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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X09
審判 全部申立て  登録を維持 X09
審判 全部申立て  登録を維持 X09
管理番号 1266132 
異議申立番号 異議2012-900170 
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-06-15 
確定日 2012-11-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第5478626号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5478626号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5478626号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成23年2月10日に登録出願、第9類「音声・映像受信機ならびにその部品および付属品,音声および画像の記録再生装置ならびにその部品および付属品,音声又は画像の転送用の電気通信機械器具ならびにその部品および付属品,ビデオレコーダーならびにその部品および付属品,デジタルビデオプレーヤーならびにその部品および付属品,ビデオカセットプレーヤーならびにその部品および付属品,MP3プレーヤーならびにその部品および付属品,未記録のコンパクトディスク及び光学式ビデオディスクならびにその部品および付属品,テレビ受信機ならびにその部品および付属品,ラジオ受信機ならびにその部品および付属品,ヘッドフォンならびにその部品および付属品,イヤホンならびにその部品および付属品,スピーカーならびにその部品および付属品,音声・テレビジョン信号用増幅器ならびにその部品および付属品」を指定商品として、平成24年2月8日に登録査定、同年3月16日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する各登録商標は、以下のとおりであり、(7)の「引用商標7」を除き、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第624065号商標(以下「引用商標1」という。)は、「オーディオテクニカ」の片仮名を横書きしてなり、昭和37年7月7日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和38年9月3日に設定登録、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、平成16年12月8日に指定商品を第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」とする指定商品の書換登録がなされているものである。
(2)登録第650589号商標(以下「引用商標2」という。)は、「AUDIOTECHnICA」の欧文字を横書きしてなり、昭和38年2月14日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同39年8月20日に設定登録、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、平成16年12月8日に指定商品を第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」並びに第7類、第8類、第10類、第11類、第12類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする指定商品の書換登録がなされているものである。
(3)登録第965488号商標(以下「引用商標3」という。)は、「audio-technica」の欧文字を横書きしてなり、昭和45年1月30日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同47年5月31日に設定登録、その後、3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、平成14年7月31日に指定商品を第9類「電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」とする指定商品の書換登録がなされているものである。
(4)登録第4064834号商標(以下「引用商標4」という。)は、「名菱テクニカ」の文字を横書きしてなり、平成2年9月21日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年10月3日に設定登録、その後、同19年6月5日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、同年11月7日に指定商品を第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」並びに第7類、第8類、第10類、第11類、第12類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする指定商品の書換登録がなされているものである。
(5)登録第4164079号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成8年8月19日に登録出願、第9類「電線およびケーブル,電気通信機械器具の部品および付属品,電子応用機械器具およびその部品」を指定商品として、同10年7月10日に設定登録、その後、同20年2月26日に商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。
(6)登録第4520815号商標(以下「引用商標6」という。)は、「ツールテクニカ」の片仮名を上段に、「Tool Technica」の欧文字を下段に横書きしてなり、平成12年10月3日に登録出願、第9類「測定機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、同13年11月9日に設定登録、その後、同23年11月15日に商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。
(7)登録第4561130号商標(以下「引用商標7」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成13年3月7日に登録出願、第9類「携帯電話機の部品及び付属品・音声周波機械器具用のコネクタその他の電気通信機械器具,配電用又は制御用の機械器具」を指定商品として、同14年4月19日に設定登録されているものである。なお、引用商標7に係る更新申請は、現在確認されていない。
(8)登録第4608593号商標(以下「引用商標8」という。)は、「りょうしょう」の平仮名を上段に、「菱照テクニカ」の文字を下段に横書きしてなり、平成13年10月1日に登録出願、第9類「測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,回転変流機,調相機,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,火災報知機,盗難警報器,磁心,抵抗線,電極,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,自動販売機,金銭登録機,写真複写機,電気計算機,アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,電動式扉自動開閉装置」及び第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同14年9月27日に設定登録、その後、同24年10月9日に商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。
(9)登録第4782326号商標(以下「引用商標9」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、平成15年12月15日に登録出願、第9類「測定機械器具,電池,電線及びケーブル,電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、同16年6月25日に設定登録されているものである。
(10)登録第4782327号商標(以下「引用商標10」という。)は、別掲5のとおりの構成からなり、平成15年12月15日に登録出願、第9類「測定機械器具,電池,電線及びケーブル,電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、同16年6月25日に設定登録されているものである。
(11)登録第4943071号商標(以下「引用商標11」という。)は、「モバイル・テクニカ」の片仮名を上段に、「MOBILE TECHNIKA」の欧文字を下段に横書きしてなり、平成17年9月7日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同18年4月7日に設定登録されているものである。
(12)登録第5188981号商標(以下「引用商標12」という。)は、「株式会社マイクロ・テクニカ」の文字を横書きしてなり、平成20年5月14日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,測定機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電子出版物」並びに第11類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年12月12日に設定登録されているものである。
(13)登録第5188982号商標(以下「引用商標13」という。)は、「mICRO‐TECHnICA」の欧文字を横書きしてなり、平成20年5月14日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,測定機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電子出版物」並びに第11類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年12月12日に設定登録されているものである。
(14)登録第5412541号商標(以下「引用商標14」という。)は、「東洋テクニカサービス」の文字を標準文字で表してなり、平成22年9月15日に登録出願、第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」のほか、第35類及び第37類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同23年5月20日に設定登録されているものである。
(15)登録第4319494号商標(以下「引用商標15」という。)は、「Tescom」の欧文字を横書きしてなり、平成10年3月11日に登録出願、第7類ないし第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同11年10月1日に設定登録、その後、同21年10月13日に、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,遊園地用機械器具,スロットマシン,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,家庭用テレビゲームおもちゃ」並びに第7類及び第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品について、商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。
(16)登録第4638608号商標(以下「引用商標16」という。)は、「テスコム」の片仮名を標準文字で表してなり、平成13年9月14日に登録出願、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,遊園地用機械器具,スロットマシン,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,家庭用テレビゲームおもちゃ」並びに第7類、第8類、第10類及び第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同15年1月24日に設定登録されているものである。
(17)登録第4670990号商標(以下「引用商標17」という。)は、「TESCOm」の欧文字を横書きしてなり、平成14年7月25日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」のほか、第7類ないし第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同15年5月16日に設定登録されているものである。
(18)登録第4997386号商標(以下「引用商標18」という。)は、青色に彩色された「DESCO」の欧文字を横書きしてなり、平成17年2月10日に登録出願された商願2005-11344に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同年10月24日に登録出願され、第9類「電源装置,配電用又は制御用の機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」を指定商品として、同18年10月20日に設定登録されているものである。
なお、引用商標1ないし18をまとめていうときは、以下「11号引用商標」という。
2 申立人が、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する各登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2714223号商標(以下「引用商標19」という。)は、「technica」の欧文字を横書きしてなり、昭和50年12月8日に登録出願、第24類「楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)レコ?ド、これらの部品および附属品」を指定商品として、平成8年5月31日に設定登録、同18年1月10日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、その後、同年3月15日に指定商品を第9類「メトロノーム,レコード」及び第15類「楽器,演奏補助品,音さ」とする指定商品の書換登録がなされているものである。
(2)登録第2714224号商標(以下「引用商標20」という。)は、「テクニカ」の片仮名を横書きしてなり、昭和50年12月8日に登録出願、第24類「楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)レコ?ド、これらの部品および附属品」を指定商品として、平成8年5月31日に設定登録、同18年1月10日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、その後、同年3月15日に指定商品を第9類「メトロノーム,レコード」及び第15類「楽器,演奏補助品,音さ」とする指定商品の書換登録がなされているものである。
(3)登録第3046633号商標(以下「引用商標21」という。)は、「テクニカ」の片仮名を上段に、「TECHNICA」の欧文字を下段に横書きしてなり、平成4年7月13日に登録出願、第41類「蓄音機の展示」を指定役務として、同7年5月31日に設定登録、その後、同17年2月1日に商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。
なお、引用商標19ないし21をまとめていうときは、以下「15号引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第22号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は外観及び称呼において11号引用商標と類似であり、本件商標の指定商品のすべては11号引用商標の指定商品と同一又は類似である。
よって、本件商標は、その指定商品のすべてについて、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
2 商標法第4条第1項第15号について
本件商標をその指定商品のすべてに使用をした場合には、これに接する取引者、需要者は、周知著名となっている申立人または申立人の業務に係る商品を連想、想起し、これらの商品が申立人または同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがある(15号引用商標及び甲第3号証ないし同第21号証(枝番号を含む。))。
よって、本件商標は、その指定商品のすべてについて、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
3 商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標(甲第2号証ないし同第22号証(枝番号を含む。))と類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものである。
よって、本件商標は、その指定商品のすべてについて、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標の構成について
本件商標の構成は、別掲1に表示したとおりのものであるところ、左下部分を三角形状に切り欠いた黒塗り横長矩形状図形内に、白抜きで「Technika」の欧文字を大きく表示し、この下部に、左上部分を三角形状に切り欠き、右下部分が上方に少しめくれているような白塗り横長矩形状図形(高さは、上記の黒塗り横長矩形状図形の半分弱であり、横幅は上記の黒塗り横長矩形状図形と同一のもの。)内に、黒色で「EXCLUSIVELY FROM」の欧文字を表示し、この右側には、上下が水平で左右を右側に傾斜させた平行四辺形を横並びに等間隔で5個配置し(最も右側の平行四辺形は右下半分が欠けている。)、この上部に黒色の太字で「TESCO」の欧文字を表示してなるものである。
このうち、「EXCLUSIVELY FROM」の文字は「Technika」の文字より小さく、「TESCO」の文字は、「EXCLUSIVELY FROM」の文字より大きく表示されており、「EXCLUSIVELY FROM」「TESCO」と表示された文字部分は、「Technika」の文字中の「T」の文字の中央部分と「a」の文字の中央部分の間に納まるように配置されているものである。
さらに、黒塗り矩形状図形と、白塗り矩形状図形の背後には、その右上頂点を黒塗り矩形状図形の右上頂点部分に重なるように配置した、上記の両矩形状図形より大きな、灰色横長矩形状図形を配置してなるものである。
そして、これらにおける、各矩形状図形内に表された文字の大きさや太さ、色の違いからして、本件商標を常に一体不可分のものとしてのみ把握されるとみるのは不自然であり、各文字の有する識別力の強弱を措くとしても、「Technika」、「EXCLUSIVELY FROM」、「TESCO」のそれぞれの文字が、その構成中から分離して把握されるとみるのが相当である。
そこで、以上述べた本件商標の構成を前提に、以下、本件商標と11号引用商標との類否について検討する。
(2)本件商標と引用商標1ないし14の各商標との類否について
本件商標の構成は、上記したとおりであるところ、引用商標1ないし11、13及び14の各商標は、文字部分が、ハイフンや多少の間隔を介して表されているものも含めて、文字部分は、同一の書体で一体的に表されており、それぞれから生ずる「オーディオテクニカ」、「メイリョウテクニカ」等の一連の称呼も決して冗長ではなく、無理なく称呼できるというべきである。
また、「株式会社」の文字を有する引用商標12は、それが商号を表したものであるとしても、ここから「テクニカ」の文字部分のみが分離して把握されるとみるのは不自然というべきである。
そうであれば、引用商標1ないし14の各商標からは、「テクニカ」の称呼は生じないというべきであって、「テクニカ」、「TECHNIKA」、「technica」及び「Technika」の各語からは特定の親しまれた観念が生ずるとはいえないこと、そして、本件商標と引用商標1ないし14の各商標が呈する外観を対比して、総合的に検討すれば、本件商標と引用商標1ないし14の各商標とは類似しないと判断するのが相当である。
(3)本件商標と引用商標15ないし17の各商標との類否について
引用商標15ないし17の各商標は、「Tescom」、「テスコム」及び「TESCOm」の文字よりなるものであるから、これに照応して「テスコム」の称呼が生ずるものである。
これに対して、本件商標からは、前記(1)で述べたとおり、「TESCO」の文字部分が分離して把握されるということができるものである。
しかして、商標の類否判断は、その外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきというべきところ、本件商標の外観と引用商標15ないし17の各商標との外観の相違は顕著といえ、また、「TESCO」の語からは特定の親しまれた観念は生じないから、本件商標と引用商標15ないし17の各商標とは、観念上類似するとはいえないものである。
そうであれば、本件商標構成中の「TESCO」の文字から生ずる「テスコ」の称呼と、引用商標15ないし17の各商標から生ずる「テスコム」の称呼が比較的近似するとしても、本件商標と引用商標15ないし17の各商標の外観、観念、称呼を総合して検討すれば、本件商標と引用商標15ないし17の各商標とは互いに類似する商標とはいえないというべきである。
(4)本件商標と引用商標18の商標との類否について
引用商標18の商標は、「DESCO」の文字よりなるものであるから、これに照応して「デスコ」の称呼が生ずるものである。
これに対して、本件商標からは、前記(1)で述べたように、「TESCO」の文字部分が分離して把握されるということができるものである。
しかしながら、本件商標と引用商標18の商標とは、前記(3)で述べたのと同様の理由から、互いに類似する商標とはいえないというべきである。
(5)小活
したがって、本件商標と11号引用商標とは互いに類似する商標とはいえないものである。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)申立人が提出した各甲号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、「株式会社オーディオテクニカ」との名称の法人であり、1962年4月17日に創立され、「マイクロホン」、「ヘッドホン」及び「オーディオケーブル」などの音響機器(以下「申立人商品」という。)などを取り扱っており、2012年4月に創立50周年を迎えたこと(甲第3号証、同第5号証)。
(イ)申立人は、引用商標9に示された商標を中心に、これと、引用商標10に示された商標から「always listening」の文字を除いた態様の商標を、平成22年秋から平成24年6月にかけて発行された音楽情報誌等において、申立人商品の広告に使用してきていること(甲第4号証)。
(ウ)申立人の取り扱う商品「ヘッドホン・イヤホン」の販売高が、平成24年度において業界内で上位を占め、過去において各種の賞を受賞していること(甲第6号証及び同第7号証)。
(エ)平成24年2月ないし6月に発行された、朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞の朝刊の一面において、商品を特定せずに引用商標9を用いた宣伝がされていること(甲第8号証)。
(オ)申立人が、ラジオ、テレビにおいてスポンサーとして広告宣伝を行い、新製品の発表会を行っていること(甲第9号証ないし同第12号証)。
(カ)本件商標の登録出願時(平成23年2月)から登録査定時(平成24年2月)にかけて、雑誌などで申立人商品が、「オーディオテクニカ」ないし「AUDIO-TECHNICA(audio-technica)」の表示とともに紹介されたこと(甲第13号証の1ないし5及び同号証の7ないし10)。
(キ)申立人が、複数回のオリンピック大会に協賛してマイクロホン等の器具を提供していること。音楽祭典であるグラミー賞に15年連続で協賛してマイクロホン等の器具を提供していること。ロックフェスティバルであるサマーソニックに11年連続で協賛してマイクロホン等の器具を提供していること(甲第14号証ないし同第16号証)。
(ク)「テクニカ」の文字をもって申立人商品が紹介されていること(甲第17号証の1ないし9)。
(ケ)15号引用商標については、甲第18号証に示された商標公報以外に書証の添付はない。
(コ)なお、その余の甲各号証には、「テクニカ」及び「technica」(以下「申立人略称」という。)のみの標章が、申立人の取扱いにかかる商品及び役務を表示するものとして使用されている事実は認められない。
(2)周知著名性について
申立人は、「audio-technica」又は「オーディオテクニカ」の文字を有する商標(以下「audio-technica商標」という。)並びに申立人略称の周知著名性は、本件商標の指定商品すべてに係る取引者、需要者の間にも及んでいる旨主張している。
そこで、以下この点について検討する。
(ア)前記(1)で認定した事実によれば、申立人が、申立人商品について、「audio-technica商標」を使用した結果、該商標は、申立人が申立人商品に使用するものとして、取引者、需要者間において、本件商標の登録出願前に周知著名となっていたものと認めることができる。
(イ)申立人略称についてみるに、申立人の主張する甲第17号証(枝番号を含む。)には「テクニカ」の文字をもって申立人商品が紹介されているが、その出所は、「株式会社マイナビ」のサイト及びオーディオビジュアルのポータルサイトである「ファイル・ウェブ」の2サイトであり、しかも、これらは、2008年から2012年までの間における9回にすぎないものである。
そうであれば、「テクニカ」の文字が、申立人商品に使用するものとして、取引者、需要者間において、本件商標の登録出願前に周知著名となっていたものと認めることはできない。
また、その余の甲各号証によっては、申立人略称の標章が、申立人の取扱いにかかる商品・役務を表示するものとして周知著名となっていることを認めることはできない。
(3)出所の混同について
申立人は、本件商標をその指定商品のすべてに使用をした場合には、これに接する取引者、需要者は、周知著名となっている「audio-technica商標」、申立人略称ないしは申立人を連想、想起し、これらの商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれがある旨主張しているので、以下検討する。
「audio-technica商標」が周知著名であると認められることは前記(2)(ア)に記載のとおりであるところ、本件商標の構成は前記したとおりであって、本件商標と「audio-technica商標」とは、全く別異の商標というべきであるから、本件商標が使用されても、「audio-technica商標」との関係において出所の混同は生じないというべきである。
また、前記したように、申立人略称の標章が、申立人の取扱いにかかる商品・役務を表示するものとして周知著名となっていることを認めることはできないから、本件商標をその指定商品に使用しても、これが申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれがあるとすることはできない。
(4)小活
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとの申立人の主張は採用することはできない。
3 商標法第4条第1項第19号について
申立人は、本件商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものである旨主張している。
しかしながら、申立人の周知商標である「audio-technica商標」と本件商標とが類似しないことは前記1(2)及び2(3)のとおりであり、また、申立人略称の標章が申立人の取扱いにかかる商品・役務を表示するものとして周知となっていることを認めることができないことは前記2(2)(イ)で述べたとおりである。
さらに、申立人の提出した証拠方法によっては、本件商標が不正の目的をもって使用をするものであると認めるに足る書証の提出も見あたらない。
この点に関して、申立人は、甲第22号証をもって、商標権者は自身のオンラインショッピングサイトにおいて、商品「ヘッドホン(イヤホン)」を取扱い、そこに本件商標を構成する、申立人略称と類似する「Technika」の商標の使用をしている旨主張している。
しかしながら、前記したように、申立人略称の標章が申立人の取扱いにかかる商品・役務を表示するものとして周知となっているとは認められず、また、このサイトは英語で表示されており、表示価格もポンド記号(?)で表されていることから、これが日本国内の需要者向けに発信されているものと認めることはできず、この号証をもって、商標権者が本件商標を不正の目的で使用しているということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 本件商標



別掲2 引用商標5



別掲3 引用商標7



別掲4 引用商標9



別掲5 引用商標10



異議決定日 2012-10-26 
出願番号 商願2011-9016(T2011-9016) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (X09)
T 1 651・ 271- Y (X09)
T 1 651・ 262- Y (X09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 石戸 拓郎 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 井出 英一郎
渡邉 健司
登録日 2012-03-16 
登録番号 商標登録第5478626号(T5478626) 
権利者 テスコ ストアズ リミテッド
商標の称呼 テクニカ、エクスクルーシブリーフロムテスコ、エクスクルーシブリー、エキスクルーシブリー、フロムテスコ、テスコ 
代理人 河合 千明 
代理人 石橋 佳之夫 
代理人 西村 啓一 

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