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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X29
審判 全部申立て  登録を維持 X29
審判 全部申立て  登録を維持 X29
審判 全部申立て  登録を維持 X29
管理番号 1269701 
異議申立番号 異議2012-900247 
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-03-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-08-22 
確定日 2013-02-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5503561号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5503561号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
登録第5503561号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「井上蒲鉾店」の漢字を表してなり、平成22年2月26日に登録出願、第29類「肉製品,加工水産物,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,食用たんぱく」を指定商品として、同24年5月29日に登録審決、同年6月29日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由の要点
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として資料1ないし資料5(枝番号を含む。)を提出している。
(1)名称の侵害について
申立人の有する「株式会社井上蒲鉾店」という全く「同一の名称」が実在し、申立人の名称として周知・著名な商標になっている。商標権者が「井上蒲鉾店」という名称(以下「引用標章」という。)を登録し独占することは、申立人の名称に対する人格権を侵害する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(2)著名商標の侵害について
引用標章は、申立人の商号・商標等の営業標識として、未登録であっても、大磯を始めとする湘南地域のみならず、全国的に著名となっているので、商標権者が商標登録することは、周知・著名商標を侵害したことになる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)信頼の破壊について
引用標章は、申立人の商号・商標等の営業標識であり、かつ、申立人と商標権者とは、「本家と分家又は分店」という関係にあるので、商標権者が無断で商標登録することは、不正競争の目的による商標登録である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号又は同7号に該当する。

3 当審の判断
(1)本件商標と引用標章の類否について
本件商標は、別掲のとおり、「井上蒲鉾店」の漢字を表してなるところ、該文字から「イノウエカマボコテン」の称呼及び「井上という氏の蒲鉾店」程の観念を生ずる。
他方、引用標章は、「井上蒲鉾店」の漢字を表してなるところ、該文字から「イノウエカマボコテン」の称呼及び「井上という氏の蒲鉾店」程の観念を生ずる。
したがって、本件商標と引用標章とは、外観において近似した印象を与え、称呼及び観念を共通にすることから類似するものである。
(2)引用標章の周知、著名性について
申立人は、「引用標章が、周知・著名商標となっている。」旨の主張をしているので、この点について判断する。
申立人は、神奈川県大磯町で明治11年に創業した蒲鉾店(資料2-6、資料2-8、資料5-2及び資料5-3)であり、昭和41年に「株式会社井上蒲鉾店」として設立された会社であることが認められる(資料1-1及び資料2-6)。
しかしながら、申立人は、申立人自身を「井上」、「大磯 井上」又は「井上 本店」と表記しているもの(資料2-1、資料2-3及び資料2-6)、引用標章のすぐ近くに「大磯」の文字を記載しているもの(資料2-8、資料5-2、資料5-3及び資料5-4-1)を使用していることが認められるものの、申立人が引用標章のみを単独で使用している証左は見出せない。
加えて、引用標章の我が国における商品の販売数量などの取引実績を客観的に把握し得る証左は、ほとんど提出されていない。
さらに、新聞、雑誌等による広告内容や広告費等についての実情を具体的及び量的に把握し得る証左もほとんどない。
なお、資料5-5ないし資料5-8は、本件商標の登録出願後の資料であり、資料5-4-2は、商標権者が本件商標を使用していることを示す資料である。
そうとすれば、引用標章は、申立人の業務に係る商品を表す商標として、本件商標の登録出願時及び登録審決時において、需要者間に広く認識されるに至っているということはできないものであって、周知・著名性を獲得した商標とは認め難いものである。
また、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録審決時において、申立人の名称の著名な略称ということもできない。
(3)商標法第4条第1項第8号について
本件商標と引用標章とは、上記3(1)のとおり、類似するものというべきである。
しかしながら、引用標章は、上記3(2)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録審決時において、申立人の名称の著名な略称ということはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものとはいえない。
(4)商標法第4条第1項第10号について
本件商標と引用標章とは、上記3(1)のとおり、類似するものというべきである。
しかしながら、引用標章は、上記3(2)のとおり、申立人の業務に係る商品等を表す商標として、本件商標の登録出願時及び登録審決時において、需要者間に広く認識されるに至っているということはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものとはいえない。
(5)商標法第4条第1項第19号について
本件商標と引用標章とは、上記3(1)のとおり、類似するものというべきである。
しかしながら、引用標章は、上記3(2)のとおり、申立人の業務に係る商品等を表す商標として、本件商標の登録出願時及び登録審決時において、需要者間に広く認識されるに至っているということはできないものである。
さらに、本件商標が、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。)をもって使用するものであることを認めるに足る具体的な証拠の提出はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものとはいえない。
(6)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、その構成自体が、きょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合に該当しないことは明らかである。
そして、本件商標は、商標権者が自己の業務に係る商品に使用する商標として登録されたものである。
たとえ、商標権者は、申立人の分家又は分店であるとしても、商標権者が本件商標を自己の業務に係る指定商品について使用することが、社会公共の利益や社会の一般的道徳観念に反するとは到底言い難いものであり、また、その出願の経緯において著しく社会的妥当性を欠いたというような事情も認められない。
してみれば、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標ということはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものとはいえない。
(7)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同8号、同10号及び同19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
本件商標



異議決定日 2013-01-31 
出願番号 商願2010-14706(T2010-14706) 
審決分類 T 1 651・ 23- Y (X29)
T 1 651・ 22- Y (X29)
T 1 651・ 25- Y (X29)
T 1 651・ 222- Y (X29)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小田 明目黒 潤 
特許庁審判長 大橋 信彦
特許庁審判官 渡邉 健司
前山 るり子
登録日 2012-06-29 
登録番号 商標登録第5503561号(T5503561) 
権利者 株式会社 井上蒲鉾店
商標の称呼 イノウエカマボコテン、イノウエカマボコ、イノウエ 
代理人 渡部 仁 
代理人 小島 庸和 

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