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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X01 審判 全部申立て 登録を維持 X01 審判 全部申立て 登録を維持 X01 審判 全部申立て 登録を維持 X01 審判 全部申立て 登録を維持 X01 |
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管理番号 | 1264487 |
異議申立番号 | 異議2011-900434 |
総通号数 | 155 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2012-11-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2011-12-12 |
確定日 | 2012-10-09 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5437048号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5437048号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5437048号商標(以下「本件商標」という。)は、「シェルミネラル」の片仮名を標準文字で表してなり、平成23年4月12日に登録出願、第1類「化学品」を指定商品として、同年8月22日に登録査定、同年9月9日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第2375293号商標は、「Shell」の欧文字を横書きしてなり、平成元年4月7日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同4年1月31日に設定登録され、その後、同14年1月15日及び同23年11月8日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同14年6月19日に指定商品を第1類ないし第5類、第16類及び第19類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。 (2)登録第2375294号商標は、「シェル」の片仮名を横書きしてなり、平成元年4月7日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同4年1月31日に設定登録され、その後、同14年1月15日及び同23年11月8日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同14年6月19日に指定商品を第1類ないし第5類、第16類及び第19類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。 (3)国際登録第977610号商標は、別掲1のとおりの構成からなり、2008年3月11日にSwitzerlandにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2008年(平成20年)5月14日に国際商標登録出願され、第1類、第4類、第6類、第8類、第9類、第11類、第14類、第16類、第18類、第19類、第21類、第24類ないし第28類及び第37類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成22年3月19日に設定登録されたものである。 (4)登録第468792号商標は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和25年11月25日に登録出願、第2類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同30年8月6日に設定登録され、その後、同51年1月13日、同61年1月20日、平成7年12月25日及び同17年7月5日の4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同20年7月23日に指定商品を第2類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。 (以下、これらをまとめて「引用商標」という。) 3 登録異議の申立ての理由(要旨) 申立人は、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第413号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)「シェル(SHELL)」商標の著名性 申立人の商標「シェル」及び「SHELL」(以下「シェル(SHELL)商標」という。)は、申立人をその一員とする石油エネルギー関連企業「ロイヤル・ダッチ・シェル社」(Royal Dutch Shell plc)及び同社を中核とする企業グループ「ロイヤル・ダッチ・シェル・グループ」(以下「シェル・グループ」という。)が長年にわたり使用してきた結果、エネルギー事業及び化学事業の両業界における需要者において、極めて著名な商標であり、また、一般の消費者においても、サービス・ステーションや広告・社会貢献活動などを通じ、全国的に広く認識されるに至っていることは明らかである(甲第2号証ないし甲第408号証)。 (2)商標法第4条第1項第11号の該当性 本件商標は、「シェルミネラル」の文字からなるところ、その構成中の「シェル」及び「ミネラル」の各文字は、いずれも我が国においてよく知られた語であるから、本件商標は、該各文字を結合してなるものと直ちに把握されるものである。そして、該「ミネラル」の語は、本件商標の指定商品である「化学品」との関係においては、単なる一般名称であるか又は単なる品質表示でしかないこと明らかであり、自他商品識別力を備えていないものである。 そうすると、本件商標の要部は、その構成中の「シェル」の文字部分であり、また、シェル(SHELL)商標が、上述のとおり、化学品の分野において極めて著名な商標であることを併せ考えれば、該「シェル」の文字部分が特に強く注意を引くこととなるから、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する需要者は、これがシェル・グループの出所に係るものであると誤信することは明らかである。 したがって、本件商標は、その構成中の「シェル」の文字部分のみが出所識別機能を果たすものであって、引用商標と外観、称呼及び観念において類似するものであり、また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第10号の該当性 本件商標は、化学品の需要者の間で広く知られている著名商標であるシェル(SHELL)商標と類似するものであって、第1類「化学品」について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第15号の該当性 既述のとおり、シェル(SHELL)商標は、シェル・グループの商品又は営業を示すものとして、日本国内において著名であり、また、本件商標は、著名商標であるシェル(SHELL)商標と、その外観、称呼及び観念において相紛らわしく、両商標は、類似するものである。 そして、「シェル」及び「SHELL」の文字は、「貝」を意味する語であるが、石油製品や化学品の品質等について、特段記述的であるというものではないから、その独自性、独創性は高いというべきであり、また、シェル(SHELL)商標は、営業主自体を表示するいわゆるハウスマークであるから、その混同を生じる範囲は、一般的に広いものとして考慮されるべきである。 また、本件商標の指定商品が、シェル・グループの取り扱う商品又はそれらを含むものであることは明らかであるから、本件商標の指定商品とシェル・グループの業務とが、需要者及び取引者層、流通経路等について共通していることも明らかである。 してみれば、本件商標がその指定商品について使用された場合、これに接する取引者、需要者は、その商品がシェル・グループと経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (5)商標法第4条第1項第19号の該当性 シェル(SHELL)商標がシェル・グループに係る著名な商標であり、また、本件商標と該著名商標とが類似するものであることは、既述のとおりであるところ、化学品を取り扱う本件商標権者が該著名商標について知らないはずはないから、本件商標は、該著名商標の名声、人気にフリーライドする目的で出願されたものといわざるを得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 (6)商標法第4条第1項第8号の該当性 「シェル」及び「SHELL」は、シェル・グループの著名な略称であり、また、これらが、遅くとも本件商標の登録出願日前から現在にかけて、我が国において著名であったことは、既述のとおりであるから、本件商標は、「他人の名称の著名な略称を含む商標」に該当し、申立人の承諾を得ていないものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。 (7)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第10号、同項第15号、同項第19号及び同項第8号に該当するものであるから、同法第43条の3の規定により、取り消されるべきものである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について 本件商標は、前記1のとおり、「シェルミネラル」の片仮名を標準文字で表してなるところ、その構成各文字は、同じ大きさ及び書体をもって、等間隔に表されてなることから、視覚上、一体的にまとまりのあるものとして看取、把握され得るものであり、また、その構成全体から生ずる「シェルミネラル」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。そして、たとえ本件商標の構成中の「ミネラル」の文字が「鉱物、無機物」の意味を有する外来語として一般に広く知られているものであるとしても、同じく、その構成中の「シェル」の文字も、「貝殻」の意味を有する外来語として、一般に広く知られているものであり、また、「貝殻」に「ミネラル」が含まれていることも相当程度知られているものである。 そうとすると、本件商標は、いずれも一般に広く知られた「シェル」及び「ミネラル」の各文字を組み合わせて一連にまとまりよく表してなるものであって、該各文字間に相当程度の関連性があるといえることからすれば、本件商標を構成する各文字について軽重の差があるとはいい難く、むしろその構成全体をもって一体不可分の一種の造語を表したものとして認識されるとみるのが相当である。 してみれば、本件商標は、その構成文字に相応する「シェルミネラル」の称呼のみを生ずるものであり、また、「貝殻のミネラル」程の意味合いを想起する場合もあるといえるものである。 他方、引用商標は、前記2の(1)及び(2)並びに別掲の(1)及び(2)に示すとおり、それぞれ「Shell」若しくは「シェル」の文字からなる又は貝殻からなる図形と「SHELL」の文字との結合からなるものであるから、いずれも、その構成全体に相応して、「シェル」の称呼及び「貝殻」の観念を生ずるものと認める。 以上を踏まえて、本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は、前述のとおり、その構成全体をもって一体不可分の一種の造語を表したものとして認識されるものであるから、たとえその構成中に「シェル」の片仮名を含むとしても、引用商標とは、外観上、容易に区別し得るものである。 また、本件商標から生ずる「シェルミネラル」の称呼と引用商標から生ずる「シェル」の称呼とは、その音構成及び構成音数において明らかな差異があるものであるから、それぞれを一連に称呼するときは、互いに聴き誤るおそれはない。 さらに、本件商標からは「貝殻のミネラル」程の意味合いを想起する場合がある一方、引用商標からは「貝殻」の観念を生ずるものであるから、これらが互いに紛れるおそれがあるとはいい難い。 してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれからみても相紛れるおそれはないから、両商標は、非類似の商標といわなければならない。 したがって、本件商標は、その指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似するものであるとしても、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。 (2)商標法第4条第1項第10号該当性について 本件商標とシェル(SHELL)商標とは、上記(1)においてした判断によれば、非類似の商標であって、十分に区別し得る別異の商標といえるから、シェル(SHELL)商標が申立人を一員とするシェル・グループの業務に係る石油製品、化学製品を表示するものとして、その取引者、需要者の間において相当程度知られ、かつ、本件商標の指定商品がシェル(SHELL)商標の使用に係る商品と同一又は類似するものであるとしても、本件商標が商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものということはできない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について 本件商標とシェル(SHELL)商標とは、たとえシェル(SHELL)商標が本件商標の登録出願時において、申立人を一員とするシェル・グループの業務に係る石油製品、化学製品を表示するものとして、その取引者、需要者の間において広く認識されていたとしても、上記(1)においてした判断によれば、非類似の商標であって、十分に区別し得る別異の商標といえるものであり、ほかに商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとすべき特段の事情も見いだせないものである。 してみれば、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。 (4)商標法第4条第1項第19号該当性について 本件商標とシェル(SHELL)商標とは、上記(1)においてした判断によれば、互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。 また、申立人の提出に係る証拠のいずれを見ても、本件商標権者が本件商標を不正の利益を得る又は他人の著名商標に蓄積された信用若しくは名声にフリーライドする等の不正の目的をもって使用すると認めるに足る事実は見いだし得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものではない。 (5)商標法第4条第1項第8号該当性について 本件商標は、上記(1)のとおり、その構成全体をもって一体不可分の一種の造語を表したものとして認識されるものであるから、その構成中の「シェル」の文字部分のみが独立して把握、認識されるものではない。 してみれば、本件商標の構成文字から「シェル」の文字部分のみが殊更に分離、抽出され、申立人をその一員とするシェル・グループの略称を表すものとして認識されるとはいうことができない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものではない。 (6)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第10号、同項第15号、同項第19号及び同項第8号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 引用商標 1 国際登録第977610号商標 2 登録第468792号商標 |
異議決定日 | 2012-09-28 |
出願番号 | 商願2011-25557(T2011-25557) |
審決分類 |
T
1
651・
25-
Y
(X01)
T 1 651・ 23- Y (X01) T 1 651・ 26- Y (X01) T 1 651・ 271- Y (X01) T 1 651・ 222- Y (X01) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 渡辺 航平、中束 としえ |
特許庁審判長 |
寺光 幸子 |
特許庁審判官 |
酒井 福造 田中 敬規 |
登録日 | 2011-09-09 |
登録番号 | 商標登録第5437048号(T5437048) |
権利者 | 御木本製薬株式会社 |
商標の称呼 | シェルミネラル、シェル |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 井滝 裕敬 |
代理人 | 松尾 和子 |