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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900178 審決 商標
異議2012900182 審決 商標
異議2012900276 審決 商標
異議2012900277 審決 商標
異議2012900222 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X35
審判 全部申立て  登録を維持 X35
審判 全部申立て  登録を維持 X35
管理番号 1269696 
異議申立番号 異議2012-900151 
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-03-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-06-04 
確定日 2013-02-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5475635号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5475635号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5475635号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、2010年12月2日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成23年5月31日に登録出願、第35類「インターネットのウェブサイトを介して行う商品の販売に関する情報の提供,商品価格又はサービス提供価格を検索し、その比較に関する情報の提供,商品代金の支払に関する事務の代行,商品の販売促進又は役務の提供促進のためのクーポンの発行,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,文書又は磁気テープのファイリング,広告」を指定役務として、同24年1月20日に登録査定、同年3月2日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)
(1)引用商標の周知著名性
「NEXT」又は「next」の文字からなる商標(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)は、登録異議申立人(「ネクスト・グループ・ピーエルシー」。以下「申立人」という。)及びそのグループ会社(「ネクスト ピー エル シー」。以下、申立人とそのグループ会社をまとめて「申立人等」という。)のハウスマークであり、我が国において、被服、かばん類、身飾品等について長年にわたり使用された結果、本件商標の登録出願時には周知著名となっており、その状態は、本件商標の登録査定時においても継続していた(甲第2号証ないし甲第30号証)。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人等の業務に係る被服等について使用され、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものであるところ、本件商標は、その構成中に著名な引用商標を含むものである。
してみれば、本件商標をその指定役務について使用するときは、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想、想起し、該役務が申立人等と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であると誤認し、役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性
本件商標は、その構成中に著名な引用商標を含んでいるものであるから、引用商標を容易に想起させるものである。
してみれば、本件商標の商標権者は、引用商標の名声を利用し、その信用にただ乗りする意図をもって、類似する本件商標を出願し、権利を得たものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第8号該当性
申立人等の名称において、その要部は、「Next」である。申立人等は、「Next」(ネクスト)及び「next」と略称され、該略称は、被服等の取引者、需要者の間において、周知著名となっている(甲第9号証、甲第30号証)。
そして、本件商標は、申立人等の著名な略称を含むものであり、かつ、申立人等の承諾を得ていない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号、同項第19号及び同項第8号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)引用商標の周知著名性について
ア 甲第2号証ないし甲第5号証、甲第9号証、甲第14号証ないし甲第19号証及び甲第22号証ないし甲第30号証並びに申立ての理由によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)申立人等は、衣料等の製造販売を業とする英国の法人であり、1982年(昭和57年)に引用商標を付した婦人服等の販売を開始し、その後、紳士服、子供服等の製造販売へと事業を展開した。申立人等は、英国内において約500店舗、英国外の30か国以上の国において約200店舗を有している(甲第2号証及び甲第5号証)。また、50か国以上の国においてオンラインショッピングの提供をしている(甲第3号証及び甲第5号証)。申立人等は、2010年(平成20年)に、2012年(平成24年)ロンドンオリンピックの公式衣料サプライヤーに選出された(甲第5号証)。
(イ)申立人等は、1997年(平成9年)に、その業務に係る商品の販売について、我が国のゼビオ株式会社と提携し(甲第9号証)、2004年(平成16年)頃には、首都圏を中心に15店舗を展開した(甲第15号証)。
また、申立人等は、我が国において、本件商標の登録出願日前に、引用商標を付した婦人服、紳士服、子供服等のカタログ、チラシ等を頒布したり(甲第14号証ないし甲第19号証)、多数発行されたファッション雑誌に引用商標を付した商品の掲載をして(甲第22号証ないし甲第30号証)、広告をした。
イ 上記アで認定した事実によれば、引用商標は、申立人等の業務に係る商品「婦人服、紳士服、子供服」等に付される商標として、本件商標の登録出願日前から、英国はもとより、我が国の衣料関連の取引者及び比較的若い世代の需要者層の間においても、広く認識されていたとみるのが相当であって、その状態は、本件商標の登録査定日(平成24年1月20日)の時点においても継続していたものと認めることができる。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知著名性
引用商標は、上記(1)において認定したとおり、申立人等の業務に係る商品「婦人服、紳士服、子供服」等を表示するものとして、本件商標の登録出願時、既に我が国の衣料関連の取引者及び比較的若い世代の需要者層の間においては、広く認識されていたと認められるものである。
イ 本件商標と引用商標との類否
(ア)本件商標は、別掲のとおり、黒色の太線で表してなる「X」と、その右方に、左辺を突出させて野球のホームベース状に表してなる灰色の五角形であって、その内側にハート図形と小円図形を白抜きで表してなるものを、その鋭角部分が上記「X」の右側凹部に納まるように配してなり、さらに、上記「X」と五角形の下方に、「Nextag」の文字を配した構成からなるものであるところ、その構成中、上方に位置する「X」及び五角形部分は、全体として、特定の称呼、観念を生ずるものとはいえないから、本件商標に接する取引者、需要者は、下方に位置する「Nextag」の文字部分をとらえて役務の取引に当たる場合が多いというのが相当である。
また、上記「Nextag」の文字についてみるに、該文字は、同一の書体をもって、等間隔で書されているものであるから、その構成文字全体が、視覚上、一体的なものとして看取されるばかりでなく、語頭の「N」の文字部分を大文字で表し、これに続く「extag」の文字部分を小文字で表してなるものであるから、その構成文字全体をもって、1つの語を表したと理解されるというべきものであるところ、該語は、辞書類に載録されていないことから、特定の読み及び意味を有することのない造語の一種として把握、認識されるものである。
そうとすると、本件商標は、これに接する取引者、需要者をして、その構成中の「Nextag」の文字部分が着目され、該文字に相応して生ずる「ネクスタグ」の称呼を含め、その文字部分全体をもって取引に当たる場合が多いとはいい得るものの、殊更その構成中の「Next」の文字部分のみが独立して把握、認識されるものではない。
(イ)他方、引用商標は、上述のとおり、「NEXT」又は「next」の文字からなるものであるから、これより、「ネクスト」の称呼及び「次の」等の観念を生ずるものである。
(ウ)してみれば、本件商標と引用商標とは、その構成に照らし、外観において明らかに相違するものであり、また、本件商標から生ずる「ネクスタグ」の称呼と引用商標から生ずる「ネクスト」の称呼とは、後半部における「タグ」の音と「ト」の音の差異を有することにより、それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても、互いに紛れるおそれはなく、さらに、本件商標は特定の観念を生ずることのない商標であるのに対し、引用商標は「次の」等の観念を生ずる商標であるから、観念においても相紛れるおそれはない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
ウ 本件商標の指定役務と引用商標が使用される被服等との関連性
本件商標の指定役務は、前記1のとおり、第35類「インターネットのウェブサイトを介して行う商品の販売に関する情報の提供,商品価格又はサービス提供価格を検索し、その比較に関する情報の提供,商品代金の支払に関する事務の代行,商品の販売促進又は役務の提供促進のためのクーポンの発行,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,文書又は磁気テープのファイリング,広告」であるところ、いわゆる「標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関するニース協定」に基づく国際分類に係る「類見出し及び注釈」によれば、第35類に属する役務について、「この類には、主として、人又は組織が提供する役務であって、商業に従事する企業の運営若しくは管理に関する援助又は商業若しくは工業に従事する企業の事業若しくは商業機能の管理に関する援助を主たる目的とするもの」を含むとされていることに照らせば、本件商標の指定役務中に「被服」に関連する役務も含まれているとしても、本件商標の指定役務は、商業等に従事する企業に対して、その管理、運営等を援助又はそのための情報を提供する役務であると解するのが相当であるから、引用商標の使用に係る被服等の製造、販売とは、事業の形態、取引系統、提供(販売)場所、需要者層等を異にするものである。
したがって、本件商標の指定役務と引用商標が使用される被服等とは、関連性の低いものというべきである。
エ 以上によれば、引用商標は、申立人等の業務に係る商品を表示する商標として、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、我が国の衣料関連の取引者及び比較的若い世代の需要者層の間においては広く認識されていた商標であるとしても、本件商標は、引用商標とは商標において別異のものであるばかりでなく、両商標が使用される役務又は商品も関連性の低いものというべきであり、加えて、「NEXT(next)」の文字が「次の」等の意味を有するありふれた語であることも併せ考慮すれば、本件商標の指定役務の分野の取引者、需要者が本件商標に接した場合に、引用商標を想起又は連想することはないというのが相当である。
したがって、本件商標は、これを指定役務について使用しても、その需要者をして、該役務が申立人等又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じさせるおそれのある商標ということはできない。
してみれば、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとする申立人の主張は、理由がない。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標は、上記(1)において認定したとおり、申立人等の業務に係る商品「婦人服、紳士服、子供服」等を表示するものとして、本件商標の登録出願時、既に我が国の衣料関連の取引者及び比較的若い世代の需要者層の間においては、広く認識されていたと認められるものである。
しかしながら、本件商標と引用商標とは、上記(2)において認定したとおり、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
してみると、本件商標の商標権者が、引用商標を剽窃的に登録出願し、本件商標をその指定役務について使用することにより、引用商標の周知著名性に便乗し、不正に利益を得ようとする意図があるということはできないから、本件商標は、不正の目的をもって使用する商標と認めることはできない。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当するとする申立人の主張は、理由がない。
(4)商標法第4条第1項第8号該当性について
本件商標は、上記(2)において認定したとおり、その構成中の「Nextag」の文字部分において、「Next」の文字部分のみが強く印象づけられるものではなく、「Nextag」の文字部分全体をもって、一体不可分の造語を表したと把握、認識されるものである。
してみると、本件商標は、これに接する取引者、需要者をして、その構成中に申立人等の略称を含むものとは認識し得ないというべきである。
したがって、本件商標は、申立人等の著名な略称を含む商標ということはできないから、本件商標が商標法第4条第1項第8号に該当するとする申立人の主張は、理由がない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号、同項第19号及び同項第8号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
本件商標


(色彩については、原本参照のこと。)

異議決定日 2013-02-07 
出願番号 商願2011-36947(T2011-36947) 
審決分類 T 1 651・ 23- Y (X35)
T 1 651・ 222- Y (X35)
T 1 651・ 271- Y (X35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平澤 芳行 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 田中 亨子
田中 敬規
登録日 2012-03-02 
登録番号 商標登録第5475635号(T5475635) 
権利者 ネクスタグ・インコーポレイテッド
商標の称呼 ネクスタグ、ネックスタグ、エックス 
代理人 特許業務法人深見特許事務所 
代理人 特許業務法人 清水・醍醐特許商標事務所 

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