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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X0531
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X0531
管理番号 1277816 
審判番号 不服2012-18633 
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-09-24 
確定日 2013-07-16 
事件の表示 商願2010-85163拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙」及び第31類「ペットフード,飼料,飼料用たんぱく」を指定商品とし、平成22年11月1日に立体商標として登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、円筒形状の円形部上面に、犬または猫の足跡と思しき形状を凸起させてなる立体形状よりなるところ、これをその指定商品中『薬剤』、とりわけ『錠剤』との関係において、その上面に簡単な線や図形を打刻または凸起させることは特別特異なことではなく、その商品の美観をより発揮させるために施されたものといえるものであるから、本願商標をその指定商品中『錠剤』について使用するときは、これに接する需要者・取引者は、単に商品の形状を表したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては機能し得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
立体商標における商品等の立体的形状
商標法は、商標登録を受けようとする商標が、立体的形状(文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合との結合を含む。)からなる場合についても、所定の要件を満たす限り、登録を受けることができる旨規定する(商標法第2条第1項第5条第2項)。しかしながら、立体商標における商品等の立体的形状は、以下の理由により、通常、自他商品の識別機能を果たし得ず、商標法第3条第1項第3号に該当するものと解される。
(ア)商品等の形状は、多くの場合、商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品等の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって、商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。このように、商品等の製造者、供給者の観点からすれば、商品等の形状は、多くの場合、それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの、すなわち、商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また、商品等の形状を見る需要者の観点からしても、商品等の形状は、文字、図形、記号等により平面的に表示される標章とは異なり、商品の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し、出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。
そうすると、商品等の形状は、多くの場合に、商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり、客観的に見て、そのような目的のために採用されると認められる形状は、特段の事情のない限り、商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、同号に該当すると解するのが相当である。
(イ)また、商品等の具体的形状は、商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるが、一方で、当該商品の用途、性質等に基づく制約の下で、通常は、ある程度の選択の幅があるといえる。しかし、同種の商品等について、機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば、当該形状が特徴を有していたとしても、同号に該当するものというべきである。
(ウ)さらに、需要者において予測し得ないような斬新な形状の商品等であったとしても、当該形状が専ら商品等の機能向上の観点から選択されたものであるときには、商標法第4条第1項第18号の趣旨を勘案すれば、商標法第3条第1項第3号に該当するというべきである。
イ 本願商標について
本願商標は、立体商標として登録出願されたもので、別掲のとおり、上部円形面を下部円形面よりやや小さくした、扁平な円筒に見える立体的形状であり、その上部円形部分の全面に、5つの大きさの異なる凸状の略楕円形の装飾を施してなるものである。
ウ 指定商品「薬剤」との関係について
本願の指定商品中の薬剤に用いられる錠剤の形状は、円筒や楕円体が一般的であるが、多角形等の特徴的な形状の商品も複数あり、また、錠剤の表面に図形が施されているものも多い。さらに、錠剤の中でも、噛むことができ、水なしで服用できるチュアブル錠については、特段、噛まずに飲み込みやすい形状にする必要もなく、美感や購買意欲を高めるために、様々な形状へ加工され得るものである。
これらについては、原審摘示の例も含め、以下のインターネット情報(いわゆる健康食品に係るものも含む。)においても明らかである。
(ア)錠剤について、様々な形状の商品が製造(加工)、販売されている例
a 株式会社アイ・メディカルのウェブサイトにおいて、錠剤で加工可能な形状について、「三角型」、「円形」、「ハート型」等の形状が記載されている。
(http://www.newmagazine.ne.jp/zbk-aimedical.htm)
b 清光薬品工業株式会社のウェブサイトにおいて、錠剤で加工可能な形状について、「三角型」、「フットボール型」等の形状が記載されている。
(http://www.seiko-yakuhin.co.jp/jutaku/tablet.html)
c 日本タブレット株式会社のウェブサイトにおいて、錠剤に打刻可能な図形等、及び錠剤で加工可能な形状について、「三角形」、「四角形」、「ラグビーボール」、「八角形」、「六角形」等の形状が記載され、特殊形状の錠剤の金型が各種あることが記載されている。
(http://www.j-tab.com/orignal.html)
d ケイエスティのウェブサイトにおいて、栄養補助食品の「子供用天然マルチビタミン LIFE STYLE」の商品(チュアブル錠)の形状は、ネコやイヌ等の動物形の立体的形状である。
(http://homepage2.nifty.com/keiesuty/lifestyle-kidsmv.html)
e オルビス株式会社のウェブサイト「空いろラジオ」における同社商品開発部担当者へのインタビュー記事において、栄養補助食品のデザインにつき「噛んで美味しく食べられる商品は、デザインにもこだわっているんです。ビタミンCはレモンの形、鉄分を配合したストロベリー味のサプリにはいちごのデザインがタブレットに施してある」旨の発言がある。
(http://sorairo.orbis.co.jp/articles/526)
(イ)錠剤の表面に図形が施されている例
a 「くすりのしおり」と称するウェブサイトにおいて、睡眠導入剤の「エバミール錠1.0」の商品(錠剤)の形状は、扁平な円筒形状の円形部分の片面に、それよりもやや小さい大きさで六角形の図形と、その内部に「C F」の文字が施されている。
(http://www.rad-ar.or.jp/siori/kekka.cgi?n=9341)
b 上記aのウェブサイトにおいて、感染症治療薬(抗生物質)の「シンクル錠250」の商品(錠剤)の形状は、扁平な円筒形状の円形部分の片面に、それよりもやや小さい大きさで、内部を三つ叉状の線で3つに区切られた円図形が施されている。
(http://www.rad-ar.or.jp/siori/kekka.cgi?n=6480)
c 「ここカラダ」と称するウェブサイトにおいて、生菌整腸剤の「ミヤBM」の商品(錠剤)の形状は、円筒形状の円形部分の片面に、それよりもやや小さい大きさで半円状の図形と、その半円の途切れた部分に「M」の文字が施されている。
(http://www.cocokarada.jp/medicine/rx/2316009F1022/index.html)
d MSD株式会社のウェブサイトにおいて、骨粗鬆症治療薬の「フォサマック錠5」の商品(錠剤)の形状は、扁平な円筒形状の円形部分の片面に、それよりもやや小さい大きさの円形のくぼみの中央に、骨の図形が凸状に施されている。
(http://www.msd.co.jp/hcp/product/osteoporosis/Pages/fosamac.aspx)
(http://www.msd.co.jp/hcp/productinfo/agent/PublishingImages/fosamac_tab5/photo/new/new_img_001_l.jpg)<製品拡大図>
e 大正富山医薬品株式会社のウェブサイトにおいて、「マリレオンN錠5mg」の商品(錠剤)の形状は、扁平な円筒形状の円形部分の片面に、それよりもやや小さい大きさの六角形のくぼみの中央に、「T」の文字が凸状に施されている。
(http://medical.taishotoyama.co.jp/data/youran/htm/mrl-t5/photo.htm)
(http://medical.taishotoyama.co.jp/data/youran/picture/seizai/mrl-t5.jpg)<製品拡大図>
f グラクソ・スミスクライン株式会社のウェブサイトにおいて、駆虫剤「エスカゾール」の商品(錠剤)の形状は、扁平な円筒形状の円形部分の両面の中央に、五角錐が凸状に施されている。
(http://gsk-vintage.jp/product/product_001.html)
(http://glaxosmithkline.co.jp/medical/medicine/item/eskazole_tab/eskazole_tab.pdf)<添付文書>
(http://glaxosmithkline.co.jp/medical/medicine/item/eskazole_tab/eskazole_tab-img.html)<製品拡大図>
エ 小活
以上のとおり、錠剤については様々な形状があり得るものであること、本願商標の形状は、錠剤の形状としては一般的である扁平な円筒形状の上面に5つの大きさの異なる凸状の略楕円形の装飾を施してなるにすぎないものであることを総合的に勘案すれば、これら5つの略楕円形全体で犬の足の裏の肉球を模したものと見える場合があるとしても、その程度の特徴は、指定商品の機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものというのが相当である。
そうとすれば、本願商標をその指定商品中「薬剤」に使用しても、取引者・需要者は、単に商品の形状を表示するにすぎないものとして理解するに止まり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当する。
なお、請求人は、過去の登録例や審決例、判決例を挙げ(甲第1号証ないし甲第8号証)、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、本願商標が、自他商品の識別標識としての機能を果たすものであるか否かは、本願商標自体の具体的な構成とその指定商品との関係から、審決時において、指定商品の取引の実情等を考慮して個別かつ具体的に判断されるべきものであって、他の商標登録の事例の存在等によって、本件の判断が左右されるものではない。
よって、請求人の主張は採用することができない。
(4)商標法第3条第2項該当性について
請求人は、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備すると主張し、証拠方法として、甲第9号証ないし甲第21号証を提出している。
ところで、立体的形状からなる商標が使用により自他商品識別力を獲得したかどうかは、当該商標ないし商品等の形状、使用開始時期及び使用期間、使用地域、商品の販売数量、広告宣伝のされた期間・地域及び規模、当該形状に類似した他の商品等の存否などの事情を総合考慮して判断するのが相当である。そして、使用に係る商標ないし商品等の形状は、原則として、出願に係る商標と実質的に同一であり、指定商品に属する商品であることを要するというべきである。
そこで、以上の観点を踏まえて、本願商標が商標法第3条第2項に該当するか否かについて検討する。
本願商標と請求人が実際に使用している商品(甲第9号証資料5)(以下「使用商品」という。)の形状には、着色の有無や略楕円形中の「7」と「5」の刻印の有無などの相違はあるが、円筒に見える立体的形状の上部円形部分の全面に、5つの大きさの異なる凸状の略楕円形の装飾を施してなる点において、主たる構成の軌を一にしているから、両者は実質的に同一であるといえる。また、使用商品は本願の指定商品中「薬剤」に属するものと認められる。
そして、平成23年3月末の販売開始から同年6月までの使用商品の売上は約4億円であり、先発製剤であるモキシデック錠の売上に比肩するものであったと認められる(甲第9号証、同資料4)。
しかしながら、審決時における本願商標の使用期間は、約2年3箇月であって決して長いものということはできず、使用商品の販売数量、広告宣伝のされた期間、方法及び実績等についての客観的裏付けもないことから、本願商標の使用の状況を示すものとしては不十分であるといわざるを得ない。
しかも、使用商品が封入された包装箱及び使用商品に係る販売用パンフレットには、請求人の登録商標である「モキシハートタブ」の文字を含む「モキシハートタブKS」の文字は表示されているものの、使用商品の形状に係る記載又は写真の掲載がされていないことからすれば(甲第9号証、同資料1、同資料2)、これら包装箱やパンフレットに接した者が、使用商品の形状をもって、商品の出所表示として認識するとはいえない。
そして、請求人の東京研究所長による、「ユニークかつ独創的な犬の足形(肉球形)の錠剤=モキシハートタブKSとして強く連想され、ユーザーに当社の立体商標であると広く認知されている」旨の陳述は、請求人の内部の関係者によるものであり、かつ、甲第9号証に添付された資料1ないし資料5から、かかる陳述の内容を客観的に裏付ける事実を見出すこともできない。そうすると、使用商品の形状が、請求人の立体商標として需要者に広く認知されているということはできない。
また、動物病院の獣医師等による陳述書は、予め定型文が記載された用紙に日付と陳述者の住所及び名称を記入並びに押印するだけのものであり、また、陳述者が12名にとどまる上に、その住所地も一部地域に偏っているから、これらをもって、直ちに本願商標が請求人の立体商標として動物用医薬品業界において広く知られているとはいい難い。
してみれば、請求人の提出した証拠を総合して勘案しても、本願商標が、使用商品について使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとは認められない(このことは、本願の指定商品が「主たる賦形剤として牛肉を使用したチュアブル状の動物
用薬剤」に補正されても同様である。)。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものとい
うこともできない。
(5)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、本願を拒絶した原査定を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標)




審理終結日 2013-05-23 
結審通知日 2013-05-24 
審決日 2013-06-04 
出願番号 商願2010-85163(T2010-85163) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X0531)
T 1 8・ 17- Z (X0531)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 飯田 亜紀 
特許庁審判長 村上 照美
特許庁審判官 梶原 良子
冨澤 武志
代理人 赤津 悌二 
代理人 西口 克 
代理人 田辺 稜 
代理人 浜田 治雄 
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