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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z09
管理番号 1269545 
審判番号 取消2011-301126 
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-03-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-12-13 
確定日 2013-01-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第4412345号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4412345号商標(以下「本件商標」という。)は,「Argofast」及び「アルゴファースト」の文字を上下二段に横書きしてなり,平成10年11月13日に登録出願され,第9類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務(別掲)として,平成12年8月25日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は,本件商標の指定商品及び指定役務中,第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」について登録を取り消す,審判費用は,被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べている。
1 請求の理由
請求人の調査によれば,本件商標は,その指定商品及び指定役務中,第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」については,商標権者,専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても,継続して3年以上日本国内において使用された事実が存しないことから,商標法第50条第1項の規定により,その登録が取り消されるべきものである。
2 弁駁
請求人は,弁駁書において「被請求人からの和解条件を精査中であるため,今暫くの審理の猶予を求める。」と主張し,被請求人の答弁における本件商標の使用に関する立証に対しては具体的な反論をしていない。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1ないし第7号証(枝番を含む。)を提出している。
1 答弁の理由
(1)本件商標の使用について
ア 本件商標が使用されている商品(サービス)は,「Argofast(アルゴファースト)商品カタログ」(乙第1号証)に示すとおり,「販売・生産統合情報システム」であり,提供される商品は,クライアントが必要とする各種業務システム及びそのシステムにアクセスするための「基本ソフトウェア」である。また,このソフトウェアを介したシステムを利用することで可能となる業務についての「業務コンサルティング」や,このソフトウェアを利用しクライアントに応じたシステムの「構築/導入サービス」,このソフトウェア及びシステム全体の「運用/保守支援サービス」のサービスをも合わせて提供していることから,本件商標は,「基本ソフトウェア」自体とこのソフトウェアを介してアクセスできる「各種業務システム」及びそれに付随する各種サービスとを組み合わせた商品・サービスの総称として継続して使用しているものである。
この点,乙第2号証から明らかなように,システムヘのログインページトップ画面に本件商標が明記されていることから,本件商標は,第9類「電子応用機械器具及びその部品」に該当する「電子計算機用プログラム」について明確に使用しているほか,上述のとおり,本件商標は基本ソフトウェアとそれを介したシステム及びそれに付随する各種サービスとを組み合わせた商品・サービスの総称であることから,第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,コンピュータデータベースヘのアクセスタイムの賃貸,オンラインによる情報処理,電子計算機及び電子計算機用プログラムの遠隔監視」,及び上記指定役務中の「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」に包含される「電子計算機用プログラムの提供」について,現に使用しているものである。
イ 本件商標が使用されている商品について,被請求人(本件商標権者)である株式会社NEC情報システムズがNECビューテクノロジー株式会社(現NECディスプレイソリューションズ株式会社:以下「NDS」という。)との間で,平成12年4月3日付でアウトソーシング基本契約(以下「原契約」という。)及びアウトソーシングサービス個別契約(対象システム:Argofast。以下「個別契約」という。)を結び,NDSは,本件商標が使用されているソフトウェアに基づくシステムを導入し,以降現在に至るまでそのシステムの使用を継続しているものである。
被請求人は,原契約及び個別契約に基づきNDSが使用を継続しているシステムの運用(1.各種窓口 2.システム運用監視 3.障害対応),システム保守(1.システム保守),サーバ管理(1.資源管理 2.性能管理)をサービスとして提供している。乙第3号証の1ないし6に示す「アウトソーシング個別契約に関する変更覚書」(以下「変更覚書」という。)で明らかなように,原契約及び個別契約に変更を加えながらも契約は現在に至るまで効力を有し,原契約及び個別契約に基づき,本件商標が使用されている基本ソフトウェア及びシステムに対する運用保守等,上記のサービスを提供し対価を得ているものである。
これを証するものとして,2011年1月から2012年2月までの各月の「Argofast運用保守請求書」の写し(乙第4号証の1ないし14)を提出する。
ウ 原契約及び個別契約に基づいて提供される「システムの運用,システムの保守,サーバ管理」の内容の詳細については,「2010年度4Q運用保守費見積り用資料」,「2011年度1Q運用保守費見積用資料(概算)」,「2011年度2Q運用保守費見積用資料(概算)」,「2011年3Q運用保守費見積用資料(概算)」及び「2011年度4Q運用保守費見積用資料(概算)」(乙第5号証の1ないし5)に明記されており,この資料に基づいて被請求人と「Argofast」の基本ソフトウェアとそれに基づくシステムを利用し続けているNDSとが運用保守費用を取り決め,その取り決めた内容で「変更覚書」を取り交し,これに基づき,NDSは「Argofast」の基本ソフトウェアとそれに基づくシステムの運用保守作業の提供を受け,被請求人は「ARGOFAST運用保守」費用を請求することで対価を受けている。
具体的には,「2010年度4Q運用保守費見積り用資料」(乙第5号証の1)の「3-2.サービスメニュー別費用 3-2-1.アプリケーション運用 2011年1月?3月」や「3-2.サービスメニュー別費用 3-2-2.サーバ運用」から明らかなように,本資料は,各作業内容に応じて各作業担当者の工数を割り出し,その担当者に対する工数対価で費用が算出されるというものである。この資料に基づいて被請求人とNDSとの間で費用についての合意がなされ,「アウトソーシング個別契約に関する変更覚書」(乙第3号証の1)が作成され,この変更覚書で取り交わされた費用で乙第4号証の1ないし3の「請求書」が作成されている。
同様に,「2011年度1Q運用保守費見積用資料(概算)」,「2011年度2Q運用保守費見積用資料(概算)」,「2011年度3Q運用保守費見積用資料(概算)」又は「2011年度4Q運用保守費見積用資料(概算)」(乙第5号証の2ないし5)に基づいて被請求人とNDSとの間で費用についての合意がなされ,各「アウトソーシング個別契約に関する変更覚書」(乙第3号証の2ないし5)が作成され,これらの変更覚書で取り交わされた費用で乙第4号証の4ないし13の各「請求書」が作成されている。
なお,乙第7号証に示すとおり,NDSからの緊急の費用削減要請により,被請求人とNDSとの間で合意がなされ,乙第3号証の6の「アウトソーシング個別契約に関する変更覚書」が新たに作成され,この変更覚書で取り交わされた費用で乙第4号証の14の「請求書」が作成され,以降,継続して被請求人とNDSとの間で費用についての検討をしながら同様の手続を取った上で取引が続けられるものである。
エ 乙第5号証の1の資料中,「3-2.サービスメニュー別費用 3-2-1.アプリケーション運用 2011年1月?3月」及び「3-2.サービスメニュー別費用 3-2-2.サーバ運用」によると,原契約及び個別契約等における「運用・保守」に含まれる詳細内容が明記されており,その詳細内容中,「受託業務:C.サーバ運用(OS,MW,障害管理) 項目:11インフラ変更対応」に,基本ソフトウェアのバージョンアップやパッチ適用について有償対応の旨が明記されていることや,「受託業務:C.サーバ運用(OS,MW,障害管理) 項目:17ArgofastユーザID登録」に,「Argofast」の新規利用者に対するID登録に関する依頼の受付,登録対応の旨が明記されていること,同様に,乙第5号証の2ないし5の資料中にも,「Argofast」の新規利用者に対するID登録に関する依頼の受付,登録対応の旨が明記されていることから,「運用・保守」と表現されている請求項目ではあるが,実体としては上述のとおり,「基本ソフトウェアのバージョンアップソフトウェア」等を有償にて取引する旨が記載されており,いわゆる「システムの運用・保守」のみならず,基本ソフトウェア及び更新ソフトウェア自体の取引が含まれていることが乙第5号証の1ないし5の資料から明らかである。
よって,本件商標が使用されている基本ソフトウェアとそれに基づくシステムに対する「運用・保守」として記載される商品(サービス)の具体的内容を表すとすれば,例えば「Argofast基本ソフトウェア」,「Argofastバージョンアップソフトウェア」,「Argofast基本ソフトウェアに係るバージョンアップソフトウェアの作成又は保守」,「Argofast基本ソフトウェアに係るバージョンアップソフトウェアの提供」,「Argofast基本ソフトウェアに係るシステムの遠隔監視」等であることは明白である。
オ 「NDS Argofast販売システム お知らせ」のリリースノート(乙第6号証の1)から,「Argofast」の基本ソフトウェアが2011年12月5日に最新の更新ソフトウェアが取引されたことが証され,乙第6号証の2の「NDS Argofast販売システム お知らせ Contents:バックナンバー」が示すように,最新の更新ソフトウェアが取引されるまでの間に頻繁に「Argofast」についての更新ソフトウェアが継続して取引されていることがわかる。
また,「Argofast販売Ver11.8リリースのご案内」,「Argofast販売Ver11.9リリースの案内」及び「Argofastシステムバージョンアップのご案内(購買・販売・保守・生産)」(乙第6号証の3ないし5)からも明らかなように,基本ソフトウェアはサーバーと利用者のソフトウェアのバージョン情報をチェックし,同一バージョンであることを確認してから接続をするため,常に最新バージョンになっている必要があり,その更新ソフトウェアはサーバーを介して取引がなされている。また,本システムを利用しているが更新ソフトウェアが置かれているサーバーにアクセスできない利用者のために,別途記録媒体である「CD-ROM」による更新ソフトウェアの取引にも応じる旨が記載され,そのCD-ROMとして「NECディスプレイソリューションズ株式会社 Argofast販売アプリケーション Ver.12.0 2011/11/16」(乙第6号証の6)を提示する。更新ソフトウェアは,サーバーを通して取引されるのが主であり,NDSからの依頼によって,記録媒体である「CD-ROM」での取引が例外的になされるため,簡易的なものではあるが,更新ソフトウェアが電子的及び記録媒体による取引との両方によってなされていることを証するものである。
カ 「Argofast」を利用して提供される各種管理システムは,昨今一般的であるインターネットを介してシステムにログインするような,いわゆるクラウドを利用したシステムではなく,「Argofast」を利用したい場合には,その利用希望者の個人PCに「Argofast」の各種システムに対応した基本ソフトウェアをインストールし,そのソフトウェアを介してシステムにアクセスするという方式を取っていることから,「Argofast」システムを利用している間は,常に基本ソフトウェアを利用し,基本ソフトウェアを利用し続けることで不具合や不都合が生じた場合には,それに応じた基本ソフトウェアの改変,更新等が必要になることからも「Argofast」システムにおける基本ソフトウェア自体とそのメンテナンスとは密接な関係にある。
基本ソフトウェアに係るバージョンアップソフトウェアの作成又は保守,基本ソフトウェアに係るバージョンアップソフトウェアの提供,基本ソフトウェアに係る遠隔監視等のいわゆる「メンテナンス」というサービスが存在するためには基本となる「ソフトウェア」の存在が不可欠であり,この基本となるソフトウェアがあるからこそ「メンテナンス」のサービスが生じることからも,「基本ソフトウェア」,「更新ソフトウェア」と「メンテナンス」のサービスとは切っても切り離すことができない相互関係にある。
キ また,例えば,本商品「Argofast」のような一般個人消費者向けではなく,企業等の大口の消費者へ向けた商品は,その導入費用が高額であることから,コンスタントに導入をすることができるとは限らず,数社へ導入後に相当の期間を経て(例えば,システム更新の機会を待って)ようやく導入に至ることはよくある例である。その場合,前に本商品の導入に到った案件と新たに本商品の導入に到った案件との間が相当程度(不使用取消審判で使用証拠として認められる3年を超えていると仮定)経っている場合に,更新ソフトウェア等の有償取引が「電子計算機用プログラム」の使用として認められないとすると,第三者から今回のように「電子計算機用プログラム」を含む商品について不使用取消審判が請求されて商標権が当該部分について取り消されてしまい,新たな商品取引の際に同一の商品名を使用することができなくなるという不利益が生じることとなる。既に本商品を導入した顧客は本商品を「Argofast」と認識し使用していて,その名称と商品の内容とを他社へ薦めたことで新たな導入につながる事例もよくあることで,そのような場合にその識別標識としての名称が使用できないとなると,それは新たな商取引の機会の損失や商取引の障害とすらなり得る事態である。
ク さらに,「Argofast」のような基本ソフトウェアを利用したシステムの場合,新規利用者のための基本ソフトウェア自体やその改変,更新のための新たなソフトウェアはネットワークを介して取引されることが多く,商品としての電子計算機用プログラムの取引は,有体物である記録媒体によるものとは限らず,むしろネットワークを通じた商品取引形態のほうが多いという実情は十分考慮されるべきものであり,この点,特許庁における商標の類否判断の際の基準である「類似商品・役務審査基準」において第9類「電子応用機械器具及びその部品」に包含される「電子計算機用プログラム」(類似群コード:11C01)と第42類「電子計算機用プログラムの提供」(類似群コード:42X11)とが備考類似とされているところから,それぞれの商品・役務とが類似しているものであるとの認定はなされているが,この判断基準は上述の実情を考慮すれば,不使用取消審判の際にも斟酌されるべきである。
(2)まとめ
以上に示した証拠から,本件商標は継続して3年以上日本国内において第9類「電子応用機械器具及びその部品」に該当する「電子計算機用プログラム」に使用していることは明らかである。
したがって,本件審判の請求は成り立たない。
2 上申
被請求人は,上申書において「請求人との和解交渉を待たずに,本件審判の審理が速やかに継続されることを希望する。」と主張した。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用について
(1)被請求人の提出に係る証拠によれば,以下の事実が認められる。
(ア)乙第1号証は,被請求人の作成に係る「販売・生産統合情報システム」と題する商品カタログの写しと認められるところ,これには,上記表題の下段に「Argofast(アルゴファースト)」の文字が併記されているほか,「製造業のいろいろな経営ニーズに対応して受注から出荷・債権回収までのサプライチェーンをフルサポート!」の見出し下に,「課題」,「導入効果」,「特長」及び「提供内容/構成内容」の各項目毎に説明され,図解がされている。
(イ)乙第3号証の1ないし6は,平成22年12月13日から平成24年1月30日までの間に数度に亘り,被請求人とNDS(NECディスプレイソリューションズ株式会社)との間で締結された「アウトソーシング個別契約に関する変更覚書」の各写しと認められるところ,これらには,上記覚書が平成12年4月3日付で両社間で締結されたアウトソーシング個別契約(対象システム:Argofast)の変更に関するものである旨明記されている。
(ウ)乙第5号証の1ないし5は,2010年11月から2011年12月の間に数度に亘り,被請求人からNDS宛てに発行された「運用保守費見積り資料」の各写しと認められるところ,これらには,全体費用,サービスメニュー別費用,開発サーバ費用,サーバハウジング費用等の項目毎に作業内容,費用等が詳細に記載されている。例えば,「サービスメニュー別費用」中の「インフラ変更対応」の項目には,「サーバのインフラ変更(調査,関係部門との調整も含む。),バージョンアップ,バッチ運用(WindowsOSへのセキュリティバッチ,サービスバック運用を除く)が必要になった場合,有償にて対応いたします。」との説明がされ,同じく「ArgofastユーザID登録」の項目には「Argofast購買/保守/生産システムのユーザID登録依頼をTIGAにて受付,登録を行います。」との説明がされ,それぞれに応じた費用が記載されている。
(エ)乙第4号証の1ないし14は,2011年1月12日から2012年2月2日までの間に数度に亘り,被請求人からNDS宛てに発行された「請求書」の各写しと認められるところ,いずれにも品名欄に「ARGOFAST運用保守(2011年1月)」等の記載がされ,それに応じた金額が記載されている。
(オ)乙第6号証の1は,被請求人発行に係る「NDS Argofast販売システム お知らせ」と題する書面の写しと認められるところ,これには,「Last Update:2011/12/05」,「リリースノートVer12.0」として,上記システムの内容について説明されている。
乙第6号証の2は,上記お知らせのバックナンバーの一覧表の写しと認められるところ,これには,上記販売システムの「Versin1」が2001年4月16日にリリースされて以来,2011年10月3日の「Version11」まで順次リリースされていることが示されている。
乙第6号証の3ないし5は,上記販売システムのバージョンアップ等について告知する2011年8月11日付,同年9月30日付及び同年11月30日付のウェブページの写しと認められるところ,これらには,Argofast販売のバージョンアップを行うこと,実施時期,インストール方法等についての説明が記載されている。
乙第6号証の6は,CD-ROMを撮影した写真と認められるところ,CD-ROMの表面に「NECディスプレイソリューションズ株式会社様」及び「Argofast販売アプリケーション Ver.12.0 2011/11/16」の文字が記載されている。
(カ)乙第2号証は,上記販売システムのログイン画面をプリントアウトしたものと認められるところ,該画面には,その冒頭に「Argofast」の文字が大きく顕著に表示されている。
(2)上記(1)の認定事実によれば,被請求人とNDSとの間で締結された平成12年4月3日付のアウトソーシング基本契約及びアウトソーシング個別契約に基づき,NDSは「Argofast販売・生産統合情報システム」を導入し,現在に至るまで継続して上記システムの使用を継続しており,被請求人は,NDSに対し,「Argofast」と称して上記システムの基本である電子計算機用プログラム(ソフトウェア)の提供及び上記システムに対する運用・保守等を行い,対価を得ているものといえる。上記運用・保守には,いわゆる「システムの運用・保守」のみならず,「基本ソフトウェア及び更新ソフトウェア」自体の取引が含まれ,これらは独立勘定のもとに,サーバーを介して取引されることが多いが,CD-ROMによっても取引されていることが認められる。
これら取引が本件審判の請求の登録(平成24年1月4日)前3年以内に行われたことは,上記乙第4号証の1ないし14,第5号証の1ないし5,第6号証の1ないし6の各書面又はCD-ROM面に記載された日付から明らかである。
そして,上記基本ソフトウェア及び更新ソフトウェアは,電子計算機用プログラムであって,本件請求に係る指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属する商品といえるものであり,少なくとも,乙第1号証の商品カタログに表示された「Argofast(アルゴファースト)」の文字,乙第2号証のログイン画面に表示された「Argofast」の文字をはじめ,乙第6号証の1の書面における「NDS Argofast販売システム お知らせ」の表示,バージョンアップ等を告知するウェブページ(乙第6号証の3ないし5)中の「Argofast販売Ver11.8の案内」,「Argofastシステムバージョンアップのご案内」等の表示,乙第6号証の6のCD-ROMの「Argofast販売アプリケーション」の表示,などにおける「Argofast」の文字は,いずれも独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を果たしているものといえる。また,上記「Argofast」の文字は,本件商標と社会通念上同一といえるものである。
また,被請求人(商標権者)の上記行為は,「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,輸入し,又は電気通信回線を通じて提供する行為(商標法第2条第3項第2号)」又は「商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。
2 むすび
以上のとおり,本件商標は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者である被請求人によって,請求に係る指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」範疇に属する「電子計算機用プログラム」について使用されていたものであるから,商標法第50条第1項の規定に基づき,請求に係る指定商品についての登録を取り消すべき限りでない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲
第9類
「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,回転変流機,調相機,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,磁心,抵抗線,電極,映写フイルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,自動販売機,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,家庭用テレビゲームおもちゃ,電気溶接装置,電動式扉自動開閉装置,録画済みCD?ROM」
第42類
「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,オフセット印刷,グラビア印刷,スクリーン印刷,石版印刷,凸版印刷,気象情報の提供,求人情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,一般廃棄物の収集及び分別,産業廃棄物の収集及び分別,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究に関する情報の提供,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究に関する情報の提供,機械器具に関する試験又は研究,翻訳,医療情報の提供,保育所における乳幼児の保育に関する情報の提供,老人の養護に関する情報の提供,身体障害者の擁護に関する情報の提供,カメラの貸与,光学機械器具の貸与,計測器の貸与,暖冷房装置の貸与,超音波診断装置の貸与,加熱器の貸与,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,理化学機械器具の貸与,ルームクーラーの貸与,コンピュータデータベースへのアクセスタイムの賃貸,オンラインによる情報処理,科学技術に関する情報の提供,知的財産権に関する情報の提供,新聞・雑誌に記載された記事に関する情報の提供,電子計算機及び電子計算機用プログラムの遠隔監視」


審理終結日 2012-08-20 
結審通知日 2012-08-23 
審決日 2012-09-04 
出願番号 商願平10-97896 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z09)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 小川 きみえ
鈴木 修
登録日 2000-08-25 
登録番号 商標登録第4412345号(T4412345) 
商標の称呼 アルゴファースト、アーゴファースト 
代理人 東 泰成 
代理人 中山 健一 

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