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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2012890081 審決 商標
無効2012890080 審決 商標

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審決分類 審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X14
管理番号 1274016 
審判番号 無効2012-890076 
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-09-05 
確定日 2013-05-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第5476707号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5476707号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5476707号商標(以下「本件商標」という。)は、「NORTH cafe&craft」の文字を標準文字により表してなり、平成23年6月27日に登録出願され、第14類「キーホルダー,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属製靴飾り,時計」を指定商品として、同24年2月20日に登録査定、同年3月9日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第13号証を提出している。
1 無効事由
本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号又は同第19号に該当し、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効にすべきものである。
2 無効の原因
(1)本件商標の出願時には、本件商標と同一の文字からなる商標「NORTH cafe & craft」(以下「引用商標」という。)が請求人の業務に係る商品を表示するものとして、手造りのシルバーアクセサリー及びレザークラフト商品の需要者の間に広く認識されていたものである。
(2)手造りのシルバーアクセサリー及びレザークラフト商品は、量産品のシルバーアクセサリーやレザークラフト製品に満足しなくなり、他人の物とは違うオンリーワンのアクセサリーを求めるようになってきた需要者が増加したために、これに対応して需要者の希望に添ってデザインやサイズ等を指定して製作される商品である。現在、このような手造りのシルバーアクセサリー及びレザークラフト商品は主としてインターネットを介して販売される市場で扱われており、その市場規模は拡大しつつある。
(3)本件商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、手造りのシルバーアクセサリー及びレザークラフト商品の需要者の間に広く認識されていた引用商標と同一又は類似の商標であるので、商標法第4条第1項第10号又は同第15号に該当するものである。
(4)本件商標の出願時の平成23年6月27日には、本件商標の出願人は請求人会社の役員であり、本件商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして知られた引用商標を権利の継承も無く不正に出願したものであるから、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標に該当するので、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
(5)本件商標が、請求人の業務に係る商品と関係の無い商品に使用されると、請求人の業務に係る商品を表示するものとして手造りのシルバーアクセサリー及びレザークラフト商品の需要者の間に広く認識されている引用商標にただ乗り(free ride)することになり、商品の出所の混同を生じるだけでなく、請求人の業務上の信用を害し商品流通社会の秩序を害することになる。
このため、本件商標は、引用商標を不正の目的をもって使用することになるので、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。
以下にその理由を証拠に基づいて詳細に説明する。
3 本件商標の商標法第4条第1項第10号又は同第15号該当性について
(1)引用商標が、請求人の業務に係る商品を表示するものとしてシルバーアクセサリー及びレザークラフト商品の需要者の間に広く認識されていた事実を以下に説明する。
(2)引用商標の態様、外観について
引用商標の態様及び外観は、甲第2号証として提出した、請求人のインターネットのホームページの表ページに示されているような「NORTH cafe & craft」であり、本件商標と同一のものである。
(3)引用商標の使用に係る商品の製造と販売の方法について
引用商標の使用に係るシルバーアクセサリー及びレザークラフト商品の製造は、本件商標の登録出願前の平成18年4月に設立された請求人によって、請求人設立時より行われていた。
引用商標の使用に係るシルバーアクセサリー及びレザークラフト商品の販売は、自社の直営店と80店を超える取引先の販売店により、主としてインターネットによる各種の広告による販売を中心に行われていた。この事実を甲第2号証ないし同第6号証及び同第12号証により立証する。
ア 甲第12号証は、請求人の履歴事項全部証明書である。この記載内容より明らかなように、請求人は、シルバーアクセサリー及びレザークラフト商品を含む服飾雑貨の販売と、販売代理店販売のためのフランチャイズ契約及び経営指導をその目的に含んで、平成18年4月3日に設立されている。
イ 甲第2号証は、請求人のインターネットのホームページであり、「NORTH cafe & craft」のブランドが大きく表示されている。このホームページは、2008年11月26日にリニューアルされたことが示されており、2008年11月以前よりインターネットにより「NORTH cafe & craft」のブランドが多くの人に閲覧可能の状態にあったことを示す資料である。
ウ 甲第3号証は、インターネットの「楽天市場」に、請求人の取引先の「BANANAFISH」が、各種のシルバーアクセサリー商品を販売するために「NORTH cafe & craft」のブランドで出店していた商品広告の一部を示す資料である。
「BANANAFISH」は、添付の請求書(控)に示すように、請求人とは平成19年より取引が行われており、「楽天市場」への出店もこの頃より行われている。
エ 甲第4号証は、2011年9月28日にインターネットの「Google」の検索サイトにより、楽天市場に「BANANAFISH」が「NORTH cafe & craft」のブランドの各種のシルバーアクセサリー商品を販売していることが検索されていることを示す資料である。「オーブ ノースカフェ アンド クラフト」のキーワードで68,000件がヒットしたことを示している。
オ 甲第5号証は、請求人の取引先の「SHIPS」が「NORTH cafe & craft」のブランドで各種のシルバーアクセサリー商品を販売するために、インターネットに出店していた商品広告の一部を示す資料である。取引先「SHIPS」より請求人に提出された取引開始連絡書に示されるように、2007年10月31日付けで取引が開始されており、この頃よりインターネットの出店が行われている。
カ 甲第6号証は、インターネットの「Yahoo」の検索サイトにより、「SHIPS」が「NORTH cafe & craft」のブランドの各種のシルバーアクセサリー商品を販売していることが検索されていることを示す資料である。「NORTH cafe & craft」のブランドの各種のシルバーアクセサリー商品が、「今、お買い得噂の人気アイテム関連商品」にリストアップされている。
上記の各証拠は、引用商標が請求人の業務に係る商品を表示するものとして、手造りのシルバーアクセサリー及びレザークラフト商品の需要者の間に広く認識されていたことを示す資料である。
(4)引用商標の使用に係る商品の販売活動に使用されていた販売資料について
引用商標の使用に係るシルバーアクセサリー及びレザークラフト商品の販売活動に使用されていた販売資料の一例を甲第7号証及び同第8号証により示す。
これらの販売資料からも、引用商標が需要者の間に広く認識されていたことが類推される。
ア 甲第7号証は、請求人が「NORTH cafe & craft」のブランドで各種のシルバーアクセサリー商品を販売するために作成し、販売取引先や一般顧客に配布したカタログの一部を示す資料である。
イ 甲第8号証は、請求人が「NORTH cafe & craft」のブランドで各種のシルバーアクセサリー商品を販売するために、「NORTHcafe & craft」のブランドの名刺やゴム印を作成していたことを示す資料である。
(5)引用商標の使用に係る商品の販売期間、販売数量及び金額について
請求人が販売しているシルバーアクセサリー及びレザークラフト商品は、1992年より横浜で販売されたものであるが、甲第12号証の履歴事項全部証明書に示すように、平成18年4月に請求人が設立され、横浜の販売を引き継いで「NORTH cafe & craft」のブランドで製造販売を開始したものである。このため、請求人による引用商標の使用に係るシルバーアクセサリー及びレザークラフト商品の販売は、本件商標の出願時の平成23年6月までの間の約5年間にわたって継続的に行われていた。
この5年間における請求人による販売活動の結果、本件商標の出願時の平成23年の1年間の販売金額は、甲第11号証に示す請求人の会計事務を扱っている名倉会計事務所の平成22年12月1日から平成23年11月30日までの損益計算書に示すように、シルバーアクセサリー及びレザークラフト商品の販売金額は、60,557,280円(本社ノースカフェの売上11,806,314円、取引先販売店の売上48,750,966円)の実績を上げている。取引先販売店の売上金額は、卸価格であるので、実際の販売金額はこの約2倍の120,000,000円程度になる。商品数では、約9,000点であった。
この販売数量と金額は、個人の趣向の強いシルバーアクセサリー及びレザークラフト製品の分野においては、大きな割合を占めているものであり、本件商標の出願時には、引用商標がシルバーアクセサリー及びレザークラフトの需要者の間に広く認識されていた事実を示している。
(6)引用商標がシルバーアクセサリー及びレザークラフトの需要者の間に広く認識されていた商標となっていたことを示す専門雑誌の取材記事を次に示す。
引用商標は、本件商標の出願時には、シルバーアクセサリー及びレザークラフト商品の需要者の間に広く認識されていた商標となっていた結果、シルバーアクセサリー及びレザークラフトの専門雑誌に取材記事として掲載された実績があるので、これを甲第9号証及び同第10号証として提出する。
ア 甲第9号証は、雑誌「フリー&イージー」(2008年3月1日発行)に掲載された、請求人の「NORTH cafe & craft」のブランドの各種のシルバーアクセサリーの紹介記事を示した資料である。雑誌「フリー&イージー」は毎回10万部発行される雑誌で、同様の紹介記事が、2007年6月号、2009年7月別冊、2007年10月号にも掲載されている。
イ 甲第10号証は、雑誌「レザークラフト」(2010年5月14日発行)に掲載された、請求人の「NORTH cafe & craft」のブランドのシルバーアクセサリーの製造工程の紹介記事を示した資料である。
(7)小括
上記のとおり、引用商標は、シルバーアクセサリー及びレザークラフトの需要者の間に広く認識されていた商標となっていたことは明らかな事実であるから、本件商標をその登録出願人が使用すると他人の業務に係る商品と混同を生じるおそれがあるので、本件商標は、商標法第4条第1項第10号又は同第15号に該当るものであり、その登録を無効にすべきものである。
4 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
(1)本件商標は、請求人が本件商標出願時以前の平成18年4月から製造販売している各種のシルバーアクセサリー及びレザークラフトの商標として使用されていた引用商標と同一のものであり、引用商標は、上記3のとおり、本件商標の出願時には、請求人の業務に係る商品を表示するものとしてシルバーアクセサリー及びレザークラフトの需要者の間に広く認識されていたものである。
(2)本件商標の登録出願人は、甲第12号証に示すように、本件商標の出願時の平成23年6月27日には請求人会社の役員であった。本件商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとしてシルバーアクセサリー及びレザークラフトの需要者の間に広く認識されていた引用商標を権利の継承も無く不正に出願したものであるから、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標に該当し、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
5 本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標の登録出願人は、本件商標を使用する事業を開始するために、甲第13号証に示すように、平成23年7月21日に請求人に辞任届を提出し退社している。
本件商標は、登録出願人が、請求人より正当の権利の継承も無く不正に出願したものであり、本件商標が請求人の業務に係る商品と関係の無い商品に使用されると、上記3のように請求人の業務に係る商品を表示するものとして手造りのシルバーアクセサリー及びレザークラフト商品の需要者の間に広く認識されている引用商標にただ乗り(free ride)することになり、商品の出所の混同を生じるだけでなく、請求人の業務上の信用を害し商品流通社会の秩序を害することになる。
このため、本件商標は引用商標を不正の目的をもって使用することになるので、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。
6 結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号又は第19号に該当し、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効にすべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、何ら答弁していない。

第4 当審の判断
1 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
(1)商標法第4条第1項第7号については、その規定の趣旨からすれば、 (a)当該商標の構成自体が矯激、卑猥、差別的な文字、図形である場合など、その商標を使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反する場合、(b)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(c)当該商標ないしその使用が特定の国若しくはその国民を侮辱し又は一般に国際信義に反するものである場合がこの規定に該当することは明らかであるが、それ以外にも、(d)特定の商標の使用者と一定の取引関係その他特別の関係にある者が、その関係を通じて知り得た相手方使用の当該商標を剽窃したと認めるべき事情があるなど、当該商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その商標登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合も、この規定に該当すると解するのが相当である(東京高裁、平成16年(行ケ)第7号、平成16年12月21日判決参照)。
かかる観点から、以下、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するか否かについて検討する。
(2)請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 請求人は、服飾雑貨・日用品雑貨の販売、ブティックの経営、衣料用繊維製品の販売、皮革製品の販売、飲食店の経営等を目的として平成18年4月3日に設立された法人であり、被請求人は請求人会社の取締役の一人として平成22年3月27日に就任し平成23年7月31日に辞任している(甲第12号証及び同第13号証)。
イ 甲第2号証は、請求人のインターネットホームページの写しと認められるところ、その内、ページ右下隅の数字に照らし、2011年2月12日に印刷されたものと認められる部分には、ページ左上に「NORTH」及び「cafe & craft」の文字が二段に横書きで表示され、その右側にリング(指輪)の写真が掲載されているほか、「カテゴリー別商品」の項には、リングの写真が掲載され、それぞれに対応して「モルガンダラーリングTYPE-II」、「モルガンダラーハーフリングスリム」等の商品名、価格及び商品説明が付されており、「特定商取引法に基づく表記(返品など)」の項には、「販売業者 有限会社オーブ」、「運営統括責任者名 関谷・・・」、「屋号またはサービス名 NORTH cafe&craft」等の記載が見られる。
また、印刷された時期は確認できないが、上記とは別のページの1枚目には、中央やや上方に装飾を施した円形の幾何図形が表示され、その下部に「NORTH cafe&craft」の文字が横書きされ、更に、その下部に「news cafe craft online shop about us access contact」、「copyright 2008 orb co,ltd rights reserved」の文字が記載されている。また、6枚目には、上記円形図形と「NORTH CAFE&CRAFT」の文字が表示され、その下部に「1992年より神奈川県横浜に、オーダーメイドジュエリーとインディアンクラフトを中心としたアトリエ、兼カフェを展開してきました。2006年東京の西部、緑豊かな自然の残る福生に拠点を移し、在日米軍基地前という広々としたロケーションのなか、ゆったりとお食事を楽しむ空間とアトリエが融合したお店をオープンしました。アメリカのvintage coinをリメイクしたアクセサリーの他、・・・商品の展示・販売も行っています。」等の記述がされ、「NORTH/CAFE and CRAFT」の文字が表示された看板を掲げた店頭の写真が掲載されている。その他のページでは、「Orb Co.Ltd」、「vintage coin works/one hand makes」の見出し下に各種のリング、ブレスレット、ペンダント等のシルバー製品の写真が掲載され、説明が付されている。
ウ 甲第3号証は、インターネットの「楽天市場」における「BANANAFISH」のウェブサイトの写し(ページ右下隅の数字に照らし、2011年9月28日に印刷されたといえる。)と認められるところ、それには、「Orb(North Craft)オーブ(ノースクラフト)」の見出し下に、上記(イ)の円形図形と共に「Orb Co.Ltd/NORTH cafe&craft」の文字が表示され、その下部に「東京福生のカフェ『NORTH CAFE&CRAFT』が手掛けるシルバーアクセブランド。1ドルモルガンをはじめとしたオールドシルバーコインを、独自のセンスでアクセサリーに仕上げます。・・・奥の深い技術を要する、ノースクラフトならではの作品です。」等の記述がされているほか、リング、バングル、ペンダント等のシルバー製品の写真が掲載され、それぞれに対応した商品名、価格等が表示されている。
エ 甲第4号証は、インターネットの検索サイトGoogleにおける「オーブノースカフェアンドクラフト」のキーワードによる検索結果の写し(2011年9月28日に印刷されたといえる。)と認められるところ、これによれば、約68,000件がヒットし、記述中の多くに「NORTH cafe&craft」の文字が用いられており、その内には、「2010年4月19日・・・NORTH cafe&craft(牛浜、熊川、拝島/メキシコ料理)の店舗情報。・・・」、「2011年01月17日・・・ノースクラフト』なんだか『オーブ』なんだか良く分かんねー・・・お店の名前が『ノースカフェ&クラフト』・・・」、「2008年5月27日・・・その数少ない継承者でもあり、ノースカフェ&クラフトのオーナー、橋本氏が作るアクセサリー・・・」等のように、検索日前の事実を示すものも見られる。
オ 甲第5号証は、添付された07年10月31日付「取引開始連絡書」により請求人の取引先といえる株式会社シップスのウェブサイトの写し(2011年10月26日に印刷されたといえる。)と認められるところ、「2011.08.24 9/7(水)?14(水)SHIPS柏店『NORTH CAFE AND CRAFT』オーダーフェア!」として、「NORTH CAFE AND CRAFT」のオーダー会が開催される旨が写真と共に掲載されているほか、他のページでは、「SHIPSさんの2011年1月21日の記事」として、2011年1月21日から同月23日までの3日間、シップス渋谷店にて「NORTH CAFE AND CRAFT ORDER FAIR」が開催される旨が写真と共に掲載されている。
カ 甲第7号証は、「NORTH/CAFE&CRAFT」と題する商品カタログと認められるところ、リング、バングル、ペンダント、キーフック、チェーン等のシルバー製品やポーチ、ベルト等の皮革製品の写真が価格等と共に掲載されているほか、裏表紙には、「本物の手仕事が漂わせる主張。・・・米軍・横田基地がある町、福生。・・・そんな異国情緒漂う町に、シルバー職人・橋本・・・の工房North cafe & craftはある。すでに20年以上のキャリアを持つ職人である橋本の作品作りのモットーはシンプルだ。・・・仕上がったリングは、コインだったとはにわかには信じがたいほどの立体的な存在感を漂わせる。・・・その評価は年々高まるばかりで、作品は男性だけでなく女性からも支持を集めている。最近では、海外でも注目され、NorthのHashimotoを名指しで製作を依頼するブランドもある。・・・」等の記述がされている。ところで、この商品カタログは、制作日が明らかでないものの、上記記述中の「橋本・・・」が、請求人の前代表者であったが、平成22年3月26日に死亡している(甲第12号証)ことからすると、平成22年以前に請求人によって制作されたものと推認される。
キ 甲第8号証は、有限会社セイビ印刷所から請求人宛てに発行された平成22年2月4日付、4月5日付、同月6日付及び同月23日付の請求書の各写しと認められるところ、その内容は、就任挨拶状、封筒、名刺及び住所ゴム印の代金を請求するものであり、添付された名刺には、「North cafe & craft」の文字が明示されているほか、就任挨拶状には、請求人名及び代表者名に加え、取締役の一人として被請求人が記載されている。
ク 甲第9号証は、雑誌「Free&Easy(フリー&イージー)」2008年3月号(発行者は不明)の抜粋写しと認められるところ、「この道20年の経験が生み出す、奥行きあるレザー&シルバー」、「NORTH CRAFT」、「MEISTER・・・ Hashimoto」の表題下に、リング、ウォレットチェーン、ペンダントトップ、革製バッグ等の写真が掲載され、それぞれの説明がされているほか、製品の制作工程が写真付きで紹介されている。また、本文では、「ルート16をはさんで、横田基地の真向かいにある『ノースカフェ&クラフト』のオーナーでありシルバー職人である橋本・・・は、・・・この道20年を超えるマイスターの佇まいは・・・」等の記述がされている。
ケ 甲第10号証は、株式会社スタジオタッククリエイティブ2010年5月14日発行の書籍「LEATHER CRAFT(レザークラフト)」の抜粋写しと認められるところ、「Lover of Leather(レザーの恋人)-オリジナルシルバーコンチョを作ろう!-」と題する特集記事において、請求人の前代表者によるシルバーコンチョの制作工程が写真付きで5頁に亘り紹介されている。また、「ネイティブに限りなく近い制作技術を会得する」との見出し下に、「東京の福生に工房を構えるノースクラフトが手がける、オールドシルバーコインを使ったアクセサリーはあまりにも有名。身を削るほどに強く叩き上げた作品にも関わらず・・・」等の記述がされている。そして、上記特集記事の末尾には、「SHOP INFORMATION」として、「North cafe & craft」の文字が住所、電話番号等と共に掲載されている。
(3)上記(2)の事実を総合勘案すると、請求人は、その設立時である平成18年頃から現在に至るまで、手造りのリング、バングル、ペンダント、キーフック、チェーン等のシルバー製品やポーチ、ベルト等の皮革製品(以下「請求人商品」という。)の制作及び販売を行っており、引用商標と同一の「NORTH cafe&craft」の文字が請求人店舗名として使用されると共に、請求人商品を表示する商標としても使用されていたものというべきである。そして、請求人の制作に係る請求人商品は、請求人店舗で販売されるほか、取扱い販売店やインターネットを介しても販売されていたものといえる。
また、請求人商品は、手造りであるため、大量生産は困難であるが、愛好者の間にはかなり浸透しているものと推認され、引用商標は、請求人商品を表示するものとして一部マニアの間に相当程度知られていたものと推認される。
一方、被請求人は、本件商標の登録出願時には、請求人会社の役員であり、引用商標が明示された請求人のホームページにおいて運営統括責任者とされていることからすると、請求人及び引用商標の存在を熟知していたものといわなければならない。
然るに、被請求人は、引用商標が商標登録されていないことを奇貨として、請求人に無断で、引用商標に化体した信用、顧客吸引力等にただ乗りし、引用商標と同一の構成からなり引用商標の使用に係る商品を含む商品を指定商品とする本件商標を剽窃的に出願し、登録を受けたものというべきである。
そうすると、本件商標は、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その登録を認めることは商品の取引場裏において無用の混乱を生じさせ、商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
2 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2013-03-06 
結審通知日 2013-03-11 
審決日 2013-03-25 
出願番号 商願2011-44790(T2011-44790) 
審決分類 T 1 11・ 22- Z (X14)
最終処分 成立 
前審関与審査官 小川 敏 
特許庁審判長 大橋 信彦
特許庁審判官 渡邉 健司
前山 るり子
登録日 2012-03-09 
登録番号 商標登録第5476707号(T5476707) 
商標の称呼 ノースカフェアンドクラフト、ノースカフェクラフト、ノースカフェ、ノース、カフェ、カフェアンドクラフト、カフェクラフト 
代理人 小沢 信助 
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