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審決分類 審判 一部無効 観念類似 無効としない X43
審判 一部無効 外観類似 無効としない X43
審判 一部無効 称呼類似 無効としない X43
管理番号 1272616 
審判番号 無効2012-890028 
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-03-09 
確定日 2013-04-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第5402293号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5402293号商標(以下「本件商標」という。)は、「モノリスタワー」の片仮名と「Monolith Tower」の欧文字を二段に書してなり、平成22年9月30日に登録出願、第43類「宿泊施設の提供,飲食物の提供,会議・集会のための施設の提供」及び第44類「入浴施設の提供」を指定役務として、同23年2月24日に登録査定がなされ、同年4月1日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の登録が商標法第4条第1項第11号に該当するとして無効の理由に引用する登録第5059090号商標(以下「引用商標」という。)は、「MONOLITH」の欧文字を書してなり、平成18年10月19日に登録出願、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,展示施設の貸与」及び第45類「婚礼(結婚披露を含む。)に関する相談・企画・運営又は開催,婚礼(結婚披露を含む。)に関する専門的な助言・指導,婚礼(結婚披露を含む。)・宴会のための施設の利用に関する情報の提供,衣服の貸与,装身具の貸与,婚礼(結婚披露を含む。)のための衣装・衣服の貸与に関する情報の提供,婚礼(結婚披露を含む。)の執行,宴会又は婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供及びその契約の媒介又は取次ぎ」を指定役務として、同19年6月29日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定役務中、第43類「宿泊施設の提供,飲食物の提供,会議・集会のための施設の提供」の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
1 請求の理由
(1)本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、「モノリスタワー」の片仮名を上段に表記し、「Monolith Tower」の欧文字を下段に表記してなるものである。本件商標の構成のうち、「タワー」および「Tower」の部分は、「塔。また、塔状の高層建築物」の意味を有するため、これを「ホテル」等の宿泊施設に使用したときには、「タワー型のホテル」または「高層ホテル」等の意味合いを生じさせるものにすぎない。また、「タワー」および「Tower」を飲食物の提供を行うレストラン等に使用したときには、「高層階レストラン」等の意味合いを生じさせるものにすぎない。さらに、「タワー」および「Tower」を会議・集会のための施設に使用したときには、「高層ビルの会議施設」等の意味合いを生じさせるものにすぎない。
したがって、本件商標の構成のうち「タワー」および「Tower」部分は、「宿泊施設の提供、飲食物の提供、会議・集会のための施設の提供」に係る役務の質(内容)を認識させるものであるため、自他役務の識別力がないといえる。
甲第3号証は、「BEACON Tower Residence\ビーコンタワーレジデンス」と「P-CON」との類否判断において、「BEACON Tower Residence\ビーコンタワーレジデンス」の「Tower Residence」「タワーレジデンス」の部分は、「塔のような住宅」を容易に理解させ、「高層住宅」の表示として実際に使用されているから、自他役務の識別力がないか極めて弱いと示されている。
したがって、本件商標においても同様に解釈されるべきであり、「タワー」および「Tower」の部分は「宿泊施設の提供」等との関係で、役務の質(内容)を認識させる部分であるから自他役務の識別力を有さず、「モノリス」および「Monolith」部分のみが要部として他の商標との類否判断の対象とされるべきである。
一方、引用商標は、「MONOLITH」の欧文字からなるものである。本件商標の要部と引用商標との相違点は、本件商標が片仮名と欧文字との二段表記であるのに対して、引用商標は一行表記であるという点、及び、本件商標が頭文字のみ大文字で他が小文字で構成されているのに対して、引用商標は全て大文字で構成されているという点のみであり、これらの差は類否判断においてほとんど影響しないものである。したがって、本件商標と引用商標とは、商標全体として非常に類似度の高い商標である。
(2)指定役務について
本件商標の指定役務中、第43類「宿泊施設の提供,飲食物の提供,会議・集会のための施設の提供」と引用商標の指定役務中第43類「宿泊施設の提供,飲食物の提供,展示施設の貸与」は、同一又は類似のものである。
(3)結論
本件商標と引用商標とは、要部を共通にし商標全体として類似する商標であり、その指定役務も同一又は類似する役務である。
(4)むすび
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)「請求人の主張への反論」について
被請求人は、「本件商標は、『一本石の塔、一枚岩のやぐら』の観念を生じさせるものであるから、あえて本件商標の構成から『タワー、Tower』のみを抽出分離して識別する理由がない。」と答弁しているが、以下に述べる理由により、妥当性に欠けるものである。
請求人は、本件商標の構成から「タワー、Tower」のみを抽出分離して識別するとは一言も述べていない。むしろその逆で、「タワー、Tower」の部分は識別力がないため、需要者は、本件商標の構成から「Monolith」のみを抽出分離して識別するのである。
すなわち、「Tower」は需要者一般が認識している英単語であり、「塔」の意味が生じることは周知である。一方で、「Monolith」は、「一本石」や「一枚岩」という意味を有するとしても、「Tower」と同様に需要者が一般に認識できる程、周知された英単語ではなく、識別力のある単語として認識されるものである。
したがって、ホテル名、レストラン名、あるいは展示施設名称に「Monolith Tower」が使用された場合に、需要者は、「Tower」の文字からは「高層のホテルだろう」「高層ビルに入っているレストランだろう」「高層ビルに入っている展示施設だろう」という認識を持つ程度であり、「Tower」の部分で自他役務を識別するのではなく、「Monolith」の部分で自他役務を識別するのである。
なお、被請求人は、「役務商標をホテル名、レストラン名、貸し展示場などの名称などに使用した場合において、利用者等が商標の識別において構成から生じる観念をわざわざ強く認識することなど無く・・・」と答弁している。まさに被請求人が主張するように、需要者は、商標の識別において「Monolith Tower」全体から生じる観念をわざわざ強く認識することはないのであって、需要者にとって慣れ親しんだ言葉で識別力のない「Tower」を除いた、「Monolith」の部分で自他役務を識別するものである。
ちなみに、被請求人は、「本件商標から『一本石の塔、一枚岩のやぐら』などの観念が生じる。」と主張するとともに、「そもそもに、本件商標は『一本石の塔、一枚岩のやぐら』の観念を生じさせるものであるから、あえて本件商標の構成から『タワー、Tower』のみを抽出分離して識別する理由がない。」主張している。
しかしながら、これは、上述した「利用者等が商標の識別において構成から生じる観念をわざわざ強く認識することなど無く・・・」という被請求人の主張と矛盾しており、被請求人の主張は全く根拠のないものといえる。
また、被請求人は、「ホテル・レストラン・展示場の名称に使用されているテナントが入居した建築物が高層ビルや塔状の建築物でなくても全く違和感を感じるものではない。」と答弁しているが、これも妥当ではない。
例えば、審決(平成10年審判第6284号)においても、「その構成中の『タワー』の文字部分は、『塔』を意味する語として一般によく知られ、『東京タワー』の如く、日常的に使用されている語といえる。」と述べているように、「タワー、Tower」の文字からは高層ビルや塔状の建築物を連想するのが普通であり、低層ビルや塔状でない建築物を連想することは無く、低層ビルや塔状でない建築物に「タワー、Tower」の文字が使用されていれば違和感を生じるのが普通である。
「東京タワー」の他にも、「横浜マリンタワー」「京都タワー」「五稜郭タワー」等のように、日本全国各地において高層の建築物に「タワー、Tower」の文字が日常的に使用されている事実がある。そして、現在では「タワー」という文字は、「ザ・プリンス・パークタワー東京」「セルリアンタワー東京ホテル」「ロイヤルパーク汐留タワー」「高輪プリンスさくらタワー」「ホテルグリーンタワー幕張」「横浜テクノタワーホテルファミール」等、多くの高層のホテルにも使用されている。また、同様に「タワーマンション」とは、高層のマンションを意味するものであり、低層のマンションを「タワーマンション」と呼ぶことはない。
したがって、このような実情から需要者一般は、ホテル名に「Tower」又は「タワー」の文字が使用された場合には、「高層のホテル」であるという認識を持つものであり、レストラン名に使用された場合には「高層ビルの中にあるレストラン」であるという認識を持ち、展示施設名称に使用された場合には「高層ビル中にある展示施設」であるという認識を持つのが自然である。低層の建築物に「タワー、Tower」が使用された場合に、違和感を生じないなどということはあり得ない。
すなわち、本件商標は、一般需要者に意味がよく知られておらず識別力を有する「Monolith」という文字と、一般需要者にとって「塔」という意味が非常によく知られており、指定役務に対して識別力のない「Tower」という文字との組み合わせから成るものである。
また、本件商標は、「Monolith Tower」のようにアルファベットで「Monolith」と「Tower」とが外観上明確に区別できるようにスペースが配置されている商標である。
被請求人が提出した登録例についてはいずれも、その言葉の周知度や商標の構成態様の点において、本件事案とは同列に扱うことが出来ないものであり、比較対象として妥当性に欠ける。
(2)「商標類否における最高裁判例」について
被請求人は、2つの最高裁昭和43年2月27日判決及び最高裁平成20年9月8日判決をもって、「『法4条1項11号に係る商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察すべきものであり、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合を除き、許されないというべきである。』と判示する」旨を答弁している。
この判決によれば、「結合商標においては、商標の構成部分の一部を抽出した上で他の商標と類否判断をすることは、特別な場合でなければ許されない」旨が判示されており、この特別な場合としては、「一部が取引者、需要者に対して強く支配的な印象を与える場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合」を挙げている。
本件商標においては、「Monolith\モノリス」の部分が需要者に強く支配的な印象を与え、かつ、「Tower\タワー」の部分は出所識別標識としての称呼、観念が生じないと考えられ、本最高裁判決で原則とする「全体として判断される形態」ではなく、分離判断が許される例外である。
ここで、「○○Tower」として登録されている商標は、特許電子図書館(IPDL)において検索したところ、「宿泊施設の提供」、「飲食物の提供」及び「会議・集会の施設の提供」において、いずれも40件前後である。また、「○○タワー」として登録されている商標は、「宿泊施設の提供」、「飲食物の提供」及び「会議・集会の施設の提供」において、いずれも50件前後である。一方で、「Monolith」の文字を含む商標は、「宿泊施設の提供」でも「飲食物の提供」でも「会議・集会の施設の提供」でも、請求人と被請求人の商標2件のみである。この事実から、「Monolith」は商標の中に使用され易く一般的によく知られた言葉ではなく、「Tower」は反対に商品名やサービス名に一般に使用され易く一般に知られた言葉であることがわかる。
これらの事実により、一般需要者にとって周知な「Tower」の文字は、「宿泊施設の提供」、「飲食物の提供」、「会議・集会の施設の提供」について使用された場合には、役務の提供場所を示す記述的な言葉であると認識されるものである。
一方、一般需要者にとっては周知されていない「Monolith」の文字は、需要者に強く支配的な印象を与えるといえる。そこで、本件商標「モノリスタワー\Monolith Tower」に触れた需要者は、そのサービスを識別する部分として、「モノリス\Monolith」を採用するものと考える。その結果、請求人所有の引用商標「MONOLITH」との関係で、出所混同を生じることとなると考える。
(3)むすび
上記のとおり、被請求人の答弁理由は妥当性に欠けるものであり、無効理由を覆すものではないから、商標法第46条第1項の規定により、本件商標は請求どおり無効とすべきものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標と引用商標との類否について
(1)外観について
本件商標は、片仮名文字の「モノリスタワー」と「Monolith Tower」の欧文字を上下二段に表記してなる。
これに対して、引用商標は、欧文字の「MONOLITH」のみで、両商標は一見して非類似であることは明かである。
(2)称呼について
本件商標は、同書同体で片仮名文字の構成、そして、欧文字からも「モノリスタワー」の称呼を生じ、7音一連で冗長とされず淀みなく称呼される。
これに対し、引用商標からは「モノリス」の4音の称呼を生じることから、両商標は称呼においても非類似であることは明かである。
(3)観念について
本件商標の前半部の「Monolith」は、英単語の「1)特に建築・彫刻用の一枚岩、一本石 2)1)から造られたオベリスク・柱・像など」の意味を有し、後半部は「Tower」の英単語で「塔、やぐら」の意味を有することから、本件商標からは、「一本石の塔、一枚岩のやぐら」などの観念が生じる。
一方、引用商標は、「MONOLITH」の単語一語であるので、単に「1)特に建築・彫刻用の一枚岩、一本石 2)1)から造られたオベリスク・柱・像など」などの観念が生じるのみであるから、観念においても両商標は非類似である。
よって、本件商標と引用商標は、外観、称呼、観念等が全く異なる非類似商標であることから、本件商標は登録されたことと思われる。
これに対し、請求人は、本件商標を構成する「Tower」の単語部分のみに着目して、指定役務との関連から識別力の弱い、又は、無いものと主張するが、牽強付会の主張といわざるを得ない。
2 請求人の主張について
請求人は、本件商標の構成のうち、後半部の「タワー」及び「Tower」の部分は、「塔、または、塔状の高層建築物」の意味を有するため、「タワー」及び「Tower」をホテル等の宿泊施設に使用したときは、「タワー型のホテル」、または「高層ホテル」等の意味合いを生じさせる。また、飲食物の提供を行うレストラン等に使用したときには、「高層階レストラン」等の意味合いを生じ、さらに、会議・集会のための施設に使用したときは「高層ビルの会議施設」等の意味合いを生じさせるものにすぎないと強弁して、「タワー」及び「Tower」の部分は、「宿泊施設の提供、飲食物の提供、会議・集会のための施設の提供」に係る役務の質(内容)を認識させるものであるため、自他役務の識別力が無いと主張するが、請求人の主張は、単に英単語「Tower」の意味を商標の類否判断にこじつけたに過ぎない。
3 請求人の主張への反論
そもそもに、本件商標は「一本石の塔、一枚岩のやぐら」の観念を生じさせるものであるから、あえて本件商標の構成から「タワー、Tower」のみを抽出分離して識別する理由がない。
さらに、役務商標をホテル名、レストラン名、貸し展示場などの名称などに使用した場合において、利用者等が商標の識別において構成から生じる観念をわざわざ強く認識することなどなく、単に、名称に「塔、又は塔状の建築物」などの意味合いを僅かながらに意識する程度である。したがって、ホテル・レストラン・展示場の名称に使用されているテナントが入居した建築物が高層ビルや塔状の建築物でなくても全く違和感を感じるものではない。
請求人は、甲第3号証を提示して過去の拒絶査定不服審判における審決例を提示して、結合商標類否判断において「『タワー/Tower』の語は、『自他役務の識別力が無いか極めて弱い』」とする特許庁の審理判断の一例を示した。
しかしながら、この証拠はあくまでも審判事件における審決の一つの審判官の判断を示したに過ぎず、商標審査における過去の審査事例の判断を明示したものではない。
その証拠に、乙第1号証ないし乙第10号証に、結合商標の登録例で、本件商標と同じ後半部に「タワー/Tower」の語を含む構成で、前半部が同一の称呼の語で共通するにも関わらず非類似とされた登録事例の一部を例示する。
以上の登録事例から、請求人は「タワー」及び「Tower」の部分は「塔、または、塔状の高層建築物」の意味を有するため、役務の質(内容)を認識させるものであって自他役務の識別力が無いと主張しているが、単に英単語「Tower」の意味を商標の類否判断にこじつけた主張に過ぎず、その解釈は成り立たないことを例示している。
4 商標類否における最高裁判例
(1)最高裁の昭和43年2月27日判決では、「商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当する」旨判示している。
また、最高裁の平成20年9月8日判決は、上記「氷山印事件」判決を踏まえて、「法4条1項11号に係る商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきものであり、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合を除き、許されないというべきである。」と判示する。
したがって、本件商標と引用商標との類否判断も、これらの判断基準に則って考察されなければならない。本件商標の結合商標を構成する「Monolith」の語は、その部分が取引者、需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められるものではなく、また、後半部の「タワー\Tower」の部分が出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められないものではない。
5 このように、本件商標と引用商標は、外観、称呼、観念等が全く異なり、さらに、前掲最高裁各判決が判示する具体的な取引状況に基づいて判断してみれば明らかなように、役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれが全く存しない非類似の商標である。
よって、請求人の主張は到底認められるものではない。

第4 当審の判断
請求人が本件審判の請求をすることの請求人適格を有することについては、当事者間に争いはないので、本案に入って審理する。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記第1のとおり、「モノリスタワー」の片仮名と「Monolith Tower」の欧文字を二段に書してなるところ、上段の片仮名部分は、下段の欧文字部分の読みを表したものとみるのが自然である。
そして、その構成中「Monolith」の文字は、「特に建築・彫刻用の一枚岩、一本石」などの意味を有する英語であるが、一般に親しまれている語ではないことから、特定の意味合いを理解し得ないものである。また、「Tower」の文字は、「塔」の意味を有する親しまれた英語である。
ところで、該「タワー」及び「Tower」の文字は、例えば、請求人の例示した「東京タワー」「横浜マリンタワー」「京都タワー」及び「五稜郭タワー」等の名称のように、建造物の名称中に使用されるものであって、そのような建造物の名称がごく普通にあることからすれば、本件商標に接する需要者は、その構成態様から「モノリスタワー」という建造物の名称という程の意味合いのものとして理解し、認識されるとみるのが相当である。
また、該「モノリスタワー」の名称にしても、例えば、「東京タワー」、「横浜マリンタワー」などの名称を、通常、「東京」、「横浜マリン」などと略称しないものであることからすれば、これは一体の名称として看取されるものである。
そして、本件商標の構成文字に相応して生じる「モノリスタワー」の称呼は、冗長でなく、無理なく自然に称呼できるものである。
その他、かかる構成態様の本件商標にあって、その構成中の「タワー」、または「Tower」の文字部分を分離、抽出して検討しなければならない必然性も見いだせない。
そうとすれば、本件商標は、その構成中、上段、下段の各文字部分がそれぞれ一体不可分のものであって、「モノリスタワー」という建造物の名称としての観念を生じるものというのが相当である。
してみれば、本件商標は、「モノリスタワー」の一連の称呼のみを生じるものであり、「モノリス」の称呼は生じないというべきである。
一方、引用商標は、前記第2のとおり、「MONOLITH」の欧文字よりなるところ、その構成文字に相応して「モノリス」の称呼を生じ、上記したとおり、「特に建築・彫刻用の一枚岩、一本石」などの意味を有する英語であるが、一般に親しまれている語ではないことから、特定の意味合いを理解し得ないものであって、特定の観念を生じないものというのが相当である。
そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、外観においては、本件商標と引用商標は、構成態様において外観上相紛れるおそれのないこと明らかであり、称呼においては、本件商標から生じる「モノリスタワー」と引用商標から生じる「モノリス」を比較すると、両者は、「モノリス」に続く「タワー」の音の有無という明らかな差異を有することから、これらをそれぞれ一連に称呼しても、互いに聞き誤るおそれはないものである。
さらに、観念においては、本件商標からは、「モノリスタワー」という建造物の名称程の観念を生じるのに対し、引用商標は、特定の観念を生じないものであるから、観念上類似するところはないものである。
してみれば、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり、引用商標に類似する商標ということはできないものである。
(2)請求人の主張について
なお、請求人は、「本件商標の構成のうち『タワー』および『Tower』部分は、「塔、または、塔状の高層建造物」の意味を有する故、役務の提供場所を示すものとして分離判断され、『宿泊施設の提供,飲食物の提供,会議・集会のための施設の提供』に係る役務の質(内容)を認識させるものであるため、自他役務の識別力がないといえる。」旨の主張をしている。
しかしながら、「タワー」及び「Tower」の文字が「宿泊施設の提供,飲食物の提供,会議・集会のための施設の提供」の役務との関係においては、その役務の質(内容)を直接的に表示するものとも認められないことに加え、前記したとおり、本件商標は、全体として「モノリスタワー」という建造物の名称程の観念を生じるものであることから、該文字部分が分離判断され、自他役務の識別力がないということはできない。
よって、請求人の主張は認めることができない。
なお、その他の請求人の主張をもってしても、上記判断を覆すに足りない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとは認められない。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定役務について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2012-07-27 
結審通知日 2012-07-31 
審決日 2012-08-21 
出願番号 商願2010-76435(T2010-76435) 
審決分類 T 1 12・ 261- Y (X43)
T 1 12・ 263- Y (X43)
T 1 12・ 262- Y (X43)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 海老名 友子 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 井出 英一郎
渡邉 健司
登録日 2011-04-01 
登録番号 商標登録第5402293号(T5402293) 
商標の称呼 モノリスタワー、モノリス、タワー 
代理人 清水 千春 
代理人 橘 和之 
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