は、最も評価の高いポートワイン・ブランドの1つである(甲11,甲14,甲15)。
我が国において、少なくとも1978年(昭和53年)から継続して輸入・販売され(甲6?甲13)、1996年から2011年までの我が国への輸出量は、甲第36号証のとおりである。
申立人のワインを輸入販売する代理店は、試飲会の開催や広告に努めている(甲21?甲23、甲25、甲27、甲35)。
また、書籍、雑誌、新聞、ブログ・ウェブニュース等により、申立人の引用商標に係るポートワインは、紹介されている(甲5?甲34)。
しかして、引用商標は、本件商標の出願日以前から、申立人のポートワインの商標として、我が国のワインの取引者・需要者に広く認識され、周知・著名であったことは明らかである。
イ 引用商標と本件商標の類似性について(周知・著名性による引用商標の類似範囲の拡大について)
引用商標と本件商標の類似性については、(1)で述べたとおりである。
さらに、本件の場合は、引用商標の著名性のゆえに本件商標中の「TAYLORS」を、引用商標の「TAYLOR’S」と取り違えて認識して、両商標を混同するおそれが高まるといえる。
さらに、引用商標の「TAYLOR’S」は、「TAYLOR」が申立人の略称であり、いわば、ハウスマーク的に使用されているものである(甲13、甲36)。したがって、本件商標が、仮に、「TAYLORS」と「WAKEFIELD」の語が結びつけられて認識される場合があったとしても、その2語全体で申立人のワインの1つの種類を表したものと誤認されるおそれがある。
ウ 引用商標に係る商品は、ワインの一種であり、本件商標の指定商品に類似する。
エ したがって、本件商標がその指定商品に使用された場合、その商品が、申立人の上記周知・著名な商標及びその製品と関連付けられて、当該商品が申立人又はこれに関連する者の業務に係る商品であるかのごとく誤認混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号又は同第15号にも該当する。
(3)商標法第4条第1項第16号に該当する点について
引用商標は、上述したように、商品「ポートワイン」の商標として有名である。
したがって、引用商標と紛らわしい本件商標が、その指定商品「ワイン」に使用されれば、そのワインがあたかも、「ポートワイン」であるかのように商品の品質に誤認を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号にも該当する。
(4)以上述べたように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号又は同第15号及び同第16号に該当するので、その登録は、取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人が引用商標の周知・著名性を立証するものとして提出する甲第5号証ないし甲第36号証及び甲第39号証について検討する。
(ア)甲第5号証ないし甲第13号証は、株式会社講談社発行「世界名酒事典」の1978年発行のものから「2010-11年版」であり、甲第14号証は、株式会社柴田書店が1982年5月に発行した「新版 世界の酒事典」であり、甲第39号証は、株式会社美術出版社が2009年11月に発行した「世界のワイン生産者ハンドブック/著名316生産者と主要アイテムでワインを知る!」であるが、これらに申立人の業務に係る、引用商標を使用したポートワイン(以下「申立人商品」という。)が紹介されていることは認められるものの、これらは、例えば、「世界の名酒事典 1978年発行」(甲5)は、1853点、「世界の名酒事典 ‘84-’85年度版」(甲6)は、4600点というように、いずれも多数の製造元及び商品を網羅して掲載しているものである。
(イ)甲第15号証ないし甲第21号証は、ワインや飲食物に係る雑誌であるが、ポートワインに関する記事の中で申立人商品について記載されているものやワインテイスティングにおいて申立人商品について記載されているものが多く、これらは、申立人商品を中心とする記事ではない。
(ウ)甲第22号証ないし甲第30号証は、申立人商品について記載された新聞記事であるが、甲第22号証及び甲第23号証を除き、申立人商品を中心にした記事ではない。
(エ)そして上記(イ)及び(ウ)に係る甲第15号証ないし甲第30号証の新聞・雑誌等は、平成4年11月から平成24年6月に発行されたものであり、本件商標の出願前に発行されたものは、14回(甲26及び甲27の新聞の発行は、出願後である。)である。
(オ)申立人商品を含むワインの試飲会が、本件商標の出願前である1992年10月27日(甲22)、1998年6月10日(甲23)、2010年6月16日(甲18、甲21、甲25)に開催された。
(カ)甲第31号証ないし甲第34号証は、ポルトガル旅行中に申立人のワイナリーを見学した者や申立人商品を購入した者による個人のブログであり、その記事中には、「テイラー社は、ポートワインの代名詞といわれるくらい有名な存在ですね。」などと記載されているものがある。
(キ)甲第35号証は、MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社のウェブサイト(2012年10月3日打ち出し)であり、同社が扱う17のブランドの一つとして申立人商品が掲載されているものである。
(ク)甲第36号証によれば、我が国に輸出された申立人商品は、2006年1235ケース(ボトル12本入り.以下同じ。)、2007年1365ケース、2008年1420ケース、2009年1290ケース、2010年1040ケースであり、我が国のワインの販売量からすると、極めて少量と推認できるものである。なお、日本に輸出されたポートワイン中、申立人商品の比率は、2010年で見ると5.25%であり、特別品種(SPECIAL CATEGORY)では、26.72%である。
イ 以上よりすると、申立人商品は、1978年以前から継続して我が国において、販売されていることが認められるものの、その販売量もわずかであり、また、申立人商品が紹介された雑誌、新聞等は、前記ア(ア)の書籍を含め、多くはなく、またその内容も他者の多数の商品とともに紹介されているものがほとんどであり、さらに、試飲会による宣伝も1992年から3回開催されたことが認められるにすぎないから、申立人の商品がポートワインの中でも高級品が多いこと、前記ア(カ)のブログ記事の内容を考慮しても、本件商標の出願時に、引用商標が、取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標は、「TAYLORS WAKEFIELD」の文字をまとまりよく一体的に表されてなるものであり、これより生ずる「テイラーズウェイクフィールド」の称呼もよどみなく称呼し得るものである。また、その構成中の「TAYLORS」及び「WAKEFIELD」は、いずれも特定の意味合いを認識させるものではない。
そうとすると、本件商標は、構成全体をもって一体不可分の商標として認識されるものというべきであり、構成中の「TAYLORS」の文字部分のみが識別標識として強く支配的な印象を与えるものであったということはできない。
してみれば、本件商標は、「テイラーズウェイクフィールド」の称呼のみを生じ、特定の観念を生ずるものではないというのが相当である。
なお、この点について、申立人は、「WAKEFIELD」は、地名であって、商標としての識別力は弱い、と主張している。
しかしながら、甲第38号証(コンサイス外国地名事典 第3版)によれば、「Wakefield」は英国の都市名であり、1991年の人口が31.6万人、羊毛工業・鋳鉄業・機械工業が行われる、等として、記載されていることは認められるが、当該都市は、大きな都市ではなく、また、ワインに関する産業が盛んであるというような事情も認められないから、我が国の需要者が「WAKEFIELD」の文字について、当該都市を認識するということはできず、その主張は採用できない。
他方、引用商標は、「TAYLOR’S」の文字からなるものであるところ、これよりは、「テーラーズ」の称呼を生じ、また構成中の「TAYLOR」の文字は、我が国においても欧米の姓の一つとして知られ、後半部の「’S」は、英語の所有格語尾として知られているから、「テーラーさんのもの」程の意味合いを理解させるものである。
そこで、本件商標と引用商標の類否について検討するに、本件商標と引用商標の構成はそれぞれ前記のとおりであるから、明確に区別できるものである。
また、本件商標から生じる「テーラーズウェイクフィールド」の称呼と引用商標から生じる「テーラーズ」の称呼とは、後半部において「ウェイクフィールド」の音の有無の差異があるから、両者を一連に称呼した場合、十分に聴別し得るものである。
さらに、本件商標は、特定の観念を生じないものであるから、引用商標とは、観念において比較できない。
してみれば、本件商標と引用商標は,外観、称呼、観念のいずれにおいても相違し、混同のおそれのない非類似の商標であると認めることができる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号及び同第15号該当性について
前記(1)のとおり、引用商標が、本件商標の出願時に広く認識されていたものとはいえず、また、前記(2)のとおり、本件商標は、特定の意味合いを想起させるものではなく、引用商標とは相紛れるおそれのない別異の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当せず、さらに、本件商標をその指定商品である「ワイン」に使用したとしても、これに接する需要者が、その商品の出所について、申立人又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのように混同を生ずるおそれがあるといえないから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、前記(2)アのとおり、本件商標の需要者をして、特定の意味合い、観念を生じさせるものではないから、これをその指定商品に使用しても、何ら商品の品質について誤認を生ずるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第16号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2013-06-25 
審決分類 T 1 651・ 272- Y (X33)
T 1 651・ 271- Y (X33)
T 1 651・ 252- Y (X33)
T 1 651・ 262- Y (X33)
最終処分 維持  
前審関与審査官 杉本 克治菅沼 結香子 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 内藤 順子
小川 きみえ
登録日 2011-06-17 
権利者 Taylors Wines Pty Ltd
商標の称呼 テーラーズウエークフィールド、テーラーズ、ウエークフィールド 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 藤倉 大作 
代理人 田中 克郎 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 廣中 健 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ