• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900307 審決 商標
異議2012900220 審決 商標
異議2012900265 審決 商標
異議2012900206 審決 商標
異議2012900292 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W35
審判 全部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1272697 
異議申立番号 異議2012-900312 
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-05-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-10-26 
確定日 2013-04-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第5510510号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5510510号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
登録第5510510号商標(以下「本件商標」という。)は,「ANTARCTIC」の欧文字と「アンタークティック」の片仮名とを二段に表してなり,平成24年2月29日に登録出願,平成24年7月5日に登録査定,第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,サプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同年7月27日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)
(1)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標と,登録異議申立人(以下「申立人」という。)の使用に係る商標「Garana ANTARCTICA」(異議の決定注:その構成文字中「Garana」は,「Guarana」の誤記と思料する。また,「na」の「a」部分には,「´」(アキュート・アクセント)が付されている。以下「使用商標」という。なお,申立人が商品に付して使用する,別掲の商標を含むものとする。)の要部である「ANTARCTICA」を比較するに,両者の外観は語尾の一文字「A」の有無のみであり,本件商標から生じる自然称呼「アンタークティック」と使用商標から生じる自然称呼の一つ「アンタークティカ」は類似する。
本件商標の指定役務中,「加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」において取り扱われる「加工食料品」と,使用商標の使用に係る商品「清涼飲料」とは,同じ「飲食料品」の範疇に属し,同じ旧日本分類の第32類に区分されていた商品であって,第35類に「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」という役務があることからも明らかなように,同じ販売店の同じ若しくは隣り合った売り場に陳列される可能性が高い商品である。
そして,使用商標は,本件商標の出願前から現在に至るまで申立人の業務に係る商品「清涼飲料」を表示するものとして日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されている。
そうすると,本件商標は,その指定役務中,「加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用した場合,申立人の業務に係る商品「清涼飲料」と商品等の出所の混同を生ずるおそれがある。
また,我が国のいわゆるドラッグストア(例えば,ドラッグストア マツモトキヨシ,サンドラッグ等)においては,本件商標の指定役務に係る役務の提供の用に供する物,すなわち「化粧品・歯磨き及びせっけん類」「加工食料品(サプリメントを含む)」と申立人の業務に係る「清涼飲料(ガラナ飲料を含む)」が同じフロアの同じ若しくは隣り合った売り場に陳列されている状況があることは,顕著な事実であるといえる。
そうすると,本件商標は,その全指定役務についてこれを使用した場合,需要者が,申立人又はこれと経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であると誤認し,商品・役務の出所の混同を生ずるおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第7号該当について
本件商標は,ラテンアメリカ最大で世界第5位の飲料メーカーである申立人の業務に係る「清涼飲料(ガラナ飲料)」(以下「使用商品」という。)を表示する主カブランド「Guarana ANTARCTICA」(甲第7号証)が日本国内及び外国において需要者に広く認識されているため,本件商標をその指定役務に使用した場合,申立人又はこれと経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る役務であると需要者を誤認せしめ,商品・役務の出所の混同を生じ,同業者間における商取引を害するとともに,国際的な商道徳に反し公正な取引秩序を乱すおそれがあるばかりでなく国際信義に反するものであって公の秩序を害するものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。
(3)むすび
以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第7号及び同第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録が取り消されるべきものである。

3 当審の判断
(1)申立人及び使用商標の周知性について
申立人の提出に係る証拠によれば,申立人は,中南米最大で世界第5位の飲料メーカーであり,自己の業務に係る使用商品に,図形及びその内側に筆記体による「guarana」と「ANTARCTICA」とを二段に表示した,別掲のとおりの構成からなる使用商標を表示しているものである(甲第4号証ないし甲第9号証)。
そして,2004年の外国の新聞,雑誌等において,使用商標を付した使用商品の広告,宣伝が行われていることが認められる(甲第6号証の1ないし16)。
また,我が国においては,「WEBストア北村酒店β」のウェブサイトにおいて,「ガラナ アンタルチカ セレソン缶」と記載して使用商標を付した使用商品が販売されていること(甲第4号証),「荒井商事株式会社海外事業部」のウェブサイトにおいて,「ガラナ・アンタルチカ」,「ブラジル国内ガラナ飲料シェアNo.1」と記載して使用商標を付した使用商品が紹介され(甲第5号証),該商品を「買える店・飲める店」として,北海道から沖縄の店舗名,住所・連絡先が紹介されていることなどが認められる(甲第9号証)。
しかしながら,申立人提出の証拠において,我が国における使用商標の使用開始時期,使用商品の譲渡の数量又は営業の規模(売上高等),使用商品に関する広告宣伝の方法,回数及び内容等を証する書面は提出されていない。
そうとすれば,申立人提出に係る証拠によっては,本件商標の登録出願時(平成24年2月29日)において,使用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く知られているものと認めることができない。
(2)本件商標と使用商標の類似性について
ア 本件商標について
本件商標は,前記1のとおり,「ANTARCTIC」の欧文字と「アンタークティック」の片仮名とを二段に表してなるところ,構成各文字は,同じ書体,同じ大きさ,等間隔でまとまりよく表されているものであり,また,下段の片仮名は,上段の欧文字の読みを表したものと無理なく理解させるから,その構成各文字に相応して「アンタークティック」の称呼を生ずるものである。
また,該「ANTARCTIC」の文字は,「南極の,南極地方の」の意味を有する英語(甲第13号証)であるが,我が国において親しまれ知られている語とはいえないことから,特定の観念は生じないものというのが相当である。
イ 使用商標について
申立人が使用商品に付して実際に使用する使用商標は,別掲のとおり,台形様の図形の内側に「g」の文字のみをやや大きく表した筆記体による「guarana」の欧文字と,その下に「g」の文字部分の右下に続けて「ANTARCTICA」の欧文字をやや小さく表示し,全体として一体的にまとまりよく表されているものであるから,その構成全体をもってその商品の出所を表示する商標として認識されるものとみるのが自然である。
そして,使用商標の上記各文字から生ずる「ガラナアンタークティカ」の称呼も淀みなく一連に称呼できるものである。
また,該「guarana」の文字部分は,「ガラナ<その種子を原料にしたカフェインを含む飲料>」の意味を有する語(ジーニアス英和辞典)であって,該「ANTARCTICA」の文字部分は,「南極大陸」の意味を有する英語(甲第13号証)であるとしても,「guarana ANTARCTICA」の構成文字全体からは,一体不可分の一種の造語を表したものと認識し把握されるとみるのが自然であるから,使用商標からは,特定の観念は生じないものというのが相当である。
ウ 本件商標と使用商標との類否について
本件商標と使用商標との類否についてみると,本件商標と使用商標の外観構成は,それぞれの構成態様に照らし,外観上判然と区別し得る差異を有するものであるから,互いに相紛れるおそれはない。
そして,本件商標から生ずる「アンタークティック」の称呼と,使用商標から生ずる「ガラナアンタークティカ」の称呼とを比較すると,両称呼は,語頭における「ガラナ」の音の有無という顕著な差異に加え,構成音数が相違するものであるから,それぞれを一連に称呼するときは,全体の音感,音調が明らかに相違し,明確に区別することができるものである。
また,本件商標と使用商標からは,いずれも特定の観念は生じないものであるから,観念については比較することができず,類似するものとはいえない。
したがって,本件商標と使用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても十分に区別することができる,全体として非類似の商標というのが相当である。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
使用商標は,前記(1)のとおり,本件商標の登録出願時に,我が国において申立人の業務に係る商品を表すものとして広く知られているものとは認められないものであり,また,本件商標と使用商標とは,前記(2)のとおり,十分に区別し得る別異の商標と認められるものである。
そうとすれば,商標権者が本件商標をその指定役務に使用しても,これに接する取引者・需要者に使用商標を連想又は想起させるとはいえないものであって,その役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品に関連する役務であるかのように,その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第7号について
使用商標は,本件商標の登録出願時において,申立人の業務に係る商品を表示する商標として,我が国の需要者の間に広く知られていたと認めることができず,また,申立人提出の証拠によっては,商標権者が本件商標を使用することが商取引を害し,国際的な商道徳に反し公正な取引秩序を乱すおそれや国際信義に反するものとすべき具体的事実を見いだすことができない。
また,本件商標は,「ANTARCTIC」の欧文字と「アンタークティック」の片仮名とを二段に表してなるものであるから,その構成自体において公序良俗違反に該当するものでないことは明らかである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(5)まとめ
以上のとおり,本件商標は商標法第4条第1項第7号及び同第15号に違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録は維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲 <使用商標>
色彩の詳細は甲第5号証を参照されたい。





異議決定日 2013-04-12 
出願番号 商願2012-14663(T2012-14663) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W35)
T 1 651・ 271- Y (W35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 加藤 百宇椎名 実 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 小川 きみえ
田中 亨子
登録日 2012-07-27 
登録番号 商標登録第5510510号(T5510510) 
権利者 株式会社ハーバー研究所
商標の称呼 アンタークティック、アンタークチック 
代理人 特許業務法人浅村特許事務所 
代理人 北村 周彦 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ