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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X25
管理番号 1266147 
異議申立番号 異議2012-900106 
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-04-19 
確定日 2012-11-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第5475867号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5475867号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件登録第5475867号商標(以下「本件商標」という。)は、「VOLLEY」の文字を標準文字で表してなり、平成22年5月12日に登録出願、第25類「被服,ワイシャツ類及びシャツ,ズボン及びパンツ,スウェットシャツ,スウェットパンツ,ショーツ,ティーシャツ,タンクトップ,水泳着,セーター,カーディガン,ベスト,ジャケット,コート,ソックス,下着,履物,帽子」を指定商品として、平成24年2月2日に登録査定、同年3月2日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
(1)申立ての根拠
本件商標は、証拠(甲1ないし甲30)から明らかなように、商標法第4条第1項第19号に該当するものであるから、同法43条の2第1号によって取り消されるべきものである。
(2)具体的理由
ア 「VOLLEY」が本件商標の商標権者とは異なる他人の商標として豪州で広く知られていること
(ア)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標「VOLLEY」(以下「引用商標」という。)は、豪州に所在するダンロップ・スポーツ・フットウェア(甲3の訳文、以下「ダンロップ社」という。)或いはその親会社であるパシフィック・ブランズ・フットウェア・グループ(甲5の訳文、以下「パシフィック・ブランズ社」という。)の業務にかかる運動靴を表す商標として、豪州で広く需要者に認識されている。
引用商標はパシフィック・ブランズ社の傘下にあるダンロップ社が製造する運動靴の商標として豪州において1939年以来現在に至るまで、実に70年以上もの長きにわたり継続的に使用されているものである(甲3)。
引用商標を付した運動靴は、1939年に開発された後、一般需要者に向けて大量生産されるようになり、テニス用のみならず日常生活でも使用できる運動靴として人気を博し、現在に至る約70年の間に豪州を中心に実に約2000万足を売り上げている(甲4)。
(イ)ダンロップ社は2004年にパシフィック・ブランズ社の傘下に入った(甲3及び甲5)。
また、申立人とパシフィック・ブランズ社は関連会社である。事実、豪州において、引用商標は、1924年11月1日に指定商品を第25類「履物,その他の被服」として、申立人名義にて登録されている(甲6)。
(ウ)引用商標は、「VOLLEY」という基幹商標のもと「VOLLEY O.C.」や「VOLLEY S.S.」、「VOLLEY INTERNATIONAL」といったシリーズ商品が展開されている。また靴の側面やべロ部分、中敷、靴底、及び包装用の箱に「VOLLEY」の文字が付されている(甲7、甲8)。
(エ)パシフィック・ブランズ社の作成にかかる過去10年間(2003年[平成15年]度から2012年[平成24年]度)のVOLLEY商標を付した運動靴の売上げ数量及び販売額の一覧(甲9)によれば、直近の5年間では売上数量としては毎年100万足から200万足、販売額にして1300万豪ドルから3000万豪ドル(約10億円から約24億円)にのぼる。
(オ)パシフィック・ブランズ社が2011(平成23年)年3月に「VOLLEY」の宣伝広告の一環として実施した、「The search for Australia’s Well Worn Volleys’(豪州でよく履き古されたVolley印の靴の調査)」(甲10)というキャンペーンの案内及び応募された靴には、1953年製の靴、1956年のメルボルンオリンピックの聖火リレーで着用された靴、1969年、エベレスト登頂の際に着用された靴などがあり、これから分かるように、「VOLLEY」を付した運動靴が半世紀近く前から豪州国民に着用されていたことが分かる。
(カ)さらに「VOLLEY」の運動靴は、2012年に開催されたロンドンオリンピックの開会式において、豪州選手団が着用する公式靴に選ばれていることは豪州で最も人気があるとされる新聞「Herald Sun」でも記事として紹介された(甲11)ほか、日本語のブログでも紹介されている(甲12ないし甲14)。
(キ)パシフィック・ブランズ社は豪州国内において現在もなお「VOLLEY」商標の宣伝広告活動を継続している。
2012年4月12日から同月26日まで豪州国内のVictoria Rd Marrickvilleにて掲示された大型ポスターである(甲16)。
2008年7月から2009年11年までの間の豪州国内での「VOLLEY」の宣伝広告の内容及び費用を示すもの(甲17)によれば。1年間で合計約92万豪ドル(約7400万円)の費用をかけ、道路沿いへのポスター掲示やテレビ・インターネット上での広告を行っていることが分かる。
(ク)「VOLLEY」を豪州を代表するスニーカーとして紹介する記事、例えばインターネット上の百科事典「Wikipedia」において「VOLLEY」が「オーストラリアで人気のある運動靴」と記載されていること(甲18)、ソーシャルネットワーキングサービスの「Facebook」において「Dunlop Volley Appreciation Group(ダンロップVOLLEYを賞賛するグループ)」という愛好者グループがあること(甲19)、通販サイトにて「VOLLEY」商標を付した商品が「おそらくオーストラリアで最も有名な運動靴」と紹介されていること(甲21)、「VOLLEY」が「iconic brand Volley(象徴的なブランドであるVolley)」として記載されている(甲8)ことからも、「VOLLEY」の豪州での著名性が十分に推認できるものと思料する。
また、我が国においても「VOLLEY」は「オーストラリアのベストセラースニーカー」、「オーストラリアの老舗スニーカーブランド」、「オーストラリア国内では男女問わず定番スニーカーとして絶大な認知度を誇る」、「オーストラリアを象徴する老舗スニーカーメーカー」などとして紹介されている(甲22ないし甲26)。
(ケ)上記及び各証拠より、引用商標は1939年以来、現在に至るまで豪州にてダンロップ社の製造する運動靴の商標として継続的に使用されており、老若男女を問わず広く親しまれている商標である。
よって、引用商標は、その出願時及び査定時においてもダンロップ社或いはその親会社のパシフィック・ブランズ社の業務にかかる運動靴の商標として豪州国内にて需要者の間に広く認識されている商標であったものと優に推認できるものと思料する。
イ 本件商標の商標権者は、本件商標を不正の意図を持って出願している。
(ア)本件商標の商標権者(以下「商標権者」という。)は、米国に所在するマーケティング会社である(甲27)。同社はパシフィック・ブランズ社の引用商標を付した運動靴を米国で販売するにあたり、宣伝広告等のマーケティング業務を引き受けた。一方、商標権者はパシフィック・ブランズ社に対し「VOLLEY」商品の米国での販売代理店となる申し出も行っていたが、この点については両社間の条件が折り合わず、販売代理店契約の締結には至らなかった。
(イ)商標権者の作成にかかるパシフィック・ブランズ社へのマーケティングに関する提案書(甲28)によれば、第1頁より、これら提案書が本件商標の出願日たる2010年5月12日より前の2009年1月及び2010年1月に作成されていることが分かる。
また、第3頁の「序論」、第11、13頁の「PAC BRANDSとJM&S」の記載より、商標権者は「VOLLEY」の米国市場への参入にあたってマーケティング業務を請け負った代理店に過ぎず、豪州で著名な「VOLLEY」の豪州における製造・販売とは全く無関係であることが分かる。また、商標権者はあくまで「VOLLEYの米国でのマーケティング」を任されており、少なくとも日本における商標権の獲得まで委任されているような事情は一切見当たらない。
また、第30頁「商標に関する近況2010年1月」という報告からも明らかな通り、商標権者は「VOLLEY」はパシフィック・ブランズ社名義で登録されるべきものであることを認識していると考えられる。
さらに、商標権者は、「VOLLEY」のマーケティングを行うという立場にあった以上、同ブランドの十分な調査・分析を行っているはずであり、「VOLLEY」が豪州にて著名な商標であったことを知り得なかったとは到底考え難い。
以上より、商標権者は、本件商標の出願日である2010年5月12日の時点において「VOLLEY」がパシフィック・ブランズ社の商標であって、少なくとも豪州で広く知られた商標であることを十分に認識していたと言える。
(ウ)商標権者側の担当者とパシフィック・ブランズ社側の担当者との間で2009年4月に交わされたメールの写し(甲29)によれば、引用商標を付した運動靴を米国で販売するにあたり、パシフィック・ブランズ社は他の業者との取引も視野に入れていることが窺えるのに対し、商標権者は自分自身が唯一の販売代理店となるべきであると主張しており、両者間に販売代理店に関する合意が形成されていないことが分かる。
(エ)このような交渉を行っている間に、商標権者は、パシフィック・ブランズ社の承諾を得ずに、日本をはじめ米国、英国、及び欧州共同体に引用商標を第25類の商品を指定して出願した。これらの出願の事実は出願後もパシフィック・ブランズ社には知らされず、パシフィック・ブランズ社が英国で商標出願の事前調査を行った際に初めて、商標権者による無断出願が発覚した。
(オ)これを受けて、2010年12月21日、申立人は豪州の代理人を通じて商標権者に本件商標(商願2010-36703号)を含む世界各国での商標登録・出願を提出者に移転するよう要請した(甲30)。しかし、商標権者は移転書類への署名を拒んでいる。
ウ 申立人名義の出願について
甲第2号証に示すとおり、申立人は、引用商標について出願を行ったが、本件商標は登録されたと共に、申立人出願が本件商標を引例として拒絶理由通知を受けている。
エ まとめ
上記のとおり、商標権者は、パシフィック・ブランズ社の米国でのマーケティング業務を行っていたことから、引用商標はダンロップ社或いはパシフィック・ブランズ社の商標として豪州で広く知られたものであったこと、そして、少なくとも当該商標は申立人名義にて登録されるべきものであることを十分に知り得る立場であったと言える。そして商標権者は、パシフィック・ブランズ社との商品販売代理店契約交渉が難航する中、日本をはじめ世界各国にて引用商標が未出願であることを奇貨として、申立人に無断で出願を行っている。商標権者によるこのような出願行為にはパシフィック・ブランズ社や申立人に対し、商品販売代理店契約の交渉を有利に進めようとする不正の意図があったものと言わざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条1項19号に該当するものである。
なお、上記イ(オ)で述べたように商標権者は本件商標の申立人への移転を拒み続けている。その一方で、甲第21号証ないし甲第25号証に示すように申立人は、日本での「VOLLEY」商品の販売もやむを得ず徐々に開始している。このような状況が続けば、本来商標権を有するべきである申立人が、他人に商標権を所有されたまま日本での商品販売を行わなければならないという不安定な立場に曝され続けることとなり、これはきわめて不合理な状況であることは明らかである。
(3)結語
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知著名性について
ア 引用商標の使用者について
引用商標は1939年からテニスシューズや運動靴にダンロップ社によって使用されていること、2004年にダンロップ社は同社などの商品を販売する会社であるパシフィック・ブランズ社の一部になったこと(以上、甲3の訳文)、申立人はダンロップ社との関係は明らかでないが、パシフィック・ブランズ社とは関連会社と述べていること、が認められる。
そうとすれば、引用商標は、申立人、パシフィック・ブランズ社及びダンロップ社(以下、これら3者をまとめて「申立人ら」という。)の業務に係る運動靴を表示するものとして使用されていたと認められる。
イ 引用商標の使用状況
(ア)申立人らは、豪州を拠点として、引用商標を付した運動靴の製造、販売を継続して行っている(以上、甲3の3枚目、甲4の2枚目、甲5号証の2枚目及び4枚目、甲7)。
(イ)パシフィック・ブランズ社は、直近の5年間(2008年から2012年)では、引用商標を付した運動靴の売上数量は毎年約100万足から約220万足で、額にして約1400万豪ドルから3100万豪ドル(約10億円から約24億円)を売り上げている(甲9)。また、2008年7月から2009年11月までの間の豪州国内でのポスター掲示やテレビ・インターネットによる「VOLLEY」の宣伝広告に1年間で合計約92万豪ドル(約7400万円)の費用を費やしている(甲17)。運動靴は、1956年のメルボルンオリンピックの聖火リレーで着用されたり、1969年にエベレスト登頂の際に着用されたり、古くから使用されている。最近では2012年のロンドンオリンピックの開会式において、運動靴は、豪州選手団が着用する公式靴に選ばれ、新聞記事でも紹介された(甲11ないし甲14)。インターネット上の百科事典「Wikipedia」において、運動靴は、「オーストラリアで人気のある運動靴」と掲載されている(甲18)。
ウ 小括
以上の事実を総合してみれば、引用商標は、1939年にテニスシューズに使用されて以来、現在に至るまで豪州国内において、申立人らの製造、販売する運動靴に、継続的に使用され、相当程度の販売実績、宣伝広告の活動状況を併せみれば、本件商標の出願時である平成22年(2010年)5月12日には既に、豪州国内において、需要者の間において広く認識されていたものと認められ、その周知性は、本件商標の登録査定時においても継続していたものということができる。
(2)本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、前記1のとおり、「VOLLEY」の欧文字を横書きした構成からなるところ、該文字は、「【テニス・フットボール】ボレー《ボールが地につかないうちに打ち返す又はけ返すこと》」(研究社新英和中辞典:「http://ejje.weblio.jp/content/volley」)の意味を有する英語として、我が国において親しまれた語と認められるから、これより「ボレー」の称呼及びテニス・フットボール用語としての「ボレー」の観念を生ずるものと認められる。
一方、引用商標は、前記2のとおり、「VOLLEY」の欧文字からなるものであるから、本件商標とは綴り字を同じくするものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念において同一又は類似の商標であることは明らかである。
(3)不正の目的の有無について
前記(1)ウのとおり、引用商標は、豪州国内において、需要者の間において広く認識されていたものと認められる。
そして、申立人の提出に係る証拠及び主張によれば、商標権者は、マーケティングを専門とする会社であり、米国における「Volley」の運動靴のマーケティングを引き受ける一方、本件商標の出願前から、パシフィック・ブランズ社との間で、販売代理店契約の交渉を行っていたことが認められる。
しかしながら、本件商標は、上記(2)のとおり、成語であって、構成上顕著な特徴を有するものでなく、また、申立人の提出に係る証拠によっては、申立人らが我が国に進出する具体的な計画を有している事実、商標権者より本件商標の買取り、代理店契約などの要求を受けている事実等を見いだすことができない。また、商標権者が本件商標を使用した場合、引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがあることを示す事実を見いだすことができない。
その他、不正の目的をもって使用することを認めるに足る証拠はない。
(4)小括
以上のとおりであるから、引用商標は、申立人の業務に係る運動靴を表示する商標として、豪州において、取引者、需要者の間に広く認識されているものであって、本件商標が引用商標と類似する商標であるとしても、不正の目的をもって使用するものということできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものではない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2012-10-29 
出願番号 商願2010-36703(T2010-36703) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (X25)
最終処分 維持 
前審関与審査官 小林 薫 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 田中 亨子
小川 きみえ
登録日 2012-03-02 
登録番号 商標登録第5475867号(T5475867) 
権利者 ジェイエムアンドエス プロジェクツ エルエルシー
商標の称呼 ボレー、バレー 
代理人 寺田 花子 
代理人 田中 光雄 
代理人 鮫島 睦 
代理人 勝見 元博 
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