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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない X16 |
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管理番号 | 1276445 |
審判番号 | 不服2013-2137 |
総通号数 | 164 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2013-08-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-02-04 |
確定日 | 2013-06-24 |
事件の表示 | 商願2012- 53002拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「STEP UP」の欧文字を標準文字で表してなり、第9類、第16類、第28類及び第42類に属する願書に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務とし、平成23年3月31日に登録出願された商願2011-22669に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、平成24年7月2日に登録出願されたものである。 その後、指定商品及び指定役務については、平成25年2月4日受付の手続補正書により、第16類「印刷物,紙製包装用容器,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,電気式鉛筆削り,写真,写真立て」と補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由(要点) 原査定は、「本願商標は、『STEP UP』の文字を標準文字で表してなり、『上の段階へ進むこと(広辞苑第六版)』等の意味を有する親しまれた語であり、『学力・知力等についてステップアップするための参考書・問題集』等の分野において、『ステップアップ』の語が、新聞記事やインターネット上のウェブサイトにおいて、『問題集』に使用されている実情が認められる。そうすると、本願商標は、これをその指定商品中『印刷物』のうち『参考書,問題集』に使用するときは、『学力・知力等についてステップアップするための商品』程の意味合いを認識させるにすぎず、需要者が何人の業務に係る商品であることを認識することができない商標と認められる。したがって、本願商標は、その指定商品中『印刷物』との関係においては商標法第3条第1項第6号に該当し、前記商品以外の『印刷物』に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)本願商標は、上記1のとおり、「STEP UP」の欧文字を標準文字で表してなるものであり、該文字(語)は、「ステップアップ(上の段階へ進むこと。)」を意味する平易な英熟語である。 ところで、原審における拒絶理由通知書において示した新聞記事及びインターネット上のウェブサイト(別掲1)によれば、商品「書籍」において、「ステップアップ(STEP UP)」の文字が使用されている事実が認められる。 これらの事実からすれば、「ステップアップ」の片仮名は、商品「書籍」において、ステップアップするための内容が記載されていることを表す語として一般に使用され、かつ、取引者、需要者に認識されているというのが相当である。 そして、本願商標は、「STEP UP」の欧文字を表してなるところ、該文字は、「ステップアップ」の片仮名と同様の意味合いを認識させることから、該欧文字についても、前述と同様のことがいえるものとみるのが相当である。 このことは、原審で挙げた事例の他、例えば、別掲2に示すインターネット上のウェブサイトの記載からも裏付けられるものである。 そうとすると、「STEP UP」の欧文字からなる本願商標は、これをその指定商品中「書籍」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該書籍には「ステップアップするための内容が記載されている」と認識するにとどまり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきである。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、別掲1の「ステップアップ」の使用は、商標権の侵害となる行為であり、証拠としての正当性に欠ける旨主張している。 しかしながら、商標権の侵害となるか否かは、事件ごとに個別に判断されるものであって、予断できるものではないから、侵害となることを前提とした請求人の主張は採用できない。 イ 請求人は、「ステップアップ」の語は、「広辞苑第五版」や岩波書店発行の国語辞典には未掲載であり、また、「STEP UP」の語は、いくつかの英和辞典には「上の段階へ進むこと。」の意味が明確に記載されていない旨主張している。 しかしながら、例えば「コンサイスカタカナ語辞典第2版」(2000年11月発行)の「ステップアップ(step up)」の項には「段階的に向上・進歩すること。」の記載、「広辞苑第六版」(2008年1月発行)の「ステップアップ(step up)」の項には「上の段階へ進むこと。」の記載、さらに、「現代用語の基礎知識」(2013年1月発行)の「ステップアップ(step-up)」の項には「段階的上昇。一段上の地位に上がること。」の記載がそれぞれ認められるものである。 加えて、別掲1及び2において示したとおり、「ステップアップ」及び「STEP UP」の語が一般に使用されていることからすると、たとえ一部の辞典に該語が未掲載又は意味が明確に記載されていないとしても、該語は一般に親しまれた平易な語であるとみるのが相当である。 ウ 請求人は、平成12年(行ケ)第164号の判決の一部を引用した上で、ウェブサイトの検索エンジンでキーワードとして「ステップアップ」を入力して得られた情報は、能動的情報であって、誰もが受動的に知り得る情報ではないことから、事実を客観的に示す資料にはならない旨主張している。 しかしながら、前記判決は、インターネットにより入手したものと認められる中国の地方紙にすぎない黒龍江日報の記事について、これを我が国の取引者、需要者の認識についての直接の根拠とすることはできないと説示したものであるから、我が国の出版社若しくは書店のウェブサイト又はショッピングサイト等の情報である別掲1及び2の情報には当てはまるものとはいえない。 エ 請求人は、「ステップアップ」又は「STEP UP」の文字を含むいくつかの登録例を挙げ、また、「ステップ・アップ」の文字からなる商標が商標法第4条第1項第11号により拒絶された事例を挙げている。 しかしながら、商標が自他商品の識別標識としての機能を有するか否かの判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案し、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものであるから、たとえ請求人の挙げる登録例や拒絶された事例があるとしても、本願商標は前記(1)のとおり判断するのが相当である。 オ したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。 (3)以上のとおり、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、これを登録することはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 (1)2008年3月7日発行「西日本新聞」の朝刊18頁において、「宮崎県/日向市教育研究所 小中一貫教育のプラン発表 新学期から完全実施控え」の見出しの下、「算数・数学科部会では、中学校への入学直後に生徒が学習面でつまずくケースが多いことから、小学五、六年と中学一年向けに作成した『ステップアップ問題集』を紹介し、英会話科部会は独自教科書の概要などを報告した。」の記載がある。 (2)2005年5月8日発行「毎日新聞」の神奈川地方版25頁において、「新教育の森:大和市教委が問題集 算数・数学『楽しみながら』身に着けよう /神奈川」の見出しの下、「問題集(A4判、約100枚)はシート式。小学1年?中学3年までの9ステップとステップアップ版の全10段階。学力に応じて授業や家庭で活用できる。」の記載がある。 (3)「amazom.co.jp」のウェブサイトにおいて、「くわしい英文法ステップアップ問題集-中学1?3年」の記載とともに同タイトルの書籍の表紙が掲載されている。 (http://www.amazon.co.jp/くわしい英文法ステップアップ問題集?中学1~3年-シグマベスト-文英堂編集部/dp/457838277X) (4)「amazom.co.jp」のウェブサイトにおいて、「ステップアップ問題集 日商簿記1級 工業簿記・原価計算」の記載とともに同タイトル(「STEP UP」の文字に「ステップアップ」の文字が併記されている。)の書籍の表紙が掲載されている。 (http://www.amazon.co.jp/ステップアップ問題集-日商簿記1級-工業簿記・原価計算-大原簿記学校/dp/4872586271) (5)「紀伊國屋書店」のウェブサイトにおいて、「電験三種ステップアップ問題集〈平成24年度試験版〉-合格への総仕上げ!」の記載とともに同タイトルの書籍の表紙が掲載されている。 (http://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784407322378) (6)「Google」のウェブサイトにおいて、「U‐CANの漢字検定2級ステップアップ問題集[書籍]」の記載がある。 (http://www.google.co.jp/products/catalog?hl= ja&as_epq=&as_oq=&as_eq=&as_nlo=&as_nhi=&lr=&cr=&as_qdr=all&as_sitesearch=&as_occt=&safe=images&as_filetype=&as_rights=ライセンスでフィルタリングしない&q=ステップアップ 問題集&um=1&ie=UTF-8&tbm=shop&cid=1046657883839081100#) (7)「七賢出版」のウェブサイトにおいて、「教員採用試験オープンセサミシリーズステップアップ問題集」の記載とともに同タイトルの書籍の表紙が掲載されている。 (http://www.shichiken.co.jp/shop/cate_kyosai/item_detail.html?no=5) (8)「US-ism」のウェブサイトにおいて、「腹部エコー ステップアップ問題集2」(「2」はローマ数字。)の記載とともに同タイトルの書籍の表紙が掲載されている。 (http://us-ism.net/text4.html) (9)「ファイナンシャルプランナーになる!2級FP技能士無料ポイント講座」のウェブサイトにおいて、「短時間で、極力お金をかけずに一発合格したい! そんなあなたに送るFP試験対策問題集」の見出しの下、「合格応援!ステップアップ問題集」の記載がある。 (http://homepage3.nifty.com/FPginoushi/fpmonndaisyuu.html) (10)「TSUTAYA ONLINE」のウェブサイトにおいて、「教員採用試験 ステップアップ問題集 2011/東京アカデミー」の記載とともに同タイトルの書籍の表紙が掲載されている。 (http://www.tsutaya.co.jp/works/40850629.html) 別掲2 (1)「医歯薬出版株式会社」のウェブサイトにおいて、「実力STEP UP 問題形式による尿沈渣の鑑別」の記載とともに同タイトルの書籍の表紙が掲載されている。 (http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=221660) (2)「noa出版」のウェブサイトにおいて、「機能ごとにSTEP UP! Officeソフトで作る文書ドリル全55題」の記載とともに同タイトルの書籍の表紙が掲載されている。 (https://noa-prolab.co.jp/store/products/detail.php?product_id=5) (3)「INFOTECH SERVE」のウェブサイトにおいて、「出版・情報」の見出しの下、「書籍名」の欄に「基本情報STEP UP演習アルゴリズム対策」の記載とともに同タイトルの書籍の表紙が掲載されている。 (http://www.infotech-s.co.jp/syuppan/syuppan_s27.html) (4)「Google」のウェブサイトにおいて、「電気管理士試験step-up問題集」の記載がある。 (http://books.google.co.jp/books/about/電気管理士試験step_up問題集.html?id=TKBFNQEACAAJ&redir_esc=y) (5)「楽天ブックス」のウェブサイトにおいて、「中文Step up 中国語初級?中級テキスト」の記載がある。 (http://books.rakuten.co.jp/rb/中文Step-up-中国語初級?中級テキスト-人見豊-9784891747428/item/3751578/) (6)「新紀元社」のウェブサイトにおいて、「プラモデル STEP UP テクニックガイド」の記載とともに同タイトルの書籍の表紙が掲載されている。 (http://w3.shinkigensha.co.jp/books/4-7753-0351-1.html) なお、下線は、合議体が付与したものである。 |
審理終結日 | 2013-04-23 |
結審通知日 | 2013-04-26 |
審決日 | 2013-05-09 |
出願番号 | 商願2012-53002(T2012-53002) |
審決分類 |
T
1
8・
16-
Z
(X16)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 岩本 和雄 |
特許庁審判長 |
渡邉 健司 |
特許庁審判官 |
山田 啓之 前山 るり子 |
商標の称呼 | ステップアップ |
代理人 | 松宮 尋統 |
代理人 | 押本 泰彦 |