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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900048 審決 商標
異議2013900089 審決 商標
異議2013900077 審決 商標
異議2013900044 審決 商標
異議2013900101 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W35
審判 全部申立て  登録を維持 W35
審判 全部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1277971 
異議申立番号 異議2013-900049 
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-02-15 
確定日 2013-08-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第5535945号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5535945号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5535945号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成24年5月22日に登録出願され、第35類「インターネットその他の電子計算機通信網・電子メールによる広告,広告業,商品の販売又は役務の提供の促進のための景品交換用クーポン券の清算,販売促進のためのトレーディングスタンプ又はポイントカードの発行・清算及び管理,トレーディングスタンプの発行,商品の販売又は営業促進のためのポイント蓄積式カード・割引付き特典カードの加盟店・会員の募集及びその管理,顧客の購買額に応じたポイント数を磁気カード又はホストコンピュータに累積しこれを分析した小売店の商圏調査,市場調査又は分析,カタログによる商品の販売に関する情報の提供,商品の販売に関する情報の提供,経営の診断又は経営に関する助言」を指定役務として、同年10月19日に登録査定、同年11月16日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標が商標法4条1項10号、同15号及び同19号に該当するとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲1?6を提出した。
1 申立人が引用する商標
申立人が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなるものである。
2 商標法4条1項10号該当性について
(1)引用商標の周知性について
申立人は、ブラジルに本拠を置く同国を代表する航空会社であり(甲2)、特に引用商標を用いたマイレージサービスを世界的に展開しており(甲2及び3)、世界各国において、該サービスの利用者を多数獲得している(甲4。審決注:甲5の誤記と思われる。)。
また、引用商標は、世界の多数の国で商標登録されている(甲5。審決注:甲4の誤記と思われる。)とともに、パンフレットや新聞にも掲載され、広く周知されている(甲6)。
以上のように、引用商標は、申立人の提供するマイレージサービス等に使用される商標として、日本を含め、世界的によく知られている。
(2)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標は、別掲(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、欧文字部分についてみれば、「Smile」と「Smiles」であり、単に語尾の「s」の有無の差異のみである。
したがって、両商標における称呼上の相違は、当該差異部分に係る「ズ」の部分にあるのみであって、非常に近似したものであり、また、外観についても、商標の大部分を占める「Smile」の欧文字部分について共通し、さらに、その欧文字に沿うように描かれる半曲線の構成も類似している。
そして、観念についても、両商標は共通するものである。
以上のとおり、両商標は、非常に相紛らわしい類似の商標である。
(3)役務について
引用商標の使用に係る「マイレージサービス」の役務は、本件商標の指定役務中の「商品の販売又は役務の提供の促進のための景品交換用クーポン券の清算,販売促進のためのトレーディングスタンプ又はポイントカードの発行・清算及び管理,トレーディングスタンプの発行,商品の販売又は営業促進のためのポイント蓄積式カード・割引付き特典カードの加盟店・会員の募集及びその管理」と類似の関係にある。
(4)小括
以上のとおり、本件商標は、未登録周知商標である引用商標と類似するものであり、類似の役務について使用されるものであるため、商標法4条1項10号に該当する。
3 商標法4条1項15号該当性について
引用商標は、上記2のとおり、申立人の業務(マイレージサービスの提供等)に使用される商標として、我が国を含め、世界的によく知られているものであって、本件商標と類似するものであるから、本件商標をその指定役務について使用した場合、これに接する需要者は、申立人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法4条1項15号に該当する。
4 商標法4条1項19号該当性について
引用商標は、上記2のとおり、申立人の業務(マイレージサービスの提供等)に使用される商標として、我が国を含め、世界的によく知られているものであって、本件商標と類似するものであり、また、本件商標の構成態様は、引用商標に近似するものである。
してみれば、本件商標は、引用商標と混同を生じさせようとする不正の目的をもって使用をするものと推認される。
したがって、本件商標は、商標法4条1項19号に該当する。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法4条1項10号、同15号及び同19号に該当するものであるから、本件商標の登録は、商標法43条の2第1号により、取り消されるべきである。

第3 当審の判断
1 引用商標の周知性について
申立人は、引用商標が、自己の提供するマイレージサービス等に使用される商標として、我が国を含め、世界的によく知られている旨主張し、甲2?6を提出している。
そこで、上記甲2?6についてみるに、以下の事実が認められる。
(1)甲2は、2013(平成25)年5月13日に紙出力されたフリー百科事典「ウィキペディア」における「ヴァリグ・ブラジル航空」に関する記事であるところ、その内容として「ブラジル最古の国際航空会社、フラッグキャリアとしてかつてはブラジル国内のみならず、南アメリカで長年の間最大規模を誇っていたが、放漫経営が祟り2006年に破産した。2007年3月には・・・ゴル航空に買収され、社名はそのままに経営の回復を進めている。」との記載があり、また、「スマイルズ」の見出しの下、「1994年6月に発足した・・・フリークエント・フライヤー・プログラムは、『スマイルズ(Smiles)』と呼ばれる。」との記載があり、さらに「(審決注:2005年)10月には2006年1月には、13日をもって日本路線(旅客便)から撤退することが発表された。」との記載があるが、引用商標と同一の標章の表示は見当たらない。
(2)甲3は、申立人の主張によれば、引用商標に係るマイレージサービスについての紹介等を内容とする資料とされるものであるところ、該資料は、すべて外国語で記載されたものであり、また、いつの時点における内容のものであるかを特定し得る表示は見当たらない。
さらに、上記資料中には、引用商標とほぼ同一の標章の表示が見受けられる。
(3)甲4は、申立人の主張によれば、引用商標の各国等における登録状況を示す資料とされるものであるところ、該資料によれば、主に国際分類の第35類又は第36類に属する役務について、引用商標とほぼ同一の標章が出願又は登録されている(一覧リストには、40件程。)ことがうかがえる。
(4)甲5は、申立人の主張によれば、引用商標に係るマイレージサービスの利用者数とされるものであるところ、該資料は、コンピュータ画面上に表示されたデータ一覧表及び該一覧表を拡大したものを紙出力したものであり、該一覧表には、「Japan」を含む25の国名と、各国ごとの利用者数とされる数字(「Japan」欄には、「60,869」。)が表示されている。
そして、上記資料の右下隅には、引用商標とほぼ同一の標章が表示されており、また、該標章の上方には、「12/04/2013」の表示があるものの、上記一覧表に表示のデータが、いつの時点における内容のものであるかを特定し得る表示は見当たらない。
(5)甲6は、申立人の主張によれば、引用商標に係るパンフレット等の写しとされるものであるところ、14枚目(表紙)及び15枚目(内容)の2枚の日本語のもの以外は、すべて外国語で記載されたものであり、また、日本語のパンフレットは、いつの時点における内容のものであるかを特定し得る表示は見当たらない。
そして、上記2枚の日本語で記載されたものは、引用商標とは異なる構成態様からなる「Smiles」の欧文字(筆記体)の標章や「スマイル*」の表示があるにとどまり、引用商標と同一といえる標章の表示は見当たらない。
(6)上記(1)?(5)によれば、申立人は、ブラジル最古の国際航空会社であって、南米で最大規模を誇った時期もあったが、2006年に破産し、その後、2007年3月にゴル航空に買収され、現在に至っているものであり、我が国への路線は、2006年1月中旬ころには、すべて廃止されているものと推認できる。
また、申立人が、我が国において、引用商標を使用して、自己の提供に係るマイレージサービス等を積極的に広告宣伝するなどした事実は、全証拠によっても見いだせない。
さらに、申立人は、複数の国等において、引用商標とほぼ同一の標章を主に国際分類の第35類及び第36類に属する役務を指定して出願をし、又は登録を受けているものの、これをもって引用商標が申立人のマイレージサービス等の商標として、我が国又は外国の需要者間に広く認識されていることの根拠にはならないものであって、そもそも、各国等における登録商標の保有と商標の周知性とは、一致するものではない。
してみれば、申立人の提出に係る甲各号証によっては、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務(マイレージサービス等)を表示するものとして、我が国又は外国の需要者間に広く認識されているものとは認めることができないものであり、ほかにこれを認めるに足る事情も見当たらない。
2 本件商標と引用商標との類似性について
本件商標と引用商標とは、それぞれ別掲(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、外観においては、文字部分における末尾の「s」の有無のほか、本件商標における中央に位置する図形部分は、一見して人の顔を表したものと容易に認識し得るのに対し、引用商標は、文字と劣弧の結合を認識させることから、両商標は、外観上互いに区別し得るものである。
また、称呼及び観念においては、本件商標からは、顔部分の口に相当する部分の口角が笑顔を作るように上がっていること、文字部分における「sm」と「le」の間に位置する鼻に相当の部分が「i」を認識させること、これらがあいまって全体として「スマイル」の称呼及び「笑顔」の観念を生ずるものである。
他方、引用商標は、その構成中の文字部分から、「スマイルズ」の称呼及び「笑顔」の観念を生ずること明らかである。
そこで、本件商標から生ずる「スマイル」と、引用商標から生ずる「スマイルズ」の両称呼を比較すると、両者は、「スマイル」の各音を共通にし、異なるところは、語尾に位置する「ズ」の音の有無の差異のみであって、称呼上、互いに紛らわしいものといわざるを得ない。
また、観念においては、両商標とも「笑顔」の観念を共通にするものである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、外観上の差異を有するとしても、称呼及び観念において類似するものであるから、これらを総合考慮した場合、全体として類似する商標というのが相当である。
3 本件商標と引用商標の両役務の類似性について
引用商標の使用に係る「マイレージサービス」の役務とは、航空会社が顧客獲得のために供するサービスの一つであって、自社便を利用する客に対し、累積搭乗距離に応じて特典を提供することであるから、本件商標の指定役務中の「商品の販売又は役務の提供の促進のための景品交換用クーポン券の清算,販売促進のためのトレーディングスタンプ又はポイントカードの発行・清算及び管理,トレーディングスタンプの発行,商品の販売又は営業促進のためのポイント蓄積式カード・割引付き特典カードの加盟店・会員の募集及びその管理」とは、その役務の質及び提供の方法、提供の用途等において互いに類似の関係にあるものというのが相当である。
4 商標法4条1項10号該当性について
上記2及び3において認定したとおり、本件商標と引用商標は、互いに類似し、かつ、互いの役務も類似するものであるとしても、上記1で認定したとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、申立人の業務に係る役務(マイレージサービス等)を表示する商標として、我が国の需要者間に広く認識されていたとは認めることができないものである。
したがって、本件商標は、商標法4条1項10号に該当しない。
5 商標法4条1項15号該当性について
本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、申立人の業務に係る役務(マイレージサービス等)を表示する商標として、我が国又は外国の需要者間において広く認識されていたとは認めることができないものであることに加え、本件商標は、英語の成語である「Smile」の文字をベースにその意味合いである笑顔をイメージした図形を加えて全体を一体化した印象を受けるものであり、「Smile」の文字自体は、一般に親しまれた平易な成語であって、その独創性が高いものとはいえないものであること、さらに商標の外観の印象が異なることを併せ考慮すると、本件商標をその指定役務に使用しても、需要者をして、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その役務と出所の混同を生じさせるおそれはないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条1項15号に該当しない。
6 商標法4条1項19号該当性について
本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、申立人の業務に係る役務(マイレージサービス等)を表示する商標として、我が国又は外国の需要者間において広く認識されていたとは認めることができないものである上、申立人の提出に係る証拠を総合考慮しても、本件商標が不正の目的をもって使用をするものと認めるに足る事実を見いだすことはできない。
したがって、本件商標は、商標法4条1項19号に該当しない。
7 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法4条1項10号、同15号及び同19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(1)本件商標



別掲(2)引用商標 (色彩については、原本参照)




異議決定日 2013-08-13 
出願番号 商願2012-40543(T2012-40543) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W35)
T 1 651・ 25- Y (W35)
T 1 651・ 222- Y (W35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 飯田 亜紀 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 田中 敬規
梶原 良子
登録日 2012-11-16 
登録番号 商標登録第5535945号(T5535945) 
権利者 株式会社アウターワークス
商標の称呼 スマイル 
代理人 秋元 輝雄 

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