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審決分類 審判 全部無効 外観類似 無効としない X30
審判 全部無効 称呼類似 無効としない X30
審判 全部無効 観念類似 無効としない X30
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない X30
管理番号 1271093 
審判番号 無効2012-890059 
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-07-20 
確定日 2013-02-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第5465967号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5465967号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成23年8月22日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,茶」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」を指定商品として、同年12月22日に登録査定、同24年1月27日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものとして、請求人が引用する登録第5349522号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成21年3月6日に登録出願された商願2009-16200を原商標登録出願とする商標法第10条第1項に基づく新たな商標登録出願として、平成22年6月9日に登録出願され、第35類「飲食料品(但し、ごま塩、食塩、すりごま、セロリーソルトを除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」のほか、第35類に属する別掲3のとおりの役務を指定役務として、同年8月27日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、請求の理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第13号証(枝番号を含む。)を提出している。
2 請求の理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は、別掲1に示すとおり、やや図案化された欧文字で表されてはいるが、全体の構成からみれば、「Me」と「toro’s」の欧文字を上下二段に表してなるものと容易に把握、理解できるものである。
そして、当該「Me」と「toro’s」の文字は、同じ書体で外観上まとまりよく一体的に表されているばかりでなく、上段の「M」が大文字で表され、続く「e」と下段の「toro’s」の文字が全て小文字で表されているところから、これに接する取引者、需要者をして、「Metoro’s」の一連の語(英語)を表したものと直ちに看取される。
そうとすると、本件商標は、構成する「Metoro’s」の文字が造語と認められるものであるとしても、その構成文字に相応して「メトロス」又は「メトロズ」の称呼を生ずるものといわなければならない。
他方、引用商標は、別掲2に示すとおり、赤色の太線でデザイン化されたハート形の図形と「METRO’S」(「O」の一文字部分は、その輪郭内に赤く塗り潰した円図形が配されている。)の欧文字を結合した構成よりなるものであって、当該図形部分と欧文字部分が視覚上分離して看取されるばかりでなく、他にこれを常に一体不可分のものとしてのみ把握しなければならない格別の事由も見当たらないから、それぞれが独立しても自他役務の識別標識としての機能を果たすと認められるものである。
してみると、引用商標は、その著名性を併せ勘案すれば、その構成中の「METRO’S」の文字部分に相応して、「メトロス」の称呼を生ずる。
イ 次に両商標の観念についてみるに、本件商標は、その構成からみれば、「Metoro’s」の一連の語(英語)を表したものということができる。
ところで、「メトロ」の語は、「地下鉄」を意味する外来語(甲第4号証及び同第5号証)として広く親しまれ使用されているものであるが、その英語の綴り字が「metro」であることを、一般の取引者、需要者が正確に記憶するほど親しまれるに至っているとは言い難いものである。
そうとすると、本件商標は、その構成中の「’s」の文字が所有格を表すものであるから、これに接する取引者、需要者は、主幹部の「Me/toro」の文字を捉え、これが「メトロ」の称呼を生ずるところから「地下鉄」を意味する語と理解し、引用商標の著名性を勘案すれば、全体として「地下鉄の(東京メトロの売店)」の意味合いを表したものと認識し、記憶する場合も決して少なくない(甲第3号証の2及び3)。
してみると、本件商標は、その構成文字全体として「地下鉄の(東京メトロの売店)」の観念を生ずるものとすべきである。
他方、引用商標は、その著名性を併せ勘案すれば、その構成中の「METRO’S」の文字から「地下鉄の(東京メトロの売店)」の観念を生ずることは明らかである。
ウ さらに、本件商標の指定商品「コーヒー及びココア,茶,清涼飲料,果実飲料」と、「メトロス」売店の主たる取扱商品の1つである引用商標の指定役務中の「小売等役務に係る商品(清涼飲料・果実飲料・茶・コーヒー・ココア)」は、その多くが、ごく一般的な人々が日常的に、かつ、気軽に買い求めるものであって、価格もさほど高価なものではないから、これら商品・役務に使用される商標に対して払う需要者の注意力は低く、必ずしも、子細にその綴り字の一字一字の異同を吟味することなく、時には全体的直感に頼って買い求めるのが、経験則に照らせば、むしろ普通といい得るものである。
そうとすると、上記取引の実情よりみても、本件商標は、これがその指定商品に使用された場合には、両商標の「Me/toro’s」と「METRO’S」の文字が、「t」に続く「o」の有無の差異のみであることと相俟って、取引者、需要者をして、これを引用商標の「METRO’S」と見誤り、「地下鉄の(東京メトロの売店)」の意味の語を表したものとして記憶に残る場合も決して少なくないから、その商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
エ 以上のとおり、本件商標と引用商標は、外観において相違するところがあるとしても、「メトロス」「メトロズ」(前者)と「メトロス」(後者)の称呼において相紛らわしく、「地下鉄の(東京メトロの売店)」の観念をも同一にする類似の商標であって、かつ、指定商品・役務においても、本件商標の指定商品は、引用商標の指定役務中の「清涼飲料・果実飲料・茶・コーヒー・ココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と類似のものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の著名性について
引用商標は、請求人の100%子会社たる「株式会社メトロコマース」(当初は「財団法人地下鉄互助会」)が、請求人の運営する旅客鉄道事業における地下鉄路線各駅の構内で、そこに設置した一般売店に使用する商標(主たる出所標識)として採択し、平成2年12月に使用を開始したものであるが、以来、「菓子,飲料,新聞,雑誌,雑貨」等に係る小売等役務の提供において、21年以上に亘り、一貫して「メトロス」の呼称をもって使用をしてきているものである(甲第6号証ないし同第10号証)。
そして、当該地下鉄路線は、東京23区及びその付近を走行区域としているが、路線数は銀座線・日比谷線・東西線・千代田線等の9路線にも及び、その利用者は、平成21年度・延べ23億900万人、平成22年度・延べ約23億200万人に上るものである(甲第10号証)。
そうとすると、引用商標の使用開始時(平成2年12月)には、当該商標を看板等に表示した売店が地下鉄各駅構内に172店舗設置されていたこと(甲第8号証)、現在も、同様の店舗数及び自動販売機に引用商標が使用されていること(甲第6号証)、地下鉄各駅の利用者は前記の如く膨大な人数であり、これらの者が売店を目にし、かつ、利用していることが推認されること、及び、その地下鉄各駅の売店名(引用商標)が「メトロス」の呼称で21年以上の長きに亘り使用されてきたこと等を総合して勘案すると、引用商標は、本件商標の登録出願時はもとより、それ以前から出願人が運営する地下鉄各駅構内の売店を表示する商標として周知著名になっていたことは顕著な事実といい得るものであって、その著名性は現在も継続しているものである。
イ 商品の出所の混同について
本件商標は、その構成する「Me/toro’s」の文字より、「メトロス」「メトロズ」の称呼及び「地下鉄の(東京メトロの売店)」の観念を生ずるものであり、他方、引用商標は、その構成中の「METRO’S」の文字が独立しても自他商品の識別機能を果たすものであるから、その文字部分に相応して、「メトロス」の称呼及び「地下鉄の(東京メトロの売店)」の観念を生ずるものである。
してみると、両商標を比較した場合における称呼・観念上の類似性、前記した引用商標の著名性や両商標の指定商品・役務の関連性等を併せ考慮すれば、本件商標は、これをその指定商品に使用するときは、取引者、需要者をして、請求人使用に係る著名な商標「METRO’S」「メトロス」を連想、想起し、該商品が請求人又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも違反して登録されたものである。
(3)結論
本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とされるべきものである。
3 弁駁の理由
(1)被請求人は、外観上の類否について、「引用商標は、ハート形の図形と欧文字で『METRO’S』と一連に書した商標で、ハート形の図形と欧文字とが一体不可分に結合されていて、その使用態様も常に一体不可分に使用されているのが事実であるから、本件商標とは一見して識別できるものである。」旨主張する。
しかしながら、両商標が外観上相違するものであることは否定できないとしても、引用商標は、「METRO’S」の欧文字部分が視覚上分離して看取され、かつ、それが「地下鉄の(東京メトロの売店)」の観念の下に、独立しても自他役務の識別標識としての機能を果たすものであることは、審判請求の理由で主張するとおりである。
また、普通の文字で表した「METRO’S(メトロス)」の文字のみでも、長年に亘り使用されてきた結果、本件商標の登録出願時はもとより、それ以前から、地下鉄(東京メトロ)各駅構内の売店を表示する商標として周知著名になっていたことは顕著な事実といい得るものである(甲第6号証ないし同第10号証等)。
このことは、引用商標と同一の出願商標に係る査定不服審判事件の審決(甲第11号証)において、「本願商標は、・・・図形部分と『METRO’S』文字部分とが視覚的に分離して看取されるといえるものであり、これらが常に一体不可分のものとして把握されるとすべき特段の事情は、見受けられない。そして、その構成中、「METRO」の文字部分は、・・・「地下鉄の,メトロの」程の意味合いを認識させるといえるものである。・・・上記実情よりすれば、本願商標は、『東京メトロの売店』であることを容易に理解、認識させ、『METRO’S』の文字部分より、『メトロス』の称呼を生ずるものと認められる。」との旨の判断がなされていることからみても妥当なものとして是認できる。
そうとすると、本件商標と引用商標は、その構成する「Me/toro’s」と「METRO’S」の文字が、「t」に続く「o」の有無の差異のみであることや、引用商標の周知著名性等を併せ勘案すれば、取引者、需要者をして、本件商標を引用商標の「METRO’S」と見誤り、「地下鉄の(東京メトロの売店)」の意味の語を表したと把握、理解し、それが記憶に残るといい得るものであるから、両商標を離隔的に観察した場合は、外観上相紛らわしいといわなければならない。
(2)被請求人は、称呼上の類否について、「本件商標は、一見して『メトロズ』とは称呼しがたい構成態様からなるものである。例えば、『ミートローズ』と称呼される可能性もあり、常に同一の称呼のみ生じるものではなく、引用商標とは別異の商標である。」旨主張するが、本件商標は、「Metoro’s」の一連の語(英語)を表したと直ちに看取され、それが「メトロス」と称呼されるものであることは明らかである。
(3)被請求人は、観念上の類否について、「被請求人の商号『メトロ株式会社』の『Me/toro』の所有格を表す『’s』を附した本件商標は、被請求人の製造製品であることを直感させる態様であり、『地下鉄の(東京メトロの売店)』を何人も観念することはあり得ない。」旨主張するが、被請求人の商号の略称としての「メトロ」の著名性、被請求人の製造販売に係る商品を表示する商標としての、本件商標又はその商標から「’s」を除いた商標の著名性等を何ら立証するところがなく、主張のみでその事実も認められないから、本件商標は、被請求人の商品であることを直感させるとは到底認め難いものであり、むしろ、引用商標及び「METRO’S(メトロス)」商標が請求人の商標として周知著名であることからみれば、これに接する取引者、需要者をして、「地下鉄の(東京メトロの売店)」の意味の語を表したものとして把握、理解されると判断するのが相当である。
(4)被請求人は、その他、(ア)「両商標は、その使用をする商品・役務の取引態様を異にし、取引者、需要者も異にする。」、(イ)「本件商標は、昭和60年から使用しているが、現在まで引用商標の『地下鉄の(東京メトロの売店)』と混同誤認された事実は皆無である。」旨主張する。
そこで先ず、(ア)の主張について検討するに、被請求人提出の各乙号証の記載内容(例えば、乙第3号証における「会社概要」目的及び営業品目の項)からみて、同人が本件商標の指定商品中「業務用の商品」のみを製造販売していることを裏付ける証拠とは成り得ないばかりでなく、本件商標の指定商品と、引用商標の指定役務「小売又は卸売等役務」において取り扱われる商品(清涼飲料・果実飲料・茶・コーヒー・ココア)」は、一般消費者用(小売り)及び業務用(卸売り)の商品のいずれをも含むものであるから、「本件商標と引用商標は、その使用をする商品・役務の取引・販売系統を異にし、取引者、需要者も異にする。」とする被請求人の主張は失当といわざるを得ない。
次に、乙第7号証を根拠とする、(イ)の主張について検討するに、乙第7号証における書証は、被請求人が作成し、取引会社が求めに応じてその書面に押印したことが推認されるものであって、全く信憑性がないばかりでなく、当該書証の内容(例えば、「紙パック容器での取引開始時期について(標題)」「貴社との紙パック容器につきましては・・・取り引きを開始」)をみても、取り引きの対象物が「清涼飲料,果実飲料」等の商品であるとは認められず、むしろ、「紙パック容器」自体の製造に係る取り引きについてのものと認められるから、当該書証をもっては、本件商標がその指定商品に使用され、その商品が市場に流通していたものということはできない。
また、請求人の調査によれば、被請求人のインターネットホームページ(甲第13号証)の商品情報の欄に、本件商標を付した商品の掲載はなく、他に、本件商標の使用を客観的に証明する資料(商品パンフレット・チラシ、新聞・雑誌への広告記事、請求書・領収書などの取引書類等)の提出もないから、被請求人の「本件商標は、昭和60年から使用しているが、現在まで引用商標の『地下鉄の(東京メトロの売店)』と混同誤認された事実は皆無である。」との旨の主張は、主張のみであり全く根拠がないものである。
そうとすると、上記で述べるように、本件商標はその指定商品について使用されている事実が認められないものであって、かつ、両商標が類似する商標であること、引用商標及び「METRO’S(メトロス)」商標が周知著名な商標であることは、請求の理由及び弁駁の理由で主張するとおりであるから、本件商標は、その出願時はもとより現在においても、これがその指定商品に使用された場合、請求人又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について誤認混同を生ずるか、そのおそれが十分にあるものといわなければならない。
(5)結論
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものとすべきである。

第4 被請求人の主張
1 答弁の趣旨
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第8号証を提出している。
2 答弁の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではなく、また同法第4条第1項第15号に違反して登録されたものでもない。
(1)本件商標について
本件商標の出願から登録に至る経緯並びに指定商品は請求人主張のとおりで、これを認める。
ただし、その構成態様は欧文字で「Me」を上段に「toro’s」を下段に配し一種の図案化した構成から成り、色彩も「M」「o」「’」を青色に「e」「t」「r」「o」「s」を赤色にし、被請求人の商号「メトロ株式会社」の「メトロ」を欧文字化したものであって、「メトロの」という意味合いを有する商標である。
(2)引用商標について
引用商標の出願経緯・指定役務は請求人の請求理由記載のとおりであることは認める。
しかして引用商標の構成態様は、赤色の太線でデザイン化されたハート形の図形と欧文字で「METRO’S」と一連に横書きされたもののうち「O」の部分はその輪郭内を赤く塗り潰した円図形に配した欧文字との結合された商標からなるものである。
(3)両商標の類否を検討するに際して、本件商標の商標権者メトロ株式会社は昭和36年から商号の略称「メトロ」を商標として使用している。
さらにその業務内容も業務用の製品を製造販売している会社であり、小売は一切行っていないものである(乙第2号証ないし同第4号証)。
これに対し、引用商標は請求人の主張によると「東京メトロの駅売店」で飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供に係る役務の商標である。
したがって、両商標はその取引流通経路を異にしているもので取引者層も異にするものである。
(4)以上の点を考慮し、両商標の類否を考察するに、両商標は何ら類似するものでないこと明白である。
ア 外観上の類否について
本件商標は、二段に構成されているものであり、他方、引用商標は、ハート形の図形と欧文字で一連に書した商標でハート形の図形と一体不可分に結合されていて、両商標の相違は一見して看者をして自他商品役務を識別出来るものである。
請求人は、引用商標の当該図形部分と欧文字部分が視覚上分離して看取されるばかりでなく、他にこれを常に一体不可分のものとしてのみ把握しなければならない格別の事由も見当たらないと主張するが、引用商標の使用態様は常にハート形の図形と一体不可分に使用されている事実から引用商標は図形と欧文字の結合商標であることは明白である(甲第6号証ないし同第8号証の売店の看板写真並びに乙第6号証)。
さらに駅売店のイメージアップのためにサービスマークとしてハート形の図形と「METRO’S」の結合された看板を全売店に取り付けたと主張する(甲第8号証)。
しかしてその態様はハート形の図形が必ず附加された売店看板である。
イ 称呼上の類否について
本件商標からは一見して「メトロズ」とは称呼しがたい構成態様からなるものである。
例えば、「ミートローズ」と称呼される可能性もあり、その構成態様は引用商標とは明らかに異なり、外観上全く別異の印象を与え、常に同一の称呼のみを生じるものではなく別異の商標であることは明白である(乙第5号証)。
一方、引用商標はその構成態様から「ハートメトロス」と称呼され、聴者をして出所の混同誤認を生じせめるおそれは全くないものである。
ウ 観念上の類否について
観念上も本件商標の「’S」は請求人主張のとおり所有格を表すものである。
そうとすれば被請求人会社の商号「メトロ株式会社」の「Me/toro」の所有を表す「’S」を附した本件商標は「メトロ株式会社の」製造製品であることを直観させる態様であり、請求人が主張する「地下鉄の(東京メトロの売店)」を何人も観念することはあり得なく、客観的妥当性に欠ける主張に過ぎない。
エ 商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品役務に使用される場合において商品役務の出所の混同を生ずるおそれがあるか否かで決すべきであり、外観・称呼及び観念は、出所の誤認混同の生ずるおそれを推測させる一応の基準に過ぎない。
したがって、外観・称呼・観念の三点のうち、その一つが類似するとしても、他の二点において著しく相違すること、その他取引の実情等によって何ら商品役務の出所に誤認混同を来たすおそれの認めがたいものについてはこれを類似商標とすべきではない。
そうとすれば、本件商標の称呼が仮に「メトロス」と称呼されるにしても、両商標の外観は前述のとおり著しく相違する。
また、観念上も本件商標からは商号の「メトロの」という観念しか生じなく、請求人が主張する「地下鉄の東京メトロの売店」なる観念は、本件商標が業務用の製造商品にのみ使用している取引の実情からして生じないものである。
仮に、引用商標が周知著名な商標だとしても、両商標は取引態様を異にしていて、取引者、需要者の対象を異にしているから、請求人が主張するように本件商標から「地下鉄の東京メトロの売店」という観念は生じ得ないものである。
なお、本件商標は昭和60年から使用しているが現在まで引用商標の「地下鉄の東京メトロの売店」と混同誤認された事実は皆無である(乙第7号証)。
(5)以上のとおり、両商標は外観上、観念上はもとより、称呼上においても著しく相違し、指定商品・指定役務の類否を対比するまでもなく商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではく、さらには商標法第4条第1項第15号に違反して登録になったものでもない。
引用商標は、請求人主張の如く「METRO’S」だけ分離使用している事実は見当たらず、さらに「METRO’S」だけ独立して商標登録されている形跡もない(乙第8号証)。
請求人はその余の主張をしているが、両商標の相違は明らかである。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、上段には青色の「M」の大文字を大きく、その右に薄赤色の「e」の小文字を小さく表し、下段には「t」、「o」、「r」、「o」、「’」及び「s」の小文字及び記号を左から薄赤色、青色、薄赤色、薄赤色、青色、薄赤色の順に表してなるものであるところ、本件商標は、既成語として知られているものではない。
したがって、本件商標は、該構成文字に相応して「メトロス」又は「メトロズ」の称呼を生じ、特定の観念を生じない造語というのが相当である。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、略「ハート状の図形」と「O」の欧文字に相当する部分の特徴的な形状を含む「METRO’S」の欧文字及び記号(ハート状図形及び「O」の文字に相当部分のみに色彩が施されている。以下、同じ。)よりなるものであるところ、欧文字部分から「メトロス」の称呼が生じ、また、後述する東京都及びその隣接県等において、一定程度知られていたことを考慮すると、引用商標から「地下鉄の」又は「東京地下鉄の売店」の観念を生ずるというのが相当である。
(3)本件商標と引用商標との類否について
ア 外観の類否について
両商標の外観を比較するに、本件商標は、前記(1)に記載したとおりであるところ、上段の「M」の大文字は、他の文字に比して、極めて大きく書してなる特徴を有し、本件商標全体としてみても、概略、山形状のまとまりよい特徴的な外形であるのに対し、引用商標は、前記(2)に記載したとおり、略「ハート状の図形」と「O」の欧文字に相当する部分の特徴的な形状を含む「METRO’S」の欧文字及び記号よりなる横一連の構成であって、両者は、概略、二段と一段構成の顕著な差異に加え、それぞれの色彩の相違から、外観上、極めて顕著な差異を有するものである。
イ 称呼の類否について
本件商標から生ずる「メトロス」の称呼と引用商標から生ずる「メトロス」の称呼を比較するに、両者は、「メトロス」の称呼を同一にするものであるから、称呼において互いに相紛らわしい商標といえるものである。
また、本件商標から生ずる「メトロズ」の称呼と引用商標から生ずる「メトロス」の称呼を比較するに、両者は、ともに同数音の称呼からなり、明瞭に聴取され難い末尾において、濁音と清音の微差にすぎないものであるから、称呼において互いに相紛らわしい商標といえるものである。
ウ 観念の類否について
本件商標及び引用商標の観念を比較するに、引用商標からは「地下鉄の」又は「東京地下鉄の売店」の観念を生ずるとしても、本件商標からは特定の観念を生じないものであるから、本件商標と引用商標とは、観念において明らかに区別し得るものである。
以上を総合して考察すると、本件商標と引用商標とは、称呼において同一又は類似するとしても、外観及び観念において類似するものではないことから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想は、外観における極めて顕著な差異及び観念における差異が、称呼の類似性を凌駕するというのが相当であって、時と所を異にして観察しても出所の混同を生じさせるおそれのない非類似の商標というべきものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標と引用商標との類似性について
両商標は、前記1(3)で記載したとおり、非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
(2)引用商標の著名性について
ア 請求人の100%子会社である「株式会社メトロコマース(平成2年度の名称は、株式会社地下鉄トラベルサービス)」は、請求人の運営する地下鉄路線の主要な駅構内の「新聞,雑誌,菓子,飲料,雑貨」等の売店の看板に引用商標を白抜き等で表示して(甲第6号証及び同第7号証)使用しているものである。
イ 該売店の店舗数は、平成2年度末では、172店(内訳は、一般売店128店、DPE売店26店、牛乳売店15店、カステラ売店1店、CD売店1店、生花売店1店)であり、平成24年6月においては、168店である(甲第6号証及び同第8号証)。
ウ 該売店は、東京地下鉄の利用者が必ずといって良いほど利用する駅のホームや改札付近にあるものである(甲第6号証)。
エ 請求人は、駅売店を「メトロス」とネーミングすることとし、平成2年12月、サービスマークとして全線の看板に引用商標を取付け、20年以上使用しているものである(甲第8号証)。
オ 東京地下鉄の利用者は、平成21年度に延べで23億900万人、平成22年度に延べで約23億200万人に上るものである(甲第10号証)。
以上を総合すれば、引用商標は、本件商標の登録出願日及び登録査定日における、東京都及びその隣接県に居住する者をはじめ、同地域に居住する者以外であっても、東京地下鉄を利用する者の間においては、「新聞,雑誌,菓子,飲料,雑貨」などに係る小売等役務の提供について、一定程度知られていたものとみるのが相当である。
(3)小活
前記(2)で記載したとおり、引用商標は、「新聞,雑誌,菓子,飲料,雑貨」などに係る小売等役務の提供について、一定程度知られていたものであるとしても、両商標は、前記(1)で記載したとおり、非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、被請求人が本件商標をその指定商品に使用しても、取引者、需要者をして、その使用商品が請求人又は請求人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しないものである。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたと認められないから、同法第46条の規定により無効にすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本件商標(色彩については原本を参照)



別掲2 引用商標(色彩については原本を参照)



別掲3 引用商標の指定役務
第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲食料品(但し、ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルトを除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,農耕用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,写真機械器具及び写真材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,たばこ及び喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,録画済みCD-ROM・DVD・ビデオディスク及びビデオテープの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」


審理終結日 2012-12-10 
結審通知日 2012-12-12 
審決日 2012-12-26 
出願番号 商願2011-59807(T2011-59807) 
審決分類 T 1 11・ 263- Y (X30)
T 1 11・ 262- Y (X30)
T 1 11・ 271- Y (X30)
T 1 11・ 261- Y (X30)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 大渕 敏雄 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 井出 英一郎
渡邉 健司
登録日 2012-01-27 
登録番号 商標登録第5465967号(T5465967) 
商標の称呼 メトロズ、ミートロズ、エムイイトロズ、メトロ、ミー、トロズ、トロ 
代理人 柴田 昭夫 
代理人 光藤 覚 
代理人 為谷 博 
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