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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900065 審決 商標
異議2013900080 審決 商標
異議2013900038 審決 商標
異議2013900025 審決 商標
異議2013900053 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X11
審判 全部申立て  登録を維持 X11
管理番号 1276506 
異議申立番号 異議2012-900282 
総通号数 164 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-08-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-09-25 
確定日 2013-07-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第5508412号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5508412号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5508412号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成23年12月27日に登録出願され、第11類「熱交換機能付き家庭用換気装置,乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,ボイラー,暖冷房装置,冷凍機械器具,太陽熱利用温水器,浄水装置,家庭用電熱用品類」を指定商品として、同24年5月31日に登録査定、同年7月20日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証(なお、括弧内の証拠番号は、以下「甲1?甲8」のように省略して表す。)を提出した。
(1)引用商標
ア ドイツ商標登録第30003379号(以下「引用商標1」という。)
・商標 :「Lunos+図」
・指定商品:第9,11,37,42類「暖房装置、換気及び空調機器又はそのシステム、特にラジアルベンチレータ、軸流ベンチレータ、外壁換気通路、オーバーフロー管、ウィンドウコントロール、ウィンドウベンチレータ、ルーフベンチレータ、マルチルーフベンチレータ、壁接続口、外壁通気口及び開閉式ラジエーター付きベンチレータ、突上げ窓付きベンチレータ、ウィンドウコントロールとその部品,その他」
・出願日 :2000年1月19日
・登録日 :2000年8月28日
イ 欧州共同体商標第8987471号(以下「引用商標2」という。)
・商標 :「Lunos」
・指定商品:第9,11,37,42類「暖房、換気又は空気調整用の機械設備、特に送風機、外壁換気口、排気管及び前記これらの部品(第11類に属するもの)、又は前記より構成される室内換気システム,その他」
・出願日 :2010年3月26日
・登録日 :2010年12月3日
(2)商標法第4条第1項第7号について
ア 申立人は、本件商標の登録出願前である2000年1月19日にドイツ連邦共和国において、本件商標と同一の商標及び本件の指定商品を含む指定商品に係る商標登録出願を行っており、ドイツ商標登録(引用商標1)及び欧州共同体商標(引用商標2)を取得している(甲1,甲2)。
イ 本件商標と引用商標1は、共に欧文字「Lunos」と、その下方に円弧を3つ束ねた図形を配した構成からなる。
欧文字で表された「Lunos」の語は、辞書等に見いだすことのできない造語であること、角が丸みを帯びた直線的な書体で表されており、また、円弧を3つ束ねた図形を配した商標全体の構成も特徴的なものであることから、本件商標がたまたま引用商標1と偶然一致したとは考え難い。
ウ 申立人は、ドイツ及び日本を含む18か国で引用商標を使用して住宅用換気装置を販売しているところ(甲3,甲4)、本件商標の商標権者も住宅用換気システムを販売しており(甲5,甲6)、また、商標権者の代表取締役は、ドイツの出身である(甲7)。
そして、商標権者と申立人の間には何らの経済上、組織上又は契約上の関係はなく、申立人が本件商標の日本における登録出願について商標権者に承諾を与えたこともない。
上記の事実から、商標権者が、申立人及び引用商標の存在を知った上で、日本において引用商標が登録されていないことを奇貨として、引用商標1と同一の構成からなる本件商標を剽窃的に登録出願し、登録したことは明らかである。
エ このように、申立人が本件商標の登録出願前から登録・使用している引用商標1と同一のものについて、申立人に無断で登録された本件商標は、公正な取引秩序を乱すおそれがあるばかりでなく、国際信義に反し、公の秩序を害するものであることは明らかであり、社会的妥当性を欠くものといわざるを得ない。
オ よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第19号について
ア 申立人は、ドイツを初めとする18か国で引用商標を使用して住宅用換気装置を販売しており(甲3,甲4)、その商品は様々な国の新築・改築物件で採用されている(甲8)ことから、引用商標は、ドイツにおいて申立人の取扱に係る住宅用換気装置を表示するものとして広く知られている。
また、我が国においては、森永エンジニアリング株式会社が申立人の代理店として申立人商品を販売している(甲4)。
イ 上述のとおり、引用商標1の構成中、欧文字の「Lunos」の語は、辞書等に見いだすことのできない造語であり、かつ、円弧を3つ束ねた図形を「Lunos」の欧文字の下に配してなる引用商標1全体は、構成上顕著な特徴を有するものであると認められる。
ウ そうすると、本件商標は、ドイツにおいて申立人の業務に係る商品を表示するものとして周知となっている引用商標が我が国において登録されていないことを奇貨として、申立人の国内参入を阻止したり、国内代理店契約を強制したりする等の不正の目的をもって使用するものと推認される。
エ よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
(4)結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2の規定により、その登録が取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)引用商標の周知性等について
ア 申立人が提出した証拠等によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、ドイツ連邦共和国ベルリン在の住宅用換気装置を取り扱う法人であって、引用商標1及び2並びにそれらを含む商標を使用しており、18か国に販売代理店を有し、我が国における代理店は「森永エンジニアリング株式会社」であることが認められる(甲3,甲4,甲8)。
本件商標の商標権者は、東京都小平市在の法人であって、申立人と同様の住宅用換気装置を取り扱っており、商標権者の代表取締役社長・創業者は、ドイツ・バイエルン州ミュンヘン市の出身であることが認められる(甲5?甲7)。
(イ)本件商標は、別掲のとおりの構成からなるところ、引用商標1は、本件商標とほぼ同一と認められる構成からなるものであり、引用商標2は、「Lunos」の欧文字を書してなるものである。
そして、本件商標は、平成23年12月27日に登録出願され、同24年5月31日に登録査定、同年7月20日に設定登録されたものである。一方、引用商標1は、2000年1月19日に登録出願され、同年8月28日に登録されたドイツ商標登録であり、引用商標2は、2010年3月26日に登録出願され、同年12月3日に欧州共同体商標として登録されたものであって、いずれも我が国における商標登録はない。
(ウ)申立人は、引用商標がドイツにおいて周知である旨主張して、甲第3号証、甲第4号証及び甲第8号証を提出しているが、これらは、申立人の製品カタログの写し(甲3)、申立人のウェブサイト内の海外拠点及び代理店の一覧の写し(甲4)並びに申立人のウェブサイト内の換気システムの施工例一覧の写し(甲8)のみである。
イ 上記アによれば、申立人が提出した証拠からは、引用商標を付した商品が申立人により販売されていること、申立人に係る商品が施工に使用されていること及び18か国に販売代理店を有していることは認められるが、これをもって、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又は同人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されているとはいい難い。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性について
上記(1)イのとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又は同人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されていると認めることはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号所定のその他の要件について論及するまでもなく、同号に該当しない。
(3)本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
ア 商標の登録出願が適正な商道徳に反して社会的妥当性を欠き、その商標の登録を認めることが商標法の目的に反することになる場合には、その商標は商標法第4条第1項第7号にいう商標に該当することもあり得ると解される。しかし、同号が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」として、商標自体の性質に着目した規定となっていること、商標法の目的に反すると考えられる商標の登録については同法第4条第1項各号に個別に不登録事由が定められていること、及び、商標法においては、商標選択の自由を前提として最先の出願人に登録を認める先願主義の原則が採用されていることを考慮するならば、商標自体に公序良俗違反のない商標が商標法第4条第1項第7号に該当するのは、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に限られるものというべきである(東京高等裁判所平成14年(行ケ)第616号、同15年5月8日判決参照)。
イ 前記(1)アで認定した事実によれば、申立人は、ドイツ連邦共和国ベルリン在の住宅用換気装置を取り扱う法人であって、18か国に販売代理店を有し、我が国における代理店も存在しているものであるところ、その使用に係る引用商標1が、2000年(平成12年)1月19日に登録出願され、同年8月28日にドイツ商標登録として登録され、また、引用商標2は、2010年(平成22年)3月26日に登録出願され、同年12月3日に欧州共同体商標として登録されているものである。
一方、本件商標の商標権者は、本件商標を平成23年12月27日に登録出願し、同24年5月31日に登録査定、同年7月20日に設定登録されたものである。
そして、本件商標の登録出願前までに、引用商標1又は2について、我が国において、申立人が商標登録出願をし得ない特段の事情は何ら認められない。
そうすると、申立人は、本件商標の指定商品について、引用商標1又は2を自ら登録出願することが十分可能であったにもかかわらず、商標登録出願をしていなかったのであるから、かかる商標についての登録出願を怠っていたというべきである。
一方、本件商標権者による本件商標の登録出願の経緯に、著しく社会的妥当性を欠くと認めるに足りる証拠はない。
ほかに、本件商標は、その構成文字からして、きょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるようなものではなく、これを商標権者が採択、使用しても、他の法律によりその使用が制限又は禁止されるとみるべき事情も認められない。
ウ 以上によれば、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ということができないから、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
エ 申立人は、本件商標と引用商標1は、共に辞書等に見いだすことのできない造語である欧文字「Lunos」と、その下方に円弧を3つ束ねた図形を配した特徴的な構成からなるものであるから、本件商標がたまたま引用商標1と偶然一致したとは考え難いこと、申立人は引用商標を使用して住宅用換気装置を販売しているところ、本件商標の商標権者も同様の商品を販売していること、また、商標権者の代表取締役はドイツの出身であることから、商標権者が、申立人及び引用商標の存在を知った上で、日本において引用商標が登録されていないことを奇貨として、引用商標1と同一の構成からなる本件商標を剽窃的に登録出願し、登録したことは明らかである旨主張する。
確かに、本件商標と引用商標1とがほぼ同一に近い構成態様のものであること、商標権者と申立人が同様の商品を取り扱っていること及び商標権者の代表取締役が申立人の所在するドイツの出身であることは認められるが、そうであるからといって、それのみによって、本件商標権者による本件商標の登録出願の経緯に、著しく社会的妥当性を欠くものであると断定することはできないものであり、また、申立人は、上記したように、我が国における引用商標1及び2の登録出願を怠っていたというべきであるから、本件商標権者が、引用商標1とほぼ同一の構成からなる本件商標の登録出願をし、登録を得たことをもって、上記判断が左右されるものではない。
したがって、申立人の上記主張は、採用することができない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に違反してされたものということができないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
本件商標


異議決定日 2013-06-18 
出願番号 商願2011-93633(T2011-93633) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (X11)
T 1 651・ 222- Y (X11)
最終処分 維持  
前審関与審査官 蛭川 一治 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 原田 信彦
酒井 福造
登録日 2012-07-20 
登録番号 商標登録第5508412号(T5508412) 
権利者 パッシブエネルギージャパン株式会社
商標の称呼 ルノス 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 齋藤 宗也 
代理人 山崎 和香子 

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