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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X0510
管理番号 1268510 
異議申立番号 異議2012-900046 
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-02-20 
確定日 2012-11-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第5452257号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5452257号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5452257号商標(以下「本件商標」という。)は、「CieAura」の文字を標準文字で表してなり、平成23年5月27日に登録出願、第5類「医療用腕環」及び第10類「ツボ刺激用器具,シート状の医療用機械器具」を指定商品として、同年10月14日に登録査定、同年11月18日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第8号、同第19号及び同第7号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
(1)申立人が使用する商標について
申立人は、「CieAura」の文字を含む別掲1の商標(以下「申立人商標」という。)を平成21年5月から米国において商品「エネジー・リストバンド(医療用腕環)」及び「ホログラフィック・チップ(シート状の医療用機械器具)」に使用しておりスポーツ愛好者を中心とする需要者の間に広く認識されている。
また、同商品は、平成22年から米国の通信販売業者を通して、我が国にも輸入されている。
(2)商標法第4条第1項第8号について
本件商標の構成文字「CieAura」は、申立人である米国法人「CieAura, LLC LIMITED LIABILITY COMPANY(シオーラ エルエルシー リミッティド ライアビリティー カンパニー)」の名称である。
さらに、商標権者は本件商標の出願時及び査定時に申立人の承諾を得ていない。
よって、本件商標は、他人の名称をその承諾を得ることなく含む商標であるため、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号について
ア 申立人は、平成21年5月から米国において、申立人商標を医療用腕環であるエネジー・リストバンド及びシート状の医療用機械器具であるホログラム印刷シール製品に使用しており、遅くとも平成22年初頭には、同商標は申立人が前記商品に使用する商標として、米国のスポーツ愛好者を中心とする需要者の間に広く認識されている。
申立人は、平成22年から、北米のほかに、シンガポール、フィリピン、スロベニア、メキシコ、中央アメリカに流通センターを設置し、インターネットを利用して申立人商標を付した前記商品を各国で販売しており、同商品は我が国の需要者のもとにも通信販売業者を通して、平成22年度中ごろから届けられている。
一方、本件商標は、欧文字「CieAura」からなり、指定商品は第5類「医療用腕環」及び第10類「シート状の医療用機械器具」を含むものであって、申立人の業務にかかる商品と同一である。
また、本件商標及び商標権者の所有する他の登録商標(商標登録第5423266号)の存在により、申立人商標の登録及び使用が困難な状態となっている。
イ 以上の事実により、商標権者は本件商標の出願時において、申立人の名称であり、また申立人の業務に係る商品を表すものとして米国の需要者に周知されている商標「CieAura」の日本における排他的権利化を意図し、申立人による日本市場進出から不正の利益を得ること、又は申立人の日本市場進出を不当に妨害する目的を有していたことは明白である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第7号について
上記(2)で述べたように、本件商標は、商標権者が申立人の承諾を得ずに申立人の名称を含んだ商標を出願した結果、登録されたものである。このような商標権者の行動は他人である申立人の人格権を無視するものであり、公の秩序又は善良の風俗を害するものである。
また、上記(3)で述べたように、本件商標は、申立人の日本進出を妨害することによって利益を図る目的をもって出願した結果、登録されたものであることが明白である。このような商標権者の行動は、公の秩序又は善良の風俗を害するものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1号第7号に該当する。

3 本件商標の取消理由
商標権者に対して、平成24年8月8日付けで通知した本件商標の取消理由は、別掲2のとおりである。

4 商標権者の意見
商標権者は、上記3の取消理由に対して、指定した期間を経過するも何ら意見を述べていない。

5 当審の判断
本件商標は、上記3の取消理由のとおり、申立人商標及びそれを使用した医療用機械器具の存在を知ったうえで、当該商標が日本において出願・登録されていないことを奇貨として、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的などの不正の目的をもって登録出願されたものであって、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当し、公の秩序又は善良の風俗に反するものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(申立人商標)

(色彩については原本参照)


別掲2(本件商標の取消理由)
1 申立人シオーラ エルエルシー リミッティド ライアビリティー カンパニー及び大平英介の提出に係る証拠、同人の主張及び職権調査によれば、次のとおり認められる。
(1)申立人を商標権者とする、「CIEAURA」の文字からなる商標(米国商標登録番号3875998)は、2010年(平成22年)2月1日に出願、第10類「Therapeutic apparatus, namely, printed holograms applied to or near the body's surface for therapeutic use, namely, for increased energy, improved stamina, sleep aid, and discomfort management.(仮訳:医療用機械器具、すなわちエネルギーの増進、スタミナの改善、安眠及び倦怠感の除去のために体面に密着して又は体面近くに施術される印刷されたホログラム)」を指定商品として、同年11月16日に登録されたものであり、その使用開始日は2009年(平成21年)5月7日である(甲第3号証)。
(2)申立人は、米国において、「CieAura」の文字及び図形からなる別掲のとおりの商標(なお、申立人が使用する商標は別掲1の商標と色彩が相違するものがあるが、それらをまとめて、以下「申立人商標」という。)を使用した商品「医療用機械器具」(以下「申立人商品」という。)に関する電話会議(Conference Call)を2011年(平成23年)5月28日に開催した(甲第5号証)。
(3)申立人は、申立人商品に係る会議やイベント等の案内に申立人商標を付して、2011年(平成23年)9月21日に業者宛てに電子メールを送付した(甲第6号証及び申立人主張)。
(4)異議2011-900357(商標登録第5423266号に対する登録異議申立事件)において申立人から提出された甲第8号証4(以下、甲第8号証及び甲第9号証というときは、異議2011-900357において提出されたものをいう。)に「(C)2010 EMPOWER magazine.」(注:(C)は「○の中にC」の記号)と記載されていること、甲第9号証3の2010年4月7日付けコメントに「Have you seen the CieAura EMPOWER Magazine yet?」(仮訳:シオーラエンパワーマガジンは、もう読んだ?)と記載されていることからすれば、申立人は、2010年(平成22年)4月頃に発行された雑誌「EMPOWER」に、申立人商品、申立人商標及び申立人商品の体験談等を掲載した(甲第8号証1ないし9及び甲第9号証3)。
(5)「PRWeb」と称するウェブページに、2010年(平成22年)3月31日付けで「CieAura Launches Successfully with Over 3000 Attendees(仮訳:シオーラが3000人以上の参加者と一緒に事業を成功裏に開始した)」の表題の下、申立人商標が掲載され、「CieAura LLC,distributor of CieAura Transparent Holographic ChipsTM(注:TMは上付文字),successfully launched its direct sales company with an exciting multi-media event at the Hilton Americas in Houston,Texas on March 18-21,2010.(仮訳:2010年3月18日から21日にテキサス州ヒューストンのヒルトンアメリカスで開催されたエキサイティングなマルチメディアイベントにおいて、『CieAura Transparent Holographic Chips』(商標)の販売者であるシオーラLLCは、その直販会社と事業を成功裏に開始した)」の記載とともに、申立人商品が紹介された(甲第9号証8)。
(6)同じく「PRWeb」と称するウェブページに、2010年(平成22年)9月20日付けで「CieAura Expands Product Distribution To Over 40 Countries(仮訳:シオーラが、製品の供給を40か国以上に拡大した)」の表題の下、申立人商標が掲載され、「CieAura LLC,distributor of CieAura Transparent Holographic ChipsTM(注:TMは上付文字),will announce the official soft launch of over 40 countries they can deliver product into at their international convention on the weekend of October8-10,2010 in Los Angeles.(仮訳:2010年10月8日から10日にロサンゼルスで開催される国際会議において、『CieAura Transparent Holographic Chips』(商標)の販売者であるシオーラLLCは、商品を供給できる40か国以上で正式に事業を開始することを発表する)」の記載とともに、申立人商品の紹介として「CieAura’s Transparent Holographic ChipsTM(注:TMは上付文字) are computer-programmed holograms that have the look of simple decals on the body or clothing and are totally non-invasive,without any chemical component.When applied to specific acupuncture areas,users report an increase in energy and stamina,deeper,more complete rest,relief from discomfort,naturally enhanced athletic performance and other positive results depending on the program formula of the Holographic Chip and the related placement.(仮訳:コンピュータプログラムされたホログラムである『CieAura Transparent Holographic Chips』(商標)は、身体又は衣服のシンプルなステッカーのような外観を持ち、化学成分を含まず非侵襲的である。特定のツボに貼り付けることで、ホログラフィックチップのプログラム式及び配置によって、エネルギー及びスタミナの増進、深くより満たされた睡眠、不快感の軽減、運動能力の増強及び他の有益な成果が報告されている。)」と掲載された(甲第9号証9)。
(7)動画共有サイト「YouTube」の「CieAura Official YouTube Page」において、2010年(平成22年)7月29日付けで「Celebrity Testimonials for CieAura(仮訳:シオーラについて著名人の証言)」と題して、申立人商標や著名人による申立人商品の体験談の動画が掲載された(甲第9号証13ないし20)。
(8)上記(1)ないし(7)からすれば、申立人は、米国において、遅くとも2009年(平成21年)5月頃から商標「CIEAURA」の使用を開始し(上記(1))、遅くとも2010年(平成22年)3月頃から申立人商品に申立人商標を使用して販売し、インターネットや雑誌等でその広告をしている(上記(2)ないし(7))と認められる。
2 商標法第4条第1項第7号該当性について
(1)商標法第4条第1項第7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は、商標登録を受けることができないと規定している。ここでいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、(ア)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(イ)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(ウ)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(エ)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(オ)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきである(知財高裁平成17年(行ケ)第10349号参照)。
(2)前記1(8)からすれば、商標権者は遅くとも本件商標の出願前である2010年(平成22年)3月頃には、米国において申立人商品に申立人商標が使用され販売されていることをインターネットを通じて知り得る状況にあったといえる。
申立人商標は、別掲1のとおりの構成からなり、「CieAura」の文字を要部とするものであって、該文字に相応して「シオーラ」の称呼を生じるものである。また、該文字は、特定の意味を有しない造語と認められるものである。
そして、本件商標が「CieAura」の文字からなるものであること、該文字(語)が特定の意味を有しない造語であること、本件商標と申立人商標の構成中「CieAura」の文字とは、その綴りのみならず、1文字目の「C」及び4文字目の「A」を大文字で表記する態様も共通にすること、及び、本件商標の指定商品が申立人商品を表したものと認められることをあわせみれば、本件商標は、その構成態様のみならず、その指定商品までもが申立人商標及び申立人商品と偶然に一致したとは想定し難く、商標権者が申立人商標及び申立人商品を知ったうえで、申立人商標が日本において出願・登録されていないことを奇貨として、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的などの不正の目的をもって出願されたものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合(上記(1)(オ))に該当するものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものといわなければならない。


異議決定日 2012-10-19 
出願番号 商願2011-36318(T2011-36318) 
審決分類 T 1 651・ 22- Z (X0510)
最終処分 取消  
前審関与審査官 竹内 耕平 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 高野 和行
梶原 良子
登録日 2011-11-18 
登録番号 商標登録第5452257号(T5452257) 
権利者 株式会社RAVI
商標の称呼 シオーラ、シーオーラ、シエオーラ、シエアウラ、シーアウラ、シー、シエ、シイアイイイ、オーラ、アウラ 
代理人 橋本 晃 
代理人 橋本 晃 

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