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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X16
管理番号 1276460 
審判番号 無効2011-890107 
総通号数 164 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-08-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-12-05 
確定日 2013-07-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第5369043号商標の商標登録無効審判事件についてされた平成24年6月5日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成24年(行ケ)第10253号 平成24年12月26日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 登録第5369043号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第5369043号商標(以下「本件商標」という。)は,「カラーラインメモ」の片仮名を標準文字で表してなり,平成22年8月2日に登録出願され,第16類「カレンダー」を指定商品として,同年11月1日登録査定,同年11月19日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求めると申し立て,その理由を次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第5号証(枝番を含む。)を提出した。なお,甲第5号証は,本件審判請求に係る平成24年(行ケ)第10253号審決取消請求事件において提出された書面及び証拠方法であり,その証拠方法に証拠番号として「甲第1号証の1ないし甲第19号証の15」が付されているが,これらの証拠方法について「甲第5号証の1の1ないし甲第5号証の19の15」とする。
(1)引用商標の周知性
請求人は,「カレンダー」について「カラーラインメモ」(以下「引用商標」という。)を2000年から製造(甲1),販売(甲2)しており,請求人のホームページ等においても広く掲載されていた。したがって,引用商標は,本件商標の登録出願時点において,カレンダーについて,周知となっていた。現時点においても「カラーラインメモ」の文言でのインターネット検索結果は,上位100件中99件が請求人のものであり,被請求人のものは0件である。YAHOO!JAPANによる「カレンダー」の画像検索においても,上位100件中90件が請求人のものであり,被請求人のものは,1件が発見されるだけである(甲3)。
(2)商標の類似について
本件商標は,引用商標とは外観,称呼及び観念において同一である。
(3)商品の類似について
本件商標の指定商品は,引用商標に係る商品と同一商品である。
(4)まとめ
本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当するから,その登録は無効にすべきものである。

3 被請求人の主張
被請求人は,「本件審判請求は,成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し,その理由を次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号の該当性
引用商標は,請求人の業務に係る「カレンダー」を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,周知ではない。
よって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号に違反してされたものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性
引用商標が「カレンダー」について周知ではなく,ましてや,著名なものではない。また,被請求人の「カラーラインメモ」なるカレンダーが,請求人のものと混同を生じた事実も一切ない。
よって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではない。
(3)まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号又は同第15号に違反してなされたものではない。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 請求人の提出した証拠によれば,次の事実が認められる。
(ア)請求人は,カレンダーの製造・販売等を業とする会社であり,本件商標の登録出願時点(平成22年8月2日)及び登録査定時点(同年11月1日)において,全国連合会に所属する我が国の主要なカレンダーメーカー30社の中では最も売上高の大きい会社である(甲5の10,5の14)。
カレンダーの製造・販売業界では,カレンダーメーカーが製造した商品を販売代理店に販売し,販売代理店が広告主又は小売店に販売し,広告主又は小売店が最終消費者に譲渡するという取引形態で流通が行われており,カレンダーメーカーは,毎年4月頃,翌年版のカレンダーに関する自社商品のカタログを販売代理店に頒布して営業活動を行うほか,全国連合会は,所属各社のカレンダーの価格表を作成して頒布している。そして,請求人は,全国に存在する販売代理店(平成22年当時において,少なくとも439箇所)に対して上記カタログを頒布し,多数の種類(同年当時において,283種類)のカレンダーを販売していた(甲5の2,5の5,5の11,5の14,5の16)。
(イ)請求人は,平成11年4月頃,その製造・販売に係る平成12年版のカレンダーの名称(商品名)として,「カラーラインメモ」(引用商標)を採用し,自社商品に関する広告又は取引書類である販売代理店用のカタログに,「カラーラインメモ」という商品名,型番(型番NK-174)及び見本写真等を掲載して,これを全国に所在する販売代理店に対して頒布した(甲5の1)。
請求人は,以後,毎年,全国に所在する販売代理店に対し,翌年版のカレンダーである「カラーラインメモ」という名称を付した商品について,その商品名,型番及び見本写真等を掲載した上記カタログを頒布しているが,その頒布数(冊)及び頒布先数(箇所)は,平成13年(平成14年版)4万4059冊 638箇所,平成14年(平成15年版)4万3944冊 631箇所,平成15年(平成16年版)3万7989冊 507箇所,平成16年(平成17年版)3万9838冊 549箇所,平成17年(平成18年版)3万9585冊 622箇所,平成18年(平成19年版)4万0889冊 688箇所,平成19年(平成20年版)4万1176冊 435箇所,平成20年(平成21年版)4万3278冊 488箇所,平成21年(平成22年版)4万1651冊 468箇所,平成22年(平成23年版)4万2555冊 439箇所である(甲5の1,5の2)。
(ウ)請求人は,前記のとおり,平成11年(平成12年版)から,全国に所在する販売代理店に対し,翌年版のカレンダーとして「カラーラインメモ」という名称の商品(型番NK-174)を販売しているが,平成18年(平成19年版)以降は,「カラーラインメモ・3ヵ月文字」(型番NK-162)及び「カラーラインメモ(小)」(型番NK-450)という,いずれも「カラーラインメモ」との名称を付した商品も販売するようになり,全国連合会も,毎年作成する所属各社のカレンダー価格表に,これらの請求人カレンダーの名称を記載するようになった。そして,請求人は,販売代理店に対して自社が販売したカレンダーの請求書を作成する際,請求人カレンダーのうち,型番NK-174について「カラーラインメモ」と,型番NK-162について「カラーL 3ヶ月」と,型番NK-450について「カラーライン 小」と標記しているほか,請求人カレンダーを販売する販売代理店又は小売店も,請求人カレンダーに「カラーラインメモ」との商品名を付してこれを販売している。これらの請求人カレンダーは,平成12年(平成13年版)以降,一貫しておおむね類似した構成の意匠を備えており,平成14年(平成15年版)以降,その表紙中央部には,やや小さな欧文字で,「Color Line Memo」と印刷されている。
そして,その販売数(部)及び販売先数(箇所)については,「カラーラインメモ」(型番NK-174) は,平成13年(平成14年版)25万6258部 223箇所,平成14年(平成15年版)34万2794部 234箇所,平成15年(平成16年版)40万1089部 248箇所,平成16年(平成17年版)50万4671部 266箇所,平成17年(平成18年版)55万2786部 287箇所,平成18年(平成19年版)66万6702部 290箇所,平成19年(平成20年版)69万6393部 291箇所,平成20年(平成21年版)82万0066部 405箇所,平成21年(平成22年版)84万4657部 401箇所,平成22年(平成23年版)88万4196部 414箇所であり,「カラーラインメモ・3ヵ月文字」(型番NK-162) は,平成18年(平成19年版)4万2245部 119箇所,平成19年(平成20年版)6万5475部 140箇所,平成20年(平成21年版)9万0324部 206箇所,平成21年(平成22年版)11万7516部 198箇所,平成22年(平成23年版)13万5679部 217箇所であり,「カラーラインメモ(小)」(型番NK-450) は,平成18年(平成19年版)4万5439部 107箇所,平成19年(平成20年版)7万9505部 145箇所,平成20年(平成21年版)9万4423部 151箇所,平成21年(平成22年版)12万1457部 155箇所,平成22年(平成23年版)13万7215部 171箇所である(甲5の1,5の3?5の5,5の17?5の19)。
(エ)請求人カレンダーのうち,「カラーラインメモ」(型番NK-174)は,請求人が販売したカレンダー(平成20年に合計272種類,平成21年に合計278種類,平成22年に合計283種類)のうちで,平成20年及び平成22年には,「星座入文字月表」(型番NK-180),「並月表チ」(型番NK-1492),「星座入メモ付文字」(型番NK-181)及び「御暦・格言入り」(型番NK-186)に次いで5番目に販売数が多く,平成21年には,これらに加え,「ジャンボ3色文字」(型番NK-191)に次いで6番目に販売数が多かった(甲5の11)。
(オ)被請求人は,平成22年,「カラーラインメモ」との名称を付したカレンダーの販売を開始したが,それまで,「カラーラインメモ」との名称をカレンダー又はこれに類似する商品に付して販売した者は,請求人以外には存在しなかった(甲3,5の5,5の6,5の12,5の15,5の16)。
イ 前記認定事実によれば,カレンダーの製造・販売業界においては,販売代理店がカレンダーの流通に当たって重要な役割を果たしているから,カレンダーについては,販売代理店が第一次的な取引者又は需要者であるといえるところ,請求人は,平成11年4月頃から,「カラーラインメモ」の片仮名からなる引用商標について,自社の製造・販売に係るカレンダー(請求人カレンダー)の名称として自社商品のカタログに記載して販売代理店に対する頒布という形で使用を開始し,本件商標出願時(平成22年8月2日)及び登録査定時(同年11月1日)に至る約11年間にわたって,請求人カレンダーの販売に当たり,毎年引用商標を自社商品のカタログに記載し,販売代理店に対する請求書にも請求人カレンダーを意味するものとして引用商標を記載してきたものである。
また,請求人が上記カタログを頒布し,請求人カレンダーを販売した販売代理店は,全国に所在しており,その数も毎年数百箇所に及んでいるばかりか,販売代理店に頒布された当該カタログの数は,毎年おおむね4万冊前後であり,販売代理店に販売された請求人カレンダーの数も,平成13年に25万6258部であったものがその後順調に増加を続け,本件商標出願時及び登録査定時の属する平成22年には,合計115万7090部という大部数に及んでいるのであって,これは,全国連合会に所属する会社の中で最大規模である請求人が販売する全カレンダー(合計283種類)の中でも,売上げ部数が5番目に多いものであるから,かなりの数量であるといえる。
しかも,「カラーラインメモ」との語は,英語の「カラー(色,色彩)」,「ライン(線)」及び「メモ(書き付け,備忘)」を複合した造語であって,カレンダーの名称として使用された場合,強いていえば「色彩」,「線又は線による区切り」及び「メモ余白の存在」を想像させるが,それ以上に特定の観念又はカレンダーとしての構成を想像させるものではなく,一定の特異性が認められるものであるところ,請求人が,平成12年(平成13年版)以降,一貫しておおむね類似した構成の意匠を備えたカレンダー(請求人カレンダー)の名称として「カラーラインメモ」との文字を使用しており,かつ,「カラーラインメモ」との名称をカレンダー又はこれに類似する商品に付して販売した者が,平成22年まで,請求人以外には存在しなかったことは,前記認定のとおりである。
ウ 以上の事情を総合すると,引用商標(「カラーラインメモ」)は,本件商標出願時及び登録査定時において,請求人が製造・販売する特定の商品(請求人カレンダー)を表示するものとして,全国に所在する多数の販売代理店の間に広く認識されており,請求人カレンダーの販売期間,販売数量及び請求人以外に「カラーラインメモ」との名称をカレンダー等に使用した者が存在しなかったことなどに照らすと,当該販売代理店を通じてカレンダーを入手する全国の最終消費者の間においても,特定の業者が製造・販売する特定の商品(請求人カレンダー)を表示するものとして広く認識されていたものと認めるのが相当である。
(2)本件商標と引用商標との類否について
本件商標は,「カラーラインメモ」の文字を書してなるものであり,引用商標と同一の文字よりなるものであるから,引用商標とは,同一又は類似の商標である。
(3)本件商標の指定商品と引用商標に係る商品との類否について
本件商標の指定商品及び引用商標の使用に係る商品は,「カレンダー」であるから,同一の商品である。
(4)小括
上記の(1)ないし(3)によれば,本件商標は,その出願時及び査定時において,他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至っていた引用商標と同一又は類似するものであり,かつ,引用商標の使用に係る商品と同一の商品について使用をするものであるから,商標法第4条第1項第10号に該当するものである。
(5)まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであるから,その余の無効理由について論及するまでもなく,同法第46条第1項第1号に基づき,その登録を無効とすべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-05-09 
結審通知日 2013-05-13 
審決日 2013-05-24 
出願番号 商願2010-60817(T2010-60817) 
審決分類 T 1 11・ 252- Z (X16)
最終処分 成立  
前審関与審査官 半田 正人 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 谷村 浩幸
田中 亨子
登録日 2010-11-19 
登録番号 商標登録第5369043号(T5369043) 
商標の称呼 カラーラインメモ、カラーライン、ラインメモ、ライン 
代理人 奥村 茂樹 

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