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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900177 審決 商標
不服20134396 審決 商標
不服2012650094 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 登録しない X11
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X11
管理番号 1277815 
審判番号 不服2012-12337 
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-06-29 
確定日 2013-07-16 
事件の表示 商願2011-67413拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「4S」の数字及び欧文字を標準文字で表してなり、第11類「原子炉」を指定商品として、平成23年9月20日に登録出願されたものである。

2 原査定における拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、商品の品番、等級等を表示する記号、符号として、商取引上、一般に広く用いられている数字及び欧文字の組合せの一類型といえる『4S』を標準文字で表してなるものであるから、本願の指定商品に係る取引が極めて特殊な範囲のものであるとしても、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標にすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第5号該当性について
本願商標は、「4S」の数字及び欧文字を標準文字で表してなるところ、これに接する者をして、容易に数字の「4」と欧文字「S」の1字とを組み合わせてなるものと看取、理解されるものであって、一般に、数字と欧文字1字とを組み合わせたものが商品の型式・品番・種別等を表すための記号・符号として広範かつ類型的に使用されていることからすれば、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなるものと認められる。
また、商標法第3条第1項第5号の適用にあたり、「ありふれた標章」に該当するか否かについては、必ずしもその指定商品との係わりを要しないと解されているところ(東京高等裁判所昭和48年(行ケ)第132号、昭和49年6月26日判決参照)、請求人は、原審における平成24年2月27日受付の意見書において、本願の指定商品「原子炉」の特殊性、需要層が極めて限定されることを考慮すれば、本願商標が同号に該当しないことは明らかである旨主張しているが、その理由を具体的に述べておらず、また、商品「原子炉」について、数字と欧文字1字とを組み合わせたものが商品の型式・品番・種別等を表すための記号・符号に当たらないとすべき特段の事情も認められないものであるから、請求人の上記主張は、採用することができない。
なお、当審は、請求人に対し、本願商標が商標法第3条第1項第5号に該当しないとする具体的な理由を詳細に説明するよう意見を求めたが、その後、相当の期間を経過するも、請求人は、何ら意見を述べていない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。
(2)商標法第3条第2項に係る主張について
請求人は、審判請求書において、本願商標が、請求人により、その指定商品「原子炉」について独占的に使用された結果、請求人の業務に係るものとして、需要者に広く認識されているものであるから、本願商標については、商標法第3条第2項を適用して登録すべきである旨主張するとともに、資料1ないし資料20及び平成24年12月11日受付の手続補正書に添付された追加資料(以下「資料21ないし資料23」という。)を提出している。
そこで、検討するに、提出された資料によれば、請求人(出願人)は、電力中央研究所と共に、「4S炉」と称されるナトリウム冷却小型高速炉の開発を進めており、「4S炉」は、建設時に充填された核燃料を廃炉まで交換することなく、その燃料の寿命とされる30年間にわたり発電し続けることができるため、安全性、核拡散抵抗性、保全性に優れているとされ、2006年に対米輸出許可を取得し、その後、米原子力規制委員会(NRC)における事前審査・本審査のための申請手続等を行っており、2016年ないし2017年の初号機の運転開始を目指していること(資料1ないし資料3及び資料9)、日本原子力学会「2009年春の年会(2009年3月23日ないし25日)」、同「2010年春の年会(2010年3月26日ないし28日)」、同「2011年秋の大会(2011年9月19日ないし22日)」及び同「2012年春の年会(2012年3月19日ないし21日)」において請求人が「4S炉」に関する技術内容を紹介するために配布したとされる論文(資料4ないし資料8、資料10ないし資料20)並びに請求人が「日経ビジネス」、「日経新聞」、「読売新聞」及び「週刊ダイヤモンド」に掲載したとされる請求人の原子力事業を紹介する広告(資料21及び資料23)に、「4S炉」に関する説明の記述が含まれていることが認められる。
しかしながら、上記請求人の提出に係る各資料からは、「4S炉」の実機について、譲渡、輸出等が行われた事実は認められず、また、論文については、2009年ないし2012年の間の年会等(4回)において「4S炉」に関する技術紹介等がされたことをうかがい知ることができるにとどまり、さらに、広告については、請求人の原子力事業全般を紹介するものの一部において、「一方、たとえばアラスカなどの遠隔地における電源に適した小型高速炉『4S』(10MW)も開発。この『4S』は、30年間燃料交換不要で核不拡散性の観点からも高い安全性を実現しています。」の記載と「4S炉」の小さな絵図の掲載がされているにすぎず、また、その掲載回数は、2010年7月ないし9月の3月間に、わずか5回にとどまるものであって、各紙面(誌面)における具体的な掲載方法も明らかではない。
してみれば、本願商標が、その指定商品に使用された結果、取引者、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったとは認めることはできない。
なお、当審は、請求人に対し、本願商標が、その使用により、需要者をして何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っていることを認めるのに十分な更なる証拠の提出を求めたが、その後、相当の期間が経過するも、何らの証拠の提出もなかった。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するものであって、かつ、同条第2項の要件を具備しないものであるから、本願を拒絶した原査定は、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-05-15 
結審通知日 2013-05-17 
審決日 2013-05-28 
出願番号 商願2011-67413(T2011-67413) 
審決分類 T 1 8・ 15- Z (X11)
T 1 8・ 17- Z (X11)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 寺光 幸子小松 孝 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 山田 和彦
田中 敬規
商標の称呼 ヨンエス、フォーエス 
代理人 藤原 康高 

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