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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X42 審判 全部申立て 登録を維持 X42 |
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管理番号 | 1264503 |
異議申立番号 | 異議2012-900097 |
総通号数 | 155 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2012-11-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2012-04-13 |
確定日 | 2012-10-19 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5473922号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5473922号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5473922号商標(以下「本件商標」という。)は、「赤てんぐ」の文字を標準文字で表してなり、平成23年8月31日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同24年1月20日に登録査定、同年2月24日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。 1 具体的な理由 (1)申立人が使用する商標「天狗」について 申立人は、1969年、天狗チェーン株式会社として東京で創業し、以来、今日まで約43年間の長期間にわたり居酒屋チェーン店「天狗」を全国に展開し、首都圏では100店舗以上出店している(甲第4号証)。今日では、「天狗」とその称呼の「テング」の商標は、申立人の商標として周知著名であるという実情がある。 以下、申立人が居酒屋チェーン店の店名として使用する「天狗」の文字からなる商標を「申立人使用商標」という。 また、申立人の居酒屋チェーン店は、商標権者が「赤てんぐ」の店名で居酒屋を出店している東京の秋葉原、四谷、日本橋及び大阪の梅田(甲第5号証ないし甲第8号証)にも多数出店している。 (2)商標権者による本件商標の使用 商標権者は、秋葉原本店等の居酒屋のホームページにおいて、本件商標「赤てんぐ」の「赤」の漢字を赤色文字で表わし、「てんぐ」の平仮名を黒地の白抜き文字で表わしている。しかも、赤色の「赤」の漢字を、白の「てんぐ」よりも大きく表わし、「赤」と「てんぐ」とを分離可能に表わして使用している実情もある(甲第5号証ないし甲第8号証)。 このために、この平仮名の「てんぐ」は、下記の申立人が引用する商標「天狗」と称呼、観念において明らかに類似する。しかも、この使用方法は商標法第53条第1項で規定する登録商標の不正使用に該当する。このような不正使用は、外置き看板や店舗正面の入ロガラス戸、天幕等広範囲にわたって行なわれている。 したがって、商標権者が居酒屋の店名等として「赤てんぐ」を使用する場合には、一般需要者や取引者は、申立人の周知著名な下記の申立人が引用する商標「天狗」に、自他商品識別力を有しない単なる形容詞である「赤」を単に付記したものとして、誤認混同することは明らかである。 商標権者の店舗周辺に出店している申立人の居酒屋は、商標権者の居酒屋と誤認混同され、申立人の居酒屋グループ全体の信用失墜と多大の損害を被っているという実情がある。 (3)商標法第4条第1項第11号について ア 申立人が引用する商標 (ア)登録第3065399号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成4年9月21日に登録出願、第42類「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同7年7月31日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。 (イ)登録第3019406号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成4年9月21日に登録出願、第42類「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同7年1月31日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。 以下、引用商標1及び2をまとめていうときは「引用各商標」という。 イ 本件商標と引用各商標との類否 (ア)本件商標と引用商標1 本件商標は、漢字混じりの平仮名文字からなるものであるから「アカテング」の称呼と「赤天狗」の観念を生ずる。これに対し、引用商標1は、赤い天狗の図形から「アカテング」の称呼と「赤天狗」の観念を生ずるものであるから、両商標は「アカテング」の称呼と「赤天狗」の観念を共通にする類似のものである。 また、本件商標と引用商標1は、その指定役務も同一又は類似のものである。 (イ) 本件商標と引用商標2の類否 本件商標は、その構成中の「赤」の部分が識別力のない単なる形容詞であるから「テング」の称呼と「天狗」の観念を生ずる。これに対し、引用商標2は「天狗」の漢字からなるので、両者は称呼と観念を共通にする類似のものである。 また、本件商標と引用商標2は、その指定役務も同一又は類似のものである。 ウ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 (4)商標法第4条第1項第15号について 申立人使用商標及び引用各商標は、申立人の商標として、広く一般に知られているから、これと類似する本件商標がその指定役務に使用された場合、役務の出所について混同を生ずるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。 2 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、その登録は取り消されるべきものである。 第3 当審の判断 1 申立人使用商標などについて 申立人提出の甲第4号証、同人の主張及び職権調査(申立人のホームページ「http://www.teng.co.jp/」など)によれば、申立人使用商標及び引用各商標は、申立人の居酒屋チェーンに係る商標として、首都圏、大阪及び愛知などにおいて、ある程度認識されているものといえる。 しかしながら、それらが本件商標の登録出願の日前ないし登録査定時において需要者の間に広く認識されていると認め得る証拠は見いだせない。 そうとすれば、申立人使用商標及び引用各商標は、本件商標の登録出願の日前ないし登録査定時において申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものということはできない。 2 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標について 本件商標は、上記第1のとおり「赤てんぐ」の文字からなり、その構成文字は同書、同大、等間隔で一体に表されているものである。そして、本件商標は、その構成文字から生じる「アカテング」の称呼も一気一連に称呼し得るものであり、また、全体として「赤い天狗」の意味合い(観念)を想起させるものである。 そうとすれば、本件商標は、その構成文字全体が一体不可分のものと認識されるものとみるのが自然であり、他に、例えば「天狗」の文字部分など、その構成中の一部の文字を分離・抽出し検討しなければならない事情は見いだせない。 してみれば、本件商標は、その構成文字全体が一体不可分のものといわなければならない (2)引用各商標について ア 引用商標1は、別掲1のとおり、天狗の顔(お面)の図形と「Enjoy!」及び「天狗」の文字からなるものであるから、その構成文字に相応して「エンジョイテング」の称呼を生じると共に、天狗の顔及び下段に格別大きく表された「天狗」の文字から「テング」の称呼をも生じ、「天狗」の観念が生じるものというのが相当である。 イ 引用商標2は、別掲2のとおり、「天狗」の文字からなるものであるから、「テング」の称呼及び「天狗」の観念が生じるものある。 (3)本件商標と引用各商標の類否について 本件商標と引用各商標とは、外観において、両者はそれぞれ上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるものであるから、それらの構成態様から相紛れるおそれのないこと明らかである。また、本件商標から生じる称呼「アカテング」と引用各商標から生じる称呼「エンジョイテング」及び「テング」とは、その構成音、構成音数において明らかな差異を有するから、十分区別し得るものである。さらに、観念においても両者は、「赤い天狗」と「天狗」とで異なるから区別し得るものといえる。 そうとすれば、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものということはできない。 3 商標法第4条第1項第15号について 上記1のとおり、申立人使用商標及び引用各商標は、本件商標の登録出願の日前ないし登録査定時において申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものということはできない。 また、本件商標と申立人使用商標及び引用各商標とは、上記2(3)のとおり(又は同様の理由により)、いずれも外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用をしても、これに接する取引者・需要者をして、申立人使用商標などを連想又は想起させるとはいえず、その役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものということはできない。 4 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反して登録されたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定に基づきその登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(引用商標1) (色彩は原本参照。) 別掲2(引用商標2) |
異議決定日 | 2012-10-11 |
出願番号 | 商願2011-62501(T2011-62501) |
審決分類 |
T
1
651・
26-
Y
(X42)
T 1 651・ 271- Y (X42) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 矢代 達雄 |
特許庁審判長 |
森吉 正美 |
特許庁審判官 |
梶原 良子 堀内 仁子 |
登録日 | 2012-02-24 |
登録番号 | 商標登録第5473922号(T5473922) |
権利者 | 株式会社Globridge |
商標の称呼 | アカテング、テング |
代理人 | 特許業務法人東京国際特許事務所 |