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審決分類 審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X30
管理番号 1267152 
審判番号 無効2011-890058 
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-07-05 
確定日 2012-11-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第5400678号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5400678号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5400678号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成21年3月6日に登録出願され、第30類「生タイプのクッキー」を指定商品として、同23年1月28日に登録審決、同年3月25日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証を提出している。
1 請求の理由
(1)本件商標の識別性について
ア「生クッキー」について
本件商標に係る拒絶理由通知、拒絶査定及び査定不服審判の審決において、「生クッキー」に関する識別性については、共通して「生タイプのクッキー」又は「生のようにしっとりした柔らかい食感のクッキー」を意味する用語であることを明確にしている(甲第3号証、甲第5号証及び甲第8号証)。
「飲食品」に関し、「生」を語頭にした出願であって、識別力なしとして拒絶された例(『生しば漬け』『生サラミ』『生キャラメル』等)を見ると100件余りもの拒絶例が存在し、「生+短い商品名」で出願された商標が、識別力なしとして拒絶されている(甲第9号証)。
一般取引社会の取引の実情を調べるため、インターネットの検索機能「Google」で「生クッキー」を検索した結果、54,500件がヒットし、重複排除の件数として687件も使用されている(甲第10号証)。
以上から見ても、「生クッキー」の語が、一般取引社会でも拒絶理由・拒絶査定及び審決で認める意味合いで理解・認識されている。
イ「レアクッキー」について
査定不服審判の審決において、「『レアクッキー』の称呼を生ずるものであり、『生のようにしっとりとした柔らかい食感のクッキー』の意味合いを容易に認識させるものである。」と指摘しており、過去の出願において「レアーチョコ」「レアクリーム」「レアポテト」「レアケーキ」等が識別力なしとして拒絶査定となっている(甲第11号証)。
一般取引社会でどのように使用され、認識されているかについて、「Google」で「レアクッキー」を検索した結果、「生クッキー」より少ない15,500件のヒット件数ではあったが、重複排除の件数が683件も抽出された(甲第12号証、甲第13号証)。
「レアクッキー」の単独使用は336件、「生」の文字と同一意味合いとして併記されている例は342件存在し、取引社会において「生クッキー」と「レアクッキー」が日本語同様に同一意味合いで使用されている実情が明らかである(甲第14号証上段)。
甲第14号証の下段は、甲第12号証に現れた「発売元」の登場回数のランキングであるが、本件商標権者(31件+1件)も見当たるが、その他10社もの使用例が存在し、本件商標権者の使用を示すものは5%程度である(甲第15号証)。
甲第12号証は、無効審判の性質上、本件商標に対する審決日から4ヶ月後の抽出であり、確かに時間的な差異は存するものの、上記のような実数(15,500件中の683件)の多さからみて、4ヶ月の時間差で、突然このような状況に至ったものとは考えられない。
「早期審査に関する事情説明書」で、「1(株)花月堂」・「2(株)ロバ」・「3(株)モーツアルト」等が、既に販売を行っていた事実を被請求人自ら自白しているように、前記10社以外に7社もの使用事実が存在していたことが明らかである(甲第16号証)。
したがって、本件商標は、「生クッキー」・「レアクッキー」の全体的に見ても識別力のない商標と考えざるを得ない。
2 答弁に対する弁駁について
(1)本件商標は,商標法第3条第1項第3号又は第6号に該当する。
なお、「3号又は6号」としたことは、「レア」又は「生」(品質表示用語)に「クッキー」(普通名称)が結合した場合、「普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」の解釈で見解が分かれることに配慮したためである(甲第18号証)。
(2)被請求人は、答弁書において「識別性」に関する反論を行っているが、「生」の漢字の上部に「レア」とのルビを振り「生」の文字を「レア」と読ませる独自の表示を採用する本件商標は「(その商品の品質など)普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」には該当しないものであって、十分な自他商品識別力を有する商標であるとの主張を繰り返すのみであり、「生クッキー」や「レアクッキー」の文字自体につき自他商品識別力がない旨の請求人の主張については、何の反論もしていない。
(3)答弁書7頁には、「『14森永製菓、濃密レアクッキー[ヌーディア]<スイートビター>・・・』との記載は商標として使用されているのはあくまで『ヌーディア』との標章であり、『レアクッキー』は商標として使用されていない。」の記載があり、少なくとも「レアクッキー」の表示を商品に使用したとしても、それ自体は自他商品識別力がない旨を自ら認める記載をしている。
(4)被請求人は、請求人提出の甲第9号証及び甲第11号証について、証拠能力を否定しているが、被請求人も「出願番号」の記載を認識しており、この番号により特許庁が無償で公開している「経過情報検索」により最近過半の出願は確認でき、それ以前のものにあっても民間企業に販売された「公開データ」に存するものである。
(5)「自他商品識別力の判断」は、取引市場における取引者・需要者がどのように認識・理解するかの問題で、商品に「マルR」の付記又は「使用権者である旨の表示」が明確な位置に存しない限り権利者以外の使用と同然に認識するのが自然で、自他商品識別力が喪失する原因となるものであり、被請求人が、本件商標について通常使用権を有していると主張する「コーキーズインターナショナル株式会社」の使用もその他の企業と同様に品質表示として自由使用されていると判断され、商標権の存在とは関連なく識別力判断の対象となるものである。
(6)「生」の漢字の上部に「レア」とのルビを振り「生」の文字を「レア」と読ませる独自の表示を採用する構成自体が自他商品識別力を有するとしているが、識別力のない商標の語頭文字に振り仮名を振り、識別力がないとされた出願は「なま/生きんつば」を始め沢山存しており、翻訳文との関連、単なる振り仮名と若干異なる特異なルビを施しているものなど、自他商品識別力なしとして拒絶査定を受けている(甲第19号証、甲第20号証)。
(7)したがって、査定不服審決で指摘する理由「本件商標は・・・『生のようにしっとりした柔らかい食感のクッキー』の意味合いを容易に認識させるものである」を本件商標に適用すべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び別記の無効理由通知に対する意見を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第17号証を提出している。
1 答弁の理由
(1)答弁の要点
ア 本件審判請求書の「請求の理由」欄には、本件商標が商標法第46条第1項各号に掲げるいずれの無効事由に該当するのかについての無効理由の根拠法条に関する記載が全くない。「請求の理由」欄に、一応は具体的事実が記載されたり証拠の提示はあるものの、それにより本件商標がいずれの無効理由に該当するものであるかが特定できない。
また、請求人の「本件商標に対して識別性がない旨を主張するため本件請求に及んだものである。」との主張に対して、念のためそれぞれ反論する。
イ 「生」の漢字の上部に「レア」とのルビを振り、「生」の文字を「レア」と読ませる独自の表示を採用する本件商標は、登録商標として保護されるべき自他商品識別力を有するものであるから商標法第3条第1項各号の何れにも該当しない。
(2)答弁の理由の詳細
ア 不適法な審判請求
請求人は、本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性を主張したいのかと思いきや、「この類否判断部分の結論自体については特段異論は述べない。」と結論しており、その請求理由の記載によっても被請求人は反論の対象を特定できない。
また、本件商標について「識別力のない商標」としているが、本件商標が商標法第3条第1項各号のいずれに該当するのか記載がないため、被請求人がこれに反論するとなると本件商標が商標法第3条第1項第1号から第6号までの何れにも該当しない旨を主張しなければならず、被請求人に対し不合理な負担を課すものであると同時に、請求理由の記載が不備であることにより実質的な反論ができないおそれもある。
イ 本件商標の自他商品識別機能
(ア)本件商標の登録審査において判断されるべきは本件商標全体の自他商品識別力であって、本件商標構成中の一要素である「生クッキー」若しくは「レア(クッキー)」の文字部分の自他商品識別力の有無によって、「生」の漢字の上部に「レア」とのルビを振り「生」の文字を「レア」と読ませる独自の表示を採用する本件商標そのものの自他商品識別力を否定することはできない。かかる独自の表示を採用する本件商標は、「(その商品の品質などを)普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」には該当しない。
(イ)甲第9号証及び甲第11号証には「商標名」と「区分」、「出願番号」等が羅列されているのみであり何ら請求人の主張を裏付けるものではない。付言すれば、同甲各号証は、その作成者・作成年月日・立証趣旨が不明であるから証拠能力を有しない。
(ウ)甲第9号証ないし甲第15号証は、本件商標構成中の一要素である「生クッキー」若しくは「レア(クッキー)」の文字部分のみに関するものであり、本件商標に関するものではないから、本件商標の自他商品識別力の欠如を立証するものではない。
ウ 結語
以上のとおり、請求人の主張は何れも本件商標構成中の一要素に関するものであり、本件商標全体としての自他商品識別力については、何らの主張もしていない。
(3)結び
本件審判請求書には、本件商標登録を無効にする根拠として無効理由の根拠法条の特定がないため、被請求人は詳細な答弁ができない。
独自の表示を採用する本件商標は、登録商標として保護されるべき自他商品識別力を有するものであるから商標法上の何れにも該当しない。
したがって、本件商標登録は維持されるべきである。
2 無効理由通知に対する意見
(1)合議体の指摘する使用例について
合議体は、無効理由において5例の使用例を事実として挙げ、当該事実を前提として本件商標の自他商品識別機能を否定しているが、そもそもその前提に誤りがある。
合議体が指摘する5例のうち「レアチーズケーキ」「レアチョコレート」及び「生チョコレート」「生(レア)ケーキ」の例は、「焼く」という工程のない商品に係るものであるから、「焼く」という作業工程を前提とする商品「クッキー」を指定商品とする本件商標の自他商品識別機能を即座に否定することはできず、事案を異にするといわざるを得ない。
(2)本件商標の周知性獲得について
本件商標は、遅くとも平成21年10月頃までには本件商標の指定商品に関し、本件商標権者の業務に係る商品であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものであり、仮に本件商標が商品の品質を表示するものであって商標法第3条第1項第3号に該当するものであるとしても、商標法第3条第2項の規定により商標登録を維持されるべきものである。
ア 本件商標権者は、遅くとも平成19年頃から本件商標を付したクッキーの販売を開始しており、同年10月に、本件商標を付した商品を購入した需要者の評価がインターネット上に掲載された(乙第5号証)。
イ その後も継続的に本件商標を使用した商品の販売を行った結果、多数の需要者によりその感想等がインターネット上のブログに掲載されている(乙第6号証)。
ウ 平成21年5月に北海道テレビの人気番組「いちおし!」で紹介され(乙第7号証)、また、同年8月には札幌テレビの人気番組「どさんこワイド」で紹介され(乙第8号証)、当該番組では「全国で人気!北海道の新みやげ」として紹介されており、本件商標を使用した商品の周知性が北海道内に止まらず広く関東地方にまで及んでいる事実が明確に確認できる。
エ 上記のような経緯により、本件商標は、本件商標権者の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至っており、その結果、需要者のブログに多数掲載され話題となった結果、テレビ番組でも紹介され、北海道土産の新しい定番になったと言っても過言ではない。
オ そして、本件商標権者の本社所在地である北海道山越郡長万部町を代表する土産物として長万部観光協会のホームページにも掲載されている(乙第9号証)。
また、長万部町、長万部観光協会、長万部商工会、北海道土産を取扱う札幌の法人、函館の法人及び栃木県宇都宮市の百貨店が平成21年10月から11月の段階における本件商標の周知性を証明している(乙第10号証ないし第17号証)。
カ 合議体が挙げる使用事実のうち(4)は、請求人のホームページであるが、その使用時期は平成22年9月とあるから、本件商標の周知性獲得よりも後日のものであり、当該ホームページにおいて「レア」の文字が「生」の文字の読みと意味を表すかのように使用されていたとすれば、この使用は本件商標の周知性フリーライドするものであると言わざるを得ない。
また使用事実(5)についても平成21年10月30日の投稿であるから、既に本件商標が多数のテレビ番組で「全国で人気!北海道の新みやげ」として紹介された後のものであり、本件商標の周知性フリーライドせんとする者の業務に係る商品に関する投稿である。
キ 本件商標の周知性獲得の判断時期は、本件商標の登録審決の時点(平成23年2月15日)であり、合議体の指摘する使用事実(4)及び(5)は、それ以前の使用事実ではあるが、前記のとおり平成21年までに多数のメディアで紹介され北海道長万部町の代表的な土産物としての周知性を獲得している本件商標の周知性を僅か2例の使用事実をもって否定することはできず、商標権者の提出に係る各資料により本件商標の周知性は十分に立証されるものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第2項の規定により商標登録を維持されるべきである。
(3)まとめ
「生」の漢字の上部に「レア」とのルビを振り、「生」の文字を「レア」と読ませる独自の表示を採用する本件商標は、登録商標として保護されるべき自他商品識別力を有するものであり商標法第3条第1項第3号に該当しないものである。
そして、仮に本件商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるとしても、前記のとおり、本件商標は商標法第3条第2項の規定により商標登録を維持されるべきものである。

第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号の該当性について
(1)本件商標は、別掲のとおりの構成からなり、第30類「生タイプのクッキー」を指定商品として設定登録されたものである。
そして、本件商標は、別記の無効理由のとおり、これをその指定商品について使用するときは、該商品が「生(レア)のクッキー」であるとの商品の品質を普通に用いられる方法の範囲内で表示する標章のみからなるものといわざるを得ないものである。
(2)無効理由に対する被請求人の意見は、次のとおり採用することができない。
被請求人は、「『チーズケーキ』や『チョコレート』に係る『生(レア)』の使用事実をもって、『クッキー』を指定商品とする本件商標の自他商品識別機能を即座に否定することはできない』旨述べている。
しかしながら、「チーズケーキ」「チョコレート」と「クッキー」は洋菓子の範ちゅうの商品であり、その取引者、需要者は共通であって、「生(レア)」の文字が無効理由通知書に明示したとおり洋菓子の品質を表示するものとして使用されていることからすれば、前記の両商品に「焼く」工程の有無の差異があるとしても、該文字に接する「クッキー」の需要者においても商品の品質を表示したものと認識するものと判断するのが相当である。
また、「『生』の漢字の上部に『レア』とのルビを振り、『生』の文字を『レア』と読ませる独自の表示を採用する本件商標は、登録商標として保護されるべき自他商品識別力を有するものであり商標法第3条第1項第3号に該当しないものである。」旨述べている。
しかしながら、無効理由通知書で明示したとおりの事情からすれば、本件商標の登録審決の日前から「生」及び「レア」の文字(語)は、洋菓子について同義のものとして使用され認識されているばかりでなく、「生(レア)」と記載され「レア」の文字が「生」の文字の読みと意味を表すかのように使用されているといえるから、「生クッキー」の文字とその「生」の文字の上に「レア」の文字を小さく表してなる本件商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「レア」の文字を「生」の文字のルビのごとく理解し、本件商標を該商品が「生(レア)のクッキー」であるとの商品の品質を表示したものと認識するものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、商品の品質を普通に用いられる方法の範囲内で表示する標章のみからなるものといわなければならない。
3 本件商標の使用による識別性獲得について
被請求人は、「本件商標は遅くとも平成21年10月頃までには本件商標の指定商品に関し、被請求人の業務に係る商品であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものである。」旨述べ、その証拠として乙第5号証ないし乙第17号証を提出しているので、以下、検討する。
被請求人提出の上記乙各号証によれば、被請求人の業務に係る商品「生タイプのクッキー」の包装に本件商標が付されていること、その商品を購入した需要者の評価がインターネット上に掲載されたこと(乙第5号証及び乙第6号証)、北海道内のテレビ番組で当該商品が取り上げられたこと(乙第7号証及び乙第8号証)が認められる。また、長万部町長、長万部観光協会会長等から「本件商標は使用された結果、識別力を有する商標になっている」旨の証明書が提出されている(乙第10号証ないし乙第17号証)。
しかしながら、提出された証拠によっては、本件商標が付された商品「生タイプのクッキー」の生産量・販売量、広告宣伝の実績等を具体的に把握することができず、テレビ放送についても全国的に放送されたことが確認できない。また、証明書は、1通を除き北海道内の者によるものであるし、証明書自体も商標権者があらかじめ印字した証明書書式に、証明者が日付けを記入し、記名、押印したもので、証明者が何を根拠に証明しているのか明らかでないから、これら証明書の価値を高く評価することはできない。
そうとすると、本件商標は、指定商品「生タイプのクッキー」について使用された結果、需要者が商標権者の業務に係る商品であることを認識するに至っていたものと認めることは困難である。
また、無効理由通知「1(4)(5)」について、本件商標の周知性獲得後のものである」旨述べているが、前述のとおり、本件商標が使用されたことにより識別性を獲得していない以上、被請求人の主張はその前提を欠くものといわざるを得ない。
4 結論
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号の規定に違反してされたものであるから、同法第46条第1項第1号の規定により、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標

(2)無効理由の通知
当審が、被請求人に対して、平成24年2月10日付け無効理由通知書で通知した無効の理由は要旨次のとおりである。
1 当審において行った職権調査によれば、「生」及び「レア」の文字(語)が本件商標の登録審決の日前から洋菓子について次のように使用されている事実がある。
(1)「amazon.co.jp」のホームページの「食品&飲料」の項に「岩瀬牧場生レアチーズケーキ【一生懸命】ほっぺがとろける?その名も【一生懸命】」の見出しの下、「商品の説明」欄に「岩瀬牧場【一生懸命】生レアチーズケーキ 1箱 5号サイズ(約15cm) 2010年 北海道岩瀬牧場スイーツ ぜったいです・・・この生チーズケーキは3つの構成からなっていて、・・・」の記載があり、「登録情報」欄に「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日:2010/9/10」との記載がある。
(2)「楽天市場」の「みんなのレビュー」と称するウェブページの「商品情報」欄に「【ベルギー産のミルクチョコレート使用】レアチョコレート箱入り・・・【スイーツ】【生チョコレート】【ギフト】」の記載があり、その「ユーザレビュー一覧」には「投稿日:2010年02月15日・・・おいしかったです・・」の記載がある。
(3)「北海 Do de Show」と称するウェブページの「北海道絶品スイーツ/Sweets Cafe」の見出しの下に「わらく堂人気のオリジナル生(レア)ケーキです♪ 高級感溢れる箱にちょうど食べ切りサイズの1ホール(直径約11cm)の3層レアケーキが入っています。・・・2004年度北海道加工食品フェアで優秀賞に輝いた美味しさを是非どうぞ!!」の記載がある。
(4)「森永製菓株式会社」のホームページの「ニュースリリース」の項に、「2010年9月」として「生チョコ100%を半生クッキーで包む新技術を実現!生チョコとけあう 濃密レアクッキー『ヌーディア<スイートビター><マイルドミルク>』」の見出しの下、「本商品は、しっとりはんなま半生チョコレートクッキーで生チョコ100%を包んだ、外はしっとり、中は生(レア)の濃密な食感が楽しめる『レアクッキー』です。」の記載がある。
(5)「楽天市場」の「いいもの北海道」と称するウェブページに「バンビ しっとり生(レア)クッキー5枚入/生チョコキャラメルをしっとりやわらかクッキーで包み込みました」の記載があり、「この商品を購入された方のレビュー」として「投稿日:2009年10月30日 これは今回注文した中で一番のヒットです・・・」の記載がある。
2 上記1の事実からすれば、「生」及び「レア」の文字(語)は、本件商標の登録審決の日前から洋菓子について「生レアチーズケーキ」「レアチョコレート」「生チョコレート」「生(レア)ケーキ」「レアケーキ」「生チョコ」「半生クッキー」「レアクッキー」「生(レア)クッキー」等のように使用され、いずれの文字(語)もその商品が「生(レア)の商品」であるとの商品の品質を表示するものとして普通に使用され、認識されていたものと判断するのが相当である。
さらに、「生」及び「レア」の文字(語)は、同義のものとして使用され認識されているばかりでなく、上記2にも示したように「生(レア)」と記載され「レア」の文字が「生」の文字の読みと意味を表すかのように使用されているといえる。
そうすると、「生クッキー」の文字とその「生」の文字の上に「レア」の文字を小さく表してなる本件商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「レア」の文字を「生」の文字のルビのごとく理解し本件商標を「生(レア)のクッキー」であることを表示したものと認識することが少なくないものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品について使用するときは、該商品が「生(レア)のクッキー」であるとの商品の品質を普通に用いられる方法の範囲内で表示する標章のみからなるものといわなければならない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものといわざるをえないので、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。



審理終結日 2012-05-02 
結審通知日 2012-05-10 
審決日 2012-05-22 
出願番号 商願2009-20457(T2009-20457) 
審決分類 T 1 11・ 13- Z (X30)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大森 健司高橋 謙司 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 堀内 仁子
梶原 良子
登録日 2011-03-25 
登録番号 商標登録第5400678号(T5400678) 
商標の称呼 レアクッキー、ナマクッキー、レア、ナマ 
代理人 特許業務法人松田特許事務所 
代理人 特許業務法人共生国際特許事務所 

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