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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X28
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X28
管理番号 1268346 
審判番号 不服2011-22110 
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-10-12 
確定日 2012-12-05 
事件の表示 商願2010- 21620拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第28類「おもちゃ,縁起くまで及びその他の人形,囲碁用具,歌かるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,運動用具,昆虫採集用具」を指定商品として、平成22年3月19日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、鳥とおぼしき縦型木彫状の像と認識され、指定商品『鳥像のおもちゃ』について商品の美感等を発揮する目的で採択された商品の形状の一形態を表したものと理解するにとどまり、格別特異とは認め難い立体的形状を普通に用いられる方法で表してなるものであるから、本願商標の指定商品中、『おもちゃ,縁起くまで及びその他の人形』との関係において、これを前記商品に使用しても、単にその商品の品質、形状を表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)立体商標について
立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者・需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者・需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(2)本願商標について
上記(1)を踏まえて本願商標について検討する。
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、これは、「鷽替(うそかえ)」の神事に用いられる木製の鷽(木うそ)の形状をした人形のひとつであると認められるものである。
この「鷽替(うそかえ)」の神事とは、「広辞苑第六版 DVD-ROM版」(株式会社岩波書店)によれば、「太宰府・大阪・東京亀戸などの天満宮で、参詣人が木製の鷽を互いに交換し、神主から別のを受ける神事。金製の鷽を換え当てた者は好運を得るとされる。太宰府は正月7日夜の酉の刻に行う。亀戸は正月24・25日。」であり、ここに記載された太宰府及び亀戸の天満宮以外の全国各地においても、同様の「木うそ」を用いた神事として行われているものである。
そして、本願商標は、その指定商品中の「人形」に含まれる「木うその人形」の形状を表すものであって、その形状に特徴的な装飾が施されているとしても、これに接する者は、木うその人形の美感をより発揮させるための形状を表したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものというのが相当である。
加えて、請求人の主張によれば、本願商標は、請求人の行う年に一度の鷽替え神事の時のみに使用される木うその人形であって、その数量も限られているものであり、その他、広告、宣伝等が行われたことについての証拠も見あたらないから、請求人の取り扱う商品の形状として、一定程度知られていることは認め得るものの、当該形状に係る商標が、使用をされた結果、単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っているとまではいい得ないものである。
なお、「木うその人形」については、インターネット情報によれば、請求人のものの他に、以下の例があることからも、本願商標は、単に「木うその人形」の形状を表示するにすぎないものというべきである。
ア 「福岡市博物館」のウェブサイトにおける「黒田記念室」の「No.316 きじ馬と木うそ-九州・木の郷土玩具-」の項目において、九州の天満宮や神社のそれぞれの木うそが、写真とともに紹介されている。
(http://museum.city.fukuoka.jp/je/jje_fr3.html)
イ 滝宮天満宮の木うそ
(http://www.takinomiyatenmangu.com/nenkan-sokae.html)
ウ 亀戸天神社の木うそ
(http://www.kameidotenjin.or.jp/events/monthly01.html)
エ 湯島天神の木うそ
(http://www.yushimatenjin.or.jp/pc/saiji/usokae.htm)
オ 五條天神社の木うそ
(http://www.gojotenjinja.jp/gojotenjin/shinji.html)
カ 高畑天満宮の木うそ
(http://blogs.yahoo.co.jp/sannkamikami/11576386.html)
(http://blogs.yahoo.co.jp/asakiyo1973/61072928.html)
キ 谷保天満宮の木うそ
(http://www.yabotenmangu.or.jp/schedule.html)
ク 菅原天満宮の木うそ
(http://www.sugawaratenmangu.com/)
ケ 岩津天神の木うそ
(http://www.iwazutenjin.or.jp/inori/juyo.html)
コ 道明寺天満宮の木うそ
(http://www.domyojitenmangu.com/usokae.shtml)
してみれば、本願商標は、その指定商品中、「人形」に含まれる「木うその人形」に使用するときは、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当するといわなければならない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本願商標
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審理終結日 2012-08-08 
結審通知日 2012-08-31 
審決日 2012-09-27 
出願番号 商願2010-21620(T2010-21620) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X28)
T 1 8・ 17- Z (X28)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 庄司 美和金子 尚人 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 松田 訓子
井出 英一郎
代理人 丸山 幸雄 

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