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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900207 審決 商標
異議2013900080 審決 商標
異議2012900296 審決 商標
異議2013900128 審決 商標
異議2012900292 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W21
管理番号 1276510 
異議申立番号 異議2013-900052 
総通号数 164 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-08-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-02-15 
確定日 2013-07-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第5536991号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5536991号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5536991号商標(以下「本件商標」という。)は、「やさい生活」の平仮名及び漢字を標準文字で表してなり、平成24年5月30日に登録出願、第21類「家庭園芸用の水耕式植物栽培器,家庭園芸用の土耕式植物栽培器,培養土を収容した植物栽培容器,植木鉢,じょうろ」を指定商品として、同年10月22日に登録査定、同年11月16日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する登録第3315891号商標(以下「引用商標」という。)は、「野菜生活」の漢字を横書きしてなり、平成6年5月17日に登録出願、第32類「ビール,野菜エキスを加えた清涼飲料,野菜ジュースを加えた清涼飲料,野菜を加えた清涼飲料,野菜エキスを加えた果実飲料,野菜ジュースを加えた果実飲料,野菜を加えた果実飲料,飲料用野菜ジュース,野菜エキスを加えた乳清飲料,野菜ジュースを加えた乳清飲料,野菜を加えた乳清飲料」を指定商品として、同9年5月30日に設定登録され、その後、同19年5月29日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第13号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、申立人が「野菜飲料,果実飲料」等に使用する著名な引用商標に紛らわしい商標であるから、これをその指定商品に使用するときは、申立人又は同人と何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生じさせるおそれがある。
(2)申立人について
申立人は、「調味食品・保存食品・飲料・その他の食品の製造・販売,種苗・青果物の仕入れ・生産・販売」を主たる事業内容とする1899年(明治32年)創業の会社であって、日本を代表する大手食品メーカーであることは顕著な事実ということができる(甲3)。
また、申立人は、北は北海道、南は九州・沖縄まで日本全国に支店・営業所・工場等を有するほか、海外においても、アメリカ・イタリア・台湾・中華人民共和国・オーストラリア等に関連会社を擁するものであるが、申立人の商品は、これら支店・営業所、関連会社等を通じ、日本国内全域で販売されていることはもとより、世界各国にも輸出、販売されているものである(甲3)。
(3)引用商標の著名性について
引用商標は、申立人が製造販売する商品「野菜飲料,果実飲料」等の商標であって、同人の主たる出所標識の一として使用しているものである。
そして、引用商標は、1995年にその使用を開始して以来、申立人が製造販売する商品「野菜飲料,果実飲料」等の主たる出所標識として一貫して使用してきたものであり、その商品に付して使用することはもとより、引用商標が表示された商品カタログ・チラシ等を取引者、需要者に広く頒布し、更には、テレビ・新聞・雑誌・インターネット等のマスメディアを通じ、その商品の宣伝・広告活動も積極的に展開してきたものである(甲3ないし7及び13)。
ちなみに、申立人が製造販売する「野菜生活」ブランド飲料の販売額(1998年?2006年度)は、1998年度の約130億円から年々増加し、2006年度は約460億円となっているばかりでなく、例えば、野菜飲料における「野菜生活」ブランド飲料の市場占有率(2008年?2012年)をみても、30%から36%で推移していて、断然たるトップシェアの地位を占め続けているものである。
さらに、雑誌「飲料ビジネス」(2013年3月号、飲料総研出版)の「2012年清涼飲料ブランド・ランキング」において、「野菜生活」は、上位にランキングされている(甲7ないし10)。
加えて、引用商標の著名性立証の資料として、日本弁理士会広報誌「PATENT AttorneY」(平成23年6月17日発行)及び「日本有名商標集」(AIPPI・JAPAN発行)を提出する(甲11及び12)。
してみれば、引用商標は、前記のとおり、「野菜飲料、果実飲料」等の商品を表示する商標として長年(約17年)に亘り使用されているものであること、その商品の宣伝・広告活動もテレビ・雑誌等を通じ積極的行われていることや、「野菜生活」ブランド飲料の最近の販売額(甲9)も、約456億円(2011年度)、約482億円(2012年度)となっていることなどを総合して勘案すれば、本件商標の出願日以前から、我が国はもとより世界的にも、既に申立人の業務に係る上記商品を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたものであり、その著名性は現在も継続しているものである。
(4)商品の出所の混同について
本件商標と引用商標は、前者が「やさい生活」、後者が「野菜生活」の文字を表してなるところ、その構成文字に相応して、いずれも「ヤサイセイカツ」の称呼及び「野菜で生活する」といった観念を生ずるものであるから、その称呼、観念を同一にする酷似の商標ということができる。
また、日経・朝日等の新聞記事情報(2010年?2013年2月)を、「やさい生活」「やさいせいかつ」「野菜せいかつ」「野菜生活」の文字をキーワードにインターネット検索すると、「野菜生活」の文字についてのみ83件ヒットするが、その全てが申立人の「野菜生活」ブランドの飲料に関する記事であって、その他「やさい生活」「やさいせいかつ」「野菜せいかつ」の文字については、ヒット数0件であり、さらに、「野菜生活」の文字をキーワードにインターネットWebページを検索すると、相当数ヒットするが、そのほとんどが申立人の「野菜生活」ブランドの飲料に関するものであるところからすると、引用商標は、申立人が創造した特異な印象を与える商標といえる(甲13)。
さらに、本件商標と引用商標の指定商品についてみるに、昨今、家又はマンションのベランダや庭において、プランター(植物栽培容器)を用いての野菜作りが一般家庭でも盛んに行われているところ、当該プランターを含め本件商標の指定商品は、価格も左程高価なものではなく、気軽に買い求められるものであるから、ごく一般的な人々が需要者となっている。
一方、引用商標の指定商品「野菜飲料,果実飲料」等も、同様に、ごく一般的な人々が需要者であるから、両商標の指定商品は、その需要者層を同一にするものである。
したがって、本件商標と引用商標の類似性、引用商標の特異性・著名性、両商標の指定商品の関連性等を併せ考慮すれば、本件商標は、これをその指定商品に使用するときは、取引者、需要者をして、その構成文字から申立人の著名な商標「野菜生活」を連想、想起し、それが申立人又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあったものである。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号の該当性について
ア 本件商標と引用商標との類否について
(ア)本件商標について
本件商標は、「やさい生活」の平仮名及び漢字を標準文字で表してなるものであるところ、我が国において既成語として広く知られた「やさい(野菜)」の語と「生活」の語とを結合させた語として認識されるものであって、構成全体として「野菜のある生活」程の意味合いを連想、想起させるものであるから、その構成文字に相応して「ヤサイセイカツ」の称呼を生じ、「野菜のある生活」程の観念を生ずるものである。
(イ)引用商標について
引用商標は、「野菜生活」の漢字を横書きしてなるものであるところ、我が国において既成語として広く知られた「野菜」の語と「生活」の語とを結合させた語として認識されるものであって、構成全体として「野菜のある生活」程の意味合いを連想、想起させるものであるから、その構成文字に相応して「ヤサイセイカツ」の称呼を生じ、「野菜のある生活」程の観念を生ずるものである。
(ウ)本件商標と引用商標との対比について
本件商標と引用商標とは、外観において異なるとしても、「ヤサイセイカツ」の称呼及び「野菜のある生活」の観念を共通にすることから、称呼及び観念において類似の商標ということができる。
イ 引用商標の著名性及び独創性の程度について
(ア)引用商標の著名性について
甲各号証によれば、引用商標の使用に関して以下の事実が認められる。
申立人は、平成7年(1995年)から現在に至るまで継続して、引用商標を商品「飲料用野菜ジュース」に付して使用していること(甲3ないし7)、申立人は引用商標を使用した商品について広く宣伝・広告活動をしてきたこと(甲3、4、6及び7)、引用商標を使用した商品の販売額は、1998年度において約130億円、2006年度において約460億円、2011年度において約456億円、2012年度において約482億円であったこと(甲7及び9)、引用商標は平成20年(2008年)2月から平成24年(2012年)2月までにおける年別「飲料用野菜ジュース」についての販売金額による市場占有率が、各年とも30%を超え、業界第1位であったこと(甲8)、雑誌「飲料ビジネス」2013年3月号「清涼飲料ブランド・ランキング発表 2012」において、引用商標を使用した商品が、全清涼飲料の第18位として掲載されていること(甲10)、平成23年6月17日発行の日本弁理士会広報誌「PATENT AttorneY 第62号」に「ヒット商品は、こうして生まれた/ヒット商品を支えた知的財産権/野菜を手軽に補えるジュース」として、引用商標を使用した商品の紹介記事が掲載されていること(甲11)及びAIPPI JAPAN発行の「日本有名商標集 第3版」には引用商標が掲載されていること(甲12)の各事実が認められる。
以上によれば、引用商標は、遅くとも本件商標の出願時において、「飲料用野菜ジュース」について、著名性を有していたと認められ、その著名性は、本件商標の登録査定時まで継続していたものと認められる。
(イ)引用商標の独創性の程度について
引用商標は、我が国において広く知られた既成語の「野菜」の語と「生活」の語とからなる結合商標であるから、その独創性の程度は、決して高いとまではいえないものである。
ウ 本件商標の指定商品と引用商標の商品との間の商品の関連性について
本件商標の指定商品は、第21類「家庭園芸用の水耕式植物栽培器,家庭園芸用の土耕式植物栽培器,培養土を収容した植物栽培容器,植木鉢,じょうろ」である。これらの指定商品は、家庭園芸用植物(花き、野菜、果樹、観葉植物など)を栽培するための器具などであり、園芸用として供されるものであり、主として園芸用品メーカーにより生産され、また、園芸用品(ガーデニング)店、種苗店、農業資材取扱店又はホームセンターなどで販売されものといえる。
これに対して、申立人は、「飲料用野菜ジュース」を中心とする飲料等を製造・販売する会社として著名であるとは認められるものの、本件商標の指定商品又はこれに関連する分野においても事業活動を行っていることや、これが著名であることを認めるに足りる証拠はない。
そして、申立人が引用商標を使用する「飲料用野菜ジュース」は、飲料用として供されるものであり、食品メーカーにより生産され、また、食料品店やスーパーマーケット又はコンビニエンスストアなどの食料品売り場で販売されるものといえる。
そうすると、本件商標の指定商品と引用商標の使用商品「飲料用野菜ジュース」とは、商品の品質、用途又は原材料等を異にしており、商品の関連性が認められないものであり、また、商品の生産者、販売場所をも異にしているものである。
エ 「出所の混同を生ずるおそれ」について
以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似し、引用商標が「飲料用野菜ジュース」について著名性を有するとしても、引用商標の独創性の程度は決して高いものではなく、また、本件商標の指定商品と引用商標の使用商品は、商品の品質、用途又は原材料等を異にするばかりでなく、生産者、販売場所をも異にするから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用した場合、取引者、需要者において、その商品が申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるとまではいえないものである。
(2)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2013-06-26 
出願番号 商願2012-43233(T2012-43233) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W21)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小田 明 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 前山 るり子
渡邉 健司
登録日 2012-11-16 
登録番号 商標登録第5536991号(T5536991) 
権利者 株式会社冨永樹脂工業所
商標の称呼 ヤサイセーカツ 
代理人 為谷 博 
代理人 清水 久義 
代理人 柴田 昭夫 
代理人 清水 義仁 

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