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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900052 審決 商標
異議2013900030 審決 商標
異議2012900369 審決 商標
異議2012900292 審決 商標
異議2013900038 審決 商標

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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W35
審判 一部申立て  登録を維持 W35
審判 一部申立て  登録を維持 W35
審判 一部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1276517 
異議申立番号 異議2013-900080 
総通号数 164 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-08-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-03-19 
確定日 2013-07-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第5543133号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5543133号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5543133号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成24年4月13日に登録出願、「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿記載の役務を指定役務として、同年12月14日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4214856号商標(以下「引用商標」という。)は、「AMANO」の欧文字を書してなり、平成9年1月29日に登録出願、第9類「タイムレコーダー,タイムスタンプ,自動駐車場管理装置,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成10年11月27日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議申立ての理由(要旨)
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標からは「アマノ」の称呼のみを生じ、引用商標からも「アマノ」の称呼が生じるため、両商標は同一の称呼を生じるものである。
また、本件商標の構成中、「●」及び「+」の記号は付記的部分であるから、その要部である「amano」の文字部分と、引用商標「AMANO」の文字部分を比較すると、アルファベットの小文字か大文字かの違いしかなく、両商標は、外観上も類似する。
さらに、本件商標の要部「amano」は本件商標権者の略称であり、引用商標「AMANO」は引用商標権者の略称であるから、両商標は観念上も類似する。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、観念、称呼のいずれにおいても相紛れるおそれがあって、構成全体として誤認混同を生じるおそれがある類似の商標というべきである。
そして、本件商標の指定役務中「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と引用商標の指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」も類似関係にある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 申立人「アマノ株式会社」について
申立人である「アマノ株式会社」は、昭和6年に、我が国最初の時刻記録機(タイムレコーダー)を製造した「天野製作所」として創立され、昭和41年に社名を現在のものへ変更した(甲6)。
昭和41年には、タイムレコーダーの記録をコンピュータと連携させて、コンピュータで処理できるシステム型のタイムレコーダーと情報システムを発表・発売し(甲6、甲7の1)、現在では、時給計算・時間集計タイプやパソコンと接続するタイプ等幅広く取り揃えている(甲8の1、甲9)。そして、タイムレコーダーに使用するタイムカードヘ印字するためのソフトウェアを販売し(甲10)、その他、就業・給与・人事・入室・食堂に関して管理するソフトウェア等のシステムも多数開発している(甲8の2、甲11)。現在、日本国内では、毎日1000万人もの人が申立人製タイムカードを使用して、出勤・退勤を記録している。
また、昭和42年に、駐車券発行機(アマノパーキングマスター)の販売を開始し、パーキング事業に本格的に参入すると共に、自動料金精算装置を開発、昭和43年には、アレコデータシステムを発表し、時間情報システム分野に事業拡大した(甲6、甲7の1)。現在では、駐車場全体のコーディネートや、駐車場運営の受託管理も行ない、駐車場オーナーヘの駐車場経営のノウハウの提供も行っている(甲7の2)。
さらには、駐車場・駐輪場の出入庫の管理・清算等に関するソフトウェアの開発から、駐車場・駐輪場システムの総合的な管理を行うデータセンターとして、売上管理から経営分析、利用者に対する空き情報の提供(駐車場案内サービス)や、装置の遠隔制御等を行うことができるシステムも構築している(甲8の3)。
さらに、昭和26年には、工業用クリーナー等を取り扱うようになり、環境事業に参入した(甲6、甲7の3)。その後、工業用クリーナーの市場拡大に伴い、業務用掃除機を発売し、清掃システム事業(フロアクリーン事業)に本格参入し、清掃機器・清掃システムを拡大すると共に、業務用清掃機器の開発・製造・販売・保守メンテナンスを一貫して行っている(甲7の3?4)。
申立人は、平成24年において、グループ全体で約881億円もの売り上げがあり、その約半分は、一般消費者が日常生活でよく見かけるパーキング事業における売上である。それ以外の年度においても、毎年、約800億円前後の売り上げを出し続け(甲7の5)、また、その取引先も全国にわたるものである(甲12の1?2)。
申立人の新商品が出ると、業界紙にその商品を紹介する記事が掲載されている(甲13)。
平成25年4月から、申立人のウェブサイトにおいて、オンラインショップをリニューアルし、ソフトウェア商品等を販売している(甲14の1?2)。
以上のように、申立人は、現在では、全国各地に支店や営業所、グループ会社等を多数設け、様々な分野で多角的に経営を行っており、グループ全体のハウスマークとしての引用商標「AMANO」を使用して多様なサービスを提供し、当該商標は「アマノ」の称呼をもって実際の取引に資されている(甲7の6)。
イ したがって、本件商標と引用商標とが類似しないと判断された場合であっても、引用商標と同一文字を含む本件商標が付されたサービスが提供されたときには、需要者・取引者が申立人に係る役務であるか、申立人と経済的・組織的に何らかの関連を有する者の提供に係る役務であると、出所について誤認混同を招くおそれがあることは明らかである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)むすび
以上の理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、その指定役務中「電子応用機械器具及びその部品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」については、同法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲のとおり、赤色で彩色された「amano」(語頭の「a」は、他の字に比べてやや大きく書されている。以下、同じ。)の文字と、当該文字列の左側上方に、茶色く塗り潰した円(以下「『●』記号」という。)を、同じく、その右側上方に、縁取りされた「+」記号(青色で彩色されている。以下、同じ。)を、それぞれ配した構成からなるものである。
そして、その構成中、顕著に大きく表された「amano」の文字からは、直ちに、氏を表す「天野」を想起、連想させるとみるのが相当であり、当該「天野」の文字は、わが国においては、氏を表す語として一般に広く用いられているものであり、このことは、例えば、「日本の苗字7000傑」のサイト(http://www.myj7000.jp-biz.net/1000/0100f.htm)に、「天野」を姓とする人数は、約92,000人存在し、全国で第239位に位置づけられていることによっても裏付けられるものである。
また、日常の商取引において、氏を表す場合は、必ずしも漢字のみに限らず、ローマ字で表す場合も決して少なくないことよりすれば、本件商標の構成中「amano」の文字は、ありふれた氏の「天野」をローマ字で表したものと認識させるというのが相当であるから、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
そうしてみると、本件商標は、「amano」の文字と、当該文字に近接して「●」記号と「+」記号とを組み合わせ,構成全体として一体不可分の商標として認識、把握されるとみるのが相当であるから、本件商標から「amano」の文字部分を要部抽出し、そこから「アマノ」の称呼が生ずることを前提に、本件商標と引用商標との類似を述べる申立人の主張は妥当でなく、その理由をもって、両商標を類似のものとすることはできない。
その他、両商標を類似とすべき事由は見い出せない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の著名性について
申立人の提出に係る甲各号証及び主張よりすると、申立人は、昭和6年に、我が国最初の「タイムレコーダー」を製造し、その後、コンピュータで処理できるシステム型のタイムレコーダーと情報システムを発表・発売したこと、タイムレコーダーとタイムカード(ICカード)などのパッケージ商品の製造・販売したこと、また、駐車券発行機等を含む自動駐車場管理装置や業務用掃除機の販売など、パーキングシステム事業や清掃システム事業分野等に参入したこと、タイムレコーダー等の申立人取扱商品などが新聞で紹介されたこと、申立人(グループ会社を含む。)は、平成19年度は933億円、平成20年度は918億円、平成21年度は785億円、平成22年度は833億円及び平成23年度には約881億円の売上げがあったことが認められる。
そして、これらの商品を紹介する申立人のウェブサイトや総合カタログには、引用商標が表示されていることが認められる。
そうしてみると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標は、申立人の業務に係る商品中、少なくとも「タイムレコーダー」、「自動駐車場管理装置」などに使用するものとして我が国における需要者の間に広く認識されていた商標と認めることができる。
しかしながら、前述したとおり、本件商標は、構成全体として一体不可分の商標として認識、把握されるとみるのが相当であり、「AMANO」の文字からなる引用商標とは、別異の商標であり、また、引用商標自体も、「amano」の文字同様に、ありふれた氏の「天野」をローマ字で表したものと認識させるものであって、独創性がある語とはいえず、さらに、引用商標の使用に係る商品(「タイムレコーダー」、「自動駐車場管理装置」など。)が、日常的に使用することが少なくない商品であるとしても、これと本件商標の指定役務中「電子応用機械器具及びその部品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の取扱商品「電子応用機械器具及びその部品」とは、その販売・生産部門、用途及び需要者を異にするものであって、両商品間の関連性が希薄であることからすれば、本件商標に接する需要者が直ちに申立人の業務に係る商品に使用される商標を想起、連想することはないとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、これをその指定役務中「電子応用機械器具及びその部品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用しても、該役務が申立人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれがある商標と認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
本件商標

(色彩は原本参照のこと)

異議決定日 2013-07-03 
出願番号 商願2012-29533(T2012-29533) 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W35)
T 1 652・ 262- Y (W35)
T 1 652・ 271- Y (W35)
T 1 652・ 263- Y (W35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 加藤 百宇椎名 実 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 小川 きみえ
内藤 順子
登録日 2012-12-14 
登録番号 商標登録第5543133号(T5543133) 
権利者 株式会社アマノ
商標の称呼 アマノプラス、アマノ 
代理人 北村 周彦 

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