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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 111
管理番号 1267113 
審判番号 取消2012-300057 
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-01-27 
確定日 2012-11-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第2519178号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2519178号商標(以下「本件商標」という。)は、「CONCEPT」の欧文字と「コンセプト」の片仮名を二段に書してなり、平成2年4月3日に登録出願され、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料 」を指定商品として同5年3月31日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録のほか、指定商品の書換登録がなされ、現在、第7類ないし第12類、第16類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品(第11類は「電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類」とするものである。
なお、本件審判請求の登録は、平成24年2月13日にされている。

2 請求人の主張
請求人は、商標法50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第11類「電球類及び照明用器具」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁並びに口頭審理陳述要領書を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出している。
(1)請求の理由
本件商標は、本件審判請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁(第二弁駁含む)
ア 本件商標の使用者について
被請求人は、本件商標は、通常使用権者である「上新電機株式会社」(以下「上新電機」という。)により使用されている旨、述べているが、上新電機が通常使用権者であることの証拠は一切提出されていない。そして、両者には、資本関係が無いものと思われる(甲2ないし甲4)ため、被請求人は上新電機に黙示の通常使用権を与えたとも考えられない。
そのほか、非請求人は、商標権者(被請求人)及び専用使用権者による使用も証明していない。
また、被請求人は、平成24年8月22日付け提出の口頭審理陳述要領書において、上新電機と被請求人との間で交わされた2001年10月21日付けの乙第9号証の「商標使用許諾契約書」(以下「契約書」という。)及び乙第10号証及び乙第11号証の当該契約延長の「覚書」を提出しているが、請求人の平成24年8月29日付け提出の口頭審理陳述要領書(以下の(3))に詳述したとおり、上新電機が本件商標権の通常使用権を有していないことは明らかである。
以上より、被請求人は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者による本件審判対象商品についての本件商標の使用を証明していない。
イ 使用商標について
(ア)使用各商標の構成
乙第1号証ないし乙第7号証(但し乙4を除く)に各々記載されている欧文字「concep」の後に配された縦線・横線の組み合わせ(以下「本件ロゴ」という。)は、極度にデザイン化されており、もはや欧文字「t」は把握・認識できない。
(イ)本件商標と各使用商標との比較
本件商標と本件ロゴの外観については、それぞれ前記したとおりの構成であることから、両商標の外観は、異なること明らかである。
称呼については、本件商標「CONCEPT」からは、「コンセプト」の称呼が生じるのに対し、本件ロゴからは、「concep」に対応して「コンセプ」の称呼が生じるから、両商標は称呼において異なる。
観念については、本件商標からは「観念」(審決注:「概念」の記載ミスと思われる。)の意味が生じるが、本件ロゴから意味は生じないため、両商標は、観念において異なる。
以上より、本件商標と本件ロゴは社会通念上同一とは認められないから、これらの乙各号証によっては、本件商標の使用は証明されない。
ウ 使用時期(審判請求登録前3年間の使用か否か)について
被請求人提出の証拠中には、乙第6号証及び乙第7号証を除き、本件審判請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に使用されたことを証明できないものが多数含まれている。
乙第6号証及び乙第7号証は、上新電機が発行した製品カタログであるが、前記アで述べたとおり、被請求人は、上新電機が通常使用権者であることを証明する証拠を一切提出していないので、同人が、通常使用権を有するとは認められない。
したがって、乙第6号証及び乙第7号証は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者によって使用されたことの証拠とはならない。
エ まとめ
以上を総合すると、被請求人の提出した証拠によっては、本件商標が、要証期間内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者によって使用されていることの証明はなされていない。
(3)口頭審理における陳述
ア 被請求人提出の契約書(乙9)及び契約延長の覚書(乙10及び乙11)の各々の原本を確認し、当該書証の成立は認めるものの、その作成日については疑問がある。
イ 契約書(乙9)及び契約延長の覚書(乙10及び乙11)が実在していたのであれば、何故、最初の答弁書提出時提出しなかったのか、疑問を抱かざるを得ない。
ウ 仮に契約書が真正であったとしても、契約書は、以下の理由により本件商標権に効力は及ばないため、上新電機は、本件商標権の通常使用権者ではない。
(ア)契約書(乙9)の第1条(使用許諾)の使用商標に記載されているのは、欧文字「THE CONCEPT」であるのに対し、通常使用権を許諾しようとする商標権は欧文字「CONCEPT」とカタカナ「コンセプト」を二段併記した二段書き商標の権利であり、両者は異なっている。
通常使用権は、「その商標権について」許諾され(商標法第31条第1項)、商標権の範囲は願書に記載した商標及び指定商品・指定役務の範囲を基礎として定められる(商標法第27条)。したがって、願書に記載した商標と異なるものは商標権の範囲外であり、商標権の範囲外について、商標権者は通常使用権を許諾できない。
また、登録商標の使用を専有する権利(商標法第25条)と類似関係にある範囲(禁止権)については、商標権者はこの範囲を積極的に使用する権利はない。自らが積極的に使用できない範囲に他人に積極的使用を許諾できないことは自明である。
したがって、契約書において「通常使用権を許諾することに関し、以下の通り契約を締結する。」と記載されているが、この契約はそもそも、被請求人(商標権者)の権限を越えた範囲に権利を生じさせることを目的としたものであり、法律上無効であり、無効な契約に基づき、有効な通常使用権が発生することはあり得ない。
(イ)同契約書の法律的意義は、上新電機が本件商標を使用することに対し、被請求人が商標権侵害の責めを問わないことを約束しただけである、と解釈できる。
しかしながら、無権限であるが侵害責任が問われない(商標権者は、権利行使できるが、これを控える)ことと、権限(通常使用権)を有するために権利行使ができることは法律上全く異なる。
(ウ)被請求人は、本件商標と契約書中の使用商標とが異なっても構わない理由として、契約書の第1条の(1)使用商標として「THE CONCEPT」と記載されているため、恰も、使用商標が上記商標に限定されているかのように思われるが、第3条(使用条件)の1.に規定のとおり、使用商標の変更は当然予想されるところであり、本件の場合、上新電機は第一回及び第二回の各契約延長時に「concept」、「本件ロゴ」及び「コンセプト」等の商標の使用状況を報告し、被請求人はこれらの使用を許諾した上で、契約延長をしているものである。したがって、これらの使用も当然に本契約の範囲内の使用であることは明らかである旨、述べている。
しかしながら、上記被請求人の議論は、(a)自らが積極的に使用権を有しない範囲について他人に使用権を許諾できるか、という論点(通常使用権の存否)と、(b)通常使用権が存在するとして、類似範囲についても通常使用権を許諾したか、という論点(通常使用権の範囲)とを混同しており、失当である。
(エ)被請求人は、契約書(乙9)及び契約延長の覚書(乙10及び乙11)によって、本件商標を使用することについて、黙示の通常使用権の許諾を主張するかもしれない。
しかしながら、契約書(乙9)において、使用商標は本件商標ではなく、「THE CONCEPT」と明確に規定している以上、本件商標権について通常使用権を許諾する意思がないことは明白である。
(オ)契約延長の覚書(乙10及び乙11)は、契約書(乙9)についてのものである。そして、契約書(乙9)は本件商標権は通常使用権の対象でないことを明確にしているから、契約延長の覚書も本件商標権を通常使用権の対象としないことは明確である。
したがって、契約書(乙9)及び契約延長の覚書(乙10及び乙11)の存在をもってしても、黙示の通常使用権の許諾が認められる余地はない。
(カ)以上より、被請求人提出の証拠から、上新電機は本件商標権の通常使用権者でないことは明らかである。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第16号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)答弁の理由(第二答弁含む)
本件商標は、通常使用権者である上新電機により、指定商品中、第11類「電球類及び照明器具」について、当該家電シリーズを構成する各種照明器具において要証期間内を含め、継続して3年以上、現在に至るまで使用されている。
乙第7号証は、本件登録商標を使用する製品の、要証期間内である2012年1月発行の製品カタログであり、各種照明器具は、16頁に掲載されている。
要証期間内の2012年1月発行の製品カタログであることは、裏表紙の右下に「2012.1」と記載されていることから確認できる。
そしてその表紙右上には、本件ロゴが記載されている。
2頁目には、「Joshinオリジナルひとり暮らし家電『concept』シリーズ」と記載されており、上記『concept』が本件審判請求に係る「照明用器具」について、使用されている商標であることは明らかである。
また、同頁に「Joshinオリジナルブランド『concept』。」と記載されており、「concept」が通常使用権者である上新電機のオリジナルブランド(商標)であることが示されている。
さらに、同頁中央にひときわ目立つ大きさで「concept」の文字が記載され、その上段にやや小さく「My First Choice,」の英語が記載されているところ、上段の英語は、「concept」の修飾語と理解できることから、「concept」の文字が商標として機能し使用されているといえる。
また、15頁には、「Joshinオリジナルひとり暮らし家電」「conceptシリーズ」の見出しで、「調理器具」「洗濯機」が掲載され、16頁には、「クリーナー」、「アイロン」「照明器具」、等の家電製品が掲載されている。そうすると、「conceptシリーズ」のうち、「シリーズ」の文字は、「シリーズもの」を表す自他商品識別力を有しない部分であるから、「concept」の文字が商標として機能を果たす部分であり、よって、本件商標と社会通念上同一の商標が「照明用器具」に使用されていたといえる。
以上のとおり、被請求人の提出した乙第7号証により、本件商標と社会通念上同一の商標が、要証期間内に、本件商標の通常使用権者である上新電機によって、請求にかかる指定商品中「電球類及び照明器具」に含まれる「照明用器具」について、使用されていたことは明らかである。
(2)口頭審理における陳述
ア 乙第9号証の契約書(商標使用許諾契約書)、乙第10号証及び乙第11号証の覚書の原本を提示。
イ 上記契約書(乙9)及び覚書(乙10及び乙11)を第一回目の答弁書提出の際に提出しなかった理由は、提出義務がないからである。
ウ 提出した契約書(乙9)によれば、被請求人が上新電機に対し、本件商標の権利について、通常使用権を許諾することが明示され、その内容も第1条において、(a)使用期間を5年とすること、また、(b)使用商品に「家電・情報機器」が明記されているから、本件取消請求に係る指定商品「電球類及び照明用器具」が含まれることは明らかである。
さらに、その後、2006年9月26日付けの第一回「覚書」(乙10)、及び2011年5月27日付けの第二回「覚書」(乙11)によって、それぞれ5年間契約延長することが同意されているから、今日に至るまで継続して使用許諾契約が有効であることも明らかである。
エ ところで、契約書の第1条の(1)使用商標として「THE CONCEPT」と記載されているため、恰も、使用商標が上記商標に限定されているかのように思われるが、第3条(使用条件)の1.に規定のとおり、使用商標の変更は当然予想されるところであり、本件の場合、上新電機は第一回及び第二回の各契約延長時に「concept」、「本件ロゴ」及び「コンセプト」等の商標の使用状況を報告し、被請求人はこれらの使用を許諾した上で、契約延長をしている(乙12及び乙13)。したがって、これらの使用も当然に本契約の範囲内の使用であることは明らかである。
オ 以上のとおりであるから、2001年10月12日以来、今日に至るまで、上新電機は本件商標権の通常使用権者であることは明らかである。

4 当審の判断
(1)被請求人の提出にかかる証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第7号証について
これは、「新生活応援カタログ」と題した全22頁よりなる家電製品のカタログであるところ、その表紙には、「ここから始まる、新しい暮らし。私が選ぶ『コンセプト』」の語が記載され、2頁の上段には、「Joshinオリジナルひとり暮らし家電『concept』シリーズ」、中段には、「私が選んだパートナー[コンセプト]」の語かそれぞれ記載されている。
また、15頁には、「Joshinオリジナルひとり暮らし家電」、「conceptシリーズ」の見出しで、「調理器具」及び「洗濯機」の文字が、16頁には、「照明器具」等の文字が、それぞれの製品写真とともに広告掲載されている。
そして、裏表紙の下方左には、スタンプで上新電機の社名が、住所(大阪市浪速区・・・)とともに押印され、その右側隅には、「2012.1」の文字が長方形枠内にそれぞれ記載されている。
イ 乙第9号証について
これは、被請求人と上新電機との間で締結された契約書(商標使用許諾契約書)の写しであるところ、そこには、被請求人が上新電気に対し、本件商標についての通常使用権を許諾することに関する以下の旨の内容(抜粋)が記載されている。
第1条(使用許諾)
「被請求人は、本件商標の商標権に関して、上新電機が、次の範囲で、これを使用することを認める」旨。
・使用商標「THE CONCEPT」
・使用期間「本契約締結日より5年間とし、使用期間の延長その他については、別項第9条(有効期間)に定める規定に準ずる」旨。
第3条(使用条件)
「上新電機は、同人が使用する本件商標の書体及び態様について事前に被請求人に通知するものとし、これを変更しようとする場合も同様とする」旨。
(ウ)第9条(有効期間)
「期間満了の6ケ月前までに上新電機が、被請求人に対し期間の延長を求めた場合には、延長の可否およびその条件について両者協議する」旨。
(エ)最後に「2001年10月12日」の年月日、両者の記名捺印が認められる。
ウ 乙第10号証及び乙第11号証について
これらは、いずれも被請求人と上新電機との間で締結された契約書(乙9)の延長に関する覚書(2通)の写しであるところ、前者に関しては、2006年10月12日から更に5年間、後者に関しては、その後の2011年10月12日から更に5年間(つまり、2016年10月11日迄)の延長に合意の旨が記載されている。
そしてこれらの最後には、前者が2006年9月26日、後者が2011年5月27日の年月日がそれぞれ記載されている。併せて、契約書同様、両者の記名捺印が認められる。
エ 乙第12号証及び乙第13号証について
これらは、いずれも上新電機から被請求人に宛てた本件商標の使用状況の報告と契約延長の通知の写しであるところ、そのうちの商標の使用状況の報告(いずれも2枚目以降)には、本件ロゴのほか、「シングルライフ向けオリジナル家電『concept(コンセプト)』」、「『concept(コンセプト)』のブランドコンセプト」及び「concept」なる文字が記載されている。
(2)以上に基づき、以下の点について検討する。
通常使用権者について
(ア)乙第9号証(契約書)について
当該契約書は、本件商標の権利に関する被請求人と上新電機間の通常使用権に関する契約書であるが、その第1条の「使用商標」の欄には、本件商標とは異なる「THE CONCEPT」と記載されているものである。
これよりすれば、使用商標として掲載されている「THE CONCEPT」の商標が本件商標とは認め難い商標であることから、この限りにおいては、上新電機は本件商標権の通常使用権者であることに、やや疑問があるといわざるを得ない。
しかしながら、契約書第1条における使用商標と書されている「THE CONCEPT」と、本件商標は、互いの要部である「CONCEPT」部分を共通にする商標であるうえ、第3条においては、上新電機が使用する商標の書体及び態様を変更使用することを念頭に置いた旨の契約内容であることがうかがえる。
(イ)乙第10号証ないし乙第13号証(覚書及び契約延長願等)について
乙第10号証及び乙第11号証の覚書によれば、被請求人及び上新電機の両者の同意の下、契約書(乙9)の有効期限を2016年10月11日迄、延長したことが認められる。
そして、当該覚書(乙10、乙11)に先立ち、上新電機より被請求人宛になされた二段書き商標の使用状況の報告(乙12及び乙13)によれば、「concept(コンセプト)」なる文字が家電等の商標として使用していることが認められる。
つまり、被請求人は、上新電機が、「concept(コンセプト)」なる商標を家電等に使用していることを認識した上で、契約延長を行っていることが認められる。
(ウ)小括
以上よりすれば、被請求人と上新電機間においては、本件商標権の使用許諾に関し、互いに良好な関係にあったものであり、現在もその状況が継続しているものと認められるものであって、契約書(乙9)の意図するところは、本件商標を基本として、商標法第50条第1項における「社会通念上同一の商標」の範囲(現実に社会通念上同一と認められるか否かは別にして)を意識し、その範囲内で契約書第3条における本件商標の変更使用を意図したものであると思われ、その意図が、第1条における使用商標が、本件商標と異なる「THE CONCEPT」と記載しているものとみることもできる。
加えて、乙第10号証ないし乙第13号証よりすれば、被請求人は、上新電機が、「concept(コンセプト)」なる商標を家電等に使用していることを認識した上で、契約延長を行っていることが認められる。
してみれば、契約書(乙9)の第1条に記載の使用商標とされている商標が本件商標とは異なるとしても、乙第9号証ないし乙第13号証を総合勘案すれば、上新電機は、被請求人より本件商標権について、黙示の使用許諾を受けた通常使用権者であるとみるのが相当である。
ところで、被請求人は、口頭弁論において、乙第9号証ないし乙第11号証の契約書及び覚書(2件)の原本を確認し、その書証の成立を認めるものの、作成日の真正については疑問がある旨陳述したが、提出された全証拠によっても、これを疑うに足る証拠は見あたらない。
イ 本件商標の使用商標及び使用時期等について
乙第7号証のカタログの表紙には、「concept」及び「コンンセプト」の文字が家電製品全般に商標として使用されており、また、15頁及び16頁には、「Joshinオリジナルひとり暮らし家電」、「conceptシリーズ」の文字とともに、「調理器具」や「洗濯機」(15頁)のほか、「照明器具」等の文字(16頁)が、天井用照明器具、電気スタンド等の写真とともに掲載されていること、前述したとおりである。
ところで、「conceptシリーズ」の文字中の「シリーズ」部分は、「シリーズもの」を表す自他商品識別力を有しない部分であるから、「concept」の文字部分が商標として機能する部分である。
ところで、本件商標は、「CONCEPT」の欧文字と「コンセプト」の片仮名を二段に書したものであるところ、その構成中の下段の「コンセプト」の片仮名は、上段の「CONCEPT」の読みを特定したものと理解できるものであり、上段及び下段のいずれの使用であってもその称呼は同一であり、観念においても「概念」の観念をともに生ずるものであって、社会通念上同一視できるものである。
そして、同号証に掲載の「concept」なる商標は、本件商標中の「CONCEPT」との関係よりすれば、大文字と小文字の相互間の使用に過ぎないものであり、これとて、社会通念上同一視できるものである。
してみれば、乙第7号証における使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められることから、本件商標は、本件審判請求に係る第11類「電球類及び照明用器具」に含まれる「照明用器具」について上記カタログに使用されていることが認められる。
そして、同号証のカタログの裏表紙の各記載から、当該カタログは、2012年1月現在、つまり、本件審判請求の要証期間内(2009年2月13日?2012年2月12日)における大阪市在の上新電機のカタログであることが認められるものである。
(3)まとめ
以上を総合すると、被請求人(商標権者)は、本件商標権の通常使用権者と認めうる上新電機が、要証期間内に日本国内において、本件審判請求に係る第11類「電球類及び照明用器具」に含まれる「照明用器具」に本件商標を使用(当該使用行為は、商品に関する広告に標章を付して展示する行為であり、商標法第2条第3号第8号に該当する。)していたことを証明したものということができる。
したがって、本件商標の指定商品中、請求に係る指定商品についての登録は、商標法第50条第1項の規定に基づき、取り消すことができない。
よって結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2012-10-11 
出願番号 商願平2-37895 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (111)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今田 三男 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 井出 英一郎
渡邉 健司
登録日 1993-03-31 
登録番号 商標登録第2519178号(T2519178) 
商標の称呼 コンセプト 
代理人 笠松 直紀 
代理人 萼 経夫 
代理人 山田 清治 

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