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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X2324 審判 全部申立て 登録を維持 X2324 |
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管理番号 | 1266126 |
異議申立番号 | 異議2012-900175 |
総通号数 | 156 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2012-12-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2012-06-18 |
確定日 | 2012-10-29 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5479835号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5479835号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5479835号商標(以下「本件商標」という。)は、「KURALOFT」の欧文字と「クラロフト」の片仮名を上下二段に横書きしてなり、平成23年9月5日に登録出願、第23類「糸(「脱脂屑糸」を除く)」及び第24類「織物(「畳べり地」を除く),メリヤス地,布製身の回り品,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,敷布,かや」を指定商品として、同24年1月13日に登録査定、同年3月16日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第8号及び同第15号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第14号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第8号について 本件商標中「ロフト」の部分は申立人である株式会社ロフトの略称であり、また「LOFT」の部分は、申立人が採用する英語名称「THE LOFT CO.,LTD」の略称である(甲2)。さらに、「ロフト」及び「LoFt」の文字は、申立人の経営する我が国最大の都市型雑貨専門店の店舗名称の略称でもあり、かつ、申立人の店舗名称の略称として周知著名になっているものと認められる。即ち、申立人の営業に係る店舗群は、その店舗のある地名に「ロフト」の文字を結合してなり、一般には「ロフト」と略称されており、「LoFt」と表記されている(甲2)。 かかる企業名及びその英名又は店舗名称の略称は、申立人によって会社名称等の略称として永年にわたって使用されてきた結果、周知・著名となっている。その事実は、日本著名商標集への掲載の他(甲3-1ないし3)、全国における運営店舗数及びその全国分布(甲2、甲4、甲5)、新聞における売上高の掲載記事(甲6、甲7)、その他の資料等からすれば明らかである。 また、本件商標を構成する文字の中には「LOFT」及び「ロフト」の文字が含まれており、本件商標について、申立人から承諾を得た形跡は見受けられない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。 2 商標法第4条第1項第15号について 申立人又はその前身である株式会社西武百貨店のロフト事業部は、1987年11月以降、商標「LoFt」又は「ロフト」を長期に渡って使用してきており、本件商標の出願時である平成23年(2011年)9月5日には、既に20数年間継続して営業活動及び多大なる宣伝広告を行ってきたため、少なくとも雑貨専門店の名称として広く知られるに至っている(甲4、甲9ないし甲12)。 グーグルで、申立人のキャッチフレーズである「“雑貨”“ホビー用品チェーン”」の語で検索すると、約1720件ヒットして102件に収束する(甲13)。一方、このキーワードに「“loft”」を加えて検索すると、519件ヒットして95件に収束するが、この95件は全て申立人の記事であることが確認された(甲14)。この検索結果から我が国で「雑貨」を取り扱っている「ホビー用品チェーン」と言えば、申立人の営業にかかる「LOFT」であることが類推される。 本件商標のように「LOFT」の文字を明確に区別して認識できる態様で含む場合、本件商標をその指定商品に使用すると、申立人の業務にかかる役務又は申立人と何らかの関係があるものの業務に係る商品であるかの如くその商品の出所の混同を生じるおそれがあると言わざるを得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 第3 当審の判断 1 本件商標について 本件商標は、「KURALOFT」の欧文字を上段に、「クラロフト」の片仮名を下段に、それぞれ横書きしてなるものであるところ、下段の「クラロフト」は、上段の「KURALOFT」の表音の片仮名表記であると無理なく認められるものである。 そして、その構成態様をみるに、本件商標を構成する上下それぞれの文字は、同書体で等間隔に一連に表されていることから、これらは一体のものとして把握されるとみるのが自然である。また、ここから生ずる「クラロフト」の称呼もよどみなく一連に称呼されるというのが相当である。さらに、上下それぞれの語からは、親しまれた特定の観念が生ずるとはいえず、「KURALOFT」及び「クラロフト」の語は、造語というべきである。 2 申立人及び申立人商標「LoFt」について 申立人は、その名称を「株式会社ロフト」、英文名称「THE LOFT CO.,LTD」とし、「雑貨専門店」として1996年8月8日設立、東京都渋谷区宇田川町18番2号に所在する「株式会社」である(甲2、甲4、甲5)。 そして、その店舗の名称については、前身である株式会社西武百貨店ロフト事業部により、1987年11月に渋谷で「シブヤ西武(ロフト館)」に「渋谷ロフト」の名称でオープン、以降、「梅田ロフト」、「池袋ロフト」等、地名に「ロフト」の文字を付して長年にわたって営業を重ね、2011年5月現在、全国69店舗(直営店舗62、FC店舗7)で雑貨専門店の営業がなされている(甲2、甲4、甲5)。 上記のとおり、申立人の営業に係る店舗名称は、その店舗のある地名に「ロフト」の文字を結合してなり、一般には、単に「ロフト」と称されており(甲6、甲7、甲12)、「LoFt」と表記されて使用(甲11)されている。 また、2004年の発行の「日本有名商標集」(AIPPI・JAPAN発行)には、「LoFt」のロゴで主として雑貨の著名商標として掲載されている(甲3)。 3 商標法第4条第1項第8号について 本件商標の構成は前記1で述べた構成よりなるものであって、「クラロフト」の称呼のみを生ずる一体的に把握される造語よりなる商標であるというべきである。 そして、そればかりでなく、商標法第4条第1項第8号の該当性については、「商標法4条1項8号所定の他人の名称とは、当該他人が外国の会社である場合には、当該国の法令の規定に則って付されたその正式な名称をいい、当該国の法令において、株式会社等の組織形態を含まないものが法令上の正式名称とされているときは、これを含まないものが同号所定の他人の名称に当たると解するのが相当である。なぜならば、他人の名称を含む商標について登録を受けることができないと規定する同号の趣旨は、当該他人の人格権を保護するという点にあるところ、同号が他人の名称については著名性を要するものとしていないのに対し、他人の略称についてはこれを要するものとしているのは、略称については、これを使用する者がある程度恣意的に選択する余地があるためであると解されるから、このこととの対比において、著名性を要せずに同号該当性が認められる他人の名称とは、使用する者が恣意的に選択する余地のない名称、すなわち、法令上の正式名称であるというべきであり、以上の理は、当該他人が法人、ひいては外国の会社であっても異なるところはないからである。また、法令上の正式名称は、人格権保護のために最も重要であるから、略称等と異なり著名性を要件としていないということもできる。」(東京高裁 平成12年(行ケ)第257号 同13年7月18日判決言渡し)と判示されているところであり、本件商標は、申立人の商号「株式会社ロフト(英文名称『THE LOFT CO.,LTD』を含む。)」でないし、申立人提出の証拠によっては、「ロフト」又は「LOFT」が、申立人の店舗名称の略称であることを推測させるとしても、それが、本件商標の登録出願時及び登録査定時において申立人の名称の著名な略称となっていたと認めることはできない。 なお、申立人は、「店舗名自体には法人格がないとはいえ、『社団』等であれば社団等としての行為が発生する。」として、「本件商標中の『LOFT』の文字は、申立人の英文法人名の略称と認められるだけではなく、申立人の経営する雑貨専門店ビルの名称の略称でもあって、雑貨専門店ビルの名称も商標法第4条第1項第8号の『他人』に該当する」旨述べているが、「権利能力なき社団」は、「社団」としての実体が存するところに保護すべき利益があるのであり、これが「権利能力なき社団」を表彰するものであることの証左は、何ら示されておらず、また、「店舗名」であることが、その対象となるものではないから、かかる主張は、採用することができない。 してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第15号について 申立人は、前記2認定のとおり、「雑貨専門店」として1996年8月8日設立され、全国に69店舗(直営店舗62、FC店舗7)を有し、その店舗の名称について地名に「ロフト」の文字を付して長年にわたって営業を重ね、また、各店舗には、「LoFt」のロゴを用い、単に「ロフト」と称されている場合あることが認められ、「日本有名商標集」(AIPPI・JAPAN発行)に掲載されていることからみれば、該「LoFt」のロゴに一定の周知性が認められる。 しかしながら、「LOFT」及び「ロフト」が「屋根裏部屋」又は「(ゴルフクラブの打球面の)傾斜角度」を意味する親しまれた英語又は外来語であること、使用に係るロゴ「LoFt」が大文字と小文字を反復して重ね合わせた一般には使用されないやや特異な構成よりなるものであることからみれば、その周知性の範囲も当該構成に依拠した極めて限定的なものであり、加えて、本件商標は、前記1認定のとおり、「クラロフト」の称呼のみを生ずる一体的な造語よりなるものというべきであるから、その構成が明らかに相違し、本件商標と当該使用商標とは、混同を生ずるおそれのない、別異の商標というべきである。 してみれば、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、申立人又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ないから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。 5 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号に該当するとは認められないから、同法第43条の3第4項に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2012-10-19 |
出願番号 | 商願2011-63583(T2011-63583) |
審決分類 |
T
1
651・
23-
Y
(X2324)
T 1 651・ 271- Y (X2324) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 渡辺 潤 |
特許庁審判長 |
水茎 弥 |
特許庁審判官 |
渡邉 健司 井出 英一郎 |
登録日 | 2012-03-16 |
登録番号 | 商標登録第5479835号(T5479835) |
権利者 | 倉敷紡績株式会社 |
商標の称呼 | クラロフト、クラ、ロフト |
代理人 | 涌井 謙一 |
代理人 | 山本 典弘 |
代理人 | 鈴木 一永 |
代理人 | 鈴木 正次 |