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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y42
管理番号 1277822 
審判番号 取消2012-300731 
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-09-13 
確定日 2013-07-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第5023859号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5023859号商標の指定商品及び指定役務中、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5023859号商標(以下「本件商標」という。)は、「ブロマガ/BlogMag」の文字を横書きしてなり、平成18年4月12日に登録出願、第9類、第35類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同19年2月9日に設定登録され、現に有効に存続するものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成24年10月3日にされているものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べている。
1 請求の理由
被請求人は、本件商標を、その指定役務中の第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」について、継続して3年以上日本国内において使用していない。
また、本件商標について、専用使用権者は存在せず、通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。
したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、上記指定役務につき使用されていないものであるから、商標法第50条第1項の規定に基づき、上記指定役務についての登録を取り消すべきものである。
2 弁駁の理由
被請求人の答弁は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において登録商標の使用をしていることの証明とはなりえず、また、被請求人の主張は、不使用についての正当な理由によるものでもない。以下に反論する。
(1)商標法第50条の趣旨について、「産業財産権法逐条解説」(第19版)には、「二項は取消請求に係る商標登録の取消を免れる場合を規定しており、被請求人が使用の事実を証明し、または不使用についての正当な理由があることを明らかにしない限り、商標登録の取消を免れない旨を明文化することによって被請求人が挙証責任を負担することを明らかにしている。また、不使用期間の算定の起算点についても、審判の請求の登録の時であることを明定した。被請求人が使用の事実を証明する場合に、取消請求に係る指定商品(役務)の全てについて使用の事実を証明しなければならないこととすれば、その証明に要する手数が大変になるだけでなく、審判の迅速な処理も困難となり、また審判の請求人は自分で必要とする指定商品(役務)だけについて取消請求をすべきであると考えられるので、被請求人は、取消請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての使用の事実を証明すれば足りることを明らかにしている。このことは、不使用についての正当な理由についても同様である。ここでいう『正当な理由』としては、例えば、その商標の使用をする予定の商品の生産の準備中に天災地変等によって工場等が損壊した結果その使用ができなかったような場合、時限立法によって一定期間(三年以上)その商標の使用が禁止されたような場合等が考えられる。」(「産業財産権法逐条解説」第19版第1461頁)と記載されている。
(2)本件商標は、本件審判の請求の登録日である平成24年9月13日(審決注:「平成24年10月3日」の誤記と認められる。)を起算点として3年の間に使用をされている必要がある。
しかしながら、答弁理由3及び5より、被請求人は、起算点から3年以上前の平成21年5月31日にレンタルサーバ契約を解除しており、その後、本件商標を用いたサービスの再開をすることなく、平成23年6月に東京地方裁判所に自己破産を申し立て、同月22日に破産手続開始決定を受け、その後本件商標を使用した事実はない、と答弁している。
よって、被請求人は、平成21年5月31日以降において、本件商標を用いたサービスを行っていないことから、本件商標を3年の間に使用をした事実はなく、被請求人の答弁からは使用の立証は得られないと認められるものである。
(3)なお、被請求人は、答弁理由4において、本件商標を用いたサービスを再開する予定であったため、レンタルサーバ内のデータを取り出し、被請求人内部のコンピュータでデータとプログラムを管理し、バージョンアップを含むプログラムの修正作業を続けていた、と主張しているが、この使用態様では本件商標を使用していたものとは認められない。
なぜならば、被請求人は、本件商標を用いた「ブロマガ」のサービスを再開する予定であったため、上記の修正作業を継続していたが、その後、サービスを再開することなく、また、使用した事実もないことから、レンタルサーバ契約の解除後においても、被請求人は、他人に役務を提供するために本件商標を使用するとの実体が全くないからである。
すなわち、「産業財産権法逐条解説」(第19版)には、「役務に係る商標の『使用』については、役務が無形の財であり、直接標章を付することができないため、有形物を介して『使用』されることとなること、また、需要者の目に触れることにより自他役務の識別標識として機能し得るものを『使用』とすべきこととの考え方によりこれを定義したものである。」(「産業財産権法逐条解説」第19版第1263頁)と記載されているように、被請求人の内部に存するコンピュータにおける修正作業では、役務に対する使用とは認められず、また、需要者の目に触れることにより自他役務の識別標識として機能し得るものを「使用」とするとの考え方に合致しないからである。
また、被請求人は、プログラムの修正作業を継続していたと述べているが、そのことを示す具体的な証拠すらも提出してはいない。
(4)また、被請求人が証拠方法として提示した乙第1号証ないし乙第3号証は、いずれもレンタルサーバ契約解除までのものであり、その後については具体的な使用の証拠を提示していないため、この点からも本件商標を本件審判の請求の登録の時から3年の間に使用をした事実はなく、使用の立証は得られない。
(5)以上より、被請求人による答弁によっては、本件商標の使用は全く認められない。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出している。
1 被請求人は、平成19年1月11日、本件商標を用いて「ブロマガ」のサービスを提供するため、株式会社クララオンライン(以下「クララオンライン」という。)との間で、レンタルサーバの契約を結んだ(乙第1号証)。
「ブロマガ」とは、ブログとメールマガジンを融合したサービスであり、「ブロマガ」の利用者は、ブログを開設すると共に、メールマガジンを発行してブログの読者に送信することができる。
被請求人は、「ブロマガ」のプログラム作製を株式会社ヌーラボ(以下「ヌーラボ」という。)に外注していた(乙第2号証)。
2 また、被請求人は、平成19年1月ころ、さくらインターネット株式会社(以下「さくらインターネット」という。)との間でもレンタルサーバの契約を締結し、「ブロマガ」のサービス提供を始めた。
3 「ブロマガ」の利用者は順調に伸びていったが、被請求人の内部で様々なトラブルが発生した(後日破産申立をする原因となった。)ため、被請求人は、「ブロマガ」のサービスを一旦停止することとした。
被請求人は、平成21年5月31日、クララオンラインとのレンタルサーバ契約を解除し、同日、さくらインターネットとのレンタルサーバ契約も解除した(乙第3号証)。
4 被請求人は、会社を建て直した後に「ブロマガ」のサービスを再開する予定であったので、上記レンタルサーバ内のデータを取り出し、被請求人内部のコンピュータで同データと「ブロマガ」のプログラムを管理し、プログラムの修正(バージョンアップを含む。)作業を続けていた。
5 しかし、被請求人は、「ブロマガ」のサービスを再開することなく、平成23年6月、東京地方裁判所に自己破産を申し立て、同月22日に破産手続開始決定を受けた。
被請求人が、破産手続開始後に本件商標を使用した事実はない。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及びその提出に係る証拠について
(1)被請求人の提出に係る証拠によれば、被請求人は、2007年(平成19年)1月11日に、クララオンラインとレンタルサーバ契約を締結したこと、同契約における契約ホスト名は「www.blog-mag.jp」、契約ドメイン名は「blog-mag.jp」とされていること、2006年(平成18年)1月15日に、ヌーラボにより、「ブロマガ システム」に係る「サーバ環境設定書」が作成されたこと、2009年(平成21年)5月31日付けで、クララオンライン及びさくらインターネットとのレンタルサーバ契約が解約されたこと、などが認められる。
しかしながら、これらは、いずれも本件審判の請求の登録(平成24年10月3日)前3年以内における事実を示すものではなく、しかも、被請求人のいう「ブロマガ」のサービスが、本件商標を使用して、他人に対し実際に提供されていたことを具体的に示す証拠はない。
(2)被請求人は、平成21年5月31日に上記レンタルサーバ契約を解約し、それまで提供していた「ブロマガ」のサービスも停止したが、同サービスを再開する予定で、「ブロマガ」のプログラムの管理・修正の作業を続けたものの、同サービスを再開することなく、同23年6月に自己破産を申し立て、破産手続開始決定を受けた旨、及び破産手続開始後に本件商標を使用した事実はない旨主張している。
しかしながら、上記「ブロマガ」サービスの提供は、本件審判の請求に係る「電子計算機用プログラムの提供」の範ちゅうに属する役務とみる余地があるとしても、該請求の登録前3年以内の期間よりも前に停止されていたばかりでなく、その停止後に、「ブロマガ」のプログラムの管理・修正の作業を継続していた事実及び本件商標を使用していた事実を具体的に示す証拠はない。仮に、上記プログラムの管理・修正の作業が行われていたとしても、それは上記「ブロマガ」サービスの再開を前提とするものであり、専ら被請求人内部において、自己のために行われていたものというべきであって、他人のために提供する労務又は便益であって独立して商取引の対象となるものをいう商標法上の「役務」とはいい難いものである。
そして、上記「ブロマガ」サービスは再開されることなく、被請求人は、平成23年6月に破産手続開始決定を受けたほか、破産手続開始後に本件商標が使用されたことはない、と答弁しているのであるから、本件審判の請求の登録前3年以内に上記「ブロマガ」サービスが提供されていないことはもとより、本件商標の使用もされていなかったものといわざるを得ない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを明示的かつ具体的に主張、立証していない。
2 むすび
以上のとおり、被請求人の提出に係る証拠によっては、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に請求に係る指定役務について使用されていたものとは認められず、また、その使用がされていないことについて正当な理由があるものとも認められない。
その他、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に請求に係る指定役務について使用されていることを認めるに足る証拠はない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、「結論掲記の役務」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-05-21 
結審通知日 2013-05-24 
審決日 2013-06-04 
出願番号 商願2006-38345(T2006-38345) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y42)
最終処分 成立  
前審関与審査官 村上 照美土井 敬子 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 田中 敬規
梶原 良子
登録日 2007-02-09 
登録番号 商標登録第5023859号(T5023859) 
商標の称呼 ブロマガ、ブログマグ 
代理人 伊藤 儀一郎 

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