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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X03
管理番号 1265938 
審判番号 無効2012-890017 
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-02-21 
確定日 2012-10-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第5374397号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5374397号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5374397号商標(以下「本件商標」という。)は、「バービーカール」の片仮名を書してなり、平成21年1月21日に登録出願、第3類「まつげ用カーリングロッドを用いて根元から立ち上げるまつげパーマを施したつけまつ毛,まつげ用カーリングロッドを用いて施す根元から立ち上げるまつげパーマ用化粧品」を指定商品として、同22年11月2日に登録査定、同年12月10日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標を無効にすべきものとして引用する登録商標は、以下の(1)ないし(5)のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1945539号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、昭和58年10月8日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同62年4月30日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回なされ、さらに、平成21年1月14日に第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」及び第26類「造花(「造花の花輪」を除く。),つけあごひげ,つけ口ひげ,ヘアカーラー(電気式のものを除く。)」を指定商品とする書換登録がなされたものである。
(2)登録第2001294号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、昭和59年9月28日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同62年11月20日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回なされ、さらに、平成21年4月1日に第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」を指定商品とする書換登録がなされたものである。
(3)登録第2582946号商標(以下「引用商標3」という。)は、「BARBIE」の欧文字を書してなり、平成2年10月24日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同5年9月30日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同16年12月8日に第3類「つけづめ,つけまつ毛」、第8類「ひげそり用具入れ,ペディキュアセット,まつ毛カール器,マニキュアセット」、第14類「貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその模造品,貴金属製コンパクト」、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」、第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」及び第26類「頭飾品,造花(「造花の花輪」を除く。),つけあごひげ,つけ口ひげ,ヘアカーラー(電気式のものを除く。)」を指定商品とする書換登録がなされたものである。
(4)登録第4160106号商標(以下「引用商標4」という。)は、「BARBIE」の欧文字を書してなり、平成5年11月26日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同10年6月26日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
(5)登録第4507680号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成8年7月23日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同13年9月21日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
以下、これらの「引用商標1」ないし「引用商標5」をまとめていうときは「引用各商標」という。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第42号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 理由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同19号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第46条に基づき無効とされるべきものである。
2 利害関係について
請求人は、引用各商標を現に使用しており、これに同一又は極めて類似する本件商標の使用に由来する業務の混同及び引用各商標に化体した信用、名声、顧客吸引力の毀損を防止すべく、無効審判請求を行うものである。
よって、請求人は、本件審判請求を行うことについての利害関係を有する。
3 具体的理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
結合商標類否判断基準
本件商標は、「バービー」と「カール」の語を組み合わせてなるところ、商標の類否を判断するにあたっては、その結合の強弱の程度を考慮しなければならない(甲第6号証)。
その理由とするところは、結合商標は取引の経験則上、独立して自他商品の識別力を有する構成の一部(いわゆる要部)をもって取引に供される場合もすくなくないためである。そして、商標が出所表示機能であることからすれば、他人の周知・著名な登録商標を含む場合には、商標の構成に重視するのは妥当ではなく、商標の構成上の一体性が認められる場合であっても、その他人の登録商標と類似するものと判断されるべきである(甲第8号証)。
イ 引用各商標の著名性について
(ア)以上の観点から、本件商標を検討すると、本件商標の構成中「バービー」は、2009年総売上高54億ドルを超える世界最大規模の玩具メーカーである請求人(マテル社)自らの代表的なブランドである(甲第9号証)。
(イ)「Barbie(バービー)」は、1959年ニューヨークのトイフェアで発表されて以来、10代のファッションモデルという位置付けで、ファッション性はきわめて高く、時代を敏感に反映してきた。「Barbie(バービー)」は、現在、150を超える国と地域で発売されており、これまでに10億体以上が販売されてきた。そして、「Barbie(バービー)」は、発売から50年以上経た今日でも、世界中で毎秒3体のペースで販売されている(甲第10号証)。
(ウ)我が国の辞書・用語辞典・新聞記事等からすると、「Barbie(バービー)」は、ファッションドールを表示するものとして、一般的な需要者に広く認識されていることは明らかである(甲第11号証ないし甲第15号証)。
ウ 玩具ブランドからファッションブランドに進化
(ア)80年代から、有名ファッションブランドと「Barbie(バービー)」のコラボレーションが本格的に始まり、1996年にクリスチャン・ディオール、1999年にアルマーニ、2004年にヴェルサーチなど、著名デザイナーと共同制作された。これにより、「Barbie(バービー)」は、女児玩具の域を超えて、キャラクター自体が大人にも通用するブランドとして進化した(甲第16号証及び甲第17号証)。すなわち、「Barbie(バービー)」は、単なるドールという存在を超えて、憧れのキャラクターブランド、ファッションブランドとして発展して今日に至っている(甲第18号証)。
(イ)とりわけ、日本では、アパレル製品を軸に、従来のガールズ向けに加え、大人向け事業を拡大し(甲第19号証-1及び甲第19号証-2)、2003年に株式会社サンエー・インターナショナルが、10?20代女性をターゲットにしたアパレルブランド「Barbie」を展開するや、「Barbie(バービー)」という存在は、女児用玩具としての域を超え、大人にも通用するキャラクターブランドとして定着した。株式会社サンエー・インターナショナルの第55期(平成15年9月1日?同16年8月31日)の有価証券報告書(甲第20号証)によれば、本件商標の登録出願時以前より、「バービー」ブランドが好調に展開されていた事実が示されている。そして、現在27店舗を全国に構えるショップでは、衣服・雑貨・化粧品など様々な商品に、スウィートで愛らしい世界観を打ち出している(甲第21号証)。
(ウ)また、2003年にはファッション雑誌「an・an」の人気モデルSHIHOに(甲第22号証ないし甲第24号証)、また、2004年にはモデルで女優の山田優にバービー賞を贈るなど(甲第25号証及び甲第26号証)、当時絶大な人気を誇っていたファッション雑誌「an・an」及び「CanCam」風のスタイルを好む若い女性をターゲットにした広告宣伝が盛大に行われている。
このとき、バービー賞を受賞した彼女らが、「自分がバービー人形になって魔法をかけられたみたい。・・・」(甲第22号証及び甲第23号証)、「子供のころからバービーちゃんみたいになりたかった。まさか選ばれるなんて」(甲第25号証)、「女の子のあこがれの賞をいただけてうれしいです。・・・」(甲第26号証)とコメントしていることからも、遅くとも本件商標の登録出願日(審判注:「2006年7月21日」とあるが、誤り、本件商標の登録出願日は「平成21年(2009年)1月21日」である。)には「Barbie(バービー)=お人形」というイメージが薄れ、「Barbie(バービー)=ファッションブランド」というイメージで「Barbie(バービー)」に高い信用が形成されていたことは疑う余地のない事実である。
エ 本件商標が使用されている商品
一方、本件商標の使用されている商品は、「まつげ用カーリングロッドを用いて根元から立ち上げるまつげパーマを施したつけまつ毛、まつげ用カーリングロッドを用いて施す根元から立ち上げるまつげパーマ用化粧品」である。2002年に化粧品メーカーが行った「日本女性の目元の実態とアイメークに関する意識調査」によれば、日本女性の理想は「バービー人形のようなパッチリとし、まつ毛がカールして華やかな印象の目元」との結果が出ている(甲第27号証及び甲第28号証)。そうとすれば、本件商標は、幼少の頃に憧れたバービー人形になりたいと願う若い女性をターゲットとしていることは明らかである。
事実、本件商標の使用されている商品は、美容サロン等で、エステシャンが使用するプロ専用の美容商材であるところ(甲第29号証)、この「バービーカール」を導入するサロンのウェブページへの記載が多数みられる(甲第30号証ないし甲第34号証)。
オ 本件商標から生じる称呼及び観念
(ア)本件商標は、「バービーカール」の文字を一連に表わされているが、その構成要素中「バービー」の文字部分は、本来、特定の意味を有する語として知られているものではなく、一種の造語として理解される。そのため、日常的に使用されているような成語に比べて、その独創性は高ものであるといえるところ、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人のファッションドールを表示するものとして広く認識されていたものである。また、「バービー」ブランドを、大人向け事業に拡大したことにより、「バービー」は、玩具の域を超えた請求人のキャラクターブランド、ファッションブランドとしての地位が確立されていたものである。これに対し、「カール」の文字部分は、指定商品「まつげ用カーリングロッドを用いて根元から立ち上げるまつげパーマを施したつけまつ毛、まつげ用カーリングロッドを用いて施す根元から立ち上げるまつげパーマ用化粧品」に密接に関連する一般的な語として慣れ親しまれたものである。そのため、「カール」の語は、指定商品の一般的な取引者、需要者に特定的、限定的な印象を与える力を有するものではない。
(イ)以上の事実を踏まえ本件商標をみると、本件商標は「バービーカール」の文字が一連に表わされているとしても、「バービー」と「カール」の各文字をそれぞれ結合させてなるものであると容易に理解、認識させるものである。実際、被請求人自らのサロン用ネット通販サイトには、本件商標と共に「Barbie」「バービーロット」「バービーロットカバー」「3Dバービーロットカール用」及び「Barbie Curl」との表示も使用されている(甲第29号証及び甲第35号証)。
(ウ)そうすると、本件商標は、その構成中「カール」の文字部分は、「巻き毛」を意味する語である(甲第36号証)。本件商標の指定商品との関係においてみると、「カール」の語は、商品の品質を表わす語であることから、商品の出所識別標識としての機能がないか、極めて弱いといわざるを得ない。上記のとおり、「Barbie(バービー)」の語が請求人の玩具の域を超えたキャラクターブランド、ファションブランドとしての地位を確立していたことからすれば、「カール」の文字部分が、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識としての機能がないか、極めて弱いといえる本件商標にあっては、「バービー」の文字部分が、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められ、かかる部分より生じる称呼や観念をもって取引に資される場合があるというべきである。
(エ)したがって、本件商標は、「バービーカール」の一連の称呼が生じるほか、「バービー」の称呼が生じ、また、「バービー(人形)」の観念が生ずるものというべきである。
カ 引用各商標から生じる称呼及び観念
これに対し、引用各商標は、片仮名文字「バービー」及び/又は欧文字「Barbie」に対応して、「バービー」との称呼及び「バービー(人形)」との観念が生じるものである。
キ 本件商標と引用各商標の類否
(ア)商標の類否
本件商標と引用各商標とを比較すると、両者は、その外観においては相違するものの、共に「バービー」の称呼及び「バービー(人形)」の観念が生じるものである。
そのため、本件商標と引用各商標の外観・称呼・観念から受ける印象・記憶・連想等を総合的勘案すれば、本件商標及び引用各商標を同一又は類似する商品に使用した場合、同じ事業者の製造・販売に係る商品であるかのように、その出所について誤認混同を来たすおそれがあるといわざるを得ない。
(イ)指定商品の類否
本件商標の指定商品と引用各商標の指定商品の一部とは、同一又は類似であることは明らかである。
ク 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するというべきである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用各商標の著名性
仮に、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとは認められないとしても、上述のとおり、引用各商標には、玩具の域を超えたブランド化の効果が認められる。引用各商標は、遅くとも本件商標の登録出願時に、キャラクターブランド、ファッションブランドとして、高い名声、信用、評判を獲得するに至っていたことは明らかである(甲第9号証ないし甲第26号証)。
イ 商品の関連性
(ア)本件商標の使用されている商品は、「まつ毛をカールすることにより、華やかな印象の目元」に近づける「つけまつ毛」及び「まつ毛用化粧品」であり、これに接するであろう需要者は、幼少の頃に憧れたバービー人形になりたいと願う若い女性である(甲第25号証ないし甲第27号証)。
そして、本件商標の構成中「バービー」の文字部分は、請求人のファッションドールを表示するものとして広く認識されていたものであって、本件商標の登録出願時及び登録査定時においては、アパレルや化粧品に進出し、玩具の域を超えた請求人のキャラクターブランド、ファッションブランドとしての地位が確立されていたものである。
(イ)一方、「カール」の文字部分は、本件商標の指定商品の品質を表わす語であり、指定商品の関係において該文字は、商品の出所識別標識としての機能がないか、極めて弱いものである。
(ウ)そうとすれば、本件商標の需要者は、本件商標と引用各商標との構成上の相違にもかかわらず、本件商標より「バービー」の文字部分に着目し、請求人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品ではないかと、その出所について誤認混同するおそれがある。
ウ 小括
したがって、本件商標をその指定商品について使用するときは、世界的に有名なファッションドールブランド「Bairbie(バービー)」を連想し、請求人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品ではないかと、その出所について誤認混同するおそれがあるというべきである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号について
ア 引用各商標の著名性
仮に、本件商標が商標法第4条第1項第11号及び第15号に該当するとは認められないとしても、上述のとおり、「Barbie(バービー)」は、ファッションドールを表示するものとして、世界的に極めて高い信用を形成されていることは明らかである(甲第9号証ないし甲第26号証)
イ 「バービー」の独創性
「バービー」は、特定の意味を有する語として知られているものではなく、一種の造語として理解されるものである。そうとそれば、日常的に使用されているような成語に比べて、その独創性は高いものであり、出願商標の採択の範囲は広いに関わらず、被請求人が、偶然にも、他人の周知・著名商標を含む商標を採択したとは考えられない。
ウ 小括
したがって、本件商標は、請求人の周知・著名商標の出所表示機能を希釈化し、また、その名声を毀損させることを目的とした、不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当するというべきである。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号又は同第19号に違反してなされたものであるから、同法第46条第1項の規定によりその登録は無効とされるべきである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、何ら答弁していない。

第5 当審の判断
1 「Barbie」及び「バービー」について
請求人「マテル・インコーポレーテッド」(Mattel社)は、1945年に設立された玩具メーカーであり、1959年に金髪で青い目をしたプラスチック製の着せ替え人形「バービー人形」の発売を開始した。「バービー人形」は、「10代のモデル」という設定であり、特にカールしたまつげで、パッチリした目の着せ替え人形という点に特徴があって、(甲第12号証、甲第13号証、甲第15号証、甲第16号証、甲第27号証及び甲第28号証)、2002年頃までには既に、世界各国において10億体以上販売されており、我が国においても、引用各商標と構成文字を同じくする「Barbie」、「バービー」が、請求人の着せ替え人形である「バービー人形」を表すものとして、その取引者、需要者に広く認識されるに至っていることが認められる(甲第10号証ないし甲第18号証)。
2 商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、「バービーカール」の文字からなるものであるところ、本件商標の指定商品は、「まつげ用カーリングロッドを用いて根元から立ち上げるまつげパーマを施したつけまつ毛,まつげ用カーリングロッドを用いて施す根元から立ち上げるまつげパーマ用化粧品」であって、これらは、いわば、カールをさせたつけまつ毛及びまつげをカールをさせるための化粧品であるから、本件商標の構成中「カール」の文字部分は、該指定商品との関係においては、「(まつ毛を)巻くこと、カールさせた」という程の意味合いとして、その商品の形状、効能などの品質を理解させるものであって、自他商品の識別力がないか、あるいは、極めて希薄な部分であるというのが相当である。
そして、本件商標の構成中「バービー」の文字部分は、上記1のとおり、請求人が商品「人形」について使用している「Barbie」、「バービー」を表すものとして我が国おいて、よく知られているものであるから、本件商標は、たとえ、「バービーカール」と一連に書されているものであるとしても、これに接する取引者、需要者をして、「バービー」の文字と、「カール」の文字とをそれぞれ結合させてなるものであると容易に看取させるものである。
そうとすると、該構成中の「バービー」の文字部分は、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められるものであって、かかる部分より生じる称呼や観念をもって取引に資される場合があるというのが相当である。
したがって、本件商標は、「バービーカール」の一連の称呼を生ずるほか、「バービー」の文字部分から、「バービー」の称呼を生じ、かつ、「バービー人形」の観念を生ずるものというべきである。
イ 引用各商標
引用商標1は、別掲1のとおり「Barbie」の欧文字と「バービー」の片仮名を上下2段に書してなるものであり、これより「バービー」の称呼及び「バービー人形」の観念が生じるものである。
また、引用商標2及び引用商標5は、別掲2及び別掲3のとおり、「Barbie」の欧文字を筆記体で横書きしてなるものであり、これより「バービー」の称呼及び「バービー人形」の観念が生じるものである。
そして、引用商標3及び引用商標4は、「BARBIE」の欧文字を普通に用いられる方法で書してなるものであり、これより「バービー」の称呼及び「バービー人形」の観念が生じるものである。
ウ 本件商標と引用各商標の類否
本件商標と引用各商標とは、外観については、それぞれ互いにその構成を異にするものであり、非類似のものといえる。しかし、これらはいずれも「バービー」の称呼及び「バービー人形」の観念を生じるものであるから、称呼及び観念において類似するものである。
してみれば、本件商標と引用各商標の外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し、かつ、取引の実情を考慮すれば、両者の外観が相違するとしても、称呼及び観念を共通にする互いに紛らわしい類似の商標というのが相当である。
そして、本件商標の指定商品と引用各商標の指定商品は、同一又は類似するものである。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その余の無効理由について論及するまでもなく、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 引用商標1




別掲2 引用商標2




別掲3 引用商標5





審理終結日 2012-08-09 
結審通知日 2012-08-14 
審決日 2012-08-28 
出願番号 商願2009-6663(T2009-6663) 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (X03)
最終処分 成立  
前審関与審査官 飯田 亜紀 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 松田 訓子
井出 英一郎
登録日 2010-12-10 
登録番号 商標登録第5374397号(T5374397) 
商標の称呼 バービーカール、バービー 
代理人 黒川 朋也 
代理人 工藤 莞司 
代理人 小暮 君平 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 森川 邦子 

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