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審決分類 審判 全部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X09
管理番号 1272553 
審判番号 無効2012-890025 
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-03-01 
確定日 2013-03-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第5175152号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5175152号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5175152号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、平成19年12月26日に登録出願され、第9類「速度計,真空計,回転速度計,温度計,測定機械器具,自動車等の稼働状態を記録・表示するための測定機械器具,自動車のエンジン回転数測定器,自動車用速度計」を指定商品として、同20年9月25日に登録査定、同年10月24日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4122246号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、平成8年6月28日に登録出願され、第9類「測定機械器具」を指定商品として、同10年3月6日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第38号証を提出した。
1 無効理由
本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録は無効とされるべきものである。
2 商標法第4条第1項第11号に該当する理由
(1)本件商標と引用商標の類否
ア 本件商標の構成
本件商標は、別掲(1)のとおり、アルファベットの「D」を図案化したと認められる「D」(以下「本件『Dマーク』」)と、アルファベット文字で表示された「epo」と、小さく表示された「Racing」とで構成されている。
イ 引用商標の構成
引用商標は、別掲(2)のとおり、冒頭のアルファベットの「D」を図案化したと認められる「D」(以下「引用『Dマーク』」)と、アルファベット文字で表示された「Defi」とで構成されている。
ウ 両商標の考察
(ア)Dマークの共通性
引用商標と本件商標を対比すると、一見して「Dマーク」の共通性と、「Defi」と「epo」+「Racing」の相違が認められる。
そして、両商標の「Dマーク」を対比すると、両マーク共に「D」の文字を三つの線で表現しており、上辺の左端が僅かに相違するが、全体のバランス、形態が合致し、同一マークと言えるほど酷似している。
また、この「Dマーク」は、「D」をデザインした場合における一般的に多用されている態様とは認められず、独自の文字形態と認められる。
(イ)引用商標から把握される取引指標
引用商標は、引用「Dマーク」と「Defi」の構成から、引用「Dマーク」を頭文字として認識した場合は、「DDefi」と把握できる。また「Dマーク」を除いた「Defi」を独立して認識すると「Defi」と把握できる。
そして、「DDefi」は、直截的に「ディデフィー」と称呼することができるが、特定の意味合いは見いだせない。また「Defi」は、「デフィー」と称呼されると認められ、その意味合いはフランス語で「挑戦」であるが、通常人には馴染みの無い語句であり、「デフィー」から直ちに「挑戦」が認識されるとは認められないから取引者が受ける印象は「新造語」といえる。
したがって、引用商標を指定商品に使用した場合、引用「Dマーク」が「Defi」と一体不可分に構成されていないので、単独の引用「Dマーク」と「Defi」が各々独立して認識され、それぞれが取引指標(出所表示機能を備えた部分)となり、取引に資される場合も生ずるものと認められる。
(ウ)本件商標から把握される取引指標
本件商標は、本件「Dマーク」と「epo」の構成から、本件「Dマーク」を頭文字として認識した場合は、「Depo」と把握できる。また本件「Dマーク」を除いた「epo」を独立して認識すると「epo」と把握できる。
そして、「Depo」は、「デポ」と称呼することができるが、特定の意味合いは見いだせない。また「epo」は、「エポ」と称呼することができるが、その意味合いも必ずしも明確ではない。略語として検索すると「emergency power off」(緊急電源遮断)と認識できるが、通常人には馴染みの無い語句である。
したがって本件「Dマーク」「epo」の用語から取引者が受ける印象は「新造語」といえる。
本件商標は、本件「Dマーク」が「epo」とは、文字の大小及び書体の相違から、単独の「Dマーク」と「epo」が各々独立して認識される可能性があり、それぞれが独立して取引指標となりえる。
なお、「Racing」についても「レーシング」「競争」の意味合いがあり、独立して取引指標となりえるが、前記の本件「Dマーク」「epo」に比較して小さく表示され、取引指標の機能としては小さいものと認められる。
したがって、本件商標をその指定商品に使用した場合、本件「Dマーク」が「epo」と一体不可分に構成されていないので、単独の本件「Dマーク」が独立して認識され、取引指標となり、取引に資される場合も生ずるものと認められる。
ウ 引用商標と本件商標の類似
商標の類否判断は、対象商標を同一又は類似商品に使用した場合に、取引者が商品の出所につき誤認混同が生ずるおそれがあるか否かによって決せられるもので、誤認混同が生ずるかは、商標が使用された場合、商標の外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察してなされるものである。
そして、両商標は、前記したとおり、両「Dマーク」の部分が独立して認識される構成で、この「Dマーク」が取引者に対する取引指標となっている。しかも、両「Dマーク」は、全く同一と言えるほど酷似しているから外観類似である。
さらに、引用商標と本件商標の全体構成を観察すると、両商標の全体構成は、大きく表示した両「Dマーク」の右側下方に、ゴシック太斜文字の英文字で、それぞれ「Defi」、「epo」と連続して表示しており、文字自体は相違するが、全体の構成が共通している。
そうすると、引用商標と本件商標を、それぞれ同一または類似商品に使用した場合に、これらの商標を付した商品に接した取引者は、共通する両「Dマーク」の部分を統一的なブランドと認識し、「Defi」「epo」は、同一出所の商品における商品ランクや商品仕様の相違による下位ブランドであると認識する可能性は非常に高い。
したがって、引用商標と本件商標を、同一又は類似の商品に使用した場合に、取引者が商品の出所につき誤認混同をするおそれがあることは明白であり、両商標は類似する。
(3)本件商標と引用商標の指定商品について
本件商標の指定商品は、「第9類 速度計、真空計、回転速度計、温度計、測定機械器具、自動車等の稼働状態を記録・表示するための測定機械器具、自動車のエンジン回転数測定器、自動車用速度計」である。
また、引用商標の指定商品は「第9類 測定機械器具」であり、この「測定機械器具」には、「回転計、速度計、加速度計等」が含まれており、本件商標は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品に使用するものである。
(4)商標法第4条第1項第11号の該当性
以上のとおり、本件商標は、指定商品が同一又は類似である請求人の引用商標と、その商標構成中、独立して把握認識される両「Dマーク」の部分が共通し、類似するものであり、商標法第4条第1項第11号の規定に違背して登録されたものであり、同法第46条第1項の規定により無効とすべきである。
3 商標法第4条第1項第10号に該当する理由
(1)請求人商標の周知性
ア 請求人が使用していた商標(請求人商標)の構成
請求人は、別掲(3)のとおり、「DDefi」のように「引用『Dマーク』+Defi」で構成した標章(以下「請求人商標」という。)を請求人の商品に付し、または宣伝広告に広く商標として使用している。
また、冒頭の「D」の引用「Dマーク」を単独で構成した標章も、シンボルマーク的に商標として使用している場合や、引用「Dマーク」と「Defi」を別々に表示して使用している例がある。
前記の請求人商標は、自動車メーカが車両に予め組み込んでいる計器ではなく、自動車ユーザーが自らの好みで既存車両に組み込むための計器(以下「車両後付用計器」という。)に使用しているものである。
なお、引用「Dマーク」については、一部同色表示で使用している他、「D」の上辺を構成する線部分のみを、「赤色表示」とした標章を使用している場合が多い。
イ 請求人商標の使用及び周知性の獲得
(ア)商品及び商品包装への使用
請求人は、1998年(平成10年)に、引用商標の商標権を得て、車両用後付計器の商標として使用しているもので、計器の文字盤に表示し、また包装箱に表示して使用しているものである。例えば「タコメータ(甲第5号証)」「油温計(甲第6号証)」「圧力計(甲第7号証)」「ナビゲーション計器(甲第8号証)」等は、既存車両に装着する計器である。この既存車両に装着する計器は、いわゆる自動車メーカが車両製造時に組み込む計器ではなく、レース車両や改造車両などを保有する最終消費者が自らの好みによって自車に装着する「後付用車両計器」である。
前記の「後付用車両計器」の市場規模は必ずしも大きくはないが、需要者(購入者)が限定的であり、かつ、その取扱業者も特定される。このような市場状況下で、請求人は前記請求人商標を付した商品を販売しており、本件商標出願前3年間(平成17?19年度)の販売実績は、年平均8万8千個であり、その市場シェアは約90%程度あった(甲第38号証)。
したがって、本件商標の出願時(2007年:平成19年12月26日)以前から、「車両用後付計器」において、請求人商標を使用した商品は、請求人の業務に係る商品として取引者間において広く知られていた。
(イ)パンフレットの発行
請求人は、本件商標の出願以前から、「車両後付用計器」の販売・宣伝活動に際して頒布するカタログ(甲第9号証)の表紙に大きく引用「Dマーク」を表示して、表紙下方や内容に「請求人商標」を使用している。現在使用のカタログ(甲第10号証)には表紙や内容に「請求人商標」を使用している。
(ウ)各種イベントでの宣伝営業活動
車両関係の市場においては、2002年?2003年に開催の各種イベント(「東京オートサロン」、「東京モーターショー」)において請求人の展示ブースの看板に「請求人商標」を使用していた(甲第11ないし13号証)。
上記の各種イベントは専ら関係者(一般ユーザも含め)が多数来訪するものであり、車両用後付計器という限定的な商品の展示として多数の関係者が請求人の商品と、その使用標章を看るものであり、イベントヘの参加によって、「請求人商標」が請求人の業務に係る商品を示すものであることが広く知れ渡ったものである。
(エ)雑誌への掲載
請求人は自己の商品に関して、専門雑誌といえる各種雑誌「レブスピード」「オプションワゴン」「ドリフト天国」(以上:三栄書房)、「ドレスアップカーマガジン」(内外出版社)、「カーボーイ」(八重洲出版)、「カートップ」(交通タイムス社)等に、その製品紹介記事や広告を掲載した。
甲第37号証で示しているとおり、本件登録出願前の3年間「2005年(平成17年)5月1日?2007年(平成19年)12月26日」で、合計58回掲載されている。
これらの掲載内容において、請求人の商品と共に、「請求人商標」、引用「Dマーク」が表示されている。
なお、甲第29ないし36号証に示すとおり、本件商標の登録出願後も継続して業界雑誌に請求人商標を使用した商品の宣伝広告を掲載している。
(オ)請求人商標の周知性の獲得
以上のとおり、請求人商標の使用商品である「車両用後付計器」は、その購入者・取引者が特定の分野の者に限られ、しかもメーカ自体も少なく、請求人商品の独占的な状況が継続しているものである。
このような市場状況において、請求人は、モーターショー等のイベントに際して請求人商標を表示した看板を使用したり、車両関連商品の需要者が購読する専門誌に、本件商標の出願前から多数掲載したりしている事実から、本件商標の出願以前から「車両用後付計器」に関して「請求人商標」は、請求人の業務に係る商品を示す標章であることが広く認識されていたものである。
(2)本件商標と請求人商標との類否
請求人商標及び本件商標は、前記したとおり、両「Dマーク」の部分が独立して認識される構成であり、この「Dマーク」が取引者に対する取引指標となっている。しかも、この「Dマーク」は、全く同一と言えるほど酷似しているから外観類似である。
(3)商標法第4条第1項第10号の該当性
以上のとおり、本件商標は、その出願前において請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者間に広く認識されている「請求人商標」引用「Dマーク」と類似する商標であり、前記請求人商標の商品と同一又は類似する商品に使用するものであり、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであり、同法第46条第1項の規定により無効とすべきである。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、請求人の引用商標と類似し、同一又は類似の商品に使用するものであり、商標法第4条第1項第11号に違背して登録されたものであるから、無効とされるべきである。
また、本件商標は、請求人の業務に係る商品を表示する請求人商標と類似し、請求人の業務に係る商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に違背して登録されたものであるから、無効とされるべきである。

第4 被請求人の主張
被請求人は、何ら答弁していない。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
ア 本件商標は、別掲(1)のとおり、本件「Dマーク」と「epo」、「Racing」の文字からなるものである。
そして、本件商標の構成中、本件「Dマーク」は、商標構成全体の左側半分のスペースに、立体的な三つの曲線で表現した「D」の欧文字とおぼしき図形をモチーフし、そのうち縦に描かれた曲線は右に傾いているため、図形全体として「D」の文字が少し右に傾いた特異な印象を与えるものである。また、その右側の下方、商標構成全体の約4分の1のスペースに、「epo」の欧文字を表してなり、その欧文字「po」の下部に、やや小さな文字で「自動車レース」等の意味を有する(ランダムハウス英和大辞典第2版 小学館)、「Racing」の筆記体風の欧文字を表してなるものである。
イ その上、本件「Dマーク」は、そのデザイン上の工夫、特徴から、需要者、取引者に対し、通常の「D」の文字とは異なり、強い印象を与えるものであり、大きく描かれていることから、その他の文字部分から視覚的に容易に分離されて観察され、また、これらを常に一体のものとして把握すべき意味上の関連性もないことから、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たしうるものであり、本件「Dマーク」部分からは、特定の称呼及び観念が生じないものと認められる。
他方、「epo」、「Racing」の文字部分は、本件「Dマーク」に比べると小さく配置され、文字を形成する線の高さは、「epo」の文字の線の高さが「D」の図形の線の高さの2分の1程度の大きさで、「Racing」の文字の線の高さが「D」の図形の線の高さの5分の1程度の大きさで表記されており、強い印象を与えるものとはいえない。
(2)引用商標
ア 引用商標は、別掲(2)のとおり、引用「Dマーク」と「Defi」(「e」にはアクサンテギュウの記号が付されている。以下同じ。)の文字からなるものである。
そして、引用商標の構成中、引用「Dマーク」は、商標構成全体の左側半分のスペースに、立体的な三つの曲線で表現した「D」の欧文字とおぼしき図形をモチーフし、そのうち縦に描かれた曲線は右に傾いているため、図形全体として「D」の文字が少し右に傾いた特異な印象を与えるものである。また、その右側、全体の約4分の1のスペースに、「Defi」の欧文字を表してなるものである。
イ その上、本件商標と同様に、引用「Dマーク」は、そのデザイン上の工夫、特徴から、需要者、取引者に対し、通常の「D」の文字とは異なり、強い印象を与えるものであり、その大きく描かれていることから、その他の文字部分から視覚的に容易に分離されて観察され、また、これらを常に一体のものとして把握すべき意味上の関連性もないことから、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たしうるものであり、引用「Dマーク」部分からは、特定の称呼及び観念が生じないものと認められる。
他方、「Defi」の文字部分は、引用「Dマーク」に比べると小さく配置され、文字を形成する線の高さは、「Defi」の文字の線の高さが「D」の図形の線の高さの2分の1程度の大きさで表記されており、強い印象を与えるものとはいえない。
(3)本件商標と引用商標との対比
本件商標と引用商標は、商標構成全体の約2分の1のスペースを使用して「Dマーク」を大きく表示し、「Dマーク」の右側に、「Dマーク」の約半分の大きさで文字部分を表示することにより、「Dマーク」が独立して看者の注意を惹くように構成されていると認められる。
そして、両商標の「Dマーク」について検討するに、両者の外観は、いずれも、立体的な三つの曲線で表現した「D」の欧文字とおぼしき図形をモチーフしている点において酷似し、その外観は類似する。
そうすると、両商標を時と所を異にして離隔的に観察した場合、両者を特徴付ける主要な「Dマーク」部分において外観上酷似した印象を与えるものであり、本件商標と引用商標とは、外観上相紛らわしい、類似の商標というのが相当であって、また、本件商標の指定商品は引用商標の指定商品と同一又は類似する商品を含むものである。
2 まとめ
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものというべきであるから、他の請求人の主張について判断するまでもなく、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標


(2)引用商標


(3)請求人商標
(色彩については甲第9号証を参照されたい。)


審理終結日 2012-10-26 
結審通知日 2012-10-30 
審決日 2012-11-12 
出願番号 商願2007-127400(T2007-127400) 
審決分類 T 1 11・ 261- Z (X09)
最終処分 成立 
前審関与審査官 豊泉 弘貴 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官
田中 亨子
瀬戸 俊晶
登録日 2008-10-24 
登録番号 商標登録第5175152号(T5175152) 
商標の称呼 デポレーシング、デポ、レーシング 
代理人 小原 英一 
代理人 近藤 彰 
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