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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900089 審決 商標
異議2013900041 審決 商標
異議2012900292 審決 商標
異議2012900372 審決 商標
異議2012900296 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X104244
審判 全部申立て  登録を維持 X104244
審判 全部申立て  登録を維持 X104244
審判 全部申立て  登録を維持 X104244
管理番号 1268527 
異議申立番号 異議2012-900209 
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-07-20 
確定日 2013-01-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第5491818号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5491818号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5491818号商標(以下「本件商標」という。)は、「クリニプロ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成23年12月7日に登録出願され、第10類「医療器具,医療用機械器具並びにその部品及び附属品,診断用機械器具,治療用機械器具,医療用吸入器及びその部品及び附属品,吸入器を使用する患者の吸入力を測定し吸入器の使用を訓練するための治療用機械器具,噴霧器,医療・診断用画像処理装置,病院用機械器具,医療用吸引器及びその部品」、第42類「医薬品・化粧品又は食品の試験・検査・分析・評価・研究又はこれらに関する情報の提供,医薬品の開発,医薬品の臨床試験,医薬品の試験・検査又は研究に関する情報の提供並びにこれらに関するコンサルティング」及び第44類「医業,医療情報の提供,健康診断,医薬研究用試薬の調剤,栄養の指導,医療用機械器具の貸与,ジェネリック医薬品に関する医療情報の提供,医療機関における医薬品の臨床試験に関する臨床データの収集及び管理」を指定商品又は指定役務として、同24年4月12日に登録査定、同年5月11日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)が本件商標が商標法4条1項8号、11号、15号及び19号に該当するとして引用する6件の登録商標(以下、順に「引用商標1?6」という。)は、別掲のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
なお、これらを纏めていうときは、単に「引用各商標」という。

3 申立ての理由要旨
(1)商標法4条1項8号の該当性について
本件商標は、申立人の著名な略称である「ニプロ」を含むから、本号に該当する。「ニプロ」が申立人の著名な略称であることは後述する。
(2)商標法4条1項11号の該当性について
本件商標は、称呼上「クリ」と「ニプロ」の2音節に分離しやすく、「クリ」の部分は本件商標の指定商品・役務との関係で「クリニック(診療所)」を想起させ識別力が弱い。一方、「ニプロ」の部分が、申立人の商標として周知・著名であり、出所識別力が極めて強いため、本件商標の要部といえる。よって、本件商標は、「クリ」と「ニプロ」に分離して印象されるものであり、全体を一連、一体の商標として把握することができるというものではない。
そして、本件商標の「ニプロ」部分からは、「ニプロ」の称呼が生じ、申立人の周知・著名商標である「ニプロ」を想起させるものである。
本件商標と引用各商標を比較すると、「ニプロ」の称呼・外観が共通し、申立人の周知・著名商標を想起させる。
このように、本件商標と引用各商標とは、称呼、外観、観念を共通にするから、類似するものであり、また、両商標の指定商品は、ともに医療機械器具であり、同一又は類似するものである。
よって、本件商標は、商標法4条1項11号に該当する。
(3)商標法4条1項15号の該当性について
(ア)引用商標「ニプロ」、「NIPRO」の周知・著名性
a 申立人の全ての製品には、引用商標「ニプロ」、「NIPRO」が使用されている(甲2?4及び270?274)。
b 売上高は、2002年3月期から2012年3月期までの合計が1兆3,580億円強であり(甲7?10、360及び365)、売上高ランキングは、医療器械、器具製造分野で第4位(甲362)となっている。
c 広告宣伝は、TV、新聞・雑誌のほか、学会や展示会などにおいて行っており、2002年3月期から2012年3月期までの広告宣伝費の合計は、少なくとも86億円強となっている(甲365)。
d 特許電子図書館の日本国周知・著名商標検索に引用商標「NIPRO」が掲載(甲386)されている。
e 引用商標4の「NIPRO」(第10類)は、多数の商品及び役務の区分において防護標章登録がされている(甲1及び369?372)。
f まとめ
以上より、引用商標「ニプロ」「NIPRO」は、商品「医療機器」及び「医薬品」の分野で周知・著名になっているほか、防護標章登録が役務の区分にも及んでいることから、されていることからも、引用商標「ニプロ」「NIPRO」の周知・著名性は、本件商標の指定役務である第42類及び第44類の役務の分野にまで及んでいることは明らかである。
(イ)商標の類似性
本件商標と引用商標「ニプロ」は、前記(2)で記載したとおり、称呼、外観、観念を共通にする類似の商標であることは明らかである。
(ウ)業務の関連性、取引者・需要者の共通性
引用商標「ニプロ」「NIPRO」を使用している商品は、「医療機器、医薬品」のいずれも医療に関するものであり、医師、看護師、検査技師等の医療関係者が扱う商品である。
一方、本件商標の指定商品・役務は、第10類「医療用機械器具」等、第42類「医薬品の開発、医薬品の臨床試験」等、第44類「医業、医療情報の提供、医療機関における医薬品の臨床試験に関する臨床データの収集及び管理」等であって、いずれも医療に関するものであり、こちらもまた、医師、看護師、検査技師等の医療関係者が関係する商品・役務であるから、両商標に係る指定商品・役務は業務の関連性が強く、また両商標に係る商品・役務の取引者・需要者は共通している。
(エ)取引の実情
申立人には「ニプロ」の語を含む商号の関連会社があり(甲270)、これらの会社名から株式会社の語を除いた部分が商標登録され(甲389)、また申立人は「ニプロ」の語を含む商標を多数登録し、使用している(甲387)。
このような取引の実情を踏まえると、同じく「ニプロ」の語を含む本件商標は、申立人のシリーズ化した商標として把握される可能性が極めて高い。
(オ)商標法4条1項15号適用の判断基準
レールデュタン事件(平成12年7月11日、最高裁判決)を引用する(甲388)。
(カ)出所の混同
レールデュタン事件(平成12年7月11日、最高裁判決)の判断基準を本件についてみると、
a 引用各商標は、辞書には掲載されていない生来的な出所識別力の強い造語であり、
b 引用各商標は、その使用に係る商品の売上高も医科器械・器具製造業界で第4位(甲第362号証)で、周知・著名であり、品質・性能のよさから名声を博し、強力な顧客吸引力を有しており、
c 引用各商標は、本件商標と類似し、
d 引用各商標は、その使用に係る業務と本件商標に係る指定商品・役務とが医療業界で一致し、
e 引用各商標は、取引者及び需要者も医師、看護師、検査技師等の医療関係者で共通しており、
f 申立人の関連会社に「ニプロ」の語を含む会社が多く、申立人も「ニプロ」の語を含む結合商標を多数登録し、使用している取引の実情がある。
以上のa?fよりすれば、本件商標が指定商品・役務に使用された場合には、狭義の混同及び広義の混同を生ずるおそれがあり、本件商標は、商標法4条1項15号に該当する。
(4)商標法4条1項19号の該当性について
申立人の引用商標「ニプロ」が、本件商標の出願日前より日本国内で著名であったことは明らかであり、このような著名でかつ造語からなる引用商標に、「クリニック(診療所)」の略称「クリ」を結合して出願し、登録することは、引用商標「ニプロ」の著名性、名声、顧客吸引力にただ乗りし、また、引用商標「ニプロ」の出所識別力希釈化するものであり、不正の目的があったことは明らかである。造語である「ニプロ」からなる本件商標を申立人と同じ医療業界に属する本件商標権者が偶然採択することは考えられない。
以上より、本件商標が商標法4条1項19号にも該当することは明らかである。
(5)結語
以上のとおり、本件商標は、商標法4条1項8号、11号、15号及び19号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)商標法4条1項8号の該当性について
本件商標は、「クリニプロ」の片仮名を標準文字で表しなるところ、その構成の一部に「ニプロ」の文字が含まれているが、その構成文字が5文字と少なく標準文字(同じ書体、同じ大きさ)で同じ間隔に表されていることから、外観上まとまりよく一体的に看取し得るばかりでなく、これより生ずる称呼「クリニプロ」も5音の比較的短い構成音数であることから一連に称呼し得るものであり、その構成中の「クリ」の部分が本件商標の指定商品及び指定役務との関係において出所識別力が弱いとすべき理由も認められず、構成全体として特定の意味を有しない一連一体の造語として認識されるというべきものである。
申立人は、「クリ」の部分は本件商標の指定商品・役務との関係で「クリニック(診療所)」を想起させ識別力が弱いと主張するが、「クリ」の部分が、我が国の本件商標に係る指定商品及び指定役務の分野における取引者、需要者間において「クリニック(診療所)」を想起させるとすることを客観的に認めるべく証拠の提出もなく、他にこれを認めるべき事情は全証拠によっても見いだせないものであり、この点に関する申立人の主張は採用することができない。
そうすると、「ニプロ」が申立人会社の著名な略称であるとしても、本件商標は、その構成中に申立人会社の著名な略称を含むとものとは認識されないものというのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法4条1項8号に該当しない。
(2)商標法4条1項11号の該当性について
本件商標は、「クリニプロ」の片仮名を標準文字で表してなるところ、特定の意味を有しない造語として認識されるものであるから、その構成文字に相応して「クリニプロ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
他方、引用商標1?3及び5は、いずれも「ニプロ」の片仮名を横書きしてなる(標準文字で表したものを含む。)ものであるから、その構成文字に相応して「ニプロ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
引用商標4は、別掲(4)のとおりデザイン化された欧文字であるが「NIPRO」の欧文字を認識させるものであり、引用商標6は、ありふれた横長楕円輪郭内に「Nipro」の欧文字を横書きしてなるものであるところ、「NIPRO」又は「Nipro」の欧文字は特定の意味を有しない造語であるから、いずれもその構成文字に相応して「ニプロ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
そこで、本件商標の外観と引用各商標の外観とを対比すると、本件商標は、引用商標1?3及び5とは「ニプロ」の文字を共通にするが語頭において「クリ」の文字の有無の顕著な差異を有し、引用商標4及び6とは片仮名と欧文字のほか、横長楕円輪郭図形の有無による顕著な差異を有するものであるから、両者は、外観上において、十分区別することができ、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である。
つぎに、本件商標から生ずる「クリニプロ」と引用各商標から生ずる称呼「ニプロ」とを対比すると、前記(1)において記載したとおり、本件商標は、外観上まとまりよく一体的に看取し得るばかりでなく、これより生ずる称呼「クリニプロ」も5音の比較的短い構成音数であることから一連にのみ称呼するものというのが相当であるうえ、称呼における識別上重要な位置を占める語頭において「クリ」の音の差異を有するので、両商標は、称呼上十分聴別することができ、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である。
観念については、本件商標と引用各商標とは、比較することができない。
ところで、申立人は、「ニプロ」の語を含む商号の関連会社があり(甲270)、これらの会社名から株式会社の語を除いた部分が商標登録され(甲389)ているとともに、「ニプロ」の語を含む商標を申立人が多数登録し、使用している(甲387)取引の実情を踏まえると、同じく「ニプロ」の語を含む本件商標は、申立人のシリーズ化した商標と把握される可能性が極めて高い旨、主張しているが、これらの実情を含めて外観、称呼及び観念を総合勘案しても、本件商標と引用各商標とは、互いに相紛れることのない非類似の別異の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法4条1項11号に該当しない。
(3)商標法4条1項15号の該当性について
申立人提出の甲各号証によれば、申立人は、永年にわたり多額の広告宣伝費用を投じ、テレビ、新聞、雑誌等のマスメディアにより、引用各商標(特に引用商標4)をダイアライザー、人工透析用回路、経皮的血栓除去用カテーテル、中心静脈用カテーテル、EDチューブ、インフューザー、輸液システム、翼付静脈留置針及びグルコース専用測定装置等のいわゆる医療用機械器具について、申立人の業務に係る商品の出所を表示する商標として、多々使用していることが認められることから、引用各商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、その取引者、需要者間において周知・著名であったと認められる。
しかしながら、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、引用各商標が主として上記の医療用機械器具等について、その取引者、需要者間において周知・著名であったとしても、本件商標は、前記(2)において記載したとおり、引用各商標とは非類似の別異の商標であることから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、これらの引用各商標を連想又は想起させるものとは認められず、申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品及び役務の出所について誤認混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法4条1項15号にも該当しない。
(4)商標法4条1項19号の該当性について
本件商標が本号に該当するためには、本件商標が引用各商標と同一又は類似の商標でなければならないところ、本件商標は、引用各商標とは、前記(2)において記載したとおり、非類似の商標である。
加えて、本件商標が、不正の目的をもって使用するものであることを客観的に示す証拠の提出もなく、ほかにこれを認める事情は、全証拠によってもも見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法4条1項19号にも該当しない。
(5)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法4条1項8号、11号、15号及び19号のいずれにも違反してされたものでないから、同法43条の3、4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
引用商標1(登録第4468472号)
・商標 「ニプロ」の標準文字
・指定商品 第5類、10類(医療用機械器具,ほか)、11類、16類、19類、21類及び25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
・登録出願日 平成12年5月17日
・設定登録日 平成13年4月20日
・更新登録日 平成23年4月5日

引用商標2(登録第5202552号)
・商標 「ニプロ」の片仮名
・指定商品 第5類、10類(医療用機械器具,ほか)、11類及び21類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
・登録出願日 平成20年6月19日
・設定登録日 平成21年2月6日

引用商標3(登録第5397549号)
・商標 「ニプロ」の片仮名
・指定役務 第35類(医療用機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ほか)に属する商標登録原簿記載のとおりの役務
・登録出願日 平成22年10月13日
・設定登録日 平成23年3月11日

引用商標4(登録第3196763号)
・商標


・指定商品 第10類「医療用機械器具」
・登録出願日 平成5年11月19日
・設定登録日 平成8年9月30日
・更新登録日 平成18年4月25日
・防護標章登録第1号における商品及び役務の区分
第1類、3類、5類、7?11類、16類、17類、20類、21類、24類、25類、29類、30類、36類、37類、40?42類及び44類・防護標章登録第2号における役務の区分
第35類
・防護標章登録第3号における商品及び役務の区分
第12類及び39類

引用商標5(登録第4461543号)
・商標 「NIPRO」の標準文字
・指定商品 引用商標1と同一
・登録出願日 平成12年5月17日
・設定登録日 平成13年3月23日
・更新登録日 平成22年11月16日

引用商標6(登録第4478863号)
・商標


・指定商品 引用商標1及び5と同一
・登録出願日 平成12年5月17日
・設定登録日 平成13年6月1日
・更新登録日 平成23年4月5日


異議決定日 2013-01-11 
出願番号 商願2011-88115(T2011-88115) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (X104244)
T 1 651・ 23- Y (X104244)
T 1 651・ 26- Y (X104244)
T 1 651・ 271- Y (X104244)
最終処分 維持  
前審関与審査官 清棲 保美 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 井出 英一郎
渡邉 健司
登録日 2012-05-11 
登録番号 商標登録第5491818号(T5491818) 
権利者 クリニプロ株式会社
商標の称呼 クリニプロ 
代理人 柳生 征男 
代理人 中田 和博 
代理人 青木 博通 

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