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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y28
管理番号 1268348 
審判番号 取消2011-301144 
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-12-16 
確定日 2012-12-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第4854467号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4854467号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成14年4月18日に登録出願、第28類「組立式ブロックおもちゃ」を指定商品として、同17年4月8日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成24年1月6日にされている。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする旨の審決を求め、その理由及び上申の内容を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
なお、請求人代理人弁理士と主任審判官との応対記録の要旨は、以下のとおりである。
1 請求の理由
本件商標は、登録後しばらくの間、指定商品「組立式ブロックおもちゃ」について使用された事実があるものの、その後、使用は終了しており、継続して3年以上日本国内において、商標権者(又は通常使用権者)によって一度も使用された事実が存在しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
2 平成24年4月12日付け上申の内容
請求人は、改めて本件商標の使用実態について調査を行っているので、弁駁書提出につき、1か月程度の猶予をお願いする。
3 応対記録
平成24年7月3日付けで、請求人代理人担当弁理士から、主任審判官に対し、請求人から弁駁を出せるような指示が来ないため、審理を進めて欲しい旨の電話連絡があった。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証(枝番号を含む。)を提出している。
1 答弁の理由
(1)本件商標は、商標法第50条に定められた所定の使用実績があるので、本件審判請求は棄却されるべきである。
(2)乙第5号証に示すように、「フィギュア型組立式ブロックおもちゃ」(以下「本件商品」という。)に本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を付している。本件商品は、本件商標権者である株式会社タカラトミーの子会社である株式会社タカラトミーアーツ(以下「アーツ社」という。)(東京都葛飾区青戸4-19-16所在)により、平成21年7月の社団法人日本玩具協会主催の東京おもちゃショー2009(東京都江東区有明3-11-1所在の東京ビッグサイトにて、平成21年7月16日から平成21年7月19日まで開催)に出展され、展示が行われた。
よって、被請求人である本件商標権者は、本件商標を使用しており、取消要件を満たさず請求人の不使用との主張は成立しない。
以下に、本件商標の使用事実について詳述する。
(3)本件商品について
(ア)本件商品の使用態様
本件商品の商品は、乙第5号証及び乙第6号証に示すとおり、「ドット絵でデザインされたキャラクターフィギュアと、ブロックのセット商品」であり、本件商標の指定商品である「組立式ブロックおもちゃ」と同一の商品であるといえる。
本件商品における本件商標の使用態様について、乙第5号証に示すとおり、展示スペース中央部分、及び下部の雛壇最上段中央に配置された玩具の商品包装部分おいて、図案化された商標「dotarts」の下に、図案化された「BLOX」が付されている。「dotarts」及び「BLOX」は、その配置及び「BLOX」の「dotarts」に対する比率の大きさから、需要者・取引者は各々の商標を分離し、独立の商標として看取するのが自然であると思われる。よって、本件商品には「BLOX」の商標が独立して使用されているといえる。
一方、本件商標は、図案化された欧文字「BLOX」と、その下に接するように、小さく片仮名「ブロックス」を書してなる構成である。
本件商品に付された商標「BLOX」は、本件商標と書体において異なるが、商標の使用は商標を付する対象に応じて適宜変更を加えて使用されるのが通常であるところ、商標「BLOX」と本件商標に使用されている「B」の文字の形状は近似していることからも、書体が若干異なることをもって商標の印象に格別の差異を感じさせるものとはいえない。
また、本件商品に付された商標は、本件商標の片仮名部分「ブロックス」が欠落しているが、構成上、本件商標と同一の「ブロックス」の称呼が生じるのは明白であり、片仮名部分の有無の差異をもって、商標の識別性に影響を与えるものではないといえる。
以上のことから、本件商品に付された商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるべきである。
さらに、本件商品において、商標は、上述のとおり、展示スペース中央部分の広告部、及び下部の雛壇最上段中央に配置された玩具の商品包装部分に使用されている。商品に関する広告に本件商標を付して展示し、頒布する行為は、商標の使用行為について規定する商標法第2条第3項第8号の行為に該当するものである。
また、乙第5号証において、中央部長方形で囲まれた説明書き部分に、「アーツ社が開発した新デザイン・コンセプト『dotarts』」と表示されており、本件商品の展示者はアーツ社であることが明白である。当該展示者は、本件商標権者である株式会社タカラトミーの子会社であり、株式会社タカラトミーの玩具周辺事業の一角であるカプセル玩具等の企画・製造・販売事業を担当しているものである。これを証するため、乙第7号証として商標権者の「平成23年3月期有価証券報告書」の該当部分抜粋を提出する。本件商標権者は、平成21年6月30日に子会社であるアーツ社と「商品化権許諾契約」を締結しており、該契約には、アーツ社が製造・販売する「ドットアーツブロックス(dotarts b1ox)」商品を対象として、本件商標の通常使用権を許諾する旨の条項がある。これを証するため、乙第6号証として「商品使用許諾契約書」の該当部分抜粋を提出する。
(イ)本件商品の使用時期
次に、本件商品の展示までの経緯を説明する。
本件商品は、乙第6号証「商品使用許諾契約書」に示すとおり、アーツ社と本件商標権者との間で平成21年6月30日に使用の契約が結ばれた。
その後、アーツ社により、平成21年7月16日から19日の日程で東京ビッグサイトにて開催された社団法人日本玩具協会主催の東京おもちゃショー2009に本件商品が出展され、展示が行われた。
展示時期の証明として、乙第8号証の1及び2により、東京おもちやショー2009の開催概要及び出展社一覧の本件商標権者が記載された該当ページ(ともに社団法人日本玩具協会主催の東京おもちやショー2009の公式ホームページより抜粋)を提出する。さらに、乙第5号証で提出の写真の撮影時期の証明として、写真画像データのプロパティを示すスクリーンショットを、乙第8号証の3により提出する。
(ウ)本件商品の使用場所
本件商品は、上述のとおり、社団法人日本玩具協会主催の東京おもちゃショー2009(東京都江東区有明3-11-1東京ビッグサイトにて開催)に出展され、展示が行われた。
(エ)以上により、本件商品に付された商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であり、本件商標と同一の商品に商標を使用しているといえる。
(4)以上のとおり、被請求人である商標権者は、審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の通常使用権を許諾しこれを使用しているものである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第5号証は、東京おもちゃショーにおける本件商品の展示写真であるところ、展示スペース中央の広告パネルには、「ライセンシー募集中!」、「POPでCUTEなドットフィギュア登場!」、「dotarts」、「BLOX」(「B」の文字の下半分は、上半分よりも幅が広く表されている。使用商標については、以下同じ。)及び「アーツ社が開発した新デザイン・コンセプト『dotarts』」等の文字が写っており、また、同スペース下部にある雛壇には、左に「2009年秋サイト・・・予定」の文字並びに中央の商品「玩具」の包装に「dotarts」及び「BLOX」の文字が付されている。
(2)乙第6号証は、商標権者である株式会社タカラトミーとアーツ社との2009年6月30日付け「商標使用許諾契約書」であるところ、第1条には、「(1)『本件商標』とは、次に定める商標権をいう。」、「商標:BLOX\ブロックス」、「商品の区分:第28類」、「指定商品:組立式ブロックおもちゃ」、「登録番号第4854467号」等の記載があり、「(2)『許諾商品』とは、アーツ社が製造及び販売するドットアーツブロックス(dotarts blox)商品をいう。」の記載がある。同じく第2条には、「・・・その使用権は、通常使用権とする。」の記載がある。同じく第13条には、「本契約の有効期間は、2009年7月1日?2010年6月30日までとする。」等の記載がある。
(3)乙第7号証は、商標権者の「有価証券報告書」であるところ、「連結子会社」として、「名称」の欄に「(株)タカラトミーアーツ」及び「議決権の所有割合 %」の欄に「100」の記載がある。
(4)乙第8号証の1及び2は、社団法人日本玩具協会のホームページであるところ、乙第8号証の1には、「開催概要」として、「名称」の欄に「東京おもちゃショー2009」、「会期」の欄に「2009年7月16日[木]?19日[日]」、「会場」の欄に「東京ビッグサイト 西1?4ホール 東京都江東区有明3-21-1」及び「主催」の欄に「社団法人 日本玩具協会」の記載がある。乙第8号証の2には、東京おもちゃショー2009の「出展社一覧」の中に「(株)タカラトミー」の記載がある。
(5)乙第8号証の3は、乙第5号証の写真画像データのプロパティを示すスクリ-ンショットであるところ、乙第5号証と同じ写真の画像データの右側には、「撮影日時:2009/07/17」の表示がある。
2 上記認定事実及び主張に基づき、以下判断する。
(1)使用者について
商標権者とアーツ社は、アーツ社を通常使用権者とする、本件商標に関する商標使用許諾契約書を2009年(平成21年)6月30日付けで交わしているから、アーツ社は、本件商標権の通常使用権者と認めることができる(乙6)。
(2)使用時期について
本件商品が展示された東京おもちゃショー2009が開催された平成21年7月16日から19日は、本件審判の請求の登録前3年以内の日付である(乙8の1及び乙8の3)。
(3)使用場所等について
本件商品が展示されたのは、「東京ビッグサイト 西1?4ホール 東京都江東区有明3-21-1」であり、展示スペース中央の広告パネルには、「ライセンシー募集中!」のように、第三者に向けたメッセージが掲載されている(乙8の1及び乙8の2)。
(4)使用商品について
アーツ社が商標権者から使用を許諾された商品は、「アーツ社が製造及び販売するドットアーツブロックス(dotarts blox)商品」である(乙6)。
アーツ社が使用する商品は、「ドットフィギュア」であるところ、該商品は、「フィギュア型の組立式ブロックおもちゃ」と認められる商品であるから、本件取消請求に係る「組立式ブロックおもちゃ」に属する商品ということができる(乙5及び乙8の3)。
なお、請求人は、この点について争っていない。
(5)使用商標について
使用商標は、「dotarts」及び「BLOX」(「B」の文字の下半分は、上半分よりも幅が広く表されている。)の欧文字を上下二段に表示してなる(乙5及び乙8の3)ところ、両文字は、二段に表されているだけではなく、「dotarts」の欧文字は、小文字で小さく表され、「BLOX」の欧文字は、「dotarts」の欧文字よりも面積比で約3倍以上に大きく大文字で表されていることから、両文字は、視覚上分離して観察されるものである。
そうとすれば、使用商標中、大きく顕著に表示された「BLOX」の文字部分から、「ブロックス」の称呼を生ずるものである。
一方、本件商標は、別掲のとおり、薄茶色で縁取りされた「BLOX」(「B」の文字の下半分は、上半分よりも幅が広く表されている。)の文字を厚みをもって表してなり、その厚みの部分に「ブロックス」の片仮名を小さく白抜きしてなるから、「ブロックス」の称呼を生ずるものである。
また、本件商標と前記使用商標とは、異なる観念が生ずるものではない。
したがって、本件商標と使用商標とは、「B」の文字のほか「BLOX」の文字の特徴をほぼ同じくするものであり、また、「ブロックス」の称呼を共通にし、観念に変更を加えているものではないから、社会通念上同一の商標ということができる。
(6)まとめ
以上によれば、通常使用権者は、2009年7月16日から19日にかけて、日本国内で開催された東京おもちゃショー2009の展示ブースにおいて、商品「組立式ブロックおもちゃ」に関する広告に標章を付して展示していたものであるから、商標法第2条第3項第8号の広告に本件商標を付して展示したものと認められるものである。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、通常使用権者が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品について本件商標を使用していたことを証明したものというべきである。
したがって、本件商標についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標(色彩については原本を参照)



審理終結日 2012-07-18 
結審通知日 2012-07-20 
審決日 2012-07-31 
出願番号 商願2002-31973(T2002-31973) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y28)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 前山 るり子
渡邉 健司
登録日 2005-04-08 
登録番号 商標登録第4854467号(T4854467) 
商標の称呼 ブロックス 
代理人 中田 和博 
代理人 荒船 博司 
代理人 青木 博通 
代理人 柳生 征男 

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