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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900307 審決 商標
異議2012900220 審決 商標
異議2012900265 審決 商標
異議2012900206 審決 商標
異議2012900292 審決 商標

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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W09
審判 一部申立て  登録を維持 W09
審判 一部申立て  登録を維持 W09
審判 一部申立て  登録を維持 W09
審判 一部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1274063 
異議申立番号 異議2012-900350 
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-12-03 
確定日 2013-04-30 
異議申立件数
事件の表示 登録第5518521号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5518521号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5518521号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成24年3月28日に登録出願、第9類「コンピュータプログラム,コンピュータソフトウェア,インターネットを利用して受信し・及び保存することができる画像ファイル,電子出版物,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し・及び保存することができる音楽ファイル,録音済み又は録画済みのコンパクトディスク」及び第16類「書籍,印刷物,文房具類」を指定商品として、同年8月7日に登録査定、同月31日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、次の(1)ないし(8)に示すとおりのものである。
(1)登録第4138519号商標(以下「引用商標1」という。 甲2の1、甲2の9)
商標の構成 別掲2のとおり
出願日 昭和64年1月5日
登録日 平成10年4月24日
指定商品(指定商品の書換登録後) 第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品(排気ガス浄化用触媒コンバータ用の電子制御装置を除く),磁心,抵抗線,電極」
(2)登録第398749号商標(以下「引用商標2」という。甲2の2)
商標の構成 「CAT」
出願日 昭和24年11月1日
登録日 昭和26年5月21日
指定商品(指定商品の書換登録後) 第7類及び第12類に属する商標登録原簿に記載の商品
(3)登録第401687号商標(以下「引用商標3」という。甲2の3)
商標の構成 「CAT」
出願日 昭和25年11月22日
登録日 昭和26年8月9日
指定商品(指定商品の書換登録後) 第7類、第9類及び第12類に属する商標登録原簿に記載の商品
(4)登録第1551140号商標(以下「引用商標4」という。甲2の4)
商標の構成 「CAT」
出願日 昭和48年4月23日
登録日 昭和57年11月26日
指定商品(指定商品の書換登録後) 第7類、第8類及び第12類に属する商標登録原簿に記載の商品
(5)登録第1847494号商標(以下「引用商標5」という。甲2の5)
商標の構成 「CAT」
出願日 昭和48年4月23日
登録日 昭和61年3月26日
指定商品(指定商品の書換登録後) 第12類に属する商標登録原簿に記載の商品
(6)登録第2476927号商標(以下「引用商標6」という。甲2の6)
商標の構成 別掲2のとおり
出願日 昭和64年1月5日
登録日 平成4年11月30日
指定商品(指定商品の書換登録後) 第7類、第8類及び第12類に属する商標登録原簿に記載の商品
(7)登録第2484093号商標(以下「引用商標7」という。甲2の7)
商標の構成 別掲2のとおり
出願日 昭和64年1月5日
登録日 平成4年12月25日
指定商品(指定商品の書換登録後) 第12類に属する商標登録原簿に記載の商品
(8)登録第2560864号商標(以下「引用商標8」という。甲2の8)
商標の構成 別掲2のとおり
出願日 昭和64年1月5日
登録日 平成5年7月30日
指定商品(指定商品の書換登録後) 第9類、第20類及び第28類に属する商標登録原簿に記載の商品
なお、引用商標1ないし引用商標8をまとめて「引用商標」という場合がある。また、「CAT」の文字からなる商標を「引用CAT商標」という場合があり、別掲2の構成からなる商標を「引用ロゴ商標」という場合がある。

3 登録異議申立ての理由
本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、その指定商品中、第9類の全指定商品について、その登録を取り消されるべきである。
(1)商標法第4条第1項第11号
ア 引用商標の周知著名性
申立人は、1925年に米国で設立され、現在では、23か国に110の製造拠点を有し、建築及び鉱業機械、ディーゼル及び天然ガスエンジン、産業用ガスタービンエンジンの世界最大の製造会社である。申立人は、ニューヨーク取引証券所に上場しており、該市場では、CATで指標され、商標「CAT」は、申立人のメインのマークであり、1949年以来使用されているものであり、世界約200か国で販売されている申立人の商品のほとんどに使用されている。そして、申立人は、世界中で引用商標を使用した商品について広告宣伝活動を行っており、引用商標は、日本国内及び国際的に周知著名商標である。
イ 本件商標と引用商標の類似性
本件商標は、「ELECTRIC」は「電気」を意味し、本件商標の指定商品との関係では、その特質等を単に意味する英単語であって、識別力の極めて弱い語であり、また、観念的にも「CAT」と「ELECTRIC」とは何ら結合して特定の観念を表示するものではない。そして、引用商標の周知著名性にかんがみれば、本件商標は、「CAT」の部分が要部を形成して、「キャット」の称呼を生じることは明らかである。
そして、引用商標からも「キャット」の称呼を生じる。
したがって、本件商標は、引用商標と称呼において類似するものであり、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号
本件商標は、申立人所有の周知著名な引用商標と類似又は近似するものであり、申立人の建機等には電子応用機械器具、電気通信機械器具が搭載され、本件商標の指定商品と引用商標が使用され周知著名になっている商品との関連性は極めて高く、当該商品の取引者、需要者が共通している度合いも高い。
してみれば、本件商標に接した需要者、消費者は、引用商標を連想、想起し、本件商標の指定商品が申立人若しくは引用商標と何らかの関係があると混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号
本件商標は、申立人所有の周知著名な引用商標と実質的に同一の「CAT」が目立つように表記したものであり、引用商標の顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)するという不正の目的で使用するものである。
したがって、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第8号
「CAT」は、申立人のドメイン名であり、ニューヨーク証券取引所における申立人の略称も「CAT」となっているものであり、著名な略称である。本件商標は、申立人の著名な略称を含むものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第7号
本件商標は、引用商標の顧客吸引力にただ乗りし、当該顧客吸引力を不当に利用するものであり、取引秩序を乱すものというべきであるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断
(1)申立人の使用する商標の著名性について
申立人は、申立人の使用する商標の周知著名性に関して甲第3号証ないし甲第11号証及び甲第13号証(ただし、甲第13号証の2を除く。以上、枝番を含む。)を提出しているので、以下、検討する。
甲第3号証は、申立人の日本における関連会社である新キャタピラー三菱株式会社(以下「新キャタピラー三菱」という。)のウェブサイトの沿革が記載されたページであり、申立人が1925年に設立され、新キャタピラー三菱(前身を含む。)が1963年に設立され、同社がブルトーザ、油圧ショベル、ホイールローダなどを取扱い、その商品名に「CAT」を使用してきたこと及び当該商品に引用ロゴ商標が表示されていることが認められる。
甲第4号証の1ないし2の2は、米国の雑誌「BusinessWeek」誌に掲載された2001年ないし2007年におけるブランドランキングであるが、いずれも申立人に係るブランド「Caterpillar」に関するものである。
甲第5号証は、申立人のウェブサイトの申立人のブランドを説明するページ(英文)であり、引用ロゴ商標及び構成中に引用ロゴ商標を含む標章が掲載されている。
甲第6号証は、ドメイン名「cat.com」が申立人のドメイン名であることを示す、ネットワークソリューションによる検索結果である。
甲第7号証は、申立人が我が国において保有する「CAT」の文字からなる商標及び引用ロゴ商標等の商標一覧表である。
甲第8号証は、申立人のアニュアルレポートである。
甲第9号証の1は、新キャタピラー三菱による建設機械に関するカタログ、広告カレンダー及び電柱広告の写真であり、甲第9号証の2は、申立人の建設機械のテレビCMや新聞広告等の広告に関する新キャタピラー三菱のウェブサイトであり、乙第10号証は、新キャタピラー三菱が主催するプロゴルフ大会「CAT Ladies Golf Tournament」に関する同社のウェブサイトのページである。
甲第11号証は、ドイツ、スペイン及び米国における判決、異議決定、ドメイン名に係る仲裁決定であり、甲第13号証の1は、油圧ショベルに関するキャタピラージャパン株式会社(以下、当該会社及び新キャタピラー三菱を含めて「申立人」という場合がある。)のカタログであり、甲第13号証の3は、新キャタピラー三菱のチラシ(なお、具体的な広告の商品は不明)であり、同社の甲第13号証の4はホイールローダのカタログである。そして、上記甲第13号証に係るカタログ等によれば、引用ロゴ商標が申立人に係るハウスマークとして使用されていること及び申立人の取り扱う商品(建設機械)には、引用ロゴ商標が表示されていることは認められる。
しかしながら、これらの提出された証拠では、「CAT」の文字からなる商標が使用された事実は、新キャタピラー三菱のウェブサイト及び電柱に取り付けられた「CAT油圧ショベル」の看板(ただし、設置期間等は不明)のみであり、また、申立人の建設機械に引用ロゴ商標が表示されていることは認められるが、当該商品の我が国における販売台数等は不明であり、また、カタログ等において、引用ロゴ商標が使用されている事実は認められるものの、これらの作成時期、頒布状況等は不明である。したがって、これらの証拠をもって、引用商標が、本件商標の出願時及び登録査定時に需要者の間に広く認識されていたものとは認めることができない。なお、引用ロゴ商標が申立人の販売する建設機械に表示されていることから、建設機械等の需要者の間に広く認識されていると仮に認めることができるとしても、建設機械などを除く一般需要者の間に広く認識されていたものと判断することはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、上段に黒色の略四角形(以下「四角図形」という。)を配し、下段に「キャッツ電気」の文字を書してなるものであり、その四角図形内に猫の頭部を想起させる図形(以下「猫図形」という。)とその下に黄色の稲妻風の図形をはさんで同じ書体、同じ大きさのまとまりの良い態様で「CAT」と「ELECTRICS」の文字(末尾の「S」は稲妻風の上記図形と同一形状であり、大きさは他の文字と同じものである。)を白抜きで配したもの(以下「図形内文字部分」という。)である。さらに、図形内文字部分中の黄色の稲妻風の図形は、欧文字「S」の特長を有し、上記文字部分の末尾の「S」と同様に表されて、また、下段の文字中の「キャッツ」が「CATS」の発音に相応することから、上記稲妻風の図形は、「S」を表したものと認識され、図形内文字部分は、「CATS ELECTRICS」の文字を表されたものと理解されるものである。
そして、上記文字は、四角図形内に手書き風の書体でまとまりよく表されて構成全体が一体のものとして認識され、「キャッツエレクトリックス」の称呼を生じ、また、「キャッツ電気」の文字部分もその構成全体が一体のものと認識され、「キャッツデンキ」の称呼を生じ、いずれも特定の観念を生じないものというのが相当である。なお、図形部分からも直ちに特定の観念を生じるとまではいえない。
申立人は、「ELECTRIC」の文字が「電気」を意味する英単語であり、本件商標の指定商品との関係ではその特質等を記述するにすぎない語であり、識別力の弱い語であることから、本件商標の「CAT」の部分が要部を形成し、本件商標から「キャット」の称呼を生じると主張している。
しかしながら、本件商標の図形内文字部分は、上記のとおり、「CATS ELECTRICS」の文字を表したものと理解されるものであり、上記文字中の「CAT」の文字部分のみが取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとはいえないから、その主張は採用できない。
イ 引用商標について
引用商標1及び6ないし8(引用ロゴ商標)は、別掲2のとおり、「CAT」の文字を中央の「A」の文字の横棒中央部を頂点に左右の文字にかけて三角に削り、各文字との間に空白部をおいて三角形を配してなるものである。そして、当該引用ロゴ商標は、「C」、「A」及び「T」の各文字からなるロゴタイプとして認識されるから、「シーエーティー」の称呼を生ずるが、猫を意味する「cat(CAT)」をデザインしたものとまでは理解されるといえないから、「キャット」の称呼は生ぜず、引用ロゴ商標は、特別の観念は生じないものと認められる。
また、引用商標2ないし5(引用CAT商標)は、前記1のとおり、特長のないありふれた書体の「CAT」の文字からなる商標であるから、「シーエーティー」の称呼を生じ、また、猫を意味する「cat」とは大文字と小文字の違いであるから、「キャット」の称呼を生じ、「猫」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標とは、それぞれ、前記ア及びイのとおりの構成よりなるから、外観上明らかに区別できるものである。
また、本件商標から生ずる「キャッツエレクトリックス」及び「キャッツデンキ」の称呼を引用商標から生ずる「シーエーティー」及び「キャット」の称呼をそれぞれ比較するに、本件商標の各称呼と引用商標の各称呼とはいずれも音数及び音構成において顕著な差異を有するものであるから、これらを称呼しても相紛れるおそれはないものである。
さらに、本件商標は、特定の観念を生じないものであるから、引用商標とは、観念において比較できないものである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
また、本件商標の指定商品は、引用商標1、同3及び同8の指定商品と同一又は類似の商品を含むものであることは認められるが、その余の引用商標の指定商品とは、生産部門、用途等を異にする非類似の商品であると判断できる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、前記(1)のとおり、我が国において、その需要者の間に広く認識されていたものとはいえないものであり、また、「CAT」の文字自体は、「猫」を意味する語であって、その独創性も高いものではなく、また本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、非類似のものであって、別異の商標というべきものであり、さらに引用商標が使用されている建設機械と本件商標の指定商品とは、その用途、生産部門等が相違し、その関連性も高くはないから、これらを総合して考慮するならば、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者、取引者が引用商標を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について誤認混同を生ずるおそれもないと判断できる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものということはできない。
(4)商標法第4条第1項第7号及び同項第19号について
本件商標は、引用商標とは前記(2)のとおり、非類似の商標であり、加えて、本件商標は、その構成中に「CAT」の文字があるとしても、該文字は、「猫」を意味し、また、猫図形を有してなるから、申立人の業務に係る引用商標とを関連づけなければならないような格別の事由は見出せず、さらに、本件商標が引用商標の顧客吸引力にただ乗りしたり、不当に利用するなど、不正の目的をもって使用するものであることを具体的に示す証拠は一切見当たらない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に違反して登録されたものということはできない。
(5)商標法第4条第1項第8号について
提出された証拠には、申立人の略称として「CAT」が使用されている事実は認められないから、「CAT」が、本件商標の登録出願前より著名な略称であったとは認められない。
そうすると、本件商標は、他人の著名な略称を含む商標とはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものということはできない。
(6)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標

(色彩は原本参照)

2 引用商標1及び6ないし8


異議決定日 2013-04-19 
出願番号 商願2012-23887(T2012-23887) 
審決分類 T 1 652・ 23- Y (W09)
T 1 652・ 271- Y (W09)
T 1 652・ 262- Y (W09)
T 1 652・ 222- Y (W09)
T 1 652・ 22- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 蛭川 一治 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 谷村 浩幸
小川 きみえ
登録日 2012-08-31 
登録番号 商標登録第5518521号(T5518521) 
権利者 株式会社松田康利事務所
商標の称呼 キャッツエレクトリックス、キャッツデンキ、キャッツ、エレクトリックス、デンキ 
代理人 中山 健一 
代理人 小島 高城郎 
代理人 安本 真珠美 
代理人 宮下 桂輔 
代理人 井坂 洋子 

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