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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y03
管理番号 1272592 
審判番号 取消2012-300131 
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-02-22 
確定日 2013-03-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第2627245号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2627245号商標の指定商品中、第3類「オリーブ油を含有するせっけん類」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2627245号商標(以下「本件商標」という。)は、「オリブ」の片仮名と「OLIV」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、平成2年6月4日に登録出願、第4類「オリーブ油を含有するせつけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、平成6年2月28日に設定登録、その後、同16年2月24日に商標権の存続期間の更新登録がされ、また、指定商品については、同17年2月16日に、第3類「オリーブ油を含有するせっけん類,オリーブ油を含有する歯磨き,オリーブ油を含有する化粧品,オリーブ油を含有する植物性天然香料,オリーブ油を含有する合成香料,オリーブ油を含有する調合香料,オリーブ油を含有する精油からなる食品香料,オリーブ油を含有する薫料」を指定商品とする商標権の書換登録がされたものである。
なお、本件審判請求の登録は、平成24年3月8日にされている。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由、答弁に対する弁駁及び口頭審理陳述要領、並びに上申を要旨次のように述べ、証拠方法として甲1?22(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中「オリーブ油を含有するせっけん類」について過去3年以内の間に日本国内において使用されていない可能性が高い。また専用使用権者又は通常使用権者の何れの登録もされていないから、本件取消請求にかかる指定商品につき、商標法50条1項の規定により、取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、「本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者により指定商品中『オリーブ油を含有するせっけん類』について使用している」と主張するが、使用事実の証明に該当しない。
(2)乙1は、本件審判請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に日本国内において通常使用権者により使用された「商品包装(外箱)」と主張しているが、以下のとおり、この外箱は薬事法及び資源有効利用促進法により、要証期間内に日本国内において出荷が認められない包装表示である。
ア 薬事法による表示規制
本件取消請求にかかる指定商品「オリーブ油を含有するせっけん類」は、薬事法で化粧品に該当し、その包装表示に関しては、平成13年4月1日以降、全成分表示が義務付けられているが、乙1には成分表示欄がなく、10年以上経った現在、考えられない。
また、薬事法では、平成17年4月1日以降、「製造元」と「販売元」を併記する際は、その責任を明確にするために、「製造販売元」を記載することが義務付けられたが、乙1には、「製造元」としか記載されていない。
イ 資源有効利用促進法による表示規制
本法律は、平成13年4月1日に施行され、要証期間内に使用される紙製外箱ならば、容器包装の識別マークの表示義務があるが、乙1の外箱にはその識別マークが表示されておらず、少なくとも要証期間内において、このような表示方法はない。
(3)以上より、乙1の外箱は包装表示に詳しくないものが偽造したものであり、要証期間内についての本件商標の使用の証明に該当しない。
(4)乙2は、「商品である石けん自体にも中央に本件商標が刻まれている」としているが、要証期間内に使用できない乙1の外箱に収められる商品であり、本件商標の使用証明に該当しない。
なお、以下、「本件商標が刻印された石けん」自体を「本件商品」又は、「オリブ/OLIV石けん」ということがある。
(5)乙3の1は、乙1の外箱写真であり、要証期間内についての本件商標の使用証明に該当しない。
(6)乙4?6には、要証期間内の日付があるが、虚偽記載されたもので、要証期間内についての本件商標の使用証明になり得ない。
(7)乙7は、通常使用権許諾契約書であり、要証期間内についての本件商標の使用証明に該当しない。
(8)以上のように、被請求人の答弁書及び乙各号証によっては、本審判の請求に係る指定商品について本件商標の使用事実が証明されていないのであり、かつ不使用の正当理由についても主張がないことからすれば、本件商標の指定商品中「オリーブ油を含有するせっけん類」については商標法50条1項の規定により取消しを免れない。
3 口頭審理における陳述
(1)被請求人は、これらの表示規制前に製造済みの乙1の外箱が多数残存していることから、各表示規制時期に対応して表示義務が印刷されたシールを貼付し出荷していると主張するが、シールができた時点で、貼付し、資材在庫として管理するのが常道。10年以上経過の現在、乙1のような出荷できない状態の資材管理はあり得ない。
乙1は、当然にシール貼付済みであるべきである。本件商標を不使用だからこそ、流通し得ない外箱を乙1として提出したと考えるのが自然である。(2)被請求人が新たに提出した乙10(乙1に表示義務のシールを貼付したもの)、乙11(乙10の商品購入者とされるG美容室のY氏の陳述書)のシール表示は、商品との整合性が全くとれていない成分表示となっていることから、乙10の外箱は、シールを貼付け、偽造したことは明らかである。
(3)乙1?16のうち、偽造が確認された乙4及び5以外では、乙11が被請求人による要証期間内の日付けを示す唯一の証拠であるが、3年以上前に納品された外箱内容を記憶しているとは到底考えられない。
さらに、被請求人が作成したと推定される証明書(陳述書)の日付空白欄、住所、氏名を記入しただけのものをもってしては、商品の購入事実を証明し得るものに全くならない。
本件商標の取消を免れるには本件商標の使用を客観的に立証する必要があり、請求書、納品書等の取引書類、商品のパンフレット等の宣伝広告資料の提出が求められる。
(4)乙12は乙11の「納品書控え」(被請求人は「発注台帳」とも表している。)というが、表紙もなく不自然である。しかも、縦列に数字が並んでいる欄に、乙11と関連づけさせるための「オリーブ石ケン」の文字記載があるのも不自然である。
(5)被請求人による乙4?6及びこれに基づく主張の撤回は、虚偽のこれら証拠書類を作出する行為に及んだことを自ら認めたのと同然であり、他の証拠書類の信用性も大きく減殺されるのを免れない。
(6)被請求人が成分にオリーブ油を含有する石けんには本件商標である「オリブ/OLIV」を刻印しているとして、新たに「美の友 薬用臭い止め石けん」(乙13)及び「美の友 全身美容せっけん」(乙14)を提出するが、平成24年3月29日時点で、株式会社エステート不動(以下「エステート不動」という。)にアップされていた商品ページによると、両石けんには「オリブ/OLIV」どころか、何の刻印もない(甲11及び12)。
(7)被請求人提出の乙18(乙1の外箱に表示義務のシール貼付した外箱である乙10のシール内容を修正して提出した外箱)及び乙19(乙18に貼付のシールのシート)における全成分表示中「スクワラン、」の末尾に読点が付されているのは不自然である。
(8)被請求人が納品書控えとしている乙12の「オリーブ石ケン」なる商品が、本件商品であるとの確証はない。
4 口頭審理後の上申
(1)本件商標権の通常使用権者と主張する株式会社不動化学(以下、「不動化学」という。)総括部長のK氏の陳述(乙17)において、薬事法を含め、業界の知識に疎いとの理由で、乙4?6は、誤りであるとの主張は論外である。
(2)乙20(G美容室、Y氏陳述書)は、外箱に本件商標が付されていたか記憶のないなか、同氏が被請求人からの求めに応じて署名した証拠書類であり、信用力に欠ける。
平成24年11月21日、請求人取締役のS氏が、G美容室の代表のY氏及び同従業員S氏と面談し、オリーブ石けんの注文経緯、乙18及び20に関し尋ねた。
G美容室の両氏によれば、G美容室は、或る縁をきっかけに知り合いになった不動化学に「オリーブ油を使用した石鹸を作ってほしい」と製造依頼し、数百個単位で注文していたが、不動化学より生産終了を告げられ、最近は別商品を販売している。
今回、不動化学のA社長から「書類確認の上、署名してほしい」と電話依頼され、取引上、様々な便宜を図ってもらっていたので深く考えずに署名した。また後日、不動化学の社員が「変更がありました」と、用紙を持って来店した時にも同様に署名したとのことである。
また、オリーブ石けんの箱については、石けんが箱に入っていたのは覚えているが、かなり前のことなので、実際のところ、詳細についてはっきり覚えていない。Y氏本人が、乙18の副本の書面余白に『注文したオリーブ石ケンは箱に入っていましたが、細かい表示についてや、2ケ入りだったかどうかはっきり覚えていません。』と直筆し、さらにY氏とS氏の署名、捺印した書類を、甲19として提出する。
このように、乙20は、本件商品の箱であったかも判らずに署名した陳述書であり、本件商標の使用を立証する証拠にあたらない。
加えて、Y氏の記憶では、生産ロットで製造してもらったオリーブ石けんを不動化学に保管してもらい、数百個単位で注文していた。上記数百個単位の注文は、第1回口頭審理調書の「陳述の要領」で、被請求人の主張した「本件商品は年間数十個の販売である。」とも辻褄が合わない。
(3)被請求人は、乙18及び19の全成分表示中「スクワラン」の後に読点が付された「スクワラン、」となっているからといって、何ら不都合が生じるわけではないと主張するが、不自然な読点の存在は、応答期日が差し迫るなか、乙18及び19をあわてて作成したことによると推定する。
(4)被請求人が本件商標の使用証拠として、最初に提出した本件商品の外箱の写真は乙1であるが、請求人により、それが要証期間内に日本国内において使用不可能な外箱であると指摘されてから、訂正シールを貼付けた外箱を次に乙10として提出した。今度は、そのシール内容の間違いを指摘され、内容変更したものをさらに乙18として提出している一連経緯であり、いずれも請求人の指摘がなければ、変更されることなくそのまま証拠として提出されていたものである。
かくのごとく、被請求人の提出する証拠類は請求人の指摘によって二転三転しており、その主張、書証はどれも信憑性を欠くものである。
(5)被請求人は甲8及び9の「マルセイユサボン オリベットR」と本件商品は全く同内容の商品であり、外箱が異なるだけであると主張している。確かに同内容のものを外箱だけ変えて販売することは行われるが、その場合は必ず販売者名が異なり、さらに殆んどは販売名も異なる。
つまるところ、「マルセイユサボン オリベットR」の外箱を修正加工して、本件商品の外箱を試作偽造したものと考えれば、外箱にまつわる種々の不具合も全て辻褄が合う。全成分表示にある余分な読点の不自然さ、シールの大きさの不自然さ及び貼付けの不良、口頭審理で指摘された旧法の表示が残る表示不具合などは、本件商品の外箱自体が商品流通市場に存在しなかったことに起因する。
(6)甲8及び9のごとく「マルセイユサボン オリッベットR」が10年ほど前に商品市場に流通していた使用事実がある一方で、本件商品の流通を証明する納品書や請求書等の証拠類が提出されないこと、さらに口頭審理時に確認した乙1の現物の箱が10年以上前に作られたとは思えないほど真新しい物であったこと等を考えると、乙1の外箱は、本件商標の取り消しを免れるために、「マルセイユサボン オリベットR」のパッケージデータをもとに、簡易に作成されたダミーの外箱であるとするのが相当と思料する。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由、口頭審理陳述要領及び上申を要旨次のように述べ、証拠方法として乙1?33(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
本件商標の使用の事実は以下のとおりである。
(1)本件商標の使用
本件商標の通常使用権者である「不動化学」は、要証期間内に我が国においてその請求に係る指定商品中「オリーブ油を含有するせっけん類」について、本件商標を使用している。
(2)商標の使用者
本件商標の使用者は、通常使用権者である不動化学である。
乙1の「商品包装(外箱)」、乙3の1の「商品パンフレット」及び乙9の「化粧品製造製品届書」には、「不動化学」、「大阪市平野区・・・」が表示されている。
乙7の「通常使用権許諾契約書」には、被請求人(商標権者)が不動化学に本件商標の使用を商品「せっけん類、歯磨き類、化粧品類、香料類」について許諾した旨の記載がされている。
(3)使用に係る商品
乙1の「商品包装(外箱)」及び3の1の「商品パンフレット」には、本件商標(「本件商品」の記載ミスと思われる。)が記載されている。
(4)使用に係る商標
乙1及び3の1には、本件商標が記載されている。また、乙2のとおり、商品である石けん自体にも中央に本件商標が刻まれている。
(5)使用時期
通常使用権者である不動化学は、「エステート不動」に、顧客に対する小売を委託していた。販売する商品、商品の包装及び商品に関する広告には本件商標が付されており、商品の外装及び商品に関する広告には、「不動化学」(乙1及び3の1)が記載されている。つまり、不動化学は、エステート不動を介して、商品及び商品の包装に本件商標を付したものを譲渡していた。
乙4?6の取引書類には、要証期間内における不動化学から小売を受託したエステート不動の記載がされている。
2 口頭審理における陳述(口頭審理時に提出の上申を含む)
(1)乙1の外箱は、薬事法等の表示義務が課せられた時点において、不動化学のもとには、表示義務前に製造済の乙1の外箱の在庫が多数残存していたため、平成13年4月1日以降は、これらの義務表示が印刷されたシールを作成し、乙1の外箱に貼付して出荷することで対応したものである。 また、平成17年4月1日以降は、製造販売元の表示を追加したシールを改めて作成し、乙1の外箱に貼付して出荷することで対応したものである。
当然ながら、要証明期間内においても、同様に、上記シールを外箱に貼付し必要な表示を行った上で出荷している(乙10)。このことは、今回提出するG美容室のY氏が、「平成21年6月23日に発注し納品された、不動化学のオリーブ石けんは全成分表示と資源有効利用促進法での義務表示をしたシール及び製造販売元を表示したシールの貼られた、オリブ OLIVの名称が入った上記コピーの箱で届きました。」と述べているとおりである(乙11)。
したがって、要証期間内において、本件商標権の通常使用権者である不動化学は、表示義務事項が印刷されたシールを乙1の外箱に貼付して、本件商標を使用していた。
(2)乙4?6(取引書類)は、提出資料準備を担当していた不動化学の従業員に誤解があり、誤った書証が提出されていたことが判明したため、当該書証及びこれに基づく主張は撤回する。
(3)新たに提出するG美容室の納品書控え(乙12:平成21年6月23日、取引数110箱)記載のとおり、要証期間内において、本件商品が使用されていたことに変わりはない(乙10及び11)。
(4)不動化学では、成分にオリーブ油を含有する石けんには、本件商標である「オリブ/OLIV」の刻印をしている。そして、これに該当する商品には、本件商品(乙2)、「美の友 薬用臭い止めせっけん」(乙13)及び「美の友 全身美容せっけん」(乙14)の3タイプが存在する。
不動化学は、自らあるいはエステート不動を通じて、これらを通販ショップ等で販売していたから(乙16)、この点でも、本件商標が使用されていたものといえる。
(5)本件商品の外箱(シール貼付後のもの)の写真として提出の乙10は、シールを貼付する際、誤って、他の商品のシールを貼り付けていたことが判明した。また、この関係で、乙11に表示の外箱についても同様であることが判明した。
ついては、これらの経緯を説明するため、不動化学総括部長・K氏作成の陳述書を乙17として提出する。
(乙17の陳述書の要点)
不動化学では、商品の出荷の都度に、出荷分について訂正シールを貼り付け出荷する方法をとっているため、出荷時にシール貼付漏れのまま出荷してしまうこともあったようである。請求人の指摘を受け、現在は、資材在庫全てを確認し、訂正シールの貼付を行うように変更した。
乙4?6は、すでに撤回したため、深くは説明しない。ただし、私(K氏)が「総括部長」「販売責任者」であるからといって、業界の知識に詳しいわけではない。以前、全く違う企業において仕事に従事していたため、薬事法等を含め、業界の知識には疎い。
(6)誤ったシールを貼付した乙10に対応する書証として正しいシールを貼付した本件商品の外箱写真を乙18として、併せて本来、出荷の際に使用の全成分表示シールを乙19として提出する。
(7)乙11のG美容室のY氏陳述書に対応する正しい内容の書証として、同氏作成の陳述書を乙20として提出する。なお、乙11の要点は、本件商品が、表示規制による必要表示についてシール対応している外箱で包装された状態で届いた旨を述べている点にある。それゆえ、誤ったシールが貼付されていた点は、乙11の信用性には影響しない。
(8)請求人提出の甲11?13の写真の石けんには本件商標が刻印されている筈である。
なお、甲11及び12は、エステート不動の「美の友 臭い止めせっけん」の通販ショップページ、甲13は、N社の発行雑誌「私の石けん」に掲載の「臭い止めせっけん」の各写真である。
(9)本件商品は、年間数十個の販売である。
3 口頭審理後の上申
(1)請求人は、乙18及び19の全成分表示中の末尾に読点が付された「スクワラン、」の表示は不自然と主張するが、全成分表示シールは、個別の商品ごとに成分・表示内容とも異なることから、個別の商品ごとに作成しなければならず、多種類のシール作成の必要があるが、少量で足りるものもあり、コスト面を考慮すると、業者への発注ではなく、不動化学においてPC上で他の全成分表示シールデータを利用して作成していた。
結果として末尾に読点が残っているからといって何ら不都合が生じるわけではないため、特に留意されることなくそのままにされた。
(2)製造販売元シールについては、一律同内容のものを全商品に貼付けするため、大量に必要となることから、業者に発注して2種類のシールを作成した(乙21及び22)。
(3)乙12の「納品書控え」に記載の「G美容室 オリーブ石ケン」が、本件商品を指すことは、乙11及び20において、G美容室のY氏自身が間違いない旨述べていることで証明されている。
(4)請求人提出の甲8の1及び8の2並びに甲9の「マルセイユサボン オリベットR」の外箱を乙23として提出する。当該商品も本件商品も販売名は同じ「オリベットR」であり、また、いずれもオリーブ油と植物性スクワラン配合の全く同内容の商品であって、外箱が異なるのみである(甲8、乙1及び3の1並びに23)。
(5)請求人提出の甲11及び12の写真のせっけんには、消費者の誤解を避ける等の理由で、本件商標の刻印のない石鹸裏面の写真を使用したものであり、石鹸表面には本件商標が刻印されている。また、甲13の1の写真は、見えにくいものと思われるが、本件商標が刻印されている。
(6)請求人からG美容室のY氏の陳述書が甲19として提出されたが、これは、被請求人提出の乙20における同氏の陳述書内容と矛盾しない。
甲19では、「細かい表示についてや、2ケ入りだったかどうかは」はっきり覚えていない旨述べているが、そもそも、Y氏は、乙20でも、「外箱に成分表示などがされたシールが貼られていたことは覚えていますが、そのシールに記載されていた細かい成分までは正確に記憶しておりません。」と述べていたのであって、同一の説明である。また、Y氏は、細かいとはいえない点、すなわち、乙20で明言している「オリーブ石けんが・・・『オリブ/OLIV』の名称が入ったデザインの外箱で届いたこと」や、「当該外箱には・・・小さなシールが貼られていたこと」などについて一切否定していない。
したがって、請求人の「本件商標を付したオリーブ石けんの箱であったかも判らずに署名した陳述書」との主張には、何ら根拠がない。
(7)請求人は、「Y氏はオリーブ油を使用した石けんを製造依頼したのであり、『オリブ/OLIV石けん』を注文したのではない」旨主張するが、「オリーブ油を使用した石けん」がまさに「オリブ/OLIV石けん」(及び同一商品である「マルセイユサボン オリベットR」)なのであり、請求人の主張は意味不明である。
(8)請求人は、被請求人の提出する証拠類の一部が、請求人指摘により二転三転していると主張するが、請求人指摘を受けて調査し判明した証拠の提出ミスについて、改めて正しい証拠を提出し直しているだけであり、何らの虚偽も介在しない。
(9)請求人は、口頭審理時に確認の乙1の現物の箱が10年以上前に作られたとは思えないほど真新しい物であると主張するが、不動化学は、外箱の印刷表面上に、「プレスコート加工」という、劣化を防ぐ高級な表面加工を施している。また、外箱は、直射日光などを避け段ボール箱で保管しているため、10年以上経過したからといって、外箱の劣化は生じない。
(10)請求人が主張している10年ほど前に商品市場に流通していた「マルセイユサボン オリベットR」の外箱(乙23)の現物を提出する(乙31)。
(11)請求人は、甲11及び12における「美の友 臭い止めせっけん」及び「美の友 全身美容せっけん」の刻印について、社会常識に反すると主張するが、第三者の行動が社会常識に反しているかどうかは知るところではない。
(12)請求人は、甲13の「臭い止めせっけん」(「美の友 臭い止めせっけん」と同一の商品と思われる:N社の発行雑誌「私の石けん」に掲載の写真ページ)も明らかに刻印されていないと主張するが、本件商標の刻印がされていることは間違いない。
また、請求人は、乙13の「美の友 臭い止め石けん」を購入したが刻印がなかった旨主張する(甲22)が、それは製造担当者の刻印漏れによるものと考えるよりほかない。仮に刻印漏れの商品が混在していたならば、不動化学の過失といえるが、いずれにしても、偽造の事実などは存在しない。

第4 当審の判断
1 被請求人及び請求人の提出に係る各号証及び両当事者の主張より、それぞれ以下の事実が認められる。
(1)被請求人の提出の乙11?14、16、20及び23並びにこれらに関する被請求人の主張について
ア 乙11について
これは、被請求人の主張によれば、本件商品を要証期間内の平成21年6月23日に本件商標の通常使用権者であるとする不動化学(乙7)から購入した者(G美容室のY氏)の陳述書である。
これには、当初、乙1として提出された外箱に訂正シールを貼付して再提出した乙10(外箱のコピー)が表示されており、その下部には、「上記の年月日に発注し納品された不動化学のオリーブ石けんは全成分表示と資源有効利用促進法での義務表示をしたシール及び製造販売もとを表示したシールの貼られたオリブ OLIVの名称が入った上記コピーの箱で届いた」旨の記載とともに、日付け(平成24年9月18日)、及び住所(名古屋市西区・・・)・氏名(G美容室 Y)のほか、押印がなされている。
イ 乙12について
乙12(納品書控え)は、口頭審理時の原本確認によれば、大学ノートが用いられているところ、これには、「21.6.23」のゴム印のほか、「G美容室」(簡略記載)、「オリーブ石ケン」及び「110」の文字がいずれも手書き記載されている。
ウ 乙13、14及び16について
被請求人は、オリーブ油を含有する石けんには、本件商標を刻印しており、それに該当するせっけんである乙13「美の友 薬用臭い止めせっけん」及び14「美の友全身美容せっけん」を「不動化学」あるいは「エステート不動」を通じて通販ショップ等で販売していたとして乙16のエステート不動通販ショップのホームページ画面の写しを提出しているが、そこには、「2012/10/01」の出力日が記載されているものの、当該画面が要証期間内に存在していたことを示す何らの記載も確認できない。
ところで、乙13には、「石けん」の外箱及び石けん自体の写真のほか、その下部には、「『美の友 薬用臭い止めせっけん』の外箱とせっけん本体の写真です。」又、乙14には、「美の友 全身美容せっけん」の外箱及びせっけん自体の写真のほか、その下部には、「・・・平成23年7月に製造担当者が急死するまでの間は、せっけん本体に、オリブ OLIVの刻印をして出荷していました。」との各記載のほか、最下部には、いずれも「株式会社不動化学 総括部長 K・・・」と手書で記載され、同人の押印がなされている。
エ 乙20(別紙1及び2を含む)について
これは、被請求人が先に提出したG美容室のY氏による乙11の陳述書の再提出版であるところ、上方に、日付け(平成24年10月27日)、住所、氏名及び捺印(乙11と同一)、下方に陳述内容が活字記載され、別紙1(乙11の陳述書と実質同一)及び別紙2(乙18の外箱コピーと実質同一)が添付されている。
その陳述内容は、以下の乙11の提出理由のほか、乙11の外箱に貼付された訂正シールの細かい成分までは正確に記憶していないが、外箱に成分表示などがされた小さなシールが貼られていたことは覚えている旨、また、平成21年6月23日付けで注文し納品されたオリーブ石けんは、別紙2(乙18)の外箱で届いたことに間違いないと思います旨、さらに、「その限りで、乙第11号証の内容を訂正いたします。」と記載されている。
(ア)乙11の提出理由について
a 私(G美容室のY氏)が株式会社不動化学に対して平成21年6月23日付けでオリーブ石けんを注文したこと。
b 株式会社不動化学から届けられたオリーブ石けんが、乙11の上部にコピーしてある、「オリブ OLIV」の名称が入ったデザインの外箱で届いたこと
c 当該外箱には、成分表示などがされた小さなシールが貼られていたこと
d 同様に、当該外箱には、製造販売元などが記載された小さなシールが貼られていたこと
(イ)別紙2(乙18)の提出経緯について
被請求人は当初、「オリーブ油・植物性スクワラン配合」と記載された本件商品の外箱を乙1として提出したが、この外箱は薬事法(平成13年4月1日以降、全成分表示義務及び平成17年4月1日以降、製造販売元の記載義務)及び資源有効利用促進法(平成13年4月1日以降、容器包装の識別マークの表示義務)の施行により、要証期間内においては、流通し得ない外箱であるとの請求人の指摘を受け、乙1の外箱に、各表示の訂正シールを貼付し、乙10として再提出した。
再提出の乙10においては、今度は、全成分表示の訂正シールが商品との整合性が全くとれないとして再び請求人の指摘を受け、乙1の外箱に全成分表示の訂正シールを貼付し、乙18として再々提出した。つまり、乙1提出→修正シール貼付し乙10再提出→別シール貼付し乙18として再々提出をしたものである。
ちなみに、再々提出した乙18の外箱の全成分表示の訂正シールにおいては、本来不要な末尾の読点を含む「スクワラン、」と表示されている。
これについて被請求人は、読点が残っているからといって、何ら不都合が生じるわけではないからそのままにした旨、主張している。
オ 乙23について
被請求人は、甲8の1及び8の2並びに9の「マルセイユザボン オリベットR」のせっけんの外箱を提出(乙23)し、当該商品も「オリブ/OLIV」せっけんも、いずれも販売名は同じ「オリベットR」であり、いずれもオリーブ油と植物性スクワランを配合し、・・・2個入りの、全く同じ内容の商品であって、外箱が異なるだけである旨、主張している。
カ 本件商品(オリブ/OLIVせっけん)の年間販売個数
被請求人は、口頭審理において、本件商品は、年間数十個の販売である旨、陳述している。
(2)請求人の提出の甲11?13、19、22及びこれらに関する被請求人の主張について
ア 甲11及び12について
これは、被請求人が、本件商標を刻印しているとして提出した「美の友 薬用臭い止めせっけん」(乙13)及び「美の友 全身美容せっけん」(乙14)について、平成24年3月29日時点のエステート不動にアップされていたホームページの出力であるが、両石けんには、本件商標どころか、何の刻印も無い旨、主張している。
実際、これらにおいては、何の刻印も確認できない。
イ 甲13(の1?3)について
これは、N社の2002年1月10日発行雑誌「私の石けん」に掲載された「全身美容せっけん」(「美の友 全身美容せっけん」と同一商品と思われる。)の写しであるが、これにも何の刻印も無い旨、主張しており、実際、これらにおいては、何の刻印も確認できない。
ウ 甲22について
これは、被請求人が、本件商標「オリブ/OLIV」の刻印をしているととした乙13の「美の友 臭い止めせっけん」と同一の石けんを請求人が購入し、開封した写真(写真右下部には、2012/11/28と表示されている。)であるが、その石けん自体には、何の刻印も無い旨、主張しており、実際、何の刻印も確認できない。
なお、請求人は、上記よりすれば、乙13の石けんの刻印は、偽造であり、乙14の刻印も偽造の可能性が高い旨、主張している。
エ 甲19について
これは、請求人取締役のS氏が、平成24年11月21日にG美容室のY氏及び従業員のS氏と面談した際に、G美容室の者が被請求人提出の別紙2(乙18)のコピーの下部に手書き記載した陳述書であるところ、そこには、「注文したオリーブ石ケンは箱に入っていましたが、細かい表示についてや、2ケ入りだったかどうかはっきり覚えていません。」の記載とともに両名の記名、捺印及び日付け(H24.11.21)が記載されている。
また、当該面談時におけるG美容室の両名の話では、「或る縁をきっかけに知り合いになった不動化学にオリーブオイルを使用した石鹸を製造依頼し、数百個単位で注文していたが、不動化学より生産終了を告げられ、最近は別商品を販売している。今回、不動化学のA社長から電話依頼され、取引上、様々な便宜を図ってもらっていたので深く考えずに署名した。」とのこと、さらには、「せっけんが箱に入っていたのは覚えているが、かなり前のことなので、実際のところ、詳細についてはっきり覚えていない。」とのことであった。
2 以上の事実及び両当事者の全主張より以下判断する。
(1)本件商標の使用に関する陳述書について
被請求人は、平成21年6月23日に不動化学に発注し納品された本件商品は、表示義務に対応した正しいシールが貼付された乙18の外箱で届いた旨のG美容室のY氏の陳述書を乙20(別紙1及び2を含む)を提出するとともに、当該注文納品の取引を裏付ける証拠として、乙12の納品書控えを提出し、本件商標は、通常使用権者である不動化学により、要証期間内において使用されたものである旨、主張している。
しかしながら、当該陳述書は、3年以上も前の事実についての陳述であるうえ、予め活字で記載されて用意された用紙に日付けと住所及び氏名並びに押印するだけのものであって、その信憑性が高いものとは到底いえるものではなく、かつ、請求人提出の甲19によれば、「注文したオリーブ石ケンは箱に入っていましたが、細かい表示についてや、2ケ入りだったかどうかはっきり覚えていません。」と記載されている。
細かい表示とは、訂正シールも含まれるものと思われるが、2ケ入りだったかどうかも覚えていない状況を考慮すれば、訂正シールの有無や、箱に、本件商標が付されていたこと自体、覚えていたのか、甚だ疑問が残るものといわざるを得ない。
また、この取引を裏付ける乙12にしても、前記1(1)イに記載したとおり、「21.6.23」の日付けと、納品先(発注元)と思われる「G美容室」(簡略記載)の記載はともかく、商品を表す「オリーブ石ケン」の記載からすれば、販売商品は、「オリーブ入りの石けん」であることは確認できるが、これが、本件商品であることを証明したものとは認めることができない。
なぜなら、被請求人は、前記1(1)オに記載したとおり、甲8の1及び8の2並びに9の「マルセイユザボン オリベットR」のせっけんの外箱を提出(乙23、現物は乙31)し、当該商品も「オリブ/OLIV」せっけんも、いずれも販売名は同じ「オリベットR」であり、いずれも・・・2個入りの、全く同じ内容の商品であって、外箱が異なるだけである旨、そのほか、前記1(1)ウに記載のとおり、乙13「美の友 薬用臭い止めせっけん」及び乙14「美の友 全身美容せっけん」もオリーブ油を含有する石けんであると主張していることから、乙12に記載された、「オリーブ入りの石ケン」の表示からでは、これが、乙18の外箱に対応する本件商品であることが、証明されたことにはならない。
さらに、乙12における「110」の記載は、商品の発注(販売)数量であるとしているが、前記1(1)カに記載のとおり、本件商品は、年間数十個の販売である旨の被請求人の陳述とも合致しないものであって、いずれにしても乙12に記載された「オリーブ入りの石ケン」の表示からでは、これが、乙18の外箱に対応する本件商品であることが、証明されたことにはならない。
(2)本件商標の使用権者について
被請求人は、乙16を提出し、乙13及び14を「不動化学」あるいは「エステート不動」を通じて通販ショップ等で販売していたとしているが、乙16には、「2012/10/01」の出力日が認められるものの、当該画面が要証期間内に存在していたことを示す何らの記載も認めることができない。
ところで、乙14には、「美の友 全身美容せっけん」の外箱及びせっけん自体の写真のほか、その下部には「・・・平成23年7月に製造担当者が急死するまでの間は、せっけん本体に、オリブ OLIVの刻印をして出荷していました。」との各記載が認められるほか、最下部には、いずれも「株式会社不動化学 総括部長 K・・・」との手書き記載が認められるものの、これらの記載は、本件商標権の通常使用権者とされる「不動化学」の総括部長のK氏によるものであって、いわゆる身内の者による記載であることから、これのみをもってしては、本件商標の使用を客観的に証明するものとはいえるものではない。
(3)本件商標の使用について
請求人は、乙13(美の友 臭い止めせっけん)、乙14(美の友 全身美容せっけん)及びの石鹸について、甲11?13の1?3及び22を提出し、いずれも本件商標の刻印が無い旨、主張しているところ、確かにこれらには、本件商標の刻印を確認することができない。
これについて被請求人は、「成分にオリーブ油を含有する石けんには、本件商標を刻印している」と主張し、乙12、13、及び18には、いずれも本件商標の刻印があった筈であり、仮に甲22のとおり、刻印の無いものが混在していたとするならば、製造担当者の刻印漏れである旨、主張している。
しかしながら、客観的にみて、その信憑性が極めて高い請求人提出の甲11?13及び22によれば、いずれも刻印が認められないことからすれば、たまたま刻印漏れの商品が流通したとか、不動化学の製造する商品を販売するエステート不動の通販ショップページに掲載された商品は、刻印の無い石鹸裏面の写真を使用した(甲11?12の2)とか、刻印が見えにくなっていると思われる(甲13の1)等主張するが、いずれも一般常識では到底考え難い主張といわざるを得ない。
結局、被請求人が、本件商標を刻印したとする商品において、その刻印を客観的に認めうるに足る、現に流通している又は流通していた現物の商品、又はこれらのネット情報においては、その刻印が認められる証拠は一切提出されていないものであり、他にこれを認めうるに足る証拠も見当たらない。
これらの状況からすれば、本件商標が付されているとした乙13及び14の石けんのほか、乙18の外箱に対応の石けん(乙2)の存在自体を推認することができず、ほかにこれを認めるに足る証拠も見あたらない。
そもそも、本件商品を実際に販売しているのであれば、これを容易に証明できる取引書類(注文書、納品伝票等)が、存在し、提出可能な筈である。
被請求人は当初提出した乙1の外箱が誤りであったとして乙10を再提出し、さらに乙18を再々提出しているところ、その乙18の外箱に貼付の全成分表示の訂正シールにおいては、本来不要な末尾の読点を含む「スクワラン、」と表示されており、これらの経緯等については、出荷の都度、訂正シールを貼付していたとか、他の訂正シールを誤って貼付してしまったとか、全成分表示における末尾の読点が残っているからといって、何ら不都合が生じるわけではないからそのままにした旨、主張しているが、かかる一連の経緯等自体、やはり、一般常識では、到底考え難いものである。
(4)小括
以上、前記(1)?(3)に記載したとおり、被請求人提出の全証拠及び全主張によっても、本件商標を本件商品について要証期間内に使用したことを推認することができず、ほかにこれを認めるに足る証拠も見あたらないものである。
3 まとめ
してみれば、被請求人は、本件商標を、要証期間内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが本件取消請求に係る商品「オリーブ油を含有するせっけん類」に使用していたことを立証していないというべきである。
また、被請求人は、取消請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを主張立証していない。
したがって、本件商標の登録は、商標法50条1項の規定により、指定商品中「結論掲記の指定商品」について、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2013-01-21 
結審通知日 2013-01-23 
審決日 2013-02-15 
出願番号 商願平2-63390 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y03)
最終処分 成立 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 井出 英一郎
渡邉 健司
登録日 1994-02-28 
登録番号 商標登録第2627245号(T2627245) 
商標の称呼 オリブ 
代理人 小林 宜延 
代理人 宇賀神 直 
代理人 瓦井 剛司 
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