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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 105
管理番号 1269647 
審判番号 取消2012-300308 
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-03-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-04-18 
確定日 2013-01-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第2011716号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2011716号商標(以下「本件商標」という。)は、「ゆめぐり」の平仮名を横書きしてなり、第1類「浴剤、その他本類に属する商品」を指定商品として昭和63年1月26日に設定登録され、その後、平成20年9月3日に指定商品の書換登録がなされ、第5類「浴剤,その他の薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」のほか、第1類ないし第4類、第8類ないし第10類、第16類、第19類、第21類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中「第5類 浴剤,その他の薬剤」についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第5類「浴剤,その他の薬剤」について、継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁
(1)商標法第50条第1項について
被請求人は、答弁書において、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内の期間に日本国内において、商標権者が現に使用しているものであると主張する。
しかしながら、乙第1号証以下に示された物品の写真及び検乙第1号証の物品をみるかぎり、本件商標とは商標法第50条第1項に示される社会通念上の同一の範囲(「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。」)からは著しく外れており、本件商標の使用には当たらない。
ア 製品の表示について
乙第1号証の1ないし3の各写真に示された商品「入浴剤」(以下「本件商品」という。)には「ゆ」という文字と「めぐり」という文字が表示されているが、ことさら「ゆ」の文字が大きく強調された態様であり、「めぐり」の文字とは、それぞれ分離したものと認識される。そのため、本件商標の「ゆめぐり」の使用とは認められない。
具体的には、乙第1号証の1の写真をみると、左から右に色彩の濃淡を付した「ゆ」の文字と単色の「めぐり」の文字が記されている(使用態様1)。「ゆ」の文字は、「めぐり」の文字よりも大きさにしておよそ4倍という著しく大きなフォントである。一方、「めぐり」の文字は、同一フォント、同一サイズの単色でまとまりよく表されており、「めぐり」の文字だけが一体的に視認される。そのため、使用態様1を本件商標の「ゆめぐり」と同じく一連の標章であると認識できるとは到底言えるものではない。また、「ゆ」の文字は、左から右へと色彩のグラデーションをもって表されており、本件商標の公報に記載されている、モノトーンからなる所謂標準的な文字に相当するフォントとは全く異なり、当然、本件商標とは別の標章であるとされるべきものである。
乙第1号証の2の写真をみると、製品パッケージの正面右上には影付きの著しく大きな「ゆ」の文字とその下方に枠で囲まれた「めぐり」の文字が表示されている(使用態様2)。また、中央上段及び裏面には、左に傾いた「ゆ」の文字と、「ゆ」よりも明らかに小さなフォント、異なる色であり、1文字ずつ○で囲まれた「め ぐ り」の文字が表示されている(使用態様3)。また、表面、裏面のどちらにも使用態様1が付されている。
使用態様2をみると、「ゆ」の文字は、色彩にグラデーションが付され、「めぐり」の文字とは4?5倍の大きさを持ち、右下に設けられた影により、浮き出した印象が与えられ、「ゆ」だけが独立した一文字として認識される。一方、「めぐり」の文字は左に傾いた字体の同一色で表されており、帯状の枠で囲まれていることから、「めぐり」だけが一体一連の標章と看取でき、「ゆ」と「めぐり」の文字は分離したものと認識される。また、上述したとおり、「ゆ」の文字はその色彩から本件商標の字体のみを変更したものとは認められない。
使用態様3をみると、「ゆ」の文字は、文字の中央に向かって濃淡を付され、左に傾いた書体として表されており、本件商標の字体のみを変更したという社会通念上同一の観念に含まれないものである。また、「め ぐ り」の文字は、1文字ずつ○で囲まれ、「め」と「ぐ」と「り」の3文字にそれぞれ分断されていることから、「ゆ」「め」「ぐ」「り」の4文字がそれぞれ独立、分離しているものと認識される。
以上のことから、使用態様2及び3は、表示態様、フォント、色彩のいずれも異なっており、「ゆめぐり」との一連の標章であるとは到底認識することはできない。
乙第1号証の3の写真をみると、乙第1号証の2と同様の文字(使用態様2及び使用態様3)が確認できる。いずれの記載も「ゆ」と「めぐり」で明らかに分断されて認識されるものであり、本件商標の「ゆめぐり」と社会通念上同一であると認識することはできない。
以上のように、乙第1号証の1ないし3及び検乙第1号証に表示された「ゆ」と「めぐり」の文字は、その大きさ、色、字体のいずれもが著しく異なっており、その違いは被請求人が主張するように「若干」の範囲を明らかに超えており、これらの使用態様は、到底、登録商標の使用であるとは認められないものである。
以上のとおり、被請求人が提出した乙号証及び検乙号証は本件商標の使用にあたらず、商標法第50条第2項の要件を満たしていない。
(2)証拠方法について
被請求人は、乙第1号証及び検乙1号証を製造、販売していることの証明として、乙第3号証を提出している。乙第3号証の証明者は被請求人とは利益関係があり、客観的な証拠とはなりえないものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証(枝番を含む。)及び検乙第1号証を提出した。
1 答弁の理由
本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内の期間に日本国内において、商標権者が現に使用しているものである。
(1)本件商品
被請求人である商標権者は、平成12年以降現在に至るまで継続して、本件商品を広く販売してきた。
なお、商標権者は、平成12年以前から本件商標を付した「入浴剤」を販売しており、本件商品は、平成12年に改訂した第2シリーズの商品である。
本件商品は、「サンリオキャラクターゆめぐり」と称している商品であり、商標権者の製造委託に基づき、松田医薬品株式会社(以下「松田医薬品」という。)の南国工場において製造されている。
本件商品は、一回分20gずつ小袋に小分け包装されており、ローズの香り、レモンの香り、ミントの香りの3種類が存在する。3種類の小袋(商品パッケージ)には、株式会社サンリオの猫のキャラクターである「ハローキテイ」、ハムスターのキャラクターである「コロコロクリリン」、新幹線のキャラクターである「SHINKANSEN」の名称と図柄とがそれぞれ描かれている。
本件商品の販売形態としては、各小袋単品のほか、3袋を1パッケージとした3包入り形態と、6袋を1パッケージとした6包入り形態がある。
乙第1号証の1の写真は、3種類の本件商品(小袋)それぞれの表面及び裏面を並べて撮影したもの、乙第1号証の2の写真は、3包入り形態を撮影したもの、乙第1号証の3の写真は、6包入り形態を撮影したものである。
検乙第1号証は、3包入り形態の本件商品の実物である。
(2)本件商品に付された商標
本件商品の各小袋の表面には、3種類のいずれにも、「ゆめぐり」の文字が表示されている。
この表示は、「ゆ」の文字が他より大きく表示され、また縦書きであるが、明確に「ゆめぐり」と看取できる態様であって、横書きの本件商標「ゆめぐり」と同一の称呼及び観念を生ずる社会通念上同一と認められる商標である。
3包入りの形態(検乙第1号証)の包装台紙や6包入りの形態の包装箱には、各小袋と同様の縦書きの「ゆめぐり」が表示されているとともに、横書きの「ゆめぐり」も表示されている。この横書きの表示は、「ゆ」の文字が他の文字より若干大きいものの、より本件商標の表示態様に近似しており、本件商標と社会通念上同一の商標である。
本件商品の各小袋の裏面には、「〈発売元〉株式会社サンリオ」、「〈販売元〉株式会社ピエラス」、「〈製造販売元〉松田医薬品株式会社」の各表示があり、本件商品が商標権者の販売にかかる商品であることは明白である。
また、本件商品は、医薬部外品の薬用入浴剤であり、本件登録商標の指定商品「浴剤」であることも明白である。
(3)本件商品の取引事実
乙第2号証の1ないし12は、本件商品を製造した松田医薬品が、本件商品を商標権者宛に納品した際、あるいは商標権者の指示に基づいて商標権者の販売先に直接出荷納品した際の「仕切書」である。
ア 乙第2号証の1
乙第2号証の1は、宛名欄に「(株)ピエラス殿」と記載され、発行者欄に「松田医薬品株式会社」と記載され、発伝年月日欄に「22/04/01」と記載されていることから明らかなように、この仕切書は、松田医薬品から商標権者に宛てて平成22年4月1日に発行されたものである。
品名欄の「シンサンリオニュウヨクザイ(キティ)」、「シンサンリオニュウヨクザイ(クリリン)」、「シンサンリオニュウヨクザイ(シンカンセン)」は、それぞれ乙第1号証の1の各写真に示された本件商品のローズの香りの「ハローキティ」、レモンの香りの「コロコロクリリン」、ミントの香りの「SHINKANSEN」を意味し、容量欄の「20g×1F」は、20g入りの小袋が1袋単位のままの形態(小袋単品形態)であることを意味している。すなわち、この仕切書の取引対象物は小袋単品形態の本件商品である。
摘要欄の「本社様」は、この仕切書の示す商品出荷が商標権者の本社宛に行われたものであることを示している。
なお、乙第2号証の1等の仕切書に表示された上記品名が乙第1号証の1等の各写真に示された本件商品を指していることは、松田医薬品の樽井弘明氏の証明書(乙第3号証)によって証明される。
イ 乙第2号証の2
乙第2号証の2の仕切書は、宛名、発行者、発伝年月日、品名、容量が前述の乙第2号証の1と同じである。摘要欄が「(株)パイン・クリエイト様」となっているのは、この仕切書の商品出荷が、商標権者の製造委託先である松田医薬品から商標権者の客先である株式会社パイン・クリエイトに直接行われたことを示している。すなわち、この仕切書は商標権者からその客先に本件商品が販売されたことを示している。
ウ 乙第2号証の3ないし10
乙第2号証の3ないし10の仕切書は、前述の乙第2号証の1及び2と同様、小袋単品形態の本件商品が平成22年4月に複数回に亘って繰り返し取引されていたことを示すものである。
エ 乙第2号証の11
乙第2号証の11の仕切書において、品名欄の「シンサンリオニュウヨクザイ(P)」、容量欄の「20G×6F」は、本件商品の20g入りの小袋6袋を1パッケージとした6包入り形態を示しており、この仕切書は、平成22年8月に、本件商品の6包入り形態が取引された事実を示すものである。
オ 乙第2号証の12
乙第2号証の12の仕切書において、品名欄の「シンサンリオニュウヨクザイ(P)」、容量欄の「20G×3F」は、本件商品の20g入りの小袋を3袋を1パッケージとした3包入り形態(検乙第1号証)を示しており、この仕切書は、平成22年12月に、本件商品の3包入り形態が取引された事実を示すものである。
カ 乙第3号証
乙第3号証は、松田医薬品の製品事業部に属し、同社南国工場の工場長である樽井弘明氏の証明書である。
乙第3号証の証明事項1によれば、「添付資料1」の写真に示す商品は、松田医薬品が商標権者の製造委託に基づいて、平成12年より現在まで継続して製造している「サンリオキャラクターゆめぐり」と称する入浴剤であり、製造した商品は松田医薬品で保管し、商標権者からの出荷依頼に応じて商標権者の本社又は商標権者が指定する納品先に出荷納品していた事実が証明される。
また、乙第3号証の証明事項2によれば、「添付資料2」の書面は、前記証明事項1にかかる入浴剤を松田医薬品から出荷納品する際の松田医薬品発行の仕切書であり、同書面の品名欄に記載している「シンサンリオニュウヨクザイ(キティ)」、「シンサンリオニュウヨクザイ(クリリン)」、「シンサンリオニュウヨクザイ(シンカンセン)」は、それぞれ「添付資料1」の写真に示す猫のキャラクター(ハローキティ)が描かれた商品、ハムスターのキャラクター(コロコロクリリン)が描かれた商品、新幹線のキャラクター(SHINKANSEN)が描かれた商品を指すものである事実が証明される。
以上の次第で、商標権者は、本件取消審判の請求の登録前3年以内の期間において、本件商標をその指定商品について当該商品の包装に付して販売(譲渡)することにより、商標法第2条第3項第1号及び第2号の使用実績を有するものである。
2 むすび
以上説明したとおり、本件商標は、その指定商品「浴剤」について、本件審判請求の登録前3年以内の期間において使用されてきたものであるから、商標法第50条第1項に規定される不使用取消事由を有しない。

第4 当審の判断
1 乙第1号証ないし乙第3号証(枝番を含む。)及び検乙第1号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証の1は、3種類の20g入りの商品について、それぞれの表面及び裏面の写真を掲載したものである。なお、当該3種類の商品は、検乙第1号証として提出された3包入りの商品中の各商品と同一と認められるものである。
上段の商品の表面には、左側に大きく「ゆ」の文字及びその下に「めぐり」の文字が比較的小さく縦書きで記載され、その上部には「FAIRY KITTY」の文字及びその中央にはキャラクター(ハローキティ)が描かれ、その下部には「薬用入浴剤」の文字が記載されている。該商品の裏面には、右上方にキャラクター(ハローキティ)が描かれ、左側には「<発売元>株式会社サンリオ」、「<販売元>株式会社ピエラス 大阪市中央区本町橋一-三○」及び「<製造販売元>松田医薬品株式会社 高知県南国市左右山ヒル沢谷二二九-一」と縦書きで記載され、その下方には、「内容量20g」と横書きで記載されている。
中段の商品の表面には、左側に大きく「ゆ」の文字及びその下に「めぐり」の文字が比較的小さく縦書きで記載され、その上部には「コロコロクリリン」の文字及びその中央にはキャラクター(コロコロクリリン)が描かれ、その下部には「薬用入浴剤」の文字が記載されている。該商品の裏面には、右上方にキャラクター(コロコロクリリン)が描かれ、左側には「<発売元>株式会社サンリオ」、「<販売元>株式会社ピエラス 大阪市中央区本町橋一-三○」及び「<製造販売元>松田医薬品株式会社 高知県南国市左右山ヒル沢谷二二九-一」と縦書きで記載され、その下方には、「内容量20g」と横書きで記載されている。
下段の商品の表面には、右側に大きく「ゆ」の文字及びその下に「めぐり」の文字が比較的小さく縦書きで記載され、その中央にはキャラクター(SHINKANSEN)が描かれ、その下部には「薬用入浴剤」の文字が記載されている。該商品の裏面には、右上方にキャラクター(SHINKANSEN)が描かれ、左側には「<発売元>株式会社サンリオ」、「<販売元>株式会社ピエラス 大阪市中央区本町橋一-三○」及び「<製造販売元>松田医薬品株式会社 高知県南国市左右山ヒル沢谷二二九-一」と縦書きで記載され、その下方には、「内容量20g」と横書きで記載されている。
(2)乙第2号証の1ないし12は、平成22年4月1日から平成22年12月28日の間に松田医薬品が商標権者宛に発行した「仕切書」の写しである。
乙第2号証の1には、「発伝年月日 22/04/01」、「品名 シンサンリオニュウヨクザイ(キティ)、シンサンリオニュウヨクザイ(クリリン)、シンサンリオニュウヨクザイ(シンカンセン)」、「容量 20g×1F」、「数量 500」、「摘要 H22.4.1本社様」等が記載されている。
(3)乙第3号証は、乙第1号証の1の写真を添付資料1、乙第2号証の1の「仕切書」の写しを添付資料2として添付されている、松田医薬品南国工場製品事業部工場長:樽井弘明氏による平成24年7月19日付け証明書であるが、該証明書には、以下の事項に相違ないことが記載されている。
ア 添付資料1の写真に示す商品は、松田医薬品が、商標権者の製造委託に基づいて、平成12年より現在まで継続して製造している「サンリオキャラクターゆめぐり」と称する入浴剤であり、製造した商品は、松田医薬品で保管し、商標権者からの出荷依頼に応じて商標権者の本社又は商標権者が指定する納品先に出荷納品している。
イ 添付資料2の書面は、上記アの入浴剤を松田医薬品から出荷納品する際の松田医薬品発行の仕切書であり、同書面の品名欄に記載している「シンサンリオニュウヨクザイ(キティ)」、「シンサンリオニュウヨクザイ(クリリン)」、「シンサンリオニュウヨクザイ(シンカンセン)」は、それぞれ添付資料1の写真に示す猫のキャラクター(ハローキティ)が描かれた商品、ハムスターのキャラクター(コロコロクリリン)が描かれた商品、新幹線のキャラクター(SHINKANSEN)が描かれた商品を指すものである。
2 前記1によれば、以下のように認定、判断できる。
(1)使用の事実について
乙第1号証の1によれば、商標権者は、別掲のとおりの構成からなる、大きく「ゆ」の文字及びその下に「めぐり」の文字を比較的小さく縦書きに記載した商標(以下「使用商標」という。)を表示した薬用入浴剤(以下「使用商品」という。)を松田医薬品に委託して製造し、販売していることが認められる。
そして、乙第2号証の1によれば、少なくとも、松田医薬品は、平成22年4月1日に、使用商標が付された使用商品について、ハローキティのキャラクターを使用した20g入りの商品、コロコロクリリンのキャラクターを使用した20g入りの商品及びSHINKANSENのキャラクターを使用した20g入りの商品各500個を商標権者の本社宛に納品したことが認められる。
そうすると、商標権者は、使用商標を付した使用商品を(委託先において)製造したものと認めることができるから、この行為は、「商品の包装に商標を付する行為」(商標法第2条第3項第1号)に該当するものである。
(2)使用商品について
使用商品である「薬用入浴剤」は、本件審判請求にかかる商品である「第5類 浴剤,その他の薬剤」の範ちゅうの商品と認められる。
(3)本件商標と使用商標の同一性について
本件商標は、「ゆめぐり」の文字を横書きしてなるものである。
一方、使用商標は、別掲のとおり、「ゆ」の文字がグラデーションを有し比較的大きく記載される等、強調して記載されているとしても、その下に縦書きで記載された「めぐり」の文字と一体的にまとまりよく記載されているものであって、殊更、「ゆ」の文字と「めぐり」の文字を分断して認識しなければならない特段の事情も発見できないものである。
なお、請求人は、使用商標は、「ゆ」の文字が大きく強調された態様であり、「めぐり」の文字とは、それぞれ分離したものと認識される。そのため、本件商標の使用とは認められない旨主張している。
しかしながら、使用商標は、前記のとおり、全体としてまとまりよく記載され、「ユメグリ」の称呼及び「湯巡り」の観念を容易に認識させるものであり、「ゆ」の文字が強調されているとしても、これにより別異の観念を生ずるものではない。
してみれば、本件商標と使用商標は、その文字の大きさや書体等の相違があるとしても、その構成文字が同一であり、それぞれから生じる称呼及び観念も同一であるから、社会通念上同一の商標と見るべきである。
よって、請求人の主張は採用できない。
(4)したがって、商標権者は、本件審判請求の登録(平成24年5月15日)前3年以内である、平成22年4月1日ころに本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付した「薬用入浴剤」を委託先に製造させていたことが認められ、その使用行為は、商標法第2条第3項第1号に該当するものと認められる。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、請求に係る指定商品中の「薬用入浴剤」について、本件商標を使用していたことを証明したものということができる。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中、請求に係る商品についての登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(使用商標)



審理終結日 2012-11-26 
結審通知日 2012-11-28 
審決日 2012-12-13 
出願番号 商願昭60-123790 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (105)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 高野 和行
梶原 良子
登録日 1988-01-26 
登録番号 商標登録第2011716号(T2011716) 
商標の称呼 ユメグリ 
代理人 清水 義仁 
代理人 清水 久義 

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