• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X11
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X11
管理番号 1271086 
審判番号 不服2011-22501 
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-10-19 
確定日 2013-02-06 
事件の表示 商願2009-38983拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「コンパクトソーラーライト」の文字を標準文字で表してなり、第11類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成21年5月27日に登録出願、その後、指定商品については、当審における平成24年9月14日付けの手続補正書により、第11類「駅前広場・公園・道路などに設置される太陽光電源を用いた屋外用照明灯」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『コンパクトソーラーライト』の文字を標準文字で表してなるところ、それを構成する『コンパクト』及び『ソーラーライト』の各文字は、それぞれ前者が『小さく纏まった』、後者が『太陽光エネルギーを利用したライト(照明器具)』程の意味合いを看取させ、全体として『コンパクトサイズの太陽光エネルギーを利用したライト』程の意味合いを看取させるものであるから、これをその指定商品中、前記意味合いに照応する照明器具に使用しても、これに接する取引者、需要者は、『コンパクトな(小さく纏まってなる)太陽光エネルギーを利用したライト(照明器具)』程の意味合いを無理なく認識するものであるから、その商品の形状、品質等を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、職権に基づく証拠調べをした結果、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当すべきものとする新たな証拠を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成24年8月3日付けの証拠調べ通知書(以下「本通知書」という。)によって開示した。その内容は下記のとおりである。
本願商標は、「コンパクトソーラーライト」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「コンパクト」の文字は、「小さくて中身の充実しているさま。」を意味を有する語(広辞苑第六版)であり、そして、以下のとおり、「ソーラーライト」の文字が、「太陽光エネルギーを変換して得た電気をバッテリーに充電し、電源として利用する照明器具。」の意味合いを有する語として使用されている事実が見受けられる。
(1)インターネット情報
ア 「Yahoo!JAPAN辞書」及び「kotobank.jp」のウェブサイトにおいて、「ソーラー‐ライト【solar light】/太陽光エネルギーを変換して得た電気をバッテリーに充電し、電源として利用する照明器具。」との記載がある(Yahoo!JAPAN辞書:http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88&dtype=0&dname=0na&stype=1&pagenum=1&index=24711600、kotobank.jp:http://kotobank.jp/word/%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88)。
イ 「気になるコトバ50」のウェブサイトにおいて、「ソーラーライトとは、昼間は、ソーラーパネルで発電し、そのエネルギーを充電池に蓄電し、回りが暗くなるとその蓄電した電気を利用して、自動的にライトを点灯させ、明るくなると自動的に消灯するという非常に便利なものです。」との記載がある(http://www.4pehxkam.com/solarlight/)。

さらに、「コンパクトソーラーライト」と、「コンパクト」及び「ソーラーライト」について、職権調査によれば、以下の事実が見受けられる。
(2)新聞記事
ア 「LED電球など伊東市役所に寄付 ノジマ伊東店」
東京新聞 2011.09.28 朝刊 22頁 静岡版
「電化製品販売のノジマ(本社横浜市、野島廣司社長)伊東店の山田大介店長が二十六日、伊東市役所を訪れ、発光ダイオード(LED)電球百十四個と、太陽光発電パネルを搭載したコンパクトソーラーライト十四個(計約三十九万五千円相当)を寄贈した。」
イ 「三菱樹脂、ソーラー照明を製品化、車庫・玄関など屋外用」
化学工業日報 1994.02.22 7頁
「三菱樹脂は車庫や玄関先など多目的に使える屋外用照明器具『フルオライトC2」』(商品名)を製品化、25日から全国販売を開始する。・・・今回、この『フルオライト6V』の基本機能に加え、コンパクトで低価格のソーラーライト『フルオライトC2』を開発、製品化した。防雨構造で、スロープ階段や物置の前などにも取り付けられる。また、1日2時間(晴天時)の直射日光で充電が可能。価格は2万6400円。」
ウ 「ソーラーワールド、太陽電池使用の懐中電灯など量産」
日刊工業新聞 1989.12.04 10頁
「ソーラーワールド(静岡県浜松市上島二ノ一三ノ一四、社長鈴木喜代治氏、電〇五三四(72)二五一七)は、太陽電池使用のコンパクトな懐中電灯『ソーラーライトL-100』、太陽光による可搬式発電機『ソーラーシステム・ジェネレーターTG-300』の二機種の量産を始めた。」
(3)インターネット情報
ア 「パナソニック株式会社」のウェブサイトにおいて、「持ち出しやすい文庫本サイズ/コンパクトソーラーライト」が販売されている(http://panasonic.jp/anshin/html/solar_light.html)。
イ 「有限会社リアライズのYahoo!ショッピング」のウェブサイトにおいて、「アウトドアや非常用にも!お値打ちソーラーライトの決定版 コンパクトなソーラーライト ソーラーフラッシュライト (LED) ガマソニック」が販売されている(http://store.shopping.yahoo.co.jp/realise/gamasonic-012.html)。
ウ 「amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて、「コンパクトなソーラーライト特集!用途色々&便利」との記載により、パナソニック株式会社やリンクスインターナショナルの「コンパクトなソーラーライト」が各種販売されている(http://astore.amazon.co.jp/light-110-22)。
エ 「ソーラーライト・ランタン通販総合情報」のウェブサイトにおいて、「『STERLING CLUB LED エコソーラーライト』は太陽の光で充電可能なコンパクトなソーラーライトです。太陽だけでなく、屋内の蛍光灯の光でも充電可能なので、気軽に充電できるところが便利です。」が販売されている(http://solar-goods.info/handy/led-eco-solar-light.html)。
(4)上記(2)および(3)によれば、「コンパクトソーラーライト」と「コンパクト」及び「ソーラーライト」の文字については、本願指定商品を取り扱う業種において、「小型のソーラーライト」を表すものとして多数の者に使用されている事実が見受けられる。
そうとすると、本願商標をその指定商品中「太陽光電源を用いた照明灯,太陽光電源を用いた照明用器具」に使用しても、これに接する取引者・需要者は、当該商品が、単に「小型の太陽光電源を用いた照明灯,小型の太陽光電源を用いた照明用器具」であることを理解、認識するに止まり、自他商品の識別標識としての機能は果たし得ないものである。
したがって、本願商標は、商品の品質を表示するにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、「小型の太陽光電源を用いた照明灯,小型の太陽光電源を用いた照明用器具」以外の指定商品に使用するときは、商標法第4条第1項第16号に該当する。

4 請求人の意見
(1)指定商品の補正について
手続補正書にて、本願商標に係る指定商品を、第11類「駅前広場・公園・道路などに設置される太陽光電源を用いた屋外用照明灯」に限定した。
なお、補正後の当該商品は、主に駅前広場・公園・道路などの公共の場所に設置されて、設置された周囲の防犯や交通等の安全を高め、また明るく照らすことにより、周囲の環境の向上に資する商品であり、そして、販売においては、一般の小売店等で陳列して販売されるものではなく、施工を伴う商品であって、施工業者が役所などのユーザーの注文を聞いて、メーカー(本審判請求人等)に直接、又は傘下の代理店を通じてメーカーに注文し、注文を受けたメーカーは、当該商品を施工現場に発送する、といった販売形態が一般的に採用されている商品である。したがって、当該商品の業界の主な取引者・需要者は、専門的な知識を有する施工業者や役所等の特定のユーザーである。
(2)本通知書に対する審判請求人の意見
本通知書で示されたインターネット情報を見ても、補正後の指定商品である「駅前広場・公園・道路などに設置される太陽光電源を用いた屋外用照明灯」を取り扱う業界において、「コンパクトソーラーライト」と「コンパクト」及び「ソーラーライト」の文字が取引上使用されている事実は見受けられない。そして、当該業界において前記文字が取引上使用されている事実が見受けられない現状から判断して、「コンパクトソーラーライト」と「コンパクト」及び「ソーラーライト」の文字が、当該業界で、将来において特定の品質を表す語として使用されるべき必然性は無いものである。
本願商標は、「コンパクトソーラーライト」と一連一体に表示されているものであって、「コンパクト」の文字と「ソーラーライト」の文字とが分離されて表されたものではなく、また所謂「コンパクトサイズのソーラーライト」の如き記述的に表されているものではなく、そして、本通知書で、(2)新聞記事のアにおける「太陽光発電パネルを搭載したコンパクトソーラーライト」、(3)インターネット情報のアにおける「持ち出しやすい文庫本サイズ/コンパクトソーラーライト」の使用例が示されているが、この使用例は、いずれも、「コンパクトソーラーライト」の文字が、特定の商品の特定の品質を表す文字として使用されているものではなく、むしろ「コンパクトソーラーライト」を商品名とする商標的な使用である。
(3)まとめ
以上から、本願商標は、これをその補正後の指定商品に使用した場合、その品質を表したものということはできず、したがって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないとする相当の理由はなく、また、商品の質の誤認を生じさせるおそれもないものというのが相当である。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号の該当性
本願商標は、前記1のとおり、「コンパクトソーラーライト」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「コンパクト」の文字は、「小さくて中身の充実しているさま。」の意味を有する語(広辞苑第六版)であり、そして、「ソーラーライト」の文字が、「太陽光エネルギーを変換して得た電気をバッテリーに充電し、電源として利用する照明器具。」の意味合いを有する語として使用されている事実が、前記3の証拠調べ通知書で開示したとおり、(1)ア及びイに見受けられる。
ところで、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断にあっては、高裁判決においても、「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(東京高裁、平成12年(行ケ)第76号判決)。」と判示されているところである。
そして、補正後の指定商品を取り扱う業界においては、以下の事実が見受けられる。
ア 「東芝ライテック株式会社」のウェブサイトでは、「ソーラーライトのタイプ別仕様」の「ソーラーパネルタイプ」の項に、「従来品との比較1:ポール周りがスッキリ/バッテリーボックスを使わず、バッテリーをポール内に収納したことにより、ポールからの出幅をなくし、幅を約40%縮めました。そのため、歩行者が通行する際に妨げを抑制できます。また、省スペースでの施工も可能となります。」「従来品との比較2:パネル面積小形化/現行品と比べてパネル面積を1/2と大幅に小形化しました。外観もすっきりとしたデザインとなり、景観にも馴染みます。」との記載がある(http://www.tlt.co.jp/tlt/products/facility/facility_outdoor_light/solar_lights/solar_lights.htm)。
イ 「ミカド電装商事株式会社」のウェブサイトでは、「ソーラーライトのカタログ」の「ソーラーフラットライト」の項に、「消費電力の少ない白色LEDを採用し、太陽電池パネルをできるだけ小さくしてNicd電池と組み合わせることで、ソーラー発電によるフットライトを実現しました。」との記載がある(http://www.gs-yuasa.com/gyl/jp/products/gs_html/shomei/solarlight/pdf/solarlight_ala.pdf)。
上記ア及びイのとおり、指定商品を取り扱う業界において、屋外に設置される太陽光電源を用いた照明灯の太陽電池パネルや充電器等がより小型化されている実情がある。
そうとすれば、「コンパクトな太陽光エネルギーを利用したライト」の意味合いを認識させる「コンパクトソーラーライト」の文字からなる本願商標を、その指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者に「コンパクトな太陽光電源を用いた屋外用照明灯」であると認識させるにとどまり、単に商品の品質を表示するにすぎないと判断するのが相当である。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張
請求人は、意見書において、補正後の指定商品である「駅前広場・公園・道路などに設置される太陽光電源を用いた屋外用照明灯」を取り扱う業界において、「コンパクトソーラーライト」と「コンパクト」及び「ソーラーライト」の文字が取引上使用されている事実は見受けられない現状から判断して、「コンパクトソーラーライト」と「コンパクト」及び「ソーラーライト」の文字が、当該業界で、将来において特定の品質を表す語として使用されるべき必然性は無いものである旨主張する。
しかしながら、本願指定商品を取り扱う業界において、コンパクトで太陽光エネルギーを利用した屋外照明灯が取引されていることは、前記4(1)ア及びイのとおりであるから、請求人の主張は採用することができない。
(3)まとめ
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-11-21 
結審通知日 2012-11-30 
審決日 2012-12-11 
出願番号 商願2009-38983(T2009-38983) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X11)
T 1 8・ 272- Z (X11)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原田 信彦 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 田中 亨子
瀬戸 俊晶
商標の称呼 コンパクトソーラーライト 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ