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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201219955 審決 商標
不服201127129 審決 商標
不服2012650094 審決 商標
不服20137095 審決 商標
不服2013650062 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 X12
審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 取り消して登録 X12
管理番号 1276374 
審判番号 不服2011-21614 
総通号数 164 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-10-06 
確定日 2013-07-08 
事件の表示 商願2009-14550拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第12類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成21年3月2日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同年8月10日付け及び当審における同24年12月25日付けの手続補正書により、最終的に、第12類に属する別掲2に記載したとおりの商品に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、以下の(1)及び(2)のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)商標法第6条第1項及び第2項について
本願に係る指定商品中「船舶の部品及び附属品」以外の商品は、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められず、また、上記指定商品が不明確でその内容及び範囲が把握できないことから、政令で定める商品及び役務の区分に従って第12類の商品を指定したものと認めることもできない。したがって、本願は、商標法第6条第1項及び第2項の要件を具備するものではない。
(2)商標法第3条第1項第4号及び同法第3条第2項について
本願商標は、商品の記号・符号として一般に使用されているローマ字の1字『N』を円形内に表示するにすぎないので、これは極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。また、出願人は、本願商標が同法第3条第2項の要件を具備する旨主張し、証拠を提出しているが、上記証拠からは、出願人が、本願商標をその指定商品について使用した結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったと認められないから、本願商標は、同法第3条第2項の要件を具備するものではない。

3 当審の判断
(1)商標法第6条第1項及び第2項について
本願に係る指定商品中「船舶の部品及び附属品」以外の商品は、原審における平成21年8月10日付けの意見書及び手続補足書によれば、第12類「船舶の部品及び付属品」の範ちゅうに含まれるものであって、その内容及び範囲を把握することができるものである。
したがって、本願は、商標法第6条第1項及び第2項の要件を具備するものである。
(2)商標法第3条第1項第5号について
本願商標は、別掲1のとおり、肉太の円輪郭内に、太字のローマ字「N」(上下左右の角が円形の内側に接している。)を表してなるところ、その構成中の「N」のような単なるローマ字の1文字は、商品の規格、型式又は品番等を表示するための記号・符号として商取引上日常広く用いられるものであり、また、これに円形、正方形等の簡単なありふれた輪郭を施し、記号として使用することも一般に行われているものである。
してみれば、上記構成からなる本願商標は、これを本願の指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品の規格、型式又は品番等を表示するための記号・符号の一類型を表示したものと理解するにとどまるというのが相当であって、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標といわざるを得ない。
(2)商標法第3条第2項について
請求人は、本願商標(以下「マルN標章」という場合がある。)が商標法第3条第2項の要件を具備する旨を主張し、証拠方法として、第1号証ないし第30号証を提出している。
ア そこで、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて検討するに、上記証拠方法及び別掲3に記載した職権調査によれば、以下の事実が認められる。
(ア)請求人は、大型船舶で使われるバルブを中心に船舶用品、スプレーノズルなどの開発製造、販売を行う会社であり、1950年(昭和25年)10月10日に創立され、当該業界では国内首位のマーケットシェアがあるといわれている(第9号証、別掲3記載の新聞記事)。
(イ)1968年5月頃から1993年5月頃を作成日とする指定商品の各図面によれば、該図面の右下の欄に「『マルN標章』 NIIKURA KOGYO CO., LTD.」の記載がある(第5号証及び第22号証)。また、該図面中、「NC No 4」の「エダクター一覧表」(1968年5月27日付け作成)(第5号証)及び「NC No 37C」の「SELF CLOSING COVER FOR SOUNDING PIPE」(1993年5月25日付け作成)(第22号証)の図面においては、商品の図面上に「マルN標章」が描かれている。さらに、第5号証の表紙には、「『マルN標章』 標準品図面集/『マルN標章』 STANDARD VALVE & FITTING DRAWINGS FOR MRINE」の記載があり、その裏表紙には、中央部に「マルN標章」、その下方にやや離れて「新倉工業株式會社」の文字及び住所、電話番号等の記載がある。
(ウ)請求人は、「マルN標章」を指定商品に直接刻印して使用している(第1号証ないし第3号証、第5号証及び第6号証)。
(エ)請求人が提出する指定商品に係るカタログ類(第1号証ないし第4号証)には、1983年以降に発行されたと推認されるもの及び2008年版のものが含まれるところ、当該カタログ類には、「Marine Equipments & Pipe Fittings」、「NIIKURA CORPORATION」、「Niikura Kogyo Co., Ltd.」及び「新倉工業株式會社」の表示の右隣に、いずれも、赤色の「マルN標章」が一貫して表示されている。
オ 本願の指定商品は、船舶の部品及び付属品であって、その取引者、需要者は、造船会社を主とする船舶関係の会社であるところ、請求人が提出する受注実績表、出荷案内書、物品受領書等によれば、請求人は、本願の指定商品について、1969年(昭和44年)頃から2011年頃までに、日本全国の主な造船会社と取引をしていることが認められ(第7号証、第8号証、第19号証ないし第21号証、第24号証)、それは、現在においても継続していることが推認される。
イ 以上の事実よりすれば、請求人は、本願の指定商品について、1968年5月頃から、本願商標と同一視し得る「マルN標章」の使用を開始し、現在に至るまでの50年以上の間、該標章の使用を継続するとともに、その販売取引は日本全国の造船会社にわたるものとなっており、また、大型船舶で使われるバルブを中心に船舶用品、スプレーノズル等の業界においては、国内首位のマーケットシェアを有することがうかがえるものである。
してみれば、本願商標は、その指定商品について、請求人により使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものとなっていると判断するのが相当であるから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。
(3)まとめ
以上のとおり、本願は、商標法第6条第1項及び第2項の要件を具備するものであり、かつ、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するものであるとしても、同法第3条第2項の要件を具備するものである。
したがって、原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1
本願商標


別掲2
本願の指定商品
第12類「船舶用主機潤滑油逆洗式こし器,船舶用主機・補機燃料油逆洗式こし器,船舶用燃料油管及びタンクの非常用遮断弁,船舶用燃料油管装置の自動ガス排出弁,船舶用燃料油管装置の逆流防止弁,船舶の排水管及び汚水衛生管用の波止弁,船舶の汚水衛生管用のソイル管分岐装置,船舶の汚水衛生管装置用のフロート式空気抜き弁(船舶部品),船舶用排水トラップ,船舶用排水孔プラグ,空気管頭(船舶部品),測深管キャップ(船舶部品),注水管キャップ(船舶部品),甲板金物(船舶部品),測深管用自動閉鎖仕切弁(船舶部品),測深管用自動閉鎖コック(船舶部品),シグナル付測深管用自動閉鎖仕切弁(船舶部品),測深管用自動閉鎖カバー(船舶部品),ビルジ排出用複動式手動ポンプ(船舶部品),ビルジ排出用手動ポンプ(船舶部品),ビルジ・バラスト及び荷油の排出用エダクター(船舶部品),ビルジ排出用の自動閉鎖弁(船舶部品),荷油ライン及びバラストライン用の横型逆止弁(船舶部品),ホールドビルジサクション管用のスムース逆止弁(船舶部品),デッキスタンド(船舶部品),フラッシュ型デッキピース(船舶部品),サーフェースバルブ(船舶部品),船舶の温水製造用のスチームサイレンサー,船舶の温水製造用のミキシングノズル,船舶の高速排気管頭,船舶の真空弁,船舶のガスフリーベントカバー,船舶のピストン式ブリザーバルブ,船舶のバイパス式ブリザーバルブ,船舶のウエイト式ブリザーバルブ,船舶用フレームスクリーン,船舶のガスライン用バタフライ弁,船舶のガスライン用逆止弁,船舶の荷油ライン用逆止弁,船舶の荷油ライン用ブラインドバルブ,船舶用タンククリーニングマシン,低温液化ガス船用ガスレリーフバルブ,低温液化ガス船用エダクター,低温液化ガス船用緊急オープンカバー,低温液化ガス船用スプレーノズル」

別掲3
(1)2010年1月9日付け静岡新聞(朝刊18頁 静岡 1東)の「富士御殿場工業団地に初の県外企業移転 雇用、経済効果に期待」の見出しの下、「御殿場市神場の富士御殿場工業団地に船舶・プラント製品製造の『新倉工業』(本社東京)が進出し、このほど操業を始めた。県外企業の移転は同団地で初めてで、雇用創出や経済効果に期待が高まっている。同社は大型船舶や発電所、化学工場で使われるバルブやノズルなどの製造を手掛け、国内トップクラスのシェアを誇る。九州、瀬戸内地域の造船所への流通を強化するため福島県内の製造拠点を新工場に集約する。」の記載がある。
(2)2010年3月30日付け静岡新聞(朝刊25頁 静岡 政経2)の「ビジネスin SHIZUOKA=新倉工業・新倉太社長-現場に足運び生産管理」の見出しの下、「大型船舶で使われるバルブを中心に船舶用品、スプレーノズルなどの開発製造、販売を手掛ける。1950年創業で業界では国内屈指のシェアを誇る老舗。」の記載がある。
(3)2012年1月9日付け日本経済新聞(朝刊15頁)の「『大企業以外』若手の選択、新規事業を担当、1年目で広報業務(キャリアアップ)」の見出しの下、「専門分野で高いシェアを持つ企業で研さんを積む道もある。船舶用バルブで国内首位の新倉工業(東京・品川)の営業部に勤める●●●さん(25)は新卒1期生として09年、従業員100人強の同社に入社した。」の記載がある。

審決日 2013-06-26 
出願番号 商願2009-14550(T2009-14550) 
審決分類 T 1 8・ 17- WY (X12)
T 1 8・ 15- WY (X12)
最終処分 成立  
前審関与審査官 橋本 浩子原田 信彦 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 池田 佐代子
手塚 義明
商標の称呼 マルエヌ、エヌ 
代理人 藤木 博 

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