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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 109
管理番号 1268464 
審判番号 取消2012-300093 
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-02-09 
確定日 2013-01-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第1689805号の2商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1689805号の2商標(以下「本件商標」という。)は、登録第1689805号商標の商標権の分割に係るものであるところ、登録第1689805号商標は、「GENESIS」の欧文字を横書きしてなり、昭和56年12月10日に登録出願、第11類「電気機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として同59年6月21日に設定登録されたものであり、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、また、指定商品については、平成16年12月1日に第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電池」を指定商品とする書換登録がなされている。
そして、本件商標は、同18年7月21日に、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、分割移転の登録がなされたものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成24年2月27日にされている。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第9類「電子応用機械器具及びその部品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その請求に係る指定商品の「電子応用機械器具及びその部品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)乙第2号証ないし乙第12号証は、いずれも本件商標が使用されていたことを証明するものではない。
なお、乙第2号証ないし乙第9号証は、被請求人も述べているとおり、同じく本件商標登録に対する不使用取消審判(取消2009-301152号)及びこれに係る審決取消訴訟(平成23年(行ケ)第10096号)において被請求人が提出した証拠と同じものである。(以下、この一連の手続きを「前審判事件等手続」という。)
(2)乙第2号証ないし乙第6号証及び乙第9号証ないし乙第11号証について
乙第2号証は、被請求人のウェブサイトにおける被請求人が製造・販売している「キヤノファクス」という「ファクシミリ」についての紹介記事の抜粋である。被請求人は、本件商標が説明文中の文字とは異なる態様にて大きく表示されていると主張している。
乙第3号証ないし乙第6号証、乙第10号証及び乙第11号証は、被請求人が製造・販売している「ファクシミリ」の製品カタログであり、被請求人は、当該カタログ中において、やはり本件商標が説明文中の文字とは異なる態様にて大きく表示されていると主張している。被請求人は、自らが主張するように、高品位画質で送受信できる被請求人独自の画像処理技術を「GENESIS」という技術名称として、これらのカタログにおいて使用している。
確かに、乙第2号証は平成21年12月7日に打ち出されたものであり、乙第9号証は平成22年7月12日に打ち出されたものである。また、乙第5号証に示されている「2009年6月現在」という日付、及び乙第10号証及び第11号証に示されている「2010年2月現在」という日付も、本件審判の請求の登録日3年以内のものである。
しかし、本件審判と同様に、商標法第50条に基づく不使用取消審判が請求された事案である取消2007-301148号において、「コピー機能・ファクシミリ機能・スキャナー機能付きプリンター」について、プリンターの特徴的技術若しくは機能の説明としてカタログの文章中に表示されている文字が、商標法における使用には該当しないとしてその登録を取り消されている(甲第1号証)。(審決注:甲第1号証の取消2007-301148号の商標は、「M-Dot」であるところ、同審決において、「M-Dot」がインク滴制御技術の名称(機能名)であることが認められている。)
すなわち、同審決において引用されている平成12(行ケ)第117号事件判決(甲第2号証)に示されるとおり、「商標法50条の適用上、『商品』というためには、市場において独立して商取引の対象として流通に供される物でなければならず、また、『商品についての登録商標の使用』があったというためには、当該商品の識別表示として、同法2条3項、4項所定の行為がされることを要するものというべきである」ところ、乙第2号証ないし乙第6号証においては、「GENESIS」の文字が、原稿に忠実な高品位画質での送受信を可能にする画像処理技術の名称であることは示されているが、この技術名称を付した個別の独立した商品が取引されていることを示す証拠は何ら提出されていないのであり、仮にその技術名称を示す文字が他の文字とは異なる態様にて大きく表示されていたとしても、需要者はその技術を独立して購入するわけではないから、これらの証拠をもって、本件商標が本件審判の請求の登録日である平成24年2月27日前3年以内(以下「要証期間内」という。)に審判請求に係る商品について使用されたと認められるものではない。
(3)乙第12号証について
被請求人は、「プリンター機能・コピー機能搭載のFAX複合機」は本件審判請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品」にも該当すると主張している。そして、「ブリンター機能・コピー機能搭載のFAX複合機」とその実態を共通にする「コピー機能・ファクシミリ機能・スキャナー機能付きプリンター(及びその部品・付属品)」は、特許電子図書館「商品・役務名リスト」によれば、「電子応用機械器具及びその部品」が属する類似群コード(11C01)が付与されているとして、乙第12号証を提出している。
しかし、前記「商品・役務名リスト」によれば、「ブリンター機能・ファクシミリ機能搭載のFAX複合機」とまさに実態を共通にすると思われる「電子複写機能・プリンター機能・スキャナ一機能付ファクシミリ」については、「電子通信機械器具」(審決注:「電子通信機械器具」は、「電気通信機械器具」の誤記と認められる。以下同じ。)が属する類似群コード(11B01)が付与されている(甲第3号証)。
したがって、乙第2号証(審決注:乙第12号証の誤記と認められる。)は、「プリンター機能・コピー機能搭載のFAX複合機」が本件審判請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品」にも該当することの証拠となるものではない。
(4)被請求人の製造・販売する商品について
被請求人は、被請求人の「FAX複合機」は「FAX機能」の他に、「プリンター機能」や「コピー機能」を有する商品であり、「プリンター」や「コピー機」が「電子応用機械器具及びその部品」に属する商品である以上、「プリンター機能・コピー機能搭載のFAX複合機」も同様に「電子応用機械器具及びその部品」に該当するものであると主張する。
しかし、被請求人の提出した証拠に示されている「キヤノファクス」という商品は、その商品名の中に「ファクス(FAX)」の文字を含んでいることにも明確に表れているように、被請求人自ら「ファックス」であることを前面に打ち出した商品であり、被請求人のホームページにおいても、「コピー機」、「プリンター」とはもちろん、「オフィス複合機」とも明確に区別され、「ファックス」として需要者に訴求されている商品である。このことは、乙第2号証の上端部に記載されているホームページの情報として「キヤノン:オフィス向けファクス キヤノファクス」との記載があることからも明らかである。
実際、前審判事件等手続では、被請求人自身が当該商品を「電子通信機械器具」に属する「ファクシミリ」であると主張し、裁判所もこれが「ファクシミリ」であることを前提に判断を行なっている(甲第4号証)。
被請求人も述べているとおり、ある商品が指定商品に該当するか否かを判断する場合には、当該商品の生産部門、販売部門の同一性、原材料、品質の同一性、用途の同一性、需要者の範囲の同一性等により、商取引の実情を考慮して個別具体的に判断されるべきである。
この点、ある商品が複数の商品としての機能を備えているような場合には、商標法の下での指定商品として、複数の指定商品群に該当する商品と判断される場合も存在すると思われるが、被請求人の製造・販売する「キヤノファクス」はこれには当たらないというべきである。
被請求人が提出した乙第6号証ないし乙第9号証、乙第10号証、乙第11号証(審決注:「乙第3号証ないし乙第6号証、乙第10号証、乙第11号証」の誤記と認められる。)の商品カタログによれば、「キヤノファクス」シリーズにあっては、乙第6号証に示される「L2800」型機には「ブック原稿対応」機能が付いているとされており、カタログ末尾の製品仕様表の「最大送信原稿サイズ」の欄にも「シート」と並んで「ブック」という記載があるが、他の型式のものについては、製品仕様表の該当欄にも「ブック」という記載はなく、機械の形状から見ても、書籍やノート類等のコピーはできないものと思われる。
このように「キヤノファクス」は、コピー機能やプリンターの機能を備えているとはいっても、これらはあくまでも、「ファクシミリ」が本来的に備えているべきスキャニングの機能やプリント機能を利用したものにすぎず、いわば「ファクシミリ」の従たる機能にすぎないというべきものである。また、そうであるからこそ、被請求人自身も「キヤノファクス」シリーズを、「コピー機」「プリンター」「オフィス複合機」とは区別された、「ファックス」として訴求しているものといえる。
これらの個別具体的事情に鑑みれば、被請求人の「キヤノファクス」は、あくまでも「電子通信機械」である「ファクシミリ」であって、「コピー機」、「プリンター」、「オフィス複合機」のような「電子応用機械器具及びその部品」には該当しないというべきである。
(5)本件商標について
本件商標である「GENESIS」は、乙第2号証にも明記されているとおり、原稿に忠実な高品位画質での送受信を行うための画像処理技術の名称である。
そうである以上、このような「送受信」を高品位画質で行うための技術の名称が、当該技術を使用した商品について出所識別機能を果たしうる場合があるとしても、それは、画像の「送受信」という「通信」を行う機械、すなわち、「電子通信機械器具」であるところの「ファクシミリ」との関係に限られるというべきである。
また、被請求人の提出した各証拠からも明らかなように、当該技術及び技術名称は、被請求人の広告宣伝において、常に「キヤノファクス」シリーズと密接な関係を持つ技術の名称として表示され、使用されている。そして、この「キヤノファクス」という商品名は、「キヤノン」の「ファクシミリ(FAX)」であることを強く印象付ける名称といえる。とすれば、仮にこれらの宣伝広告に接した需要者が、「GENESIS」を被請求人の商品に関する識別表示であると考えるというのであれば、それは「キヤノン」の「ファクシミリ(FAX)」に関するものであると考えるのが自然である。
このように、本件商標と「ファクシミリ」という商品とは強い関連性を有するといえるものであり、本来的に関連技術の名称である本件商標が、ある商品について出所識別機能を果たしうる場合があるとしても、それは当該技術と関係する「ファクシミリ」という商品との関係に限られるというべきである。
そして、まさにそうであるからこそ、前審判事件等手続においては、本件商標は対象となる商品に使用された技術の名称であるとされながらも、当該商品である「ファクシミリ」について商標的に使用されていたとの認定がなされたというべきものである。
にもかかわらず、本件審判においては、上記のような商品の従たる機能であるコピー機能やプリンター機能に基づいて、さらに「コピー機」や「プリンター」と同じ「電子応用機械器具及びその部品」にも該当するということになるのであれば、商標制度利用者の商標制度に対する信頼は著しく害される結果となりかねない。
そもそも実務の場では、不使用取消審判は、新たに商標を登録しようとする者が、先行する類似商標の登録との関係で拒絶理由通知を受領したような場面や、出願前の調査において先行する類似商標の登録を発見したような場面において、当該先行登録に係る商標がその指定商品に使用されていないと思われる場合に、当該先行登録を排除する目的で請求されることが多いといえる。本件もそのような一例であり、実際に、本件商標と類似する請求人の出願は被請求人の本件商標を引例とする拒絶理由通知を受けている。
このような場面において、対象商品につき最も詳しいはずの登録商標権者が、対象を限定せずに全指定商品を取消しの対象とした前審判事件等手続においては、最初から「電子応用機械器具及びその部品」である「FAX複合機」について本件商標を使用したとの主張立証活動をすることが可能であったにもかかわらず、ひたすら「電子通信機械器具」に属する「ファクシミリ」である旨の主張を繰り返して有利な結果を得た後に、他方当事者が当該結果に基づいてとった次の手続、具体的には対象を「電子応用機械器具及びその部品」に限定した本件審判請求手続の中で、今度は一転して、「電子応用機械器具及びその部品」についても本件商標を使用していたとの主張立証活動をして、これが認められるのであれば、本件審判の請求人のような立場に置かれた商標利用者の利益は不当に広範に害される結果になるという他はない。
(6)結語
以上述べたとおり、被請求人は、その答弁書において、本件商標が本件審判請求の登録前3年以内に商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかにより「電子応用機械器具及びその部品」に使用されている点を主張立証できておらず、また使用していないことについての正当な理由と証明も行っていないものであるから、本件商標は、不使用によりその商標登録を取り消されることを免れないものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証(枝番号を含む。審決注:乙第8号証は欠番である。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)被請求人は、本件商標をその指定商品中「ブリンター機能・コピー機能搭載のFAX複合機」について、本件審判の要証期間内に日本国内において使用している。
乙第2号証は被請求人のインターネット上のホームページ中、被請求人が製造・販売している「FAX複合機」に関する製品紹介サイトからの抜粋打ち出しである(プリント日:2009年12月7日、http://cweb.canon.jp/canofax/technology/beautiful.html)。
同サイトページ中に本件商標「GENESIS」が説明文中の文字とは異なる特徴的な字体により、大きく、太く、まとまりのある、独立して、目立つように表示されている。
ここから明らかなように、被請求人は自身が製造販売するFAX複合機のうち、被請求人独自の画像処理技術により高品位画質で送受信可能な製品については、他のFAX複合機等と識別可能となるように本件商標を使用しているものである。
そして、乙第3号証ないし乙第6号証は、乙第2号証中に「対応機種」として挙げられているFAX複合機(L380S、L230、JX6000、L2800)の製品カタログである。
同カタログ中にも本件商標が他の説明文中の文字とは異なる、大きく、太く、まとまりのある、特徴的な字体により、独立して、目立つように表示されている。また、各カタログの最終頁にはカタログ中に記載された製品仕様が何時のものであるかを明確にするための年月日(2008年7月現在、2009年6月現在)が記載されている。
乙第2号証のプリント日が2009年12月7日であることから、各カタログのFAX複合機はいずれも本件審判の要証期間内に製造販売されていることが立証される。
加えて、乙第3号証、乙第4号証と同じ製品のカタログであって、2010年2月製作のものを乙第10号証、乙第11号証として提出する。これにより、カタログ掲載のFAX複合機は、いずれも本件審判の要証期間内に製造販売されていること、これらのカタログも本件審判の要証期間内に配布等されていたことが一層明確となる。
乙第9号証は、被請求人のインターネット上のホームページ中、被請求人が製造・販売しているFAX複合機の電子カタログの掲載サイトの打ち出しである(プリント日:2010年7月12日、http://cweb.canon.jp/pdf-catalog/canofax/index.html)。ここに、乙第3号証ないし乙第6号証と同一内容からなるカタログが掲載されており、それぞれの掲載日(2008年7月3日又は2009年7月1日)が併記されている。
乙第9号証により、乙第3号証ないし乙第6号証のカタログは店頭等における配布のみならず、同内容のいわゆる電子カタログが本件審判の要証期間内にインターネット上で公開されていたこと(言うまでもなく、商標の使用の一形態である)が立証される。
(2)上記乙第2号証ないし乙第11号証により、本件商標の使用が立証されることは、まさに同様の証拠を提出して本件商標の使用が認められた前審判事件等手続で既に判示されているとおりである(今回提出した乙第2号証ないし乙第9号証は取消2009-301152号で提出したものと全く同一の証拠である。)。
(3)次に、本件商標使用に係る「プリンター機能・コピー機能搭載のFAX複合機」が指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」に該当する点について述べる。
被請求人の「FAX複合機」は「FAX機能」の他に、「プリンター機能」や「コピー機能」を有する商品であり、換言すれば、単なる「ファクシミリ」ではなく、「プリンター」や「コピー機」も兼ねた製品である。
このことは、以下の記載内容等から明らかである。
・乙第3号証(乙第10号証)、乙第4号証(乙第11号証)中表紙における「FAX,COPY&PRINT」、「FAX」「COPY」「PRINT」の表示、同カタログ中での「COPY」及び「PRINT」の項目及び説明文、最終頁における製品仕様欄における「コピー機能」「プリンタ機能」の記載。
・乙第5号証中表紙における「FAX&COPY」、「FAX」「COPY」の表示、同カタログ中での「FAX&COPY」の項目及び説明文、最終頁における製品仕様欄における「コピー仕様」の記載。
・乙第6号証中表紙における「FAX&COPY」、「FAX」「COPY」の表示、同カタログ中での「COPY」の項目及び説明文、最終頁における製品仕様欄における「コピー仕様」の記載。
そして、「プリンター」や「コピー機」は、「電子応用機械器具及びその部品」に属する商品であることは論を俟たないから、本件商標使用に係る「プリンター機能・コピー機能搭載のFAX複合機」も同様に「電子応用機械器具及びその部品」に該当するものである。
とある商品が指定商品に該当するか否かを判断する場合には、当該商品の生産部門、販売部門の同一性、原材料、品質の同一性、用途の同一性、需要者の範囲の同一性等により、商取引の実情を考慮して個別具体的に判断されるべきものである。
そこで被請求人の「FAX複合機」について検討するに、当該商品はいわゆるオフィス向けの複合機であって、生産部門、販売部門、用途、需要者等をオフィス向けのプリンタやコピー機(電子応用機械器具及びその部品)と共通にするものである。
よって、被請求人の「FAX複合機」が「FAX機能」を有することを理由に「電気通信機械器具」のみに該当し、「電子応用機械器具及びその部品」には該当しないとすべき合理的な理由はない。
ちなみに、特許電子図書館「商品・役務名リスト」を検索したところ、「プリンター機能・コピー機能搭載のFAX複合機」とその実態を共通にする「コピー機能・ファクシミリ機能・スキャナー機能付きプリンター(及びその部品・付属品)」は「電子応用機械器具及びその部品」が属する類似群コード(11C01)が付与されている(甲第12号証)(審決注:「乙第12号証」の誤記と認められる。)。
したがって、本件商標使用に係る「プリンター機能・コピー機能搭載のFAX複合機」は、本件審判請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品」にも該当すること明らかである。
(4)以上のとおり、本件商標は日本国内において、本件審判の要証期間内に「プリンター機能・コピー機能搭載のFAX複合機」について被請求人により実際に使用されているものである。そして、同商品は指定商品「電子応用機械器具及びその部品」に該当する商品である。

第4 当審の判断
1 被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)商標権者の製造、販売に係る商品のカタログにおける表記について
ア 乙第5号証は、商標権者の製造、販売に係る商品についてのカタログである。
同カタログの表紙及び2枚目には、「JX6000」及び「FAX&COPY」と記載され、2枚目には、「最大400枚の大容量給紙」の項目が設けられ、「・・・大容量のファックスやコピー時にも安心です。」の記載がされ、3枚目には、「GENESISでスピーディ送信」の項目が設けられ、その説明文の右下側には、「GENESIS」の文字が、縦横それぞれ約2倍の大きさで、太く、まとまりのある、特徴的な字体により、独立して、目立つように表記されている。
また、裏表紙には、「2009年6月現在」の記載がある。
イ 乙第10号証は、商標権者の製造、販売に係る商品についてのカタログである。
同カタログの表紙及び2枚目には、「L380S」及び「FAX,COPY&PRINT」と記載され、2枚目には、「FAX」の見出しのもと、「鮮明・高画質のGENESIS」の項目が設けられ、その説明文の右下側には、乙第5号証と同様、「GENESIS」の文字が、縦横それぞれ約2倍の大きさで、太く、まとまりのある、特徴的な字体により、独立して、目立つように表記されている。
3枚目には、「COPY」の見出しのもと、「コピーモードも充実・多彩」及び「1分間18枚の高速コピー」等の項目が設けられ、「600dpi×600dpiの高画質コピー」の項目には、「コピー時にも“GENESIS”により、300dpi相当×300dpi・256階調の読み取りと画像処理を実現。・・・」の記載がある。
同じく3枚目には、「PRINT」の見出しのもと、「大容量データも無理なく出力/新システムで省メモリ化を実現」の項目が設けられ、「・・・大容量データもメモリ増設をすることなく、スムーズに印刷できます。」の記載がある。
また、裏表紙には、「2010年2月現在」の記載がある。
ウ 乙第11号証は、商標権者の製造、販売に係る商品についてのカタログである。
同カタログの表紙及び2枚目には、「L230」及び「FAX,COPY&PRINT」と記載され、2枚目には、「FAX」の見出しのもと、「GENESIS」の項目が設けられ、その説明文の右下側には、乙第5号証及び乙第10号証と同様、「GENESIS」の文字が、縦横それぞれ約2倍の大きさで、太く、まとまりのある、特徴的な字体により、独立して、目立つように表記されている。
3枚目には、「COPY」の見出しのもと、「1分間に12枚の高速コピー」及び「600dpi相当×600dpiの高画質コピー/ハーフトーン256階調」の項目が設けられ、それぞれ説明文が記載されている。
同じく3枚目には、「PRINT」の見出しのもと、「毎分14枚 & 高画質1200dpi相当のプリント」、「Windows(「s」の文字の右上には、丸の中に「R」の文字が記載されている。)用プリンタドライバによる豊富な印刷制御機能」及び「大容量データも無理なく出力、新システムで省メモリ化を実現」の項目が設けられ、「大容量データも無理なく出力、新システムで省メモリ化を実現」の項目には、「・・・大容量データもプリンタ本体へのメモリ増設をすることなく、スムーズに印刷できます。」の記載がある。
また、裏表紙には、「2010年2月現在」の記載がある。
(2)その他の媒体における表記について
乙第2号証は、2009年12月7日に印刷された商標権者のウエブサイトにおける「キヤノン:オフィス向けファクス キヤノフアクス|テクノロジー高画質」と題するページである。
同ウエブサイトの1枚目の「GENESIS」の項目には、「対応機種:キヤノフアクスL380S、L230、JX6000、L2800」と表記され、「キヤノン独自の画像処理技術GENESISにより、原稿に忠実な高品位画質で送受信。また、文字と写真の混在原稿をより鮮明かつスピーディに送信可能な『文字/写真モード』など、クリアな画像処理機能も装備しました。」と記載され、この説明文の右側には「GENESIS」の文字が、縦横それぞれ2倍以上の大きさで、太く、まとまりのある、特徴的な字体により、独立して、目立つように表記されている。
同じく2枚目の「ハーフトーン256階調」の項目には、「対応機種:キヤノフアクスL1000、L380S、L230、L4800、L2800」と表記され、「レーザープリンタの美しい再現力によって、ハーフトーンや写真、微妙な濃淡、イラストの質感なども256階調で、驚くほどリアルにコピーします。」の記載があり、また、「細かな粒子のスーパーファイントナーで高画質プリント」の項目には、「対応機種:キヤノフアクスL1000、L380S、L230、L2800」と表記され、「超微細な粒子スケールのトナーを採用。・・・PCのデータも高解像度1200dpi相当で出力。・・・」の記載がある。
2 以上によれば、次の事実を認めることができる。
(1)使用者及び使用時期について
乙第2号証は、2009年12月7日に印刷された商標権者のウエブサイトであり、乙第5号証、乙第10号証及び乙第11号証は、2009年6月及び2010年2月現在の商標権者の製造、販売に係る商品に関するカタログであるところ、これらの日付は、いずれも本件審判の要証期間内の時期に該当するものである。
(2)商品の二面性について
商標法における商品の二面性については、以下のとおり、東京高等裁判所において判示されている。
ア 「本件審判請求の登録の日である昭和51年10月25日から遡って3年間の時点における本件商品の取引者及び需要者の判断を基準として実質的に判断すると、本件商品は、『石鹸』であるが同時に『化粧品』でもある商品、ないしは石鹸成分を含有する『化粧品』というべきものであり、(中略)旧商標法における商品類別ないし現行商標法における商品区分は、市場で流通する膨大な種類の商品を、商標登録出願に際しての出願人の便宜及び審査の便宜を図るという行政的見地から分類したものであり、もとより、いずれの分類に属するか判断の極めて困難な商品も存する(中略)のみならず、時代の推移とともに右分類のなされた当時には存在しなかつた種類の商品が出現することは見易い道理であり、右分類自体、現実の流通市場の実態に合わせるべく改定されてきたところであること等に鑑みれば、右分類のいずれか一つに属するとは決し難い商品が出現した場合、不使用取消審判の場で、商品は常にいずれか一つの分類に属すべきものであつて、二つの分類に属することはありえないとするのは相当でなく、登録商標の使用されている当該商品の実質に則して、それが真に二つの分類に属する二面性を有する商品であれば、当該二つの分類に属する商品について登録商標が使用されているものと扱つて差支えないというべきであり、このように解しても、商品類別ないし商品区分の趣旨に反することにはならない。」(東京高等裁判所昭和57年(行ケ)第67号事件昭和60年5月14日判決言渡参照)。
イ 「市場に存在する現実の商品は多種多様であり、日々新しい商品が開発されて出現していることは周知のことであって、登録商標を使用している商品が、そもそも当該商標の指定商品に該当するのか、あるいは指定商品のうちのいずれに属するのかなどの判断が困難な場合も生じ得るのである。また、極めて希有の例ではあっても、商品区分の大分類又は中分類の二つの商品に該当する二面性を有する複合的な商品が生ずる事も否定し難いところであると認められる。(中略)一般的には、・・・ある商品が指定商品のいずれに属するかの認定・判断は難しい場合があり、二つの指定商品に属する二面性を有することすらあり得るのであるから、仮に本件使用商品が『医療補助品』に属すると認められる場合であっても、そのことから『薬剤』に属しないとの結論に当然導かれるとは限らないというべきである。」(東京高等裁判所平成12年(行ケ)第447号事件平成13年7月12日判決言渡参照)。
(3)本件使用商品について
上記判決の考え方を踏まえ、本件使用商品について検討する。
本件審判の要証期間内における本件商品の取引者及び需要者の判断を基準として実質的に判断すると、乙第5号証のカタログに掲載されている商品は、ファクシミリの機能又は電子応用静電複写機の機能を併せもった複合型の商品であり、乙第2号証の商標権者のウエブサイト、乙第10号証及び乙第11号証のカタログに掲載されている商品は、ファクシミリの機能、電子応用静電複写機の機能又はプリンタの機能を併せもった複合型の商品であって、いずれも二面性を有する商品といえるものである。
すなわち、上記カタログに掲載されている商品(本件使用商品)は、「電子応用静電複写機・プリンタの機能を有する複合型のファクシミリ」であると同時に「ファクシミリ・プリンタの機能を有する複合型の電子応用静電複写機」又は「ファクシミリ・電子応用静電複写機の機能を有する複合型のプリンタ」というべき商品であるから、本件使用商品は、「電気通信機械器具」に属する商品であると同時に「電子応用機械器具及びその部品」にも属する商品というべきである。
また、本件使用商品が、「前審判事件等手続」において、「電気通信機械器具」に属すると認められた場合であっても、そのことから「電子応用機械器具及びその部品」に属しないとの結論に当然導かれるとは限らないというべきである。
したがって、商標権者が、本件審判の要証期間内に使用する本件使用商品は、本件審判の請求に係る商品「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに属する商品というべきである。
(4)使用商標について
本件商標は、「GENESIS」の欧文字を表してなるものであるから、「ジェネシス」の称呼及び「創世記」程の意味合いを生ずるものである。
一方、「商標権者のウェブサイト」(乙第2号証)及び「商標権者の製造、販売に係る商品についてのカタログ」(乙第5号証、乙第10号証及び乙第11号証)に記載された「GENESIS」の文字は、縦横それぞれ約2倍の大きさで、太く、まとまりのある、特徴的な字体により、独立して、目立つように表記されていることから、商標として使用されているものとみるのが相当である。
そして、当該使用商標は、本件商標と同一の「ジェネシス」の称呼及び「創世記」程の意味合いを生ずるものであるから、本件商標と前記使用商標とは、社会通念上同一の商標ということができる。
3 小活
上記した事実によれば、商標権者は、本件商標と社会通念上同一の商標を、本件取消請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに属する商品「ファクシミリの機能を有する複合型の電子応用静電複写機」(乙第5号証)、「ファクシミリ・電子応用静電複写機の機能を有する複合型のプリンタ」又は「ファクシミリ・プリンタの機能を有する複合型の電子応用静電複写機」(乙第2号証、乙第10号証及び乙第11号証)について、カタログによって広告をしていたものと推認できるものであるから、その使用は、商標法第2条第3項第8号における商品に関する広告に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為に該当するものと認めることができる。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、商標権者が本件審判の要証期間内に日本国内において、本件商標を請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品」について、本件商標を使用していたことを証明したものというべきである。
したがって、本件商標の指定商品中、その請求に係る指定商品についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-08-09 
結審通知日 2012-08-13 
審決日 2012-08-24 
出願番号 商願昭56-103053 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (109)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 井出 英一郎
渡邉 健司
登録日 1984-06-21 
登録番号 商標登録第1689805号の2(T1689805-2) 
商標の称呼 ジェネシス、ジェニシス、ジーンシス 
代理人 杉山 直人 
代理人 和田 光子 
代理人 保崎 明弘 
代理人 岸田 正行 
代理人 水野 勝文 
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